結論
メタプラネットは、ホテル運営からビットコインの保有を本業に据えた会社だ。持つ枚数は 4.4 万枚で、2025 年 6 月に掲げた 21 万枚計画の 2 割にとどまる。筆者の結論は、本質価値は今の時価総額の近くにあるという見方で、割安とも割高とも言い切れない。
この会社に売上の数量と価格の積み上げは効かない。価値は、持つ枚数とビットコインの価格、そして借入と優先株の重みでほぼ決まる。収益の柱だったオプション収入は、2026 年の第 3 四半期に前期の半分に落ちた。
筆者が重く見るのは、ビットコインが何も生まない資産であることだ。10 年後の価格を当てる力は筆者にない。そこで 5 つの筋書きに広く分け、確率の重みで平均した。中心の筋書きでも、株主の取り分は純資産の 9 割にとどまる。含み益への税と、経営者への報酬による希薄化があるからだ。
悲観の筋書きは深い。価格が 7 割下がれば、借入と優先株を払った後にほとんど残らない。一方、楽観の筋書きは今の十数倍になる。この両端の広さこそが、この株の本当の姿だ。
株価が純資産を下回る状態が続くので、普通株での買い増しは割に合わない。計画の遅れは、すでに現実になっている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ビットコインは分からない資産だ。配当も利息も生まない。10 年後の価格を当てる根拠が、筆者の手元にはない。
そこで会社の価値を、持つ枚数と価格、借入の 3 つに分けて考える。借入と優先株は約 1,000 億円、BTC 時価の 2 割弱だ。ビットコインが 5 割下がっても、返せない額ではない。しかし 8 割下がると、株主の取り分は消える。
オーナーとして持ち続けたいか、と問うなら、筆者は答えを慎重にしたい。経営は積極的に資金を集めたが、株価が純資産を上回っていた間の増資は、結果として既存株主を助けた。下回った今、同じ手は使えない。
安全域は、今の時価総額と純資産の差に見える。しかし 5 つの筋書きを平均しても、価値は今の値段に近い。割安と言うには、悲観の筋書きが深すぎる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、保有するビットコインを担保にしたオプションの売りと、保有そのものの価値だ。オプションの売りとは、一定の価格で買う権利を他人に売って、先に手数料を受け取る取引をいう。2025 年の売上 89 億円は、ほぼこの収入である。
会社は 2024 年の春、ビットコインの購入を始めた。以後は増資、新株予約権、社債、優先株と、使える資金調達を全部使って買い増してきた。保有は 2025 年末に約 3.5 万枚、2026 年 6 月末に 4.3 万枚、10 月初めに 4.4 万枚になった。2026 年の秋には 1 万枚を売って 1.1 万枚を買い戻し、売買の流動性を示した。
調達の中心は、優先株(MARS・MERCURY)と、保有ビットコインを担保にした与信枠だ。借入と優先株を合わせて約 1,000 億円。これは保有の時価の 2 割弱にあたる。
会計は日本基準で、ビットコインは取得原価から減損するだけで、評価益は損益に出ない。2025 年は 1,000 億円超の評価損で、約 950 億円の赤字になった。2026 年の上期も約 1,830 億円の赤字だ。赤字の中身は価格の下落であり、事業の失敗とは別に見る必要がある。
2026 年 10 月に、会社は資産の配分を改めた。ビットコインに 85〜90%、残りの 10〜15% を収益を生む証券や買収、資産運用の事業に回す。社債の調達と運用の利ざやを稼ぐ構想だ。まだ実績はない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、この会社にほとんどない。ビットコインは誰でも買える。『日本で買えるビットコインの器』という希少さが、これまでの上乗せ評価を生んだ。しかし 2025 年 10 月から、株価は保有ビットコインの価値を下回っている。この希少さは失われた。
強みは 2 つある。1 つは、株としてビットコインに触れたい個人や機関投資家の入口になれること。もう 1 つは、優先株や社債で資金を調達してきた実績だ。ただし後者は、金利のかかる借入であり、守りにも負担にもなる。
弱みは 3 つある。第 1 に計画の遅れだ。21 万枚どころか、2026 年末 10 万枚にも届かない。第 2 にオプション収入の細りだ。第 3 に統治で、経営者の持ち分を巡る開示の訂正と、役員への新株予約権の拡大と縮小が続いた。
筆者は、資本の使い方に慎重だ。株価が純資産より高い間に株を出して買う手法は、既存株主に得だった。株価が純資産を下回った今は逆になり、増資するほど既存株主の取り分が減る。会社がこの局面で何を選ぶかが、経営の質を測る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ビットコインを財務の中心に据える上場企業は、米国のストラテジーを筆頭に増えた。メタプラネットはその中でも世界の上位、アジアでは最大の保有者だ。同種の企業は、株価が純資産に対して高い間は買い増しの資金が集まる。しかし純資産を下回ると新株の発行が難しくなり、優先株と借入に頼る。ここで競争が起きる。
市場全体はビットコイン価格に左右される。価格は 2025 年秋の高値の後に下がり、2026 年の年央に 6.7 万ドルまで落ちた。9 月末は 8 万ドル台半ばへ戻っている。過去には、70〜80% の下落を複数回経験している。
10 年の見方は分かれる。強気の人は、ETF と企業の保有が定着し、価格が 3 倍超になるという。慎重な人は、利用が価値の保存に限られ、供給の鈍りは織り込み済みだという。筆者は中心を年 6% 前後の上昇に置いた。
日本には、同じ戦略を取る大型の競合が少ない。ただし規制と税の不確実さは残る。売却して現金にすれば税が掛かる点は、含み益の大きい局面ほど重くなる。優先株や社債の発行条件も、市場の機嫌に左右される。同じ戦略の企業が増えるほど、資金の奪い合いは激しくなる。
資本政策と M&A
資本政策は、この会社の中核だ。普通株の増資と新株予約権で買い増す段階は、2025 年に終わった。今は、株価が純資産を下回るため、優先株、社債、担保付きの与信枠で資金をつなぐ。
株主への還元は無い。配当は出さず、利益はビットコインに回す。優先株の配当は借入と同じで、先に払う約束になる。
M&A は構想の段階だ。2026 年 10 月の配分方針は、資産の 10〜15% を戦略投資に回すと言う。買収の実績はなく、価値を壊すか高めるかは分からない。
10 年以内に会社が買収される確率は小さい。保有ビットコインの価値に上乗せを払う買い手は見つかりにくく、経営者の持ち分を巡る不透明さも残る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ビットコインは、国家と年金が保有する準備資産になる。2024 年に米国で現物 ETF が承認され、機関投資家の保有が定着した。価格は 10 年で 3〜5 倍になる道が見える。メタプラネットは、その価格の上昇を最も手元で受け取れる日本の上場企業だ。
株価は保有ビットコインの価値を下回っている。つまり、割り引いた値段で買える。オプション収入に加えて、優先株と社債で資金を調達し、収益を生む証券へ資産の一部を回せば、保有の枚数も増え続ける。ビットコインの総供給量の 1% を目指す計画は遅れたが、方向は変わらない。
2026 年の秋に、1 万枚を売って 1.1 万枚を買い戻し、売買の流動性を示した。売却で出た損失は税務上の資産にもなる。経営者が株主のために動く姿勢だ。価格が上がれば、借入の比率は自然に下がり、優先株の返済も軽くなる。ビットコインの供給は上限が決まっており、需要が増えれば価格は大きく動く。会社が借りた資金で保有を増やした分は、その上昇をそのまま株主に運ぶ。
慎重な見方
ビットコインは何も生まない。10 年後の価格を決めるのは、新しい買い手が来続けるかどうかだけだ。過去には、70〜80% の下落を繰り返した。次の下落は、借入を持つこの会社にとって、前回より重い。
計画は大きく外れた。2026 年末の 10 万枚はもう遠く、21 万枚はほぼ無理だ。オプション収入は 2026 年の第 3 四半期に前期の半分に減った。収益を支えるはずの事業が細っている。
統治の問題もある。経営者の持ち分に関する開示は訂正が続き、役員への新株予約権は一度に約 7 倍に拡大され、批判を受けて 41% 縮められた。資産運用会社の VanEck までが、希薄化の被害はすでに出たと批判した。
株価が保有ビットコインの価値を下回る状態は、市場の評価だ。割安ではなく、それだけの理由があると見るべきだ。借入と優先株は、価格が下がった局面でも減らない。価格の下落と資金調達の停止が同時に来れば、会社は保有を売って返す側に回る。
どちらに重みを置いたか
どちらも一理ある。10 年後の価格は予測できないため、確率は中心の筋書き(年 6% 前後の上昇)に最も厚く置き、両端に広げた。
慎重な見方がやや強い。計画の遅れ、オプション収入の細り、統治の不透明さは、いずれも現実に起きた事実だからだ。一方、価格の上昇余地は、強気の見方が正しければ非常に大きい。
そこで悲観の確率を 2 割と厚く、楽観を 8% と薄くした。両端を厚くしたうえで平均すると、価値は今の時価総額を数%上回る程度になる。適正の範囲だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 730 円9,820 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 316 円4,245 億円、今との差 +17.3%、 期待の年率 +10.5%(資本コスト 8.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,525 円4.74 兆円 | 0 円0 億円 | +1,210.5% | +29.3% | 282 円3,794 億円 |
| やや楽観 | 15% | 1,634 円2.20 兆円 | 0 円0 億円 | +507.5% | +19.8% | 245 円3,297 億円 |
| 中立 | 34% | 464 円6,237 億円 | 0 円0 億円 | +72.3% | +5.6% | 158 円2,121 億円 |
| やや悲観 | 23% | 187 円2,512 億円 | 0 円0 億円 | −30.6% | −3.6% | 43 円578 億円 |
| 悲観 | 20% | 11 円152 億円 | 0 円0 億円 | −95.8% | −27.1% | 2 円30 億円 |
| 加重平均 | 100% | 730 円9,820 億円 | 0 円0 億円 | +171.4% | +10.5% | 730 円9,820 億円 |
今の株価時価総額 269 円3,619 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:ビットコインが準備資産になり、仕組みも回る 利益 8,271 億円 · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 3,525 円4.74 兆円
各国の政府系ファンドや大手年金がビットコインを持ち、価格は 10 年で 45 万ドル前後に届く。普及の追い風を受け、メタプラネットは優先株と社債で資金をつなぎ、保有を 7.5 万枚まで積む。オプション収入は保有量に比例して伸び、社債の調達と運用の利ざやも加わる。
それでも筆者は、純資産に対して大きな上乗せは付かないとみる。含み益が大きいぶん、売った時の税が重いからだ。会社が日本版の財務戦略企業として先頭を走り続けても、純資産並みで落ち着く。
この筋書きでは、今の時価総額の十数倍になる。ただし確率は低く、全体の価値への寄与は一部にとどまる。
- ビットコイン運用収益:数量 72,000(年間の平均保有量(BTC・枚))× 価格 0.01(1 枚あたりの年間の運用収益(億円・名目。ビットコインの価格に連動して伸びる))→ 売上 680 億円・営業利益 476 億円。BTC 7.5 万枚×45 万ドル、運用利回り 1.4%
倍率:純資産(BTC 時価 − 借入と優先株)は 4.7 兆円規模。収益を生む仕組みが動き、含み益への税の重さと相殺して、純資産と同じ値(1.0 倍)に置いた。1.0 倍超の上乗せは、運用で株主に純資産以上の価値を積み増せる証拠がまだ無いので置かない。
確率:10 年でビットコインが 5 倍超になるには、各国の政府や年金が持つほどの普及が要る。起きうるが、全体の 1 割に届かないとみる。
やや楽観 15% やや楽観:機関投資家に定着し、価格は 3 倍強へ 利益 2,878 億円 · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 1,634 円2.20 兆円
ビットコインは 26 万ドル前後まで上がる。ETF と企業の保有が定着し、暴落の谷も浅くなる。メタプラネットは保有を 6.6 万枚まで増やすが、増やす速度は計画のはるか手前にとどまる。純資産に対する株価の水準が 1 を割る状態が続き、新株を発行しての買い増しは割に合わないからだ。
収益の柱はオプション収入と、優先株や社債で調達した資金の運用になる。利回りは今より上がるが、2025 年の水準には戻らないとみる。
含み益が増えるぶん、売却時の税の重さが純資産に対する評価を押し下げる。上昇相場でも、株主の取り分は純資産の 9 割台半ばとなる。
- ビットコイン運用収益:数量 64,000(年間の平均保有量(BTC・枚))× 価格 0.00(1 枚あたりの年間の運用収益(億円・名目。ビットコインの価格に連動して伸びる))→ 売上 300 億円・営業利益 204 億円。BTC 6.6 万枚×26 万ドル、運用利回り 1.2%
倍率:純資産は 2.3 兆円規模。含み益が大きく、売って現金化すれば約 3 割の税が掛かる。持ち続ける前提でその半分ほどを割り引き、さらに運用の費用と経営者への報酬の希薄化を見て 0.95 倍に置いた。
確率:ETF と企業財務での保有が広がり、価格が 3 倍強になる道は十分ある。過去 10 年の上昇率を考えると、全体の 15% は妥当。
中立 34% 中立:価格は 1.75 倍、会社は保有を増やすが計画には遠い 利益 549 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 464 円6,237 億円
ビットコインは年 6% 前後で上がり、10 年後に 14 万ドル前後。供給の増え方が半減期ごとに鈍る一方、実需は決済や運用というより価値の保存手段にとどまる。
メタプラネットの保有は 5.5 万枚。計画の 21 万枚には遠く及ばない。純資産に対する株価の水準が 1 割れで、普通株の発行では買い増しが進まないからだ。優先株と社債で 1,000 億円強を足し、オプション収入の積み上げで買う。
収益の中心は 10 年経ってもオプション収入で、利回りは今の 0.6% 前後から 1% 前後へ上がって落ち着く。2026 年の第 3 四半期は計画を下回った。利益の質はまだ試されていない。
株主の取り分は純資産の 5〜6 割。年 6% 前後の値上がりでは、資本コストの 10% 台に届かないからだ。経営の資本配分と、開示の姿勢が改まるかが評価を分ける。
- ビットコイン運用収益:数量 52,000(年間の平均保有量(BTC・枚))× 価格 0.00(1 枚あたりの年間の運用収益(億円・名目。ビットコインの価格に連動して伸びる))→ 売上 109 億円・営業利益 71 億円。BTC 5.5 万枚×14 万ドル、運用利回り 1.0%
倍率:純資産(BTC 時価 − 借入と優先株)は 9,450 億円。経済的な利益は、ビットコインの値上がり年 6% 弱と運用収益から借入と優先株の費用を引いて、純資産の 5.8%(ROE)。資本コスト 8.75% に届かない資産は、帳簿より低く評価するのが筋なので、ROE÷k の 0.66 倍に置いた。含み益への税と報酬の希薄化も、この中に収まる。
確率:価格は 10 年で 14 万ドル前後と、年 6% 前後の上昇を中心に置く。実績の悪い計画を割り引き、最も厚くした。
やや悲観 23% やや悲観:価格が横ばいで、借りた資金の重みが残る 利益 −140 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 187 円2,512 億円
ビットコインは 7.5 万ドル前後で 10 年を終える。途中に 2 度の 6 割下落を挟み、財務戦略企業の保有ブームは冷める。値上がりの期待で集まった資金は、いったん引いていく。
メタプラネットは担保の追加を避けるため、一部を売って借入を返し、保有は 4.7 万枚で止まる。オプション収入は価格の低下で細り、費用を賄うのがやっとだ。
保有の 3 割強が優先株と借入に先に取られる計算になり、株主の取り分は薄い。純資産に対する株価は 0.7 倍まで下がる。
経営買い増しの旗を下ろし、運用事業と守りの財務に重心を移す。2026 年の計画に掲げた枚数は、結局どの年も達成できない。株主は、保有ビットコインの値上がりに期待した分を、借入と優先株の返済で失う。
- ビットコイン運用収益:数量 46,000(年間の平均保有量(BTC・枚))× 価格 0.00(1 枚あたりの年間の運用収益(億円・名目。ビットコインの価格に連動して伸びる))→ 売上 36 億円・営業利益 18 億円。BTC 4.7 万枚×7.5 万ドル、運用利回り 0.7%
倍率:純資産は 3,588 億円。この筋書きの稼ぐ力は赤字で、価値は売れる資産(BTC を売って借入と優先株を返した残り)で測る。急いで売ると値が崩れ、費用も掛かるため、その 0.70 倍に置いた。
確率:10 年で価格がほぼ動かない道は、過去の長い停滞(2018〜2020 年)から見て起こる。企業の保有ブームが一巡して売りに回る道も含め、23%。
悲観 20% 悲観:価格が 2.2 万ドルへ崩れ、借入の返済に追われる 利益 −260 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 11 円152 億円
価格は 2.2 万ドルまで下がり、保有する企業の多くが投げ売りに追い込まれる。担保を割った借入の返済と、優先株の償還の要求が重なる。メタプラネットは担保維持のために保有を売って借入を返し、3.8 万枚で止まる。
オプション収入は価格とともに消え、営業は赤字になる。優先株の配当を払うために資産を取り崩し、新しい資金も入らない。会社は縮小しながら生き延びる道を選ぶ。
株主に残るのは、BTC を売って借入と優先株を払った後の差額だけだ。売れる資産の 6 割で評価しても、今の時価総額の 1 割にも届かない。
- ビットコイン運用収益:数量 38,000(年間の平均保有量(BTC・枚))× 価格 0.00(1 枚あたりの年間の運用収益(億円・名目。ビットコインの価格に連動して伸びる))→ 売上 4 億円・営業利益 −8 億円。BTC 3.8 万枚×2.2 万ドル、運用収入は消える
倍率:BTC 3.8 万枚×2.2 万ドルは 1,250 億円強。借入と優先株 1,000 億円を先に払うと残りは 250 億円ほど。保有 BTC を売って返し切る前提で、売却の税と費用を見て 0.60 倍に置いた。
確率:ビットコインは過去に 70〜80% の下落を複数回経験した。10 年後の時点で 7 割下がっている道は、5 分の 1 とみる。規制強化や量子計算など、前提が崩れる道もある。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ビットコイン運用収益
保有ビットコインを担保にしたオプションの売りなどによる収益。保有する枚数に、1 枚あたりの運用収益を掛けて見る。
| 数量年間の平均保有量(BTC・枚) | 価格1 枚あたりの年間の運用収益(億円・名目。ビットコインの価格に連動して伸びる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 17,000 | 0.01 | 89 | 63 |
| 10 年後 中立 | 52,000 | 0.00 | 109 | 71 |
取り方:2025 年の売上 89 億円をほぼオプション収入とみた。年初 1,762 枚から年末 3.5 万枚へ増えたので、平均保有を約 1.7 万枚と推定した。1 枚あたり 0.0052 億円は、当時の価格に対し 3% 台半ばの利回り。2026 年に入り利回りは 0.6% 前後へ下がった(第 3 四半期の収入 540 万ドル÷約 4.4 万枚で推定)ので、10 年先は価格の 0.3〜1.4% で置く。ビットコインの価格そのものは、保有の時価として自己資本の側に入れた。
リスクと懸念
ビットコイン価格の下落
価値のほぼ全部がビットコインの価格で決まる。過去に 70〜80% の下落を繰り返した。借入と優先株は約 1,000 億円あり、価格が 8 割下がれば株主の取り分はほとんど残らない。10 年の悲観の確率を 2 割とした。
買い増しが止まる
株価が保有ビットコインの価値を下回る状態が 2025 年 10 月から続く。この間に普通株で買い増すと既存株主の取り分が減る。計画の 2026 年末 10 万枚・2027 年末 21 万枚は届かない。会社の存在意義が、計画の達成に置かれていた点が弱い。
収益の細り
オプション収入は 2026 年第 2 四半期の 1,110 万ドルから第 3 四半期に 540 万ドルへ落ちた。価格の変動が小さい局面では、権利を売って得られる手数料が減る。収益の柱が細れば、優先株の配当と費用を、保有ビットコインの売却で賄うことになる。
統治と希薄化
2026 年 10 月に経営者の持ち分を巡る開示の訂正が 5 件出た。9 月には役員への新株予約権を約 7 倍に拡大し、批判を受けて 41% 縮めた。株主から希薄化への批判も出た。経営者と株主の利益が一致しているか、疑いが残る。
会計と税
日本基準では評価益が損益に出ず、評価損だけが出る。そのため決算の赤字が大きく見える。逆に売却益には課税される。保有を売って借入を返す局面では、税が追加の重しになる。2026 年秋の売買は、税務上の損失を作る狙いもあった。
規制と技術
暗号資産の規制は国ごとに変わる。規制強化、量子計算による暗号の破られる可能性、競合する資産の登場は、前提を崩す。会社の資金調達も、証券と暗号資産の規制の変更に左右される。
今後の分かれ目
- ビットコインが 15 万ドルを超え、機関投資家の保有が増え続けたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし純資産に対する上乗せは、含み益への税の重さで限られる。
- ビットコインが 5 万ドルを割り、担保の追加を迫られたら
- 保有を売って借入を返す局面に入る。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 優先株や社債の調達コストが上がり、新規の発行が止まったら
- 買い増しが止まり、収益の運用事業に頼る。オプション収入の実績が決め手になる。
- 株価が保有ビットコインの価値を上回り、会社が増資で買い増したら
- 既存株主に有利な局面に戻る。ただし、この局面は価格の上昇時に限られる。
- 2026 年 10 月に発表した戦略投資(収益を生む証券・買収・資産運用)が実績を出したら
- 運用収益の利回りが 1% を超え、純資産に対する評価を上げる材料になる。
- 経営者の持ち分と役員報酬の開示が再度訂正されたら
- 統治の疑いが強まり、純資産に対する評価を下げる。
見ておくもの
- 保有ビットコインの枚数と、1 枚あたりの取得単価(月次の開示)
- オプション収入の四半期の推移
- 借入と優先株の残高、担保の余裕(ビットコインの時価÷借入と優先株)
- 株価と保有ビットコインの価値の差の推移
- 役員報酬・新株予約権・経営者持ち分の開示
倍率と資本コストの決め方
今の株価には依存しない作りにした。価値は 10 年後の BTC 価格(5 つの筋書き)、保有枚数、借入と優先株の残高から出す。今の BTC 価格は 10/16 の確かな値が取れず、9 月末〜10 月の 8 万ドル前後と置いた(保有 4.4 万枚で約 5,300 億円)。10 年の純資産は『BTC 時価 − 借入と優先株』の経済的な値で、日本基準の帳簿(取得原価からの減損)とは別。net_oku も BTC 時価の変化を含む経済的な利益として置いた。そのため自己資本の流れの検査(日本基準の自己資本 4,585 億円+純損益の合計)は合わない。今の経済的な純資産は BTC 時価ベースで約 4,300 億円であり、評価差額と優先株の調達が帳簿の流れの外にある。純資産に対する倍率は、含み益への税、運用と報酬の費用から置き、市場の今の水準からは置いていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:中立 PBR 0.55→0.66 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality の上限 +3% を足した 10.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.50% → 9.25%。