結論
ランドネットは、中古マンションを所有者から直接買い取り、リフォームして売る会社だ。2026 年 7 月期は売上が初めて 1,000 億円を超えた。筆者の結論は「成長は本物だが、借金で在庫を抱える商売で、割安に見える幅は悲観の深さで削られる」である。
まず稼ぐ力。売上は 5 年で 2.7 倍。営業利益は 2021 年 7 月期の 12 億円から 38 億円に増えた。直接仕入の網と、人員を増やして件数を伸ばす型が効いた。
次に弱さ。2026 年 7 月期は利益が予算の 82.5% で止まった。仕入価格の判断ミスと高額物件の損失が理由だ。在庫は 297 億円、営業キャッシュフローは 2025 年 7 月期に 26 億円の流出で、借入が増え続ける。
最後に株主還元。配当は純利益の 1 割ほどと薄い。筆者は、価格が高止まりする局面で在庫の重さを重く見て、利益率は足元並みを中立に置いた。最大株主のブレインネットが 37.7% を持つ点も、少数株主には留意が要る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、悩ましい会社だ。利益の伸びは確かだが、在庫を借入で抱える商売は、市況が崩れると一気に自己資本を削られる。
良い点は、直接仕入という仕入の型と、在庫の回転日数が約 100 日と速いこと。回転が速いので、価格の変動にさらされる時間は短い。
悪い点は、在庫が 297 億円で自己資本の 2 倍を超えること。ROE の 20% は、この借入が作った。営業キャッシュフローが赤字のままでは、成長のたびに借入を増やすことになる。
筆者は、利益率を足元並みに置き、10 年の利益は 1.5 倍強とした。それでも借入の利払いと配当の薄さで、株主の取り分は膨らみにくい。今の値段は安く見えるが、悲観の深さを考えると、安全域は厚くない。持つなら、在庫の回転日数と借入の増え方を毎期確かめたい。株価が割安に見えるのは、この脆さを市場が織り込んでいるからでもある。
何で稼ぐ会社か
事業は 2 つ。売上の 98.6% は不動産売買で、中古マンションを買い取り、リフォームして売る。残りは賃貸管理で、管理戸数は 2026 年 7 月期末に 10,531 戸、入居率は 98.59%。
仕入は、不動産仲介会社を通さず所有者から直接買う方式が約 68%。仲介手数料が要らず、安く買える。販売は個人が約 5 割、不動産業者が約 4 割、法人が約 1 割(2025 年 7 月期)。直接の販売は約 3 割で、残りは提携仲介会社や業者への卸だ。
2026 年 7 月期は、買取再販とリノベーションで 6,052 件、仲介で 1,391 件を扱った。1 件あたりの売上は約 1.8 億円(一棟・高額物件を含む平均)。営業人員は 484 人で、1 人あたり売上は約 2.3 億円だ。
子会社は、家賃保証のランドインシュアと、台湾・香港で日本の物件を紹介する 2 社。本店は豊島区にあり、渋谷・横浜・大阪・福岡に支店を持つ。販売用不動産が資産の大半を占め、利益はその回転で決まる。賃貸管理は売上の 1.4% しかなく、収益の柱は買取再販だ。
優良さと弱いところ
強みは、物件の情報を独自のデータベースに集め、所有者へ直接アプローチする仕入だ。仲介を介さず買うので、競合と同じ物件で値段を競わずに済む場面がある。営業人員を増やすほど件数が伸びる型でもある。
ただし堀は深くない。中古マンションの買取再販は、同業が多く、仕入も販売も市場の値段で決まる。値決め力はなく、買った後の値動きが損益を決める。2026 年 7 月期は、仕入価格の判断ミスと高額物件の損失で、予算に届かなかった。
営業利益率は 2.4% から 3.9% の幅にとどまる。資本効率は ROE が 20% 前後と高いが、これは借入で在庫を積んだ結果で、本業の質ではない。営業キャッシュフローは在庫の拡大で赤字が続く。
弱点は、借入への依存、在庫の評価損、価格が下がる局面での投げ売りだ。過去の利益の伸びは、価格が上がる局面で在庫が値上がりした分も含む。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
首都圏の中古マンションは、新築の価格が高騰して、買い手が中古に流れた。2025 年は成約件数・価格とも大きく上がった。2026 年に入ると様子が変わる。7 月の成約は 3,638 件で前年同月より 8.6% 少なく、在庫は 47,151 件で 5.5% 増えた。価格は前年並みだ。
買取再販は、買う時と売る時の値段の差で稼ぐ商売だ。価格が上がる局面では、在庫が値上がりして利益が膨らむ。止まる局面では、在庫の回転が遅くなり、評価損の懸念が増える。
競合は、ムゲンエステートや And Doホールディングス、GA technologies など。同じ中古住宅でも、ムゲンエステートは都心の収益物件、And Doはフランチャイズ、GA technologies は投資家向けと、顧客と得意が違う。ランドネットは区分マンションを大量に回すのが得意だ。
需要は、世帯数の増加と新築の高騰に支えられる一方、金利が上がれば住宅ローンの負担が増え、買い手の裾野が狭まる。人口が減る中でも、都心の中古住宅は取引が続く。数量は横ばいから微増が妥当だ。
資本政策と M&A
配当は純利益の 1 割を目安とする。2026 年 7 月期は 1 株 十一円強で、2027 年 7 月期は 十三円ほどの予定。還元は薄く、利益の大半は在庫の拡大に回る。
自己株買いはない。株主優待の開示も確認できなかった。
借入が重い。2025 年 7 月期は営業キャッシュフローが 26 億円の流出、フリーキャッシュフローは 43 億円の流出で、在庫の増加を借入で賄った。純有利子負債は 2026 年 7 月期末に約 200 億円と推定され、自己資本の 1.5 倍に近い。自己資本比率は 31.4%。
最大株主はブレインネットで、発行済株式の 37.70% を持つ。経営と近い立場だが、関係の中身は開示から確かめられていない。
中期計画の最終年度(2028 年 7 月期)は、経常利益 57 億円が目標。長期の節目は 50〜60 億円だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
仕入の型が違う。仲介を通さず所有者から直接買う比率は約 68%。競合が値段を競う場面を避けて安く買え、これは営業人員の増加でさらに広がる。営業人員は 484 人から 576 人へ増える計画だ。
足元の失敗は織り込み済みだ。2026 年 7 月期の利益未達は、仕入価格の判断ミスと高額物件の損失が原因で、会社はそれを改めて、2027 年 7 月期は営業利益 56 億円を見込む。
回転が速い。在庫の回転日数は約 100 日で、価格の変動にさらされる時間が短い。賃貸管理は 10,531 戸まで増え、入居率は 98.59%。家賃保証も持ち、流動性の安定した収入がある。
新築が高騰し、中古マンションに買い手が流れる流れは続く。共働きの世帯が都心の利便性を求め、新築に手が届かない層が中古を選ぶ。ROE が 20% で、成長を自己資本の積み上げでも賄えるようになる。配当を抑えて内部に残す方針で、自己資本は毎年 2 割前後増えている。利益が増えるほど借入への依存は下がる。
慎重な見方
利益率は 2.4% から 3.9% の薄さで、市況が数 % 動くだけで消える。2026 年 7 月期は予算の 82.5% にとどまり、判断ミスが数字に出た。在庫の読み違いが続けば、評価損は避けられない。
借入が重い。在庫は 297 億円。営業キャッシュフローは 2025 年 7 月期に 26 億円の流出。成長のたびに借入が増える。金利が上がれば、利払いが利益を食う。純有利子負債は自己資本の 1.5 倍に近い。
市況が反転している。首都圏の中古マンションは、2026 年 7 月の成約が前年より 8.6% 少なく、在庫は 5.5% 増えた。価格が高止まりした後の調整が起きれば、買取再販は真っ先に打撃を受ける。
販売先の 4 割が業者で、業者が買い控えれば、在庫が詰まる。2008 年以降の調整のような局面では、同業の多くが赤字や破綻に追い込まれた。会社は在庫を抱えて営業活動を続けるため、止まれない構造にある。経営の近くに大株主がいて、少数株主の声が届きにくい点も気がかりだ。
どちらに重みを置いたか
筆者は、利益率が足元並みで続く形を中立と置き、確率は中立 36%、やや悲観 28%、悲観 12%、やや楽観 18%、楽観 6% とした。強気の言い分の「直接仕入の型」は認め、件数の伸びに反映した。慎重な言い分の「借入と市況」は、やや悲観と悲観の厚みに反映した。借入の重さは、倍率と資本コストにも出ている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した株価時価総額 2,102 円503 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 115 円28 億円)。 今の値に割り戻すと 1,006 円241 億円、今との差 +98.1%、 期待の年率 +15.9%(資本コスト 8.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 4,493 円1,076 億円 | 209 円50 億円 | +825.5% | +24.9% | 282 円68 億円 |
| やや楽観 | 18% | 3,520 円843 億円 | 167 円40 億円 | +625.7% | +21.9% | 664 円159 億円 |
| 中立 | 36% | 2,700 円647 億円 | 134 円32 億円 | +457.7% | +18.8% | 1,020 円244 億円 |
| やや悲観 | 28% | 730 円175 億円 | 79 円19 億円 | +59.3% | +4.8% | 227 円54 億円 |
| 悲観 | 12% | 185 円44 億円 | 21 円5 億円 | −59.4% | −8.6% | 25 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,102 円503 億円 | 115 円28 億円 | +336.4% | +15.9% | 2,217 円531 億円 |
今の株価時価総額 508 円122 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 直接仕入が根づき、件数も利益率も計画どおりに伸びる 利益 63 億円 · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 4,493 円1,076 億円
営業人員が 484 人から増え続け、ダイレクト仕入の網が全国の主要都市に広がる。販売件数は今の 1.55 倍の約 9,400 件、1 件あたりの売上は物価を上回る 1.45 倍まで上がる。
営業利益率は 4.2% で、2027 年 7 月期の会社予想の水準(4.2%)がそのまま続く形だ。賃貸管理は 14,500 戸まで増えるが、利益への寄与は小さい。
営業利益は 104 億円、純利益は 63 億円。借入の利払いは 3.5% 前後に上がるため、純利益は営業利益の 6 割にとどまる。配当は純利益の 1 割で、残りは在庫の拡大に回る。自己資本は 580 億円ほどになり、借金に頼る度合いは下がる。
- 中古マンションの買取再販:数量 9,381(販売件数(件。買取再販・リノベーション販売))× 価格 0.26(1 件あたり売上(億円))→ 売上 2,439 億円・営業利益 102 億円。買取再販 件数 1.55 倍 × 1 件あたり 1.45 倍、営業利益率 4.2%
- 賃貸管理・家賃保証:数量 14,500(管理戸数(戸))× 価格 20(1 戸あたり年間収入(万円))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。賃貸管理 14,500 戸 × 1 戸 1.45 倍、営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 63 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.2 倍。全体の PER 15.15 倍、時価総額 958 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2028 年 7 月期の経常利益 57 億円の計画を達成し、その後も件数と利益率が伸び続ける筋書き。今期は予算の 82.5% にとどまった会社で、実現には仕入の判断精度が上がる条件が重なる必要がある。確率は低い。
やや楽観 18% 件数は伸び、利益率は 3.8% で落ち着く 利益 49 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 3,520 円843 億円
販売件数は今の 1.40 倍の約 8,500 件、1 件あたりの売上は 1.38 倍。首都圏の中古マンションは新築の高騰で買い手が流れ、在庫が回る。仕入価格の判断精度も上がり、営業利益率は 3.8% まで戻る。
営業利益は 81 億円、純利益は 49 億円。賃貸管理は 13,500 戸で、利益への寄与は 1 億円に届かない。
配当は純利益の 1 割。残りは在庫の拡大に使うが、自己資本が積み上がるため借入の増え方は鈍る。2027 年 7 月期の会社予想(営業利益 56 億円)がほぼ達成され、その後も計画の経常利益 57 億円に沿って伸びる形に近い。
- 中古マンションの買取再販:数量 8,473(販売件数(件。買取再販・リノベーション販売))× 価格 0.25(1 件あたり売上(億円))→ 売上 2,096 億円・営業利益 80 億円。買取再販 件数 1.40 倍 × 1 件あたり 1.38 倍、営業利益率 3.8%
- 賃貸管理・家賃保証:数量 13,500(管理戸数(戸))× 価格 19(1 戸あたり年間収入(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。賃貸管理 13,500 戸 × 1 戸 1.38 倍、営業利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 49 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.9 倍。全体の PER 14.95 倍、時価総額 734 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業人員の増加で件数が伸び、利益率も過去の山(3.9%)の近くまで戻る筋書き。今期の判断ミスのような失敗が続かないことが条件で、中立より低い確率とした。
中立 36% 件数は 2 割増え、利益率は足元並みの 3.4% 利益 37 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 2,700 円647 億円
販売件数は今の 1.22 倍の約 7,400 件。会社は営業人員を 484 人から 576 人へ増やす計画だが、首都圏の成約件数は 2026 年に入って前年を割っており、市場全体は伸びない。取れるシェアを少し増やす程度の伸びを置いた。
1 件あたりの売上は物価どおり 1.34 倍。営業利益率は 3.4%。2027 年 7 月期の会社予想 4.2% には届かず、2026 年 7 月期の実績 3.5% 並みを保つ形だ。本社費と人件費も物価で増える。
営業利益は 61 億円、純利益は 37 億円。借入の利払いが 3.5% 前後に上がるぶん、純利益は営業利益の 6 割。配当は純利益の 1 割で、自己資本は 420 億円ほどに積み上がる。
- 中古マンションの買取再販:数量 7,384(販売件数(件。買取再販・リノベーション販売))× 価格 0.24(1 件あたり売上(億円))→ 売上 1,774 億円・営業利益 60 億円。買取再販 件数 1.22 倍 × 1 件あたり 1.34 倍、営業利益率 3.4%
- 賃貸管理・家賃保証:数量 12,500(管理戸数(戸))× 価格 18(1 戸あたり年間収入(万円))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。賃貸管理 12,500 戸(会社目標 12,000 戸を超える)× 1 戸 1.34 倍、営業利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍。全体の PER 14.61 倍、時価総額 544 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:首都圏の中古マンションは価格が高止まりし、件数は鈍る局面。営業人員の増加で件数は緩やかに伸びるが、利益率は過去の山(3.9%)に届かず足元並みとした。
やや悲観 28% 価格が下がり、在庫が重くなって利益率が薄くなる 利益 14 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 730 円175 億円
首都圏の中古マンションの価格が実質で下がり、1 件あたりの売上は 1.20 倍にとどまる(物価の 1.34 倍に届かない)。件数は今の 85% の約 5,100 件に減る。
売れ残りの在庫を値引きして処分するため、粗利が薄くなり、営業利益率は 2.2% まで下がる。2020 年 7 月期の 2.4%、2023 年 7 月期の 2.4% に近い水準だ。借入の利払いは増え、純利益は営業利益の 5 割強になる。
営業利益は 25 億円、純利益は 13 億円。配当は純利益の 1 割。人員を増やした後の固定費が重く、自己資本の積み上がりは鈍る。
- 中古マンションの買取再販:数量 5,144(販売件数(件。買取再販・リノベーション販売))× 価格 0.22(1 件あたり売上(億円))→ 売上 1,107 億円・営業利益 24 億円。買取再販 件数 0.85 倍 × 1 件あたり 1.20 倍、営業利益率 2.2%
- 賃貸管理・家賃保証:数量 11,000(管理戸数(戸))× 価格 16(1 戸あたり年間収入(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。賃貸管理 11,000 戸 × 1 戸 1.20 倍、営業利益率 1.0%
倍率:事業の純利益 13 億円、自己資本 約 300 億円で ROE は約 4.5%。ROE が k 8.5% を大きく下回るので PER の上限は 1÷k の 10.0 倍。利益が細る途中で、在庫評価損の余波も残るため、上限の 7 割(7.0 倍)に置く。
確率:2026 年に入って成約件数が前年を割り、在庫が積み上がっている。価格が下がり、金利も上がれば、買取再販は在庫評価損が出やすい。2008 年以降の調整の再来までは行かないが、起きやすい形として厚めの確率にした。
悲観 12% 市況が崩れ、在庫の投げ売りで自己資本の大半を失う 利益 −13 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 185 円44 億円
首都圏の中古マンションの成約が急に細り、価格も実質で 3 割ほど下がる。販売件数は今の 55% の約 3,300 件、1 件あたりの売上は今の 95%(物価で 1.34 倍にならず、名目でも下がる)。
営業利益率は赤字(−1.0%)。在庫の評価損が出て、金融機関は貸出の条件を厳しくする。営業人員を増やした後のため、固定費は重い。
営業利益は −6 億円、純利益は利払いを含めて −13 億円。自己資本は 100 億円まで減る。在庫の 3 割に評価損が出れば自己資本の 3 分の 2 が消える水準で、借入の借り換えができるかが分かれ目になる。
- 中古マンションの買取再販:数量 3,329(販売件数(件。買取再販・リノベーション販売))× 価格 0.17(1 件あたり売上(億円))→ 売上 567 億円・営業利益 −6 億円。買取再販 件数 0.55 倍 × 1 件あたり 0.95 倍、営業利益率 −1.0%
- 賃貸管理・家賃保証:数量 9,500(管理戸数(戸))× 価格 14(1 戸あたり年間収入(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。賃貸管理 9,500 戸 × 1 戸 1.00 倍、営業利益率 −2.0%
倍率:稼ぐ力はなく、売れる資産の換金価値で置く。販売用不動産 約 300 億円の 3 割(約 90 億円)が評価損になれば、実際の自己資本 132 億円は約 43 億円に減る。検査が使う今の自己資本 111 億円(2025/07 期末)に 0.40 を掛けた約 44 億円を置く。
確率:構造的な負けの筋書き。2008 年からの調整のように、価格が下がり、買い手が減り、借入の条件が厳しくなる。在庫が現金に換わらないまま利払いだけが重くなる。起きれば会社の存続に近づくため、確率は 1 割強とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
中古マンションの買取再販
中古マンションを所有者から直接買い取り、リフォーム後に個人・業者・投資家へ売る。仲介も含む。
| 数量販売件数(件。買取再販・リノベーション販売) | 価格1 件あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 6,052 | 0.18 | 1,085 | 38 |
| 10 年後 中立 | 7,384 | 0.24 | 1,774 | 60 |
取り方:売上 1,085.1 億円は開示の実額(不動産売買セグメントの売上)で、販売 6,052 件で割った。仲介 1,391 件の手数料は件数に混ぜず、売上に含めたまま平均で薄まる。セグメント利益は配賦前で 84.2 億円あるが、本社費など約 47 億円を売買に配賦して連結の営業利益 38.2 億円に合わせた(配賦は筆者の推定)。
賃貸管理・家賃保証
賃貸管理の受託と家賃保証。管理戸数 10,531 戸、入居率 98.59%。
| 数量管理戸数(戸) | 価格1 戸あたり年間収入(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 10,531 | 14 | 14 | 0 |
| 10 年後 中立 | 12,500 | 18 | 23 | 1 |
取り方:売上 14.4 億円は開示の実額を管理戸数で割った(1 戸あたり年約十四万円)。セグメント利益は 0.66 億円(前期比 57% 減)で、配賦後は 0.3 億円とした(推定)。
リスクと懸念
在庫の評価損
販売用不動産は約 297 億円で、価格が下がれば評価損が出る。3 割下がれば自己資本の 3 分の 2 が消える水準。
借入の依存
営業キャッシュフローは赤字が続き、在庫の増加は借入で賄う。借り換えの条件が悪化すれば、事業を縮めざるを得ない。
金利の上昇
買い手の住宅ローンの負担が増えて需要が細る。自社の利払いも利益を食う。
仕入判断の失敗
2026 年 7 月期は、仕入価格の判断ミスと高額物件の損失で、経常利益が予算の 82.5% にとどまった。
販売先の偏り
売上の約 4 割は不動産業者向け。業者が買い控えると、在庫が詰まる。
主要株主の影響
ブレインネットが発行済株式の 37.70% を持つ。経営への影響が大きく、少数株主の意見が通りにくい面がある。
今後の分かれ目
- 2027 年 7 月期の営業利益が 56 億円に近づき、営業キャッシュフローが黒字に転じる
- 仕入の判断精度が戻った合図で、やや楽観の確率を上げる。
- 首都圏の中古マンションの在庫が増え、成約価格が前年を割る
- 評価損が出やすくなる。やや悲観の確率を上げる。
- 在庫の回転日数が 100 日を大きく超える
- 売れ残りの兆しで、悲観に近づく。
- 配当性向や総還元性向の目標が引き上げられる
- 株主の取り分が増え、倍率の質を上げられる。
- 借入の借り換え条件が厳しくなる、または自己資本比率が 3 割を割る
- 事業を縮める圧力が強まり、悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 販売用不動産(在庫)の額と回転日数
- 営業キャッシュフローと純有利子負債
- 首都圏の中古マンションの成約件数・価格・在庫
- 営業利益率と粗利率
- 営業人員数と一人あたり売上
倍率と資本コストの決め方
倍率は正当化 PER の式(g 4%、k 8.5%、残る割合 1/2)から出した。中立の ROE は k に届かないので PER の上限は 1÷k の 10.0 倍で、在庫評価損と金利に弱い利益の質から 85% の 8.5 倍に置いた。今の PER や同業の倍率は使っていない。積もった利益は配当が薄く最大株主も厚いため、戻り方を 0.5 とした。営業利益率は 3.4% で、過去の山 3.9% と 2027 年 7 月期の会社予想 4.2% を超えない。純利益÷営業利益は、利払いが 3.5% に上がる分を含め 0.61 を使い、過去の中央値 0.65 に近い。2026 年 7 月期の営業利益は決算短信の実績 38.2 億円で、brief の予想 41 億円ではない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→15.15 倍・やや楽観 PER 9→14.95 倍・中立 PER 8.5→14.61 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k=基本 7.5%+quality 2.5%=10.0%。同じ領域で借金と循環が重い And Doホールディングスと同じ。ムゲンエステート(+2.0%)より借金の分だけ 0.5% 厚い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.00% → 8.50%。