結論
オープンハウスグループは東京都心・首都圏の狭小地を中心に建売住宅を企画・開発・販売する戸建関連事業を土台に、マンション分譲・収益不動産(ビル1棟丸ごとの仕入れ・再生・再販)・プレサンス(近畿・東海の投資用マンション、2025年2月に完全子会社化)・米国不動産(国内富裕層向けの米国中古住宅の仲介・資産管理)という4本の収益源を持つ、住宅分譲業界の中でも成長速度の速い会社である。2025年9月期は売上高1兆3,364億円・営業利益1,459億円で過去最高を更新し、2026年9月期は売上高1兆4,850億円・営業利益1,745億円という中期経営計画の最終年度目標をさらに上回る勢いで進捗している。強みは「立地は変えられない」という発想のもと都心・駅近の狭小地を仲介・設計・施工まで自社グループで一貫して手がける体制で、全国展開する飯田グループホールディングスとは異なる土俵で、住宅業界五指に食い込むまで成長した。2025年10月には創業者・荒井正昭氏が28年間務めた社長を退任し、生え抜きの福岡良介氏に引き継ぐ経営体制の転換点を迎えている。中期経営計画の目標達成を軸にした緩やかな増益を見込むが、10年後は、人口減少という住宅分譲業界共通の構造的な逆風が、都心特化という競争上の位置をもってしてもどこまで押し返せるかが本質的な分かれ目になる。物価3%の世界では土地と建築費が上がり、1棟当たりの価格も10年で約1.34倍になる。筆者の結論は「ほぼ適正」だ。住宅の循環と土地の仕入れ競争のせいで、資本コスト8%を超える稼ぎは残りにくい。悲観側は在庫の評価損を引いたうえで、稼ぐ力と売れる資産から測った。5つの筋書きの加重平均は、今の時価総額を1割弱下回る。市場の低い倍率は承継・在庫評価損・回転型の脆さを割り引いているが、それらは確率と悲観の筋書きで表した。
バリュー投資の観点から
東京都心・首都圏の狭小地という希少な立地への特化と、仲介・設計・施工までを内製する一貫体制は、10年後も揺らぎにくい実務上の優位性で、バリュー投資の観点では評価しやすい。一方で、土地を長く持たず速く売る回転型モデルが示す高いROE(直近18.7%、過去に30%近くまで達した実績)は、稼いだ利益のうち再投資(新しい土地・物件の仕入れ)に回る分が大きく、見た目のROEほど株主のものになるオーナー利益は厚くないとバリュー投資家は考えるだろう。経営の資本配分については、総還元性向40%以上という方針と、三栄建築設計・プレサンスという2件のTOBを実行した機動力は合理的で、割高な買収で価値を壊す動きは目立たない。ただし、2025年10月に創業者・荒井正昭氏が28年間務めた社長を退任し、生え抜きの福岡良介氏に引き継いだばかりという経営体制の転換は、まだ実績が浅く、バリュー投資家であれば確信度を下げて評価する部分である。安全域の面では、保有不動産の含み益という厚い資産の下支えを持つ総合デベロッパーと異なり、オープンハウスの資産の質は在庫(仕入れた土地・物件)の回転の速さに依存しており、悲観の筋書きでは在庫評価損というリスクを相応に重く見るべきだとバリュー投資家は考えるだろう。
何で稼ぐ会社か
収益の柱は5つ。戸建関連事業は、東京都心・首都圏の狭小地を仕入れ、建売住宅として企画・設計・施工・販売するまでを自社グループで一貫して手がける中核事業で、売上高の過半を占める。仲介・リフォーム機能も内製し、住宅ローンのあっせんまで含めたワンストップ体制が特徴である。マンション事業は都心の中層マンションを自社ブランドで企画・分譲する事業で、居住用・ファミリー向けが中心。収益不動産事業は、マンション・オフィスビル・商業ビルを1棟丸ごと仕入れ、リノベーションや稼働率改善によって資産価値を高めたうえで投資家・企業・デベロッパー等へ再販売する回転型の事業で、2026年3月にはアパート事業への新規参入も発表し、開発から管理までを一貫して手がける体制を広げている。プレサンスは近畿圏・東海圏で投資用ワンルームマンションの分譲を主力とする会社で、2020年の連結子会社化を経て、2025年2月にTOBにより完全子会社化した。背景には建築コスト上昇への対応をプレサンス単体で続けるのが難しくなり、グループ内で機動的に意思決定するため非公開化が必要と判断した経緯がある。米国不動産事業は、2017年に始まった「第4の柱」で、国内の富裕層向けに米国の中古戸建を中心とした海外不動産投資を、物件選定・融資あっせん・購入・資産管理・売却までワンストップで提供する事業であり、大和ハウス工業が出資した開発大手アライアンス・レジデンシャルとは異なり、開発ではなく既存住宅の仲介・資産管理が中心である。これら5つの事業は、土地や物件を長く持たず速く売る・回すという共通のビジネスモデルで結ばれており、在庫(仕入れた土地・建物・物件)の回転速度の速さが、業界内でも高いROEを支える源泉になっている。
優良さと弱いところ
最大の堀は、東京都心・首都圏の狭小地という希少な立地に特化し、仲介・設計・施工・金融あっせんまでを自社グループで内製する一貫体制で、地場の工務店や全国展開するパワービルダーとは異なる効率性を実現している点である。飯田グループホールディングスが全国シェア30%超を握る郊外型の量産モデルに対し、オープンハウスは「立地は変えられない」という訴求で都心・駅近に特化し、価格決定力は仲介手数料の実質的な圧縮競争の影響を受けつつも、立地の希少性に支えられている。資本効率は業界内でも際立って高く、ROEは直近で18.7%、過去にはピークで30%近くに達した時期もあり、土地を長く持たず速く売る回転型モデルが示す高い資本効率が、総合デベロッパー型の大手不動産会社とは一線を画す優良さである。一方で、この回転型モデルは在庫(仕入れた土地・物件)を多く抱える構造でもあり、純有利子負債は時価総額比36.5%、自己資本比率は38.1%と、資産を持たず貸す駐車場事業や、保有不動産の含み益が自己資本の1倍超を占める総合デベロッパーと比べて、資産の質による下支えは薄い。経営面では、2025年10月に創業者・荒井正昭氏が28年間務めた社長を退任し、生え抜きの福岡良介氏に引き継いだばかりで、創業者の強いトップダウン経営がどこまで組織的な経営体制に引き継がれるかは、まだ実績が浅い。弱点は、戸建関連事業への依存度が売上の過半を占めることと、収益不動産・プレサンス・米国事業という利益率の高い事業の多角化がまだ発展途上である点である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
東証33業種「不動産業」の中の住宅分譲(戸建・マンション)という領域は、都心・郊外の建売住宅・マンションを数多く仕入れ・建て・売る回転型の住宅供給業で、オープンハウスグループ、飯田グループホールディングス、カチタスの3社が代表的なプレイヤーである。業界全体の需要の数量は、新設住宅着工の分譲一戸建着工戸数が指標となり、2025年は11.6万戸(新設住宅着工全体は74.07万戸で62年ぶりの低水準)と、人口減少と資材高による価格上昇を背景に縮小が続いている。価格面では、戸建て注文住宅の1棟当たり販売価格が5年で1.4倍に上昇し、フラット35利用者調査の建売住宅物件価格は3,826万円と、建設費高騰を背景に「数は減るが単価は上がる」構図が全国的に続いている。この中でオープンハウスグループは、飯田グループが全国で30%超のシェアを持つ郊外型の量産モデルとは異なり、東京都心・首都圏の狭小地に特化することで、全国的な着工減少の影響を相対的に受けにくい立ち位置にあり、売上高1兆円を超える規模まで成長し住宅業界五指に食い込んでいる。カチタスは中古住宅の再生という、新築とは逆の需給(既存ストックの受け皿)に乗る事業で、オープンハウスとは競合が薄い。10年国債3%への金利上昇は住宅ローン需要を抑制する方向に効き、住宅ローン金利の上昇は、建売住宅の実需層の購買力を直接左右する変数である。建設コストは2021年以降の資材高・人手不足で2〜4割上がった水準が定着し、今後も年2〜3%程度の上昇が続くという前提のもとでは、オープンハウスのような一貫体制を持つ会社ほど、工事費の内製化によるコスト吸収力で優位に立てる。業界の構造的な変化としては、空き家率が13%台まで上昇しており、人口減少が郊外の住宅需要の裾野を長期的に細らせる一方、都心部への人口・需要の集中という東京一極集中が続くかどうかが、オープンハウスの都心特化モデルにとって最大の変数になる。
資本政策と M&A
株主還元方針は「配当性向20%以上+機動的な自己株式取得」から「総還元性向40%以上」へ変更しており、2025年9月期も12期連続増配を達成し、上場以来12年で年間配当は28倍に増加した。自社株買いも2024年度に最大100億円、2025年度に最大150億円と機動的に実施している。M&Aの実績としては、2023年8月に同業の戸建住宅会社・三栄建築設計を、2025年2月には近畿圏・東海圏で投資用マンションを手がけるプレサンスコーポレーションを、いずれもTOBによって完全子会社化した(三栄建築設計430億円、プレサンス606億円・買付価格は公表前日終値に22%のプレミアム)。三栄建築設計は、当時の社長の「黒い交際」を理由に金融機関から取引排除の勧告を受けていたところを、三井住友銀行の橋渡しでオープンハウスが救済買収する形で実施された経緯があり、プレサンスは建築コスト上昇への対応を単体で続けるのが難しく、グループ内で機動的な意思決定を行うために非公開化が必要と判断したことが背景である。短期間に2件の同業買収を完全子会社化した実行力は、業界の統合・再編が進む中で、自ら「買う側」に立つ経営の積極性を示している。今後も2026年3月に発表したアパート事業への新規参入のように、既存の収益不動産事業の延長で新しい不動産カテゴリーへ参入する可能性が高く、人手不足を背景にした地場工務店の買収余地も残る。政策保有株式は、総合デベロッパーのような大手不動産会社と比べて目立った規模ではなく、資本政策上の論点にはなりにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
東京都心・首都圏の狭小地に特化した「立地は変えられない」という訴求は、人口減少が進む中でもむしろ価値が高まる方向に働き、飯田グループの郊外型量産モデルとは異なる土俵で住宅業界五指に食い込むまで成長した実績がそれを裏付けている。2025年9月期は過去最高の売上高・利益を更新し、2026年9月期の中期経営計画目標(売上高1兆4,850億円・営業利益1,745億円)もさらに上回る勢いで進捗しており、戸建関連事業の営業利益率は前期比3.1ポイント改善の10.3%まで上昇した。収益不動産事業は1棟丸ごとの仕入れ・再生・再販というビジネスモデルを、2026年3月にはアパート事業へも拡張し、新しい不動産カテゴリーへの参入余地はまだ大きい。三栄建築設計とプレサンスという2件のTOBによる完全子会社化は、建築コスト上昇という業界共通の課題にグループ内で機動的に対応する体制を整え、米国不動産事業は8年で管理棟数6,000棟を超え、年間取引数・取扱高で6年連続No.1という独自の地位を確立している。総還元性向40%以上という株主還元方針と、12期連続増配・上場来12年で配当28倍という実績は、高いROEを維持しながら株主にも配分する資本効率の高さを示している。創業者から生え抜き社長への承継も、28年かけて育成された内部昇格であり、急激な方針転換のリスクは小さい。これだけ多くの事業が同時に高い成長を続けている会社に対して、今の評価は十分に正当化できる。
慎重な見方
オープンハウスグループの回転型モデルは、土地や物件を長く持たず速く売ることで高いROEを実現している一方、純有利子負債は時価総額比36.5%、自己資本比率は38.1%と、資産の裏付けが薄い構造でもある。住宅ローン金利の上昇が進めば、戸建関連事業の主要顧客である実需層の購買力が直接削られ、2008〜2009年の住宅着工急減(前年比3割前後)のように、仕入れた土地・在庫の評価損と資金繰り難が同時に表面化するリスクは、総合デベロッパーの含み益による下支えよりも相応に大きい。プレサンスの完全子会社化(606億円)は、投資用ワンルームマンションという、金利上昇に特に敏感な需要層(投資家)への依存度をさらに高めており、収益不動産事業も1棟丸ごとの仕入れ・再販というビジネスであるため、金利上昇でキャップレートが切り上がれば、仕入れ値と出口の売却価格が逆転する在庫評価損のリスクを抱える。短期間に三栄建築設計・プレサンスという2件のTOBを完全子会社化したことで、統合(文化・システム・人員)がどこまで計画通り進むかも未知数である。2025年10月の社長交代は、28年間にわたり急拡大を主導してきた創業者・荒井正昭氏の強いトップダウン経営から、生え抜きの福岡良介氏への引き継ぎであり、この規模の会社を組織的な経営体制でどこまで維持できるかは未知数である。人口減少による住宅需要の裾野の細りは、都心特化という立ち位置であっても10年という期間ではいずれ効いてくる構造変化であり、空き家率13%台という既存ストックの重さも、新築需要そのものへの長期的な逆風になる。中期経営計画の目標を上回る勢いという今の好調さが、金利・市況の反転でどこまで維持できるかは不確かである。
どちらに重みを置いたか
都心・狭小地という立地の希少性と一貫体制による効率性については強気の見方が優勢で、直近の決算が中期経営計画を上回るペースで進んでいる実績がそれを裏付ける。一方で、回転型モデルゆえの在庫評価損、住宅ローン金利の上昇による需要の抑制、創業者からの経営承継については慎重な見方の指摘も的を射ている。これらは資本コストに足さず、確率で慎重側を厚くし(悲観9〜11%・やや悲観21〜24%)、棟数を前の版より5%下げて表した。堀は弱いと見て倍率を控えめにしても、稼ぐ力から測ると、確率で重みを付けた本質価値は今の時価総額を1割弱下回り、結論は「適正」。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した株価時価総額 18,720 円2.06 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 3,428 円3,764 億円)。 今の値に割り戻すと 11,004 円1.21 兆円、今との差 +42.6%、 期待の年率 +11.1%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 47,336 円5.20 兆円 | 7,093 円7,788 億円 | +605.2% | +21.6% | 4,354 円4,781 億円 |
| やや楽観 | 24% | 29,883 円3.28 兆円 | 5,164 円5,670 億円 | +354.1% | +16.3% | 8,411 円9,235 億円 |
| 中立 | 33% | 18,543 円2.04 兆円 | 3,631 円3,986 億円 | +187.3% | +11.1% | 7,317 円8,034 億円 |
| やや悲観 | 24% | 5,944 円6,526 億円 | 1,764 円1,937 億円 | −0.1% | 0.0% | 1,850 円2,031 億円 |
| 悲観 | 11% | 1,959 円2,151 億円 | 0 円0 億円 | −74.6% | −12.8% | 215 円237 億円 |
| 加重平均 | 100% | 18,720 円2.06 兆円 | 3,428 円3,764 億円 | +187.0% | +11.1% | 22,148 円2.43 兆円 |
今の株価時価総額 7,718 円8,474 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 都心特化モデルが人口減少下でもシェアを伸ばし続ける 利益 2,866 億円 · PER 17.0 倍 · 株価時価総額 47,336 円5.20 兆円
東京一極集中が続き、都心・狭小地という立地の希少性がさらに評価される中で、オープンハウスは全国的な住宅着工の縮小の影響をほとんど受けず、むしろ地場工務店・中堅住宅会社からシェアを奪い続ける。収益不動産事業はアパート事業を含め新しい不動産カテゴリーへの参入が成功し、米国不動産事業も管理棟数が大きく拡大する。プレサンスの統合も完全に進み、投資用マンション市場でも存在感を高める。福岡良介社長の体制が定着し、創業者の急拡大志向を組織的な経営力で引き継ぐ形が完成する。業界内で最も高いROEを維持したまま規模を拡大し続ける。
- 戸建関連事業:数量 9,612(年間引渡棟数(棟、戸建関連全体の推定))× 価格 1.48(1棟当たり平均価格(億円、土地+建物))→ 売上 14,194 億円・営業利益 1,845 億円。棟数+35%・単価+45%
- マンション事業(オープンハウス単体):数量 1,885(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.79(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 1,488 億円・営業利益 193 億円。戸数+30%・単価+40%
- 収益不動産事業:数量 152(年間販売棟数(棟))× 価格 37(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 5,568 億円・営業利益 780 億円。棟数+60%・単価+45%
- プレサンス(投資用マンション、近畿・東海):数量 8,510(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.61(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 5,226 億円・営業利益 784 億円。戸数+45%・単価+42%
- 米国不動産事業:数量 11,554(管理棟数(棟))× 価格 0.41(棟当たり年間収益(億円、取引仲介料・管理料の合計))→ 売上 4,734 億円・営業利益 663 億円。棟数+90%・単価+45%
倍率:事業の純利益 2,866 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.7% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 12.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.0 倍。全体の PER 17.04 倍、時価総額 48,837 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:戸建・収益不動産・米国・プレサンスの全事業が同時に高成長を続け、都心特化モデルが人口減少下でもシェアを伸ばし続ける組み合わせは条件が重なる必要があり、確率は抑える。
やや楽観 24% 都心特化という競争上の位置を保ちながら緩やかに育つ 利益 1,824 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 29,883 円3.28 兆円
東京一極集中は底堅く続き、戸建関連事業は全国平均より緩やかな縮小にとどまる。収益不動産事業・プレサンス・米国事業は中期経営計画の先の延長線上で着実に拡大し、福岡良介社長の体制のもとで組織的な経営力が定着する。飯田グループとの土俵の違いは10年後も維持され、業界内での地位はさらに固まる。総還元性向40%以上の方針は維持され、株主還元の規模も拡大する。三栄建築設計・プレサンスという2件の買収で得た商品ラインナップの広さが、人口減少下でも地場の中堅住宅会社からシェアを奪う力として働き続け、創業者が築いた回転型モデルの効率性が組織的な経営体制のもとでも損なわれない。
- 戸建関連事業:数量 7,942(年間引渡棟数(棟、戸建関連全体の推定))× 価格 1.37(1棟当たり平均価格(億円、土地+建物))→ 売上 10,920 億円・営業利益 1,256 億円。棟数+15%・単価+35%
- マンション事業(オープンハウス単体):数量 1,575(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.73(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 1,155 億円・営業利益 133 億円。戸数+12%・単価+30%
- 収益不動産事業:数量 124(年間販売棟数(棟))× 価格 33(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 4,118 億円・営業利益 494 億円。棟数+30%・単価+32%
- プレサンス(投資用マンション、近畿・東海):数量 6,945(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.56(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 3,905 億円・営業利益 508 億円。戸数+22%・単価+30%
- 米国不動産事業:数量 9,730(管理棟数(棟))× 価格 0.37(棟当たり年間収益(億円、取引仲介料・管理料の合計))→ 売上 3,628 億円・営業利益 435 億円。棟数+60%・単価+32%
倍率:事業の純利益 1,824 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍。全体の PER 16.22 倍、時価総額 29,585 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:都心特化という競争上の位置を保ちながら各事業が緩やかに育つ姿として相応の厚みを置く。
中立 33% 人口減少の裾細りが都心にも徐々に及ぶ 利益 1,089 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 18,543 円2.04 兆円
人口減少と空き家率の上昇が、都心・狭小地という立地の優位性があっても10年という期間ではいずれ効いてきて、戸建関連事業の棟数は緩やかに減る一方、単価の上昇で増収は保つ。収益不動産事業・プレサンス・米国事業は緩やかに拡大するが、中期経営計画のような高成長は続かない。福岡良介社長の体制は安定しているが、創業者時代のような急拡大は過去のものになる。総還元性向40%以上の方針は維持され、成熟した住宅分譲会社としての評価に落ち着く。三栄建築設計・プレサンスの統合は一巡し、新たな大型M&Aよりも既存事業の着実な運営に経営の重心が移る。
- 戸建関連事業:数量 6,088(年間引渡棟数(棟、戸建関連全体の推定))× 価格 1.27(1棟当たり平均価格(億円、土地+建物))→ 売上 7,750 億円・営業利益 775 億円。棟数-10%・単価+25%
- マンション事業(オープンハウス単体):数量 1,171(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.68(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 792 億円・営業利益 80 億円。戸数-15%・単価+20%
- 収益不動産事業:数量 99.8(年間販売棟数(棟))× 価格 31(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 3,074 億円・営業利益 326 億円。棟数+5%・単価+22%(10年累積では物価3%の複利と比べ抑制的。棟数拡大優先のため)
- プレサンス(投資用マンション、近畿・東海):数量 5,297(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.52(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 2,749 億円・営業利益 316 億円。戸数-5%・単価+20%
- 米国不動産事業:数量 8,209(管理棟数(棟))× 価格 0.33(棟当たり年間収益(億円、取引仲介料・管理料の合計))→ 売上 2,737 億円・営業利益 287 億円。棟数+35%・単価+18%
倍率:事業の純利益 1,089 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍。全体の PER 15.26 倍、時価総額 16,618 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人口減少による住宅需要の裾細りが都心特化モデルでも徐々に効いてくる姿を中心に据える。
やや悲観 24% 人口減少・空き家率上昇が都心にも及ぶ 利益 308 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 5,944 円6,526 億円
人口減少が都心部にも明確に及び、空き家率のさらなる上昇で既存ストックが新築需要を奪う構図が強まる。戸建関連事業の棟数は大きく減り、単価の上昇も実質ベースでは止まる。収益不動産事業・プレサンス・米国事業も金利高止まりの影響で拡大ペースが鈍る。福岡良介社長の体制のもとで守りの経営へ転換するが、創業者時代に確立した効率性は維持される。総還元性向は維持するが増配は止まる。三栄建築設計・プレサンスの買収で広げた商品ラインナップが、需要縮小の中で在庫の滞留という形の負担に転じる局面も出てくる。福岡良介社長の体制のもとでも都心・狭小地という立地の優位性自体は失われず、業界内での相対的な地位は守られる。
- 戸建関連事業:数量 4,304(年間引渡棟数(棟、戸建関連全体の推定))× 価格 1.12(1棟当たり平均価格(億円、土地+建物))→ 売上 4,822 億円・営業利益 338 億円。棟数-35%・単価+10%
- マンション事業(オープンハウス単体):数量 809(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.61(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 493 億円・営業利益 29 億円。戸数-40%・単価+8%
- 収益不動産事業:数量 71.3(年間販売棟数(棟))× 価格 27(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 1,890 億円・営業利益 95 億円。棟数-25%・単価+5%
- プレサンス(投資用マンション、近畿・東海):数量 3,712(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.46(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 1,701 億円・営業利益 102 億円。戸数-32%・単価+6%
- 米国不動産事業:数量 6,689(管理棟数(棟))× 価格 0.28(棟当たり年間収益(億円、取引仲介料・管理料の合計))→ 売上 1,890 億円・営業利益 123 億円。棟数+10%・単価横ばい
倍率:事業の ROE 3.1% は資本コスト 8% 以下。新しく投じるお金が価値を増やさないので、PER は 1÷k=11.1 倍まで。この筋書きは稼ぐ力(純利益 308 億円÷k)で測る。在庫は値下げすれば現金に戻るが、それは下の悲観の床の話で、ここでは使わない。上限の 9.5 割、11.81 倍に置いた。
確率:地方だけでなく都心でも人口減少・空き家率上昇の影響が広がる構造変化は、10年という期間では現実味のあるリスクとして相応の確率を置く。
悲観 11% 都心特化の優位性が失われる構造的な負け筋 利益 −102 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,959 円2,151 億円
人口減少が都心部にも深く及び、空き家率のさらなる上昇で新築需要そのものが先細りする。戸建関連事業の棟数は現在の3分の1程度まで落ち込み、単価も実質で下落に転じる。収益不動産事業は金利高止まりによるキャップレート上昇で在庫評価損が続き赤字が定着、プレサンスの投資用ワンルーム需要も構造的に細る。米国不動産事業も米国市況の悪化で成長が止まる。福岡良介社長の体制は維持されるが、創業者時代に確立した高ROEの回転型モデルという優良さは大きく後退し、同業他社との差別化も薄れる。純有利子負債の重さが資本政策の自由度を奪い、自社株買いは停止し、配当も大幅に減らしたうえで、それまでの10年間に積み上げた現金・資産の一部を取り崩して最低限の配当原資に充てる。赤字の年も、配当は在庫と保有不動産の売却で得た現金で細く続ける。
- 戸建関連事業:数量 2,492(年間引渡棟数(棟、戸建関連全体の推定))× 価格 0.92(1棟当たり平均価格(億円、土地+建物))→ 売上 2,284 億円・営業利益 46 億円。棟数-65%・単価-10%
- マンション事業(オープンハウス単体):数量 508(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.50(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 252 億円・営業利益 2 億円。戸数-65%・単価-12%
- 収益不動産事業:数量 42.8(年間販売棟数(棟))× 価格 21(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 918 億円・営業利益 −28 億円。棟数-55%・単価-15%(在庫評価損で赤字)
- プレサンス(投資用マンション、近畿・東海):数量 2,348(年間引渡戸数(戸))× 価格 0.35(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 833 億円・営業利益 0 億円。戸数-60%・単価-18%
- 米国不動産事業:数量 4,865(管理棟数(棟))× 価格 0.21(棟当たり年間収益(億円、取引仲介料・管理料の合計))→ 売上 1,031 億円・営業利益 10 億円。棟数-20%・単価-25%
倍率:赤字で稼ぐ力は 0 とみる。株主に残るのは、販売用不動産と土地を値下げして売り、借入を返したあとの分。今の自己資本 5,376 億円に収益不動産と米国在庫の評価損・処分値引きを見込み、その 4 割の 2,150 億円を床に置いた(内訳は筆者の推定)。
確率:10年で都心特化の優位性そのものが失われる構造的な負け筋は、回転型・在庫リスクが大きいビジネスであることを踏まえやや厚めに置くが、都心の立地優位の強さを考えると最も確率は低く置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
戸建関連事業
東京都心・首都圏の狭小地を仕入れ、建売住宅として企画・設計・施工・販売するまでを自社グループで一貫して手がける中核事業。仲介・リフォームも内製する。
| 数量年間引渡棟数(棟、戸建関連全体の推定) | 価格1棟当たり平均価格(億円、土地+建物) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 7,120 | 0.95 | 6,764 | 695 |
| 10 年後 中立 | 6,088 | 1.27 | 7,750 | 775 |
取り方:戸建関連事業の売上高6,763億円を、都心狭小地の土地付き戸建の推定平均価格0.95億円(フラット35全国建売平均3,826万円より高いのは東京都心・狭小地という立地特性のため)で割った引渡棟数7,120棟を使用。事業利益率10.3%(事業利益695億円)。2026-10-18 の見直しで、単価は中立で物価並み(3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍。土地と建築費が物価で上がる)
マンション事業(オープンハウス単体)
都心の中層マンションを自社ブランドで企画・分譲する事業。プレサンスの投資用ワンルームとは異なり居住用・ファミリー向けが中心。
| 数量年間引渡戸数(戸) | 価格1戸当たり平均価格(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,450 | 0.51 | 732 | 80 |
| 10 年後 中立 | 1,171 | 0.68 | 792 | 80 |
取り方:マンション事業売上732億円を引渡戸数1,450戸で割った1戸当たり平均価格0.505億円を適用。事業利益率10.9%(事業利益80億円)。2026-10-18 の見直しで、単価は中立で物価並み(3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍。土地と建築費が物価で上がる)
収益不動産事業
マンション・オフィス・商業ビルを1棟丸ごと仕入れ、リノベーション・稼働率改善で価値を高めて投資家・デベロッパー等へ再販売する回転型事業。2026年3月にアパート事業へ参入。
| 数量年間販売棟数(棟) | 価格1棟当たり平均価格(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 95.0 | 23 | 2,185 | 232 |
| 10 年後 中立 | 99.8 | 31 | 3,074 | 326 |
取り方:収益不動産事業売上2,186億円を、1棟当たり平均価格23億円(中規模オフィス・マンション1棟の想定取得・再販価格帯)で割った年間販売棟数95棟と推定。事業利益率10.6%(事業利益231.9億円)。中立シナリオの価格上昇は棟数の拡大を優先する分、物価3%の上限より抑えた(金利上昇でキャップレートが上がる局面では資産価格の伸びが鈍ることを反映)。2026-10-18 の見直しで、単価は中立で物価並み(3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍。土地と建築費が物価で上がる)
プレサンス(投資用マンション、近畿・東海)
2025年2月にTOBで完全子会社化した、近畿圏・東海圏で投資用ワンルームマンションを中心に分譲する子会社。
| 数量年間引渡戸数(戸) | 価格1戸当たり平均価格(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 5,869 | 0.39 | 2,273 | 287 |
| 10 年後 中立 | 5,297 | 0.52 | 2,749 | 316 |
取り方:プレサンスの引渡戸数5,869戸(うちワンルーム4,244戸)と売上2,273億円から1戸当たり平均価格0.3873億円を算出。事業利益率12.6%(事業利益287億円)。2026-10-18 の見直しで、単価は中立で物価並み(3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍。土地と建築費が物価で上がる)
米国不動産事業
国内富裕層向けに米国の中古戸建を中心とした海外不動産投資を、物件選定・融資あっせん・購入・資産管理・売却までワンストップで提供する事業。管理棟数は8年で6,000棟超。
| 数量管理棟数(棟) | 価格棟当たり年間収益(億円、取引仲介料・管理料の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 6,081 | 0.25 | 1,513 | 157 |
| 10 年後 中立 | 8,209 | 0.33 | 2,737 | 287 |
取り方:米国不動産事業の売上1,512.6億円を管理棟数6,081棟で割った棟当たり年間収益0.2488億円を使用(取引仲介料・資産管理料の合計)。事業利益率10.4%(事業利益157.4億円)。2026-10-18 の見直しで、単価は中立で物価並み(3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍。土地と建築費が物価で上がる)
リスクと懸念
住宅ローン金利上昇と実需層の購買力
10年国債3%への金利上昇が進めば住宅ローン金利も上昇し、戸建関連事業の主要顧客である実需層の購買力を直接削る。建設費高騰で平均価格は既に高水準にあり、これ以上の金利上昇とローン負担増が重なれば、戸数の減少をカバーしきれなくなる可能性がある。
回転型モデルの在庫評価損リスク
土地・物件を長く持たず速く売る回転型モデルは高いROEを支える一方、仕入れた在庫の市況が悪化した際には評価損が業績を直接押し下げる。純有利子負債は時価総額比36.5%、自己資本比率38.1%と、保有不動産の含み益で下支えされる総合デベロッパーより資産の裏付けが薄い。
人口減少による住宅需要の構造的な細り
空き家率は既に13%台まで上昇しており、人口減少が進むほど住宅需要の裾野は長期的に細っていく。都心・狭小地への特化は全国的な着工減少の影響を相対的に受けにくいが、10年という期間ではこの逆風がいずれ都心部にも及ぶ可能性がある。
創業者からの経営承継の実績の浅さ
2025年10月、28年間にわたり急拡大を主導してきた創業者・荒井正昭氏が代表権のない取締役Founderとなり、生え抜きの福岡良介氏が新社長に就任した。創業者の強いトップダウン経営がどこまで組織的な経営体制に引き継がれるかは、まだ実績が浅い。
投資用マンション需要の金利感度
プレサンスの投資用ワンルームマンションは、金利上昇や融資姿勢の厳格化に特に敏感な投資家需要に依存している。収益不動産事業も1棟丸ごとの仕入れ・再販というキャップレート(金利)に敏感なビジネスで、金利上昇が進めば両事業とも同時に需要が細る可能性がある。
複数の同業TOB買収の統合リスク
2023年の三栄建築設計(430億円、金融機関からの取引排除勧告を受けていた同業の救済買収)、2025年のプレサンス(606億円)と、短期間に複数の同業買収を完全子会社化してきた。買収した会社の文化・システム・人員の統合が計画通り進まなければ、想定したシナジーの実現が遅れる可能性がある。
米国不動産事業の米国市況・制度リスク
米国不動産事業は国内富裕層向けの米国中古住宅の仲介・資産管理が中心で、米国の金利・住宅市況・税制の変化に業績が左右される。管理棟数は増加を続けているが、米国側の住宅需要が反転したり、海外不動産の税務上の取り扱いが見直されたりするリスクは相応にある。
今後の分かれ目
- 10年国債が想定の3%を大きく超えて上昇する
- 住宅ローン需要・投資用マンション需要が同時に冷え込み、本質価値は中立よりやや慎重な筋書きに近づく。
- 2026年9月期の中期経営計画目標(売上高1兆4,850億円・営業利益1,745億円)を上回って達成する
- 中期経営計画の勢いがその先も続く可能性が高まり、本質価値は楽観に近い筋書きに近づく。
- 収益不動産事業・アパート事業・米国事業の多角化が計画以上に進む
- 戸建関連事業への依存度が下がり、回転型モデルの在庫リスクが相対的に分散され、本質価値を押し上げる。
- 福岡良介新社長への経営承継後に業績の伸びが鈍化する
- 創業者の強いトップダウン経営に業績が依存していたことを示し、本質価値は慎重な筋書きに近づく。
- 首都圏の空き家率・人口減少が都心部にも明確に及ぶ
- 都心特化という競争上の位置の優位性が薄れ、10年後の構造的な負け筋(やや悲観・悲観)の確率を引き上げる必要が出る。
- 住宅ローン金利・建築資材価格が想定より緩やかにしか上がらない
- 戸建関連事業の増収ペースが続きやすくなり、楽観に近い筋書きの確からしさが高まる。
見ておくもの
- 新設住宅着工・分譲一戸建着工戸数(国土交通省統計)
- 住宅ローン金利(フラット35・民間金利)の動向
- 戸建関連事業の引渡棟数・平均単価、営業利益率の四半期推移(会社開示)
- 収益不動産事業・プレサンスの在庫(仕入れた物件)の評価状況
- 米国不動産事業の管理棟数・米国の住宅市況
- 福岡良介社長体制下での経営方針・中期経営計画の進捗
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER から筋書きを作らず、セグメントごとに棟数(実質)× 価格(物価 3% 込みの名目)で積み、借り換えの利払いの増加を純利益から引いた。倍率は資本コスト 8%(基本 7.5% に、住宅の循環+0.75・値決め力の弱さ+0.5・在庫を抱える借金+0.25)と、弱い堀(残る割合 1/3)の正当化 PER から出し、楽観〜中立は上限の 95% に置いた。悲観側は稼ぐ力(純利益÷k)と、在庫を値下げして売った後の資産(筆者の推定)から出し、過去の PBR の底は使っていない。EV÷営業利益と自己資本でも確かめた。今の時価総額は最後に比べただけで、結論は「適正」。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.45→17.04 倍・やや楽観 PER 11.68→16.22 倍・中立 PER 10.66→15.26 倍・やや悲観 PER 10.5→11.81 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β 0.74 × 5% + 規模 0.50%。k は基本 7.5% に quality +1.5%(循環+0.75・値決め+0.5・借金+0.25)を足した 9.0%。創業者経営・急成長・承継といった個別のリスクは k に足さず、数量と確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.00%。
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