結論
ロイヤルホールディングスは、ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」や天丼の「てんや」を持つ外食会社だ。だが今の稼ぎ頭は外食ではない。空港や高速道路の飲食を運ぶコントラクト、リッチモンドホテルを中心とするホテル、冷凍食品の食品が加わり、四つの事業の集合体になっている。
筆者の結論は、10年の利益で測ると今の値段は割高、というものだ。理由は二つある。ひとつは、利益の半分近くをホテルが稼いでいて、その水準が訪日客と宿泊単価の高止まりに支えられていること。もうひとつは、外食そのものの利益が出店費用と食肉の値上がりで細り、中計の目標が遠いことだ。
ホテルは2025年12月期に経常利益68億円と、外食の23億円の3倍近くを稼いだ。コロナ禍では、純損失が275億円に達し、自己資本の半分以上が吹き飛んだ。景気や旅行需要が崩れた時の落ち方が深い会社である。
中期経営計画は2027年度に売上1,875億円、経常利益100億円を掲げる。海外に直営50店とフランチャイズ100店を出す計画も含む。実現すれば現在の利益より厚いが、外食の採算が戻らない限り届きにくい。
10年後の中立では、営業利益は約110億円、純利益は約75億円とみる。物価の分は伸びるが、数量の伸びは小さい。自己資本の稼ぐ力は資本コストをわずかに下回り、倍率は高くならない。時価総額は今の半分強にとどまり、総合では割高と判断する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い会社」と「景気に左右される会社」が混ざっている。
良い部分はロイヤルホストのブランドとホテルの立地だ。長く続き、価格を上げられる商売である。一方、稼ぐ力は不安定だ。コロナ禍の損失が示すように、不況と旅行の停止が同時に来ると、数年分の利益が消える。10年先も同じ利益が続くと言い切れる自信は持てない。
オーナー利益、つまり株主の手元に残る利益は、見た目の純利益よりやや薄い。店舗改装・ホテル改装・海外出店にお金を使い続けなければ、今の水準を保てないからだ。3年で465億円の設備投資は、今の純利益の約8年分に当たる。
資本の使い方は評価が分かれる。中計はROE12%を掲げるが、過去10年の中央値は6%だ。自社株買いを一定にしない配当中心の方針は、資本を厚く使う会社の選択として自然である。ただ、海外の直営50店を成功させるには、人材も採用も時間がかかる。
安全域という点では、今の値段に余裕は乏しい。中計の達成を前提にしても、利益の倍率で測ると今の時価総額は高い。筆者は、宿泊の単価が下がり、外食の採算が戻らない場合に、価格が大きく下がる余地を見る。
本質的な評価は、景気の山では割高、谷では割安になりやすい会社だ。今は山に近い。
何で稼ぐ会社か
ロイヤルグループの稼ぎ方は四つに分かれる。出発点は1951年、福岡空港で始めた機内食と喫茶だ。そこから空港・高速道路・ホテルへ、事業が広がった。
外食は売上の4割を占め、2025年12月期は668億円だ。ロイヤルホストが国内外で約225店、てんやなどの専門店を合わせると、2024年末に外食全体で約468店あった。店は国内が大半で、海外は30店台と小さい。直営が中心で、本部が店の利益をそのまま取れる反面、人件費と家賃の重さも自分で背負う。
コントラクトは売上534億円。空港や高速道路のサービスエリア、競技場などで飲食を請け負う。人が移動する場所を押さえた商売で、訪日客と国内旅行の増減がそのまま客数に出る。ここ数年で売上が3倍近くに膨らんだ。
ホテルは売上414億円、経常利益は68億円で、グループの稼ぎ頭だ。ホテルの売上は2021年から2.5倍になった。宿泊単価の上昇とインバウンドの回復が重なった。利益率は16%台と、外食の3%台やコントラクトの5%に比べて飛び抜けて高い。
食品は売上130億円の小さな事業で、冷凍食品や総菜を作る工場を持つ。外食とホテルの調理を支える役割もある。2025年は利益が4億円台まで戻った。
本社の費用は年45億円ほどで、事業の利益から差し引かれる。事業の合計が約120億円でも、会社全体の営業利益が約77億円にとどまるのはこのためだ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、事業ごとに厚さが違う。
最も堀が深いのはロイヤルホストのブランドだ。ファミリーレストランの中では高めの価格帯で、「上質な時間と空間」を看板にしてきた。2025年秋の既存店売上は前年を6%上回り、客数が減ってもメニュー単価が伸びた。値上げを受け入れる客層をつかんでいる証拠だ。ただし店数は全国で約225店と、すかいらーくグループの3,000店規模とは桁が違う。調達と物流で規模の利益を取る立場にはない。
ホテルの競争力は、都市部の立地と運営の質にある。だが宿泊は参入が容易で、新規の供給が増えれば単価を維持しにくい。堀と呼べるほどの強さは、まだ確かめられていない。
資本効率は低い。過去10年のROEは中央値で6%ほどで、直近の10%は景気の追い風が作った数字だ。コロナ禍の2020年12月期は純損失275億円、翌年も赤字で、利益の安定度は外食の中でも低い。
財務は今は穏やかだ。自己資本比率は39%、純有利子負債は69億円で、利払いの6倍の営業利益がある。ただし店舗とホテルの多くは借りて営む。家賃は固定の約束で、売上が落ちても減らない。新リース会計基準が2028年12月期に始まると、数字の上では借金が増える。実態が変わるわけではないが、見かけの安全度は下がる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食は、数量の天井が見えている業界だ。人口は減り、国内の店数はほぼ飽和している。成長の源は、値上げと海外、そして付加価値の高い業態への入れ替えに限られる。人件費は毎年3〜5%上がり、食材も円安で重い。
ロイヤルホストが戦うファミリーレストランは、価格で選ぶ客と質で選ぶ客に二極化している。低価格はすかいらーくのガストやサイゼリヤ、質の側にはロイヤルホストと一部のデニーズがいる。ロイヤルホストは後者の代表だが、食肉の値上がりを受けて外食の利益は2023年の42億円から2025年の23億円に細った。
空港と高速道路の飲食は、旅客数に連動する。国内の人口は減っても、訪日客と国内旅行が下支えする。空港の新店舗は開発側との協業で決まり、取れる場所に限りがある。
ホテルは、今が最も強い局面にある。国内外の観光需要が堅調で、宿泊の稼働率と客室単価がともに前年を上回った。ただし2026年は中国からの客の減少で売上が当初予想に届かなかった。訪日客の動きは政治や為替で急に変わる。コロナ禍の落ち込みは、旅行需要が一夜で消えうることを示した。
外食は景気に弱く、ホテルとコントラクトは旅行に弱い。二つの弱みは重なることが多い。同じ事業を組み合わせても、不況時の守りは厚くならない。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。中期経営計画で、純資産配当率(DOE)3.5%と配当性向30%を目途にすると明記している。2026年1月に1株を2株に分けた。2026年の配当は、分割後の1株当たりでも前年並みの総額を見込む。
自社株買いは方針に書かれていない。2024年に約31億円を実施したが、2025年はなかった。
投資は重い。3年間で465億円を計画し、ホテルに190億円、外食に170億円を充てる。外食は海外の出店とロイヤルホストの立地の入れ替えが中心だ。ホテルは大型の改装と、ラグジュアリー分野への出資が柱になる。
M&Aは中計で「戦略的な検討」と書くにとどまる。過去に買収で規模を広げた会社ではなく、これまでの成長は店・ホテルの出店と改装が中心だった。大型買収が出れば規律が問われる。
時価総額は約1,300億円で、買収の対象としても大きすぎない水準だ。facts上の10年以内の買収確率は16%とされるが、筆者は主要株主の構成を確かめられていないため、確率には織り込んでいない。
経営は阿部正孝社長の体制で、菊地唯夫氏は代表権のない会長に退いた。
株主優待は、100株以上(分割後200株以上)で年1千円、500株以上で年1万円、1,000株以上で年2.4万円の食事券。年3.8億円と見込む(会社の開示。2025年12月期の連結損益計算書の注記で株主優待費用引当金繰入額が3.8億円(前期3.9億円)。ただし有報の株主分布から出した額面(約0.4〜0.9億円)より大きく、開示額は他の費用を含む疑いがあるが、開示を優先した)。優待は株主が受け取る現物の還元なので、10年の還元に年額×10年を、中立・やや楽観・楽観1.0、やや悲観0.75、悲観0.5の係数で足した(費用は販管費として利益から引き済みで、自己資本の流れには入れない)。年額は推定で、株主数の開示と優待条件から出した(2倍程度のずれはありうる)。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ホテルは構造的に伸びる。訪日客は10年単位で増え、日本の宿泊単価は先進国の中でまだ低い。リッチモンドホテルの立地は都市の中心にあり、改装と新設で客室単価を押し上げられる。ホテルの経常利益は2021年の赤字から、2025年に68億円まで来た。この勢いは止まらない。
外食の減益は一時的だ。海外の出店費用は、軌道に乗れば利益に変わる。ロイヤルホストは既存店売上が6%伸びており、客単価を上げられる強さがある。てんや、シズラー、シェーキーズの出店も、専門店を増やしてグループの厚みを増す。
コントラクトは空港と高速道路という、他社が入りにくい場所を押さえている。インバウンドと国内旅行が増えれば、客数は自然に増える。食品の利益も黒字に戻り、外食とホテルの調理を支える。
中期経営計画の目標、経常利益100億円は2027年度に十分届く。海外を直営50店・フランチャイズ100店まで広げ、ROE12%を実現すれば、10年後の利益は今の倍近くになりうる。財務も安定しており、配当は毎年増やせる。
慎重な見方
ホテルの利益は景気の山にいる。訪日客の増加で宿泊単価が急に上がったが、都市部では新しいホテルが続々と開く。供給が増えれば単価は戻る。2026年は、中国からの客の減少で、すでに売上が当初予想に届かなかった。訪日需要は政治や為替で動き、10年の中立にそのまま置けるものではない。
外食は、人件費と食肉の値上がりに追いつけていない。2023年に42億円あった経常利益は、2025年に23億円に細った。価格を上げて客数を保ってきたが、これ以上は難しい。海外の出店は初期費用が重く、直営50店は人材の採用と育成で詰まりやすい。
コントラクトの利益率は5%と低い。空港や高速道路の契約は更新のたびに条件が見直され、取れる場所にも限りがある。
資本効率は低いままだ。過去10年のROE中央値は6%で、資本コストを下回っている。中計の12%は、景気の追い風を前提にした数字にすぎない。コロナ禍では純損失275億円を出し、自己資本が一時209億円まで減った。同じ規模の衝撃が10年のうちにもう一度来る確率は、決して低くない。
どちらに重みを置いたか
ホテルの強さは本物だが、利益の水準は景気と訪日客の動きに強く左右される。この点で慎重な見方の指摘が重い。外食の減益と、コロナ禍の損失の深さは、10年の中立でも利益を大きく伸ばせない理由になる。
一方、ブランドと立地の強さは認めてよい。そこで、中立は今の利益の1.3倍ほど、確率は中立を中心に置いた。景気の谷や供給過剰が来る筋書きの確率を、他の外食会社より厚くした。結果として、10年の価値は今の時価総額を大きく下回り、割高と判断した。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,046 円1,041 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 242 円240 億円)。 今の値に割り戻すと 676 円672 億円、今との差 −51.5%、 期待の年率 −0.8%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,386 円2,374 億円 | 380 円378 億円 | +98.7% | +7.1% | 221 円220 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,720 円1,711 億円 | 320 円318 億円 | +46.5% | +3.9% | 408 円406 億円 |
| 中立 | 33% | 1,206 円1,200 億円 | 269 円268 億円 | +6.0% | +0.6% | 487 円484 億円 |
| やや悲観 | 26% | 325 円323 億円 | 200 円199 億円 | −62.3% | −9.3% | 136 円136 億円 |
| 悲観 | 13% | 220 円219 億円 | 49 円49 億円 | −80.7% | −15.2% | 35 円35 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,046 円1,041 億円 | 242 円240 億円 | −7.5% | −0.8% | 1,287 円1,281 億円 |
今の株価時価総額 1,392 円1,385 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 海外とホテルが同時に当たる 利益 131 億円 · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 2,386 円2,374 億円
海外の直営が計画通りに50店を超え、フランチャイズ店も100店に達する。てんややシェーキーズなどの専門店が現地で定着し、外食の営業利益率は7%まで戻る。ホテルは都市の中心を押さえた新規ホテルと改装で室数と単価を伸ばし、経常ベースの利益は今の1.7倍になる。
コントラクトは空港と高速道路に加え、スポーツ施設など新しい場所で出店を広げ、利益率は6%に上がる。食品の黒字も定着する。本社の費用は海外の人材採用で増えるが、事業の増益が上回る。
ROEは11%に届く。配当は毎年増え、自社株買いも再開する。それでも10年後の価値は、今の値段と同じかやや上にとどまる。外食の業界で、国内の数量が頭打ちになる中、どこまで利益を伸ばせるかの上限に近い姿だ。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3.8億円×10年×1=38億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 外食(ロイヤルホスト・てんや・海外ほか):数量 680(外食の店舗数(国内+海外、店))× 価格 1.92(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 1,306 億円・営業利益 91 億円。営業利益率 7%
- コントラクト(空港・高速道路・施設の飲食):数量 540(コントラクトの拠点数(推定、か所))× 価格 1.61(1拠点当たり年間売上(億円))→ 売上 872 億円・営業利益 52 億円。営業利益率 6%
- ホテル(リッチモンドホテルほか):数量 290(ホテルの販売客室数(万室泊、推定))× 価格 2.32(1室泊当たり売上(万円、宿泊と飲食の合計))→ 売上 673 億円・営業利益 114 億円。営業利益率 17%
- 食品(冷凍食品・ロイヤルデリなど):数量 4,800(食品の出荷量(万食換算、推定))× 価格 0.04(1食当たり売上(億円÷万食))→ 売上 196 億円・営業利益 8 億円。営業利益率 4%
倍率:事業の純利益 131 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.2 倍。全体の PER 17.24 倍、時価総額 2,258 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ホテルの単価の維持、海外の直営の黒字化、外食の利益の回復が同時に10年続く必要があり、確度は低い。
やや楽観 20% ホテルが堅調で外食が持ち直す 利益 99 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 1,720 円1,711 億円
海外の出店は中計の途中で一部が遅れるが、ロイヤルホストの価値向上と専門店の増加で、外食は営業利益率6%まで戻る。ホテルは宿泊単価を維持し、利益率は15%台で安定する。供給が増えても、都市の中心の立地が強く、稼働率は保たれる。
コントラクトは空港の旅客数の伸びに乗り、新しい施設への出店も進む。食品の黒字は小さいまま続く。
純利益は今の1.7倍ほどになる。ROEは10%近くまで上がる一方、設備投資の負担が重く、自己資本の伸びは利益に見合う。10年後の価値は、今の時価総額に届かないが、ほぼ今の水準に近い姿になる。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3.8億円×10年×1=38億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 外食(ロイヤルホスト・てんや・海外ほか):数量 600(外食の店舗数(国内+海外、店))× 価格 1.86(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 1,119 億円・営業利益 67 億円。営業利益率 6%
- コントラクト(空港・高速道路・施設の飲食):数量 500(コントラクトの拠点数(推定、か所))× 価格 1.59(1拠点当たり年間売上(億円))→ 売上 795 億円・営業利益 45 億円。営業利益率 5.6%
- ホテル(リッチモンドホテルほか):数量 275(ホテルの販売客室数(万室泊、推定))× 価格 2.27(1室泊当たり売上(万円、宿泊と飲食の合計))→ 売上 624 億円・営業利益 97 億円。営業利益率 15.5%
- 食品(冷凍食品・ロイヤルデリなど):数量 4,600(食品の出荷量(万食換算、推定))× 価格 0.04(1食当たり売上(億円÷万食))→ 売上 185 億円・営業利益 7 億円。営業利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 99 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.1 倍。全体の PER 16.08 倍、時価総額 1,592 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の達成に近い上振れ。ホテルの強さが続き、外食が持ち直す現実的な上位の筋書きで、強い見方にいくらか寄せた。
中立 33% 中立:ホテルが支え、外食は横ばい 利益 75 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 1,206 円1,200 億円
ロイヤルホストは国内でブランドを保ち、店数は微増にとどまる。外食の営業利益率は5%と、直近の3%台からわずかに戻る。海外の直営は進むが、出店費用が重く、全体の利益への寄与は小さい。
ホテルは宿泊単価の高止まりが少しゆるみ、利益率は14%に下がる。数量は新ホテルで少し増え、売上は今の1.4倍になる。コントラクトは旅客の増加が続き、売上は5割増える。食品は横ばいに近い。
本社の費用は海外の人材採用で膨らみ、営業利益は約110億円、純利益は約75億円となる。ROEは7%台で、資本コストをわずかに下回る。還元は配当中心で、年に20億円台を続ける。ブランドも立地も保たれるが、利益の伸びは物価分をわずかに超える程度の姿だ。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3.8億円×10年×1=38億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 外食(ロイヤルホスト・てんや・海外ほか):数量 540(外食の店舗数(国内+海外、店))× 価格 1.84(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 992 億円・営業利益 50 億円。営業利益率 5%
- コントラクト(空港・高速道路・施設の飲食):数量 495(コントラクトの拠点数(推定、か所))× 価格 1.59(1拠点当たり年間売上(億円))→ 売上 787 億円・営業利益 41 億円。営業利益率 5.2%
- ホテル(リッチモンドホテルほか):数量 262(ホテルの販売客室数(万室泊、推定))× 価格 2.22(1室泊当たり売上(万円、宿泊と飲食の合計))→ 売上 582 億円・営業利益 81 億円。営業利益率 14%
- 食品(冷凍食品・ロイヤルデリなど):数量 4,330(食品の出荷量(万食換算、推定))× 価格 0.04(1食当たり売上(億円÷万食))→ 売上 174 億円・営業利益 5 億円。営業利益率 3%
倍率:事業の純利益 75 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.48 倍、時価総額 1,086 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ホテルの高い利益率が少し下がり、外食が横ばいという中心の筋書き。2人の見方の落としどころ。
やや悲観 26% 宿泊単価が戻り、外食の採算も戻らない 利益 35 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 325 円323 億円
ホテルは都市部で新しい施設が増えて単価が戻り、利益率は11%まで下がる。訪日客も一時的な落ち込みを繰り返す。外食は人件費と食肉の値上がりを吸収しきれず、営業利益率は3%にとどまる。店の入れ替えに費用がかかり、不採算店の閉鎖も続く。
コントラクトは契約更新のたびに条件が厳しくなり、利益率は4%台になる。食品は赤字すれすれが続く。
純利益は今より4割近く減り、ROEは4%台に落ちる。配当は減らさないが、改装・出店に回す余力は小さく、成長の足場が弱まる。ブランドは残るが、利益を伸ばす力を失った会社として評価される10年になる。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3.8億円×10年×0.75=28.5億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 外食(ロイヤルホスト・てんや・海外ほか):数量 500(外食の店舗数(国内+海外、店))× 価格 1.78(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 891 億円・営業利益 27 億円。営業利益率 3%
- コントラクト(空港・高速道路・施設の飲食):数量 455(コントラクトの拠点数(推定、か所))× 価格 1.54(1拠点当たり年間売上(億円))→ 売上 702 億円・営業利益 32 億円。営業利益率 4.5%
- ホテル(リッチモンドホテルほか):数量 245(ホテルの販売客室数(万室泊、推定))× 価格 2.15(1室泊当たり売上(万円、宿泊と飲食の合計))→ 売上 528 億円・営業利益 58 億円。営業利益率 11%
- 食品(冷凍食品・ロイヤルデリなど):数量 4,200(食品の出荷量(万食換算、推定))× 価格 0.04(1食当たり売上(億円÷万食))→ 売上 164 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 2%
倍率:ROE4%台で資本コストを大きく下回る。稼ぐ力は純利益÷kで測り、利益が伸びず景気に左右される事業として、上限(1÷k)の約6割の7.5倍に置いた。
確率:新規ホテルの供給と人件費の上昇で、利益の質が下がる筋書き。コロナ後の山の利益という事実を考え、他社より厚く置いた。
悲観 13% 旅行の停止と供給過剰で構造的に傷む 利益 −11 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 220 円219 億円
訪日客が急に減る出来事が起き、同時に都市部のホテルの供給過剰が重なる。ホテルの稼働率と単価が下がり、利益率は6%まで落ちる。外食は人件費と食材の高騰で赤字に近づき、海外の出店も止まる。
空港と高速道路は契約の見直しで利益が薄くなり、コントラクトも低収益に沈む。店舗とホテルの多くは借りており、家賃は売上が落ちても減らない。固定の約束が営業赤字を深める。
店舗やホテルの減損で自己資本が減り、配当は大きく削られ、残る分も、遊休資産の売却と内部留保から払う形になる。コロナ禍と同じ構造的な傷み方が、10年のうちにもう一度起きるという姿だ。ブランドは残り、資産の価値はあるが、稼ぐ力は大きく失われる。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3.8億円×10年×0.5=19億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 外食(ロイヤルホスト・てんや・海外ほか):数量 440(外食の店舗数(国内+海外、店))× 価格 1.70(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 747 億円・営業利益 4 億円。営業利益率 0.5%
- コントラクト(空港・高速道路・施設の飲食):数量 400(コントラクトの拠点数(推定、か所))× 価格 1.42(1拠点当たり年間売上(億円))→ 売上 570 億円・営業利益 14 億円。営業利益率 2.5%
- ホテル(リッチモンドホテルほか):数量 215(ホテルの販売客室数(万室泊、推定))× 価格 1.99(1室泊当たり売上(万円、宿泊と飲食の合計))→ 売上 427 億円・営業利益 26 億円。営業利益率 6%
- 食品(冷凍食品・ロイヤルデリなど):数量 3,800(食品の出荷量(万食換算、推定))× 価格 0.04(1食当たり売上(億円÷万食))→ 売上 137 億円・営業利益 1 億円。営業利益率 0.5%
倍率:営業赤字に近い谷の年で、稼ぐ力では測れない。店舗とホテルの減損は入るが、事業と資産は残る。今の自己資本547億円に対するPBR0.4倍で測った。売れる資産の内訳は開示から確かめられず、純有利子負債69億円もあるため、資産の床は立てない。
確率:景気の谷と訪日客の急減が重なる筋書き。2020年のように純損失を出した前例があるため、10%を超える確率を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
外食(ロイヤルホスト・てんや・海外ほか)
ロイヤルホスト、てんや、シズラー、シェーキーズなどの外食店と、海外の直営・FC店。
| 数量外食の店舗数(国内+海外、店) | 価格1店舗当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 480 | 1.39 | 668 | 23 |
| 10 年後 中立 | 540 | 1.84 | 992 | 50 |
取り方:2025年12月期の外食の売上668億円を、店舗数(2024年末の約468店を元に約480店と置いた)で割って1店舗当たり売上を逆算した。10年後の価格は物価で1.34倍になるところを、小型の海外店が増える構成の変化を引いて、中立で1.32倍とした。店数の伸びは国内の飽和と海外の直営50店の計画を合わせ、中立で1.1倍強に置いた。
コントラクト(空港・高速道路・施設の飲食)
空港・高速道路・スポーツ施設などの施設内で飲食を請け負う事業。
| 数量コントラクトの拠点数(推定、か所) | 価格1拠点当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 450 | 1.19 | 534 | 27 |
| 10 年後 中立 | 495 | 1.59 | 787 | 41 |
取り方:売上534億円を、空港・高速道路・施設などの拠点(開示が無く、約450か所と推定)で割った。拠点数は新しい施設への出店で10年1.1倍、1拠点当たり売上は物価並みの1.34倍とした。推定のため、数量と価格の分け方より、合計の売上とその利益率を重く見る。
ホテル(リッチモンドホテルほか)
リッチモンドホテルを中心に、都市部で宿泊と宴会・飲食を運営する事業。
| 数量ホテルの販売客室数(万室泊、推定) | 価格1室泊当たり売上(万円、宿泊と飲食の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 250 | 1.66 | 414 | 69 |
| 10 年後 中立 | 262 | 2.22 | 582 | 81 |
取り方:売上414億円を、販売客室数(客室数×稼働率。開示が無く、年約250万室泊と推定)で割って、宿泊と飲食をあわせた1室泊当たり売上を出した。中立では、新ホテルと改装で室数が10年で5%増え、価格は物価並みの1.34倍とした。宿泊単価が今は高いため、数量の伸びは小さくおいた。
食品(冷凍食品・ロイヤルデリなど)
冷凍食品・総菜・ロイヤルデリを製造・販売し、外食とホテルの調理も支える事業。
| 数量食品の出荷量(万食換算、推定) | 価格1食当たり売上(億円÷万食) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,320 | 0.03 | 130 | 5 |
| 10 年後 中立 | 4,330 | 0.04 | 174 | 5 |
取り方:売上130億円(事業間の取引を含む)を、出荷量の推定(1食を数百円とみた換算で約4,300万食)で割った。数量は人口に沿って横ばい、価格は物価並みに上がるとした。
リスクと懸念
ホテルの利益が景気と訪日客に振れる
経常利益の半分以上をホテルが稼ぐ。2026年は中国からの客の減少で売上が予想を下回った。都市部の新規供給も続くため、宿泊単価が戻ると全体の利益が大きく減る。コロナ禍では、ホテルとコントラクトがそろって赤字に沈んだ。
外食の採算が戻らない
外食の経常利益は2023年の42億円から2025年の23億円へ細った。食肉の仕入れ値の上昇と、海外の出店費用が重なった。中計の外食経常利益50億円(2027年度)は、現状の倍以上で、実現には単価と原価の改善がそろう必要がある。
賃借料と固定費の重さ
店舗とホテルの多くは借りており、家賃は売上が落ちても減らない。新リース会計基準が始まる2028年12月期から、借金が数字の上で増え、自己資本比率が下がる。実態は変わらないが、財務の見かけの安全度は下がる。
海外の直営50店の実行
海外直営50店とFC100店という計画は、人材の採用と育成が前提になる。3年間の外食の設備投資170億円のうち、海外は25億円と小さいが、出店初期の費用は利益を押し下げる。失敗すれば減損になる。
人件費と食材費の上昇
最低賃金は毎年上がり、パート・アルバイトの確保は難しくなっている。ロイヤルホストは値上げが通る側だが、客数は横ばいで、単価でしか売上を支えていない。これ以上の値上げは客離れを招く。
設備投資の負担
3年間で465億円を投じる。うちホテルに190億円で、大型改装が中心だ。改装後に単価が上がらなければ、投資は回収できない。改装の期間は休業もあり、一時的に利益が下がる。
大型M&Aの規律
中計は「戦略的なM&Aの検討」を挙げる。過去は出店と改装が成長の中心で、大型買収の実績は少ない。高い値段で買えば資本効率は悪化する。株主構成と買収の方針は今後の決算で確かめる必要がある。
今後の分かれ目
- ホテルの客室単価が2期連続で前年を下回ったら
- 利益の中心が崩れ始めたと見て、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 外食の経常利益が2027年度に40億円を超えたら
- 中計の筋が戻ったと見て、やや楽観の確率を上げる。
- 海外直営の出店が計画どおり進み、黒字化の店が増えたら
- 数量の伸びが確かめられたと見て、楽観側へ重みを移す。
- コロナ禍のような旅行の停止が再び起きたら
- 悲観の筋書きに近づく。家賃などの固定費が利益を直接削る。
- 大型のM&Aが発表されたら
- 価格と成果を確かめるまで、資本効率の前提を下げて見直す。
- 新リース会計基準の適用後に、自己資本比率が大きく下がったら
- 数字の形が変わっただけか、実態の悪化かを分けて見る。
見ておくもの
- ホテルの稼働率と客室単価(四半期)
- 外食の経常利益と食肉・人件費の動き
- 海外の直営・FC店舗数と採算
- 中計2027年度目標(売上1,875億円・経常100億円)の進捗
- 新リース会計基準(2028年12月期)後の財務の形
倍率と資本コストの決め方
外食・コントラクト・ホテル・食品の4区分で、店数や室数などの数量と1単位の売上(名目)を積み上げ、先に10年後の利益を置いた。自己資本は今の値+期間の純利益−還元で流し、ROEは結果として出した。中立のROEは資本コストに届かないため、倍率は1÷kの上限に収め、その85%に置いた。今の株価や過去の倍率は使っていない。新リース会計基準で数字の形が変わるが、家賃を営業費用に入れた今の形でそろえて置いた。結果は今の時価総額の半分強で割高となり、計算に従っている。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.4→17.24 倍・やや楽観 PER 11→16.08 倍・中立 PER 10.3→14.48 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。資本コストは基本7.5%にquality+0.75%を足した8.25%。景気と旅行の波を受ける事業が利益の中心で、コロナ禍の赤字の深さも織り込んだ。個別のリスクは確率で表し、k には足していない。事業は黒字で傾いておらず、上乗せ(extra)はない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.50%。