結論
ナスダック(Nasdaq, Inc.)は、米国のナスダック市場とナスダック 100 指数を持つ取引所グループで、2023 年のアデンザ(Adenza)買収を境に、金融機関向けのソフトウェア会社へ中身を変えてきた。2025 年の純売上は 52.5 億ドル(前年比 +13%)、GAAP の営業利益は 23.3 億ドル(営業利益率 44%)、GAAP 純利益は 17.9 億ドル。売上の約 76%(40.1 億ドル)は取引量に左右されにくい Solutions(上場・データ・指数・金融ソフト)で、年換算の継続収入(ARR)は 2026 年 4〜6 月期に 33 億ドル(前年比 +11%)に達した。
中身は 3 つの柱。Capital Access Platforms(上場・データ・指数・ワークフロー、21.4 億ドル)、Financial Technology(金融犯罪対策のベラフィン、リスク・清算のカリプソ、報告規制のアクシオム SL、取引所向けの市場技術、18.5 億ドル)、Market Services(株式・オプション・債券の取引、リベートを引いた純 12.0 億ドル)。2026 年は指数連動の運用資産が初めて 1 兆ドルを超え、上半期の Index 売上が前年比 +27% と伸びたが、ここは株価の水準に連動する部分も大きい。
数量×価格で 7 つの塊を積むと、中立の 10 年後は純売上 約 101.9 億ドル(年 +6.9%)、純利益 約 39.7 億ドル。資本コスト 8.0%(基本 8.0% + quality 0%)・g 4%・ROE 22.2% の式で、資本コストを超える稼ぎは新しく投じるお金では半分に薄れるとして正当化 PER は約 18.4 倍。その 8 割の約 14.7 倍を中立に置いた。売上の大半がソフトとデータで競争があるため、CME・ICE のような強い堀(2/3)にはしていない。確率を掛けて割り引いた本質価値は今の時価総額を約 21% 下回り、期待の年率は 4.2% と資本コストに届かず、総合は『やや割高』。指数と金融ソフトの成長を先に織り込んだ値段と見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、10 年後もこの事業が存在し、今より強いかを問う。上場・指数・金融機関の規制と不正対策のソフトは 10 年後も必要で、指数の使用料と金融ソフトの継続契約は切り替えの費用に守られる。特に Index と金融ソフトは、売上が増えても追加の資本がほとんど要らない。堀は広がる側にあるが、Market Services は競合との取引の取り合いで、堀は薄い。
オーナー利益:GAAP 純利益 17.9 億ドルは買収無形資産の償却 4.9 億ドル(税引き後約 3.8 億ドル)を引いたあとの値で、償却は現金支出がない。一方で設備投資と資本化したソフト開発費があり、FCF は純利益の 1 割増し程度。2025 年の純利益には持分投資の評価益などの一過性も含むため、利益の土台は 15〜16 億ドルとみて積んでいる。
資本配分:アデンザの買収は割高だったという見方もあるが、買収後の売上は想定を上回って伸び、返済も進んでいる。今は大型買収を控え、買い戻しと返済に回している。
安全域:中立の 10 年後の利益ベースの式の PER は 14.7 倍で、今の GAAP の PER(31 倍)よりかなり低い。10 年の価値は今の時価総額を 2 割ほど下回り、安全域はない。今の値段は指数と金融ソフトの伸びを先に払っているため、確信度は中。
何で稼ぐ会社か
2025 年の純売上 52.5 億ドルは次の 7 つの塊から成る(億ドル)。
Capital Access Platforms(21.4):Index 8.3(ナスダック 100 などの指数に連動する上場投資商品の運用資産に対する料率と、指数の使用料。連動の運用資産は 2025 年末に 8,820 億ドル、2026 年 4〜6 月期に 1 兆ドル超)、Data & Listing Services 8.0(ナスダックと北欧の上場会社の年会費・新規上場の手数料と、市場データの配信)、Workflow & Insights 5.1(IR・ESG 向けのソフトと機関投資家向けの運用会社データ eVestment)。
Financial Technology(18.5):Capital Markets Technology 10.9(カリプソなど銀行の取引・リスク・財務のソフトと、世界の取引所・清算機関向けの市場技術)、Regulatory Technology 4.3(アクシオム SL による規制報告と取引監視)、Financial Crime Management Technology 3.3(ベラフィン。銀行・信用組合の不正対策と資金洗浄対策)。多くは SaaS・保守の年間契約。
Market Services(純 12.0 億ドルとその他収益 0.6):米国株式・オプション・北欧の取引と、債券の清算。総収入 41.7 億ドルから取引リベート 25.3 億ドルと取引費用 4.4 億ドルを引いた残りが売上で、取引量が急に増えた年(2025 年 4 月の関税ショック)に伸びる。
営業利益は GAAP で 23.3 億ドル。買収無形資産の償却 4.9 億ドルを引いたあとの数字で、償却を足し戻す非 GAAP では 29.2 億ドル(利益率 56%)。営業外では支払利息 3.7 億ドル、有利子負債は 2026 年 6 月末で 87.6 億ドル。
優良さと弱いところ
堀は 4 つに分かれる。1 つ目は指数の堀。ナスダック 100 は QQQ をはじめ多くの上場投資商品・先物・オプションの基準で、指数の使用料は運用資産に連動するため、市場が上がるほど売上が増え、費用はほとんど増えない(Index の営業利益率は 8 割近い)。2 つ目は金融ソフトの切り替えの費用。ベラフィンは銀行の取引データと一体で不正検知を行い、カリプソとアクシオム SL は銀行の取引・リスク・規制報告の中核に入っているため、一度入ると 10 年単位で使われる。3 つ目は上場のブランド。ナスダックは 6 年連続で NYSE より新規上場が多く、上場料も NYSE より低く設定している(上場すると取引・データ・指数にも広がる)。4 つ目は取引所データ。
資本効率:GAAP の ROE は 14.6%(2025 年)で、自己資本 122 億ドルの中に、アデンザ(2023 年に 105 億ドルで買収)などののれん 142 億ドル、無形資産 62 億ドルが入る。のれんが大きい分、買収の償却が GAAP 利益を 4.9 億ドル押し下げている。
弱みは 3 つ。Market Services は競合が多く純収入の伸びは取引量次第で、単価の決定力は小さい。金融ソフトは大手銀行の IT 予算に左右され、ベラフィンは 2024 年に大手銀行の新規契約がなかった四半期もある。AI がソフトの作り方を変える中で、銀行が自前で作る・新興が安く出す圧力が出うる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
取引所は数量(取引量・上場数・運用資産)と価格(手数料・料率・契約単価)で売上が決まる。ナスダックの特徴は、売上の約 4 分の 3 が取引量に左右されにくい Solutions に移ったこと。2026 年 4〜6 月期は純売上が前年比 +15%、Solutions が +17%、Index が +38%、Fintech が +16%、Market Services が +11% と全部門が伸びた。
構造の変化は 3 つ。第 1 に指数連動の運用資産の膨張。パッシブ運用と上場投資商品への資金流入が続き、2026 年 4〜6 月期の純流入は過去最高の 510 億ドル。ただし運用資産の半分以上は株価の水準なので、相場が下がると同じ速さで売上が減る。第 2 に銀行の規制・不正対策の IT 化とクラウド化。金融犯罪の手口は AI で高度化し、規制は年々厚くなるため、銀行は予算を削りにくい。第 3 に 23 時間・5 日取引と株式のトークン化(2026 年内に規制の承認を目指す)。取引の裾野が広がる一方、既存の取引所以外の場(暗号資産取引所・新興の取引基盤)に取引が流れる可能性もある。
競合の位置:取引所は米国株式で NYSE(ICE)・シービーオーイー(Cboe)・IEX・MEMX などと市場を分け合い、上場は NYSE と競う。指数は S&P ダウ・ジョーンズ(S&P グローバル)・MSCI・FTSE ラッセルが先を行き、ナスダックは「成長・テクノロジー」の指数で独自の位置を持つ。金融ソフトでは、不正・資金洗浄対策は NICE アクティマイズ・フィサーブ・オラクル、取引・リスクはムレックス・FIS・フィナストラと競う。
資本政策と M&A
還元:2025 年は配当 6.0 億ドルと自社株買い 6.2 億ドルで合計 12.2 億ドル(GAAP 純利益の約 7 割)。2026 年 4〜6 月期は買い戻し 3.6 億ドルと配当 1.7 億ドルの 5.3 億ドル超、4〜6 月期の FCF は 4.8 億ドルで、直近 12 か月の FCF は 22 億ドル(純利益に対し約 97% の転換)。買い戻し枠は 2025 年末で 11 億ドル。
負債:アデンザの買収で 2023 年に有利子負債が約 100 億ドルへ増え、その後は返済を続けている(2025 年に 8.3 億ドル返済、4〜6 月期に純 1.6 億ドル)。総債務は 2026 年 6 月末で 87.6 億ドル、総債務÷EBITDA は 2.6 倍で、目標のレバレッジの範囲に戻った。
M&A:ベラフィン(2020 年、27.5 億ドル)とアデンザ(2023 年、105 億ドル)が大きな買収。今は大型買収より、買収した会社へのクロスセル(42 件、2027 年末に年 1 億ドルの売上の目標)と、小さな買収が中心。2026 年の非 GAAP 費用は 25.3〜25.7 億ドルへ上方修正(費用 +10%)で、AI による生産性向上で年 1 億ドルの削減(2027 年末までに実施)を掲げる。税率は 22.5〜24.5%(非 GAAP)。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ナスダック 100 の指数連動の運用資産は 2026 年に 1 兆ドルを超え、4〜6 月期の純流入だけで 510 億ドルと過去最高。パッシブ運用と上場投資商品の拡大が続けば、運用資産は年 +10% 前後で積み上がり、使用料はほぼ追加費用なしで利益に落ちる。金融ソフトは、AI による詐欺・資金洗浄の高度化に対し、ベラフィンの連結資産は 13 兆ドルに達し、カリプソとアクシオム SL へのクロスセルは 42 件、2027 年末に年 1 億ドルの売上が見える。ARR は 33 億ドル(+11%)で、経営陣の中期の目標は Solutions の売上が年 +9〜12%、費用は +5〜8% に抑えるため、営業利益率は上がり続ける。
さらに 23 時間・5 日取引と株式のトークン化は、取引・清算・データの新しい収益になり、AI は eVestment やベラフィンに組み込まれて単価を押し上げる。この見方では 10 年後の純利益は約 63.1 億ドルで、式の上限の 8.8 割の PER 17.6 倍がつき、時価総額は 1,110 億ドルと今の約 2.0 倍になる。
慎重な見方
指数の使用料は運用資産に連動しており、2026 年の伸びは相場の高さそのもの。株価が下がれば、運用資産と売上が同じ速さで減る。投資信託の手数料競争で、ETF の運用会社が指数の使用料の値下げを求める可能性もあり、S&P ダウ・ジョーンズや MSCI は連動資産で大きく先行する。金融ソフトは AI が逆風にもなる。大手銀行が AI で自前の不正検知・規制報告を作る、フィサーブ・NICE アクティマイズ・ムレックスが安く出す圧力が強まれば、契約の更新で単価が落ちる。ベラフィンは 2024 年に大手銀行の新規がなかった四半期があり、銀行の IT 予算は不況で真っ先に削られる。
Market Services は取引量の波と、IEX・MEMX など新興の取引所との競争、オプションの手数料の圧縮で、純収入は物価に届かない。買収で積んだのれん 142 億ドルは、金融ソフトの成長が鈍れば減損のリスクがある。この見方では 10 年後の純利益は約 13.5 億ドルにとどまる。
どちらに重みを置いたか
指数と金融ソフトの継続収入は強いが、指数の売上は株価の水準に左右され、金融ソフトは AI で単価が上がる面と下がる面がある。強気の言い分をそのまま採らず、価格は物価(3.5%)に届かない前提(Index は料率が下がり、取引所データは規制で、物価に 0.5〜1 ポイント届かない)で置いた。中立の 10 年後は純利益 約 39.7 億ドル、PER は式の上限 18.4 倍の 8 割の 14.7 倍。結論は「質は高いが、今の値段はやや割高」で、10 年の価値は今を 21% 下回る。確率は楽観側 34%・中立 32%・悲観側 34%。悲観は構造的に負ける筋書きを AI と取引の分散を重く見て 12% に置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 103.94 ドル601 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 38.12 ドル221 億ドル)。 今の値に割り戻すと 74.09 ドル429 億ドル、今との差 −28.3%、 期待の年率 +3.2%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 191.83 ドル1,110 億ドル | 52.89 ドル306 億ドル | +136.9% | +9.0% | 24.47 ドル142 億ドル |
| やや楽観 | 24% | 140.58 ドル813 億ドル | 45.63 ドル264 億ドル | +80.3% | +6.1% | 44.69 ドル259 億ドル |
| 中立 | 32% | 100.86 ドル584 億ドル | 39.41 ドル228 億ドル | +35.8% | +3.1% | 44.89 ドル260 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 69.44 ドル402 億ドル | 31.28 ドル181 億ドル | −2.5% | −0.3% | 22.16 ドル128 億ドル |
| 悲観 | 12% | 28.86 ドル167 億ドル | 19.88 ドル115 億ドル | −52.8% | −7.2% | 5.85 ドル34 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 103.94 ドル601 億ドル | 38.12 ドル221 億ドル | +37.5% | +3.2% | 142.06 ドル822 億ドル |
今の株価時価総額 103.30 ドル598 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:指数の堀が広がり、金融ソフトが銀行の中核になる 利益 63 億ドル · PER 17.6 倍 · 株価時価総額 191.83 ドル1,110 億ドル
2035 年に純売上は約 146.5 億ドル(年 +10.8%)、営業利益は約 85.5 億ドル(GAAP の営業利益率 58%)、純利益は約 63.1 億ドル。指数連動の運用資産は 2035 年の年平均で約 2.9 兆ドル(年 +13%)、パッシブ化と上場投資商品の広がりで流入が続き、料率の低下は年 0.4% にとどまる。金融ソフトは銀行・資産運用の規制・不正・取引のソフトが一体で使われる標準になり、ARR は年 +12% 前後で、クロスセルが定着する。AI はベラフィン・カリプソに組み込まれて単価の上昇を支え、株式のトークン化と 23 時間取引が取引・清算・データの新しい収益になる。GAAP の営業利益率は買収償却の減少と規模の経済で 58%。競合に対しては、金融ソフトで NICE アクティマイズ・ムレックス・フィサーブからシェアを伸ばし、取引では他の取引所への分散を抑える。
- 指数(Index):数量 25,120(連動する運用資産の年平均(億ドル、推定))× 価格 0.00(運用資産に対する実効の売上率(売上÷運用資産、億ドル/億ドル))→ 売上 27 億ドル・営業利益 23 億ドル。数量×単価
- 上場とデータ(Data & Listing):数量 51.2(上場会社と市場データの契約(千件、推定))× 価格 0.40(1 千件あたりの売上(億ドル))→ 売上 20 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量×単価
- ワークフローと洞察(Workflow & Insights):数量 32.6(有料契約(千件、推定))× 価格 0.37(1 千契約あたりの売上(億ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量×単価
- 市場技術・リスク(Capital Markets Technology):数量 3,224(契約顧客(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 37 億ドル・営業利益 20 億ドル。数量×単価
- 報告規制・取引監視(Regulatory Technology):数量 1,955(契約顧客(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量×単価
- 金融犯罪対策(Financial Crime Management):数量 5,115(契約の金融機関(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量×単価
- 取引(Market Services):数量 282(米国の株式・オプション取引の総売買代金(兆ドル、推定))× 価格 0.09(売買代金 1 兆ドルあたりの純収入(億ドル))→ 売上 26 億ドル・営業利益 16 億ドル。数量×単価
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.00%)。事業の ROE 31.9%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 198 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 19.9%、g 4.0%(継続収入の伸びと値上げで、長期の名目は 4% 前後。式は g 4% で計算する)。式の値は 20.0 倍で、これが検査の上限になる。上場・指数・金融ソフトの継続収入が 7 割超の取引所。 上限の 8.8 割の 17.6 倍に置いた。
確率:指数・金融ソフト・取引のすべてが伸び、トークン化と AI も収益に乗る最良の筋書き。
やや楽観 24% やや楽観:指数と金融ソフトが中期の目標どおり伸びる 利益 50 億ドル · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 140.58 ドル813 億ドル
2035 年に純売上は約 122.2 億ドル(年 +8.8%)、営業利益は約 69.0 億ドル(GAAP の営業利益率 56%)、純利益は約 50.3 億ドル。経営陣の中期の目標(Solutions 年 +9〜12%)が概ね続く筋書き。指数連動の運用資産は年 +11.5%、金融ソフトは ARR が年 +10% 前後。取引は年 +5%。買収償却が減り、GAAP の営業利益率は 56%。競合のデータ・ソフトの値下げは起きるが、更新率は保たれる。AI は eVestment・ベラフィンの機能に組み込まれ、単価の押し上げに一部効く。株式のトークン化と 23 時間・5 日取引はナスダック市場の取引と清算に小さな上乗せを与え、上場は NYSE との競争で件数の優位を保つ。競合に対しては、金融ソフトで NICE アクティマイズ・ムレックス・フィサーブと並ぶ有力な一社の位置を保ち、指数では S&P ダウ・ジョーンズ・MSCI と並ぶ 3 番手以降の位置にとどまる。
- 指数(Index):数量 21,978(連動する運用資産の年平均(億ドル、推定))× 価格 0.00(運用資産に対する実効の売上率(売上÷運用資産、億ドル/億ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 19 億ドル。数量×単価
- 上場とデータ(Data & Listing):数量 46.6(上場会社と市場データの契約(千件、推定))× 価格 0.38(1 千件あたりの売上(億ドル))→ 売上 18 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量×単価
- ワークフローと洞察(Workflow & Insights):数量 29.6(有料契約(千件、推定))× 価格 0.36(1 千契約あたりの売上(億ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量×単価
- 市場技術・リスク(Capital Markets Technology):数量 2,795(契約顧客(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 29 億ドル・営業利益 15 億ドル。数量×単価
- 報告規制・取引監視(Regulatory Technology):数量 1,776(契約顧客(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量×単価
- 金融犯罪対策(Financial Crime Management):数量 4,441(契約の金融機関(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量×単価
- 取引(Market Services):数量 256(米国の株式・オプション取引の総売買代金(兆ドル、推定))× 価格 0.09(売買代金 1 兆ドルあたりの純収入(億ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量×単価
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.00%)。事業の ROE 26.8%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 188 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 17.4%、g 4.0%(継続収入の伸びと値上げで、長期の名目は 4% 前後。式は g 4% で計算する)。式の値は 19.2 倍で、これが検査の上限になる。上場・指数・金融ソフトの継続収入が 7 割超の取引所。 上限の 8.4 割の 16.2 倍に置いた。
確率:中期の目標が 10 年を通じて概ね続く筋書き。
中立 32% 中立:価格は物価に届かず、数量と契約で年 7% 弱 利益 40 億ドル · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 100.86 ドル584 億ドル
2035 年に純売上は約 101.9 億ドル(年 +6.9%)、営業利益は約 55.4 億ドル(GAAP の営業利益率 54%)、純利益は約 39.7 億ドル。指数連動の運用資産は年 +10%(2026 年の急増のあとを含む。市場 +5.5% と純流入 +2.5% の 8% が 2026 年の水準から続く)、料率は年 1% 下がって実効の売上率は 10% 低い。金融ソフトは 7 割の売上が継続契約で、数量(契約顧客)が年 +3〜4%、単価が物価に届かず年 +4〜4.5%(クラウド移行・上乗せ契約はあるが、競合と顧客の値下げ交渉が物価の上げを抑える)。取引は純収入が年 +4.5%。上場・データは年 +6.6%。買収の償却が半分以下に減り、費用の伸びが売上より低い(AI の生産性向上 1 億ドル)ため、GAAP の営業利益率は 54% へ上がる。競合に対しては、金融ソフトではシェアを少し保つ程度、指数では S&P ダウ・ジョーンズに追いつかない。ベラフィンは北米の銀行・信用組合で NICE アクティマイズ・フィサーブと並ぶ有力な一社、取引では ICE の NYSE・Cboe と取り分を分け合い、取引の純収入は物価並みにしか上がらない。
- 指数(Index):数量 19,194(連動する運用資産の年平均(億ドル、推定))× 価格 0.00(運用資産に対する実効の売上率(売上÷運用資産、億ドル/億ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 16 億ドル。数量×単価
- 上場とデータ(Data & Listing):数量 42.3(上場会社と市場データの契約(千件、推定))× 価格 0.36(1 千件あたりの売上(億ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量×単価
- ワークフローと洞察(Workflow & Insights):数量 26.9(有料契約(千件、推定))× 価格 0.34(1 千契約あたりの売上(億ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量×単価
- 市場技術・リスク(Capital Markets Technology):数量 2,419(契約顧客(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量×単価
- 報告規制・取引監視(Regulatory Technology):数量 1,613(契約顧客(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量×単価
- 金融犯罪対策(Financial Crime Management):数量 3,849(契約の金融機関(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量×単価
- 取引(Market Services):数量 233(米国の株式・オプション取引の総売買代金(兆ドル、推定))× 価格 0.08(売買代金 1 兆ドルあたりの純収入(億ドル))→ 売上 20 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量×単価
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.00%)。事業の ROE 22.2%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 179 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 15.1%、g 4.0%(継続収入の伸びと値上げで、長期の名目は 4% 前後。式は g 4% で計算する)。式の値は 18.4 倍で、これが検査の上限になる。上場・指数・金融ソフトの継続収入が 7 割超の取引所。 上限の 8.0 割の 14.7 倍に置いた。
確率:強気と慎重の落としどころ。堀は保たれるが、価格は物価に届かず、成長は 10 年を通して緩むと見た。
やや悲観 22% やや悲観:指数の料率が下がり、金融ソフトの単価が伸びない 利益 28 億ドル · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 69.44 ドル402 億ドル
2035 年に純売上は約 79.8 億ドル(年 +4.3%)、営業利益は約 40.7 億ドル(GAAP の営業利益率 51%)、純利益は約 28.2 億ドル。指数連動の運用資産は年 +8%(料率は年 1.4% 下がり、ETF の運用会社との料率交渉が重い)。金融ソフトは ARR が年 +6〜7% に鈍る(新規の大手銀行が伸びず、AI で一部が内製化)。取引は年 +3%。GAAP の営業利益率は 51%。競合のムレックス・フィサーブ・NICE アクティマイズが値下げで追い、単価が物価に届かない。上場・データも年 +5% 前後に鈍り、取引所データは顧客団体の反発と SEC の料金の審査で値上げが物価より低くなる。買収の償却が減る効果はあるが、費用の伸びが売上に近く、GAAP の営業利益率の改善は 3 ポイント程度にとどまる。競合に対しては、金融ソフトで有力な一社の位置は保つが、シェアは取れない。
- 指数(Index):数量 15,976(連動する運用資産の年平均(億ドル、推定))× 価格 0.00(運用資産に対する実効の売上率(売上÷運用資産、億ドル/億ドル))→ 売上 16 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量×単価
- 上場とデータ(Data & Listing):数量 38.4(上場会社と市場データの契約(千件、推定))× 価格 0.33(1 千件あたりの売上(億ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量×単価
- ワークフローと洞察(Workflow & Insights):数量 24.4(有料契約(千件、推定))× 価格 0.31(1 千契約あたりの売上(億ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量×単価
- 市場技術・リスク(Capital Markets Technology):数量 2,089(契約顧客(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 17 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量×単価
- 報告規制・取引監視(Regulatory Technology):数量 1,463(契約顧客(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量×単価
- 金融犯罪対策(Financial Crime Management):数量 3,169(契約の金融機関(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量×単価
- 取引(Market Services):数量 202(米国の株式・オプション取引の総売買代金(兆ドル、推定))× 価格 0.08(売買代金 1 兆ドルあたりの純収入(億ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量×単価
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.00%)。事業の ROE 16.3%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 173 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 12.2%、g 4.0%(継続収入の伸びと値上げで、長期の名目は 4% 前後。式は g 4% で計算する)。式の値は 16.8 倍で、これが検査の上限になる。上場・指数・金融ソフトの継続収入が 7 割超の取引所。 上限の 8.5 割の 14.2 倍に置いた。
確率:指数の料率競争と金融ソフトの単価の頭打ちで、伸びが物価を少し上回る程度にとどまる。
悲観 12% 悲観:指数と金融ソフトが競合と AI に負け、のれんも傷む 利益 14 億ドル · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 28.86 ドル167 億ドル
2035 年に純売上は約 56.8 億ドル(年 +0.8%)、営業利益は約 22.0 億ドル(GAAP の営業利益率 39%)、純利益は約 13.5 億ドル。構造的に負ける筋書き。指数連動の運用資産は 2035 年の年平均で約 9,000 億ドルにとどまり(2026 年から株価の長い停滞と、他の指数・低料率の ETF への流出)、料率は年 3% 下がる。金融ソフトは AI で銀行が内製化し、競合の値下げで契約が伸びず、ベラフィンの新規も止まる。のれんの減損 35 億ドルが出て自己資本は膨らまず、取引は株式のトークン化と新興の取引所へ分散して純収入が横ばい。GAAP の営業利益率は 39% まで下がる。もう優良な指数・金融ソフトの成長会社ではなく、取引所の普通の会社に戻る。
- 指数(Index):数量 9,021(連動する運用資産の年平均(億ドル、推定))× 価格 0.00(運用資産に対する実効の売上率(売上÷運用資産、億ドル/億ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量×単価
- 上場とデータ(Data & Listing):数量 33.1(上場会社と市場データの契約(千件、推定))× 価格 0.30(1 千件あたりの売上(億ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量×単価
- ワークフローと洞察(Workflow & Insights):数量 18.1(有料契約(千件、推定))× 価格 0.28(1 千契約あたりの売上(億ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量×単価
- 市場技術・リスク(Capital Markets Technology):数量 1,800(契約顧客(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量×単価
- 報告規制・取引監視(Regulatory Technology):数量 1,200(契約顧客(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量×単価
- 金融犯罪対策(Financial Crime Management):数量 2,872(契約の金融機関(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年間売上(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量×単価
- 取引(Market Services):数量 166(米国の株式・オプション取引の総売買代金(兆ドル、推定))× 価格 0.08(売買代金 1 兆ドルあたりの純収入(億ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量×単価
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.00%)。事業の ROE 10.8%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 125 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 9.4%、g 4.0%(継続収入の伸びと値上げで、長期の名目は 4% 前後。式は g 4% で計算する)。式の値は 14.4 倍で、これが検査の上限になる。上場・指数・金融ソフトの継続収入が 7 割超の取引所。 上限の 8.6 割の 12.4 倍に置いた。
確率:構造的に負ける確率。AI による金融ソフトの内製化と値下げ、取引の分散、指数の料率競争が同時に起きる最悪の筋書きを 1 割強と置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
指数(Index)
ナスダック 100 などの指数に連動する上場投資商品の使用料と、指数のライセンス。
| 数量連動する運用資産の年平均(億ドル、推定) | 価格運用資産に対する実効の売上率(売上÷運用資産、億ドル/億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7,400 | 0.00 | 8 | 6 |
| 10 年後 中立 | 19,194 | 0.00 | 19 | 16 |
取り方:指数の売上 8.27 億ドル(Capital Access Platforms の Index)。連動する上場投資商品の運用資産は 2025 年末 8,820 億ドルで、年平均は約 7,400 億ドルと置いた(推定)。運用資産以外の指数の使用料(先物・オプション・その他のライセンス)を含めた実効の売上率は約 0.11%(推定)。7,400 億ドル × 0.0011176 = 8.27 億ドル。
上場とデータ(Data & Listing)
ナスダックと北欧の上場手数料(年会費・新規上場)と、市場データの配信。
| 数量上場会社と市場データの契約(千件、推定) | 価格1 千件あたりの売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.0 | 0.27 | 8 | 4 |
| 10 年後 中立 | 42.3 | 0.36 | 15 | 9 |
取り方:Data & Listing Services の純売上 8.04 億ドル。上場会社約 4,000 社と有料データ契約を合わせた件数を約 3 万件と置いた(推定。市場データ契約と上場の合算で、細かい内訳は開示がない)。1 千件あたり約 0.268 億ドル。30 千 × 0.268 = 8.04 億ドル。
ワークフローと洞察(Workflow & Insights)
IR・ESG 向けのソフト(取締役会ポータルなど)と、運用会社向けのデータ eVestment。
| 数量有料契約(千件、推定) | 価格1 千契約あたりの売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20.0 | 0.25 | 5 | 2 |
| 10 年後 中立 | 26.9 | 0.34 | 9 | 4 |
取り方:Workflow & Insights の純売上 5.06 億ドル(IR・ESG・eVestment)。有料契約を約 2 万件と置いた(推定)。1 千件あたり約 0.253 億ドル。
市場技術・リスク(Capital Markets Technology)
カリプソ(銀行の取引・リスク・財務)、取引所・清算機関向けの市場技術。
| 数量契約顧客(件、推定) | 価格1 件あたりの年間売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,800 | 0.01 | 11 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2,419 | 0.01 | 23 | 11 |
取り方:Capital Markets Technology の純売上 10.91 億ドル(アデンザのカリプソとナスダックの市場技術)。契約顧客を約 1,800 件(銀行・資産運用・世界の取引所と清算機関)と置いた(推定)。1 件あたり約 61 万ドル。2026 年上半期は +18%(SaaS への移行と上乗せ契約)。
報告規制・取引監視(Regulatory Technology)
アクシオム SL による規制報告と、取引の不正監視。
| 数量契約顧客(件、推定) | 価格1 件あたりの年間売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,200 | 0.00 | 4 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,613 | 0.01 | 9 | 4 |
取り方:Regulatory Technology の純売上 4.28 億ドル。契約顧客を約 1,200 件と置いた(推定)。1 件あたり約 36 万ドル。2026 年上半期は +16%。
金融犯罪対策(Financial Crime Management)
ベラフィン。銀行・信用組合の不正と資金洗浄の対策ソフト。
| 数量契約の金融機関(件、推定) | 価格1 件あたりの年間売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,600 | 0.00 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3,849 | 0.00 | 7 | 4 |
取り方:Financial Crime Management Technology の純売上 3.31 億ドル。契約の金融機関を約 2,600 件(北米の銀行・信用組合が中心)と置いた(推定)。1 件あたり約 12.7 万ドル。2026 年上半期は +22%。
取引(Market Services)
米国株式・オプション・北欧の取引と債券の清算(リベートを引いた純収入)。その他収益 0.6 億ドルを含む。
| 数量米国の株式・オプション取引の総売買代金(兆ドル、推定) | 価格売買代金 1 兆ドルあたりの純収入(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 150 | 0.08 | 13 | 7 |
| 10 年後 中立 | 233 | 0.08 | 20 | 11 |
取り方:Market Services の純収入 12.01 億ドル(総収入 41.70 億ドルから取引リベート 25.28 億ドル・取引費用 4.41 億ドルを引いた値)に、その他収益 0.61 億ドルを足して 12.62 億ドル。米国の株式・オプションの総売買代金を約 150 兆ドルと置き(推定)、1 兆ドルあたり約 0.084 億ドル(ナスダックのシェアと手数料の取り分を合わせた値)。
リスクと懸念
指数の売上が株価の水準に連動する
Index(2025 年 8.3 億ドル、営業利益率 8 割近い)は連動する運用資産に対する料率なので、株価が 3 割下がれば運用資産と売上も同じ程度減る。2026 年上半期の Index 売上の +27% は相場の高さと純流入の両方の結果で、悲観では運用資産が谷で 4 割減ることを置いた。
金融ソフトの AI による置き換えと値下げ
ベラフィン・カリプソ・アクシオム SL は売上の約 35% を占める。大手銀行が AI で自前の不正検知・規制報告を作る、フィサーブ・NICE アクティマイズ・ムレックス・ウォルターズ・クルーワーが値下げで攻める場合、契約の更新で単価が上がらず成長が止まる。悲観ではデータ契約と金融ソフトの数量が横ばい以下。
のれんと買収無形資産
自己資本 122 億ドルに対し、のれん 142 億ドル・無形資産 62 億ドル。アデンザの成長が鈍れば減損が出て、自己資本と帳簿の ROE が崩れる。償却は年 4.9 億ドルで GAAP 利益を押し下げており、悲観では 10 年で 35 億ドルの減損を置いた。
取引量の波と取引所間の競争
Market Services は取引量が急増した 2025 年に純収入が +18% 伸びたが、反動で伸びが戻る可能性がある。リベートの上昇・IEX や MEMX など新興の取引所の台頭で純収入が薄くなる。24 時間取引・トークン化で取引が既存の取引所の外へ分散する危険もある。
上場の件数と質
ナスダックは新規上場の件数で NYSE を上回る(2024 年は 160 件対 34 件)が、小型の上場・SPAC が多く、1 件あたりの売上は小さい。SEC は 2026 年に入りアジア系の 14 社の取引を停止した。IPO が止まると上場・データの新規収益が落ちる。
金利と借り換え
有利子負債 87.6 億ドルは借り換えで約 5.75% になり、純利益は 3 年で約 0.7 億ドル、10 年で約 1.3 億ドル減る。借入は 3 年で約 6 割、10 年で全部が新しい金利になる前提で純利益に入れた。総債務÷EBITDA は 2.6 倍と低いので、財務の存続リスクはない。
費用の増加と AI 投資
2026 年の非 GAAP 費用は +10%(25.3〜25.7 億ドル)と中期の目標(+5〜8%)より高く、AI・クラウドへの投資が先行する。売上の伸びが鈍った年に営業利益率が下がる可能性がある。AI による生産性向上(年 1 億ドル)が実現しなければ、中立の利益率 54% に届かない。
今後の分かれ目
- Index の連動運用資産が 1 兆ドルを割り込む、または 4 半期続けて純流入が前年を下回る
- 指数の売上が株価の水準に引きずられ始めたと見て、やや悲観の確率を上げる。
- ベラフィン・カリプソの新規契約と ARR の伸びが 2 四半期続けて +8% を割る
- AI による置き換えか競合の値下げが効き始めたと見て、金融ソフトの数量と価格を下げ、10 年の悲観を厚くする。
- 2027 年末までにアデンザのクロスセルが年 1 億ドルの売上に届く(または前倒し)
- 買収の価値が実現した証拠として、金融ソフトの成長をやや楽観寄りに見る。
- 株式のトークン化と 23 時間・5 日取引が承認され、取引量と上場が増える
- Market Services と Data & Listing に新しい収益が乗る筋書きとして、楽観の確率を上げる。他の取引所に流れるなら逆に下げる。
- 株価が急落して指数連動の運用資産が 3 割以上減り、同時に IPO が止まる
- 悲観の筋書き(谷の年)に近づく。取引所は混乱で取引量が増える面があるが、指数と上場は落ちる。
- のれんの減損や、ベラフィン・カリプソの大口契約の解約が表に出る
- 金融ソフトの価値が下がったと見て、悲観・やや悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- Index の連動運用資産と四半期の純流入(運用資産 1 兆ドルの水準)
- ARR の伸びと、金融ソフト(ベラフィン・カリプソ・アクシオム SL)の新規契約・更新率
- アデンザのクロスセルの件数と年 1 億ドルの目標の進み具合
- Market Services の純収入と取引量(オプション・株式)、新興の取引所のシェア
- 上場の件数と IPO の市場(ナスダックと NYSE の差)
- 非 GAAP 費用の伸び(+10% の 2026 年から、中期の +5〜8% に戻るか)と償却額
- 株式のトークン化・23 時間取引の承認と規制
倍率と資本コストの決め方
今の PER 31 倍(2025 年の GAAP 純利益)・PBR 4.5 倍を見ずに、7 つの塊を数量×価格で積んで純利益を出し、倍率は利益ベースの正当化 PER((1 − g/RONIC)/(k − g)、RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k))の 8 割前後で置いた。k は基本 8.0% + quality 0%(値決め −0.25%、アデンザの買収で増えた借金 +0.25%)の 8.0%、g は決まりの 4%(k − g = 4.0%)。中立 10 年の PER は 14.7 倍。償却が減る分と規模の経済を営業利益率の上昇(GAAP で 44% から 10 年後 54%)に入れたが、非 GAAP の今の 56% を超えない控えめな置き方(ROE の理由は roe_why)。2025 年の純利益に入っていた持分投資の評価益などの一過性は土台に入れていない。結果の本質価値は今の時価総額を 2 割ほど下回り、やや割高。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.00% = 8.00%。内訳は cycle +0.00・pricing -0.25・debt +0.25・life +0.00(%)で、理由は quality_why。β は使わない。個別の懸念(買収した金融ソフトの統合・取引量の反動・規制)は k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率で表した。