結論
スター・マイカ・ホールディングスは、入居者がいる中古マンションを買い取り、賃料を受け取りながら空室化を待ち、改装して売る会社である。筆者の結論は「適正」だが、積極的に割安とは呼べない。販売戸数の増加と都市部の住宅需要は評価できるものの、在庫を借入金で長く保有する仕組みが、金利上昇と不動産価格の下落に弱いからだ。
2025年11月期の売上高は約692億円、営業利益は73億円、純利益は42億円だった。2026年11月期第3四半期までには、累計営業利益が約98億円へ伸びている。賃貸中物件の売却やファンドへの一括売却が収益を押し上げた。ただし、足元の好調をそのまま10年先へ延ばすのは危うい。在庫の回転が速まった効果と、保有物件の値上がりによる利益は分けて考える必要がある。
10年後の中立では、年間販売戸数が約2,070戸へ増え、営業利益は約130億円になると見る。物価上昇を単価に反映する一方、借り換え金利の上昇が純利益を抑える。5つの筋書きによる本質価値は約433億円で、修正後の現在時価総額約469億円を約8%下回る。価値が大幅に失われる会社とは考えないが、想定外の住宅市況悪化を受け止めるだけの安全域は薄い。
特に重要なのは株数の訂正である。添付データには約4,176万株という値があるが、2026年8月末の決算短信では発行済3,857万9,000株、自己株64万943株であり、自己株控除後は3,793万8,057株となる。東京建物との資本業務提携に伴う増資も完了している。この確定済みの株数と資本増加を評価の起点にし、追加の希薄化を二重に織り込まない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、この会社は「時間を価値に変える事業」である。一般の買い手が敬遠する入居者付きマンションを保有し、家賃を受け取りながら空室化を待つ。優れた仕入れができれば、待つこと自体が利益の源泉になる。都市部に多くの物件を持ち、仲介網と資金調達の仕組みを積み重ねてきた実績には価値がある。
だが、株主が自由に使える利益は会計上の純利益と同じではない。売上を増やすには、先に多額の現金で中古物件を買い、改装費を払い、何か月も待たなければならない。営業利益が伸びても、販売用不動産の残高がそれ以上に膨らめば、株主の財布に入る現金は乏しい。2025年末の純有利子負債は773億円で、自己資本の2.6倍に上る。資産を持つことが競争力の源泉であると同時に、弱点でもある。
2025年の在庫不動産には約339億円の含み益が開示されている。これは重要な安全余力だが、利益の二重計上はしない。含み益を実現するには売却が必要であり、その売却益は将来の損益計算書にも現れる。含み益を丸ごと資産価値へ加え、そのうえで将来の販売利益にも倍率を掛ければ、同じ利益を二度買うことになる。
投資家が求めるべき経営の規律は明確だ。仕入れ価格を抑え、回転期間を短くし、金利が上がっても粗利が十分残る物件だけを買うことである。東京建物との提携やファンド化も、この規律を強める限り歓迎できる。逆に、売上高の成長を優先して借入と在庫を膨らませるなら、10年後の規模が大きくなっても株主価値は増えにくい。
筆者は、事業の存続可能性よりも、追加投資の利回りの持続性を重視する。会社には良い仕組みがある。しかし、誰もが安定的に値上げできる独占企業ではない。現時点の価格は中立の価値に近く、借入と物件価格が同時に逆風を受けた場合の安全域を十分に確保できていない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、入居者付きの区分所有マンションを安く仕入れ、時間をかけて価値を実現する事業である。オーナーチェンジ物件は、買い手がすぐに住めない分、空室の同等物件より売買価格が低くなりやすい。会社は保有中に家賃を得て、退去後にリノベーションを施し、実需の購入者へ売却する。入居者の退去時期を会社が決められないことが、参入障壁にも在庫リスクにもなっている。
2025年11月期の住宅販売は1,721戸だった。その内訳は、入居者付きで仕入れて改装後に売る区分が441戸、入居者付きのまま売る区分が537戸、空室を改装して売る区分が743戸である。住宅販売売上は約614億円に達し、保有中の賃貸収入約46億円と合わせてリノベマンション事業の大部分を占めた。改装後の実需向け販売は単価が高いが、工事費と販売費もかかる。入居者付きでの売却は粗利率が比較的低くても、資金の回収を早める意味が大きい。
会社は約4,000戸のマンションを保有し、首都圏だけでなく関西や主要地方都市にも仕入れ網を持つ。物件の取得から賃貸管理、退去後の改装、仲介業者を通じた売却までを一つの流れとして運営できる。競合との違いは完成した部屋の内装だけではない。長い保有期間を前提に仕入れ値を判断し、入居中の物件を一定規模で保有できる資金力と管理能力にある。
このほか、投資用不動産の売却や運用を行うインベストメント事業、不動産売買仲介や資産運用支援を行うアドバイザリー事業がある。2026年には日本政策投資銀行などと連携した不動産ファンドへの販売も進めた。2026年第3四半期の入居者付き物件の販売には、ファンド向け191戸が含まれる。物件を自社で抱え続ける代わりに外部資金へ移すことで、回転期間を短くする試みだ。ただし、ファンドへの売却と、その後の最終投資家への売却を自社の販売数量として二重に数えてはならない。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、独占的な商品ではなく、仕入れと在庫管理の積み重ねにある。入居者がいる区分所有マンションを大量に扱うには、仲介業者から物件情報を集め、建物の状態と賃貸契約を確認し、空室になるまでの期間と改装費を見積もる経験が要る。2026年の買取再販戸数ランキングでは全住宅種別で上位に入り、マンション分野ではレジデンシャル不動産に次ぐ規模にある。この実績は、仲介網や金融機関との関係を保つうえで有利に働く。
しかし、本物の価格決定力があるかと問われれば、答えは慎重になる。不動産は個別性が強く、良い物件を高値で仕入れれば将来の利益が消える。売値は周辺の成約相場、住宅ローン金利、買い手の所得によって決まる。改装の品質で選ばれる余地はあるが、他社が似た内装と価格を提示することも難しくない。継続課金ソフトのような解約困難性もない。堀は普通の強さであり、特別に強いものではない。
実績面では、2019年から2025年までの自己資本利益率の中央値は約11.5%で、概ね資本コストを超えてきた。2025年は14.1%へ改善し、物件を仕入れてから販売するまでの期間短縮が利益の増加に寄与した。ただし、同じ期間に純有利子負債は507億円から773億円へ増え、2026年8月末にはさらに膨らんでいる。高い自己資本利益率の一部は、資産の値上がりと大きな借入によって生まれた結果でもある。
2026年の東京建物との資本業務提携は、調達先と出口を増やす好機である。反面、外部資本が入ったことで既存株主の持分は薄まった。評価すべきなのは調達そのものではなく、増資資金を使って獲得した物件が資本コストを上回る利益を生むかどうかだ。10年後には、この問いに対する答えが今より明瞭になっているはずである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中古住宅の買取再販市場は、住宅の新築価格上昇と既存住宅の活用拡大を追い風に成長してきた。業界資料では市場規模が約1兆7,600億円に達し、前年から約23%増えたとされる。ただし、これは戸建住宅も含む広い市場の金額であり、入居者付き中古マンションの市場規模ではない。同社のリノベマンション事業売上約660億円を単純に比較すれば約3.8%に当たるが、厳密なシェアではなく事業規模の目安にすぎない。
マンションの買取再販では、レジデンシャル不動産が年間2,422戸、スター・マイカが1,721戸、ホームネットが約1,300戸、大京穴吹不動産が約1,200戸の規模にある。戸建て中心のカチタスは6,422戸を販売しているが、商品と地域構成が異なるため直接比較には注意が要る。市場全体の成約件数に対する同社の厳密な比率は公表されていない。今後の成長は市場の大幅な拡大を期待するよりも、都市部の仲介網を通じて取得と販売のシェアを高められるかにかかっている。
東日本レインズによれば、2025年の首都圏中古マンション成約件数は4万9,114件、平均成約価格は約5,200万円だった。一方、2026年夏には成約件数の減少や在庫の増加が見られ、一本調子の上昇相場ではなくなっている。人口減少は全国の住宅需要を細らせるが、都市部の利便性の高い既存マンションには一定の更新需要が残る。10年の中立では、業界の実質取引数量を横ばいに近い姿とし、売値には年3%の物価上昇を織り込む。会社固有の販売戸数増加は市場全体の伸びではなく、シェアの拡大として扱う。
最大の変化は金利である。住宅ローン金利が上がれば購入者の返済可能額は縮む。一方、在庫を保有する事業者も借入の借り換えで負担が増すため、仕入れ時と売却時の両方から利幅が削られる。建築費とリノベーション費も上がる。既存物件の帳簿価額は過去の取得原価のままだが、将来の改装や取得には新しい価格で現金を投じなければならない。
入居者保護も忘れてはならない。賃貸借契約が続く限り、売却に適した空室を自由に作れるわけではない。短期の価格変動よりも、退去を待つ期間が延びて資金効率が悪くなることが、10年間の企業価値をじわじわと傷つける可能性がある。
資本政策と M&A
会社は中期経営計画「Find the Value 2026」で、入居者付き物件への回帰、都市部のシェア拡大、改装工程の見直し、在庫回転期間の短縮、ファンド化を掲げた。当初の2026年11月期目標は売上高700億円、営業利益70億円、純利益38億円だった。その後の見直しを経て、2026年9月末時点の通期予想は売上高約892億円、営業利益約104億円、純利益約60億円となった。経営効率の目標にはROE12%以上、営業利益率10%以上、自己資本比率25%以上、販売用不動産残高1,000億円以上がある。
株主還元では、総還元性向40%を目指し、配当性向30%程度を基本とする。自社株買いは特にPBRが1倍を下回るような場面で機動的に行う方針だ。2021年から2025年にかけて増配を続け、発行済株式から自己株を引いた株数も一時減少した。利益の全額を在庫拡大へ回す経営ではなく、株主への現金還元を明確に約束している点は評価できる。
ただし、2026年には東京建物との提携に伴い3,823,100株を新規発行し、約65.6億円を調達した。発行価格には当時の市場価格に対する上乗せがあり、資金調達条件は比較的良好だった。東京建物は売出しによる取得分も合わせて約13.74%を保有する。これは完全子会社化や上場廃止の決定ではなく、資本業務提携である。調達資金の使い道と、既存株主の持分利益の伸びが釣り合うかを今後も確かめる必要がある。
10年の中立では、期間中の純利益の約40%を配当と自社株買いで還元し、残りを在庫取得、借入負担の軽減、資本の積み増しに使う。将来のファンド化によって資産回転が改善すれば、同じ自己資本でより多くの利益を稼げるが、物件をファンドへ移しただけで経済的なリスクが完全に消えるとは考えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
入居者付き中古マンションを大量に買い、空室化を待ちながら賃料を得る仕組みは簡単にまねできない。仕入れには仲介網、物件評価の経験、長期資金、入居者管理が必要であり、短期転売を中心とする競合とは戦い方が違う。会社は約4,000戸の保有物件から賃料を得ており、物件ごとの退去時期が分散するため、一定の販売機会が毎年生まれる。今後も都市部に良質な中古住宅が供給されれば、仕入れと売却の両方で規模の利点を生かせる。
2026年には年間販売の増加に加えて、入居者付き物件をファンドへ売る手法が具体化した。日本政策投資銀行などの参加する仕組みが育てば、自社で長く在庫を保有する必要が減り、資本回転率を高められる。さらに東京建物との提携は、資金調達だけでなく、物件取得、販売網、共同投資の広がりにつながる可能性がある。管理・仲介報酬も増えれば、自己資本を大きく積み増さずに収益を伸ばせる。
住宅価格の長期上昇にも意味がある。取得原価で計上された在庫を保有し、退去した時点で高い名目価格で販売できれば、インフレが仕入れ済み物件の含み益を実現させる。会社が公表した2025年の在庫含み益は、仕入れ値と将来売値の間に一定の余裕があった証拠である。物価上昇と同時に在庫の回転も改善するなら、売上だけでなく利益額も相応に増える。
2026年の資本調達は、発行価格を高く保ちつつ戦略的な株主を迎えた取引だった。増資資金を高採算の仕入れへ振り向け、総還元性向40%も維持できれば、成長と還元を両立できる。10年後も都市部の中古住宅需要が堅調で、同社が年間3,000戸近い販売能力を獲得する姿は、実行力次第で十分にありうる。
慎重な見方
この会社の利益は、住宅相場が上昇し、仕入れた物件を予定どおり売れる時に最も大きくなる。今後10年間の物価上昇が必ず不動産価格の上昇につながるわけではない。住宅ローン金利が上がれば、所得に対して購入可能な価格が下がる。空室にならない物件を長く抱える間にも借入利息は発生し、管理費、修繕積立金、固定資産税を払い続ける必要がある。
2025年末の純有利子負債は773億円だったが、2026年8月末の在庫増加によって資金負担はさらに重くなった。低金利時代に見込んだ仕入れ利益が、借り換え後の利息と改装費の上昇で消える可能性がある。金融機関が融資姿勢を厳しくすれば、値下げしてでも物件を売却せざるをえない。こうした局面では、平時に公表された在庫含み益も急速に縮み、簿価を割る評価損が生じうる。
競争相手も弱くない。レジデンシャル不動産やホームネット、大京穴吹不動産に加え、不動産仲介会社や投資ファンドも良質な中古マンションを探している。特に都心の物件価格が高止まりすれば、売却時の利幅は仕入れ段階で薄くなる。仲介網の規模が大きくても、競合より常に安く仕入れられるとは限らない。
ファンド化も万能ではない。資産を外部投資家へ移す際、利益相反や売却価格の妥当性を管理する必要がある。好況期には在庫の出口を増やしても、市況悪化時にはファンド投資家も購入を控えうる。さらに増資を重ねれば、会社全体の売上や利益が伸びても既存株主の取り分が伸びない。会計上の含み益や目先の高いROEよりも、借入返済後の現金が確実に株主へ戻るかを重視すべきである。
どちらに重みを置いたか
事業の独自性と足元の実行力では強い見方に説得力がある。特に入居者付き物件の仕入れ経験と、ファンドを利用した資本回転の改善は無視できない。一方で、価格決定力が弱く、純有利子負債が自己資本を大きく上回る点は10年間の不確実性を高める。中立を35%とし、上側28%に対して下側を37%へやや厚くした。金利と在庫価格の逆風が同時に起こる可能性を重視したためで、現在の株価が高いから確率を操作したわけではない。結論は概ね適正だが、長く持つ株主が求める十分な安全域まではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,880 円713 億円(+ 還元の換算額還元の合計 589 円223 億円)。 今の値に割り戻すと 1,177 円446 億円、今との差 −3.4%、 期待の年率 +8.6%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 4,330 円1,643 億円 | 1,041 円395 億円 | +341.0% | +18.7% | 483 円183 億円 |
| やや楽観 | 19% | 2,945 円1,117 億円 | 825 円313 億円 | +209.6% | +14.1% | 716 円272 億円 |
| 中立 | 35% | 1,880 円713 億円 | 641 円243 億円 | +106.9% | +8.9% | 882 円335 億円 |
| やや悲観 | 25% | 883 円335 億円 | 369 円140 億円 | +2.8% | +0.3% | 313 円119 億円 |
| 悲観 | 12% | 429 円163 億円 | 185 円70 億円 | −49.6% | −7.6% | 74 円28 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,880 円713 億円 | 589 円223 億円 | +102.7% | +8.6% | 2,469 円937 億円 |
今の株価時価総額 1,218 円462 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 都市部の仕入れ網が広がり、ファンド化で資本回転も改善 利益 136 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,330 円1,643 億円
東京建物との提携を通じて都市部の物件情報と販売経路が広がり、入居者付きマンションの仕入れ量が増える。会社は賃料を取りながら空室化を待つ従来の方法を保ちつつ、保有期間の長い物件は外部ファンドへ移す。日本政策投資銀行などが参加した仕組みが、継続的な資金回収の経路へ育つ。年間販売戸数は改装後販売と入居者付き販売を合わせて2,900戸に達する。
都市部の中古住宅価格は物価上昇に沿って高まり、仕入れの段階で得られる価格差も十分に残る。規模拡大により改装工程と仲介網の効率が上がり、販売戸数の増加が利益の拡大につながる。賃貸収入も保有戸数の増加に応じて伸びる。アドバイザリーではAIによる書類作成の省力化を進め、管理と仲介の付加価値を守る。
この場合でも借入は重要な資金源だが、物件回転の改善が利払い負担を吸収する。2026年に調達した資本は高利回りの仕入れへ使われ、利益の約4割を株主に還元しながら自己資本を積み増す。長く持つ株主にとって、売上拡大ではなく資本回転と還元の両立が成功した10年となる。
- 入居者付き仕入れ・退去後リノベーション販売:数量 1,100(年間販売戸数(戸))× 価格 0.57(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 627 億円・営業利益 176 億円。販売戸数約2.49倍、単価約1.50倍。仕入れ規模と改装効率がともに改善する。利益は販管費配賦前。
- 入居者付き物件の直接売却・ファンド向け売却:数量 700(年間販売戸数(戸))× 価格 0.35(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 245 億円・営業利益 39 億円。ファンド向け売却を含む700戸。取引を二重計上せず、回転改善を重視する。
- 空室マンションの取得・リノベーション販売:数量 1,100(年間販売戸数(戸))× 価格 0.65(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 715 億円・営業利益 104 億円。都市部でシェアを伸ばし、改装費上昇を売価に転嫁する。
- 販売待機中のマンション賃貸:数量 5,500(期末保有マンションの年間賃貸換算戸数(戸))× 価格 0.02(保有1戸当たり年間賃貸売上高(億円))→ 売上 101 億円・営業利益 56 億円。保有戸数を増やし、適正な賃料改定も進む。
- インベストメント事業:数量 5.0(大型投資・売却案件の換算件数(件))× 価格 16(換算1案件当たり売上高(億円))→ 売上 80 億円・営業利益 14 億円。大型投資案件が増加する。件数は換算件数であり実案件数ではない。
- アドバイザリー・仲介・運用支援:数量 250(年間の手数料契約換算件数(件))× 価格 0.05(契約1件当たり平均手数料売上高(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 10 億円。AIエージェント代替を受けても契約数量を現状維持し、手数料単価は約1.32倍にとどめる。
倍率:10年後ROEは136÷954=14.26%。資本コスト9%、堀の残存割合1/2から増分資本利益率RONICは11.63%。長期名目成長率2.5%を用いた正当化PER=(1−0.025÷0.1163)÷(0.09−0.025)≒12.08倍。市場の過去のPERは用いない。借入の借り換え金利と拡大する在庫の調達コストは純利益に織り込み、利益136億円に対する倍率から時価総額を算出した。
確率:入居者付き物件の調達、年間販売3,000戸近い体制、ファンドへの継続売却、借入管理を同時に成功させる必要がある。東京建物との提携は好材料だが、10年連続で高い投資利回りを確保する難しさから9%とした。
やや楽観 19% 販売戸数が増え、ファンド化も定着する 利益 96 億円 · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,945 円1,117 億円
入居者付きの中古マンションを扱う仕入れ網が首都圏と関西を中心に広がり、年間販売戸数は約2,480戸となる。改装後の実需向け販売を増やしながら、売却に時間がかかる物件はファンドにも販売する。資産の流動化は一部の案件にとどまるが、滞留する在庫を減らす実務的な効果を持つようになる。
市場全体の住宅取引件数が大きく伸びなくても、会社は仲介業者との取引件数を増やしてシェアを獲得する。売却単価は物価上昇に加えて利便性の高い都市部への物件集中が支えとなる。工事費と人件費も上昇するが、改装工程の標準化によって粗利益率を概ね守る。賃貸物件の保有規模も緩やかに拡大する。
借入金利は高くなるものの、利益額の成長が利払い増加を上回る。会社は総還元性向40%程度を継続し、利益を再投資しても自己資本利益率が資本コストを上回る。強い独占企業にはならないが、資本を上手に使う中古住宅流通企業としての地位を一段高める10年になる。
- 入居者付き仕入れ・退去後リノベーション販売:数量 900(年間販売戸数(戸))× 価格 0.55(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 495 億円・営業利益 129 億円。都市部で仕入れシェアを高め、改装後販売を900戸へ増やす。
- 入居者付き物件の直接売却・ファンド向け売却:数量 600(年間販売戸数(戸))× 価格 0.34(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 201 億円・営業利益 29 億円。資金回収を早める目的で、入居者付き物件の売却を継続する。
- 空室マンションの取得・リノベーション販売:数量 980(年間販売戸数(戸))× 価格 0.62(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 611 億円・営業利益 79 億円。既存住宅需要を捉えて販売戸数と単価を伸ばす。
- 販売待機中のマンション賃貸:数量 5,000(期末保有マンションの年間賃貸換算戸数(戸))× 価格 0.02(保有1戸当たり年間賃貸売上高(億円))→ 売上 86 億円・営業利益 45 億円。保有戸数増加と賃料改定により収益が伸びる。
- インベストメント事業:数量 4.0(大型投資・売却案件の換算件数(件))× 価格 15(換算1案件当たり売上高(億円))→ 売上 61 億円・営業利益 10 億円。少数の大型案件から収益を得る。
- アドバイザリー・仲介・運用支援:数量 230(年間の手数料契約換算件数(件))× 価格 0.05(契約1件当たり平均手数料売上高(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 9 億円。AIによる事務作業の代替を一部受け、契約件数は現状より減る。
倍率:10年後ROEは96÷830=11.57%。k9%、堀の残る割合1/2からRONIC10.28%。g_long2.5%により正当化PER=(1−0.025÷0.1028)÷0.065≒11.64倍を用いる。資本コストを超える増分収益は将来に半分残るものとし、上限から任意に割り引かない。
確率:現在の販売能力と2026年のファンド向け取引の実績から見て十分に到達可能だが、競合より有利な仕入れ価格を維持し続ける必要がある。強気の中でも継続的な実行力を求められるため19%とした。
中立 35% 都市部のシェアは伸びるが、金利負担が収益を抑える 利益 61 億円 · PER 11.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,880 円713 億円
都市部の中古マンション市場は新築価格の高さを背景に需要を保つが、人口減少と住宅ローン金利の上昇によって取引数量は大きく増えない。会社は仲介網を広げ、年間販売戸数を2025年の1,721戸から約2,070戸へ増やす。成長の源泉は市場全体の膨張ではなく、競合からの緩やかなシェア獲得である。
入居者付き物件の売却を適度に活用し、保有戸数は約4,200戸へ増える。リノベーション単価はおおむね物価の上昇に従う。ただし、工事費と人件費も上昇するため、販売額の増加がそのまま利益率の改善にはつながらない。ファンド向け販売は在庫回転の補助手段として残るが、会社の主な稼ぎは引き続き自ら物件を仕入れて売る行為から生まれる。
金融機関からの借入には高い金利が適用され、利払いが営業利益の伸びを一部相殺する。アドバイザリー事業の人月型業務ではAIエージェント代替が進み、契約数量が縮小する。会社全体では営業利益が増えても、純利益と自己資本の増加が釣り合わず、ROEはかつての水準を下回る。株主還元の約束は守るが、価格決定力の弱い不動産企業としての限界も明らかになる10年である。
- 入居者付き仕入れ・退去後リノベーション販売:数量 700(年間販売戸数(戸))× 価格 0.51(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 356 億円・営業利益 89 億円。数量は約1.59倍、単価は物価上昇に沿う約1.34倍。
- 入居者付き物件の直接売却・ファンド向け売却:数量 520(年間販売戸数(戸))× 価格 0.31(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 162 億円・営業利益 21 億円。回転改善のための入居者付き売却を維持しつつ、粗利率は保守的に見る。
- 空室マンションの取得・リノベーション販売:数量 850(年間販売戸数(戸))× 価格 0.58(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 493 億円・営業利益 57 億円。数量は約1.14倍、単価は物価上昇に沿う約1.34倍。
- 販売待機中のマンション賃貸:数量 4,200(期末保有マンションの年間賃貸換算戸数(戸))× 価格 0.02(保有1戸当たり年間賃貸売上高(億円))→ 売上 67 億円・営業利益 34 億円。保有戸数は微増し、賃料の換算単価は物価に沿って上昇する。
- インベストメント事業:数量 3.0(大型投資・売却案件の換算件数(件))× 価格 15(換算1案件当たり売上高(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 6 億円。案件件数は緩やかに増える。大型案件の変動は平準化する。
- アドバイザリー・仲介・運用支援:数量 175(年間の手数料契約換算件数(件))× 価格 0.05(契約1件当たり平均手数料売上高(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 6 億円。AIエージェント代替により手数料契約換算数量0.70倍、単価1.20倍。法的資格と現場対応を伴う業務は残る。
倍率:10年後ROEは61÷726=8.40%でk9.0%を下回る。新たな資本投下は資本コストを稼げないため、長期成長に超過価値を与えず、利益の稼ぐ力に対する上限1÷0.09=11.11倍とする。純利益は営業利益約129.6億円に、過去の税負担と純利益転換率、借り換え金利上昇による税後約13億円の追加負担を反映させた。
確率:すでに確立した仕入れ・販売網と2026年の実績を出発点に、販売戸数の緩やかな増加は可能と判断する。一方、住宅取引市場全体の実質数量は横ばいに近く、借入金利も上昇するため、現在の高成長が続くとは見ない。中心の筋書きとして35%とした。
やや悲観 25% 中古住宅の流通は続くが、仕入れ競争と金利に利幅を削られる 利益 27 億円 · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 883 円335 億円
中古マンションへの実需は残るものの、住宅ローン金利の上昇が購入者の予算を抑え、販売までの期間が長くなる。会社は年間販売戸数を約1,670戸へ減らす。入居者付き物件の退去が想定より遅く、物件を値下げして売る場面も増える。都市部の仲介業者とのつながりは維持できるが、優良物件を安く仕入れる機会は限られる。
レジデンシャル不動産や大京穴吹不動産などとの競争が続き、仕入れ時に確保できる価格差は縮む。ファンド向け売却は利用できても、ファンド投資家の期待利回りが高まるため、会社に有利な条件で大量売却することは難しい。物価上昇によって売上は2025年を上回るが、改装費と保有費用を差し引いた利益率は低下する。
借入返済と自己資本比率の維持を優先し、総還元性向は通常より低くなる。会社は赤字には陥らず、物件の仕入れと販売を継続するが、新たな投資の利回りは資本コストを大きく下回る。10年後も事業は必要とされている一方、かつての資本効率を取り戻す見通しは弱い。
- 入居者付き仕入れ・退去後リノベーション販売:数量 520(年間販売戸数(戸))× 価格 0.47(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 244 億円・営業利益 49 億円。販売戸数と値決め力が落ち、粗利益率も低下する。
- 入居者付き物件の直接売却・ファンド向け売却:数量 410(年間販売戸数(戸))× 価格 0.29(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 118 億円・営業利益 12 億円。金利負担を減らすため売却するが、買い手の要求利回りは高い。
- 空室マンションの取得・リノベーション販売:数量 740(年間販売戸数(戸))× 価格 0.53(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 392 億円・営業利益 35 億円。売価の伸びが建築費・改装費の上昇に追いつかない。
- 販売待機中のマンション賃貸:数量 4,000(期末保有マンションの年間賃貸換算戸数(戸))× 価格 0.02(保有1戸当たり年間賃貸売上高(億円))→ 売上 61 億円・営業利益 30 億円。長期保有と空室化遅延によって収益効率が低下する。
- インベストメント事業:数量 2.0(大型投資・売却案件の換算件数(件))× 価格 14(換算1案件当たり売上高(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 3 億円。大型投資の拡大を控え、既存案件の回収を優先する。
- アドバイザリー・仲介・運用支援:数量 145(年間の手数料契約換算件数(件))× 価格 0.04(契約1件当たり平均手数料売上高(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 4 億円。AI代替と案件減少によって契約数量が縮小する。
倍率:10年後ROEは27÷658=4.10%でk9%を下回る。事業の稼ぐ力の上限1÷k=11.11倍より低い9.5倍とし、追加投資の低収益と不安定な在庫回転を反映する。時価総額256.5億円は、下記の現在資産の保守的な換金価値245億円を上回り、過去の株式市場のPBRを根拠にしていない。
確率:自己資本に比べ借入が大きく、在庫の販売が少し遅れるだけでも資本効率が落ちる。都市部への人口集中は需要を支えるが、競合も同じ物件を狙う。金利上昇と仕入れ価格の競争が続く可能性を重く見て25%とした。
悲観 12% 住宅価格下落と借入制約で、在庫の一部を損失処分 利益 −5 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 429 円163 億円
住宅ローン金利の上昇と都市部の中古住宅価格の調整が長引き、仕入れた価格で物件を売れなくなる。入居者が退去せず保有期間が長期化し、管理費と利息が積み上がる。会社は資金を確保するため、入居者付き物件と空室物件の両方を値下げして売却する。年間販売戸数は約1,250戸まで縮小し、改装後の販売価格も物価の上昇に追いつかない。
銀行は融資額と担保評価を厳しく管理し、会社は新規仕入れよりも既存在庫の圧縮を優先する。ファンドへの売却価格も下がり、保有不動産の一部には減損や棚卸資産評価損が発生する。長年かけて積み上げた仲介網は残るが、仕入れから販売までの価格差を安定的に確保できなくなる。会社は営業拠点や人員を削減するものの、事業規模の縮小だけでは金利負担を吸収できない。
2026年の増資で得た資金は防波堤になるが、10年間を通じた在庫評価損と低収益によって自己資本が目減りする。中盤までに実施した配当も含めた株主還元は約70億円にとどまる。事業の存続を前提としても、10年後には従来の高いROEを失い、既存株主にとって厳しい結果となる。
- 入居者付き仕入れ・退去後リノベーション販売:数量 380(年間販売戸数(戸))× 価格 0.44(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 165 億円・営業利益 20 億円。販売戸数が減少し、処分価格が仕入れと改装費に圧迫される。
- 入居者付き物件の直接売却・ファンド向け売却:数量 270(年間販売戸数(戸))× 価格 0.27(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 73 億円・営業利益 3 億円。ファンド向けを含む入居者付き売却でも利益がほとんど残らない。
- 空室マンションの取得・リノベーション販売:数量 600(年間販売戸数(戸))× 価格 0.48(販売1戸当たり平均売上高(億円))→ 売上 288 億円・営業利益 13 億円。工事費を十分に回収できず、粗利益率が大きく低下する。
- 販売待機中のマンション賃貸:数量 3,600(期末保有マンションの年間賃貸換算戸数(戸))× 価格 0.01(保有1戸当たり年間賃貸売上高(億円))→ 売上 51 億円・営業利益 22 億円。一部物件の処分と管理費上昇によって賃貸利益が減る。
- インベストメント事業:数量 1.0(大型投資・売却案件の換算件数(件))× 価格 12(換算1案件当たり売上高(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。大型投資を大幅に縮小し、保有資産の回収を優先する。
- アドバイザリー・仲介・運用支援:数量 110(年間の手数料契約換算件数(件))× 価格 0.04(契約1件当たり平均手数料売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。案件減少とAIエージェント代替で人月・調査系の売上が縮む。
倍率:最終年は純損失5億円で、利益に正当化PERを掛けられない。現在の自己資本296.1億円を基準とする保守的な資産価値の目安にPBR0.55倍を適用し、約163億円とする。10年後の自己資本296億円は物件損失処理を経て現在の帳簿純資産程度まで減る想定であり、将来積み上がった大きな自己資本に床のPBRを掛けてはいない。過去の市場PBRは使わず、資産換金価値160億円を下回らないことを確認する。
確率:人口減少だけではここまで悪化しないが、住宅ローン金利上昇、在庫価格下落、銀行の融資厳格化が同時に起こる可能性がある。2026年時点で純有利子負債が約950億円に達しているため、構造的な失敗を無視できず12%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
入居者付き仕入れ・退去後リノベーション販売
賃貸中の区分所有マンションを取得し、空室化を待って改装し、主として実需の購入者に売却する。
| 数量年間販売戸数(戸) | 価格販売1戸当たり平均売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 441 | 0.38 | 167 | 40 |
| 10 年後 中立 | 700 | 0.51 | 356 | 89 |
取り方:2025年11月期決算説明資料の販売区分別441戸を使用。全社住宅販売約613.8億円を、会社の別期開示にある区分別平均単価や構成比から配分し、441戸×約0.3796億円=約167.4億円と推計した。2026年11月期第3四半期には同区分497戸、平均単価約0.413億円、粗利益率27.7%の実績を確認した。2025年の区分別売上と粗利益は推計であり、op_okuは販管費配賦前の粗利益相当額。
入居者付き物件の直接売却・ファンド向け売却
入居者がいる状態で物件を売却し、改装による高い単価よりも在庫回転と資金回収を優先する。ファンド向け一括販売を含む。
| 数量年間販売戸数(戸) | 価格販売1戸当たり平均売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 537 | 0.23 | 125 | 16 |
| 10 年後 中立 | 520 | 0.31 | 162 | 21 |
取り方:会社資料の2025年11月期販売537戸を数量に用い、住宅販売総額と他2区分の単価から平均0.232億円を推計した。2026年第3四半期は360戸、平均単価約0.253億円、粗利益率16.9%。この360戸には不動産ファンドへ売却した191戸が含まれ、最終投資家への再販売と二重計上しない。op_okuは推計した販管費配賦前の粗利益相当額。
空室マンションの取得・リノベーション販売
既に空室となった中古マンションを取得し、改装して居住者へ販売する。入居者付き物件より短い期間で販売できる。
| 数量年間販売戸数(戸) | 価格販売1戸当たり平均売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 743 | 0.43 | 322 | 33 |
| 10 年後 中立 | 850 | 0.58 | 493 | 57 |
取り方:会社の2025年11月期販売743戸と、住宅販売約613.8億円から入居者付き2区分を除いた推計売上321.8億円を用いる。平均販売単価は約0.433億円。2026年第3四半期実績は581戸、平均単価約0.497億円、粗利益率11.7%。2025年の売上内訳および販管費配賦前粗利益は会社全体の粗利益に合うよう推計した値である。
販売待機中のマンション賃貸
売却前に保有する区分所有マンションから家賃収入を得る。物件の売却や空室化によって保有戸数は変動する。
| 数量期末保有マンションの年間賃貸換算戸数(戸) | 価格保有1戸当たり年間賃貸売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 3,893 | 0.01 | 46 | 24 |
| 10 年後 中立 | 4,200 | 0.02 | 67 | 34 |
取り方:2025年11月末保有約3,893戸と年間賃貸売上約46.2億円を使用。1戸当たり年間約119万円に相当するが、空室、取得・売却時期、地域や間取りの違いを全て含む換算値であり、公表平均契約家賃ではない。op_okuは会社資料の賃貸粗利益に近い販管費配賦前の利益相当額。
インベストメント事業
一棟物件などの不動産投資・売却による収益を得る。案件ごとの規模が異なり、収益は年度によって振れやすい。
| 数量大型投資・売却案件の換算件数(件) | 価格換算1案件当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 2.0 | 11 | 22 | 3 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 15 | 44 | 6 |
取り方:2025年11月期のインベストメント事業売上約21.7億円を使用。大型案件の実際の件数と平均売却単価は比較可能な形では開示されていないため、年2件換算、平均10.84億円とした分析上の単位であり、実際に2件を売ったという主張ではない。純粋な売却代金と運用収益が混在するため、将来予測では件数を慎重に扱う。利益2.8億円は粗利益相当額。
アドバイザリー・仲介・運用支援
不動産の売買仲介、資産運用支援、ファンド関連の管理・助言などから手数料を得る。
| 数量年間の手数料契約換算件数(件) | 価格契約1件当たり平均手数料売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 250 | 0.04 | 10 | 8 |
| 10 年後 中立 | 175 | 0.05 | 8 | 6 |
取り方:2025年11月期のアドバイザリー売上約9.8億円を、比較可能な手数料契約250件、平均390万円に換算した推計。会社が契約250件を開示したわけではない。法的資格や現場確認を伴う仲介と、人月・調査・書類作成で売る支援業務が混在する。AIエージェント代替が進む事務・調査部分を中心に中立の数量を10年で0.70倍、単価を1.20倍とする。op_okuは販管費配賦前の粗利益相当額。
リスクと懸念
借入金利と在庫保有期間の悪化
2025年末の純有利子負債は773億円、2026年8月末には約950億円へ増えている。新規借入と借り換えの金利が3.5%前後へ上昇すれば、2025年の負債規模だけでも年間利払いが税前約19億円増える可能性がある。販売が遅れても利息は止まらない。金利と在庫回転期間を同時に監視する必要がある。
中古住宅価格の下落と含み益の消失
2025年の在庫不動産には約339億円の含み益が開示されているが、これは将来の売却価格に依存する。住宅ローン金利が上がり、買い手の予算が縮めば、値下がりと売却期間の長期化が重なりうる。高い簿価で取得した在庫の評価損が発生すれば、自己資本と金融機関の担保評価にも打撃が及ぶ。
仕入れ競争と改装費の上昇
レジデンシャル不動産、ホームネット、大京穴吹不動産などが同じ都市部の物件を求めれば、取得価格が上がり仕入れ段階の利益余地は狭くなる。インフレ下では改装工事の人件費と材料費も増える。売却単価に費用上昇を転嫁できなければ、取扱戸数が増えてもオーナー利益は増えない。
入居者の退去遅延と賃貸借契約
賃貸中物件の安価な取得は強みだが、退去の時期を会社が自由に決めることはできない。保有期間が長引けば、賃料収入があっても金利、管理費、修繕積立金、税金が積み重なる。空室化を待たずに売れば回収は早まる一方、改装後に実需向けへ販売する場合より利幅が薄くなることがある。
ファンド化と資本業務提携の収益性
ファンドへの売却は在庫回転の改善に有効だが、買い手の要求利回りが高まれば有利な価格で売れなくなる。運用・仲介手数料の拡大は可能でも、不動産の値下がりを最終的に誰が負担するかを契約で確かめる必要がある。東京建物との提携も、調達した資本が十分な投資利回りを生まなければ既存株主の利益を薄める。
AIエージェント代替
主力の物件取得、現地調査、改装、賃貸管理、売却は現物不動産を扱うためAIだけでは代替できない。一方、アドバイザリー事業の調査、資料作成、定型的な助言や仲介事務はAIエージェントによる自動化と手数料引下げの影響を受ける。中立ではこの部分の契約数量を10年で約3割減らし、長期の成長余地も抑えた。
株式希薄化と資本配分の規律
2026年の第三者割当増資で3,823,100株が新たに発行された。発行価格に一定のプレミアムがあっても、株主の持分比率は薄まる。今後も在庫拡大のために増資を続ければ、会社全体の利益が伸びても既存株主の取り分は伸びにくい。仕入れ利回り、増資後のROE、自己株式取得の実行状況を合わせて見る必要がある。
今後の分かれ目
- 年間の住宅販売戸数が2,300戸を超え、保有在庫の回転期間も短縮したら
- シェア獲得と資本効率の改善が同時に進んだ証拠となる。やや楽観の確率を引き上げる。ただし、ファンドへの一括売却が一時的に戸数を押し上げただけでないかを確かめる。
- 在庫残高が増えても純有利子負債と自己資本の比率が継続的に低下したら
- ファンド化や在庫回転の改善が本当に資金負担を減らしている可能性が高い。借入に伴う下振れ幅と資本コストを見直す材料になる。
- 住宅ローン金利の上昇後に改装済み物件の粗利益率が継続して低下したら
- 仕入れ時に見込んだ価格差を販売で実現できなくなっていると判断する。中立の販売利益率を引き下げ、やや悲観の確率を高める。
- 2025年に開示された在庫含み益が販売によって着実に実現し、新規仕入れにも十分な含み益が生まれたら
- 過去の仕入れ実力が現在の物件にも通用する証拠となる。将来利益の持続性を上方修正するが、実現利益を別の資産価値として二重加算しない。
- 金融機関の借入条件が厳格化し、入居者付き物件の処分売却が増えたら
- 資金繰りを優先する局面へ移ったとみなし、やや悲観と悲観の確率を高める。住宅価格だけでなく、担保余力と短期借入の借り換え期限を確認する。
- 東京建物との提携が継続的な物件供給や共同ファンドの収益に結びついたら
- 一時的な資金調達にとどまらず、長期の競争力を高める提携だったと評価できる。既存株主の持分当たり利益が増えていることを条件に、楽観側を強める。
- 総還元性向40%の方針が維持されず、在庫取得のための追加増資が続いたら
- 利益の増加が既存株主の価値へつながりにくくなるため、還元額と将来持分の見通しを下方修正する。増資で得た資本の増分ROEが資本コストを上回るかを検証する。
見ておくもの
- オーナーチェンジ物件の改装後販売戸数、入居者付き直接売却戸数、空室リノベーション販売戸数の四半期推移
- 住宅販売3区分の平均販売単価と粗利益率
- 販売用不動産の期末残高、保有戸数、在庫回転期間
- 純有利子負債、借入平均金利、支払利息、短期借入の借り換え状況
- 保有物件の含み益と実現率、簿価切下げ・棚卸評価損の有無
- 東京建物との共同事業、ファンドへの販売戸数、ファンド運用報酬と資金回収の実績
- 中期経営計画のROE12%以上、自己資本比率25%以上、総還元性向40%の達成状況
- 首都圏中古マンション成約件数、価格、在庫件数、住宅ローン金利
- アドバイザリー事業の外部売上と、AIエージェント導入後の契約件数・手数料率
倍率と資本コストの決め方
株価から利益や倍率を逆算せず、2025年11月期の住宅販売1,721戸と約3,893戸の保有物件を基礎に、販売区分ごとの戸数と単価から10年後の売上を積み上げた。物価上昇は単価に入れ、数量には入れていない。2026年第3四半期までの好調は確認したが、現時点の高い粗利益率を10年間そのまま続ける前提にはしていない。
2026年8月末の最新決算短信で株数を検証した結果、発行済38,579,000株から自己株640,943株を引いた37,938,057株を採用した。添付データに記載された41,761,200株は第三者割当増資の株数を重複して数えた可能性があり、使用しない。株価1,235円に対応する時価総額は約468.5億円である。増資による資本約65.6億円は自己資本の起点に一度だけ加えた。
資本コストは9%で、普通の堀と長期名目成長率2.5%から正当化PERを計算した。楽観・やや楽観はROEと増分資本利益率から求めた正当化PERの上限を使い、中立はROEがkを下回るため稼ぐ力の上限1÷kとした。市場の過去や同業のPER・PBRは倍率の根拠にしていない。悲観では賃貸中物件の売却可能価値から全負債を控除し、時価総額が資産の床を下回らないよう検算した。
2025年の在庫含み益約339億円は将来の販売利益に含まれるため、PERで測る事業価値へ別途加えない。保有中の販売用不動産から生じる賃料も住宅販売と一体の事業収益であり、賃貸不動産の資産価値として別途上乗せしない。新リース会計基準による表示変更は、家賃を費用に含める現在の経済的な条件へそろえて解釈する。
確率は楽観9%、やや楽観19%、中立35%、やや悲観25%、悲観12%。10年後の各時価総額を年9%で割り引き、期間中の株主還元を平均5年後の受取りとして割り引いた試算では、本質価値は約433億円となる。現在時価総額との差は約マイナス7.6%で、5段階では適正である。価格が今の半分でも倍でも、数量、単価、ROE、資本コスト、正当化倍率の前提は変えない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%から基本7.5%。価格を市場に決められる不動産買取再販事業に0.5ポイント、自己資本を超える純負債に1ポイントを加えて9.0%とする。個別の提携や経営判断の成否は資本コストへ加算せず、数量・利益率・確率で評価する。
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読んだ資料
- スター・マイカ・ホールディングス 2025年11月期決算説明資料
- スター・マイカ・ホールディングス 2026年11月期第3四半期決算説明資料
- スター・マイカ・ホールディングス 2026年11月期第3四半期決算短信・株式数と財政状態
- スター・マイカ・ホールディングス 株主還元方針・総還元性向40%
- スター・マイカ・ホールディングス 有価証券報告書・中期経営計画
- 東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2025年)
- リフォーム産業新聞社 買取再販市場規模と市場構成に関する調査
- カチタス 2026年買取再販年間販売戸数ランキング
- スター・マイカ 東京建物との資本業務提携・第三者割当増資説明資料