結論
ラストワンマイルは、引っ越しを控えた人に電気、ガス、宅配水、インターネットなどを紹介し、成約手数料や継続利用料を得る会社である。筆者の結論は「割安」だ。2026年8月期の営業利益は19.83億円まで伸びたが、現在の時価総額は約97.1億円であり、将来の稼ぐ力に対する期待は必ずしも高くない。
同社の強みは商品そのものではなく、顧客が契約を必要とする瞬間を押さえていることだ。不動産管理会社や仲介会社との関係を通じて転居客に接触し、複数のサービスを同時に販売する。集合住宅向けインターネットの継続収益も増えており、単発の販売手数料だけに頼らない方向へ事業が変わりつつある。
ただし、この販売経路を独占しているわけではない。紹介元は別の取次会社を選べるし、電力会社や通信会社は顧客との直接契約を増やせる。AIエージェントが比較と申込手続きを引き受ければ、人が電話で勧誘する工程や問い合わせを受ける工程の価値は下がる。買収した会社の利益が伸びても、株式発行や買収価格が高すぎれば既存株主の取り分は増えない。
10年後の中立では、取次の成約換算件数が緩やかに増え、集合住宅向け通信契約が積み上がる一方、営業利益率は現在より低くなると見る。5つの筋書きの確率加重現在価値は約127.9億円で、基準時価総額を約31.8%上回る。ただし、この差は今後の現金の蓄積と買収の規律にも支えられている。純粋な独占企業ではなく、割安判定でも予測誤差に対する安全域は十分とは言い切れない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社が10年後にも存在するかという問いには、おそらく肯定的に答えられる。人は引っ越しをし、その際に電気や通信の契約が必要になる。集合住宅には通信設備の更新と保守も要る。需要そのものが消える事業ではなく、しかも設備メーカーのように巨額の工場を保有する必要もない。
だが、需要が存在することと、その利益をこの会社が独占的に取れることは別である。顧客を紹介する不動産会社、契約を受けるサービス提供会社、実際に勧誘する会社の三者は、手数料を分け合っている。紹介元と供給者の双方に交渉力がある以上、同社だけが物価を超えて値上げし続ける構造とは考えにくい。会社が販売網を広げても、同じ速さで紹介料や広告費が増えれば増分利益率は低下する。
資本配分の見方も慎重である。M&Aによって一度に売上と利益を取得できる一方、のれんを積み上げ、買収対価として株式を渡せば株主の持ち分は薄まる。投じたお金から得られる税後の現金利益が資本コストを上回って初めて、買収には意味がある。中期計画の5年回収という規律は評価できるが、実績で確認すべき段階だ。
それでも、現在の時価総額と収益力の差は無視できない。現在の利益率を永久に保つ必要はなく、事業が成熟して営業利益率が落ちても、取次と継続通信契約が残れば相応の価値は生まれる。筆者は、堀の弱さを倍率に反映し、希薄化と悲観の損失も含めたうえで、現値は割安側と判断する。ただし、買収先の利益を追跡できない状態が続くなら、評価上の安全域は縮めなければならない。
何で稼ぐ会社か
会社の会計上の報告セグメントは一つだが、経営資料では五つの主力事業を区別している。最大のアライアンス事業では、不動産管理会社などから転居予定者の紹介を受け、電気、ガス、宅配水、通信回線を案内する。契約が成立するとサービス提供会社から販売手数料を受け取り、継続契約から利用料や手数料を得る場合もある。紹介元への支払いは主に販管費に含まれるため、粗利益率の高さだけでは収益力を判断できない。
集合住宅向け無料インターネット事業では、建物所有者の負担で通信設備を設置し、入居者に回線を提供する。設備導入時の工事収入と月額利用料が稼ぎの柱で、ベンダー、SHC、テルベルなどの買収によって拠点を広げた。2026年8月期の月次開示では、集合住宅向けサービスだけでなく一般の光回線やWi-Fiも含むインターネット関連の継続売上が34.35億円に達した。この数字は通信事業全体の事業別利益ではないため、同じ額をそのまま集合住宅事業の売上と断定していない。
コンタクトセンターでは、住宅設備のトラブル受付や企業の電話対応を受託する。収入は対応件数や受託条件に左右され、人が応対する部分にはAIによる代替圧力が強い。HOTEL STUDIOなどが担うホテル事業では、無人運営や集合住宅の転用ノウハウを使い、管理受託料または宿泊収入を得る。客室の稼働率が下がっても家賃が残る案件には注意が要る。
リスティング・メディア事業では、自社のウェブ媒体などから見込み客を獲得し、生活サービスの成約につなげる。会社は外部顧客向けの広告運用支援も構想するが、その独立した売上実績は確認できない。2026年8月期の連結売上197.89億円、営業利益19.83億円を五事業に分けた数字は、会社が公表した正式なセグメント数値ではなく、月次の商材別売上と会社説明に照らした分析上の推定である。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、転居という需要発生の時点に顧客と接触できる提携網だ。広告を出して不特定多数を集めるよりも購入意思の強い人に届きやすく、通信回線や宅配水をまとめて紹介できる。2026年にはアライアンス事業で紹介件数と手数料単価の双方が改善した。営業利益が前年比72.5%増えた事実は、この仕組みが利益を生むことの有力な証拠である。
しかし、強みと堀、つまり競合が容易に崩せない参入障壁は区別したい。会社は提携管理会社との関係やシステム連携を重視するが、契約の独占期間、解約率、競合への乗り換えに要する期間を十分には数値開示していない。取次手数料を決めるのは最終的には商品供給者であり、紹介元への報酬が上昇すれば値上げの利益は残らない。2026年の単価上昇を10年以上続く価格決定力と認定するには材料が足りない。
財務面では、2026年8月期の営業キャッシュフロー20.94億円が純利益12.68億円を上回る。一方、現金38.67億円には銀行借入・社債16.27億円、IFRSで計上済みのリース負債17.87億円、返金負債7.81億円が対応する。見た目の現金をすべて余剰資産と扱うことはできない。のれん23.83億円とその他無形資産8.76億円も、買収先の収益が崩れれば減損の対象となる。
過去には買収に伴う株式の市場放出があり、既存株主の持ち分は薄まった。経営陣が営業利益と株主当たり利益の両方を重視することは評価するが、買収と自己株式の再交付を繰り返す場合、会計上の増益がそのまま株主価値の増加になるとは限らない。現時点では堀を弱いと判断し、将来の超過収益が長く維持される前提を採らない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の転居・住宅サービス市場は、人口減少と世帯数の増加が交錯する成熟市場だ。総務省の2025年の市区町村間移動者数は約519万人であり、人口移動が急増する前提は置きにくい。この数字は人の移動数であって、世帯数や電気契約件数ではない。分析上は転居世帯による複数商材の申込と通常の切替需要を合わせ、年間800万〜1200万件程度の取次対象契約が発生すると仮定するが、全国共通の公式統計ではない。
アライアンスの相手は別の取次業者だけではない。電力・ガス小売会社の直接営業、不動産会社の自社申込画面、通信キャリアのウェブ販売も競争相手になる。エネチェンジなどの比較経路も顧客の選択肢だ。各社が同じ条件で成約件数を公表していないため、全国の正確な順位やシェアは確定できない。今回推定した成約換算55.4万件は、仮の取次対象市場に対して約4.6〜6.9%に相当するにすぎない。
集合住宅向けの全戸一括型インターネット市場は、会社の中期計画が引用するMM総研調査で、2025年3月末の約630万戸から2027年3月末に約740万戸へ増える見通しだ。2026年の市場を約690万戸とすると、仮に同社の通信契約相当数11万がすべてこの市場に属した場合のシェアは約1.6%となる。ただし開示されたインターネット売上には一般の光回線なども含むので、この1.6%は確定した供給戸数シェアではない。ファイバーゲートの供給戸数は約74万戸に達しており、ギガプライズなども含め先行企業の規模は大きい。
コンタクトセンターの国内受託市場は、矢野経済研究所による2024年度の約1兆517億円が参考になる。今回の同社向け売上推定9億円は市場の約0.09%だが、事業別の公表値ではない。大手のトランスコスモス、ベルシステム24、アルティウスリンクなどと比べれば小規模だ。ホテル事業は訪日客の需要増を取り込める一方、宿泊施設の供給、地域の家賃、清掃費に左右される。広告媒体では検索エンジンのAI要約が利用者の流入経路を変えるため、過去の訪問者増加率を10年先へ延ばすことはできない。
資本政策と M&A
経営の基本方針は、収益性の高い事業を買収し、グループ間の送客と業務統合で利益を増やすことだ。ベンダー、HOTEL STUDIO、SHC、テルベルなどを傘下に収め、集合住宅向け通信と生活サービスの接点を広げた。2025年11月公表の中期経営計画は、2027年8月期に売上220億円、営業利益22.08億円を掲げる。2026年8月期の実績は売上197.89億円、営業利益19.83億円と、当時の同年度計画を上回った。
同計画は買収対象について営業利益1億円以上、投資回収期間おおむね5年以内を目安とする。これが継続的に達成されれば資本コストを上回る投資になる可能性があるが、買収後の追加投資や株式希薄化を含む実際の増分ROICは、案件ごとに十分検証できない。2024年以降には買収対価として自社株式を利用した実績があるため、連結売上の伸びだけで資本配分を評価しない。
2026年8月期の現金配当総額は約0.81億円で、配当性向は6.4%だった。2027年8月期には増配を見込むほか、2026年9月までに約2億円の自己株式取得を完了した。しかし、取得株式を将来の買収に利用する可能性がある以上、取得額の全額を永久的な株数減少とみなさない。中期計画にはROE、DOE、配当性向、総還元性向の具体的な数値目標はなく、長期の還元率について数字の約束なしである。
2023年にはプレミアムウォーターホールディングスによる一部株式の公開買付けがあったが、現在進行中の完全子会社化案件ではない。大株主と商品供給者の利害、関連当事者取引、買収価格、株式交換比率の開示を継続して点検する必要がある。将来積もる余剰現金には、確実に株主へ戻ると断定せず75%の評価を与える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
引っ越し時の生活インフラ契約は、利用者が申し込みを後回しにしにくい商品である。不動産管理会社から送られる見込み客は購買意思が強く、同社は電気、ガス、通信、宅配水など複数の契約をまとめて扱える。供給会社が新規顧客を獲得するための費用を考えれば、効率の良い販売網には継続的な価値がある。2026年に手数料単価と紹介件数がともに改善したことも、単に買収会社を連結しただけではない成長の証拠となっている。
集合住宅向け無料インターネットは、取次に比べて長期的な顧客関係を築きやすい。いったん建物全体に設備が導入されれば、所有者が回線や建物内設備を切り替えるには手間がかかる。拠点を持つベンダーやSHC、テルベルを組み合わせれば、関東だけでなく関西、中部、九州でも獲得できる。中立以上では契約相当数が積み上がり、フローの成約手数料に依存する度合いを下げられる。
業務統合には費用削減の余地もある。買収先ごとに別だったシステム、経理、集客を統合できれば、売上の増加率を上回る営業利益の伸びが可能になる。2026年8月期は実際に増益率が増収率を大きく上回った。資本コストに対して利益を生む買収だけを続け、株式の希薄化を抑えられれば、今後も内部で蓄積する現金は株主価値を押し上げる。
現値に対する魅力は、こうした成功を全面的に織り込まなくても説明できることだ。電話対応や広告運用の一部がAIに置き換わっても、住宅会社との提携と通信設備の月額収入は直ちには消えない。利益が現在から緩やかに増えるだけでも、将来の還元と留保現金を合わせた株主価値は現在の時価総額を上回りうる。
慎重な見方
売上を伸ばす力は認めるが、長期間の利益率を保証する堀は弱い。アライアンス先は顧客の入口を握り、電力会社や通信会社は成約時の手数料を決める。業績が良くなれば、紹介元は報酬の引き上げを要求し、供給元は手数料の見直しを求めるだろう。2026年の手数料単価上昇は評価できても、供給会社の販促予算に依存する収入を独占的な値上げ力と呼ぶことはできない。
AIエージェントの普及によって、顧客が自ら比較して申込を完了するまでの工程は短くなる。問い合わせ対応や一般的な受付業務は自動化が進み、人が処理するコール数が減少する。検索流入を前提とする自社媒体も、検索結果の要約や申込画面の統合で訪問者を失う恐れがある。会社が省人化に成功しても、その便益のすべてを手数料として保持できる保証はない。
2026年8月期末には、のれんが23.83億円、その他無形資産が8.76億円ある。買収した顧客基盤の継続率が落ちれば、会計上の減損に加えて実際の現金利益も減る。IFRSで計上済みのリース負債は17.87億円に達し、ホテルなどの固定費を簡単には減らせない。貸倒引当金の追加計上が必要になった実績は、生活サービスの契約管理にも信用リスクがあることを示している。
最も懸念するのは株主当たりの価値だ。買収で営業利益を増やしながら、買収対価として新株や保有自己株式を交付すれば、既存株主の取り分は増えにくい。時価総額や営業利益の達成を条件とするストックオプションも、投下資本利益率と完全には一致しない。売上が伸びること、経営陣の掲げる営業利益目標を達成すること、長期の少数株主が豊かになることを同じものとして扱うべきではない。
どちらに重みを置いたか
現在の利益の実在性と集合住宅向け通信の継続収入では強気の見方に説得力がある。しかし、取次の交渉力は不動産会社とサービス供給者の間に挟まれており、のれんと株式希薄化も軽くない。中立の利益成長を抑え、AIによる業務代替を数量と長期成長率に反映したうえで、上側28%、中立35%、下側37%という確率にした。下側をやや重くしたのは買収の実行と提携先への依存が残るためで、AIの影響を確率と資本コストに重ねて引いてはいない。確率加重価値は現値を上回るものの、推定した成約件数や将来現金の誤差が大きく、割安判定を強い確信と取り違えない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 8,210 円222 億円(+ 還元の換算額還元の合計 1,227 円33 億円)。 今の値に割り戻すと 4,178 円113 億円、今との差 +20.6%、 期待の年率 +11.5%(資本コスト 9.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 21,269 円574 億円 | 3,047 円82 億円 | +601.7% | +24.2% | 2,918 円79 億円 |
| やや楽観 | 16% | 13,997 円378 億円 | 2,151 円58 億円 | +366.0% | +18.6% | 2,584 円70 億円 |
| 中立 | 35% | 8,488 円229 億円 | 1,147 円31 億円 | +178.1% | +11.7% | 3,372 円91 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,459 円39 億円 | 430 円12 億円 | −45.5% | −6.5% | 472 円13 億円 |
| 悲観 | 12% | 686 円19 億円 | 72 円2 億円 | −78.1% | −14.6% | 91 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 8,210 円222 億円 | 1,227 円33 億円 | +172.3% | +11.5% | 9,437 円255 億円 |
今の株価時価総額 3,465 円94 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 提携網が全国に広がり通信契約も積み上がる 利益 37 億円 · PER 14.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 21,269 円574 億円
不動産管理会社との提携が全国に広がり、引っ越し客の紹介件数と一世帯当たりの取扱商品数が増える。アットホームの申込経路との連携も実際の送客増加につながり、電気、通信、宅配水などの成約換算件数は85万件に達する。供給元から受け取る手数料は物価上昇をやや上回り、紹介元への支払条件も維持できる。売上の増加がそのまま販管費の増加にならず、主力の利益率が改善する。
集合住宅向けインターネットでは、ベンダー、SHC、テルベルの拠点を生かし、契約相当数が27.5万まで増える。2036年の国内全戸一括型市場を約1100万戸とするなら、推定シェアは約2.5%となる。ホテルでは無人運営が定着し、賃料上昇を客室単価で吸収できる。コンタクトセンターの人手対応件数はAIエージェント代替でなお1割減るが、複雑な案件に集中して採算を保つ。新規買収は5年回収の規律を守り、株式の希薄化より利益と蓄積現金の増加が上回る。
- アライアンス・生活インフラ取次:数量 850,000(年間の成約換算件数(件。継続課金を新規成約に換算した分析上の単位))× 価格 35,000(成約換算1件当たりの平均売上(円。複数商品と継続収入を含む))→ 売上 298 億円・営業利益 42 億円。成約換算件数は約1.53倍。対象市場800万〜1200万件なら推定シェア7.1〜10.6%。価格は現在の1.40倍で、取次効率の改善が条件。
- 集合住宅向け無料インターネット・光回線関連:数量 275,000(年間の稼働回線・住戸相当契約数(件。一般回線と設備工事を含む換算単位))× 価格 42,000(1回線・住戸相当契約の年間売上(円。工事収入と付帯サービス込み))→ 売上 116 億円・営業利益 18 億円。推定27.5万契約相当。全戸一括型市場1100万戸を仮定した場合の参考シェアは約2.5%。一般回線を含むため正式シェアではない。
- コンタクトセンター・受付BPO:数量 450,000(年間の人手対応・受付換算件数(件))× 価格 2,412(受付1件当たりの平均受託売上(円。月額受託料を件数換算))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替で人手対応数は現在の0.90倍。複雑案件の単価上昇は認めるが、AI関連の新規売上を加えない。
- ホテル運営・マネジメント受託:数量 155,000(年間の有償稼働客室泊相当数(室泊。受託報酬を換算))× 価格 14,300(有償稼働客室泊当たりの売上(円。受託料も含む平均換算))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。運営客室の拡張、稼働率改善、宿泊単価の上昇を同時に達成する。
- 自社リスティング・メディア:数量 50,000(年間の自社媒体由来の成約換算件数(件))× 価格 20,000(成約換算1件当たりの売上(円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。AI検索の影響を受けても自社媒体の成約件数は維持。未確認の広告運用受託の拡大を含まない。
倍率:k=7.75%、g_long=2%、弱い堀による超過ROE残存割合1/3。2036年全社純利益37億円から、将来余剰現金80億円の税後利息1.12億円を除くと事業純利益35.88億円。自己資本218.929億円から同じ現金80億円を除いた事業自己資本138.929億円に対するROEは25.83%。RONIC=7.75%+(25.83%-7.75%)/3=13.78%。正当化PER=(1-2%/13.78%)/(7.75%-2%)=14.8663倍。時価総額は35.88億円×14.8663倍+80億円×0.75=593.4億円。現金と現金利息を二重計上していない。
確率:アライアンスの取引条件を維持したまま成約換算件数を約1.5倍にし、集合住宅向け通信も市場以上の速さで拡大する必要がある。ベンダー、SHC、テルベルの拠点統合が成功し、買収に伴う大きな希薄化が起きない場合に限られるため、可能性はあるが低めの12%とする。
やや楽観 16% 通信ストックの拡大が取次の競争を補う 利益 25 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 13,997 円378 億円
アライアンス事業では、不動産管理会社との取引先数が増え、引っ越し客に複数商品を案内する仕組みが定着する。供給会社との競争は続くものの、契約をまとめて獲得できる利便性が評価され、成約換算件数は72万件まで増える。単価は物価上昇に近い水準で改善するが、紹介元への支払手数料も上がるため、営業利益率の改善は限定的だ。
集合住宅向け通信は、首都圏と中部、関西、九州の営業拠点を活用して契約相当数22.5万まで拡大する。市場を約1000万戸とすれば参考シェアは約2.3%となり、現在よりは高いが大手の規模には及ばない。ホテル事業は無人運営によって利益を残し、メディアは顧客流入が伸び悩んでも一定の成約を維持する。コンタクトセンターでは人手対応量が現在の8割に縮むものの、固定費の削減と難しい問い合わせへの特化で黒字を保つ。買収は継続するが、株式の大量交付を避け、稼いだ利益の一部を還元する。
- アライアンス・生活インフラ取次:数量 720,000(年間の成約換算件数(件。継続課金を新規成約に換算した分析上の単位))× 価格 32,600(成約換算1件当たりの平均売上(円。複数商品と継続収入を含む))→ 売上 235 億円・営業利益 29 億円。成約換算件数は現在の約1.30倍、価格は1.304倍。対象市場800万〜1200万件なら参考シェア6.0〜9.0%。
- 集合住宅向け無料インターネット・光回線関連:数量 225,000(年間の稼働回線・住戸相当契約数(件。一般回線と設備工事を含む換算単位))× 価格 39,800(1回線・住戸相当契約の年間売上(円。工事収入と付帯サービス込み))→ 売上 90 億円・営業利益 13 億円。推定22.5万契約相当。市場1000万戸を仮定した参考シェアは約2.3%。
- コンタクトセンター・受付BPO:数量 400,000(年間の人手対応・受付換算件数(件))× 価格 2,270(受付1件当たりの平均受託売上(円。月額受託料を件数換算))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替による人手対応数0.80倍を前提とし、単価改善で一部を補う。
- ホテル運営・マネジメント受託:数量 132,000(年間の有償稼働客室泊相当数(室泊。受託報酬を換算))× 価格 13,900(有償稼働客室泊当たりの売上(円。受託料も含む平均換算))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。管理受託の増加と物価程度の客室単価上昇。
- 自社リスティング・メディア:数量 50,000(年間の自社媒体由来の成約換算件数(件))× 価格 19,500(成約換算1件当たりの売上(円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。自社媒体からの成約件数を維持し、価格は現在の1.22倍。広告制作の外部受託増加は見込まない。
倍率:将来余剰現金50億円の税後利息0.70億円を純利益から除き、事業純利益24.70億円とする。自己資本185.929億円から同額の余剰現金を控除した事業自己資本は135.929億円でROEは18.17%。k7.75%、弱い堀の残存割合1/3によるRONICは11.22%。g_long2%から正当化PER14.2923倍となる。時価総額は24.70億円×14.2923倍+50億円×0.75=390.52億円。
確率:提携元の増加と通信契約の積み上がりは、既存の買収先の地域展開を踏まえると達成可能性がある。ただしアライアンスの手数料価格と紹介料の条件を10年間保ち続ける必要があるため、上振れの中心には置かず16%とする。
中立 35% 取次は緩やかに伸び、通信契約が利益の下支えになる 利益 16 億円 · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 8,488 円229 億円
国内の転居需要は人口減少によって大きくは増えないが、提携不動産会社を増やすことで同社は一定のシェアを獲得する。アライアンスの成約換算件数は55.4万から62万に増え、単価も上昇する。ただし販売手数料の値上げは物価に届かず、紹介元に支払う手数料や販売人員の費用が増える。結果として主力事業の営業利益率は2026年より低くなる。
集合住宅向け通信は競合のファイバーゲートやギガプライズに大きく遅れることなく、契約相当数を17.8万まで増やす。2036年の市場を約900万戸とすれば、参考シェアは約2.0%である。管理会社との紹介関係が通信契約の獲得に役立つものの、設備や回線費の上昇を完全には価格転嫁できない。コンタクトセンターではAIエージェント代替によって人が扱う量は現在の0.65倍となり、業界の縮小に合わせて人員と拠点を調整する。
ホテル事業は稼働率を保って収益を維持し、メディアは検索流入の減少を受け入れながら、自社サービスに近い案件だけを残す。買収は利益を生む分野に絞り、将来の余剰現金も一定額積み上がる。2036年の連結営業利益は約25.43億円となるが、営業利益率は現在より低く、株主資本が増えることでROEも平常化する。
- アライアンス・生活インフラ取次:数量 620,000(年間の成約換算件数(件。継続課金を新規成約に換算した分析上の単位))× 価格 31,000(成約換算1件当たりの平均売上(円。複数商品と継続収入を含む))→ 売上 192 億円・営業利益 21 億円。成約換算件数は1.12倍、価格は1.24倍。市場800万〜1200万件に対する参考シェアは5.2〜7.8%。
- 集合住宅向け無料インターネット・光回線関連:数量 178,000(年間の稼働回線・住戸相当契約数(件。一般回線と設備工事を含む換算単位))× 価格 37,000(1回線・住戸相当契約の年間売上(円。工事収入と付帯サービス込み))→ 売上 66 億円・営業利益 8 億円。契約相当数1.62倍、価格1.18倍。建物所有者との価格交渉により物価3%を完全転嫁できない。
- コンタクトセンター・受付BPO:数量 325,000(年間の人手対応・受付換算件数(件))× 価格 2,160(受付1件当たりの平均受託売上(円。月額受託料を件数換算))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月・工数型として中立数量0.65倍、価格1.20倍、単独の長期名目成長率0%。
- ホテル運営・マネジメント受託:数量 105,000(年間の有償稼働客室泊相当数(室泊。受託報酬を換算))× 価格 13,400(有償稼働客室泊当たりの売上(円。受託料も含む平均換算))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。稼働客室泊相当数1.31倍、単価1.34倍。固定賃料と清掃費が利益率を抑える。
- 自社リスティング・メディア:数量 45,000(年間の自社媒体由来の成約換算件数(件))× 価格 19,400(成約換算1件当たりの売上(円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。AI検索による流入減少で成約件数0.90倍。値上げは物価を下回る1.2125倍。外部広告運用受託の成長を含めない。
倍率:中立の連結純利益16.27億円から、10年で蓄積する余剰現金30億円の税後利息0.42億円を除き、事業純利益を15.85億円とする。自己資本168.279億円から余剰現金30億円を控除した事業自己資本は138.279億円で、事業ROEは11.46%。k7.75%、弱い堀の残存割合1/3によるRONICは8.99%。g_long2%から正当化PER=(1-2%/8.99%)/(7.75%-2%)=13.5212倍となる。時価総額は15.85億円×13.5212倍+30億円×0.75=236.81億円。
確率:転居時に生活サービスが必要とされる構造と、買収済みの通信事業の継続収入は比較的予測しやすい。一方で市場全体の転居件数は成熟し、紹介単価や販促費の競争が厳しくなる。強い堀を認定できないため、現在の高い利益成長率を延長せず35%を中心に置く。
やや悲観 25% 紹介料の競争激化と自動化で利益が薄くなる 利益 3 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,459 円39 億円
不動産会社が送客先を複数の取次会社で競わせ、電力会社や通信会社は紹介手数料を引き下げる。アライアンスの成約換算件数は40万件まで減り、物価が上がっても一件当たり売上はわずかな改善にとどまる。顧客紹介料や人件費は簡単には下げられず、主力事業の利益率は7%まで低下する。2026年の高収益を支えた条件は一時的だったことが明らかになる。
集合住宅向け通信は既存契約の一部を守るが、競合への切り替えと工事費の上昇で新規獲得が難しくなる。契約相当数12.5万は維持するものの、営業利益率は7%に下がる。コンタクトセンターではAIエージェントによる受託業務の縮小が進み、残った案件でも利益を稼ぎにくい。自社媒体も検索流入の減少と集客費の上昇で赤字になる。
ホテルは客室稼働を保っても賃料と清掃費の上昇に追いつけず、営業利益を残せない。買収先の統合費用を削減しても連結営業利益は約5.41億円まで落ち込む。配当と永久的な自己株式取得を縮小し、将来積もる現金も限定的となる。倒産や事業売却を前提にせず、取次企業として低い利益率で存続する筋書きである。
- アライアンス・生活インフラ取次:数量 400,000(年間の成約換算件数(件。継続課金を新規成約に換算した分析上の単位))× 価格 27,000(成約換算1件当たりの平均売上(円。複数商品と継続収入を含む))→ 売上 108 億円・営業利益 8 億円。成約換算件数は現在の0.72倍、価格1.08倍。取次対象市場800万〜1200万件なら参考シェア3.3〜5.0%。
- 集合住宅向け無料インターネット・光回線関連:数量 125,000(年間の稼働回線・住戸相当契約数(件。一般回線と設備工事を含む換算単位))× 価格 33,000(1回線・住戸相当契約の年間売上(円。工事収入と付帯サービス込み))→ 売上 41 億円・営業利益 3 億円。既存建物を一定数守る一方、設備更新と回線価格の上昇を十分転嫁できない。
- コンタクトセンター・受付BPO:数量 290,000(年間の人手対応・受付換算件数(件))× 価格 1,950(受付1件当たりの平均受託売上(円。月額受託料を件数換算))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替により人手対応件数は現在の0.58倍。受託単価も物価上昇に追いつかない。
- ホテル運営・マネジメント受託:数量 85,000(年間の有償稼働客室泊相当数(室泊。受託報酬を換算))× 価格 12,300(有償稼働客室泊当たりの売上(円。受託料も含む平均換算))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。客室稼働率の低下と固定賃料負担で採算が均衡する。
- 自社リスティング・メディア:数量 35,000(年間の自社媒体由来の成約換算件数(件))× 価格 17,000(成約換算1件当たりの売上(円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。AI検索と大手媒体への流入集中で獲得件数が減少。集客費が重くなる。
倍率:10年後の純利益3.46億円から将来余剰現金10億円の税後利息0.14億円を除くと事業純利益3.32億円。事業自己資本は114.229億円、事業ROEは約2.91%でk7.75%を下回る。正当化PERの上限は1/k=12.90倍であり、事業の衰退と低い再投資利回りが続くやや悲観では10倍とする。時価総額は3.32億円×10倍+10億円×0.75=40.7億円。
確率:取次の紹介元と商品供給者に交渉力があり、利益率を維持しにくい。コンタクトセンターと広告媒体の劣化に加え、過去の買収で増えた本社・システム費が残る可能性もある。事業全体が消えるほどではないが、低収益化は十分あり得るため25%とする。
悲観 12% 販売網が崩れ、買収資産の価値も損なわれる 利益 −4 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 686 円19 億円
主要な不動産会社が自社の入居申込システムに電力・通信の契約機能を組み込み、外部取次への顧客紹介を大幅に減らす。供給会社も販売手数料を圧縮し、アライアンスの成約換算件数は20万件まで減少する。自社の販売網を再構築しても失った紹介客を取り戻せず、主力事業の営業利益率は1.5%に低下する。高い手数料単価を前提に行った買収の価値も傷む。
集合住宅向け通信は契約相当数9万まで後退し、設備更新費が利益を圧迫する。AIエージェントによって電話受付の定型業務が大幅に自動化され、コンタクトセンターの人手対応量は現在の0.55倍となる。自社媒体も検索流入が急減する。ホテルでは客室単価が伸び悩む一方、家賃、清掃費、修繕費を負担し続け、赤字になる。
連結営業損益は約4.86億円の赤字となり、今後の配当もほとんど残らない。買収資産の減損を合計約30億円と仮定し、10年後の自己資本を約69.43億円とするが、それをそのまま清算価値とはみなさない。のれんや顧客関連無形資産を処分価値から除き、回収費用を差し引いた売却可能資産の床を優先する。これは株主にとって、会社が存続しても価値の大半を失う筋書きである。
- アライアンス・生活インフラ取次:数量 200,000(年間の成約換算件数(件。継続課金を新規成約に換算した分析上の単位))× 価格 19,000(成約換算1件当たりの平均売上(円。複数商品と継続収入を含む))→ 売上 38 億円・営業利益 1 億円。成約換算件数は現在の0.36倍、価格0.76倍。供給元への価格交渉力を失う。
- 集合住宅向け無料インターネット・光回線関連:数量 90,000(年間の稼働回線・住戸相当契約数(件。一般回線と設備工事を含む換算単位))× 価格 27,000(1回線・住戸相当契約の年間売上(円。工事収入と付帯サービス込み))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円。既存契約の一部だけが残り、回線・設備費の転嫁も失敗する。
- コンタクトセンター・受付BPO:数量 275,000(年間の人手対応・受付換算件数(件))× 価格 1,710(受付1件当たりの平均受託売上(円。月額受託料を件数換算))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。AIエージェント代替の人月・工数型で人手対応量は現在の0.55倍。単価も下落し、撤退費用が発生する。
- ホテル運営・マネジメント受託:数量 65,000(年間の有償稼働客室泊相当数(室泊。受託報酬を換算))× 価格 10,900(有償稼働客室泊当たりの売上(円。受託料も含む平均換算))→ 売上 7 億円・営業利益 −1 億円。低稼働でも賃料と最低限の管理費が残り、営業赤字が続く。
- 自社リスティング・メディア:数量 20,000(年間の自社媒体由来の成約換算件数(件))× 価格 14,200(成約換算1件当たりの売上(円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AI検索が訪問を代替し、成約件数が現在の0.40倍となる。
倍率:最終年が赤字のためPERではなくPBRで評価する。検査で用いる今の自己資本は添付factsの2025年8月期43.5億円である。前回は2026年8月期末の自己資本55.534億円にPBR0.34を掛けて18.882億円としたため、検査基準の自己資本43.5億円との不一致が生じていた。今回は今の自己資本43.5億円を基準とし、PBR0.44から時価総額19.14億円を求める。2036年の自己資本69.429億円には倍率を掛けない。PBR0.44は、独立に見積もった換金可能資産の床18億円を下回らない範囲で、のれん・顧客関連無形資産の価値喪失と構造的赤字を反映したものだ。過去の市場PBRや株価の底値は倍率の根拠に使っていない。
確率:複数の主要提携先が直接販売や競合への送客に切り替わり、サービス提供会社も手数料を削減する複合的な失敗を想定する。さらにAIエージェント代替と買収資産の減損が重なるため通常の景気後退より深刻だが、通信契約の継続収入が一部残るため12%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
アライアンス・生活インフラ取次
不動産管理会社等の紹介から電気、ガス、宅配水、通信などの契約を獲得し、販売手数料と継続課金収入を受け取る。商品別の継続売上と一時金を、成約換算件数にまとめて評価する。
| 数量年間の成約換算件数(件。継続課金を新規成約に換算した分析上の単位) | 価格成約換算1件当たりの平均売上(円。複数商品と継続収入を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 554,000 | 25,000 | 139 | 16 |
| 10 年後 中立 | 620,000 | 31,000 | 192 | 21 |
取り方:会社は正式な事業別売上、成約件数、1件当たり手数料を公表していない。2025年11月の中期計画の売上・営業利益の事業別積み上げ図、2026年7月の経営者説明でアライアンスが最大の利益源とされていること、2026年連結売上197.89億円、月次のインターネット継続売上34.35億円を照合して、他事業との二重計上を避けながら約138.5億円を分析上の取次収入に配分した。年間55.4万成約換算件数と単価2.5万円は、この推定売上を説明する仮説であり会社公表KPIではない。継続課金収入を含むため純粋な新規申込件数とは異なる。2025年の市区町村間移動者519万人と、電気・ガス・通信の複数契約を考慮し、対象市場は年間800万〜1200万件程度と仮定した。これは公的に確認された成約市場規模ではなく、推定シェアは4.6〜6.9%にとどめる。営業利益16.1億円は、同事業が利益の大部分を稼ぐという経営説明に合わせた推定であり、紹介料を差し引いた後の数値である。
集合住宅向け無料インターネット・光回線関連
集合住宅への通信設備導入、月額回線利用料、工事費、関連する光回線・Wi-Fi等の契約から収益を得る。継続通信収入を中心に、工事収入も年間の契約相当売上へ換算する。
| 数量年間の稼働回線・住戸相当契約数(件。一般回線と設備工事を含む換算単位) | 価格1回線・住戸相当契約の年間売上(円。工事収入と付帯サービス込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 110,000 | 31,273 | 34 | 3 |
| 10 年後 中立 | 178,000 | 37,000 | 66 | 8 |
取り方:2026年9月24日の月次主要KPI原文では、2026年8月期のインターネット関連ストック型売上が34.35億円と開示されている。内訳には全戸一括型無料インターネットだけでなく、光回線、Wi-Fi、光コラボレーション卸も含まれる。したがって34.4億円をこれらを含む事業群の売上の目安とし、11万回線・住戸相当×年3万1273円という換算単位で表現した。11万は正式な集合住宅向け導入戸数ではなく推定である。MM総研の市場調査を引用した会社中期計画では全戸一括型マンションISP市場は2025年3月末約630万戸、2026年3月末予測690万戸、2027年3月末予測740万戸となる。現在の推定契約相当数を690万戸で割ると約1.6%だが、一般光回線が混ざるため厳密なシェアではない。ファイバーゲートの約74万戸などを競合の規模感の物差しとした。
コンタクトセンター・受付BPO
住宅設備トラブル受付、24時間対応などを受託し、処理した電話や契約に応じて収入を得る。人手による定型応対がAIエージェント代替の直接的な対象となる。
| 数量年間の人手対応・受付換算件数(件) | 価格受付1件当たりの平均受託売上(円。月額受託料を件数換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 500,000 | 1,800 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 325,000 | 2,160 | 7 | 0 |
取り方:中期計画の収益式はコール単価×コール数であり、会員契約に基づく継続収入もある。正式な受付件数と売上は未開示なので、主要事業の営業利益がおおむね1億円以上という会社の説明と、矢野経済研究所公表の2024年度国内コールセンター受託市場1兆517億円を参考に、売上9億円、対応50万件、平均1800円という仮の稼働規模を採用した。市場占有率にすると約0.09%だが、正式開示に基づく会社シェアではない。AIエージェント代替の型は人月・工数型BPOであり、中立2036年の数量は現在の0.65倍、価格は1.20倍、2036年以降の単独長期成長は名目0%とする。
ホテル運営・マネジメント受託
集合住宅の宿泊施設転用や無人運営のノウハウを生かし、直営宿泊収入とホテル運営受託料を得る。稼働率と客室単価、賃借料が利益を左右する。
| 数量年間の有償稼働客室泊相当数(室泊。受託報酬を換算) | 価格有償稼働客室泊当たりの売上(円。受託料も含む平均換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 80,000 | 10,000 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 105,000 | 13,400 | 14 | 1 |
取り方:中期計画にある客室数×単価×稼働率という収益式を使い、直営宿泊収入と管理受託収入を有償客室泊相当に統一した。正式な稼働客室数、稼働率、平均客室単価、事業別売上は開示されていないため、8万室泊×1万円は会社全体の実績と事業別利益規模に照らした推計である。観光庁の2025年宿泊旅行統計では延べ宿泊者数が約6億6111万人泊に達するが、人泊と客室泊は単位が違うため、その数字から会社の正確なシェアを計算しない。ホテル固定賃料と無人運営の費用構造を将来の利益率に反映する。
自社リスティング・メディア
ウェブサイト等の自社集客経路を使って見込み客を獲得し、生活サービスへ送客して成約収入を得る。外部顧客向け広告運用受託は事業構想として扱い、未確認の成長売上を上乗せしない。
| 数量年間の自社媒体由来の成約換算件数(件) | 価格成約換算1件当たりの売上(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 50,000 | 16,000 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 45,000 | 19,400 | 9 | 0 |
取り方:会社の中期計画はサイト数×流入数×成約率を成長式として示すが、具体的なサイト別訪問者、成約件数、平均手数料は公表していない。2026年の会社全体の売上と主要事業の利益規模に照らし、5万成約換算件数×1.6万円の8億円を仮置きする。アライアンス事業で紹介を受ける契約と自社サイト由来の契約は別々に数え、重複を避ける。主たる型は自社の媒体・集客経路であり、広告制作・運用の新規受託を楽観の増収には含めない。AI検索によるサイト訪問減少を中立数量0.90倍、価格1.2125倍で織り込む。広告受託として人手で運用する部分が生じれば、BPOと同様に数量縮小、長期成長0%の型を適用する。
リスクと懸念
紹介元と商品供給者の二方向からの手数料圧力
アライアンス事業の入口を握る不動産管理会社は、複数の取次会社を比較して紹介料の引き上げを求められる。一方、契約成立時の販売手数料は電力会社、通信会社、宅配水事業者の販促予算に依存する。両者の取り分が増えれば同社の利幅は縮む。2026年に確認された手数料単価の改善が持続するかは、成約件数だけでなく紹介料控除後の利益で判断する。
AIエージェント代替
コンタクトセンターの受付・照会業務は人が操作する必要がなくなり、AIエージェントが顧客情報の確認から契約手続きまで処理する可能性がある。自社媒体もAI検索による訪問減少を受け、広告運用の外部受託には単価下落圧力がかかる。人月・工数型の中立対応量は10年で0.65倍、長期成長は0%とする。アライアンスの成果報酬型契約まで一律にBPOとして縮小させてはいない。
M&A、のれんの減損と株式希薄化
買収で短期間に利益を増やせる反面、買収対価に自社株式を使えば既存株主の取り分は薄まる。2026年8月期末ののれんは23.83億円、その他無形資産は8.76億円で、業績悪化時の減損負担は小さくない。5年以内の投資回収という会社の目安が、買収後の実際の現金収支と株式発行後の株主当たり利益でも守られているかを確認する必要がある。
通信設備の競争と更新費用
集合住宅向け無料インターネットは継続収入を得られるが、ファイバーゲート、ギガプライズなどの先行企業が大規模な導入基盤を持つ。建物所有者は料金と通信品質を比較し、更新時には他社へ移る余地がある。通信機器、工事費、回線仕入価格が物価とともに上昇しても月額料金へ十分に転嫁できなければ、契約数が増えても投資採算は低下する。
ホテルの固定賃料とリース負債
HOTEL STUDIOなどの宿泊事業には、無人運営で人件費を抑えられる利点がある一方、需要が落ちても家賃、清掃費、修繕費が残る。IFRSのリース負債はすでに貸借対照表に計上されているため、銀行借入を控除した純現金だけで財務余力を判断できない。宿泊需要が減少する悲観では、固定費を売上と同じ割合で縮小させず、事業損失に反映した。
貸倒・返金負債と内部管理の負担
2026年には過去の契約に関連する貸倒引当金の追加計上が説明され、期末の返金負債は約7.81億円となった。成約を急ぐ営業体制ほど、顧客の解約、料金の不払い、申込内容の確認不足が利益とキャッシュフローに影響する。買収先が増えれば会計や内部統制の統合も難しくなるため、成約件数の伸びに対して回収額と返金率が悪化しないかを監視する。
今後の分かれ目
- アライアンスの紹介件数と成約単価が増えても、紹介元への支払手数料率が上がり続けたら
- 売上成長よりも限界利益の低下を重視し、中立の営業利益率と長期価値を引き下げる。反対に紹介料控除後の利益率が数年間改善すれば、価格決定力と堀の評価を見直す。
- 集合住宅向け通信の実際の供給戸数、解約率、回線当たり利益が開示され、契約相当数が継続的に増えたら
- 会社が公表した実数に現在の11万回線相当という推定を置き換え、業界全体の導入戸数との比較を更新する。更新投資後の現金利益が増えるなら、やや楽観以上の可能性を高める。
- AIエージェント導入によってコンタクトセンターの人手対応件数が急減したら
- 人月・工数型の数量縮小を先に織り込み、会社がAIを成果報酬型サービスとして有償販売した実績が確認されない限り、効率化の説明だけで楽観側の売上を増やさない。
- 新しい買収で多額ののれんや株式交換が発生し、買収後の利益が計画未達となったら
- 既存株主の取り分と買収案件の増分ROICを再計算し、将来の余剰現金と評価倍率を引き下げる。買収価格を回収できない案件が続けば、やや悲観・悲観の確率を高める。
- 2027年8月期の売上220億円、営業利益22.08億円という会社計画を達成し、翌期以降も利益率が維持されたら
- 単年度の達成だけでなく、成約単価、紹介料、通信契約、連結株数の変化を確認する。既存事業の稼ぐ力が改善したことが明らかなら、中立の数量と利益率を引き上げる。
- 返金負債や貸倒引当金の増加が売上の伸びを上回り、営業キャッシュフローが純利益を下回り続けたら
- 契約の質と回収可能性に疑問が生じるため、オーナー利益を会計上の純利益より低く見直す。悲観の換金可能資産も再評価し、床18億円を維持できるか再検証する。
見ておくもの
- アライアンス事業のリード件数、成約率、1件当たり販売手数料と紹介元への支払手数料の推移
- 月次主要KPIのインターネット、宅配水、電気、その他の継続売上と前年同月比較
- 集合住宅向け通信の実供給戸数、解約率、建物所有者当たり収益、工事・機器の更新費用
- コンタクトセンターの人手対応件数、AI自動化率、受託単価、利益率
- ホテル事業の稼働率、客室単価、固定賃料、運営受託と直営の比率
- 買収案件ごとの取得価格、のれん、税後キャッシュフロー、回収期間、株式交換比率
- 発行済株式数と自己株式数の純増減、ストックオプションの行使状況、配当総額
- 営業キャッシュフロー、返金負債、貸倒引当金、銀行借入・社債・リース負債
- 大株主と販売先・仕入先の関連当事者取引、送客契約条件の変更
- 2027年8月期の会社計画に対する営業利益進捗と、計画達成後の利益率の持続性
倍率と資本コストの決め方
評価の出発点には2026年8月期の実績売上197.89億円、営業利益19.83億円を用い、株価から逆算して事業の数量や価格を決めていない。各事業について成約換算件数、通信契約相当数、受付件数、稼働客室泊、媒体成約件数を置き、物価上昇は数量でなく単価に入れた。中立のコンタクトセンター数量はAIエージェント代替を反映して0.65倍とした。倍率はk7.75%、長期名目成長2%、弱い堀の超過収益残存1/3による正当化PERから求め、現在や過去の市場PERを参照していない。将来の余剰現金の利息を事業純利益から控除し、現金の価値は75%だけ別に足した。2026年の同社はすでにIFRSでリース負債を計上しており、日本基準の将来変更による負債を重複加算していない。株価と株数は添付の2026年10月22日基準を使い、会計の起点のみ10月15日公表の2026年8月期実績に更新した。10年後の自己資本は原則として55.53億円に期間純利益の累計を加え、期間還元を引き、悲観のみ約30億円の減損を追加で控除した。ただし悲観のPBR評価では検査用の2025年8月期自己資本43.5億円を分母に採用し、2036年自己資本69.429億円や2026年自己資本55.534億円には倍率を掛けていない。悲観の時価総額は43.5億円×0.44=19.14億円となり、床18億円を上回る。確率加重の現在価値は約127.9億円、現在時価総額は約97.1億円で差は約+31.8%。区分は割安だが、その判定は境界に近く、数量推定や将来現金の不確実性に敏感である。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%、株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、事業の価格決定力と純現金に基づく質の調整+0.25%を加えた。企業規模や株価のベータは加算せず、個別の買収失敗と希薄化は筋書きで扱う。