結論
筑邦銀行は、福岡県久留米市を本拠に筑後地域を地盤とする地方銀行だ。貸出は 5,900 億円、預金は 8,500 億円で、2026 年 3 月期の純利益は 12 億円。筆者は、10 年の本源価値は今の時価総額を下回ると見る。
理由は二つある。一つは収益が薄いことだ。純利益は自己資本の 3% 台で、10 年後も 3% 台にとどまり、資本コスト 8.25% に届かない。もう一つは、福岡市の大手行が筑後でも競争を仕掛けることだ。人口の減りは小さいが、貸出の金利を決める力は弱い。
追い風は金利と貸出の伸びだ。1 年で貸出が 273 億円増え、短期金利が 2% に上がれば、純利益は 12 億円から 16 億円まで伸びる。それでも PBR 0.37 倍の今の値段を支えるほどではない。
筆者なら、利ざやが広がって純利益が 17 億円を超えると確かめられるまで待つ。債券の評価損の縮み方と、アライアンスの収益化も見ておきたい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、安く見えるが、儲ける力の弱さが気になる銀行だ。
時価総額は 135 億円で、自己資本 369 億円の 0.37 倍。純利益に対する PER は 12 倍弱だ。ただし、純利益は自己資本の 3% 台で、資本コストの半分にも届かない。ためた利益は、額面より低い価値でしか見られない。
事業の儲け口は広がらない。福岡県の人口の減りは小さいが、筑後は大手行との競争が厳しく、利ざやは構造的に薄い。金利が上がっても、広がる利ざやの多くは預金集めの費用と経費の増加に消える。
筆者なら、純利益が 17 億円を超えて安定し、自己資本比率が上向くまで買わない。例えば、経費率が下がり、手数料収入の比率が高まれば、見方は変わる。安全域は今の値段に十分にはない。地域に根ざした銀行は、経営が堅実なら長く続くが、続くことと儲かることは別だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、筑後地域の貸出と、預金で集めたお金の運用だ。
連結の貸出は 5,937 億円で、前の期より 273 億円増えた。中小企業向けと大企業向けが伸びた。預金は譲渡性預金を含めて 8,505 億円。余った資金は有価証券 2,177 億円で運用し、国債が増えた。純資産は 376 億円で、評価差額金の赤字は 26 億円まで縮んだ(前期は 71 億円)。
2026 年 3 月期は、経常収益が 258 億円で 34% 増え、経常利益は 14.9 億円、純利益は 11.5 億円だった。2027 年 3 月期は経常利益 21.9 億円、47% 増を見込む。
中期経営計画 2024(2024 年 4 月〜2027 年 3 月)は、連結純利益 15 億円以上、コア業務純益 22 億円以上を掲げる。2025 年度の実績はそれぞれ 11.5 億円と 20.6 億円で、まだ届かない。地域の取引先を結ぶ「まちのわ」の収益は、目標 1.8 億円に対して 0.5 億円にとどまる。預金の取り込みでは、地元の個人預金が調達の柱で、法人預金と公金預金がそれを補う。
優良さと弱いところ
良さは地域に根ざした貸出の伸びにあり、弱さは収益の薄さにある。
良い点は、貸出が 1 年で 5% 近く増えたことだ。国内基準の自己資本比率は連結 8.70% と、最低基準の 4% を倍以上上回る。評価差額金の赤字も前の期の 3 分の 1 まで縮んだ。福岡県は全国に比べて人口の減りが小さく、2050 年で 13% 減にとどまる。
弱い点は二つある。一つ目に、純利益の自己資本に対する比率は 3% 前後と、資本コストに遠く及ばない。経費率が高く、利ざやが 1% を切る中で、利益はほとんど残らない。二つ目に、筑後は福岡銀行や西日本シティ銀行といった大手が店舗を置き、貸出の金利は競争が決める。
quality は、循環 +0.5%、値決め力 +0.25%(筑後は大手行と競合)、借金 0%、寿命 0% の合計 +0.75%、k は 8.25% とした。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方銀行は、2024 年の政策金利の解除で「金利のある世界」に入った。
短期金利が 2% に上がる間、変動金利の貸出はほぼ全部が上がる。預金金利は預金ベータ(4 割ほど)の分だけ遅れて追うので、利ざやは広がる。10 年後に短期 2%・長期 3% で落ち着けば、貸出の利ざやは今より 0.4% ほど高い水準で安定する。債券は金利が上がると評価損が出るが、満期まで持てば元本は戻る。
筑後地域の需要は、福岡県全体の人口の減りの小ささに支えられる。福岡県は 2050 年に人口が 13% 減る見通しで、全国の中では緩やかだ。一方で、久留米市や大牟田市を含む筑後は福岡市の成長から離れ、県の平均より厳しい動きになりうる。
競争は大手行との勝負だ。福岡銀行(ふくおかフィナンシャルグループ)、西日本シティ銀行(西日本フィナンシャルホールディングス)は、筑後でも法人取引を取りにくる。九州では再編が続いており、小さな銀行は、システムの費用と人材の面で厳しくなる。分かれ目は、地域の取引先との関係を手数料に変えられるかにある。
資本政策と M&A
資本の使い方は、配当を 2 割台半ばに抑え、残りを自己資本に回す形だ。
配当は中間と期末の半々で払い、配当性向は 25% 前後で、自社株買いは行っていない。単体の自己資本比率の目標は 8.0% 以上で、実績は 8.36%。
再編・提携では、アライアンスで他行と手数料や運用の連携を進め、2025 年度は 4.2 億円の収益貢献があった(目標は 6.2 億円)。経営統合の動きは今のところない。
筆者は、自己資本が薄い中で配当を急がず、自己資本比率を保つ方針を妥当と見る。ただ、純利益 15 億円を超えない限り、配当の増額は難しい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
筑邦銀行は、福岡県で人口の減りが小さい地域に根を張る。貸出は 1 年で 273 億円、5% 近く増え、短期金利が 2% に上がれば利ざやは広がる。2027 年 3 月期の経常利益は 21.9 億円と、47% の増益を見込む。純利益は 12 億円から 16 億円を超える水準まで伸びる余地がある。評価差額金の赤字は 71 億円から 26 億円へ縮み、自己資本は回復している。国内基準の自己資本比率は 8.70% あり、貸出を増やす余力が残る。アライアンスで運用や事業承継の収益が育てば、手数料の比率が高まる。時価総額は自己資本の 0.37 倍と安く、九州の再編が進めば、見直し買いも起きうる。足元の勢いが 10 年続く必要はない。名目で年 3% の伸びでも、利益は物価と金利で大きく増える。経費をかけて店を増やす段階は終わり、これからは既存の取引先との関係を深める段階に入る。地銀の再編でも、筑後に根を張る銀行には提携の余地が残る。
慎重な見方
純利益は自己資本の 3% 台で、資本コスト 8.25% に遠く及ばない。経費率が高く、金利が上がっても、広がる利ざやは預金集めの費用に消える。筑後は福岡銀行や西日本シティ銀行といった大手が店舗を置き、貸出の金利は競争が決める。福岡県の人口の減りは小さいが、久留米市や大牟田市を含む筑後は福岡市の成長から離れ、県の平均より厳しい動きになりうる。中計の目標(純利益 15 億円、コア業務純益 22 億円)は 2 年目の実績で届いておらず、アライアンスの収益貢献は目標の 7 割にとどまる。債券の評価損もまだ 26 億円残り、金利の急変で再び膨らむ。単純な自己資本比率は 4.0% と、余裕は小さい。地域の人口が踏みとどまっても、競争が利ざやを削る限り、利益は増えない。地方の小さな銀行は、システム更新の費用が重く、利益の多くがそこに消える。再編が進む九州では、小さな側が不利な条件を飲むことになりやすい。
どちらに重みを置いたか
薄い収益が利ざやの回復を上回ると見る。中立の 10 年後の時価総額は 125 億円、ROE は 3.4% にとどまる。今の時価総額 135 億円を下回る。ただし貸出の伸びと福岡県の人口の底堅さは本物で、悲観の確率は 10% と地銀の標準に抑え、やや悲観を 25% とした。楽観は、貸出の伸びが続き、純利益が 20 億円を超える道に限って 8% に置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,625 円154 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 640 円37 億円)。 今の値に割り戻すと 1,618 円95 億円、今との差 −28.1%、 期待の年率 +3.8%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,219 円247 億円 | 905 円53 億円 | +127.7% | +8.6% | 410 円24 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,641 円213 億円 | 802 円47 億円 | +97.5% | +7.0% | 755 円44 億円 |
| 中立 | 40% | 3,269 円192 億円 | 717 円42 億円 | +77.1% | +5.9% | 1,594 円93 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,069 円63 億円 | 495 円29 億円 | −30.5% | −3.6% | 391 円23 億円 |
| 悲観 | 10% | 939 円55 億円 | 205 円12 億円 | −49.2% | −6.5% | 114 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,625 円154 億円 | 640 円37 億円 | +45.1% | +3.8% | 3,265 円191 億円 |
今の株価時価総額 2,250 円132 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:久留米・筑後で貸出を伸ばし続け、金利の追い風で純利益が 20 億円へ 利益 20 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 4,219 円247 億円
直近の貸出の伸び(1 年で 273 億円)が続き、福岡県南部の中小企業向けと自治体向けで残高が 7,700 億円まで増える。短期金利 2% の定着で貸出の利ざやが広がり、預金金利の上昇は預金ベータ 4 割の範囲に収まる。アライアンスで取り込んだ資産運用と事業承継の手数料が育つ。経費は物価と賃金で増えるが、共同システムの利用で膨らみを抑える。与信費用は平常の水準で、純利益は 20 億円。配当は性向 3 割台に引き上げる。福岡県南部は物流と農業関連の取引先が厚く、貸出の裾野が広い。預り資産の残高も増え、手数料が経費の一部を賄うようになる。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.6(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.02(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 97 億円・営業利益 10 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 32 億円・営業利益 3 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.2(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 31 億円・営業利益 13 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。n
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 247 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:貸出が年 5% 近いペースを 10 年続くのは地銀では例外に近い。8% に置いた。
やや楽観 17% やや楽観:中計を達成し、純利益が 17 億円台に乗る 利益 18 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 3,641 円213 億円
中期経営計画 2024 の純利益 15 億円を達成し、以後も貸出が名目で年 3% 台後半のペースで伸びる。福岡県は人口の減りが小さく、久留米市周辺の産業と物流が貸出を支える。有価証券は評価損が縮み、運用の利回りは緩やかに上がる。資産形成の手数料は新 NISA の定着で 4 割ほど増える。純利益は 17.6 億円で、配当は性向 3 割台を保つ。債券の評価差額金の赤字は満期とともに解消へ向かう。筑後の取引先との関係は深く、短期間では大手行に奪われにくい。与信費用は平常の水準で、純資産に対する利益は 4% に近づく。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.6(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 86 億円・営業利益 8 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.2(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 29 億円・営業利益 12 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。n
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 213 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の純利益 15 億円以上を達成し、その後も緩やかに伸びる標準より良い道。17% を置いた。
中立 40% 中立:利ざやは広がるが、薄い収益と経費の増加で ROE は 3% 台にとどまる十年 利益 16 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 3,269 円192 億円
短期金利 2%・長期 3% が定着し、貸出の利ざやは今より 0.4% 前後広い水準で落ち着く。福岡県の人口は 2050 年に 13% 減る見通しで、全国の中では減りが小さく、貸出は名目で年 2.7% 前後伸びる。事業性貸出は 5,400 億円、個人向けは 2,060 億円まで増える。預金金利は遅れて追い、広がった利ざやの一部は預金集めの競争で消える。経費は物価と賃金で増え、システム更新も続く。与信費用は景気の山と谷を均した水準に戻る。純利益は 15.8 億円。配当は性向 3 割で、残りは自己資本に積み上がる。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.5(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 77 億円・営業利益 7 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.2(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 28 億円・営業利益 11 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。n
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.4% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 192 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利ざやの回復と経費の増加が相殺する地銀の標準的な筋書き。最も重く 40% を置いた。
やや悲観 25% やや悲観:福岡市の大手行に貸出を奪われ、利益が伸びない 利益 9 億円 · PER 6.8 倍 · 株価時価総額 1,069 円63 億円
福岡銀行や西日本シティ銀行が筑後地域の優良な取引先を取りにくる。貸出の利ざやは広がらないまま、預金金利だけが上がる。債券の評価損が再び膨らみ、自己資本比率の低下で貸出を絞る。貸出は名目で年 1.5% しか伸びない。与信費用は取引先の質の悪化で高止まりする。純利益は 9 億円まで落ち、配当は性向を保てず削る。再編の話が出ても、条件は小さな側に不利になる。貸出の伸びが鈍る中で経費だけが増え、本業の利益率は下がる。自己資本比率は保たれるが、貸出を増やす余力は小さい。預金の流出を防ぐため、金利を上げて預金を集めるが、費用が先に増える。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.5(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 60 億円・営業利益 3 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.2(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 22 億円・営業利益 8 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。n
倍率:事業の ROE は 2.1%(純利益 9.2 億円 ÷ 自己資本 444 億円)。k 8.25%、g 3%、残る割合 1/2 で式の PER は 8.0 倍(ROE が k 以下なので上限は 1÷k = 12.1 倍)。式の 85% の 6.8 倍に置いた。
確率:福岡市に本拠を置く大手行は筑後にも店舗を持ち、競争が厳しい。小さな銀行の利益が伸びにくい標準的な悪い道として 25% を置いた。
悲観 10% 悲観:大手行への流出と評価損、信用コストの急増が重なる 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 939 円55 億円
構造的に負ける筋書き。福岡市の大手行とネット銀行に預金と優良な貸出先を奪われ、貸出が名目でも縮む。取引先の倒産で与信費用が急増し、利益はほとんど出ない。債券の評価損が自己資本を削り、国内基準の 8% 台の比率が 4% の最低基準に近づく。配当は止まり、自己資本は 290 億円まで減る。再編は救済に近い形になり、少数株主に不利な比率になりうる。貸出の縮小と利ざやの低下が重なり、純利益は 1 億円にも届かない。地域の取引先の信用が悪化し、貸倒引当金の積み増しが数期続く。自己資本比率の低下で貸出を増やせず、悪循環に入る。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.4(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 41 億円・営業利益 0 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.2(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。n
倍率:悲観の床は、今の自己資本(369 億円)に 0.15 を掛けた 55 億円。地銀の悲観の目安(0.45)より低いのは、悲観では利益が自己資本の 1 割にも届かず、自己資本が 1 割近く削られるため。純利益 ÷ k は 7 億円で、これを上回る床にはしない。
確率:過去に赤字を出した実績(2009 年 3 月期)があり、構造的な負けの再来を 10% に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
法人・公共向け貸出
筑後地域の中小企業・事業性融資と自治体向けの貸出。
| 数量事業性・公共向け貸出残高(兆円) | 価格貸出利ざや(預金調達差引後・率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.4 | 0.01 | 42 | 3 |
| 10 年後 中立 | 0.5 | 0.01 | 77 | 7 |
取り方:連結の貸出は 5,937 億円(2026 年 3 月末、決算短信)。個人ローンの比率は確かめられず 3 割と置き、残りの約 7 割 4,150 億円を事業性・公共向けとした。利ざやは 1.0% と置いた。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 14.9 億円に合わせた。
個人向け貸出
住宅ローン・個人ローンなど個人向けの貸出。
| 数量個人向け貸出残高(兆円) | 価格貸出利ざや(率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.2 | 0.01 | 16 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 0.01 | 26 | 2 |
取り方:貸出の 3 割にあたる約 1,780 億円を個人向けと置いた。住宅ローンは競争が厳しく、利ざやは 0.9% と事業性より薄い。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 14.9 億円に合わせた。
有価証券・市場運用
国債・地方債・外債・投信・株式などの運用。
| 数量有価証券残高(兆円) | 価格運用利回り-調達(率、売買損益を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.2 | 0.01 | 24 | 10 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 0.01 | 28 | 11 |
取り方:有価証券は 2,177 億円(2026 年 3 月末)。運用利回りから調達コストを引き、1.1% と置いた。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 14.9 億円に合わせた。
手数料・預り資産
投信・保険の販売、為替・ローン関連の手数料。
| 数量預り資産残高(兆円) | 価格手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.1 | 0.01 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.1 | 0.01 | 11 | 1 |
取り方:預り資産の残高は確かめられず、預金の約 1 割の 850 億円と置いた。為替・ローン手数料を含めた総額を預り資産で割った率を 0.95% と置いた。役務取引等収益は単体で 25 億円(中計の実績)。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 14.9 億円に合わせた。
リスクと懸念
大手行との競争
福岡銀行や西日本シティ銀行が筑後の優良な取引先を取りにくる。貸出の金利が下がり、利ざやが広がらないおそれがある。
債券の評価損
金利が想定より速く上がると、有価証券 2,177 億円に評価損が出る。評価差額金の赤字は 26 億円残り、自己資本比率の低下は貸出を絞る圧力になる。
経費の増加
物価と賃金の上昇、システム更新の費用で経費が増える。経費率が高いため、利ざやが広がっても利益が残りにくい。
与信費用の悪化
景気が悪化すると、取引先の倒産で与信費用が急増する。2009 年 3 月期に赤字を出した実績がある。
再編で不利な立場になる
九州では再編が続く。小さな銀行は、システムの費用と人材の面で劣勢になる。統合の条件が小さな側に不利になることもある。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期の経常利益が予想の 21.9 億円を超える
- 中計の純利益 15 億円が現実味を帯び、楽観側の重みが 8% から 15% 前後へ上がる。
- 短期金利が 2% に届かず 1% 台前半で止まる
- 貸出の利ざやが広がらず、純利益は 13 億円前後にとどまる。中立の価値は 1 割ほど下がる。
- 福岡県内の地銀同士の経営統合の発表がある
- 統合の比率次第で、少数株主の取り分が変わる。筑邦銀行が小さな側になれば不利な比率になりうる。
- 債券の評価差額金の赤字が自己資本の 2 割を超える
- 貸出を絞って利益が落ち、悲観の確率が 10% から 20% 近くへ上がる。
- 純利益が 17 億円を超えて 2 期続く
- 利ざやの回復が経費の増加を上回った証拠になり、配当の増額が見込める。
見ておくもの
- 貸出金の伸びと利ざや
- 評価差額金の赤字の縮み方
- コア業務純益と経費率
- アライアンスの収益貢献額
- 福岡県内の地銀の再編
倍率と資本コストの決め方
本源価値は、貸出・有価証券・手数料の利益から自己資本と ROE を式で組み、PER は ROE と k から決めた。今の PBR 0.37 倍や同業の PER は市場の見方であり、比較に使うだけで置き場にはしていない。貸出が足元で伸びている点は、10 年の伸びを名目で年 2.7% に落ち着けて反映した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.4→12.12 倍・やや楽観 PER 8.6→12.12 倍・中立 PER 7.9→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% + quality 0.75% = 8.25%。個別のリスク(再編・評価損)は k に足さず、筋書きと確率で表した。