株譜
AI 銘柄分析 · 鉄鋼 · 試作

日本金属 5491

ステンレスを紙より薄く延ばす腕はあるが、主力の自動車向けが細り、稼ぎは資本コストに遠く届かない

適正
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)838 円54 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)867 円56 億円差 −3.3%
10 年後から見ると 適正 価値 838 円54 億円 · 差 −3.3% · 期待の年率 +8.6%
期待の年率リターン(10 年)+8.6%資本コスト比 −0.9 pt
推定の資本コスト9.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 9.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

日本金属は、ステンレスを冷間で精密に圧延する専門メーカーだ。板厚 20 ミクロンまで延ばす技術を持ち、自動車の外装モール、注射針、精密機器のばねなどに材料を出す。筆者の結論はやや割高である。PBR は 0.2 倍と低いが、稼ぐ力が資本コストに遠く届かないので、帳簿の価値は株主の価値にならない。

会社は 2026 年 8 月、2029 年度の目標を自ら大きく下げた。営業利益は 50 億円から 20 億円へ、売上は 650 億円から 520 億円へ。中国の急な EV 化で外装モールが減り、海外の安い材が入り、新事業の量産は数年遅れる。正直な見直しだが、事業の厳しさを映している。

筆者は 10 年後の営業利益を 20 億円前後と見る。それでも自己資本利益率(ROE)は 3% ほどで、資本コストの 9.5% の 3 分の 1 にとどまる。借入は 170 億円あり、金利の上昇が利益をさらに削る。価値の多くは、工場と土地という帳簿の中に眠ったままだ。

技術を利益に変える道筋が見えるまで、低い PBR は割安の印ではなく、資本が稼がないことへの値付けだと筆者は考える。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、PBR 0.2 倍という数字に飛びつくのは危うい。帳簿の価値が株主の価値になるのは、その資産が資本コストを稼ぐ時か、売って現金になる時だけだ。この会社はどちらでもない。

工場は重く、毎年の償却と更新の投資が欠かせない。物価が上がれば、設備を建て替える費用も膨らむ。会計の利益は物価で少しふくらんで見えても、更新の投資で手元の現金は細る。借入が 170 億円ある中で、稼ぎの多くは利払いと設備に消える。

経営は誠実だと筆者は見る。2029 年度の目標を自ら大きく下げ、採算の悪い品から撤退した。ただ、誠実さと資本の稼ぐ力は別の話だ。オーナーとして持ち続けたいと思える事業になるには、新しい品が量産に乗り、利益率が 5% を超える姿を見る必要がある。土地と有価証券は悲観の時の支えにはなるが、売る方針は示されていない。安全域は帳簿の上にはあっても、稼ぎの上にはない。

何で稼ぐ会社か

事業は 2 つある。主力のみがき帯鋼は、ステンレスや特殊鋼の帯を冷間で薄く精密に延ばす事業で、売上の 8 割を占める。加工品は、帯鋼を切ったり曲げたりした部品や建材で、岐阜と福島の工場が受け持つ。

みがき帯鋼の強みは、薄さと幅の両立だ。600 ミリの広い幅で 0.1 ミリ未満の箔を作れる会社は、世界でも限られる。高級車の外装モール材や、インスリン注射針に使う薄く狭い材も得意だ。どれも注文を受けてから作る受注生産である。

売り先は自動車、家電、精密機器、医療、建材と広い。原料のステンレスは大手の高炉・電炉メーカーから買い、ニッケルの値上がりは売値に転嫁する。利益は、圧延と加工の手間賃の部分で決まる。

新しい柱として、黒い意匠のファインブラック仕上、半導体工場用の部材、医療用の極小径のファインパイプ、モーター向けの極薄電磁鋼帯、マグネシウム合金を育てている。ただ、次世代電池向けのステンレス箔やマグネシウム合金は、量産が数年遅れると会社自身が認めた。2026 年 8 月には、散気装置の製造の受託という新しい仕事も始めた。設備と人手を遊ばせない工夫だが、規模はまだ小さい。

優良さと弱いところ

日本金属の優良さは、圧延の腕にある。紙より薄いステンレスを、広い幅でむらなく延ばす技術は、一朝一夕にはまねできない。注射針や精密ばねの材料のように、品質で選ばれる用途も持つ。

ただ、技術の強さが利益の強さにつながっていない。過去 10 年の ROE の中央値は 4% で、資本コストを大きく下回ってきた。営業利益率は最も良かった 2018 年 3 月期でも 7% で、赤字の年も 3 回あった。工場は重く、償却と借入の利払いが毎年の利益を食う。

顧客に対する立場も強くない。主力の自動車向けは、車メーカーの設計の変更で需要が消える。外装モールは中国の EV 化で、駆動部品用の異形鋼は採算割れで、どちらも手放しつつある。工場の稼働を保つために、手間のかかる小口の注文も受けざるを得ない。堀、つまり他社がまねできない強みは、技術としてはあるが、値段を決める力としては弱い。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

ステンレスの精密圧延は、大手の鉄鋼メーカーの下流にある専門の業界だ。日本製鉄やその系列の会社、そして日本金属のような独立の専門メーカーが並ぶ。原料の値段は大手が決め、製品の値段は顧客の自動車や電機の会社が強く押す。間に挟まれた専門メーカーの取り分は、薄い。

需要の流れは二つに割れている。自動車の外装や駆動部品のような昔からの用途は、EV 化と海外の安い材で細る。中国や韓国の圧延材は、汎用品の値段を押し下げている。一方で、半導体の工場、医療機器、モーターの高効率化に使う極薄の材は伸びる。

10 年の流れを見ると、筆者は数量は実質で 1 割弱減ると見る。昔からの用途が 2 割ほど減り、新しい用途がその半分ほどを埋める形だ。値段は物価とニッケルの転嫁で上がるが、海外材と競る汎用品は物価並みに届かない。業界の再編が進めば、大手の系列に入る道もありうる。

人手の面でも厳しさがある。圧延は熟練の技能に頼る部分が大きく、地方の工場では若い働き手が集まりにくい。電気代やガス代も上がり、エネルギーを多く使う圧延の費用を押し上げる。値上げで転嫁できなければ、手間賃の薄い取り分はさらに削られる。

資本政策と M&A

還元は少ない。2026 年 3 月期の配当は総額 0.3 億円ほどで、配当性向は 15% 前後だった。会社は 2029 年度の配当性向を 20% 程度とする。2025 年度には株数の 3.6% にあたる自社株を買った。

財務は重い。借入金は 170 億円で、現金 64 億円を引いた純負債は 100 億円を超える。利益の少ない年には、利払いが営業利益の半分近くを食う。金利が 3.5% に上がれば、利払いは年 2.5 億円ほど増える。土地は再評価で 60 億円の差額を自己資本に入れており、有価証券も 40 億円ほど持つ。

M&A の動きは見えない。小さく PBR の低い会社なので、同業や大手鉄鋼の系列からの買収の的になりうるが、具体的な話はない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

まねのできない技術は確かにある。広い幅で 0.1 ミリ未満の箔を延ばせる会社は世界に数社しかない。注射針や半導体の工場、医療の計測機器のように、品質で選ばれる用途は景気に左右されにくい。会社はそこに経営資源を集めると決めた。

採算の悪い品からはすでに手を引いた。駆動部品用の異形鋼とベイナイトから撤退し、2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業利益が前年の 3 倍近くになった。高収益の品へ寄せ、コストの上昇を売値に乗せる動きが利益に表れている。

次世代電池向けのステンレス箔やマグネシウム合金、極薄電磁鋼帯は、量産が遅れているだけで消えたわけではない。どれかが量産に乗れば、当初の目標の営業利益 50 億円も夢ではない。PBR 0.2 倍の値段は、その可能性をまったく見ていない。土地と有価証券だけで時価総額を上回る資産もある。

借入も返せない額ではない。毎年の償却 17 億円分の現金が入り、配当は小さい。設備の更新を絞れば、数年で借入を大きく減らせる。

慎重な見方

会社自身が 2029 年度の目標を 6 割下げた。営業利益 20 億円、売上高に対する経常利益の比は 3% という計画は、資本コストを稼ぐ姿からほど遠い。過去 10 年の ROE の中央値は 4% で、技術があっても利益は残らなかった。

主力の自動車向けは構造的に細る。中国の EV 化で外装モールの需要が減り、韓国や中国の圧延材が汎用品の値段を押し下げる。新事業の量産は、水素の整備の遅れなどで数年単位で後ろにずれた。遅れは、いつか取り戻せる保証にはならない。

財務も重い。借入は 170 億円で、金利が上がれば利払いが利益を食う。工場の更新は物価の上昇で高くつき、償却より多い現金が出ていく。PBR が低いのは市場の見落としではない。資本が稼がないことへの、正しい値付けに近い。

経営の目もまだ定まっていない。次世代電池、エネルギー、半導体、医療と、狙う分野は 4 つに広がる。小さな会社が全部を追えば、どれも中途半端に終わりかねない。

どちらに重みを置いたか

慎重な見方のほうが強い。技術の強さは本物だが、それが利益に変わった記録が乏しく、会社自身が目標を大きく下げた。新しい品の量産が遅れていることも重い。確率は中立とやや悲観に厚く置き、楽観は会社の当初の目標に近い筋書きとして 1 割未満にとどめた。PBR の低さは、筋書きの確率を楽観に寄せる理由にしていない。売れる資産の床は、悲観側の値段を支えるだけだ。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 1,787 円115 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 184 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 838 円54 億円、今との差 −3.3%、 期待の年率 +8.6%(資本コスト 9.5%)→ 適正

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 7% 4,253 円275 億円 435 円28 億円 +440.8% +18.4% 328 円21 億円
やや楽観 18% 2,979 円192 億円 314 円20 億円 +279.8% +14.3% 593 円38 億円
中立 40% 1,845 円119 億円 206 円13 億円 +136.5% +9.0% 820 円53 億円
やや悲観 23% 702 円45 億円 39 円3 億円 −14.6% −1.6% 170 円11 億円
悲観 12% 452 円29 億円 46 円3 億円 −42.5% −5.4% 60 円4 億円
加重平均100% 1,787 円115 億円184 円12 億円 +127.4% +8.6% 1,971 円127 億円

今の株価時価総額 867 円56 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。

楽観 7% 新しい品が量産に乗り、当初目標に近づく 利益 26 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 4,253 円275 億円

新しい品が次々に量産に乗る筋書きだ。次世代電池向けのステンレス箔が 2030 年代の初めに立ち上がり、極薄電磁鋼帯はモーターの高効率化で採用が広がる。半導体の工場や医療の計測機器向けの材も伸び、外装モールの減少を埋めて余りある。

出荷は今と同じ水準を保ち、高い品の比率が上がって 1 トンあたりの値段は物価より速く上がる。営業利益は 40 億円台と、当初の目標に近づく。借入は少しずつ返り、利払いの重さも和らぐ。それでも ROE は 6% 台で、資本コストにはまだ届かない。工場と土地という重い資本が、伸びた利益を薄めるからだ。

  • みがき帯鋼:数量 40,000(出荷量(トン))× 価格 146(1 トンあたりの売上(万円。ニッケルの転嫁と圧延の手間賃、物価を含む))→ 売上 584 億円・営業利益 44 億円。4.0 万トン(今と同じ)× 146 万円(1.42 倍、高い品の比率が上がる)、営業利益率 7.5%
  • 加工品:数量 7,000(出荷量(トン))× 価格 195(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 137 億円・営業利益 10 億円。7,000 トン × 195 万円、営業利益率 7.0%

倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 275 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:会社が自ら下げた当初の目標に近い筋書きで、新事業の量産の遅れを考えると起こりにくい。技術の確かさを認めて 7% とした。

やや楽観 18% 高収益の品への寄せが進み、営業利益 30 億円 利益 18 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 2,979 円192 億円

高収益の品への寄せが着実に進む筋書きだ。外装モールと異形鋼の減少は続くが、意匠材、半導体工場向け、医療用のファインパイプが穴を埋める。新事業のうち 1 つか 2 つが量産に乗る。

出荷は実質で 4% ほど減るが、値段は物価をやや上回って上がる。営業利益は 30 億円ほどに増え、2029 年度の目標を 1.5 倍上回る。配当性向は 20% を保ち、借入は横ばいで推移する。ROE は 5% 前後にとどまる。新事業の残りは開発を続けるが、費用の重さは利益をわずかに削る。会社は誠実に計画を見直し続け、投資家の信頼は少しずつ戻る。

  • みがき帯鋼:数量 38,500(出荷量(トン))× 価格 141(1 トンあたりの売上(万円。ニッケルの転嫁と圧延の手間賃、物価を含む))→ 売上 543 億円・営業利益 34 億円。3.85 万トン(0.96 倍)× 141 万円(1.37 倍)、営業利益率 6.3%
  • 加工品:数量 6,600(出荷量(トン))× 価格 190(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 125 億円・営業利益 8 億円。6,600 トン × 190 万円、営業利益率 6.5%

倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 192 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:撤退と値上げの効果が 1Q の利益に表れており、続く可能性はある。ただ利益率 6% 台は過去 12 年で 1 度しかないので 18% とした。

中立 40% 見直した計画どおり、営業利益 20 億円 利益 11 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 1,845 円119 億円

会社の見直した計画が、ほぼそのとおりに進む筋書きだ。外装モールなど昔からの用途は細り、半導体や医療の材がその半分ほどを埋める。新事業の量産は遅れ、10 年たっても売上の柱にはならない。

出荷は実質で 7% ほど減り、値段は物価並みに上がる。償却は今ある設備の分が取得時の値段のまま残るので、営業利益は 20 億円ほどに届く。ただ、借入の金利が上がって利払いが増え、純利益は 11 億円ほどにとどまる。ROE は 3% 台で、資本コストの 3 分の 1 だ。配当性向は 20% で、ためた利益は工場の更新と借入の返済に回る。

  • みがき帯鋼:数量 37,000(出荷量(トン))× 価格 138(1 トンあたりの売上(万円。ニッケルの転嫁と圧延の手間賃、物価を含む))→ 売上 511 億円・営業利益 26 億円。3.7 万トン(0.93 倍)× 138 万円(物価並み 1.34 倍)、営業利益率 5.0%
  • 加工品:数量 6,300(出荷量(トン))× 価格 188(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 118 億円・営業利益 7 億円。6,300 トン × 188 万円、営業利益率 6.0%

倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.3% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 119 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:会社が 2026 年 8 月に出した計画は、事業の厳しさを正直に映した数字で、最も起こりやすい。40% とした。

やや悲観 23% 昔からの用途が速く細り、利益はほぼ残らない 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 702 円45 億円

昔からの用途の減り方が速く、新しい品が追いつかない筋書きだ。外装モールは EV 化でほぼ消え、家電や精密機器向けも海外の安い材に押される。新事業は量産に乗らないまま、開発の費用だけがかさむ。

出荷は実質で 2 割近く減り、値段は物価に届かない。工場は重いまま稼働が落ち、営業利益は 6 億円ほどに沈む。利払いを引けば、純利益はほとんど残らない。配当はわずかに続くが、工場と土地の価値は稼ぎに結びつかない。借入は減らず、金利の上昇で利払いが重くなる。経営は工場の集約を検討するが、決めきれないまま時間が過ぎる。

  • みがき帯鋼:数量 33,000(出荷量(トン))× 価格 130(1 トンあたりの売上(万円。ニッケルの転嫁と圧延の手間賃、物価を含む))→ 売上 429 億円・営業利益 12 億円。3.3 万トン(0.83 倍)× 130 万円(1.26 倍、物価に届かない)、営業利益率 2.8%
  • 加工品:数量 5,800(出荷量(トン))× 価格 180(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 104 億円・営業利益 5 億円。5,800 トン × 180 万円、営業利益率 4.5%

倍率:稼ぐ力(純利益 0.5 億円÷k)はほぼゼロなので、売れる資産の床で置いた。今の自己資本 292 億円に PBR 0.155 倍を掛けた約 45 億円。EV(時価総額+純負債約 100 億円)÷営業利益は 20 倍を超えるが、営業利益がほぼ無い筋書きなので利益の倍率でなく床で見た。

確率:外装モールの減少と海外材の攻勢はすでに起きており、新事業の遅れも続いている。この流れが速まる筋書きとして 23% とした。

悲観 12% 専門メーカーとして負け、赤字が続く 利益 −14 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 452 円29 億円

精密圧延の専門メーカーとして生き残れなくなる筋書きだ。自動車向けが大きく減り、中国や韓国の圧延材が汎用品の市場を奪う。新事業は撤退に追い込まれ、工場の一部を閉じる費用もかかる。熟練の働き手も去り、品質で選ばれてきた用途まで守れなくなる。

出荷は 3 割減り、営業赤字が続く。借入の金利は上がり、赤字の中で借り換えの条件も悪くなる。配当は止まる。株主の価値は、有価証券と土地を売り、運転資金を回収した時に残る額に近づく。大手の系列に安値で引き取られる形の再編もありうる。その時の値段は、帳簿の価値を大きく下回る。

  • みがき帯鋼:数量 28,000(出荷量(トン))× 価格 125(1 トンあたりの売上(万円。ニッケルの転嫁と圧延の手間賃、物価を含む))→ 売上 350 億円・営業利益 0 億円。2.8 万トン(0.70 倍)× 125 万円、営業利益率 0%
  • 加工品:数量 5,000(出荷量(トン))× 価格 170(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 85 億円・営業利益 2 億円。5,000 トン × 170 万円、営業利益率 2.0%

倍率:赤字なので PBR で置く。床は有価証券と土地の一部を売り、運転資金を回収して借入を返した残りで、今の自己資本 292 億円の 0.10 倍の約 29 億円。

確率:過去 20 年で赤字は 6 回あり、主力の用途はすでに縮んでいる。海外材に押されて構造的に負ける筋書きとして 12% とした。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

みがき帯鋼

ステンレス・特殊鋼の帯を冷間で精密に圧延する主力事業。外装モール材、注射針材、精密ばね材、極薄電磁鋼帯、意匠材など。売上の 8 割。

数量出荷量(トン)価格1 トンあたりの売上(万円。ニッケルの転嫁と圧延の手間賃、物価を含む)売上営業利益
今 2026/03 40,000 103 412 16
10 年後 中立 37,000 138 511 26

取り方:出荷トン数の開示がないため推定。外部売上 412 億円(2026/03 期のセグメント売上 425 億円からセグメント間を除く)を、精密圧延のステンレス帯の 1 トンあたり約 103 万円(冷延コイルの値段に圧延の手間賃を足した水準)で割った約 4 万トン。利益は 1Q の比率から年 16 億円と推定。

加工品

帯鋼を切断・成形した部品や建材(工場の歩廊など)。岐阜工場と福島工場。

数量出荷量(トン)価格1 トンあたりの売上(万円)売上営業利益
今 2026/03 6,000 140 84 6
10 年後 中立 6,300 188 118 7

取り方:出荷トン数の開示がないため推定。外部売上 84 億円を、加工の手間を足した 1 トンあたり約 140 万円で割った約 6,000 トン。利益は 1Q の比率から年 5.5 億円と推定。

リスクと懸念

自動車向けの構造的な縮小

主力の外装モール材は中国の EV 化で需要が減り、駆動部品用の異形鋼からは撤退した。自動車の設計が変われば、材料の需要は一気に消える。みがき帯鋼の売上の多くがまだ自動車に頼っている。

海外の安い圧延材

中国や韓国のステンレス圧延材が、汎用品の値段を押し下げている。品質で選ばれる用途を除けば、値段で競る場面が増える。会社は 2029 年度の目標を下げた理由の 1 つに海外材の攻勢を挙げた。

新事業の量産の遅れ

次世代電池向けのステンレス箔は 100 億円、マグネシウム合金は 25 億円、2029 年度の売上の見込みから消えた。量産の時期は数年単位で遅れている。開発の費用だけがかさみ、柱に育たない恐れがある。

借入と金利の上昇

借入金は 170 億円で、現金を引いても 100 億円を超える。今の利払いは低い金利に支えられているが、借り換えのたびに 3.5% 前後に上がる。利益の少ない年には、利払いが営業利益の大半を食う。

工場の更新の費用

圧延の設備は重く、償却は年 17 億円ほどある。物価と建築費が上がれば、設備を建て替える費用は今の償却より大きくなる。会計の利益が出ても、更新の投資で手元の現金は細る。

今後の分かれ目

次世代電池向けのステンレス箔か極薄電磁鋼帯で、量産の受注が公表されたら
やや楽観の筋書きの確率を上げる。数量の減りを小さく見直し、高い品の比率を引き上げる。
2027 年 3 月期の営業利益が計画の 13 億円を大きく上回り、利益率 3% を超えたら
撤退と値上げの効果が根づいた証拠として、中立の利益率を見直す。
自動車の外装モールの受注がさらに減り、みがき帯鋼の売上が 2 期続けて 5% 以上減ったら
やや悲観の筋書きに重みを移す。
大手鉄鋼や同業から資本提携や買収の提案があったら
PBR の低さから、帳簿の価値に近い値段での再編がありうる。筋書きの外の上振れとして扱う。
有価証券や遊休の土地を売り、借入を大きく減らしたら
利払いの重さが和らぐので、純利益の見通しを上げ、借金の分の資本コストの上乗せを外すことを考える。

見ておくもの

  • みがき帯鋼の四半期の売上と利益率
  • 新事業(ステンレス箔・電磁鋼帯・マグネシウム合金・ファインパイプ)の量産の時期
  • 借入金の残高と利払い
  • 自動車の外装モール向けの受注の動き
  • 配当性向と自社株買い

倍率と資本コストの決め方

倍率は今の株価や PBR を見ずに、ROE と k 9.5% から決めた。中立の ROE は 3.3% で k を大きく下回るので、PER の上限は 1÷k の 10.5 倍になり、その 8 割を使った。PBR 0.2 倍は割安の根拠にしていない。利益率は過去 12 年の山(7.0%)より下の 5% 前後に置き、会社が 2026 年 8 月に見直した 2029 年度の営業利益 20 億円と合う。悲観側は稼ぐ力がほぼ無いので、売れる資産の床で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→10.53 倍・やや楽観 PER 8.9→10.53 倍・中立 PER 8.4→10.53 倍)。

資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

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割安 高砂鐵工5458 純現金が時価総額の 6 割ある小さな帯鋼の会社。安く見えるが、稼ぐ力は資本コストに届かない 本質価値との差 +31.9% · 10 年 割安(年 +10.5%) やや割安 中央可鍛工業5607 純資産の 3 割で買えるトヨタ系の鋳物屋。厚い現金と持ち株が支えるが、稼ぐ力は資本コストに届かず値上がりの根拠は薄い 本質価値との差 +28.0% · 10 年 やや割安(年 +10.9%) やや割安 イボキン5699 姫路で解体・産廃・スクラップを一貫で手がける小さな会社。解体の需要は伸びるが、相場と入札に利益を握られ、今の値段はやや高い 本質価値との差 +26.6% · 10 年 やや割安(年 +9.7%) やや割安 株式会社神戸製鋼所5406 鉄鋼は薄利でも機械・電力が稼ぐ複合経営、ニッチ特化と1高炉・1電炉への転換が鍵 本質価値との差 +22.9% · 10 年 やや割安(年 +9.5%) やや割安 サンユウ5697 日本製鉄系のみがき棒鋼と冷間圧造用線の中堅。加工賃の是正で利益は戻ったが、自動車の電動化と国内生産の縮みが重く、今の値段はやや高い 本質価値との差 +21.2% · 10 年 やや割安(年 +9.1%) やや割安 日本冶金工業5480 高機能材の伸びは本物だが、借金の重さと市況の振れが効く。今の値段は筋書きの加重とほぼ釣り合う 本質価値との差 +18.8% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 東京鐵鋼株式会社5445 鉄筋一本の電炉。足元の利益は山の高さだが、今の値段は山が崩れる前提をほぼ織り込んでいる 本質価値との差 +14.6% · 10 年 やや割安(年 +8.5%) 適正 モリ工業5464 ステンレス管の国内最大手で財務は盤石。だが稼ぐ力は資本コストに届かず、厚い現金の使い道が評価を分ける 本質価値との差 +5.3% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 合同製鐵株式会社5410 鉄筋と形鋼を作る電炉の中堅。縮む国内で資産だけが重く、帳簿の安さは割安の証拠にならない 本質価値との差 +5.0% · 10 年 適正(年 +8.2%) 適正 共英製鋼株式会社5440 国内の鉄筋は縮み、頼みの米国投資は時価総額に迫る大きさ。稼ぐ力は資本コストに届いていない 本質価値との差 +5.0% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 JFEホールディングス株式会社5411 鉄鋼本体の稼ぐ力は薄いが商社・エンジニアリングが支え、重い純負債をどこまで圧縮できるかが分かれ目 本質価値との差 +4.0% · 10 年 適正(年 +7.9%) 適正 日本精線5659 ステンレス線の国内首位で半導体向けは伸びるが、稼ぐ力は資本コストに届かず、厚い手元資金も親会社の下では戻りが限られる 本質価値との差 +3.6% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 北越メタル5446 新潟の鉄筋の電炉。建設の冷え込みで赤字に沈み、自己資本の厚さほどには稼げない 本質価値との差 +2.9% · 10 年 適正(年 +8.6%) 適正 新日本電工5563 合金鉄の市況の波に、焼却灰資源化という新しい柱が加わる。ただ ROE は資本コストに届かず、値段は成長をやや先取りしている 本質価値との差 −1.0% · 10 年 適正(年 +7.1%) 適正 大和工業株式会社5444 稼ぎの主役は国内ではなく北米の合弁。今の値段は海外頼みの好循環が続く前提に寄りすぎている 本質価値との差 −3.8% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 エンビプロ・ホールディングス5698 金属スクラップと焼却灰の資源化が柱。前期は市況の山で、結論は 割高 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 東京製鐵株式会社5423 財務は強いが事業は谷の底。純現金が時価総額の4割を占める一方、稼ぐ力の回復は10年かかる 本質価値との差 −9.9% · 10 年 適正(年 +5.9%) やや割高 株式会社中山製鋼所5408 新電気炉に社運を賭ける電炉メーカー。投資は時価総額の2倍超で、成功しても資本コストに届きにくい 本質価値との差 −12.8% · 10 年 やや割高(年 +5.8%) やや割高 虹技5603 鋳物とロールで細く長く稼ぐが、資本の稼ぐ力は資本コストに遠く、帳簿の割安は価値にならない 本質価値との差 −13.7% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 丸一鋼管5463 財務は鉄壁だが、鋼管は値段を自分で決められない。稼ぐ力に対して今の値段は先を行っている 本質価値との差 −14.4% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 新家工業7305 鋼管の専業で、賃貸収益が利益の3割を支える堅い会社。ただ本業の稼ぐ力は薄く、今の値段は回復を先取りしている 本質価値との差 −14.5% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 中部鋼鈑株式会社5461 電炉で厚板を作る国内唯一の専業。財務は鉄壁だが稼ぐ力は資本に見合わず、増産の成功を今の値段は先取りしている 本質価値との差 −16.8% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 大平洋金属5541 製錬所は赤字、稼ぎは鉱山の持分と現金。製錬をどう片づけるかで価値が決まり、今の値段は筋書きの加重を上回る 本質価値との差 −18.7% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 日本製鉄株式会社5401 USスチールの重い借金を背負いながら国内の構造減をどこまで補えるかが本質価値の分かれ目 本質価値との差 −19.9% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 日亜鋼業5658 鉄の線材を加工する地味な専業。資産は厚いが稼ぐ力が低く、結論は 割高 本質価値との差 −21.2% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 新報国マテリアル5542 露光装置のステージに使う低熱膨張合金の鋳物で、2 社の客先に頼る小さな会社。足元は好調だが、中立の値打ちは今の値段に届かない 本質価値との差 −21.6% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 三菱製鋼5632 高炉由来の特殊鋼とばねの二本柱。利益は薄く、資本コストに届かない。今の値段は計画の達成を先取りしている 本質価値との差 −22.4% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 日本鋳造5609 温度で伸びない合金LEXと大型鋳鋼の老舗。半導体の山谷が大きく、10年の価値は今の値段を下回る 本質価値との差 −24.3% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 大同特殊鋼5471 自動車向け鋼材の細りを新分野で埋められるかが勝負。今の値段は、その成功をかなり先取りしている 本質価値との差 −27.6% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 パウダーテック5695 コピー機のトナーを運ぶ鉄の粉で世界大手。印刷が細り資本は稼がず、10年では割高 本質価値との差 −29.5% · 10 年 やや割高(年 +2.9%) やや割高 日本鋳鉄管5612 水道管の国内3番手。クボタとの合弁で工場を満たす賭けに出たが、借金が膨らみROEは1%。中計が実っても今の値段は高い 本質価値との差 −29.6% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) 割高 株式会社ヨドコウ5451 素材の鋼板で稼ぐ堅実な独立系。だが ROE は資本コストに届かず、今の値段は割高とみる 本質価値との差 −31.1% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 愛知製鋼5482 トヨタグループ唯一の素材メーカー。電動化の逆風を新事業で埋め切れるかが焦点で、今の値段はその成功を先取りしている 本質価値との差 −34.8% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 大阪製鐵株式会社5449 インドネシアの傷は消えたが、国内だけの電炉に残る稼ぐ力は薄い。今の値段は日鉄の完全子会社化の期待まで抱えている 本質価値との差 −65.8% · 10 年 割高(年 −3.7%)

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読んだ資料

  1. 第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」のローリングに関するお知らせ
  2. 2027年3月期 第1四半期決算短信

分析日 2026-10-19