結論
イボキンは、兵庫県たつの市に本社を置く解体とリサイクルの会社だ。工場や病院を壊し、出た廃棄物を処理し、鉄や銅のくずを選別して製鉄所や問屋に売る。この3つを1社で引き受ける「ワンストップ」が売り物だ。
筆者の結論は、10年の稼ぐ力で測ると今の値段はやや高い、というものだ。解体の仕事は高度成長期の建物と工場の老朽化で確実に増える。ただ、工事は入札で値段が決まり、スクラップは相場で値段が決まる。自分で値段を決められる部分が小さい。
2025年は解体の複数の案件で原価が見積もりを大きく超え、営業利益は2割減った。2026年は回復しているが、工事の採算が読みにくい事業だということは示された。
10年で見ると、売上は物価と解体の量の伸びで1.5倍近くになる。だが利益の多くを配当に回さずためる形なので、ROEは資本コストを下回っていく。
筆者が見たいのは2つだ。1つは、解体の見積もりの精度が戻り、利益率が1割前後で安定するか。もう1つは、ためた現金と設備を株主に戻す姿勢が出てくるかだ。どちらかが見えれば、評価は上に動く。今はまだ、その手前にいる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、イボキンは「需要は確かだが、値段を決められない会社」だ。
解体の仕事は、建物がある限りなくならない。しかも日本では古い建物が増え続ける。この需要の確かさは評価できる。許可を持つ処理場と大型の重機は、地域の中では小さな参入の壁にもなっている。
ただ、オーナーとして持つなら、稼いだ利益がどこへ行くかを見たい。この会社は利益の8割を設備と土地にため、配当は2割しか出さない。ためた資本が資本コストを上回って稼ぐなら良いが、工事は入札、くずは相場で、その保証はない。
2025年の原価の読み違いも気になる。小さな会社が大きな案件を取りにいくと、1件の失敗が年の利益を消す。経営が規模より採算を優先するかを見たい。安全域は今の値段では薄いと筆者は見る。
逆に言えば、相場が崩れて株価が下がった時は、需要の確かさを安く買える場面になりうる。土地と処理場は、この会社の価値の下支えにもなる。
何で稼ぐ会社か
事業は3つある。2025年12月期の売上100億円のうち、解体が35億円、環境が20億円、金属が45億円だ。営業利益は3つともほぼ2億円ずつで、本社の費用は各事業に配られている。
解体は工場・病院・商業施設などを壊す工事だ。2025年に兵庫の解体会社ミツエを子会社にし、売上は4割近く伸びた。工事を仕切る監督者は41人いる。工事は進み具合に応じて売上を立てるので、見積もりを外すと損失がまとめて出る。
環境は産業廃棄物の収集・運搬・中間処理だ。年に約2万1千トンの処理を受け、選別した再生資源を約1万8千トン売る。処分の許可と処理場は簡単に増やせないので、地域の中では競争が緩い。
金属は鉄と非鉄のくずを買い取り、切断・選別して電炉メーカーや問屋に売る。年の取扱量は約7万4千トンだ。値段は鉄スクラップと銅の相場でほぼ決まり、稼ぎは買値と売値の差と、選別で付ける付加価値だ。
3つの事業は互いに材料を回す。解体で出た鉄くずは金属へ、廃材は環境へ流れる。外から見えにくいが、これが同業の専業会社との違いになっている。
優良さと弱いところ
事業の質は、地域の中堅としては悪くないが、堀と呼べるほどではない。
強みは許可と設備だ。産業廃棄物の処理場や大型の重機は、新しく始める会社がすぐにはそろえられない。130トン級の大型解体機を持ち、高い建物や大きな工場を自前で壊せる会社は西日本でも多くない。解体から処理、売却までを1社で引き受けられるので、発注する側の手間が減る。
弱みは値段を決める力だ。解体は入札で他社と競い、スクラップは相場に従う。2025年のように工事の原価を読み違えると、利益は簡単に飛ぶ。営業利益率は過去10年で2〜9%の間を行き来した。
資本効率は並みだ。ROEは10%前後あるが、配当は利益の2割ほどで、残りは重機と土地に回る。設備をため込む形が続くと、ROEは少しずつ下がる。
経営は創業家が担い、地元の取引先との長い関係が受注を支える。ただ、規模を急いで広げると採算の管理が追いつかないことは、2025年の損失が示した。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
解体の需要は、10年単位で見ると伸びる側にある。1970年代から80年代に建った工場・病院・ビルが一斉に建て替えの時期を迎えるからだ。国内の解体工事の市場は2兆円規模とされ、空き家や老朽化した工場の撤去も加わる。風力発電所の撤去のような新しい仕事も出てくる。
一方で、解体の担い手は地場の中小が多く、価格の競争は厳しい。大手ゼネコンが元請けを取り、解体会社は下請けとして入札に参加する形が多い。人手不足で職人の賃金は上がり、その分を工事の値段に乗せられるかが利益を分ける。
スクラップの値段は世界の鉄鋼の需給で決まる。中国の鋼材の輸出が多い間は、鉄くずの値段の天井も低い。電炉の比率が上がる脱炭素の流れは鉄くずの需要を支えるが、値段が物価ほど上がるとは限らない。
筆者は、解体の量は10年で2〜3割増え、工事の単価は物価並みに上がると見る。スクラップの単価は物価よりやや遅れて上がる。
産業廃棄物の処理は、許可と近所の同意が要るので新しい処理場ができにくい。地域で処理場を持つ会社は、解体の会社からも工場からも頼られる。この点はイボキンに有利だ。ただ、処分場の残りの容量や規制の強化で、処理の費用が上がる面もある。
資本政策と M&A
還元は安定配当が基本で、配当の総額は年約1億円だ。配当性向は2割前後と低い。自社株買いはほとんどしておらず、余った現金は重機・土地・M&Aに回してきた。2025年は土地などに14億円を投じ、9億円を借りた。
大株主は創業家と関係者で、親会社はない。M&Aは地域の解体会社を買う形で、ミツエの取得は資産より安く買えた(負ののれんが出た)。買う側として小さな会社を足していく方針で、自分が買われる側に回る可能性は小さいと筆者は見る。
投資有価証券は6.6億円あり、配当は利益に入っているので、価値に別には足さない。配当を増やすか、自社株買いを始めるかが、今後の資本の使い方を見る目印になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
解体の需要は、この先10年で確実に増える。高度成長期の工場や病院が一斉に寿命を迎え、壊さなければ建て替えられない。しかもイボキンは、壊すだけでなく、出たごみを処理し、くずを売るところまで1社でできる。発注する側から見れば、窓口が1つで済む会社は使いやすい。
130トン級の重機と処理場の許可は、新しい会社がすぐにそろえられるものではない。地域の中では小さな堀になっている。
2025年の損失は一時のものだ。2026年の中間期は営業利益が2倍以上に戻り、解体の利益率は2割に近い。見積もりの管理を直せば、解体の利益率は1割を超えて安定する。
ミツエは資産より安く買えた。地域の解体会社は後継ぎ不足で売り手が多く、安く買って監督者を増やせる。風力発電所の撤去のような新しい仕事もある。量が増え、単価が物価で上がれば、利益は10年で2倍になってもおかしくない。
財務も軽い。借入は設備の分だけで、利払いの負担は小さい。処理場と土地は帳簿以上の価値を持ち、下値を支える。
慎重な見方
解体は入札の仕事だ。ゼネコンが元請けで、解体会社は下請けとして値段を叩かれる。需要が伸びても、取り合う会社も増える。職人の賃金だけが上がり、工事の値段は追いつかない。
2025年の損失は一時のものではない。工事の進み具合で売上を立てる会計では、見積もりを外すと損失がまとめて出る。大きな案件を取りにいくほど、この危うさは増す。
金属は相場の商売だ。中国の鋼材の輸出が続く限り、鉄くずの値段は伸びにくい。不況が来れば、くずの値段は半分になる。
資本の使い方も気になる。利益の8割を重機と土地にため、配当は2割しか出さない。ためた資本は入札と相場の利益しか生まないので、ROEは年々下がる。需要の確かさは認めても、株主に届く価値は増えにくい。
小さな会社なので、人の確保も弱点になる。監督者を増やすと言っても、経験のある人は同業も欲しがる。M&Aで人を買っても、現場の質がそろうまでには時間がかかる。強気の筋書きは、人と採算の両方がうまくいくことを前提にしている。
どちらに重みを置いたか
需要の確かさについては強気の言い分に理がある。だが値段を決める力の弱さと、利益を設備にためる資本の使い方は、慎重な側の言うとおりだ。確率は中立を中心に置き、2025年の原価の読み違いを見て慎重な側をやや厚くした。解体の利益率が1割で安定し、還元が厚くなれば、見方を強気に寄せる。相場の谷で株価が下がる時は、土地と処理場が下値を支える。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 3,234 円106 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 439 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 1,835 円60 億円、今との差 +26.6%、 期待の年率 +9.7%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 5,118 円168 億円 | 608 円20 億円 | +294.9% | +14.7% | 573 円19 億円 |
| やや楽観 | 22% | 4,366 円144 億円 | 517 円17 億円 | +236.8% | +12.9% | 1,074 円35 億円 |
| 中立 | 38% | 3,718 円122 億円 | 456 円15 億円 | +187.9% | +11.2% | 1,586 円52 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,438 円47 億円 | 335 円11 億円 | +22.2% | +2.0% | 355 円12 億円 |
| 悲観 | 10% | 608 円20 億円 | 243 円8 億円 | −41.3% | −5.2% | 85 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,234 円106 億円 | 439 円14 億円 | +153.3% | +9.7% | 3,673 円121 億円 |
今の株価時価総額 1,450 円48 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 大型解体と買収で西日本の有力どころになる 利益 10 億円 · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 5,118 円168 億円
工場や発電所の建て替えが重なり、大型の解体の仕事が西日本で増える。イボキンは重機と処理場を足し、地域の解体会社を2〜3社買って監督者を6割増やす。工事の見積もりの精度も上がり、解体の利益率は1割を超える。
解体で出たくずと廃材が自社の環境と金属に流れ、一貫の強みがはっきり利益に出る。スクラップの単価は物価並みに上がる。
営業利益は14億円台、純利益は10億円になる。配当を少しずつ増やしても、ROEは9%台を保ち、資本コストをわずかに上回る。
買った会社は資産より安く手に入り、現場の質もそろう。西日本で大型の解体を任される会社の1つになり、元請けからの指名も増える。
- 解体事業:数量 62.0(工事監督者の人数(人))× 価格 1.13(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 70 億円・営業利益 8 億円。監督者6割増・単価は物価並み
- 環境事業:数量 46.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.70(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 4 億円。処理量が増える
- 金属事業:数量 85.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.76(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 64 億円・営業利益 3 億円。解体由来のくずが増える
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.55 倍、時価総額 157 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:130トン級の重機と処理場を持つ強みは本物で、解体の需要も伸びる。ただ工事の採算を読み違えた直後で、規模を倍にする筋は1割とした。
やや楽観 22% 解体が順調に伸び、採算も戻る 利益 9 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 4,366 円144 億円
解体の仕事は工場と病院の建て替えで着実に増え、監督者は4割増える。見積もりの読み違いは減り、解体の利益率は1割前後に戻る。
環境は処理量が少し増え、金属は解体から出るくずで取扱量が増える。スクラップの単価は物価よりやや遅れて上がる。
営業利益は12億円台、純利益は9億円近くになる。配当は増えるが性向は2割台のままで、利益の多くは設備と土地にたまる。ROEは資本コストと同じ程度で落ち着く。
大きな買収はしないが、地域の小さな解体会社を時々足し、人を確保する。くずの相場は上下するが、10年をならせば物価より少し遅れて上がる程度だ。
- 解体事業:数量 57.0(工事監督者の人数(人))× 価格 1.13(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 64 億円・営業利益 6 億円。監督者4割増
- 環境事業:数量 44.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.70(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 31 億円・営業利益 4 億円。少し増える
- 金属事業:数量 80.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.76(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 61 億円・営業利益 3 億円。取扱量が少し増える
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 14.99 倍、時価総額 131 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年の中間期は解体の採算が戻り、受注も続いている。古い建物の解体需要が追い風なので2割強。
中立 38% 解体の量は伸びるが、利益の多くは設備にたまる 利益 8 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 3,718 円122 億円
筆者が最も起こりやすいと見るのは、需要の伸びが利益率の改善までは届かない姿だ。解体の量は監督者で見て3割近く増えるが、入札の競争と職人の賃金の上昇で、利益率は9%にとどまる。
環境の処理量は1割弱増え、金属の取扱量は少し増える。スクラップの単価は物価よりやや遅れる。
営業利益は11億円弱、純利益は7.6億円になる。配当は利益の2割ほどで、残りは重機と土地にたまる。自己資本は倍近くに膨らみ、ROEは7%台に下がる。稼ぐ量は増えても、資本の効率は落ちていく。
会社は買われる側にも回らず、創業家の経営が続く。株主が受け取るのは、ゆっくり増える配当だけになる。
- 解体事業:数量 52.0(工事監督者の人数(人))× 価格 1.13(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 5 億円。監督者3割近く増・単価は物価並み
- 環境事業:数量 42.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.70(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 3 億円。処理量は1割弱増
- 金属事業:数量 78.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.76(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 2 億円。単価は物価よりやや遅れる
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍。全体の PER 14.38 倍、時価総額 109 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:解体の需要の伸びと、入札・相場で値段を決められない弱さが釣り合う姿。過去10年の利益率の中ほどで、最も起こりやすいとして4割弱。
やや悲観 20% 解体の価格競争が激しくなり、相場も弱い 利益 4 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 1,438 円47 億円
解体の仕事は増えるが、受注を取り合う会社も増える。工事の単価は物価ほど上がらず、職人の賃金だけが上がる。見積もりの読み違いも時々起き、解体の利益率は5%に下がる。
中国の鋼材の輸出が続き、スクラップの値段は伸び悩む。金属の利幅は薄くなり、環境の再生資源も売り値が下がる。
営業利益は5億円、純利益は3.5億円に落ちる。ROEは4%台で資本コストを大きく下回り、ためた設備は稼がない。価値は稼ぐ力で測るほかない。
重機の更新は建築機械の値上がりで高くつき、借入が少し増える。利払いはまだ小さいが、配当を増やす余地はなくなる。土地と処理場は残るが、それを売って株主に返す道は開かれない。
- 解体事業:数量 40.0(工事監督者の人数(人))× 価格 1.01(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。単価は物価に届かない
- 環境事業:数量 36.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.62(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。再生資源の値段が弱い
- 金属事業:数量 68.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.68(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 46 億円・営業利益 1 億円。利幅が薄い
倍率:ROEは約4%で資本コストを大きく下回る。稼ぐ力は純利益÷k=約42億円が上限で、ためた設備が稼がない分を引いて10倍の35億円とする。
確率:解体は地場の中小が多く、職人の賃金が上がっても工事の値段に乗せにくい。中国の鋼材輸出でくずの値段も伸びにくい。十分ありうるので2割。
悲観 10% 大型案件の損失とくず相場の崩れが重なる 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 608 円20 億円
リーマン級の不況で工場の建て替えが止まり、解体の仕事が細る。残った案件を安値で取り合い、大型の工事で再び原価を読み違える。
鉄スクラップの値段は製鉄所の減産で大きく下がり、金属はほぼ利益が出ない。産廃の処理も工場の生産の減少で減る。
営業利益は1億円台、純利益はほぼゼロになる。配当は減り、重機の借入の返済が重くなる。価値は土地と処理場、現金の売れる値で測るしかない。会社は清算されないので、少数株主に届くのはその半分ほどだ。
立て直しには、監督者を減らして案件を選び、処理場の稼ぎで食いつなぐしかない。
- 解体事業:数量 32.0(工事監督者の人数(人))× 価格 0.90(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円。安値受注と損失
- 環境事業:数量 32.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.55(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。処理量が減る
- 金属事業:数量 55.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.55(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 0 億円。相場が崩れる
倍率:稼ぐ力はほぼ消える。価値は売れる資産の床で測り、今の自己資本51億円に0.39倍をかけた20億円とする。
確率:2025年に原価の読み違いが実際に起き、スクラップ相場はリーマン級の不況で半値になった歴史がある。両方が重なる筋は1割とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
解体事業
工場・病院・商業施設などの解体工事。ミツエを含む。
| 数量工事監督者の人数(人) | 価格監督者1人あたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 41.0 | 0.84 | 35 | 2 |
| 10 年後 中立 | 52.0 | 1.13 | 59 | 5 |
取り方:2025年12月期の解体の売上34.61億円・営業利益2.03億円(短信)。工事の件数は開示がないため、施工能力の目安として会社が開示する工事監督者41人で割った推定。
環境事業
産業廃棄物の収集・運搬・中間処理と再生資源の販売。
| 数量産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン) | 価格1千トンあたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 39.0 | 0.52 | 20 | 2 |
| 10 年後 中立 | 42.0 | 0.70 | 29 | 3 |
取り方:2025年12月期の環境の売上20.26億円・営業利益2.37億円、産廃受託21,395トンと再生資源販売17,641トン(短信)から割り戻した。
金属事業
鉄・非鉄のくずを買い取り、切断・選別して売る。
| 数量金属スクラップの取扱量(千トン) | 価格1千トンあたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 74.5 | 0.61 | 45 | 2 |
| 10 年後 中立 | 78.0 | 0.76 | 59 | 2 |
取り方:2025年12月期の金属の売上45.19億円・営業利益2.03億円、取扱量74,484トン(短信)から割り戻した。
リスクと懸念
工事の原価の読み違い
2025年は複数の解体案件で原価が見積もりを大きく超え、解体の利益が4割減った。大型案件ほど1件の失敗が全社の利益を消す。受注の規模を急いで広げると、同じことが繰り返される。
スクラップ相場
金属の売上の大半は鉄と銅のくずの値段で決まる。中国の鋼材の輸出が多い間は鉄くずの値段の天井が低く、不況では製鉄所の減産で値段が半分になることもある。
職人と監督者の不足
解体は監督者と職人の数が仕事の量を決める。人手不足で賃金は上がり続け、工事の値段に乗せられなければ利益率が下がる。人が集まらなければ、需要があっても受けられない。
設備にたまる資本
配当は利益の2割ほどで、残りは重機・土地・処理場に回る。投資が資本コストを上回って稼がなければ、ROEは年々下がり、株主の取り分は薄くなる。
許可と事故
産業廃棄物の処理は許可の事業で、事故や違反があれば営業の停止がありうる。解体の現場の事故も、受注の停止や指名の停止につながる。
今後の分かれ目
- 解体の利益率が2年続けて1割を超える
- 見積もりの精度が上がった証拠。解体の中立の利益率を上げ、強気の側に確率を寄せる。
- 再び大型案件で損失を出す
- 採算の管理が弱いままだ。解体の利益率の中立を下げ、慎重な側に確率を寄せる。
- 配当性向を3割以上に上げるか自社株買いを始める
- ためすぎの資本が株主に戻る。倍率の置き方と自己資本の流れを見直す。
- 地域の解体会社を続けて買う
- 買値が資産より安いかを見る。安く買えれば監督者の数の中立を上げる。
- 鉄スクラップの値段が2年続けて大きく下がる
- 金属と環境の利幅が薄くなる。単価の中立を下げる。
見ておくもの
- 解体の受注残と工事監督者の人数
- 解体のセグメント利益率
- 鉄スクラップと銅の相場
- 設備投資の額と配当性向
- M&Aの買値と負ののれん
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEと資本コスト7.75%から決めた。中立はROEが7%台に下がるため上限1÷k=12.1倍の8割の9.7倍。今のPER・PBRは見ていない。2025年の純利益は特別利益を除いてならした。投資有価証券は配当が利益に入るので価値に足さず、悲観の床だけに入れた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→15.55 倍・やや楽観 PER 10.3→14.99 倍・中立 PER 9.7→14.38 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。