株譜
AI 銘柄分析 · 鉄鋼 · 試作

イボキン 5699

姫路で解体・産廃・スクラップを一貫で手がける小さな会社。解体の需要は伸びるが、相場と入札に利益を握られ、今の値段はやや高い

やや割安
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,835 円60 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,450 円48 億円差 +26.6%
10 年後から見ると やや割安 価値 1,835 円60 億円 · 差 +26.6% · 期待の年率 +9.7%
期待の年率リターン(10 年)+9.7%資本コスト比 +2.0 pt
推定の資本コスト7.8%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.8% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

イボキンは、兵庫県たつの市に本社を置く解体とリサイクルの会社だ。工場や病院を壊し、出た廃棄物を処理し、鉄や銅のくずを選別して製鉄所や問屋に売る。この3つを1社で引き受ける「ワンストップ」が売り物だ。

筆者の結論は、10年の稼ぐ力で測ると今の値段はやや高い、というものだ。解体の仕事は高度成長期の建物と工場の老朽化で確実に増える。ただ、工事は入札で値段が決まり、スクラップは相場で値段が決まる。自分で値段を決められる部分が小さい。

2025年は解体の複数の案件で原価が見積もりを大きく超え、営業利益は2割減った。2026年は回復しているが、工事の採算が読みにくい事業だということは示された。

10年で見ると、売上は物価と解体の量の伸びで1.5倍近くになる。だが利益の多くを配当に回さずためる形なので、ROEは資本コストを下回っていく。

筆者が見たいのは2つだ。1つは、解体の見積もりの精度が戻り、利益率が1割前後で安定するか。もう1つは、ためた現金と設備を株主に戻す姿勢が出てくるかだ。どちらかが見えれば、評価は上に動く。今はまだ、その手前にいる。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、イボキンは「需要は確かだが、値段を決められない会社」だ。

解体の仕事は、建物がある限りなくならない。しかも日本では古い建物が増え続ける。この需要の確かさは評価できる。許可を持つ処理場と大型の重機は、地域の中では小さな参入の壁にもなっている。

ただ、オーナーとして持つなら、稼いだ利益がどこへ行くかを見たい。この会社は利益の8割を設備と土地にため、配当は2割しか出さない。ためた資本が資本コストを上回って稼ぐなら良いが、工事は入札、くずは相場で、その保証はない。

2025年の原価の読み違いも気になる。小さな会社が大きな案件を取りにいくと、1件の失敗が年の利益を消す。経営が規模より採算を優先するかを見たい。安全域は今の値段では薄いと筆者は見る。

逆に言えば、相場が崩れて株価が下がった時は、需要の確かさを安く買える場面になりうる。土地と処理場は、この会社の価値の下支えにもなる。

何で稼ぐ会社か

事業は3つある。2025年12月期の売上100億円のうち、解体が35億円、環境が20億円、金属が45億円だ。営業利益は3つともほぼ2億円ずつで、本社の費用は各事業に配られている。

解体は工場・病院・商業施設などを壊す工事だ。2025年に兵庫の解体会社ミツエを子会社にし、売上は4割近く伸びた。工事を仕切る監督者は41人いる。工事は進み具合に応じて売上を立てるので、見積もりを外すと損失がまとめて出る。

環境は産業廃棄物の収集・運搬・中間処理だ。年に約2万1千トンの処理を受け、選別した再生資源を約1万8千トン売る。処分の許可と処理場は簡単に増やせないので、地域の中では競争が緩い。

金属は鉄と非鉄のくずを買い取り、切断・選別して電炉メーカーや問屋に売る。年の取扱量は約7万4千トンだ。値段は鉄スクラップと銅の相場でほぼ決まり、稼ぎは買値と売値の差と、選別で付ける付加価値だ。

3つの事業は互いに材料を回す。解体で出た鉄くずは金属へ、廃材は環境へ流れる。外から見えにくいが、これが同業の専業会社との違いになっている。

優良さと弱いところ

事業の質は、地域の中堅としては悪くないが、堀と呼べるほどではない。

強みは許可と設備だ。産業廃棄物の処理場や大型の重機は、新しく始める会社がすぐにはそろえられない。130トン級の大型解体機を持ち、高い建物や大きな工場を自前で壊せる会社は西日本でも多くない。解体から処理、売却までを1社で引き受けられるので、発注する側の手間が減る。

弱みは値段を決める力だ。解体は入札で他社と競い、スクラップは相場に従う。2025年のように工事の原価を読み違えると、利益は簡単に飛ぶ。営業利益率は過去10年で2〜9%の間を行き来した。

資本効率は並みだ。ROEは10%前後あるが、配当は利益の2割ほどで、残りは重機と土地に回る。設備をため込む形が続くと、ROEは少しずつ下がる。

経営は創業家が担い、地元の取引先との長い関係が受注を支える。ただ、規模を急いで広げると採算の管理が追いつかないことは、2025年の損失が示した。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

解体の需要は、10年単位で見ると伸びる側にある。1970年代から80年代に建った工場・病院・ビルが一斉に建て替えの時期を迎えるからだ。国内の解体工事の市場は2兆円規模とされ、空き家や老朽化した工場の撤去も加わる。風力発電所の撤去のような新しい仕事も出てくる。

一方で、解体の担い手は地場の中小が多く、価格の競争は厳しい。大手ゼネコンが元請けを取り、解体会社は下請けとして入札に参加する形が多い。人手不足で職人の賃金は上がり、その分を工事の値段に乗せられるかが利益を分ける。

スクラップの値段は世界の鉄鋼の需給で決まる。中国の鋼材の輸出が多い間は、鉄くずの値段の天井も低い。電炉の比率が上がる脱炭素の流れは鉄くずの需要を支えるが、値段が物価ほど上がるとは限らない。

筆者は、解体の量は10年で2〜3割増え、工事の単価は物価並みに上がると見る。スクラップの単価は物価よりやや遅れて上がる。

産業廃棄物の処理は、許可と近所の同意が要るので新しい処理場ができにくい。地域で処理場を持つ会社は、解体の会社からも工場からも頼られる。この点はイボキンに有利だ。ただ、処分場の残りの容量や規制の強化で、処理の費用が上がる面もある。

資本政策と M&A

還元は安定配当が基本で、配当の総額は年約1億円だ。配当性向は2割前後と低い。自社株買いはほとんどしておらず、余った現金は重機・土地・M&Aに回してきた。2025年は土地などに14億円を投じ、9億円を借りた。

大株主は創業家と関係者で、親会社はない。M&Aは地域の解体会社を買う形で、ミツエの取得は資産より安く買えた(負ののれんが出た)。買う側として小さな会社を足していく方針で、自分が買われる側に回る可能性は小さいと筆者は見る。

投資有価証券は6.6億円あり、配当は利益に入っているので、価値に別には足さない。配当を増やすか、自社株買いを始めるかが、今後の資本の使い方を見る目印になる。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

解体の需要は、この先10年で確実に増える。高度成長期の工場や病院が一斉に寿命を迎え、壊さなければ建て替えられない。しかもイボキンは、壊すだけでなく、出たごみを処理し、くずを売るところまで1社でできる。発注する側から見れば、窓口が1つで済む会社は使いやすい。

130トン級の重機と処理場の許可は、新しい会社がすぐにそろえられるものではない。地域の中では小さな堀になっている。

2025年の損失は一時のものだ。2026年の中間期は営業利益が2倍以上に戻り、解体の利益率は2割に近い。見積もりの管理を直せば、解体の利益率は1割を超えて安定する。

ミツエは資産より安く買えた。地域の解体会社は後継ぎ不足で売り手が多く、安く買って監督者を増やせる。風力発電所の撤去のような新しい仕事もある。量が増え、単価が物価で上がれば、利益は10年で2倍になってもおかしくない。

財務も軽い。借入は設備の分だけで、利払いの負担は小さい。処理場と土地は帳簿以上の価値を持ち、下値を支える。

慎重な見方

解体は入札の仕事だ。ゼネコンが元請けで、解体会社は下請けとして値段を叩かれる。需要が伸びても、取り合う会社も増える。職人の賃金だけが上がり、工事の値段は追いつかない。

2025年の損失は一時のものではない。工事の進み具合で売上を立てる会計では、見積もりを外すと損失がまとめて出る。大きな案件を取りにいくほど、この危うさは増す。

金属は相場の商売だ。中国の鋼材の輸出が続く限り、鉄くずの値段は伸びにくい。不況が来れば、くずの値段は半分になる。

資本の使い方も気になる。利益の8割を重機と土地にため、配当は2割しか出さない。ためた資本は入札と相場の利益しか生まないので、ROEは年々下がる。需要の確かさは認めても、株主に届く価値は増えにくい。

小さな会社なので、人の確保も弱点になる。監督者を増やすと言っても、経験のある人は同業も欲しがる。M&Aで人を買っても、現場の質がそろうまでには時間がかかる。強気の筋書きは、人と採算の両方がうまくいくことを前提にしている。

どちらに重みを置いたか

需要の確かさについては強気の言い分に理がある。だが値段を決める力の弱さと、利益を設備にためる資本の使い方は、慎重な側の言うとおりだ。確率は中立を中心に置き、2025年の原価の読み違いを見て慎重な側をやや厚くした。解体の利益率が1割で安定し、還元が厚くなれば、見方を強気に寄せる。相場の谷で株価が下がる時は、土地と処理場が下値を支える。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 3,234 円106 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 439 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 1,835 円60 億円、今との差 +26.6%、 期待の年率 +9.7%(資本コスト 7.8%)→ やや割安

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 10% 5,118 円168 億円 608 円20 億円 +294.9% +14.7% 573 円19 億円
やや楽観 22% 4,366 円144 億円 517 円17 億円 +236.8% +12.9% 1,074 円35 億円
中立 38% 3,718 円122 億円 456 円15 億円 +187.9% +11.2% 1,586 円52 億円
やや悲観 20% 1,438 円47 億円 335 円11 億円 +22.2% +2.0% 355 円12 億円
悲観 10% 608 円20 億円 243 円8 億円 −41.3% −5.2% 85 円3 億円
加重平均100% 3,234 円106 億円439 円14 億円 +153.3% +9.7% 3,673 円121 億円

今の株価時価総額 1,450 円48 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。

楽観 10% 大型解体と買収で西日本の有力どころになる 利益 10 億円 · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 5,118 円168 億円

工場や発電所の建て替えが重なり、大型の解体の仕事が西日本で増える。イボキンは重機と処理場を足し、地域の解体会社を2〜3社買って監督者を6割増やす。工事の見積もりの精度も上がり、解体の利益率は1割を超える。

解体で出たくずと廃材が自社の環境と金属に流れ、一貫の強みがはっきり利益に出る。スクラップの単価は物価並みに上がる。

営業利益は14億円台、純利益は10億円になる。配当を少しずつ増やしても、ROEは9%台を保ち、資本コストをわずかに上回る。

買った会社は資産より安く手に入り、現場の質もそろう。西日本で大型の解体を任される会社の1つになり、元請けからの指名も増える。

  • 解体事業:数量 62.0(工事監督者の人数(人))× 価格 1.13(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 70 億円・営業利益 8 億円。監督者6割増・単価は物価並み
  • 環境事業:数量 46.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.70(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 4 億円。処理量が増える
  • 金属事業:数量 85.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.76(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 64 億円・営業利益 3 億円。解体由来のくずが増える

倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.55 倍、時価総額 157 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:130トン級の重機と処理場を持つ強みは本物で、解体の需要も伸びる。ただ工事の採算を読み違えた直後で、規模を倍にする筋は1割とした。

やや楽観 22% 解体が順調に伸び、採算も戻る 利益 9 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 4,366 円144 億円

解体の仕事は工場と病院の建て替えで着実に増え、監督者は4割増える。見積もりの読み違いは減り、解体の利益率は1割前後に戻る。

環境は処理量が少し増え、金属は解体から出るくずで取扱量が増える。スクラップの単価は物価よりやや遅れて上がる。

営業利益は12億円台、純利益は9億円近くになる。配当は増えるが性向は2割台のままで、利益の多くは設備と土地にたまる。ROEは資本コストと同じ程度で落ち着く。

大きな買収はしないが、地域の小さな解体会社を時々足し、人を確保する。くずの相場は上下するが、10年をならせば物価より少し遅れて上がる程度だ。

  • 解体事業:数量 57.0(工事監督者の人数(人))× 価格 1.13(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 64 億円・営業利益 6 億円。監督者4割増
  • 環境事業:数量 44.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.70(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 31 億円・営業利益 4 億円。少し増える
  • 金属事業:数量 80.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.76(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 61 億円・営業利益 3 億円。取扱量が少し増える

倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 14.99 倍、時価総額 131 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:2026年の中間期は解体の採算が戻り、受注も続いている。古い建物の解体需要が追い風なので2割強。

中立 38% 解体の量は伸びるが、利益の多くは設備にたまる 利益 8 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 3,718 円122 億円

筆者が最も起こりやすいと見るのは、需要の伸びが利益率の改善までは届かない姿だ。解体の量は監督者で見て3割近く増えるが、入札の競争と職人の賃金の上昇で、利益率は9%にとどまる。

環境の処理量は1割弱増え、金属の取扱量は少し増える。スクラップの単価は物価よりやや遅れる。

営業利益は11億円弱、純利益は7.6億円になる。配当は利益の2割ほどで、残りは重機と土地にたまる。自己資本は倍近くに膨らみ、ROEは7%台に下がる。稼ぐ量は増えても、資本の効率は落ちていく。

会社は買われる側にも回らず、創業家の経営が続く。株主が受け取るのは、ゆっくり増える配当だけになる。

  • 解体事業:数量 52.0(工事監督者の人数(人))× 価格 1.13(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 5 億円。監督者3割近く増・単価は物価並み
  • 環境事業:数量 42.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.70(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 3 億円。処理量は1割弱増
  • 金属事業:数量 78.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.76(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 2 億円。単価は物価よりやや遅れる

倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍。全体の PER 14.38 倍、時価総額 109 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:解体の需要の伸びと、入札・相場で値段を決められない弱さが釣り合う姿。過去10年の利益率の中ほどで、最も起こりやすいとして4割弱。

やや悲観 20% 解体の価格競争が激しくなり、相場も弱い 利益 4 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 1,438 円47 億円

解体の仕事は増えるが、受注を取り合う会社も増える。工事の単価は物価ほど上がらず、職人の賃金だけが上がる。見積もりの読み違いも時々起き、解体の利益率は5%に下がる。

中国の鋼材の輸出が続き、スクラップの値段は伸び悩む。金属の利幅は薄くなり、環境の再生資源も売り値が下がる。

営業利益は5億円、純利益は3.5億円に落ちる。ROEは4%台で資本コストを大きく下回り、ためた設備は稼がない。価値は稼ぐ力で測るほかない。

重機の更新は建築機械の値上がりで高くつき、借入が少し増える。利払いはまだ小さいが、配当を増やす余地はなくなる。土地と処理場は残るが、それを売って株主に返す道は開かれない。

  • 解体事業:数量 40.0(工事監督者の人数(人))× 価格 1.01(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。単価は物価に届かない
  • 環境事業:数量 36.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.62(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。再生資源の値段が弱い
  • 金属事業:数量 68.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.68(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 46 億円・営業利益 1 億円。利幅が薄い

倍率:ROEは約4%で資本コストを大きく下回る。稼ぐ力は純利益÷k=約42億円が上限で、ためた設備が稼がない分を引いて10倍の35億円とする。

確率:解体は地場の中小が多く、職人の賃金が上がっても工事の値段に乗せにくい。中国の鋼材輸出でくずの値段も伸びにくい。十分ありうるので2割。

悲観 10% 大型案件の損失とくず相場の崩れが重なる 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 608 円20 億円

リーマン級の不況で工場の建て替えが止まり、解体の仕事が細る。残った案件を安値で取り合い、大型の工事で再び原価を読み違える。

鉄スクラップの値段は製鉄所の減産で大きく下がり、金属はほぼ利益が出ない。産廃の処理も工場の生産の減少で減る。

営業利益は1億円台、純利益はほぼゼロになる。配当は減り、重機の借入の返済が重くなる。価値は土地と処理場、現金の売れる値で測るしかない。会社は清算されないので、少数株主に届くのはその半分ほどだ。

立て直しには、監督者を減らして案件を選び、処理場の稼ぎで食いつなぐしかない。

  • 解体事業:数量 32.0(工事監督者の人数(人))× 価格 0.90(監督者1人あたりの年間売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円。安値受注と損失
  • 環境事業:数量 32.0(産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン))× 価格 0.55(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。処理量が減る
  • 金属事業:数量 55.0(金属スクラップの取扱量(千トン))× 価格 0.55(1千トンあたりの売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 0 億円。相場が崩れる

倍率:稼ぐ力はほぼ消える。価値は売れる資産の床で測り、今の自己資本51億円に0.39倍をかけた20億円とする。

確率:2025年に原価の読み違いが実際に起き、スクラップ相場はリーマン級の不況で半値になった歴史がある。両方が重なる筋は1割とした。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

解体事業

工場・病院・商業施設などの解体工事。ミツエを含む。

数量工事監督者の人数(人)価格監督者1人あたりの年間売上(億円)売上営業利益
今 2025/12 41.0 0.84 35 2
10 年後 中立 52.0 1.13 59 5

取り方:2025年12月期の解体の売上34.61億円・営業利益2.03億円(短信)。工事の件数は開示がないため、施工能力の目安として会社が開示する工事監督者41人で割った推定。

環境事業

産業廃棄物の収集・運搬・中間処理と再生資源の販売。

数量産廃の受託量+再生資源の販売量(千トン)価格1千トンあたりの売上(億円)売上営業利益
今 2025/12 39.0 0.52 20 2
10 年後 中立 42.0 0.70 29 3

取り方:2025年12月期の環境の売上20.26億円・営業利益2.37億円、産廃受託21,395トンと再生資源販売17,641トン(短信)から割り戻した。

金属事業

鉄・非鉄のくずを買い取り、切断・選別して売る。

数量金属スクラップの取扱量(千トン)価格1千トンあたりの売上(億円)売上営業利益
今 2025/12 74.5 0.61 45 2
10 年後 中立 78.0 0.76 59 2

取り方:2025年12月期の金属の売上45.19億円・営業利益2.03億円、取扱量74,484トン(短信)から割り戻した。

リスクと懸念

工事の原価の読み違い

2025年は複数の解体案件で原価が見積もりを大きく超え、解体の利益が4割減った。大型案件ほど1件の失敗が全社の利益を消す。受注の規模を急いで広げると、同じことが繰り返される。

スクラップ相場

金属の売上の大半は鉄と銅のくずの値段で決まる。中国の鋼材の輸出が多い間は鉄くずの値段の天井が低く、不況では製鉄所の減産で値段が半分になることもある。

職人と監督者の不足

解体は監督者と職人の数が仕事の量を決める。人手不足で賃金は上がり続け、工事の値段に乗せられなければ利益率が下がる。人が集まらなければ、需要があっても受けられない。

設備にたまる資本

配当は利益の2割ほどで、残りは重機・土地・処理場に回る。投資が資本コストを上回って稼がなければ、ROEは年々下がり、株主の取り分は薄くなる。

許可と事故

産業廃棄物の処理は許可の事業で、事故や違反があれば営業の停止がありうる。解体の現場の事故も、受注の停止や指名の停止につながる。

今後の分かれ目

解体の利益率が2年続けて1割を超える
見積もりの精度が上がった証拠。解体の中立の利益率を上げ、強気の側に確率を寄せる。
再び大型案件で損失を出す
採算の管理が弱いままだ。解体の利益率の中立を下げ、慎重な側に確率を寄せる。
配当性向を3割以上に上げるか自社株買いを始める
ためすぎの資本が株主に戻る。倍率の置き方と自己資本の流れを見直す。
地域の解体会社を続けて買う
買値が資産より安いかを見る。安く買えれば監督者の数の中立を上げる。
鉄スクラップの値段が2年続けて大きく下がる
金属と環境の利幅が薄くなる。単価の中立を下げる。

見ておくもの

  • 解体の受注残と工事監督者の人数
  • 解体のセグメント利益率
  • 鉄スクラップと銅の相場
  • 設備投資の額と配当性向
  • M&Aの買値と負ののれん

倍率と資本コストの決め方

倍率は事業のROEと資本コスト7.75%から決めた。中立はROEが7%台に下がるため上限1÷k=12.1倍の8割の9.7倍。今のPER・PBRは見ていない。2025年の純利益は特別利益を除いてならした。投資有価証券は配当が利益に入るので価値に足さず、悲観の床だけに入れた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→15.55 倍・やや楽観 PER 10.3→14.99 倍・中立 PER 9.7→14.38 倍)。

資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

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割安 高砂鐵工5458 純現金が時価総額の 6 割ある小さな帯鋼の会社。安く見えるが、稼ぐ力は資本コストに届かない 本質価値との差 +31.9% · 10 年 割安(年 +10.5%) やや割安 中央可鍛工業5607 純資産の 3 割で買えるトヨタ系の鋳物屋。厚い現金と持ち株が支えるが、稼ぐ力は資本コストに届かず値上がりの根拠は薄い 本質価値との差 +28.0% · 10 年 やや割安(年 +10.9%) やや割安 株式会社神戸製鋼所5406 鉄鋼は薄利でも機械・電力が稼ぐ複合経営、ニッチ特化と1高炉・1電炉への転換が鍵 本質価値との差 +22.9% · 10 年 やや割安(年 +9.5%) やや割安 サンユウ5697 日本製鉄系のみがき棒鋼と冷間圧造用線の中堅。加工賃の是正で利益は戻ったが、自動車の電動化と国内生産の縮みが重く、今の値段はやや高い 本質価値との差 +21.2% · 10 年 やや割安(年 +9.1%) やや割安 日本冶金工業5480 高機能材の伸びは本物だが、借金の重さと市況の振れが効く。今の値段は筋書きの加重とほぼ釣り合う 本質価値との差 +18.8% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 東京鐵鋼株式会社5445 鉄筋一本の電炉。足元の利益は山の高さだが、今の値段は山が崩れる前提をほぼ織り込んでいる 本質価値との差 +14.6% · 10 年 やや割安(年 +8.5%) 適正 モリ工業5464 ステンレス管の国内最大手で財務は盤石。だが稼ぐ力は資本コストに届かず、厚い現金の使い道が評価を分ける 本質価値との差 +5.3% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 合同製鐵株式会社5410 鉄筋と形鋼を作る電炉の中堅。縮む国内で資産だけが重く、帳簿の安さは割安の証拠にならない 本質価値との差 +5.0% · 10 年 適正(年 +8.2%) 適正 共英製鋼株式会社5440 国内の鉄筋は縮み、頼みの米国投資は時価総額に迫る大きさ。稼ぐ力は資本コストに届いていない 本質価値との差 +5.0% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 JFEホールディングス株式会社5411 鉄鋼本体の稼ぐ力は薄いが商社・エンジニアリングが支え、重い純負債をどこまで圧縮できるかが分かれ目 本質価値との差 +4.0% · 10 年 適正(年 +7.9%) 適正 日本精線5659 ステンレス線の国内首位で半導体向けは伸びるが、稼ぐ力は資本コストに届かず、厚い手元資金も親会社の下では戻りが限られる 本質価値との差 +3.6% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 北越メタル5446 新潟の鉄筋の電炉。建設の冷え込みで赤字に沈み、自己資本の厚さほどには稼げない 本質価値との差 +2.9% · 10 年 適正(年 +8.6%) 適正 新日本電工5563 合金鉄の市況の波に、焼却灰資源化という新しい柱が加わる。ただ ROE は資本コストに届かず、値段は成長をやや先取りしている 本質価値との差 −1.0% · 10 年 適正(年 +7.1%) 適正 日本金属5491 ステンレスを紙より薄く延ばす腕はあるが、主力の自動車向けが細り、稼ぎは資本コストに遠く届かない 本質価値との差 −3.3% · 10 年 適正(年 +8.6%) 適正 大和工業株式会社5444 稼ぎの主役は国内ではなく北米の合弁。今の値段は海外頼みの好循環が続く前提に寄りすぎている 本質価値との差 −3.8% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 エンビプロ・ホールディングス5698 金属スクラップと焼却灰の資源化が柱。前期は市況の山で、結論は 割高 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 東京製鐵株式会社5423 財務は強いが事業は谷の底。純現金が時価総額の4割を占める一方、稼ぐ力の回復は10年かかる 本質価値との差 −9.9% · 10 年 適正(年 +5.9%) やや割高 株式会社中山製鋼所5408 新電気炉に社運を賭ける電炉メーカー。投資は時価総額の2倍超で、成功しても資本コストに届きにくい 本質価値との差 −12.8% · 10 年 やや割高(年 +5.8%) やや割高 虹技5603 鋳物とロールで細く長く稼ぐが、資本の稼ぐ力は資本コストに遠く、帳簿の割安は価値にならない 本質価値との差 −13.7% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 丸一鋼管5463 財務は鉄壁だが、鋼管は値段を自分で決められない。稼ぐ力に対して今の値段は先を行っている 本質価値との差 −14.4% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 新家工業7305 鋼管の専業で、賃貸収益が利益の3割を支える堅い会社。ただ本業の稼ぐ力は薄く、今の値段は回復を先取りしている 本質価値との差 −14.5% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 中部鋼鈑株式会社5461 電炉で厚板を作る国内唯一の専業。財務は鉄壁だが稼ぐ力は資本に見合わず、増産の成功を今の値段は先取りしている 本質価値との差 −16.8% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 大平洋金属5541 製錬所は赤字、稼ぎは鉱山の持分と現金。製錬をどう片づけるかで価値が決まり、今の値段は筋書きの加重を上回る 本質価値との差 −18.7% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 日本製鉄株式会社5401 USスチールの重い借金を背負いながら国内の構造減をどこまで補えるかが本質価値の分かれ目 本質価値との差 −19.9% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 日亜鋼業5658 鉄の線材を加工する地味な専業。資産は厚いが稼ぐ力が低く、結論は 割高 本質価値との差 −21.2% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 新報国マテリアル5542 露光装置のステージに使う低熱膨張合金の鋳物で、2 社の客先に頼る小さな会社。足元は好調だが、中立の値打ちは今の値段に届かない 本質価値との差 −21.6% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 三菱製鋼5632 高炉由来の特殊鋼とばねの二本柱。利益は薄く、資本コストに届かない。今の値段は計画の達成を先取りしている 本質価値との差 −22.4% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 日本鋳造5609 温度で伸びない合金LEXと大型鋳鋼の老舗。半導体の山谷が大きく、10年の価値は今の値段を下回る 本質価値との差 −24.3% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 大同特殊鋼5471 自動車向け鋼材の細りを新分野で埋められるかが勝負。今の値段は、その成功をかなり先取りしている 本質価値との差 −27.6% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 パウダーテック5695 コピー機のトナーを運ぶ鉄の粉で世界大手。印刷が細り資本は稼がず、10年では割高 本質価値との差 −29.5% · 10 年 やや割高(年 +2.9%) やや割高 日本鋳鉄管5612 水道管の国内3番手。クボタとの合弁で工場を満たす賭けに出たが、借金が膨らみROEは1%。中計が実っても今の値段は高い 本質価値との差 −29.6% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) 割高 株式会社ヨドコウ5451 素材の鋼板で稼ぐ堅実な独立系。だが ROE は資本コストに届かず、今の値段は割高とみる 本質価値との差 −31.1% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 愛知製鋼5482 トヨタグループ唯一の素材メーカー。電動化の逆風を新事業で埋め切れるかが焦点で、今の値段はその成功を先取りしている 本質価値との差 −34.8% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 大阪製鐵株式会社5449 インドネシアの傷は消えたが、国内だけの電炉に残る稼ぐ力は薄い。今の値段は日鉄の完全子会社化の期待まで抱えている 本質価値との差 −65.8% · 10 年 割高(年 −3.7%)

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読んだ資料

  1. イボキン 2025年12月期 決算短信
  2. イボキン 2026年12月期 中間決算短信

分析日 2026-10-20