株譜
AI 銘柄分析 · 鉄鋼 · 試作

新報国マテリアル 5542

露光装置のステージに使う低熱膨張合金の鋳物で、2 社の客先に頼る小さな会社。足元は好調だが、中立の値打ちは今の値段に届かない

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)887 円60 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,132 円77 億円差 −21.6%
10 年後から見ると やや割高 価値 887 円60 億円 · 差 −21.6% · 期待の年率 +4.5%
期待の年率リターン(10 年)+4.5%資本コスト比 −3.5 pt
推定の資本コスト8.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

新報国マテリアルは、半導体と液晶パネルの製造装置に使う、熱で伸び縮みしない合金(インバー合金)の鋳物を作る会社だ。従業員は 100 人弱。客先は露光装置のキヤノンとニコンで、売上の半分を超える。

2026 年 12 月期は中間決算で売上が 10%、営業利益が 19% 増え、足元の勢いは強い。だが筆者の結論は「割高」だ。確率をかけた本質価値は今の時価総額の 6 割に届かない。受注の山を平均と見てはいけない。

この会社の価値は、客先の装置が鋳物のステージを使い続けるかにかかる。強みは、低熱膨張合金で世界でも数少ないトップメーカーという立場と、金属積層造形という新しい武器だ。

いちばん気にしているのは客先の偏りだ。2 社の投資が止まると売上が急に細る。過去 20 年に赤字の期が 2 回あり、2009 年には営業利益率が −62% まで落ちた。財務は強く、実質の純現金が時価総額の 3 割弱ある。割高と見る理由は、財務ではなく、10 年の平均の稼ぐ力が今の値段に届かないことにある。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」と問う。低熱膨張合金の鋳物は、精密装置が続く限り必要で、この点は評価できる。ただし客先の 2 社が装置を作り続けるかは、10 年先が読めない。

株主のものになる利益は、設備投資が小さく、純利益に近い。2026 年 12 月期の純利益 6.5 億円は、受注の山の数字で、10 年の平均は 7 億円台と置く。

経営は、研究開発に売上の 6% を投じ、金属積層造形で次を探している。資本の使い方は、現金を積み上げながら配当を 4 割出す、堅実な形だ。ただし現金の積み上げが大きく、自己資本の利回りは低いままになる。

安全域は、今の値段にない。時価総額 83 億円は、10 年の平均の純利益の 11 倍にあたる。実質純現金 22 億円を引いても、事業の値段は割高と筆者は見る。

何で稼ぐ会社か

事業の中心は特殊合金で、売上の 97% を占める。1 つ目は低熱膨張合金(インバー合金)の鋳物。温度が変わっても寸法が変わらない性質を生かし、露光装置と検査装置のステージや構造材に使う。半導体・液晶パネル向けが売上の約 7 割。2 つ目は高温高強度合金の鋳物で、鉄鋼メーカーのシームレスパイプ(継ぎ目のない鋼管)を作る工具などに使う。日本製鉄が売上の 1 割台を占める。

副業として不動産賃貸があり、売上は 1.5 億円ながら営業利益が 1.2 億円と利益率が高い。

客先はキヤノンが約 3 割、ニコンが約 3 割、日本製鉄が 1 割台。この 3 社で売上の 7〜8 割を占める。製造は三重県と埼玉県の工場で、金属積層造形の新設備もそれぞれにある。

従業員は単体で 99 名と少なく、研究開発費は売上の 6% にあたる 3.6 億円を投じている。2025 年 12 月期は売上が 11% 減り、営業利益は 4.7 億円に落ちたが、赤字には入らなかった。固定費は重くない。次の 3 年の目標は、売上 100 億円と、インバー合金のグローバルニッチトップだ。

優良さと弱いところ

強みは、低熱膨張合金の鋳物で積み上げた製造ノウハウだ。インバー合金は鋳造が難しく、割れや寸法のばらつきを抑える技術は簡単にまねできない。会社も自らを「低熱膨張合金、シームレスパイプ製造用工具のトップメーカー」と位置づける。

弱みは 3 つ。第 1 に客先 2 社への偏り。露光装置は ASML が世界の大半を握り、キヤノンとニコンの装置の市場は大きくない。第 2 に利益率の振れ。2016 年 12 月期の 16.6% から 2020 年 12 月期の 5.6% まで動いた。第 3 に規模。売上 55 億円、従業員 99 名では、素材や工法が変わった時の対応力に限りがある。

資本効率は、過去 10 年の ROE の中央値が 10.2% で k に近い。ただし 2014 年から 2017 年の 25% 以上は、自己資本が小さかった頃の数字だ。今は 7% 前後に落ち着く。

経営は、金属積層造形に投資し、売上 100 億円という目標を掲げる点を評価できる。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

半導体製造装置の市場は、AI 向けの先端ロジックとメモリの投資で 2026 年に 9% 伸びる見込みだ。ただし、この会社の客先が作る露光装置は、EUV(極端紫外線)の ASML に押されている。キヤノンはナノインプリント(型を押し当てて回路を作る方式)、ニコンは液晶パネル向けとパッケージ向けで、それぞれ生き残りを図る。液晶パネルの露光装置は、中国のパネル投資の波を受ける。

この鋳物の需要は、装置の台数よりもステージの大型化と精度の要求に左右される。精度が上がるほど、熱で伸び縮みしない素材の価値は高まる。逆に、客先が別の素材(セラミックスや炭素繊維)に切り替えると、需要は一気に細る。

鉄鋼向けの高温高強度合金の鋳物は、シームレスパイプの需要と日本製鉄の工具調達に結びつく。数量は横ばいから微減。

半導体向けの受注の山谷は、客先の装置投資の波そのものだ。10 年の平均の利益は、山の利益でなくその間の平均で測る。2026 年 12 月期の好調は、2025 年の落ち込みからの戻りと、装置投資の回復が重なったものだ。

資本政策と M&A

還元は安定配当が基本で、年 2 回。2025 年 12 月期は性向が 4 割強。自己株式の取得も小さく行う。2026 年 2 月には買収防衛策の継続を検討すると開示している。

現金預金は 33 億円で、借入は 11 億円。定期預金 15 億円が現金同等物に入らず、実質の純現金は 22 億円(時価総額の 3 割弱)。運転資金と設備投資の備えを引いた 12 億円を、事業に要らない余った現金と見た。戻り方は、配当と少額の自己株式取得の実績はあるが、方針が強くないので 0.75 とした。

上場株は 2.6 億円と小さい。M&A の実績は目立たない。買収される可能性は 10 年で 2 割弱と推計される。TOB の上乗せは本質価値に含めていない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

2026 年 12 月期の中間決算は、売上が 10%、営業利益が 19% 増えた。通期の会社予想は営業利益 6.5 億円だが、中間の勢いはそれを上回る。半導体と液晶パネルの装置投資が回復し、受注の質も上がっている。

低熱膨張合金の鋳物で世界でも数少ない専業で、客先は技術の変更に簡単に動けない。新設の金属積層造形が量産に入れば、単価の高い部品が加わる。純現金は 22 億円あり、無借金に近い。配当も出し、自己株式の取得も行う。小さな会社で、売上 100 億円の目標に届けば、利益は 2 倍になる。受注残も増えており、足元の増益は 1 年で終わらない。ステージの精度要求は年々高まり、熱で伸び縮みしない素材の価値はむしろ上がる。会社の目標どおり売上が 100 億円に達すれば、営業利益は 10 億円を超える。2 年続けて営業利益が 8 億円を超えれば、10 年の平均を見直す材料になる。足元の増益が 2 年続けば、利益の平均を見直す材料になる。

慎重な見方

足元の増益は、2025 年 12 月期の落ち込みからの戻りにすぎない。営業利益は 2022〜2024 年の 6 億円台と同じ水準を回復しただけで、平均を超えていない。時価総額 83 億円は、2026 年 12 月期の予想純利益の 13 倍にあたり、山の利益を前提にしている。

客先はキヤノンとニコンの 2 社で、露光装置は ASML に押されている。客先が別素材のステージに切り替えれば、需要は一気に消える。2009 年 12 月期の営業利益率は −62% に落ちた。

従業員 99 名の会社が、金属積層造形で大手と戦うのは難しい。研究開発費の 3.6 億円は、営業利益 4.7 億円に近い。売上 100 億円の目標は、10 年たっても届かないまま、投資だけが先行する危険がある。純現金は厚いが、それは事業が稼いだ分ではなく、使い道が少なかった分だ。現金の使い方が変わらない限り、株主の取り分は増えない。

どちらに重みを置いたか

足元の勢いは本物だが、山を平均と見ない慎重な見方が 10 年の中立に近い。確率は中立に 3 割、やや悲観と悲観に 4 割を置き、楽観は 9% にとどめた。純現金の厚みが悲観の床を支えるが、事業の稼ぐ力が今の値段を支えるには足りない。この判断は、受注の山と谷をならした 10 年の平均に基づく。確率の配分は、客先の偏りの大きさと、足元の増益が続く可能性の両方を踏まえたものだ。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 1,408 円95 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 345 円23 億円)。 今の値に割り戻すと 887 円60 億円、今との差 −21.6%、 期待の年率 +4.5%(資本コスト 8.0%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 9% 2,951 円200 億円 666 円45 億円 +219.5% +12.3% 326 円22 億円
やや楽観 21% 1,982 円134 億円 488 円33 億円 +118.2% +8.1% 519 円35 億円
中立 31% 1,540 円104 億円 385 円26 億円 +70.0% +5.5% 597 円40 億円
やや悲観 24% 756 円51 億円 237 円16 億円 −12.3% −1.3% 238 円16 億円
悲観 15% 447 円30 億円 44 円3 億円 −56.6% −8.0% 74 円5 億円
加重平均100% 1,408 円95 億円345 円23 億円 +54.8% +4.5% 1,753 円118 億円

今の株価時価総額 1,132 円77 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。

楽観 9% 露光装置と検査装置の投資が 10 年続き、低熱膨張鋳物の数量が 6 割増える 利益 13 億円 · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 2,951 円200 億円

半導体と液晶パネルの製造装置の投資が長く続き、露光装置や検査装置のステージ(位置を決める台)に使う低熱膨張鋳物の数量が 10 年で 6 割増える。インバー合金のグローバルニッチで首位という立場を生かし、金属積層造形(金属粉を溶かして形を作る新工法)が加わって単価も上がる。営業利益は 15 億円、純利益は 12 億円台に乗る。配当は性向 4 割を保ち、現金は積み上がる。ただし 10 年の終わりに山が来る確率は低く、この筋書きは 1 割に届かない。売上は 100 億円を超え、会社が掲げる目標に届く。

  • 低熱膨張合金鋳物:数量 1,920(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.04(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 81 億円・営業利益 12 億円。低熱膨張鋳物 1,920 トン(推定)× 1.34 倍、利益率 15%
  • 高温高強度合金鋳物:数量 1,800(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.01(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。高温高強度鋳物 1,800 トン × 1.34 倍、利益率 8%
  • 不動産賃貸:数量 10.0(賃貸物件(件相当。推定))× 価格 0.17(1 件相当あたりの賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃貸 10 件相当 × 賃料 1.15 倍、利益率 78%

倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.4% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 15.2 倍、時価総額 200 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:2016 年 12 月期の営業利益率 16.6% が山の水準。そこまでは戻らない前提で 15% に置いた。シェアの高さは強みだが、客先の 2 社の投資の山谷に左右される会社で、楽観は 1 割に届かない。

やや楽観 21% ステージ向けの需要が伸び、利益率は 11% 台に乗る 利益 9 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,982 円134 億円

低熱膨張鋳物の数量が 10 年で 35% 増え、価格は物価並みに上がる。高温高強度鋳物は鉄鋼向けで 1 割の増加にとどまる。営業利益は 11 億円、営業利益率は 12% 台。配当性向は 4 割で、純現金は少しずつ積み上がる。2026 年 12 月期の中間決算で見えた増益の流れが、ある程度続く筋書きだ。ただし利益率は 2016 年 12 月期の山の水準には届かず、売上は 80 億円台にとどまる。売上は 80 億円台にとどまり、2016 年 12 月期の山の利益率には届かない。客先の偏りは変わらないが、ステージの精度の要求が上がる分だけ単価は守れる。

  • 低熱膨張合金鋳物:数量 1,620(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.04(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 68 億円・営業利益 9 億円。低熱膨張鋳物 1,620 トン × 1.34 倍、利益率 12.5%
  • 高温高強度合金鋳物:数量 1,650(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.01(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。高温高強度鋳物 1,650 トン × 1.34 倍、利益率 6%
  • 不動産賃貸:数量 10.0(賃貸物件(件相当。推定))× 価格 0.17(1 件相当あたりの賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃貸 10 件相当 × 1.15 倍、利益率 78%

倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.9% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 13.84 倍、時価総額 134 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:2022 年 12 月期から 2024 年 12 月期の営業利益は 6.4 億円、6.3 億円、6.5 億円と安定していた。需要が伸びれば 11 億円までは届く。ただし 2025 年 12 月期は 4.7 億円に落ちており、5 分の 1 に置いた。

中立 31% 数量は景気の山谷をならして 2 割増え、営業利益率は 11% 前後 利益 8 億円 · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 1,540 円104 億円

低熱膨張鋳物は、半導体と液晶パネルの装置の更新で数量が 10 年で 2 割増える。価格は物価の 1.34 倍。高温高強度鋳物は鉄鋼のシームレスパイプ用の工具で、数量は横ばい。営業利益は 9 億円、営業利益率は 10.8%。受注の山谷をならした平均の利益で、2026 年 12 月期の好調はその山とみる。減価償却は 2 億円台のまま、設備更新の分だけ増える。配当は性向 4 割を守り、自己株式の取得は小さい。研究開発費は物価で増え、金属積層造形の費用も加わる。客先の偏りは変わらず、2 社の投資の波に利益が左右される構図が続く。

  • 低熱膨張合金鋳物:数量 1,440(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.04(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 61 億円・営業利益 7 億円。低熱膨張鋳物 1,440 トン × 1.34 倍、利益率 11%
  • 高温高強度合金鋳物:数量 1,500(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.01(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。高温高強度鋳物 1,500 トン × 1.34 倍、利益率 5%
  • 不動産賃貸:数量 10.0(賃貸物件(件相当。推定))× 価格 0.17(1 件相当あたりの賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃貸 10 件相当 × 1.15 倍、利益率 78%

倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 12.97 倍、時価総額 104 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:2014 年 12 月期から 2025 年 12 月期の営業利益の平均は 6 億円弱で、山でも谷でもない。10 年の物価の上昇と数量の 2 割増を乗せて 9 億円とした。

やや悲観 24% 客先の投資が細り、数量は横ばいで価格も物価に届かない 利益 4 億円 · PER 10.4 倍 · 株価時価総額 756 円51 億円

露光装置や検査装置の投資が伸びず、低熱膨張鋳物の数量は横ばい、価格は物価に届かず 1.25 倍。高温高強度鋳物は鉄鋼向けの縮小で 15% 減る。営業利益は 4.5 億円、純利益は 3.8 億円。配当は性向を保てず、減る。固定費の重い鋳造の稼働が下がり、利益率は 5% 台に落ちる。研究開発費は削れず、金属積層造形の事業化も遅れる。売上は 60 億円台にとどまり、営業利益率は 2020 年 12 月期に近い 5% 台に戻る。純現金の積み上がりだけが、株主の取り分を支える。売上は 60 億円台にとどまり、営業利益率は 2020 年 12 月期に近い 5% 台に戻る。純現金の積み上がりだけが、株主の取り分を支える。

  • 低熱膨張合金鋳物:数量 1,200(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.04(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 3 億円。低熱膨張鋳物 1,200 トン × 1.25 倍、利益率 6%
  • 高温高強度合金鋳物:数量 1,275(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.01(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。高温高強度鋳物 1,275 トン × 1.25 倍、利益率 3%
  • 不動産賃貸:数量 10.0(賃貸物件(件相当。推定))× 価格 0.15(1 件相当あたりの賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃貸 10 件相当 × 1.0 倍、利益率 70%

倍率:ROE 4.6% で稼ぎは k に届かない。PER は 1÷k の 11.1 倍が上限で、利益が薄い谷の年を平均的に見るため、約 8 割の 10.37 倍に置いた。余った現金は 0.75 倍で足している。

確率:2020 年 12 月期は営業利益率が 5.6% に落ち、営業利益は 2.2 億円だった。投資が細る年が数年続けば、同じ水準に戻る。確率を 4 分の 1 弱に置いた。

悲観 15% 露光・検査装置の客先が別の方式に移り、低熱膨張鋳物の需要が細る 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 447 円30 億円

客先が鋳物から別の素材のステージに切り替え、低熱膨張鋳物の数量は 45% 減る。価格も物価に届かず、固定費の重い鋳造の稼働が大きく下がって営業赤字になる。自己資本は減損で 52 億円に減るが、純現金と賃貸不動産があり、継続はできる。配当は大きく減り、資産を頼りに生き残る。売上は 35 億円前後まで落ち、2009 年 12 月期に近い落ち込みになる。従業員の整理と設備の縮小で固定費は下がるが、再建には数年かかる。売上は 35 億円前後まで落ち、2009 年 12 月期に近い落ち込みになる。固定費の整理に数年かかり、事業の価値は資産に近づく。

  • 低熱膨張合金鋳物:数量 660(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 −2 億円。低熱膨張鋳物 660 トン × 1.10 倍、利益率 −8%
  • 高温高強度合金鋳物:数量 900(出荷重量(トン。推定))× 価格 0.01(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。高温高強度鋳物 900 トン × 1.10 倍、利益率 0%
  • 不動産賃貸:数量 10.0(賃貸物件(件相当。推定))× 価格 0.15(1 件相当あたりの賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃貸 10 件相当 × 1.0 倍、利益率 70%

倍率:赤字で稼ぐ力では測れない。売れる資産の税後 30 億円(下の内訳)に近く、減損後の自己資本 52 億円に 0.58 倍を掛けた。今の自己資本 58 億円に対しては 0.52 倍。事業の経済性から置いた値で、市場の値付けには依らない。

確率:2009 年 12 月期は営業利益率 −62% まで落ちた。特定の客先と用途に偏る小さな鋳造会社が、技術の置き換えで赤字に入る確率を 15% に置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

低熱膨張合金鋳物

露光装置・検査装置のステージや構造材に使う、熱で伸び縮みしないインバー合金などの鋳物。

数量出荷重量(トン。推定)価格1 トンあたりの売上(億円)売上営業利益
今 2025/12 1,200 0.03 38 3
10 年後 中立 1,440 0.04 61 7

取り方:特殊合金 53.9 億円のうち半導体・FPD 向けが約 7 割(37.7 億円)。出荷重量は開示がなく、1 トンあたり約 0.03 億円の合金鋳物として 1,200 トンと推定した。営業利益は特殊合金の 3.5 億円を配分した推定。

高温高強度合金鋳物

鉄鋼のシームレスパイプ製造用の工具など、高温で強度を保つ鋳物。

数量出荷重量(トン。推定)価格1 トンあたりの売上(億円)売上営業利益
今 2025/12 1,500 0.01 16 1
10 年後 中立 1,500 0.01 22 1

取り方:特殊合金 53.9 億円の残り約 3 割(16.2 億円)。1 トンあたり約 0.011 億円として 1,500 トンと推定した。営業利益は配分の推定。

不動産賃貸

保有する不動産の賃貸。

数量賃貸物件(件相当。推定)価格1 件相当あたりの賃料(億円)売上営業利益
今 2025/12 10.0 0.15 2 1
10 年後 中立 10.0 0.17 2 1

取り方:売上 1.5 億円、営業利益 1.19 億円は開示。件数は推定。賃料は物価の 3% より緩く、10 年で 1.15 倍とした。

リスクと懸念

客先 2 社への偏り

キヤノンとニコンで売上の半分超。2 社の投資が止まる、または別の素材に切り替えると、売上が急に細る。

露光装置の市場構造

露光装置は ASML が大半を握る。キヤノンとニコンの装置の市場が縮めば、鋳物の需要も縮む。

受注の山と谷

営業利益率は −62%(2009 年)から 16.6%(2016 年)まで動いた。足元の増益を平均と見ると過大評価になる。

原材料のニッケル価格

インバー合金はニッケルを多く使う。価格が上がると、転嫁が遅れて利益を削る。

規模の小ささと新事業

従業員 99 名で金属積層造形に投資しており、研究開発費は営業利益に近い。事業化が遅れると負担が重い。

今後の分かれ目

2026 年 12 月期の営業利益が 8 億円を超える
山が高いのか構造が変わったのかを確かめ、中立の置き方を上に見直す。
客先が別素材のステージに切り替えると表明する
低熱膨張鋳物の数量を下げ、悲観の確率を上げる。
金属積層造形が量産に入り、売上が出る
単価と利益率を上に直し、楽観の確率を上げる。
配当性向や自己株式取得の方針が強まる
余った現金の戻り方を 0.75 から 1.0 に見直す。
買収防衛策の更新や他社の買収提案が出る
提案価格を本質価値と比べる。TOB の上乗せは含めていない。

見ておくもの

  • 半導体・FPD 向けの受注と売上(客先の投資)
  • 営業利益率(10% 前後を保てるか)
  • キヤノン・ニコンの比率の推移
  • 金属積層造形の売上化
  • 配当性向と自己株式取得

倍率と資本コストの決め方

数量 × 価格をセグメントごとに積み、k 8% と ROE から倍率を決めた。ROE が k 以下で PER は 1÷k の 11.1 倍が上限。中立は 9.9 倍に置いた。今の時価総額は考慮していない。2026 年 12 月期の好調は山とみて、過去 12 年の平均に近い営業利益率 11% 弱で中立を置いた。余った現金 12 億円は別に足し、戻り方 0.75 を掛けた。新リース会計基準の影響は小さい見込み。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.3→15.2 倍・やや楽観 PER 9.5→13.84 倍・中立 PER 9.9→12.97 倍・やや悲観 PER 9→10.37 倍)。

資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

同じ業種(鉄鋼)の AI 分析

割安 高砂鐵工5458 純現金が時価総額の 6 割ある小さな帯鋼の会社。安く見えるが、稼ぐ力は資本コストに届かない 本質価値との差 +31.9% · 10 年 割安(年 +10.5%) やや割安 中央可鍛工業5607 純資産の 3 割で買えるトヨタ系の鋳物屋。厚い現金と持ち株が支えるが、稼ぐ力は資本コストに届かず値上がりの根拠は薄い 本質価値との差 +28.0% · 10 年 やや割安(年 +10.9%) やや割安 イボキン5699 姫路で解体・産廃・スクラップを一貫で手がける小さな会社。解体の需要は伸びるが、相場と入札に利益を握られ、今の値段はやや高い 本質価値との差 +26.6% · 10 年 やや割安(年 +9.7%) やや割安 株式会社神戸製鋼所5406 鉄鋼は薄利でも機械・電力が稼ぐ複合経営、ニッチ特化と1高炉・1電炉への転換が鍵 本質価値との差 +22.9% · 10 年 やや割安(年 +9.5%) やや割安 サンユウ5697 日本製鉄系のみがき棒鋼と冷間圧造用線の中堅。加工賃の是正で利益は戻ったが、自動車の電動化と国内生産の縮みが重く、今の値段はやや高い 本質価値との差 +21.2% · 10 年 やや割安(年 +9.1%) やや割安 日本冶金工業5480 高機能材の伸びは本物だが、借金の重さと市況の振れが効く。今の値段は筋書きの加重とほぼ釣り合う 本質価値との差 +18.8% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 東京鐵鋼株式会社5445 鉄筋一本の電炉。足元の利益は山の高さだが、今の値段は山が崩れる前提をほぼ織り込んでいる 本質価値との差 +14.6% · 10 年 やや割安(年 +8.5%) 適正 モリ工業5464 ステンレス管の国内最大手で財務は盤石。だが稼ぐ力は資本コストに届かず、厚い現金の使い道が評価を分ける 本質価値との差 +5.3% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 合同製鐵株式会社5410 鉄筋と形鋼を作る電炉の中堅。縮む国内で資産だけが重く、帳簿の安さは割安の証拠にならない 本質価値との差 +5.0% · 10 年 適正(年 +8.2%) 適正 共英製鋼株式会社5440 国内の鉄筋は縮み、頼みの米国投資は時価総額に迫る大きさ。稼ぐ力は資本コストに届いていない 本質価値との差 +5.0% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 JFEホールディングス株式会社5411 鉄鋼本体の稼ぐ力は薄いが商社・エンジニアリングが支え、重い純負債をどこまで圧縮できるかが分かれ目 本質価値との差 +4.0% · 10 年 適正(年 +7.9%) 適正 日本精線5659 ステンレス線の国内首位で半導体向けは伸びるが、稼ぐ力は資本コストに届かず、厚い手元資金も親会社の下では戻りが限られる 本質価値との差 +3.6% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 北越メタル5446 新潟の鉄筋の電炉。建設の冷え込みで赤字に沈み、自己資本の厚さほどには稼げない 本質価値との差 +2.9% · 10 年 適正(年 +8.6%) 適正 新日本電工5563 合金鉄の市況の波に、焼却灰資源化という新しい柱が加わる。ただ ROE は資本コストに届かず、値段は成長をやや先取りしている 本質価値との差 −1.0% · 10 年 適正(年 +7.1%) 適正 日本金属5491 ステンレスを紙より薄く延ばす腕はあるが、主力の自動車向けが細り、稼ぎは資本コストに遠く届かない 本質価値との差 −3.3% · 10 年 適正(年 +8.6%) 適正 大和工業株式会社5444 稼ぎの主役は国内ではなく北米の合弁。今の値段は海外頼みの好循環が続く前提に寄りすぎている 本質価値との差 −3.8% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 エンビプロ・ホールディングス5698 金属スクラップと焼却灰の資源化が柱。前期は市況の山で、結論は 割高 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 東京製鐵株式会社5423 財務は強いが事業は谷の底。純現金が時価総額の4割を占める一方、稼ぐ力の回復は10年かかる 本質価値との差 −9.9% · 10 年 適正(年 +5.9%) やや割高 株式会社中山製鋼所5408 新電気炉に社運を賭ける電炉メーカー。投資は時価総額の2倍超で、成功しても資本コストに届きにくい 本質価値との差 −12.8% · 10 年 やや割高(年 +5.8%) やや割高 虹技5603 鋳物とロールで細く長く稼ぐが、資本の稼ぐ力は資本コストに遠く、帳簿の割安は価値にならない 本質価値との差 −13.7% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 丸一鋼管5463 財務は鉄壁だが、鋼管は値段を自分で決められない。稼ぐ力に対して今の値段は先を行っている 本質価値との差 −14.4% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 新家工業7305 鋼管の専業で、賃貸収益が利益の3割を支える堅い会社。ただ本業の稼ぐ力は薄く、今の値段は回復を先取りしている 本質価値との差 −14.5% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 中部鋼鈑株式会社5461 電炉で厚板を作る国内唯一の専業。財務は鉄壁だが稼ぐ力は資本に見合わず、増産の成功を今の値段は先取りしている 本質価値との差 −16.8% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 大平洋金属5541 製錬所は赤字、稼ぎは鉱山の持分と現金。製錬をどう片づけるかで価値が決まり、今の値段は筋書きの加重を上回る 本質価値との差 −18.7% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 日本製鉄株式会社5401 USスチールの重い借金を背負いながら国内の構造減をどこまで補えるかが本質価値の分かれ目 本質価値との差 −19.9% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 日亜鋼業5658 鉄の線材を加工する地味な専業。資産は厚いが稼ぐ力が低く、結論は 割高 本質価値との差 −21.2% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 三菱製鋼5632 高炉由来の特殊鋼とばねの二本柱。利益は薄く、資本コストに届かない。今の値段は計画の達成を先取りしている 本質価値との差 −22.4% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 日本鋳造5609 温度で伸びない合金LEXと大型鋳鋼の老舗。半導体の山谷が大きく、10年の価値は今の値段を下回る 本質価値との差 −24.3% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 大同特殊鋼5471 自動車向け鋼材の細りを新分野で埋められるかが勝負。今の値段は、その成功をかなり先取りしている 本質価値との差 −27.6% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 パウダーテック5695 コピー機のトナーを運ぶ鉄の粉で世界大手。印刷が細り資本は稼がず、10年では割高 本質価値との差 −29.5% · 10 年 やや割高(年 +2.9%) やや割高 日本鋳鉄管5612 水道管の国内3番手。クボタとの合弁で工場を満たす賭けに出たが、借金が膨らみROEは1%。中計が実っても今の値段は高い 本質価値との差 −29.6% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) 割高 株式会社ヨドコウ5451 素材の鋼板で稼ぐ堅実な独立系。だが ROE は資本コストに届かず、今の値段は割高とみる 本質価値との差 −31.1% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 愛知製鋼5482 トヨタグループ唯一の素材メーカー。電動化の逆風を新事業で埋め切れるかが焦点で、今の値段はその成功を先取りしている 本質価値との差 −34.8% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 大阪製鐵株式会社5449 インドネシアの傷は消えたが、国内だけの電炉に残る稼ぐ力は薄い。今の値段は日鉄の完全子会社化の期待まで抱えている 本質価値との差 −65.8% · 10 年 割高(年 −3.7%)

ほかの業種も見る(AI 銘柄分析の一覧)→

読んだ資料

  1. 新報国マテリアル 有価証券報告書(2025年12月期・要約)
  2. 新報国マテリアル 主要販売先

分析日 2026-10-19