株譜
AI 銘柄分析 · 鉄鋼 · 試作

新家工業 7305

鋼管の専業で、賃貸収益が利益の3割を支える堅い会社。ただ本業の稼ぐ力は薄く、今の値段は回復を先取りしている

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)2,308 円220 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)2,698 円257 億円差 −14.5%
10 年後から見ると やや割高 価値 2,308 円220 億円 · 差 −14.5% · 期待の年率 +4.8%
期待の年率リターン(10 年)+4.8%資本コスト比 −3.2 pt
推定の資本コスト8.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

新家工業は、大阪に本社を置く鋼管の専業メーカーだ。鋼板を丸め、溶接して、丸や角の管に仕上げる。使い道は建築、自動車、自転車、物流機器と広い。売上は約400億円、営業利益は19億円である。

筆者の結論は「やや割高」である。10年先の中心の見立てでも、価値は今の時価総額を2割弱下回る。会社が悪いのではない。本業の稼ぐ力が、今の値段に見合っていない。

強みは、細かい注文に応える加工の腕と、土地を貸して稼ぐ収益だ。賃貸は売上の2%に満たないが、営業利益の3割を稼ぐ。一方、鋼管の営業利益率は3%台と薄く、鋼板の値段に振り回される。

会社は10年後に営業利益率10%、自己資本利益率10%を掲げる。ただ、今の中期計画は2年続けて営業利益が目標を下回った。財務は堅く、配当は純利益と同じ水準まで出している。それでも、利益を増やす道筋はまだ見えない。

10年の幅で見ると、下は浅く、上も高くない。賃貸と財務の堅さが悲観を支えるので、会社が傾く筋書きではない。一方、上へ伸びるには、鋼材の高騰のような外部の追い風か、工場刷新の成功が要る。この形では、今の値段を正当化しにくい。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、「堅いが、あまり儲からない会社」と見る。

鋼管は、鋼板の値段と客の注文に挟まれる商売で、売値を自分では決められない。営業利益率が8%を超えたのは、鋼材が急騰した2年だけだった。普通の年の稼ぎは、売上の2〜5%。これでは、株主のものになる利益が薄い。

一方、賃貸は別物だ。売上6.9億円、営業利益6.0億円で、利益率は87%。土地は古くから持つもので、帳簿の値は小さいとみられる。ただ、その価値は、毎年の賃料として利益に出ている。売らない限り、株主の手元には賃料の形でしか入らない。

資本の使い方は読みにくい。純利益と同額を配当で出しながら、300億円の投資を計画する。両立には、政策保有株の売却や借入が要る。

10年後に今より強いか。工場が刷新されて利益率が上がれば強くなる。上がらなければ、投資の重さだけが残る。今の値段に、十分な安全域があるとは言えない。

何で稼ぐ会社か

事業の中心は鋼管関連で、連結売上の98%を占める。丸く造った管を、ロールで四角や異形に成形する「ロールフォーミング」が得意だ。金型を自社で設計し、小ロットの注文にも応じる。ステンレス管や型鋼、精密加工品も作る。製品は建築、自動車、オートバイ、家具、産業機械、物流機器に使われる。

子会社は国内に4社あり、アラヤ特殊金属、大栄鋼業、ステンレスパイプ工業、三宅金属が分担する。海外はインドネシアに生産・販売の現地法人を持つ。

自転車のリムも手がけ、国内トップブランドをうたう。完成車の輸入販売は2025年12月で終えた。

もうひとつの柱が不動産の賃貸だ。土地と建物を貸し、売上は6.9億円、営業利益は6.0億円。利益率は87%に達する。鋼管の営業利益は12.9億円なので、全社の利益の3割は賃貸が稼いでいる。

2026年3月期は売上が5%減り、営業利益は19億円だった。鋼管の営業利益は12%減っている。北米向けの輸出の不透明感と、輸入のステンレスの圧力が重しになった。

今期は営業利益24億円を見込む。第1四半期は7.5億円で、前年より23%増えた。

優良さと弱いところ

腕は確かだが、価格を決める立場にはない。鋼管は、原料の鋼板の値段に加工賃を乗せて売る商売だ。

強みは三つある。第一に、自社設計の金型による異形管の技術。第二に、国内にそろえた拠点と配送網で、小口の注文にも応えられること。第三に、賃貸収益が全体の下支えになることだ。

弱みは利益率の低さである。営業利益率が8%を超えたのは、鋼材が急騰した2022年3月期と2023年3月期の2年だけ。普通の年は2〜5%にとどまる。20年で赤字の期は3回あり、最悪の営業利益率は2010年3月期のマイナス5%だった。

資本効率も低い。自己資本利益率は10年の中央値が6.2%で、資本コストに届かない。会社は10年後に10%を掲げるが、今の中期計画は1年目も2年目も営業利益が目標を下回った。

株主に対する姿勢は前向きだ。配当性向50%を維持し、自社株買いで株数も減らした。ただ、これから300億円規模の投資を計画しており、利益が増えるかは未知数だ。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

鋼管の需要は、建築と設備、自動車、インフラの更新で決まる。国内は人口減と建設の人手不足で、数量が増えにくい。会社自身も、国内需要は縮み、安い海外製品の流入で輸出も減ると見ている。

値段は、原料の鋼板に左右される。鋼板が上がると鋼管も上がるが、転嫁には時間がかかる。2022〜23年は鋼材の高騰で、利益率が8〜10%まで上がった。鋼材が落ち着くと、利益は半分以下に戻った。

競争は二重だ。国内には丸一鋼管のような大手がいて、規模と全国の販売網で勝る。ステンレスでは、安い輸入材が圧力になっている。

成長の手がかりは、ASEANと高付加価値品である。インドネシアの現地法人を起点に、需要の伸びる地域を狙う。脱炭素向けのグリーン鋼材や、軽量形鋼の新規製造にも踏み出す。

世界の鉄鋼は、中国の過剰生産で需給が緩む。輸出が強まれば、アジアの鋼管価格にも波及する。日本の国内鋼材需要は年5,000万トンを割り込んでおり、鉄鋼連盟は下げ止まりを期待する段階とみる。

10年を通した前提は、1ドル150円で動かさない。数量は実質で横ばいからやや減少、値段は物価をやや下回って上がると置く。

資本政策と M&A

還元は厚い。配当性向は50%を維持する方針で、中期計画の期間中は総還元性向100%を基本とする。下限配当も掲げる。2026年3月期は、純利益とほぼ同額を配当した。株数は2025年3月期に約14%減っている。

ただし、これだけ出せたのは、投資が控えめだったからだ。今後は2033年度までに約300億円の投資を計画する。内訳は、工場の刷新やDXなどの基盤強化が最大で、研究開発やM&A、環境対応が続く。原資は営業キャッシュフローと政策保有株の売却代金だ。純現金は11億円しかなく、還元と投資を両立できるかが課題になる。

工場は、関西と千葉を量産、名古屋を開発、山中を自転車部品とステンレスの集約拠点にする。M&Aは、水平・垂直の統合で技術と販路を得る狙いだ。

買われる側の可能性は否定できない。kabufu の推計では、10年以内の買収の確率は2割ほどである。株主優待はない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

今の営業利益率は、底に近い水準だ。2023年3月期には鋼材の高騰のもとで10%を付けた。鋼板の値段が落ち着き、転嫁の仕組みが整えば、利益率は戻る。

今期の営業利益は、会社の予想で24億円、前期より27%増える。第1四半期は7.5億円で、すでに2割以上伸びた。工場の刷新と自動化が進めば、人手不足の影響も和らぐ。

成長の手がかりもある。インドネシアの現地法人を起点に、ASEANの需要を取り込む。脱炭素のグリーン鋼材や軽量形鋼など、付加価値の高い製品が増える。長期ビジョンは、営業利益率10%、自己資本利益率10%を掲げている。

賃貸収益も強い。営業利益の3割を稼ぐ事業は、景気の波に左右されにくい。土地は古くから持つもので、帳簿の値は小さく、実際の価値は大きいとみられる。

配当は純利益並みに出しており、下限配当もある。自社株買いで株数も減らした。PBR1倍を掲げる経営は、株主を向いている。

10年を通して見れば、鋼管は社会の基盤を支える素材だ。水道やガスの管の更新、建物の補修、物流機器の需要はなくならない。一度客に認められた加工の腕は、簡単には置き換わらない。

慎重な見方

本業の稼ぐ力は、会社が思うほど強くない。営業利益率が8%を超えたのは、鋼材高騰の2年だけだ。ふだんは2〜5%で、20年で3回、赤字を出した。

中期計画は、2期続けて営業利益が目標を下回った。今期予想の24億円も、最終年度の目標35億円には遠い。輸入のステンレスの圧力や、北米向けの輸出の不透明感は、構造的に続く。

国内の鋼管需要は人口とともに縮む。建築の着工が落ちれば、量が減って固定費が重くなる。

300億円の投資は、純現金が11億円しかない会社には重い。配当を純利益並みに出しながら、投資を進めるのは難しい。政策保有株の売却で穴を埋めても、それは一度きりの原資だ。

賃貸は安定しているが、利益全体の3割で、本業の弱さを埋めきれない。自己資本利益率は10年の中央値で6.2%と、資本コストを下回る。厚い自己資本は、株主にとって使われていない資本でもある。

しかも、この会社の利益は鋼材の値動きに大きく左右される。自分で変えられない要因に頼る利益に、高い倍率を払う理由は見当たらない。

どちらに重みを置いたか

慎重な言い分が強い。強気の言い分の中心は「利益率が戻る」だが、会社自身の計画が2年続けて外れており、根拠が乏しい。賃貸と財務の堅さは、悲観を深くしすぎない床になる。

そこで確率は、中立に4割を置き、やや悲観までを厚めにした。やや楽観より上は合わせて24%、やや悲観より下は36%とした。

最後に効くのは、会社の計画への信頼度である。目標が外れ続けている間は、慎重な言い分を優先し、利益率の回復は中立にも入れ込みすぎない。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 2,840 円271 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,458 円139 億円)。 今の値に割り戻すと 2,308 円220 億円、今との差 −14.5%、 期待の年率 +4.8%(資本コスト 8.0%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 6% 6,180 円589 億円 2,255 円215 億円 +212.6% +12.1% 506 円48 億円
やや楽観 18% 4,260 円406 億円 1,835 円175 億円 +125.9% +8.5% 1,097 円105 億円
中立 40% 3,225 円308 億円 1,678 円160 億円 +81.7% +6.2% 1,961 円187 億円
やや悲観 24% 1,251 円119 億円 1,101 円105 億円 −12.8% −1.4% 564 円54 億円
悲観 12% 939 円90 億円 472 円45 億円 −47.7% −6.3% 169 円16 億円
加重平均100% 2,840 円271 億円1,458 円139 億円 +59.3% +4.8% 4,298 円410 億円

今の株価時価総額 2,698 円257 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。

楽観 6% 工場の刷新と高付加価値品で、利益率が鋼材高騰期に近づく 利益 43 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 6,180 円589 億円

工場の刷新が計画どおり進み、自動化で人手不足の影響が和らぐ。ロールフォーミングの技術を生かした高付加価値品と、グリーン鋼材が売れ、鋼管の出荷量は今の1.1倍になる。値段は物価をわずかに上回り、鋼材の高騰期のように転嫁が進む。

インドネシア法人を起点としたASEANの販売が立ち上がり、国内の縮みを補う。鋼管の営業利益率は8%に届く。会社が掲げる10%には届かないが、過去の山に近い水準だ。

賃貸は物価並みに賃料が上がり、営業利益の安定した柱として残る。全社の営業利益は56億円と、今の3倍になる。

配当は純利益の5割を上回り、自社株買いも続く。ただし300億円の投資は予定どおり使われ、現金が余る筋書きではない。

  • 鋼管関連:数量 24.2(出荷量(万トン))× 価格 25(1トンあたり平均売上(万円)。鋼板の値段と加工賃で動く)→ 売上 595 億円・営業利益 48 億円。出荷量1.10倍、値段1.36倍。営業利益率8.0%
  • 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 9.69(年間の賃料収入(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 8 億円。賃料1.40倍。営業利益率87%

倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.9% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.8 倍、時価総額 589 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:工場刷新、ASEAN、グリーン鋼材がすべてうまくいき、鋼材高騰期に近い利益率に戻る必要がある。中期計画の目標は2期続けて未達で、実績が追いついていないので、6%にとどめた。

やや楽観 18% 転嫁が進み、鋼管の利益率が6%台まで戻る 利益 33 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 4,260 円406 億円

転嫁の仕組みが整い、鋼板の値上がり分を値段に乗せやすくなる。出荷量は今の1.03倍とわずかに増え、値段は物価並みの1.33倍になる。ステンレスは輸入材に押されるが、小口の加工で守る。

工場の刷新は、費用が先に出るが、2030年ごろから生産性の改善が利益に出てくる。鋼管の営業利益率は6.2%と、普通の年の上限に近づく。

インドネシアは小さいが黒字化し、全社の足を引っ張らなくなる。賃貸は物価の伸びに近いペースで増える。全社の営業利益は42億円ほどで、今の2倍強だ。

還元は、配当性向50%に自社株買いを足す形で続く。ただし、投資の資金が要るため、総還元性向100%は続けられない。

  • 鋼管関連:数量 22.7(出荷量(万トン))× 価格 24(1トンあたり平均売上(万円)。鋼板の値段と加工賃で動く)→ 売上 545 億円・営業利益 34 億円。出荷量1.03倍、値段1.33倍。営業利益率6.2%
  • 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 9.27(年間の賃料収入(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 8 億円。賃料1.34倍。営業利益率87%

倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 406 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:営業利益は今期、会社予想で2割以上増える。第1四半期も23%増で、利益の回復は進んでいる。この勢いが10年の高めの水準に定着する筋書きとして、18%を置いた。

中立 40% 数量は細り、値段は物価をやや下回って上がるだけ 利益 25 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,225 円308 億円

国内の建築と設備の需要は、人口減と建設の人手不足で細る。出荷量は今の0.95倍に減る。一方、水道・ガスの更新や、小ロットの加工、インドネシアの販売が下支えになる。

値段は、鋼板の値上がりを時間をかけて転嫁し、物価をやや下回る1.30倍になる。営業利益率は鋼管で4.8%、全社で6.2%。過去の普通の年の上限に近い水準で、会社が掲げる10%は達成されない。

賃貸は、土地の賃料が物価より遅いペースで上がり、利益の3割弱を稼ぎ続ける。全社の営業利益は31億円ほどで、物価の伸びを少し上回る程度だ。

純利益は25億円ほど。配当は純利益の6〜7割になり、自己資本はゆっくり増える。

  • 鋼管関連:数量 20.9(出荷量(万トン))× 価格 23(1トンあたり平均売上(万円)。鋼板の値段と加工賃で動く)→ 売上 491 億円・営業利益 24 億円。出荷量0.95倍、値段1.30倍(鋼板の転嫁が遅れ物価をやや下回る)。営業利益率4.8%
  • 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 8.65(年間の賃料収入(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 8 億円。賃料1.25倍(長期契約で物価より遅い)。営業利益率87%

倍率:事業の純利益 25 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 308 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:強気の言い分(回復と成長)と慎重な言い分(計画未達と国内の縮み)の落としどころ。実力は物価並みの増加にとどまるとみて、4割を置いた。

やや悲観 24% 国内需要の縮みと価格競争で、鋼管の利益が薄くなる 利益 15 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 1,251 円119 億円

国内の鋼管需要が想定より早く縮み、出荷量は今の0.85倍になる。輸入のステンレスや安い鋼管に押され、値段は物価に追いつかない。人手不足で工期が遅れ、建築向けの出荷も落ちる。

固定費が重い工場で稼働が落ちると、利益が急に削られる。鋼管の営業利益率は2.5%まで下がる。工場の刷新費用は先に出るが、利益に結びつかない。

賃貸は安定しているが、賃料の伸びは物価を下回る。全社の営業利益は18億円ほどで、今とほぼ同じだ。名目で同じということは、実質では3割の目減りである。

配当は下限の水準へ下がり、自社株買いは止まる。自己資本利益率は4%を割る。

  • 鋼管関連:数量 18.7(出荷量(万トン))× 価格 23(1トンあたり平均売上(万円)。鋼板の値段と加工賃で動く)→ 売上 422 億円・営業利益 11 億円。出荷量0.85倍、値段1.25倍。営業利益率2.5%
  • 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 8.30(年間の賃料収入(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 7 億円。賃料1.20倍。営業利益率86%

倍率:事業のROE約3.7%がk8%を大きく下回り、ためた利益は額面を大きく割る。利益が谷に向かう筋書きでもあり、上限の1÷k=11.8倍の約6割強の7.5倍に置いた。

確率:利益率が普通の年に2〜5%台だったこと、中期計画が2期連続で未達なこと、国内需要が縮むことを考え、24%を置いた。同じ領域の丸一鋼管(20%)より厚いのは、規模が小さく海外の稼ぎが薄いため。

悲観 12% 鋼管が赤字に落ち、賃貸と現金だけが残る 利益 3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 939 円90 億円

国内の建築需要が大きく落ち、輸入材との価格競争に負ける。出荷量は今の0.7倍に減り、鋼板の値上がりを転嫁できない。鋼管は赤字になる。

300億円規模の工場投資は、需要が細るなかで回収できず、減損が出る。自己資本は減り、配当は下限まで切る。自社株買いは止まる。

賃貸は残り、年に5億円ほどの営業利益を稼ぐ。ただし賃料は物価に連動せず、固定された長期契約の形になる。

価値は鋼管の稼ぐ力ではなく、賃貸の収益と、現金・運転資本の回収で測られる。

自己資本は大きく減るが、純現金と賃貸が残るので、会社の存続を脅かす水準ではない。株主にとっては、成長を期待できない資産株になる筋書きだ。

  • 鋼管関連:数量 15.4(出荷量(万トン))× 価格 22(1トンあたり平均売上(万円)。鋼板の値段と加工賃で動く)→ 売上 334 億円・営業利益 −3 億円。出荷量0.70倍、値段1.20倍。固定費を回収できず営業赤字(利益率−1%)
  • 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 6.92(年間の賃料収入(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 6 億円。賃料は据え置き(1.0倍)。営業利益率85%

倍率:鋼管が赤字で、稼ぐ力は賃貸の分だけ。床は稼ぐ力と売れる資産のうち大きい方で、賃貸の稼ぎ(税引き後約4.1億円)を資本コスト8%で割った約48億円、純現金約11億円、鋼管を畳む時に回収できる運転資本の一部約31億円の合計約90億円。今の自己資本344億円の0.26倍として置いた。

確率:20年で赤字の期が3回あり、鋼材の下落と建築の落ち込みが重なると赤字に落ちる。ただし賃貸と財務が下支えになるので、12%にとどめた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

鋼管関連

普通鋼鋼管、ステンレス鋼管、異形鋼管(ロールフォーミング)、精密加工品、自転車リム、インドネシア法人。建築・自動車・物流機器・家具などに使われる。自転車の完成車の販売は2025年12月で終了。

数量出荷量(万トン)価格1トンあたり平均売上(万円)。鋼板の値段と加工賃で動く売上営業利益
今 2026/03 22.0 18 398 13
10 年後 中立 20.9 23 491 24

取り方:鋼管関連396.0億円・営業利益12.9億円に、終了した自転車と小さなその他の売上1.6億円・営業損失0.15億円を足した値。トン数の開示はなく、平均単価を1トン18万円(普通鋼とステンレス、加工品の混ざり)と置いた推定で、出荷量を22万トンとした。

不動産賃貸

土地と建物の賃貸。売上は小さいが利益率が87%と高く、全社の営業利益の約3割を稼ぐ。

数量1式(賃貸面積と稼働率は横ばい)価格年間の賃料収入(億円)売上営業利益
今 2026/03 1.0 6.92 7 6
10 年後 中立 1.0 8.65 9 8

取り方:会社開示の売上6.92億円・営業利益6.03億円。賃貸面積は変わらない前提で、数量は1式、値段は賃料の伸びで置く。

リスクと懸念

鋼材価格の変動と転嫁の遅れ

鋼管の値段は原料の鋼板に連動し、転嫁には時間がかかる。鋼材が上がる局面は利益が出るが、下がる局面では在庫の評価も含めて急に利益が削られる。利益率の振れが大きい事業だ。

国内需要の構造的な縮み

建築・設備向けは、人口減と建設の人手不足で数量が増えにくい。日本の鋼材需要は年5,000万トンを割り込んでいる。下げ止まりが遅れれば、固定費の重い工場で利益が薄くなる。

300億円規模の投資の回収

2033年度までに約300億円を投じる計画だが、純現金は11億円にとどまる。還元との両立が難しく、投資が利益に結びつかなければ、償却費だけが重くのしかかる。

輸入材と海外の価格競争

ステンレスは安い輸入材の圧力を受ける。世界の鉄鋼は中国の過剰生産で需給が緩んでおり、アジアの鋼管価格にも波及しうる。北米向けの輸出も先行きが見えにくい。

中期計画の未達と目標の高さ

今の中期計画は1年目も2年目も営業利益が目標を下回った。長期ビジョンは営業利益率10%を掲げるが、普通の年は2〜5%だ。目標が先延ばしになれば、資本効率の改善は遠のく。

賃貸収益への依存

営業利益の3割を稼ぐ賃貸は安定しているが、鋼管の弱さを隠している面もある。契約の更新や賃料の見直しで減れば、全社の利益が一段と落ちる。

今後の分かれ目

鋼管の営業利益率が、2年続けて6%を超えたら
転嫁の仕組みが定着したとみて、中立の利益率と、やや楽観より上の確率を引き上げる。
営業利益が、会社の今期予想24億円に届かない状態が続いたら
中期計画の未達が3期続くことになり、慎重な見方を強める。やや悲観の確率を上げる。
工場刷新の最初の拠点で、生産性の改善が数字に出たら
300億円の投資が利益に結びつく証拠になり、中立の利益率を引き上げる。
純現金が積み上がらないまま、配当が純利益を上回り続けたら
還元が持続できないとみて、配当の前提を下げる。
インドネシア法人が黒字化し、ASEANの販売が伸びたら
国内の縮みを補う道筋が見えたとして、数量の前提を引き上げる。
政策保有株の売却や、賃貸不動産の活用方針が示されたら
遊休資産の戻し方が明確になるので、資本効率の見方を見直す。

見ておくもの

  • 鋼管の営業利益率(鋼板の値段との連動)
  • 中期計画の営業利益の達成度(今期予想24億円)
  • 工場刷新の進捗と償却費
  • インドネシア法人と北米向けの出荷
  • 配当と自社株買い、政策保有株の売却、純現金の推移

倍率と資本コストの決め方

売上は鋼管の出荷量と1トンあたり売上、賃貸の賃料で積み上げた。今の株価とPERは見ずに筋書きを置いた。倍率は資本コスト8%(基本7.5%に循環+0.5%・値決め力+0.25%・寿命+0.25%)と長期成長4%、事業のROEから出る正当化PERの9.3〜9.6割に置いた。10年後の営業利益率は、鋼材高騰期の山ではなく、普通の年の上限に近い水準に置いた。賃貸と政策保有株の稼ぎは利益に残るため、余った資産として足していない。リース会計の影響は小さく、調整していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.8→13.8 倍・やや楽観 PER 10.4→12.5 倍・中立 PER 9.7→12.5 倍)。

資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

同じ業種(鉄鋼)の AI 分析

割安 高砂鐵工5458 純現金が時価総額の 6 割ある小さな帯鋼の会社。安く見えるが、稼ぐ力は資本コストに届かない 本質価値との差 +31.9% · 10 年 割安(年 +10.5%) やや割安 中央可鍛工業5607 純資産の 3 割で買えるトヨタ系の鋳物屋。厚い現金と持ち株が支えるが、稼ぐ力は資本コストに届かず値上がりの根拠は薄い 本質価値との差 +28.0% · 10 年 やや割安(年 +10.9%) やや割安 イボキン5699 姫路で解体・産廃・スクラップを一貫で手がける小さな会社。解体の需要は伸びるが、相場と入札に利益を握られ、今の値段はやや高い 本質価値との差 +26.6% · 10 年 やや割安(年 +9.7%) やや割安 株式会社神戸製鋼所5406 鉄鋼は薄利でも機械・電力が稼ぐ複合経営、ニッチ特化と1高炉・1電炉への転換が鍵 本質価値との差 +22.9% · 10 年 やや割安(年 +9.5%) やや割安 サンユウ5697 日本製鉄系のみがき棒鋼と冷間圧造用線の中堅。加工賃の是正で利益は戻ったが、自動車の電動化と国内生産の縮みが重く、今の値段はやや高い 本質価値との差 +21.2% · 10 年 やや割安(年 +9.1%) やや割安 日本冶金工業5480 高機能材の伸びは本物だが、借金の重さと市況の振れが効く。今の値段は筋書きの加重とほぼ釣り合う 本質価値との差 +18.8% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 東京鐵鋼株式会社5445 鉄筋一本の電炉。足元の利益は山の高さだが、今の値段は山が崩れる前提をほぼ織り込んでいる 本質価値との差 +14.6% · 10 年 やや割安(年 +8.5%) 適正 モリ工業5464 ステンレス管の国内最大手で財務は盤石。だが稼ぐ力は資本コストに届かず、厚い現金の使い道が評価を分ける 本質価値との差 +5.3% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 合同製鐵株式会社5410 鉄筋と形鋼を作る電炉の中堅。縮む国内で資産だけが重く、帳簿の安さは割安の証拠にならない 本質価値との差 +5.0% · 10 年 適正(年 +8.2%) 適正 共英製鋼株式会社5440 国内の鉄筋は縮み、頼みの米国投資は時価総額に迫る大きさ。稼ぐ力は資本コストに届いていない 本質価値との差 +5.0% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 JFEホールディングス株式会社5411 鉄鋼本体の稼ぐ力は薄いが商社・エンジニアリングが支え、重い純負債をどこまで圧縮できるかが分かれ目 本質価値との差 +4.0% · 10 年 適正(年 +7.9%) 適正 日本精線5659 ステンレス線の国内首位で半導体向けは伸びるが、稼ぐ力は資本コストに届かず、厚い手元資金も親会社の下では戻りが限られる 本質価値との差 +3.6% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 北越メタル5446 新潟の鉄筋の電炉。建設の冷え込みで赤字に沈み、自己資本の厚さほどには稼げない 本質価値との差 +2.9% · 10 年 適正(年 +8.6%) 適正 新日本電工5563 合金鉄の市況の波に、焼却灰資源化という新しい柱が加わる。ただ ROE は資本コストに届かず、値段は成長をやや先取りしている 本質価値との差 −1.0% · 10 年 適正(年 +7.1%) 適正 日本金属5491 ステンレスを紙より薄く延ばす腕はあるが、主力の自動車向けが細り、稼ぎは資本コストに遠く届かない 本質価値との差 −3.3% · 10 年 適正(年 +8.6%) 適正 大和工業株式会社5444 稼ぎの主役は国内ではなく北米の合弁。今の値段は海外頼みの好循環が続く前提に寄りすぎている 本質価値との差 −3.8% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 エンビプロ・ホールディングス5698 金属スクラップと焼却灰の資源化が柱。前期は市況の山で、結論は 割高 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 東京製鐵株式会社5423 財務は強いが事業は谷の底。純現金が時価総額の4割を占める一方、稼ぐ力の回復は10年かかる 本質価値との差 −9.9% · 10 年 適正(年 +5.9%) やや割高 株式会社中山製鋼所5408 新電気炉に社運を賭ける電炉メーカー。投資は時価総額の2倍超で、成功しても資本コストに届きにくい 本質価値との差 −12.8% · 10 年 やや割高(年 +5.8%) やや割高 虹技5603 鋳物とロールで細く長く稼ぐが、資本の稼ぐ力は資本コストに遠く、帳簿の割安は価値にならない 本質価値との差 −13.7% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 丸一鋼管5463 財務は鉄壁だが、鋼管は値段を自分で決められない。稼ぐ力に対して今の値段は先を行っている 本質価値との差 −14.4% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 中部鋼鈑株式会社5461 電炉で厚板を作る国内唯一の専業。財務は鉄壁だが稼ぐ力は資本に見合わず、増産の成功を今の値段は先取りしている 本質価値との差 −16.8% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 大平洋金属5541 製錬所は赤字、稼ぎは鉱山の持分と現金。製錬をどう片づけるかで価値が決まり、今の値段は筋書きの加重を上回る 本質価値との差 −18.7% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 日本製鉄株式会社5401 USスチールの重い借金を背負いながら国内の構造減をどこまで補えるかが本質価値の分かれ目 本質価値との差 −19.9% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 日亜鋼業5658 鉄の線材を加工する地味な専業。資産は厚いが稼ぐ力が低く、結論は 割高 本質価値との差 −21.2% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 新報国マテリアル5542 露光装置のステージに使う低熱膨張合金の鋳物で、2 社の客先に頼る小さな会社。足元は好調だが、中立の値打ちは今の値段に届かない 本質価値との差 −21.6% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 三菱製鋼5632 高炉由来の特殊鋼とばねの二本柱。利益は薄く、資本コストに届かない。今の値段は計画の達成を先取りしている 本質価値との差 −22.4% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 日本鋳造5609 温度で伸びない合金LEXと大型鋳鋼の老舗。半導体の山谷が大きく、10年の価値は今の値段を下回る 本質価値との差 −24.3% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 大同特殊鋼5471 自動車向け鋼材の細りを新分野で埋められるかが勝負。今の値段は、その成功をかなり先取りしている 本質価値との差 −27.6% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 パウダーテック5695 コピー機のトナーを運ぶ鉄の粉で世界大手。印刷が細り資本は稼がず、10年では割高 本質価値との差 −29.5% · 10 年 やや割高(年 +2.9%) やや割高 日本鋳鉄管5612 水道管の国内3番手。クボタとの合弁で工場を満たす賭けに出たが、借金が膨らみROEは1%。中計が実っても今の値段は高い 本質価値との差 −29.6% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) 割高 株式会社ヨドコウ5451 素材の鋼板で稼ぐ堅実な独立系。だが ROE は資本コストに届かず、今の値段は割高とみる 本質価値との差 −31.1% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 愛知製鋼5482 トヨタグループ唯一の素材メーカー。電動化の逆風を新事業で埋め切れるかが焦点で、今の値段はその成功を先取りしている 本質価値との差 −34.8% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 大阪製鐵株式会社5449 インドネシアの傷は消えたが、国内だけの電炉に残る稼ぐ力は薄い。今の値段は日鉄の完全子会社化の期待まで抱えている 本質価値との差 −65.8% · 10 年 割高(年 −3.7%)

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読んだ資料

  1. 新家工業 中期経営計画2026(2024年5月14日)
  2. 新家工業 2027年3月期 第1四半期決算(モネックス)
  3. 新家工業 セグメント別業績(envalith)

分析日 2026-10-16