結論
サンユウは、大阪府枚方市を本拠に、みがき棒鋼と冷間圧造用鋼線を作る会社だ。みがき棒鋼は、熱間で作った棒鋼を引き抜いて表面と寸法を整えた鋼材で、自動車のシャフトやピンに削られる。冷間圧造用鋼線は、ボルトやナットを冷えたまま打ち出して作るための線材だ。日本製鉄が議決権の3割強を持つ。
筆者の結論は、10年の稼ぐ力で測ると今の値段はやや高い、というものだ。2024年から加工賃の引き上げを顧客に認めさせ、2026年3月期の営業利益は3割増えた。ただ、売上に対する利益は3.5%で、ROE(自己資本利益率)は6%にとどまる。資本コストの9%近くには届かない。
最大の顧客は自動車だ。国内の自動車の生産は細り、電気自動車はエンジンや変速機の部品を減らす。棒鋼とボルトの量は、10年で1割ほど減ると筆者は見る。
現金は厚く見えるが、増えた分の多くは仕入れの支払いの時期のずれだ。日本製鉄の系列にあり、余った現金が株主に戻る道も細い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、サンユウは「誠実だが、平凡な加工業」だ。
鋼材の値段を転嫁でき、加工賃で稼ぐ形は、大きく崩れにくい。系列の調達と長い取引も、地味な強みだ。だが、オーナーとして見ると、稼ぐ力が資本に見合っていない。売上の3〜4%しか利益が残らず、ROEは6%前後だ。
10年先を考えると、最大の顧客である自動車の量は細る。電気自動車の比率が上がれば、棒鋼とボルトを使う部品は減る。同業を買って量を集める道はあるが、買うほど利幅が厚くなる業界ではない。
資本の使い方も慎重すぎる。日本製鉄が3割強を持ち、余った現金を返す圧力は弱い。筆者は、加工賃の是正が続いて利益率が4%台に乗るか、還元の方針が変わるまでは、安全域は薄いと見る。株価が業績の谷で大きく下がった時に、改めて見る会社だ。
逆に言えば、谷で買えば系列の安定が下値を支える。
何で稼ぐ会社か
事業はみがき棒鋼と冷間圧造用鋼線の1つだけで、2026年3月期の売上256億円のうち、みがき棒鋼が165億円、鋼線が91億円だ。
原料は日本製鉄などの高炉や電炉が作る棒鋼と線材で、商社を通じて仕入れる。サンユウはそれを引き抜き、熱処理し、まっすぐに整えて、自動車部品や建設機械の部品のメーカーに売る。値段は「鋼材の値段+加工賃」で決まる。鋼材の値上がりはほぼそのまま転嫁でき、稼ぎの源は加工賃の方だ。
2024年7月から、人件費と物流費の上昇を理由に加工賃の引き上げを進め、2026年3月期にそれがフルに効いた。販売数量は1.6%しか増えていないが、営業利益は3割増えた。
グループには、大阪ミガキ(72.4%)と大同磨鋼材工業(100%)がある。小さな同業を買って傘下に入れ、関西の拠点を広げてきた。主な売り先は日鉄物産で、売上の1割を占める。
業界全体の生産量は年145万トン弱で、サンユウはその1割近くを作るとみられる。関西より西だけで競合は17社あり、規模の小さい会社が多い。
設備投資は年6億円前後で、償却とほぼ見合う。工場の更新を続けながら、借入は減らしてきた。
優良さと弱いところ
事業の質は、平凡な加工業だ。強みは、日本製鉄の系列という安定した原料の調達と、関西の自動車部品メーカーとの長い取引だ。熱処理まで一貫で手がけ、品質の要求の厳しい自動車向けで実績がある。
弱みは、値段を決める力の小ささだ。鋼材の値段は高炉が決め、製品の値段は自動車部品メーカーとの交渉で決まる。加工賃の引き上げが通ったのは、業界全体で人手と物流の費用が上がり、各社が一斉に動いたからだ。この是正が一度きりで終わるか、物価に合わせて続くかが利益を左右する。
営業利益率は過去20年で最高でも9%台、ふだんは1〜4%だ。2010年3月期には赤字になった。景気と鋼材の値段の上下で、利益はすぐに振れる。
資本の使い方は保守的だ。配当性向は30%を目標とし、自社株買いはしていない。日本製鉄が3割強を持ち、経営の大きな方針は親会社格の意向に沿う。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
みがき棒鋼と冷間圧造用鋼線の需要は、自動車の生産台数でほぼ決まる。2025年の業界の生産量は145万トン弱で、前年とほぼ同じだった。米国の関税で自動車の生産が一時落ちたが、下期には戻った。
10年の流れは逆風だ。国内の自動車の生産は、工場の海外移転と人口減で細っていく。電気自動車はエンジンと変速機を持たないので、シャフトやギヤ、ボルトの使う量が減る。ハイブリッド車が多い間は影響は小さいが、10年の後半には効いてくる。
一方で、建設機械や産業機械、ロボット向けの需要は底堅い。ボルトの高強度化で、合金鋼やボロン鋼の線材の比率も上がっている。
供給の側は、中小の会社が多く、後継者の不足で再編が進む。サンユウのように同業を買って規模を集める会社には、量を取り込む機会がある。
鋼材の値段は、中国の過剰生産で天井が低い。ただ、サンユウは鋼材の値段をほぼ転嫁できるので、利益への影響は小さい。筆者は、10年で業界の量は1割減り、加工賃は物価よりやや遅れて上がると見る。
人手の不足も業界を変える。引き抜きや熱処理の職人が引退すれば、小さな工場は続けられなくなる。量は細っても、残った会社に仕事が集まる形になりうる。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、配当性向30%を目標にしている。2026年3月期の配当は総額1.8億円で、自社株買いはしていない。
日本製鉄が議決権の33.67%を持つ。日本製鉄は国内の拠点の集約を進めており、系列の加工会社の再編もありうる。親会社格が完全子会社にする、あるいは同業と統合させる筋は、筆者は低い確率ながら残ると見る。
現金は47億円まで増えたが、仕入れの支払い(電子記録債務と買掛金)が1年で22億円増えた分が大きい。前の期末の純現金は13億円ほどで、事業に要らない現金はその一部だ。設備投資は年6億円前後で、借入は減らしている。
子会社の大阪ミガキには3割弱の少数株主がいる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
サンユウは、地味だが崩れにくい会社だ。鋼材の値上がりはほぼそのまま製品の値段に乗せられ、稼ぎは加工賃で取る。原料の相場に振り回される会社ではない。
2024年からの加工賃の引き上げは、業界の空気を変えた。人手と物流の費用が上がり、各社が一斉に値上げに動いた。2026年3月期は量がほとんど増えないのに、営業利益は3割増えた。この是正は、物価が上がる限り続く。
業界は中小の会社が多く、後継者の不足で手放される工場が出てくる。サンユウは大阪ミガキと大同磨鋼材を傘下に入れてきた実績がある。量を集めれば、固定費が薄まり利幅は厚くなる。
電気自動車も、すぐにボルトをなくすわけではない。車体や足回り、電池の箱にもボルトは要る。建設機械やロボットの需要も底堅い。日本製鉄の系列で原料の調達も安定しており、財務も無借金に近い。
値段も安い。純現金と投資有価証券は時価総額の8割に近く、事業の価値はわずかしか値段に入っていない。
慎重な見方
加工賃の是正は一度きりの追い風だ。顧客の自動車部品メーカーも完成車の会社から値下げを迫られており、毎年の値上げを受け入れる余裕はない。利益率は過去20年で1〜4%の間を動き、9%台は2006年の一度だけだ。
最大の顧客の自動車は、国内で確実に細る。米国の関税に合わせて現地生産が増え、電気自動車はシャフトやギヤを大きく減らす。量が減れば、薄い利幅はすぐに消える。2010年3月期には赤字になった。
現金が厚く見えるのも錯覚だ。増えた分は仕入れの支払いを先に延ばしただけで、いずれ出ていく。
資本の使い方も期待できない。日本製鉄が3割強を持ち、自社株買いはしたことがない。余った現金が株主に戻る道は細く、ROEは6%前後で資本コストに届かない。安全域は、今の値段にはない。
日本製鉄が系列の工場を集約する時、少数株主の取り分は後回しになる。親会社格の都合が先に立ち、買い取りの値段も事業の価値より低く決まりかねない。
どちらに重みを置いたか
加工賃の是正が効いていることは、強気の言い分のとおりだ。だが量の縮みは10年で確実に効き、利幅は薄いままだ。確率は中立を中心に置き、自動車の電動化と海外移転を見て慎重な側を強気より厚くした。加工賃の見直しが毎年通る仕組みが定着すれば、見方を強気に寄せる。逆に国内の自動車の生産が想定より早く細れば、慎重な側をさらに厚くする。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,626 円98 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 291 円18 億円)。 今の値に割り戻すと 971 円59 億円、今との差 +21.2%、 期待の年率 +9.1%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,769 円167 億円 | 430 円26 億円 | +299.4% | +14.9% | 256 円15 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,283 円138 億円 | 381 円23 億円 | +232.5% | +12.8% | 533 円32 億円 |
| 中立 | 40% | 1,803 円109 億円 | 314 円19 億円 | +164.4% | +10.2% | 847 円51 億円 |
| やや悲観 | 20% | 993 円60 億円 | 215 円13 億円 | +50.8% | +4.2% | 242 円15 億円 |
| 悲観 | 12% | 232 円14 億円 | 99 円6 億円 | −58.7% | −8.5% | 40 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,626 円98 億円 | 291 円18 億円 | +139.3% | +9.1% | 1,917 円116 億円 |
今の株価時価総額 801 円48 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 業界の再編で量を集め、加工賃も物価並みに上がる 利益 12 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 2,769 円167 億円
関西の中小のみがき棒鋼の会社が後継者の不足で事業を手放し、サンユウが2〜3社を買って量を集める。自動車の量は減るが、建設機械やロボット、高強度のボルトの需要が伸び、販売量は今より1割増える。
加工賃は物価に合わせて毎年見直され、業界の値上げの流れが定着する。熱処理と合金鋼の比率が上がり、利益率は4.5%になる。
営業利益は17億円、純利益は11.5億円になる。配当性向30%を守っても自己資本は膨らみ、ROEは7%で資本コストには届かない。日本製鉄が系列の再編でサンユウを中核に据えれば、さらに上振れもありうる。
- みがき棒鋼:数量 90.0(販売量(千トン、推定))× 価格 27(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 243 億円・営業利益 11 億円。同業の買収で量が増える
- 冷間圧造用鋼線:数量 55.0(販売量(千トン、推定))× 価格 24(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 134 億円・営業利益 6 億円。高強度ボルト向けが伸びる
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 13.19 倍、時価総額 157 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中小の同業が多く、後継者の不足で再編の機会はある。だが量を1割増やし、利益率を4%台半ばで保つのは過去に例がなく、1割に届かない確率とした。
やや楽観 20% 量は保ち、加工賃の是正が続く 利益 9 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,283 円138 億円
自動車の量は国内で少しずつ減るが、建設機械や産業機械の需要と、同業からの受注の移りで、販売量はほぼ今のままを保つ。
人件費と物流費の上昇に合わせて加工賃を毎年見直す仕組みが定着し、鋼材の値上がりもそのまま転嫁できる。利益率は4%に乗り、2026年3月期の3.5%を上回る。
営業利益は13億円台、純利益は9億円になる。配当性向30%で返しても自己資本は5割増え、ROEは6%前後にとどまる。日本製鉄の系列の中での位置は変わらない。
大きな買収はしないが、小さな同業から仕事を引き継ぐ形で量を保つ。建設機械とロボット向けの需要が、自動車の減少を少し補う。
- みがき棒鋼:数量 82.0(販売量(千トン、推定))× 価格 27(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 217 億円・営業利益 9 億円。量は横ばい
- 冷間圧造用鋼線:数量 50.0(販売量(千トン、推定))× 価格 24(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 120 億円・営業利益 5 億円。量は横ばい
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 124 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:加工賃の是正は2026年3月期にフルに効き、会社は続ける姿勢だ。量を保ちながら利益率が4%に乗る筋として2割。
中立 40% 自動車の量が1割減り、利益は物価に追いつかない 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,803 円109 億円
筆者が最も起こりやすいと見るのは、量が細り、値段がそれを埋めきれない姿だ。国内の自動車の生産は工場の海外移転で減り、電気自動車の比率も上がる。みがき棒鋼と鋼線の販売量は、10年で1割減る。
鋼材の値段は転嫁でき、加工賃も物価にやや遅れて上がる。単価は10年で3割上がるが、量の減少で工場の稼働は下がり、利益率は3.3%と今とほぼ同じだ。
営業利益は10億円、純利益は6.7億円になる。配当性向30%で返しても、自己資本は1.4倍に膨らみ、ROEは4%台に下がる。余った現金は日本製鉄の系列の中で、静かに積み上がっていく。
- みがき棒鋼:数量 74.0(販売量(千トン、推定))× 価格 26(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 192 億円・営業利益 7 億円。量1割減・単価3割上げ
- 冷間圧造用鋼線:数量 45.0(販売量(千トン、推定))× 価格 23(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 105 億円・営業利益 3 億円。量1割減
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 92 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の自動車の生産の縮みと電動化は、10年で確実に効く。加工賃の是正は続くが物価にやや遅れる。最も自然な姿として4割。
やや悲観 20% 電動化と海外移転で量が2割以上減る 利益 3 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 993 円60 億円
米国の関税に合わせて、日本の自動車会社が北米での生産を増やす。国内の生産は2割以上減り、電気自動車の比率も上がる。みがき棒鋼と鋼線の販売量は、今より25%減る。
工場の稼働が下がり、固定費が重くなる。同業も量を取り合い、加工賃の引き上げは止まる。利益率は1.8%に落ちる。
営業利益は4億円、純利益は3億円を切る。ROEは2%台に下がり、価値は稼ぐ力で測るしかない。工場と土地は残るが、それを売って株主に返す道はない。日本製鉄が系列の工場を集約する時、サンユウの拠点も対象になる恐れがある。
設備の更新は続けるが、新しい機械の値段は物価以上に上がり、現金は細る。
- みがき棒鋼:数量 62.0(販売量(千トン、推定))× 価格 24(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 149 億円・営業利益 3 億円。量25%減
- 冷間圧造用鋼線:数量 38.0(販売量(千トン、推定))× 価格 22(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 82 億円・営業利益 1 億円。量25%減
倍率:ROEは約2.1%で稼ぐ力は純利益÷k=約33億円、余った現金の分(10億円×戻り方0.5×0.75)を足して約42億円。今の自己資本103億円に0.406倍をかけた42億円とする。
確率:日本の自動車会社が米国の関税に合わせて現地生産を増やし、電気自動車の比率も上がる筋。最大の顧客の量が細る形は十分ありうるので2割。
悲観 12% リーマン級の不況で自動車が止まり、赤字に沈む 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 232 円14 億円
リーマン級の世界不況で自動車の生産が3割以上止まり、電気自動車への移行も重なって、棒鋼とボルトの量は戻らない。販売量は4割近く減る。
工場の固定費と人件費が残り、営業は赤字になる。鋼材の値段の下落で在庫の評価損も出る。会社は工場を集約し、人を減らして耐える。
価値は稼ぐ力では測れず、現金と売れる資産で決まる。日本製鉄の系列の会社は清算されず、現金の使い道は少数株主には決められない。届くのは、その半分ほどだ。
不況が明けても、電気自動車の比率が上がった分の量は戻らない。工場の集約の費用も、自己資本を削る。
- みがき棒鋼:数量 50.0(販売量(千トン、推定))× 価格 21(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 105 億円・営業利益 −1 億円。量4割近く減
- 冷間圧造用鋼線:数量 30.0(販売量(千トン、推定))× 価格 19(1トンあたりの単価(万円、推定))→ 売上 57 億円・営業利益 −1 億円。量4割減
倍率:赤字で稼ぐ力はない。価値は売れる資産の床で測り、今の自己資本103億円に0.135倍をかけた14億円とする。
確率:2009〜2010年に営業赤字を出した前例があり、自動車の減産は加工業の利益を一気に消す。電動化の進みと重なる筋として1割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
みがき棒鋼
棒鋼を引き抜いて表面と寸法を整えた鋼材。自動車のシャフト・ピンなどに削られる。
| 数量販売量(千トン、推定) | 価格1トンあたりの単価(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 82.3 | 20 | 165 | 6 |
| 10 年後 中立 | 74.0 | 26 | 192 | 7 |
取り方:2026年3月期のみがき棒鋼の売上164.63億円(短信)。数量の開示はなく、1トン20万円前後で割り戻した推定。利益は単一セグメントのため、全社の営業利益8.86億円を売上の比で分けた推定。
冷間圧造用鋼線
ボルト・ナットなどを冷えたまま打ち出して作るための線材。
| 数量販売量(千トン、推定) | 価格1トンあたりの単価(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 50.6 | 18 | 91 | 3 |
| 10 年後 中立 | 45.0 | 23 | 105 | 3 |
取り方:2026年3月期の冷間圧造用鋼線の売上91.08億円(短信)。数量の開示はなく、1トン18万円前後で割り戻した推定。利益は全社の営業利益を売上の比で分けた推定。
リスクと懸念
自動車の量と電動化
売上の大半は自動車部品向けだ。国内の生産が海外に移り、電気自動車でエンジンと変速機の部品が減れば、シャフトやボルトに使う棒鋼と線材の量は確実に細る。
加工賃の交渉
利益の源は加工賃だ。2024年からの引き上げは業界全体の動きに支えられた。顧客の自動車部品メーカーも値下げを迫られており、物価に合わせた見直しが続く保証はない。
鋼材の値段と在庫
鋼材の値上がりは転嫁できるが、時期のずれで利益が振れる。値段が急に下がる局面では、手持ちの在庫の評価損が出る。
人手とエネルギー
引き抜きと熱処理には熟練の人手と電気・ガスが要る。人件費とエネルギーの値上がりを加工賃に乗せられなければ、薄い利幅はすぐに消える。
親会社格の再編
日本製鉄が議決権の3割強を持ち、国内の拠点の集約を進めている。系列の加工会社の統合や工場の集約の中で、サンユウの立場や少数株主の扱いが変わる恐れがある。
今後の分かれ目
- 加工賃の見直しが2年続けて通り、利益率が4%を超える
- 値段の力が定着した証拠。利益率の中立を上げ、強気の側に確率を寄せる。
- 国内の自動車の生産が2年続けて5%以上減る
- 量の縮みが早い。販売量の中立を下げ、慎重な側に確率を寄せる。
- 同業を買収して量を増やす
- 買値と利益率を見る。安く買えて利幅が保てれば、量の中立を上げる。
- 配当性向を引き上げるか自社株買いを始める
- 余った現金が株主に戻る。戻り方を見直す。
- 日本製鉄が持ち分を動かす
- 完全子会社化や統合の可能性を見る。条件次第で筋書きを見直す。
見ておくもの
- 業界のみがき棒鋼と冷間圧造用鋼線の生産量
- 加工賃の見直しと営業利益率
- 国内の自動車の生産台数と電気自動車の比率
- 仕入債務と現金の推移
- 日本製鉄の持ち分と系列の再編
倍率と資本コストの決め方
倍率は全社のROEと資本コスト7.75%から決めた。中立はROEが4%台に下がるため上限1÷k=11.4倍の7.5割の8.6倍。今のPER・PBR(0.5倍前後)は見ていない。期末の純現金36億円のうち、仕入れの支払いのずれで増えた22億円は余った現金に数えず、残りの10億円を戻り方0.5で足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.3→13.19 倍・やや楽観 PER 9.1→12.9 倍・中立 PER 8.6→12.9 倍・やや悲観 PBR 0.348→0.406 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。