結論
デューク・エナジー(Duke Energy)は、ノースカロライナ・サウスカロライナ(カロライナ)、フロリダ、インディアナ・オハイオ・ケンタッキー(中西部)で約 840 万件に電気を売る全米最大級の規制電力持株会社で、ガス配給(ピードモント・ナチュラル・ガスなど)も持つ。2025 年の売上は約 322 億ドル、純利益は約 50 億ドル、調整後の利益は約 49 億ドルである。会社は 2026〜2030 年に 1,030 億ドルを投じ、収益基盤を年約 9.6% 伸ばし、調整後の 1 株利益を年 5〜7% 伸ばす計画で、2028 年からは上半分を狙うと説明している(二次情報を含む)。
成長の核はデータセンターで、電力供給契約(ESA)を結んだ大口は 7.8 GW、後期の見込みは約 15.4 GW が 2027 年上期までに契約へ進む予定とされ(2026 年 8 月の決算説明)、サザン(Southern Company)の契約済み 17 GW 超に次ぐ規模になる。ノースカロライナの大口料金の和解は 11 月中旬の決定を待つ。
バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8.0% に quality -0.75% を足した 7.25%(公益の規制事業で需要と値決めは安定、借金は重い)。倍率は利益ベースの正当化 PER(moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 15.7 倍(g 3.7%・RONIC 8.3%)の 8.6 割の 13.5 倍。今の GAAP の PER 19 倍は、この水準を上回る。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 22% 下で、結論は「やや割高」である。弱みは、純有利子負債が約 908 億ドルで時価総額の 96%、FCF が 2025 年に −17 億ドル、自己資本比率 26% という財務の薄さと、ノースカロライナの住宅料金が 2 年で約 9% 上がる政治(司法長官が和解に署名せず)である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。電気とガスの地域独占は、人口の流入が続く南東部と中西部で確実に残り、むしろ今より大きい。堀は認可の質と原子力・用地・調達力にあり、広がる側にあるが、サザンのジョージアほどの許可 ROE の高さも、ネクステラのフロリダほどの自己資本比率の厚さも持たない。
次にオーナー利益を見る。2025 年の純利益 50 億ドルのうち、配当は約 33 億ドル、FCF は −17 億ドルで、不足は借金・増資・資産の売却・ブルックフィールドで埋めている。経営者が自由に取り出せる利益は小さく、年約 9% の収益基盤の伸びの先にしか価値の増加はない。投資をすべて認可に乗せられるか(工期・費用)が最も大事で、ここは予測が難しい。
安全域の面では、基本 8.0% に quality -0.75% を足した資本コスト 7.25% で、筋書きを重ねた価値は今の時価総額を約 22% 下回る。純負債が時価総額と並ぶ財務の重さは k と悲観の確率(10〜12%)で表した。リーマン級でも規制資本の裏付けで PBR 1 倍前後が床になる。確信度は規制電力の部分では高いが、大型工事の費用と政治については低い。安全域では、利益ベースの正当化 PER 15.7 倍(g 3.7%・RONIC 8.3%・k 7.25%・moat=normal)に対して、10 年の中立を 13.5 倍に置いた。今の PER 19 倍はこれより高く、安全域はない。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 22% 下で、結論は「やや割高」である。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は電力・インフラ部門で、2026 年上期の調整後利益は 27.1 億ドルと全社(約 26 億ドル)を上回る。ここは 3 つに分かれる。カロライナ(デューク・エナジー・カロライナズとデューク・エナジー・プログレス)は 2 つの規制会社で過半の顧客と最大の収益基盤を持ち、原子力 6 サイト 11 基を抱える。フロリダ(デューク・エナジー・フロリダ)は人口流入が強く、2026 年 3 月にブルックフィールド(Brookfield)へ持ち分の 9.19% を約 28 億ドルで売り、最大 19.7% を総額 60 億ドルで渡す契約を結んだ。中西部(インディアナ・オハイオ・ケンタッキー)は石炭からガスと再エネへの移行の途中にある。
ガス・インフラ部門はピードモント・ナチュラル・ガス(ノースカロライナ・サウスカロライナ)とオハイオ・ケンタッキーのガス配給で、上期の調整後利益は 3.7 億ドル(冬が稼ぎ時で夏は赤字に近い)。テネシーのガス事業は 2026 年 3 月にスパイア(Spire)へ 24.8 億ドルで売却済みで、約 15 億ドル(税引後)を投資計画に回した。その他(親会社の金利・本社費)は上期 −4.7 億ドルで、全社の利益から毎年 9〜10 億ドルが引かれる。
料金は州ごとの公益事業委員会が決め、燃料費は転嫁する。利益は「規制資本(収益基盤)× 自己資本比率 × 実現 ROE」で決まり、売上は燃料費で動くので、売上ではなく収益基盤の伸びを見る。ノースカロライナの 2026 年の料金案件は、デューク・エナジー・カロライナズの許可 ROE 9.8%・自己資本比率 53%(収益共有は 10.3% まで)の包括和解と、デューク・エナジー・プログレスの類似の和解が 2026 年 11 月中旬の命令待ち。新料金は 2027 年 1 月から。
優良さと弱いところ
堀は 3 層ある。第 1 は地域独占で、ノースカロライナ・サウスカロライナ・フロリダ・インディアナの高成長地域に連続した供給区域を持つ。第 2 は発電の多様性で、原子力 11 基・ガス・石炭・水力を持ち、ガスタービンが 5〜7 年待ちの今、既存の原子力と用地(石炭の跡地)の価値が上がっている。2026 年の説明でも、運転期間の延長(ブランズウィックの申請を年内)と出力増を優先し、新設は財務保護が付くまで提案しないとしている。第 3 は調達力で、毎月 10 億ドル超の投資を投資適格で回す。
資本効率は ROE 9.6%(2025 年)で、許可 ROE 9.8〜10.3% に近く、規制ラグは小さい。ただし自己資本比率は 26% と低く(親会社が借金して子会社へ資本を入れる構造)、純有利子負債は時価総額の 96%、FCF は 2025 年に −17 億ドル、FFO 対負債は 14.5% が目標で格付け会社の基準に近い。配当は約 33 億ドルで、純利益の約 66% を払い、投資と配当の不足を借金・増資・ブルックフィールドの資金で埋める。
弱点は 3 つ。第 1 に、住宅料金が政治の標的になる点で、ノースカロライナは 2 年で約 9%(司法長官の修正値)、司法長官は 2 つの和解に署名していない。第 2 に、原子力・ガスの大型工事の超過コストで、石炭灰の処理費用の一部がノースカロライナで不認可になった前例(2018 年前後)のように、費用が料金に乗らないことがある。第 3 に、ハリケーン(フロリダ・カロライナ)の復旧費の回収の遅れである。サザンのジョージアのような許可 ROE の高さ(10.5%)や、ネクステラのフロリダ(FPL)のような自己資本比率の厚さ(約 60%)は持たない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の電力需要は 2025 年に過去最高の 4,195 TWh、EIA は 2027 年まで年約 +1.9% と見る。引っ張るのは商業用(データセンター)で、発表済みの大口案件は約 55 GW(EEI)。ただし見込みと確約は別で、ERCOT が 2030 年の見通しを 208 GW から 138 GW へ切り下げたように、待ち行列の多くは重複した申し込みである。デュークは大口の契約が確約に進んでいる側に入る。
競合は需要の取り合いでなく、データセンターを呼ぶ地域間の競争である。サザン(ジョージア・アラバマ、契約済み 17 GW 超)、ドミニオン(バージニア、ネクステラが買収合意)、エンタージ(ルイジアナ)、AEP アメリカン・エレクトリック・パワー(オハイオ・テキサス)、ネクステラのフロリダ(FPL)が同じ顧客を狙う。デュークは 7.8 GW を契約済みでサザンの約半分、見込みを足しても 23 GW 余りで、サザンの見込み 75 GW 超よりは小さいが、原子力と石炭の跡地という送電に近い用地を持つ。
規制面では、ノースカロライナの大口料金(50 MW・負荷率 80%・最低請求 75%)が確定すれば、データセンターが他の顧客へ費用を回さない設計になり、手頃さの批判をかわせる。反対側に、PJM(オハイオ)の容量価格、住宅料金 2026 年 +5% という全国の流れ、ノースカロライナの司法長官の抵抗がある。設備では、ガスタービンの価格が 2019 年の約 3 倍、新設の複合サイクルは 2,000〜2,200 ドル/kW まで上がり、2030〜31 年にまとめて稼働する計画の工期・費用が最大の実行リスクになる。物価 3.5%・金利 5% の世界では、借換えのコストも利益を削る。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、配当(調整後利益の 60〜70%)と、投資を借金・増資・資産の売却・外部資本で賄う仕組みである。2026 年に入ってからだけでも、ブルックフィールドへのフロリダ子会社の少数持ち分(最大 19.7%・総額 60 億ドル。2029 年までに予定していた長期債と普通株の発行を置き換える)、テネシーのガス事業の売却(24.8 億ドル)、普通株の ATM・先渡し(最大 60 億ドル、2028 年 9 月まで)、株式ユニット 17.5 億ドル(2026 年 8 月)を実行・開始した。5 か年で大型の一括増資は想定しないが、年に時価総額の 1〜2% ほどの増資が続く見込みである。
M&A の歴史では、2012 年のプログレス・エナジー買収(これでフロリダとカロライナのプログレスを得た)、2016 年のピードモント(ガス)買収、2023 年の商業再エネ部門の売却がある。再エネの開発をやめて規制事業に集中した判断は、バリュー投資の観点で資本配分として評価できる。今後の再編は、同業どうし(ネクステラ・ドミニオン)の動きが先で、デュークが買う側・買われる側になる可能性は低い(時価総額 約 944 億ドル)。ブルックフィールドは子会社の少数株主になるので、フロリダの利益の約 2 割が親会社の利益から外れる点は筋書きに入れた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
データセンターの契約が現実になっている。契約済みの大口は 7.8 GW(2026 年第 1 四半期だけで 2.7 GW 積み増し)、後期の見込みは約 15.4 GW で、大半はフロリダ・インディアナにあり、2027 年上期までに契約になる見通しである。契約には最低請求(契約需要の 75% の案)と担保が付き、費用は大口が自分で負う設計になるので、住宅料金への影響は小さい。会社は投資計画を 1,030 億ドルに引き上げ(前の計画比 +18%)、さらに 50〜100 億ドルの上乗せ余地を示している。
収益基盤は年約 9.6% 伸び、調整後利益は 2028 年から年 5〜7% の上半分に入る。ノースカロライナでは和解で許可 ROE 9.8%・自己資本比率 53% が確保され、次の料金案件は 2028 年 11 月以降まで遅らせる検討が和解に含まれる。ブルックフィールドの 60 億ドルは増資と借金を置き換え、FFO 対負債を 15% へ引き上げる。再エネ開発を売却して規制事業だけに絞ったので、資本配分の質は高い。フロリダ・インディアナ・ノースカロライナは認可が早く、人口流入が強い。
資本コスト 7.25% の規制電力で、年 8〜9% の収益基盤の伸びに ROE 9.8% なら、倍率は正当化 PER の上限(16 倍前後)近くまで成り立つ。今の PER 19 倍は、その上限の計算を上回る。
慎重な見方
借金で成長を買っている会社である。純有利子負債は約 908 億ドルで時価総額の 96%、FCF は 2025 年に −17 億ドル、自己資本比率は 26%。5 年で 1,030 億ドルを投じ、毎年 10 億ドル超を毎月使うのに、配当は純利益の約 66%。足りない分は借金と増資で、借換えの金利は 5.75% 前後に上がり、10 年後の利払いは約 16 億ドルの減益要因になる(brief の推定)。ブルックフィールドへフロリダの 19.7% を渡せば、将来の利益の約 2 割を手放すことでもある。
料金の政治は強まっている。ノースカロライナの住宅料金は 2 年で約 9% 上がり、司法長官は 2 つの和解に署名していない。全米の住宅料金は 2026 年に +5% で、手頃さへの反発が許可 ROE と投資の認可に及ぶおそれがある。新設のガス火力・原子力は工期 5〜7 年、タービン価格は 2019 年の約 3 倍で、2030〜31 年に集中する工事で超過コストが出れば、サザンのボーグル 3・4 号機のように認可されない費用が直接の損失になる。7.8 GW の契約も、ERCOT が見通しを 3 割切り下げたように、データセンター需要は縮みうる。
資本コスト 7.25% でも、金利 5% の世界で、今の PER 19 倍は利益ベースの正当化 PER(15〜16 倍)より高い。成長が借金に依存するほど、金利が 1 ポイント動いた時の利益の下ぶれが大きい。
どちらに重みを置いたか
規制電力の事業の質と契約の確度は強気の見方が上回るが、財務の薄さと料金の政治・工事費は慎重な見方が突いている。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた(10 年の中立 13.5 倍=正当化 PER 15.7 倍の 8.6 割)。今の PER を見て寄せていない。確率は中立に寄せ、楽観・やや楽観の合計を 10 年 30%、やや悲観・悲観の合計を 10 年 34% とした。悲観を 10 年で 12% と厚くしたのは、純負債が時価総額と並ぶ財務での工事費・料金の政治のリスクをサザンより重く見たからである。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 22% 下で、結論は「やや割高」である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 143.28 ドル1,113 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 34.26 ドル266 億ドル)。 今の値に割り戻すと 95.30 ドル740 億ドル、今との差 −24.0%、 期待の年率 +3.5%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 216.32 ドル1,681 億ドル | 26.38 ドル205 億ドル | +93.5% | +6.8% | 19.42 ドル151 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 180.73 ドル1,404 億ドル | 31.53 ドル245 億ドル | +69.3% | +5.4% | 46.70 ドル363 億ドル |
| 中立 | 36% | 148.98 ドル1,158 億ドル | 35.39 ドル275 億ドル | +47.0% | +3.9% | 66.38 ドル516 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 114.99 ドル894 億ドル | 36.68 ドル285 億ドル | +21.0% | +1.9% | 33.37 ドル259 億ドル |
| 悲観 | 12% | 60.71 ドル472 億ドル | 36.68 ドル285 億ドル | −22.3% | −2.5% | 11.69 ドル91 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 143.28 ドル1,113 億ドル | 34.26 ドル266 億ドル | +41.6% | +3.5% | 177.54 ドル1,380 億ドル |
今の株価時価総額 125.40 ドル974 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:契約済みの大口が確定し、収益基盤が年 9% 近く伸び続ける 利益 110 億ドル · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 216.32 ドル1,681 億ドル
2035 年末、データセンターの ESA(7.8 GW 契約済み・後期の 15.4 GW のほか、2030 年代前半の追加)が稼働し、フロリダ・インディアナ・オハイオを中心に収益基盤は約 2,708 億ドル(カロライナ 1,370・フロリダ 644・中西部 496・ガス 198)に達する。原子力の運転延長・出力増と新設の SMR・大型炉に財務保護が付き、認可が早く進む。ノースカロライナの許可 ROE は 9.8〜10% を保つ。営業利益は約 211 億ドル、純利益は約 110 億ドル(2025 年の約 2.2 倍)。ブルックフィールドの 19.7% 分(約 5 億ドル)は差し引いてある。増資は 10 年で約 300 億ドルと大きく、配当は約 520 億ドルで、正味の還元は約 205 億ドル。サザン・ネクステラ(FPL)・ドミニオンと並ぶ大手の地位を保ち、フロリダ・インディアナでシェアを上げた。倍率は 正当化 PER 16.1 倍に対して 15.3 倍(9.5 割)に置いた(規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割)。
- カロライナ(デューク・エナジー・カロライナズ+プログレス。ノースカロライナ・サウスカロライナ):数量 1,370(収益基盤(億ドル))× 価格 0.23(収益基盤あたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 310 億ドル・営業利益 114 億ドル。収益基盤 1370 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2261
- フロリダ(デューク・エナジー・フロリダ。ブルックフィールドが最大 19.7% を取得予定):数量 644(収益基盤(億ドル))× 価格 0.22(収益基盤あたりの売上)→ 売上 140 億ドル・営業利益 48 億ドル。収益基盤 644 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2175
- 中西部(デューク・エナジー・インディアナ・オハイオ・ケンタッキー):数量 496(収益基盤(億ドル))× 価格 0.22(収益基盤あたりの売上)→ 売上 110 億ドル・営業利益 34 億ドル。収益基盤 496 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2224
- ガス配給(ピードモント・ナチュラル・ガス+オハイオ・ケンタッキーのガス):数量 198(収益基盤(億ドル))× 価格 0.24(収益基盤あたりの売上(ガス代の転嫁を含む))→ 売上 48 億ドル・営業利益 17 億ドル。収益基盤 198 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2417
倍率:正当化 PER 16.1 倍(g 3.7%・RONIC 8.6%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.9%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 15.3 倍(9.5 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割。g の内訳:販売電力量の実質 +1.5〜2%(南東部の人口・データセンター・電化)× シェア 変わらず(地域独占)× 単位あたり収益 +2.3〜2.7%(物価 3.5% を下回る。手頃さの政治)で、名目の長期 g は 3.9〜4.5%(式の上限は 3.7%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:契約済み・見込みの大口がかなり確定し、タービン・工事の費用も認可で回収される。重なる確率は 10 年でも 1 割弱。
やや楽観 22% やや楽観:収益基盤は年 7.5〜8.5% で伸び、実現 ROE は許可に近い 利益 98 億ドル · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 180.73 ドル1,404 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 2,466 億ドル(カロライナ 1,249・フロリダ 588・中西部 440・ガス 189)。会社の計画(年 9.6%)は 2030 年以降に鈍り、データセンターの契約は計画の 8 割が実現する。デューク・エナジー・カロライナズの料金案件は 2 年ごとに許可 ROE 9.8% 近くで通り、規制ラグは小さい。営業利益は約 189 億ドル、純利益は約 98 億ドル(2025 年から年 7%)。増資は 10 年で約 220 億ドル、配当は約 480 億ドル、正味の還元は約 245 億ドル。倍率は 正当化 PER 15.9 倍に対して 14.3 倍(9 割)に置いた(許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9 割)。
- カロライナ(デューク・エナジー・カロライナズ+プログレス。ノースカロライナ・サウスカロライナ):数量 1,249(収益基盤(億ドル))× 価格 0.23(収益基盤あたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 285 億ドル・営業利益 102 億ドル。収益基盤 1249 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2278
- フロリダ(デューク・エナジー・フロリダ。ブルックフィールドが最大 19.7% を取得予定):数量 588(収益基盤(億ドル))× 価格 0.22(収益基盤あたりの売上)→ 売上 129 億ドル・営業利益 43 億ドル。収益基盤 588 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2192
- 中西部(デューク・エナジー・インディアナ・オハイオ・ケンタッキー):数量 440(収益基盤(億ドル))× 価格 0.23(収益基盤あたりの売上)→ 売上 102 億ドル・営業利益 30 億ドル。収益基盤 440 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2325
- ガス配給(ピードモント・ナチュラル・ガス+オハイオ・ケンタッキーのガス):数量 189(収益基盤(億ドル))× 価格 0.24(収益基盤あたりの売上(ガス代の転嫁を含む))→ 売上 46 億ドル・営業利益 16 億ドル。収益基盤 189 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2415
倍率:正当化 PER 15.9 倍(g 3.7%・RONIC 8.5%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.7%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 14.3 倍(9 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9 割。g の内訳:販売電力量の実質 +1.5〜2%(南東部の人口・データセンター・電化)× シェア 変わらず(地域独占)× 単位あたり収益 +2.3〜2.7%(物価 3.5% を下回る。手頃さの政治)で、名目の長期 g は 3.9〜4.5%(式の上限は 3.7%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:経営目標に近い達成が長期でも続く。規制の質が高い州(フロリダ・インディアナ)に重心があり、起きやすい上振れ。
中立 36% 中立:収益基盤は年 8% から 6.5% に鈍り、利益は年 5.5〜6% 利益 86 億ドル · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 148.98 ドル1,158 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 2,247 億ドル(年 6.8%。カロライナ 1,138・フロリダ 536・中西部 393・ガス 180)。2030 年までは年 8% 台で伸びるが、その後は次の 5 年の投資が小さくなり、データセンターの契約の一部が縮む(ERCOT が見通しを 3 割切り下げた前例)。許可 ROE は 9.8%、実現 ROE は 9.3% 前後。営業利益は約 169 億ドル、純利益は約 86 億ドル(2025 年の約 1.7 倍、年 5.6%)。借換えがすべて 5.75% 前後になり財務費用は約 65 億ドル。増資は 10 年で約 150 億ドル(年に時価総額の 1.5%)、配当は約 440 億ドルで、正味の還元は約 275 億ドル。倍率は 正当化 PER 15.7 倍に対して 13.5 倍(8.6 割)に置いた(規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.6 割)。
- カロライナ(デューク・エナジー・カロライナズ+プログレス。ノースカロライナ・サウスカロライナ):数量 1,138(収益基盤(億ドル))× 価格 0.23(収益基盤あたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 261 億ドル・営業利益 91 億ドル。収益基盤 1138 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2296
- フロリダ(デューク・エナジー・フロリダ。ブルックフィールドが最大 19.7% を取得予定):数量 536(収益基盤(億ドル))× 価格 0.22(収益基盤あたりの売上)→ 売上 117 億ドル・営業利益 38 億ドル。収益基盤 536 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2188
- 中西部(デューク・エナジー・インディアナ・オハイオ・ケンタッキー):数量 393(収益基盤(億ドル))× 価格 0.23(収益基盤あたりの売上)→ 売上 91 億ドル・営業利益 26 億ドル。収益基盤 393 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2321
- ガス配給(ピードモント・ナチュラル・ガス+オハイオ・ケンタッキーのガス):数量 180(収益基盤(億ドル))× 価格 0.24(収益基盤あたりの売上(ガス代の転嫁を含む))→ 売上 43 億ドル・営業利益 15 億ドル。収益基盤 180 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2367
倍率:正当化 PER 15.7 倍(g 3.7%・RONIC 8.3%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.5 倍(8.6 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.6 割。g の内訳:販売電力量の実質 +1.5〜2%(南東部の人口・データセンター・電化)× シェア 変わらず(地域独占)× 単位あたり収益 +2.3〜2.7%(物価 3.5% を下回る。手頃さの政治)で、名目の長期 g は 3.9〜4.5%(式の上限は 3.7%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:データセンターの需要は大きいが一部は縮み、料金の政治が許可 ROE を 9.8% に抑える標準的な筋書き。最も起きやすい。
やや悲観 22% やや悲観:許可 ROE が 9% 台前半に下がり、収益基盤は年 6% 利益 68 億ドル · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 114.99 ドル894 億ドル
2035 年末、手頃さの政治が許可 ROE を 9.3% 前後へ押し下げ、実現 ROE は 8.3%。投資の認可率が下がり、収益基盤は約 2,006 億ドル(年 5.5%。カロライナ 1,035・フロリダ 466・中西部 342・ガス 164)で計画を下回る。データセンターの契約は計画の 6 割にとどまり、ESA の取消が一部で出る。営業利益は約 142 億ドル、純利益は約 68 億ドル(年 3.1%)。増資は約 100 億ドル、配当は約 400 億ドルで、正味の還元は約 285 億ドル。ドミニオン・AEP・エンタージなど認可の質が高い州の同業に資金が集まり、デュークは「ROE の低い大型電力」として低く評価される。倍率は 正当化 PER 14.8 倍に対して 13.1 倍(8.9 割)に置いた(許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8.9 割)。
- カロライナ(デューク・エナジー・カロライナズ+プログレス。ノースカロライナ・サウスカロライナ):数量 1,035(収益基盤(億ドル))× 価格 0.24(収益基盤あたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 244 億ドル・営業利益 79 億ドル。収益基盤 1035 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.236
- フロリダ(デューク・エナジー・フロリダ。ブルックフィールドが最大 19.7% を取得予定):数量 466(収益基盤(億ドル))× 価格 0.22(収益基盤あたりの売上)→ 売上 105 億ドル・営業利益 31 億ドル。収益基盤 466 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2246
- 中西部(デューク・エナジー・インディアナ・オハイオ・ケンタッキー):数量 342(収益基盤(億ドル))× 価格 0.24(収益基盤あたりの売上)→ 売上 81 億ドル・営業利益 21 億ドル。収益基盤 342 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2383
- ガス配給(ピードモント・ナチュラル・ガス+オハイオ・ケンタッキーのガス):数量 164(収益基盤(億ドル))× 価格 0.25(収益基盤あたりの売上(ガス代の転嫁を含む))→ 売上 40 億ドル・営業利益 13 億ドル。収益基盤 164 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2456
倍率:正当化 PER 14.8 倍(g 3.7%・RONIC 7.8%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 8.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.1 倍(8.9 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8.9 割。g の内訳:販売電力量の実質 +1.5〜2%(南東部の人口・データセンター・電化)× シェア 変わらず(地域独占)× 単位あたり収益 +2.3〜2.7%(物価 3.5% を下回る。手頃さの政治)で、名目の長期 g は 3.9〜4.5%(式の上限は 3.7%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:ノースカロライナの政治と大型工事の費用が重なり、許可 ROE が下がり続ける。悲観の手前の筋書きとして 22%。
悲観 12% 悲観:構造的に負け、もう優良な規制電力ではなくなっている 利益 47 億ドル · PBR 0.9 倍 · 株価時価総額 60.71 ドル472 億ドル
2035 年末、新設の大型工事(SMR・大型原子力・ガス火力)で超過コストが出て、サザンのボーグル 3・4 号機のように一部が不認可になり、自己資本が毀損する。許可 ROE は 8.5%、実現 ROE は 6.5% 前後。データセンターの需要の下振れで契約は取消・縮小され、収益基盤は約 1,746 億ドル(年 5.0%)にとどまる。営業利益は約 111 億ドル、純利益は約 47 億ドル。ブルックフィールドはフロリダの 19.7% を保持し、非支配持分が利益を削る。増資は約 90 億ドル、配当は約 390 億ドルで、正味の還元は約 285 億ドル。倒産には至らず、規制資本の裏付けが床になり、今の自己資本の PBR 0.91 倍で測る。
- カロライナ(デューク・エナジー・カロライナズ+プログレス。ノースカロライナ・サウスカロライナ):数量 897(収益基盤(億ドル))× 価格 0.24(収益基盤あたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 211 億ドル・営業利益 63 億ドル。収益基盤 897 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2355
- フロリダ(デューク・エナジー・フロリダ。ブルックフィールドが最大 19.7% を取得予定):数量 404(収益基盤(億ドル))× 価格 0.23(収益基盤あたりの売上)→ 売上 91 億ドル・営業利益 25 億ドル。収益基盤 404 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2263
- 中西部(デューク・エナジー・インディアナ・オハイオ・ケンタッキー):数量 296(収益基盤(億ドル))× 価格 0.24(収益基盤あたりの売上)→ 売上 70 億ドル・営業利益 17 億ドル。収益基盤 296 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2378
- ガス配給(ピードモント・ナチュラル・ガス+オハイオ・ケンタッキーのガス):数量 149(収益基盤(億ドル))× 価格 0.24(収益基盤あたりの売上(ガス代の転嫁を含む))→ 売上 36 億ドル・営業利益 11 億ドル。収益基盤 149 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2404
倍率:悲観の床は今の自己資本に掛ける決まり(SCHEMA §1-3)なので、規制資本の裏付けである今の自己資本 518.4 億ドルに PBR 0.91 倍を掛けた。この筋書きの実現 ROE は 6.6%(純利益 47.0 億ドル ÷ 自己資本 716 億ドル)で、k 7.25% を下回るので、正しい PBR は ROE÷k = 0.91 倍が上限(ためた利益 1 ドルの価値は 1 ドル未満。SCHEMA §1-1)。PER に直すと約 10.0 倍。悲観の確率と利益の落ち込みで表したので、倍率でさらに下げてはいない。純利益は GAAP。
確率:大型工事の超過コスト・許可 ROE の引き下げ・大口契約の取消が重なる確率を 12%(サザンの 10% より厚く)と置いた。純負債が時価総額と並ぶ財務で、損失の吸収余地が小さいため。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
カロライナ(デューク・エナジー・カロライナズ+プログレス。ノースカロライナ・サウスカロライナ)
2 つの規制電力会社が両州の約 450 万件に電気を売る地域独占。原子力 6 サイト 11 基・ガス・石炭・水力を持つ。利益は収益基盤に許可 ROE を掛けて決まる。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 606 | 0.27 | 165 | 47 |
| 10 年後 中立 | 1,138 | 0.23 | 261 | 91 |
取り方:収益基盤 約 606 億ドル(推定。調整後利益 約 29 億ドル ÷(自己資本比率 約 52% × 実現 ROE 約 9.2%)で逆算)、売上 約 165 億ドル(推定)と置いた。会社の収益基盤の総額は二次情報で食い違うため、設備投資 1,030 億ドル・収益基盤の伸び 年 9.6% と整合する逆算値を使う。市場に照らすと、カロライナの収益基盤はサザンのジョージア(規制資本 約 440 億ドル)の約 1.4 倍の大きさ。競合はおらず、価格は委員会が決める(和解案は許可 ROE 9.8%・自己資本比率 53%)。利益が決まる速さは、ノースカロライナの 2 年ごとの料金案件の結果と、認可の早いジョージアやフロリダ(ネクステラの FPL は ROE 10.95%)との差で決まる。
フロリダ(デューク・エナジー・フロリダ。ブルックフィールドが最大 19.7% を取得予定)
フロリダ州の約 190 万件に電気を売る規制電力会社。人口流入が強く、ガス火力と太陽光の投資が続く。2026 年 3 月に少数持ち分の売却を開始。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 260 | 0.26 | 68 | 17 |
| 10 年後 中立 | 536 | 0.22 | 117 | 38 |
取り方:収益基盤 約 260 億ドル(推定。調整後利益 約 13 億ドル ÷(自己資本比率 約 50% × ROE 約 10%))、売上 約 68 億ドル(推定)。市場に照らすと、フロリダの最大手はネクステラの FPL(約 590 万件・許可 ROE 10.95%・自己資本比率 59.6%)で、デュークのフロリダは顧客数で FPL の約 3 分の 1、収益基盤では約 4 分の 1 と小さい。小さいぶん成長の余地は大きく、後期の見込み 15.4 GW の大半がフロリダ・インディアナにある。ただし 19.7% を渡すと利益の約 2 割は親会社の利益から外れる(筋書きで非支配持分として差し引く)。
中西部(デューク・エナジー・インディアナ・オハイオ・ケンタッキー)
インディアナ・オハイオ・ケンタッキーの電力と、オハイオ・ケンタッキーのガス配給。石炭からガス・再エネへ移行中で、インディアナにデータセンターの見込みが集中。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 200 | 0.28 | 55 | 12 |
| 10 年後 中立 | 393 | 0.23 | 91 | 26 |
取り方:収益基盤 約 200 億ドル(推定。調整後利益 約 9 億ドル ÷(自己資本比率 約 50% × ROE 約 9%))、売上 約 55 億ドル(推定)。市場に照らすと、インディアナの競合は NIPSCO(ナイソース)と AEP のインディアナ・ミシガン、オハイオは AEP とファーストエナジーで、許可 ROE は 9〜10%(推定)と同じ水準。デュークの中西部は利益率が低めで、実現 ROE が許可より 1 ポイント近く低い(規制ラグ)。
ガス配給(ピードモント・ナチュラル・ガス+オハイオ・ケンタッキーのガス)
ノースカロライナ・サウスカロライナ・オハイオ・ケンタッキーのガス配給。テネシーは 2026 年 3 月にスパイアへ売却済みなので除く。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(ガス代の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 96.0 | 0.29 | 28 | 8 |
| 10 年後 中立 | 180 | 0.24 | 43 | 15 |
取り方:収益基盤 約 96 億ドル(推定。テネシー売却分を除く。調整後利益 約 5.5 億ドル)、売上 約 28 億ドル(推定)。市場に照らすと、米国のガス配給は大半が地域独占の規制会社で、サザンのガス(約 440 万件)やアトモス・エナジー(Atmos Energy)が大手、デュークのガスは約 160 万件と小さい。冬の需要が稼ぎ時で、上期の利益が通期の大半を占める。
リスクと懸念
ノースカロライナの料金の政治(和解・司法長官・許可 ROE)
デューク・エナジー・カロライナズの包括和解(許可 ROE 9.8%・自己資本比率 53%・収益共有は 10.3% まで)とデューク・エナジー・プログレスの類似の和解は、2026 年 11 月中旬の命令待ちで、司法長官は 2 つの和解に署名していない。住宅料金は 2 年で約 9%(司法長官の修正値)上がる。全米の住宅料金は 2026 年に約 +5% で、手頃さへの反発が次の料金案件(2028 年以降)の許可 ROE に及ぶと、カロライナの利益が約 1 割減る。
新設のガス火力・原子力の費用と工期
設備投資 1,030 億ドルの多くは 2030〜31 年に稼働するガス火力・原子力・送電。タービンの価格は 2019 年比で約 3 倍、納期は 5〜7 年、新設の複合サイクルは 2,000〜2,200 ドル/kW。超過コストが認可されなければ直接の損失になる(サザンのボーグル 3・4 号機の前例)。新規の原子力は財務の保護が付くまで提案しないと会社は説明している。
借金と増資に頼る資金繰り
純有利子負債は約 908 億ドルで時価総額の 96%、自己資本比率 26%、FCF は 2025 年に −17 億ドル。FFO 対負債は 14.5% が目標で、金利 5% の世界で借換えは 5.75% 前後になり、10 年後に利払いが約 16 億ドルの減益要因になる。2026 年は ATM の約定 6 億ドル・株式ユニット 17.5 億ドル・ブルックフィールドの 28 億ドルで賄ったが、投資が 1 割膨らむと追加の増資が要る。
データセンターの需要の確度
7.8 GW は ESA の契約済みで確度が高いが、後期の見込み 15.4 GW は契約前で、重複した申し込みが多い可能性がある(ERCOT は 2030 年の見通しを 208 GW から 138 GW に切り下げた)。契約に最低請求と担保が付く(ノースカロライナの案は最低請求 75%)かどうかが、確約と見込みの違い。契約が縮むと、先行した発電・送電の投資の回収が料金に回るおそれがある。
フロリダ・カロライナの嵐と復旧費の回収
ハリケーンの復旧費は証券化・料金の上乗せで回収するが、認可に時間がかかり、運転資金(借金)が一時的に膨らむ。嵐が続く年は FFO 対負債が基準を割りやすい。保険の自己負担と、手頃さの批判が重なる点も注意。
ブルックフィールドへの持ち分の売却で利益が外へ出る
フロリダの最大 19.7%(総額 60 億ドル)を渡すと、将来のフロリダの利益の約 2 割は親会社の利益から外れる(10 年後の純利益で約 4 億ドル)。借金・増資を減らせるので資本コストの面では得だが、フロリダの成長が最も速いので、売った割合の価値は大きくなりうる。売値と今後の追加の売却条件を見る。
石炭灰・環境規制と原子力の運転延長
石炭灰の処理費用の一部がノースカロライナで不認可になった前例(2018 年前後)がある。原子力は運転期間の延長申請(ブランズウィックを年内)の承認が前提で、遅れれば代替の電源が要る。環境規制の強化・緩和はどちらにも動くので、ガス・原子力・再エネの混合の計画が政治で変わるリスクを持つ。
今後の分かれ目
- ノースカロライナ公益事業委員会が 2026 年 11 月中旬の命令で和解(許可 ROE 9.8%)を大きく削ったら
- カロライナの利益が 1 割前後減り、やや悲観・悲観の確率を 10 年で 5 ポイント上げる。逆に和解どおりなら、倍率の前提(ROE 9.8%)は保たれる。
- 後期の見込み 15.4 GW の過半が 2027 年上期までに ESA(最低請求・担保付き)になったら
- 収益基盤の伸びが年 9% 台に上がり、楽観・やや楽観の確率を上げる。会社が示す 50〜100 億ドルの上乗せ投資が確定する。
- 設備投資の計画が 1 割超過して認可されない費用が出たら
- 超過分は直接の損失で、サザンのボーグルの前例のように倍率も 2〜3 倍下げて見る。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- FFO 対負債が 14% を割り、格付け会社が見通しを下げたら
- 増資が前倒しで増え、時価総額への希薄化の分だけ還元が減る。10 年の正味の還元を 1〜2 割引く。
- 10 年国債の利回りが 5% を大きく超えて上がったら(6% 台)
- 借換えコストが利益を削り、倍率も縮む。資本コストの見方を高い側(借金・値決めの目安を悪い側)に寄せる。
- ブルックフィールドが追加の持ち分(最大 19.7% まで)を予定どおり買い進めたら
- 増資・借金を置き換えるので財務は軽くなる。フロリダの利益の約 2 割が外へ出る分は筋書きに入れ済み。
見ておくもの
- ノースカロライナの 2 つの料金案件の命令(2026 年 11 月中旬)と、許可 ROE・自己資本比率、司法長官の対応
- 大口料金(50 MW・負荷率 80%・最低請求 75%)の決定と、ESA の積み上がり(7.8 GW → 後期の見込み 15.4 GW の契約化)
- 設備投資 1,030 億ドルの進み具合と上乗せ(50〜100 億ドル)、新設のガス火力・原子力の費用と工期
- FFO 対負債(14.5% → 15%)、ATM・株式ユニット・ブルックフィールドの払込、株数の増加
- 住宅料金の前年比(全米の +5% が続くか)と、フロリダ・カロライナの嵐の復旧費
- 10 年国債の利回り(5% の維持)と借換えの金利
倍率と資本コストの決め方
今の PER 19 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決め、倍率は利益ベースの正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g)(RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k)、moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 15.7 倍(g 3.7%・RONIC 8.3%)の 8.6 割の 13.5 倍。今の値段に寄せていない。結論は、総合で今の時価総額の約 22% 下の「やや割高」。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 5% + β 0.91 × 5%。基本 8.0% + coc.quality -0.75% = 7.25%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 7.25%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。ノースカロライナの政治・大型工事の費用の個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益と確率(悲観を 10〜12%)で表す。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 7.25% では g 3.75% が上限。