結論
センプラ・エナジー(SRE)は、テキサス最大の送配電会社オンコア(持ち分 80.25%・持ち分法)、カリフォルニアの電力 SDG&E とガス SoCalGas、LNG などを持つインフラ事業 Sempra Infrastructure(SI)の 3 本を持つ公益の持株会社。2025 年の調整後利益は約 30.7 億ドル(GAAP は 18.0 億ドル。差は主に規制の不認可 4.6・売却予定資産の税 5.1・メキシコの為替 1.8 などの一時要因)。売上は 137 億ドル。
会社は 2026〜2030 年に約 650 億ドル(95% が公益、うちテキサス 59%)を投じ、持ち分比例の収益基盤を 570 億ドルから 970 億ドル(年 11%、テキサスは年 18%)へ伸ばし、調整後 EPS を年 7〜9% 伸ばす計画。SI の 45% を KKR 側へ約 100 億ドルで売り(2026 年 7〜9 月期に完了見込み)、約 90 億ドルの借金が連結から外れ、収入で普通株の新規発行を不要にする。
バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8.0% に quality +0.25% を足した 8.25%(規制公益の質は高いが、純負債が時価総額の 67% と重く山火事の裾もあるので debt +0.75%)。倍率は利益ベースの正当化 PER(帳簿の自己資本 ROE 10.6%・g 4.0%・k 8.25%・RONIC 9.4%)の上限が 10 年の中立で 13.6 倍。中立は上限の 0.90 倍の 12.2 倍(ROE が k を超える会社の中立は 1÷k の 12.1 倍を下回らせない)に置いた。弱みは、純有利子負債 363 億ドル・自己資本比率 28.5%・FCF −60 億ドルの財務の薄さと格付け Baa2(見通しネガティブ)、テキサスの待ち行列の確度、SI 売却と LNG の完工、そして山火事の裾(SB 254 の第 2 段)。事業の質は高いが借金で成長を買う構造で安全域は厚くない。筋書きを重ねた価値と今の時価総額の差は計算に任せる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。テキサスの送配電とカリフォルニアの電力・ガスは 10 年後も確実に残り、テキサスは州の人口と電化で収益基盤が最も伸びる側にある。堀は広がる側だが、料金も認可も委員会の手の中にあり、価格を決める力は無い。
次にオーナー利益を見る。2025 年の調整後利益 30.7 億ドルのうち、配当が約 16 億ドルで、FCF は −60 億ドル。不足は借金・資産売却で埋めており、取り出せる利益は小さい。10 年の中立では純利益の合計が約 480 億ドル、配当が約 201 億ドルで、残りの約 280 億ドルが収益基盤の増加(収益基盤 570→1,184 億ドル)の自己資本分に回る。
資本配分は規制の枠の中でよく、SI の持ち分を高い評価(株式価値 222 億ドル)で売って新株を避けた点は評価できる。一方で 650 億ドルの投資と、LNG(ECA・Port Arthur)の完工という経営の外の変数を抱える。安全域は、資本コストを 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)と置き、悲観を 10 年で 14% と厚くして確保した。確信度はテキサスの送配電では高く、カリフォルニアの山火事・LNG・待ち行列の確度では低い。わかりにくい部分を割り引いたうえで、優良な事業を適正〜やや安く買えるかは、最後は計算で判断する。
何で稼ぐ会社か
収益は 3 つの柱。
テキサス(Sempra Texas)はオンコアの送配電(持ち分 80.25%)とシャーランドの送電(50%)。オンコアは約 400 万件に電気を送る州内最大の送配電会社で、発電を持たず、料金は州の公益事業委員会(PUCT)が決める。2026 年 6 月に新しい基本料金が発効し、1〜6 月の差は 8 月から上乗せで回収する。2025 年の部門利益は 8.6 億ドル。オンコアは持ち分法なので連結の売上・営業利益には入らず、利益だけが持ち分法利益(2025 年に連結全体で 16.0 億ドル)として入る。オンコアの 5 か年の基本計画は 475 億ドル(約 7 割が送電、ペルミアン盆地の 765kV の約 50 億ドルを含む)、追加の機会が約 100 億ドル。
カリフォルニア(Sempra California)は SDG&E(サンディエゴの電力・ガス)と SoCalGas(南カリフォルニアのガス配給、全米最大級)で、収益基盤の伸びは年約 5%。2025 年の調整後利益は約 18.9 億ドル。2028 年の一般料金審査(GRC)が次の分かれ目で、山火事の責任は SB 254 の継続口座(最大 180 億ドル)に支えられている。
インフラ(SI)は LNG(Port Arthur LNG フェーズ 1・2、ECA LNG、Cameron LNG の持ち分)・メキシコの電力・パイプラインで、2025 年の調整後利益は約 5.8 億ドル。45% を売った後は持ち分 25% の持ち分法になる(残りは KKR 側 65%・ADIA 10%)。親会社の金利・本社費は約 −2.6 億ドルで、SI 売却収入で借金を返して縮める計画。収益基盤はテキサスが 6 割超になる(2030 年)。部門の収益基盤は会社が個別に公表していないため、テキサス 262・カリフォルニア 308 億ドル(持ち分比例・推定。2030 年にテキサス 6 割超・年 18% から逆算)で置いた。
優良さと弱いところ
堀は 4 層ある。第 1 は地域独占で、オンコアはテキサスの最大の送配電網(ERCOT の送電で必要な 320〜350 億ドルの半分超を建てる見込み)、SDG&E・SoCalGas は州の許認可で守られる。第 2 は大口負荷:オンコアの審査対象は 44 GW(基本負荷 27・試験負荷 17、担保は約 60 億ドル、待ち行列は全体で 298 GW)で、現在のピーク 31 GW を大きく上回る。第 3 は資金調達で、SI の 45% を約 100 億ドル(株式価値 222 億ドル・事業価値 317 億ドル)で売って新株を不要にし、エコガス・メキシコも約 5 億ドルで売る(資産を売って成長に回す点は AEP の送電持ち分の売却と同じ)。第 4 は規制との関係で、オンコアは 2026 年 4 月に料金の和解が承認された。
資本効率は ROE 5.8%(2025 年の GAAP。調整後は約 9.7%)と低く見えるが、自己資本の約半分がオンコアの持ち分(簿価 175 億ドル)で、その利益は料金が上がって回収が追いつく途中にある。弱点は 4 つ。第 1 に財務で、純有利子負債は時価総額の 67%、自己資本比率 28.5%、FCF は 2025 年に −60 億ドル、格付けは Baa2(見通しネガティブ)。第 2 にカリフォルニアの山火事・ガスの事故(2015 年のアリソ・キャニオンのガス漏れで 40 億ドル超の費用)、第 3 に手頃さの政治(住宅料金の上がり)、第 4 に LNG の完工(ECA は圧縮機の損傷で 2026 年第 4 四半期へ延期)。規制公益の中では、オンコアの成長力は上位だが、財務の余裕は同領域のサザン(ROE 13% 台)やデューク・エナジーより薄い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の電力需要は 2025 年に過去最高の 4,195 TWh で、EIA は 2027 年まで年約 +1.9% と見る。引っ張るのはデータセンターで、テキサスはその最大の舞台。ただし見込みと確約は別で、ERCOT 自身が 2030 年の見通しを 208 GW から 138 GW へ切り下げ、州知事が待ち行列の監査を命じた。オンコアの 44 GW は審査に残った分で、そのうち既に接続した約 8 GW は稼働が積み上がっている。
競合は需要の取り合いではなく、投資の認可を取り込む力の競争。テキサスの配電では AEP テキサス(収益基盤はオンコアの 3 分の 1 程度)・センターポイント・エナジー・ヒューストン・TNMP があるが、オンコアは最大で、765kV の送電計画を最も多く取り込む。同じ規制複合のサザン(契約済み 17 GW 超)・デューク・エナジー・AEP(69 GW を契約済みとする)と、データセンターの立地を取り合う。カリフォルニアは東海岸より料金への反発が強く、PG&E・エジソン・インターナショナルは山火事の訴訟を抱え、SDG&E の収益基盤は大きくないが、継続口座への株主負担は 3.87 億ドルにとどまる(SDG&E 分)。
LNG では、セニエール・エナジー(Cheniere)・ベンチャー・グローバル(Venture Global)・ネクストデケードが米国の輸出を競い、2026〜2028 年の新設で供給過剰の議論がある。SI は長期の液化契約(tolling)で稼ぐが、完工の遅れと費用超過が実行リスク。物価 3.5%・金利 5% の世界では借換えが利益を削り、センプラは 10 年で利払いが約 6 億ドル増える(brief.py の推定)。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、配当(年 2〜4% の増加を目標、2025 年は約 16.0 億ドルで調整後利益の約 52%)と、投資を営業 CF・SI の売却収入・借金で賄い、基本計画では普通株の新規発行を不要とする方針である。SI の 45% は 2025 年 9 月に KKR・CPP へ約 100 億ドルで売ると合意し、現金は完了時 47%・2027 年末までに 41%・残りは約 7 年後に入る。SI の借金約 90 億ドルが連結から外れる。2026 年の上期だけで借入 81 億ドルを発行・45 億ドルを返済し、配当 8.3 億ドルを払った。
M&A の歴史は、2018 年にオンコアを 95 億ドル超で買収(持ち分 80.25%)、2020〜2021 年に SI の少数持ち分を売却、チリ・ペルーの電力会社の売却(2020 年の純利益 39 億ドルは売却益を含む)、そして 2025〜2026 年の SI の 45% とエコガス・メキシコの売却がある。今後は規制公益の買い手になる可能性は低い。時価総額は約 520〜545 億ドルで、買収者にとっては大きい。自社株買いはほぼ無い。筋書きでは配当を正味の還元とし、増資は悲観の筋書きにだけ置いて還元から引いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
テキサスは全米で最も確かな成長の舞台で、オンコアの審査対象は 44 GW、担保は約 60 億ドル、既に約 8 GW が接続している。ERCOT は約 16 GW の新規需要を支える 70 億ドル超の送電を承認し、オンコアはその大半を建てる見込み。基本計画は 475 億ドル、追加が約 100 億ドルあり、計画は第 4 四半期に上がる見通し。収益基盤は 570 億ドルから 970 億ドルへ年 11%、追加まで入れれば年 13%。
SI の 45% を約 100 億ドル(EBITDA の高い倍率)で売り、残りの 25% は約 55 億ドルの価値で、さらに 2030 年以降に約 22 億ドルの現金が入る。これで新株が不要になり、1 株あたりの成長が薄まらない。2026 年上期の調整後利益は前年から 15% 増え、2026 年の見通しは維持。親会社の費用も SI 売却で縮む。
カリフォルニアも 2028 年の料金審査まで安定で、SB 254 の継続口座が山火事の流動性を支える。資本コスト 8.25% の規制公益で、利益が年 7〜9% 伸びても、正当化 PER の上限は 14 倍前後にとどまる。今の PER(調整後で 17〜18 倍)は上限より高いが、SI の売却で増資が要らず利益が年 7〜9% 伸びる間は、倍率が縮んでも株価の下げは限られる、と見る。
慎重な見方
借金で成長を買っている会社である。純有利子負債は 363 億ドルで時価総額の 67%、自己資本比率 28.5%、FCF は 2025 年に −60 億ドル、格付けは Baa2(ネガティブ)。借換えが 5.75% 前後になり、親会社の費用は −2.6 億ドルのまま。SI 売却は完了が 2026 年第 3 四半期に延びてきた取引で、売却収入の 4 割強は 2027 年末まで、残りは約 7 年後にしか入らない。
テキサスの確度は低い。待ち行列は 298 GW まで膨らんだが、ERCOT が見通しを切り下げ、州知事が監査を命じ、Batch Zero の送電審査は 2027 年 2 月以降まで続く。765kV は用地の所有者の抵抗がある。大口が縮めば、先行した送電の費用は一般の料金に回る。
カリフォルニアは山火事の裾が重い(2007 年の山火事の前例、PG&E は 2019 年に破産)。SB 254 の第 2 段(責任の社会化)は審議中で、継続口座も株主負担を求める。ガスの SoCalGas は電化の政策で需要が細り、アリソ・キャニオンの前例もある。ECA LNG は完工が遅れた。
k 8.25% でも正当化 PER の上限は 14 倍前後で、今の 17〜18 倍は借金と山火事を抱える会社には高すぎる。
どちらに重みを置いたか
テキサスの成長力と SI 売却による資金の見通しは強気の見方が上回るが、財務の薄さ・格付け・山火事・LNG の完工は慎重な見方が突いている。倍率は k 8.25%・帳簿の自己資本 ROE・g 4.0% の正当化 PER の 7〜10 割に置き(10 年の中立 12.2 倍=上限 13.6 倍の 0.90 倍で、1÷k の 12.1 倍を下回らない)、利益は会社目標(年 7〜9%)の下限をやや下回る所に置いた。確率は中立に寄せ、楽観・やや楽観の合計を 10 年 27%、やや悲観・悲観の合計を 10 年 37% とした。悲観を 10 年で 14% と厚くしたのは、カリフォルニアの山火事の裾とテキサスの縮み、SI の失敗のどれかで損失を吸収する余地が小さいため。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 99.29 ドル649 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 25.54 ドル167 億ドル)。 今の値に割り戻すと 62.12 ドル406 億ドル、今との差 −26.7%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 152.30 ドル996 億ドル | 31.51 ドル206 億ドル | +116.8% | +8.0% | 12.87 ドル84 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 127.40 ドル833 億ドル | 30.74 ドル201 億ドル | +86.6% | +6.4% | 31.63 ドル207 億ドル |
| 中立 | 36% | 110.27 ドル721 億ドル | 30.74 ドル201 億ドル | +66.4% | +5.2% | 50.77 ドル332 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 78.98 ドル516 億ドル | 20.19 ドル132 億ドル | +17.0% | +1.6% | 22.81 ドル149 億ドル |
| 悲観 | 14% | 37.72 ドル247 億ドル | 10.55 ドル69 億ドル | −43.1% | −5.5% | 6.76 ドル44 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 99.29 ドル649 億ドル | 25.54 ドル167 億ドル | +47.3% | +3.9% | 124.83 ドル816 億ドル |
今の株価時価総額 84.77 ドル554 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:テキサスの収益基盤が 2035 年までに 3.4 倍、SI の持ち分も育つ 利益 74 億ドル · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 152.30 ドル996 億ドル
2035 年末、Batch Zero の 44 GW の大半と 2030 年代前半の追加が稼働し、765kV の送電網が予定どおり入る。収益基盤は約 1,390 億ドル(テキサス 880・カリフォルニア 510。年 9.3%)。オンコアは認可が早く、規制ラグが小さい。インフラは Port Arthur LNG のフェーズ 1・2 と ECA が稼働して SI の株式価値が 520 億ドル級になり、持ち分 25% の利益が 9.1 億ドル。部門利益はテキサス 37.1 億ドル、カリフォルニア 30.6 億ドル、親会社 −2.5 億ドル。純利益は約 74.2 億ドル(2025 年の調整後の 2.4 倍)。増資は不要で、配当 約 206 億ドルが正味の還元。倍率は正当化 PER 14.1 倍(ROE 11.8%・g 4.0%・RONIC 10.0%・moat 普通)に対し 0.95 倍の 13.4 倍に置く。
- テキサス(オンコアの送配電 80.25%・シャーランド 50%。持ち分法):数量 880(収益基盤(持ち分比例・億ドル))× 価格 0.04(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 37 億ドル・営業利益 37 億ドル。テキサス:収益基盤 880 億ドル × 利益率 4.21%(部門利益 37.0 億ドル)
- カリフォルニア(SDG&E の電力・ガスと SoCalGas のガス配給):数量 510(収益基盤(億ドル))× 価格 0.06(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 31 億ドル・営業利益 31 億ドル。カリフォルニア:収益基盤 510 億ドル × 利益率 6.00%(部門利益 30.6 億ドル)
- インフラ(Sempra Infrastructure Partners。LNG・メキシコの電力・パイプライン):数量 130(SI の株式価値のうちセンプラの持ち分(億ドル))× 価格 0.07(持ち分の株式価値あたりの持ち分利益)→ 売上 9 億ドル・営業利益 9 億ドル。インフラ:SI の持ち分の株式価値 130 億ドル × 利益率 7.00%(部門利益 9.1 億ドル)
倍率:正当化 PER 14.1 倍(g 4.0%・RONIC 10.0%=k 8.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 11.8%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.4 倍(9.5 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割。
確率:大口が確約になり、送電・LNG の費用も認可と契約で回収される。重なる確率は 10 年でも 1 割未満の 7%。
やや楽観 20% やや楽観:テキサス年 11%・カリフォルニア年 4.9% の収益基盤、利益は会社目標の上寄り 利益 67 億ドル · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 127.40 ドル833 億ドル
2035 年末の収益基盤は約 1,295 億ドル(テキサス 800・カリフォルニア 495。年 8.6%)。会社計画(2030 年に 970 億ドル)の 2030 年以降は鈍るが、テキサスは大口の 8 割が稼働する。オンコアの認可は 2 年ごとに許可 ROE 近くで通る。SI は株式価値 440 億ドル級に育ち、持ち分 25% の利益 7.5 億ドル。部門利益はテキサス 32.8 億ドル、カリフォルニア 29.2 億ドル、親会社 −2.7 億ドル。純利益は約 66.8 億ドル(年 8.1%)。増資は不要で、配当 約 201 億ドル。倍率は正当化 PER 13.9 倍(ROE 11.2%・g 4.0%・RONIC 9.7%・moat 普通)に対し 0.90 倍の 12.5 倍に置く。
- テキサス(オンコアの送配電 80.25%・シャーランド 50%。持ち分法):数量 800(収益基盤(持ち分比例・億ドル))× 価格 0.04(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 33 億ドル・営業利益 33 億ドル。テキサス:収益基盤 800 億ドル × 利益率 4.10%(部門利益 32.8 億ドル)
- カリフォルニア(SDG&E の電力・ガスと SoCalGas のガス配給):数量 495(収益基盤(億ドル))× 価格 0.06(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 29 億ドル・営業利益 29 億ドル。カリフォルニア:収益基盤 495 億ドル × 利益率 5.90%(部門利益 29.2 億ドル)
- インフラ(Sempra Infrastructure Partners。LNG・メキシコの電力・パイプライン):数量 110(SI の株式価値のうちセンプラの持ち分(億ドル))× 価格 0.07(持ち分の株式価値あたりの持ち分利益)→ 売上 8 億ドル・営業利益 8 億ドル。インフラ:SI の持ち分の株式価値 110 億ドル × 利益率 6.82%(部門利益 7.5 億ドル)
倍率:正当化 PER 13.9 倍(g 4.0%・RONIC 9.7%=k 8.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 11.2%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.5 倍(9.0 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9.0 割。
確率:経営の目標に近い達成が長期でも続く。テキサスの規制は質が高く、起きやすい上振れで 20%。
中立 36% 中立:収益基盤は 2030 年まで年 10%、その後 6% 台に鈍り、利益は年 6.7% 利益 59 億ドル · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 110.27 ドル721 億ドル
2035 年末の収益基盤は約 1,184 億ドル(テキサス 710・カリフォルニア 474。10 年で年 7.6%)。2030 年までは年 9% 台(会社計画の年 11% には届かない)で、その後は大口の一部が縮み(ERCOT の見通し切り下げの前例)、765kV の用地の抵抗で工期が延びる。カリフォルニアの収益基盤の伸びは年 4.5% 前後。SI は株式価値 380 億ドル級で持ち分利益 6.2 億ドル。部門利益はテキサス 28.4 億ドル、カリフォルニア 27.5 億ドル、親会社 −3.0 億ドル。純利益は約 59.1 億ドル(2025 年の調整後の 1.9 倍、年 6.8%)。増資は不要(SI の売却収入と営業 CF)。配当は年 3% 増で 10 年 約 201 億ドルが還元。倍率は正当化 PER 13.6 倍(ROE 10.6%・g 4.0%・RONIC 9.4%・moat 普通)に対し 0.90 倍の 12.2 倍に置く。
- テキサス(オンコアの送配電 80.25%・シャーランド 50%。持ち分法):数量 710(収益基盤(持ち分比例・億ドル))× 価格 0.04(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 28 億ドル・営業利益 28 億ドル。テキサス:収益基盤 710 億ドル × 利益率 4.00%(部門利益 28.4 億ドル)
- カリフォルニア(SDG&E の電力・ガスと SoCalGas のガス配給):数量 474(収益基盤(億ドル))× 価格 0.06(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 27 億ドル・営業利益 27 億ドル。カリフォルニア:収益基盤 474 億ドル × 利益率 5.80%(部門利益 27.5 億ドル)
- インフラ(Sempra Infrastructure Partners。LNG・メキシコの電力・パイプライン):数量 95.0(SI の株式価値のうちセンプラの持ち分(億ドル))× 価格 0.07(持ち分の株式価値あたりの持ち分利益)→ 売上 6 億ドル・営業利益 6 億ドル。インフラ:SI の持ち分の株式価値 95 億ドル × 利益率 6.53%(部門利益 6.2 億ドル)
倍率:正当化 PER 13.6 倍(g 4.0%・RONIC 9.4%=k 8.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 10.6%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.2 倍(9.0 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られるが、ROE が k を超える会社の中立は 1÷k を下回らせないので、上限の 9.0 割。
確率:大口需要は大きいが一部は縮み、カリフォルニアの手頃さと山火事の議論が ROE を抑える。最も起きやすい。
やや悲観 23% やや悲観:山火事の費用と許可 ROE の引き下げで、年 5% 台の伸びにとどまる 利益 47 億ドル · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 78.98 ドル516 億ドル
2035 年末の収益基盤は約 1,030 億ドル(テキサス 600・カリフォルニア 430。年 6.1%)。カリフォルニアの山火事で SB 254 の第 2 段(責任の社会化)が不成立となり、継続口座への追加の株主負担と一部の不認可で 20 億ドルの減損が出る。ROE は料金審査で 9% 台前半に下がる。テキサスは待ち行列が縮み、765kV の一部が見送られる。SI は 270 億ドル級で持ち分利益 4.1 億ドル。部門利益はテキサス 22.8 億ドル、カリフォルニア 23.2 億ドル、親会社 −3.2 億ドル。純利益は約 46.9 億ドル(年 4.3%)。増資 60 億ドル(格付け維持のため)を入れ、配当 約 192 億ドルから引いた約 132 億ドルが正味の還元。倍率は正当化 PER 12.2 倍(ROE 8.4%・g 4.0%・RONIC 8.3%・moat 普通)に対し 0.90 倍の 11.0 倍に置く。
- テキサス(オンコアの送配電 80.25%・シャーランド 50%。持ち分法):数量 600(収益基盤(持ち分比例・億ドル))× 価格 0.04(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 23 億ドル・営業利益 23 億ドル。テキサス:収益基盤 600 億ドル × 利益率 3.80%(部門利益 22.8 億ドル)
- カリフォルニア(SDG&E の電力・ガスと SoCalGas のガス配給):数量 430(収益基盤(億ドル))× 価格 0.05(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 23 億ドル・営業利益 23 億ドル。カリフォルニア:収益基盤 430 億ドル × 利益率 5.40%(部門利益 23.2 億ドル)
- インフラ(Sempra Infrastructure Partners。LNG・メキシコの電力・パイプライン):数量 75.0(SI の株式価値のうちセンプラの持ち分(億ドル))× 価格 0.05(持ち分の株式価値あたりの持ち分利益)→ 売上 4 億ドル・営業利益 4 億ドル。インフラ:SI の持ち分の株式価値 75 億ドル × 利益率 5.47%(部門利益 4.1 億ドル)
倍率:正当化 PER 12.2 倍(g 4.0%・RONIC 8.3%=k 8.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 8.4%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 11.0 倍(9.0 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 9.0 割。
確率:山火事の第 2 段の不成立と料金審査の ROE 低下が重なる確率。AEP やデューク・エナジーより厚く 23%。
悲観 14% 悲観:山火事の責任が会社に戻り、テキサスの成長も止まり、もう優良な公益ではなくなっている 利益 33 億ドル · PBR 0.8 倍 · 株価時価総額 37.72 ドル247 億ドル
2035 年末、カリフォルニアで SDG&E の山火事(2007 年の山火事で約 24 億ドルを負担した前例)または SoCalGas の事故が大きな責任を生み、SB 254 の継続口座が尽きて自己資本が 80 億ドル毀損する(減損)。ROE は 8.5% を割る。テキサスは大口の契約の多くが取り消され、収益基盤は約 905 億ドル(テキサス 520・カリフォルニア 385。年 4.7%)。SI は ECA・Port Arthur の超過費用と LNG の供給過剰で 180 億ドル級、持ち分利益 1.8 億ドル。部門利益はテキサス 18.2 億ドル、カリフォルニア 17.7 億ドル、親会社 −4.5 億ドル。純利益は約 33.2 億ドルで 10 年ほぼ横ばい。増資 110 億ドルを低い株価で入れ、配当 約 180 億ドルを払う。倒産には至らず、規制資本の裏付けが床になり、減損後の自己資本の PBR 0.9 倍(谷の床 0.9〜1.1 倍の下限。ROE が k を下回るため)で測る。
- テキサス(オンコアの送配電 80.25%・シャーランド 50%。持ち分法):数量 520(収益基盤(持ち分比例・億ドル))× 価格 0.04(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 18 億ドル・営業利益 18 億ドル。テキサス:収益基盤 520 億ドル × 利益率 3.50%(部門利益 18.2 億ドル)
- カリフォルニア(SDG&E の電力・ガスと SoCalGas のガス配給):数量 385(収益基盤(億ドル))× 価格 0.05(収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後))→ 売上 18 億ドル・営業利益 18 億ドル。カリフォルニア:収益基盤 385 億ドル × 利益率 4.60%(部門利益 17.7 億ドル)
- インフラ(Sempra Infrastructure Partners。LNG・メキシコの電力・パイプライン):数量 45.0(SI の株式価値のうちセンプラの持ち分(億ドル))× 価格 0.04(持ち分の株式価値あたりの持ち分利益)→ 売上 2 億ドル・営業利益 2 億ドル。インフラ:SI の持ち分の株式価値 45 億ドル × 利益率 4.00%(部門利益 1.8 億ドル)
倍率:悲観の床は今の自己資本に掛ける決まり(SCHEMA §1-3)なので、規制資本の裏付けである今の自己資本 316.1 億ドルに PBR 0.78 倍を掛けた。この筋書きの実現 ROE は 6.4%(純利益 33.2 億ドル ÷ 自己資本 516 億ドル)で、k 8.25% を下回るので、正しい PBR は ROE÷k = 0.78 倍が上限(ためた利益 1 ドルの価値は 1 ドル未満。SCHEMA §1-1)。PER に直すと約 7.4 倍。悲観の確率と利益の落ち込みで表したので、倍率でさらに下げてはいない。純利益は GAAP。
確率:山火事の責任の戻り・テキサスの縮み・SI の失敗が重なる確率。純負債が時価総額の 7 割近い財務と山火事の裾が重いので、AEP の 13% よりやや厚い 14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
テキサス(オンコアの送配電 80.25%・シャーランド 50%。持ち分法)
テキサスの送配電オンコアが中心。発電を持たず、料金は PUCT が決める。大口データセンターの待ち行列(Batch Zero 44 GW)と 765kV の送電が成長の核。
| 数量収益基盤(持ち分比例・億ドル) | 価格収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 262 | 0.03 | 9 | 9 |
| 10 年後 中立 | 710 | 0.04 | 28 | 28 |
取り方:収益基盤は持ち分比例で約 262 億ドル(推定。会社は 2025 年の全社 570 億ドル、2030 年にテキサスが 6 割超・年 18% と開示し、そこから逆算)。オンコアは持ち分法で連結の売上・営業利益に入らないため、このモデルでは部門利益(2025 年 8.6 億ドル、GAAP と調整後が同じ)を売上と置き、利益率は 100%。利益 ÷ 収益基盤 3.3% は、規制 ROE の約 9.65% × 自己資本比率 約 57.5% × 持ち分 80.25% から親会社の借入金の金利を引いた値で、料金が 2026 年 6 月に改定された途中。競合と比べると、AEP テキサスの収益基盤はオンコアの約 3 分の 1、同領域の AEP・デューク・エナジーは垂直統合で収益基盤あたり利益は 4% 前後。
カリフォルニア(SDG&E の電力・ガスと SoCalGas のガス配給)
サンディエゴの電力・ガス SDG&E と、南カリフォルニアのガス配給 SoCalGas。収益基盤の伸びは年約 5%、山火事の責任と 2028 年の一般料金審査が分かれ目。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの部門利益(税引き後・利払い後) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 308 | 0.06 | 19 | 19 |
| 10 年後 中立 | 474 | 0.06 | 27 | 27 |
取り方:収益基盤は約 308 億ドル(推定。全社 570 億ドルからテキサスを引いた値)。2025 年の調整後利益は GAAP 14.3 億ドルに規制の不認可 4.6 億ドルを戻した約 18.85 億ドル(推定)で、利益 ÷ 収益基盤は 6.1%。売上は燃料・ガスの購入費の転嫁で別物なので、利益を売上と置く(利益率 100%)。収益基盤の伸び年約 5% は会社の開示。競合と比べると、同じ西部のエジソン・インターナショナル・PG&E は山火事で倍率が 9〜11 倍と低く、SDG&E は責任の上限が約 14 億ドルと小さく、2007 年の山火事(約 24 億ドルの負担)以降の地中化で比較的安定。
インフラ(Sempra Infrastructure Partners。LNG・メキシコの電力・パイプライン)
Port Arthur LNG フェーズ 1・2、ECA LNG、Cameron LNG の持ち分、メキシコの電力とパイプライン。45% を KKR 側へ売り、持ち分 25%(持ち分法)になる。
| 数量SI の株式価値のうちセンプラの持ち分(億ドル) | 価格持ち分の株式価値あたりの持ち分利益 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 155 | 0.04 | 6 | 6 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 0.07 | 6 | 6 |
取り方:2025 年はセンプラの持ち分約 70% を 100% 連結。株式価値 222 億ドル(KKR との取引時の評価)の 70%=約 155 億ドルに対し、調整後利益 約 5.75 億ドル(GAAP は −1.6 億ドル。売却予定資産の税 5.1・メキシコの為替 1.8 などを除く)で、持ち分 70%の利回り 3.7%(Port Arthur LNG が建設中で低い)。売却後の筋書きでは持ち分 25% × 株式価値(今の 222 億ドル=55.5 億ドル)に置き換える。競合と比べると、LNG の完工後の利益は Cheniere(セニエール・エナジー)に見る液化契約の固定料金型で、完工が収益の分かれ目。
リスクと懸念
カリフォルニアの山火事の責任
SB 254 の継続口座(最大 180 億ドル、株主負担 51 億ドルの固定+最大 39 億ドルの条件付き)は SDG&E の責任の上限を約 14 億ドルに抑えるが、第 2 段(責任の社会化)は審議中。2007 年の山火事(SDG&E の負担約 24 億ドル)の前例があり、PG&E は 2019 年に破産した。責任が会社に戻れば自己資本が毀損し、10 年の悲観で 80 億ドルの減損を置いた。
借金と格付け(Baa2・ネガティブ)
純有利子負債は 363 億ドルで時価総額の 67%、自己資本比率 28.5%、FCF は 2025 年に −60 億ドル。SI の売却収入(現金は完了時 47%・2027 年末までに 41%)が遅れると、親会社の借金が膨らみ、ムーディーズの格下げで借換えの金利が上がる。同社は 2027 年初に見直し予定。
テキサスの大口負荷の確度
オンコアの審査対象 44 GW(待ち行列は 298 GW)は、州知事の監査・ERCOT の見通し切り下げ・Batch Zero の送電審査(2027 年 2 月以降まで)で時期がずれうる。大口が縮めば先行した送電の費用が一般の料金に回り、収益基盤の伸びが年 18% から一桁に落ちる。
765kV 送電の許認可と費用
ペルミアン盆地の 765kV(基本計画の約 50 億ドル)は用地の所有者の反対があり、認可と工期が遅れうる。タービン・変圧器の価格上昇(2019 年比 約 3 倍)で費用が膨らむと、超過分が認可されない恐れがある。
LNG の完工と価格(SI の 25%)
ECA LNG フェーズ 1 は圧縮機の損傷で 2026 年第 4 四半期へ延期。Port Arthur LNG フェーズ 1・2 は予定どおりとされるが、費用超過が起きれば持ち分 25% の利益が下がる。米国の LNG 輸出の新設が重なり、供給過剰の議論もある。
手頃さの政治とカリフォルニアの一般料金審査
2028 年の一般料金審査(SDG&E・SoCalGas)で許可 ROE が削られると、カリフォルニアの利益 約 19 億ドルが 1 割動く。住宅料金の上がり(2026 年 +5%)の反発が全米で強まる。ガスの SoCalGas は電化の政策で需要が細りうる(アリソ・キャニオンの 40 億ドル超の費用の前例)。
売却と一時要因が多く、利益の質を読みにくい
2025 年は GAAP 18.0 億ドルと調整後 30.7 億ドルの差が大きく、規制の不認可・為替・売却に関わる税がある。調整後の 7〜9% の伸びを、GAAP の利益で確認する必要がある。SI の売却で連結の売上・営業利益の形も変わる。
今後の分かれ目
- オンコアの 44 GW の半分以上が最終契約(担保付き)になり、Batch Zero の送電審査が 2027 年前半に終わったら
- テキサスの収益基盤が年 15% 台を保ち、楽観・やや楽観の確率を 10 年で 5 ポイント上げる。逆に半分が消えれば、10 年のテキサスの収益基盤は 710 億ドル級でなく 520 億ドル級に落ちる。
- SB 254 の第 2 段(責任の社会化)が成立し、SDG&E の責任の上限が据え置かれたら
- カリフォルニアの山火事の裾が小さくなり、10 年の悲観の確率を 14% から 9% に下げる。不成立なら、やや悲観の確率を 5 ポイント上げる。
- SI の 45% 売却が 2026 年 7〜9 月期に完了し、親会社の借金が 90 億ドル分減ったら
- 親会社の費用が 2.5 億ドル以下に縮み、増資の必要が消える。完了が 2027 年にずれれば、10 年のやや悲観の確率を 3 ポイント上げ、増資 15 億ドルを置く。
- ムーディーズが 2027 年初に Baa2 の見通しを安定に戻したら
- 借換えの金利の上乗せが縮み、quality の debt の項を下げて見る。格下げなら、悲観の確率を 3 ポイント上げ、増資を前倒しにする。
- ECA LNG フェーズ 1 が 2026 年第 4 四半期に完工し、Port Arthur フェーズ 1 が予定どおり 2027〜28 年に稼働したら
- SI の持ち分利益(25%)が 5 億ドル台に乗り、10 年の楽観・やや楽観の確率を 3 ポイント上げる。遅れて費用超過が出れば、持ち分利益を 2〜3 億ドルに置く。
- 10 年国債が 6% 台まで上がったら
- 借換えコストが利益を削り、倍率も縮む。k を quality の高め(debt を厚く)に寄せ、10 年のやや悲観の倍率 11.0 倍を中立に置く。
見ておくもの
- オンコアの Batch Zero(44 GW)の最終契約・担保の積み上がりと PUCT の判断、州知事の待ち行列の監査
- オンコアの資本計画の更新(2026 年第 4 四半期の決算説明。基本計画 475 億ドルの上振れ)と 765kV の認可・用地
- SI の 45% 売却の完了日・現金の入金(完了時 47%)と親会社の借金の削減額
- ムーディーズの格付け見直し(2027 年初)と FFO 対負債の余裕(基準より 50〜150 ベーシスポイント上)
- SB 254 の第 2 段(山火事の責任)と 2028 年の一般料金審査(SDG&E・SoCalGas)の申請内容と ROE
- ECA LNG の完工(2026 年第 4 四半期)と Port Arthur LNG フェーズ 1・2 の進み具合
- 10 年国債の利回り(5% の維持)と借換えの金利
倍率と資本コストの決め方
今の PER(GAAP で 29.6 倍・調整後で 17〜18 倍)を見る前に、収益基盤を数量、収益基盤あたりの部門利益を価格として 3 部門を積み、親会社の費用を引いて純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE − k)(moat 普通・残る割合 1/2)で上限を出し、その 7〜10 割に置いた。k は基本 8.0% に quality +0.25% を足した 8.25%。10 年の中立は ROE 10.6%・g 4.0%・RONIC 9.4% で正当化 PER 13.6 倍、これに対し 12.2 倍(0.90 倍)。10 年の楽観は正当化 PER 14.1 倍に対し 13.4 倍(0.95 倍)、やや悲観は 12.2 倍に対し 11.0 倍(0.90 倍)に置いた。ROE は帳簿の自己資本 ROE(のれんは除かない)。ROIC(2025 年 約 6.3%)は参考で、倍率は純利益に掛け伸びに要る元手は自己資本分なので自己資本 ROE を使った。結果は総合で今の時価総額に対し -26%(やや割高)で、今の株価に寄せて逆算していない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β 0.91 × 5%。基本 8.0% + coc.quality +0.25% = 8.25%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 8.25%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。山火事・大口契約の確度・LNG の完工という個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益と確率(悲観を 11〜14%)で表す。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 8.25% では g 4.00% が上限。