株譜
AI 銘柄分析 · 公益事業 · 試作

コンソリデーテッド・エジソン ED

ニューヨーク市の電気・ガス・蒸気を独占する規制公益。堀は深いが料金が政治の標的で、財務は薄め。値打ちは計算が決める

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)83.41 ドル308 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)116.3 ドル430 億ドル差 −28.3%
10 年後から見ると やや割高 価値 83.41 ドル308 億ドル · 差 −28.3% · 期待の年率 +2.9%
期待の年率リターン(10 年)+2.9%資本コスト比 −4.3 pt
推定の資本コスト7.2%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.2% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

コンソリデーテッド・エジソン(ED)は、ニューヨーク市とウェストチェスター郡に電気・ガス・蒸気を届ける CECONY と、近郊の電力会社 O&R を持つ規制公益の持株会社。2023 年に再エネ事業を売り、2026 年にはパイプライン(MVP)の持ち分も売って、ほぼ全部が地域独占の送配電になった。2025 年の売上は約 169 億ドル、GAAP の純利益は約 20 億ドル。

会社は 2026〜2030 年に約 370〜390 億ドル(10 年で約 720 億ドル)を投じ、レートベース(認可された投資の残高)を 2025 年末の約 464 億ドルから 2030 年に約 672 億ドルへ増やし、調整後の 1 株利益を 5 年で年 6〜7% 伸ばす計画。2026 年 1 月に州の委員会が 3 年の料金計画(許可 ROE 9.4%・自己資本比率 48%)を承認し、2026 年の見通しは据え置かれた。

バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8.0% に quality -0.75% を足した 7.25%(公益の規制事業で需要と値決めは安定、借金は重い)。倍率は利益ベースの正当化 PER(moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 14.9 倍(g 3.7%・RONIC 7.9%)の 8.5 割の 12.7 倍。今の GAAP の PER 19.9 倍は、この水準を上回る。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 26% 下で、結論は「やや割高」である。弱みは、料金が政治の標的で(ニューヨーク市長と大統領が引き下げを要求)価格を決める力がレートベース型の中でも弱いこと、電気の販売量がほぼ伸びないこと、都市ガスが電化で座礁しうること、純負債 268 億ドルと毎年 11〜12 億ドルの増資。事業の質は高く、需要の変動に強いが、成長を借金と増資で買うので、確率は中立に寄せつつ悲観を厚めに置き、今の時価総額との差は計算に任せる。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。ニューヨーク市の電気・ガス・蒸気の独占、地下配電網は、電化で需要が増える今後 10 年も確実に残り、堀は広がる側にある。ただし堀の大部分は州の委員会の手にあり、価格を決める力は弱い。許可 ROE 9.4% は同業の 9.8% 前後を下回り、市長と大統領が料金の引き下げを求める州では、さらに削られる懸念が残る。

次にオーナー利益を見る。2025 年の純利益は約 20 億ドルで、配当は約 12 億ドル、FCF はほぼゼロ。不足は借金・増資で埋め、経営者が自由に取り出せる利益は小さい。10 年の中立では、増資の払い込み(約 66 億ドル)を引いた正味の還元は約 110 億ドルで、純利益の合計(約 306 億ドル)の 3 割強にとどまる。レートベースが年 6〜7% 伸びても、株主の利益の増加は年 4〜5% にとどまる。

資本配分は規制の枠の中で堅実で、売却益で増資を抑えた点はよい。ただし 5 年で約 370〜390 億ドルの投資が、工期・費用・認可の失敗を抱え込む。安全域は、資本コストを 7.25%(基本 8.0% + quality -0.75%)と置き、悲観の確率を 10 年で 14% と厚くして確保した。確信度は、地域独占と配当の継続では高く、委員会の態度、ガスの将来、工事費では低い。安全域では、利益ベースの正当化 PER 14.9 倍(g 3.7%・RONIC 7.9%・k 7.25%・moat=normal)に対して、10 年の中立を 12.7 倍に置いた。今の PER 19.9 倍はこれより高く、安全域はない。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 26% 下で、結論は「やや割高」である。

何で稼ぐ会社か

事業は規制公益で、CECONY(電気・ガス・蒸気)と O&R に分かれる(レートベースと売上の割り振りは推定)。CECONY の電気はニューヨーク市のほぼ全域とウェストチェスター郡で、世界でも最大級の地下配電網(送配電線の約 70% が地中)を持つ。ガスはマンハッタン・ブロンクスなどで約 100 万件超、蒸気はマンハッタンの暖房・冷房向けで全米最大の蒸気システム。O&R はニューヨーク州南部・ニュージャージー・ペンシルベニアの小さな電力・ガス会社。利益は「レートベース × 自己資本比率 × 許可 ROE」で決まり、燃料・購入電力は料金に転嫁されるので、売上と利益は別物である。

2026 年 1 月に承認された CECONY の電気・ガスの料金計画(2026〜2028 年)は、許可 ROE 9.4%・自己資本比率 48%、平均の請求額は電気が年 +3.5%・+3.2%・+3.1%、ガスが +4.4%・+5.7%・+5.6%。会社の当初の要求(電気 +19%・ガス +13% の一回限りの増額)は、公的な反発を受けて追加の増収が電気で約 34%・ガスで約 60% 縮められた合意案になった。蒸気は 2026 年 11 月から 3 年の合意案(許可 ROE 9.5%)が承認待ち。販売量の増減は料金の収入に影響しにくい仕組み(デカップリング)で守られる。

成長の源は、需要ではなく投資の質。信頼性の不足は 2030 年に約 250 MW・2035 年に約 1,325 MW(会社の予備評価)、変電所は 2035 年までに 28 か所の新設、老朽配管の交換、暑さと高潮(2012 年のハリケーン・サンディで変電所が浸水した)への備えが投資を支える。大口の需要の中心はデータセンターではなく、暖房と車の電化(新規の大口要望の 44% が EV 充電か電気暖房)である。2026 年 1〜6 月は MVP の売却益(税引き後 1.34 億ドル)で GAAP が膨らんだが、調整後の見通しは据え置かれた。

優良さと弱いところ

堀は 3 層ある。第 1 は地域独占で、競合する電力会社はいない。第 2 は、街の下を走る送配電網と変電所を置き換えにくいこと。ニューヨーク市の地下配電網は新規参入が事実上できない資産で、事業の存続に疑いは無い。第 3 は、州の委員会との関係だが、ここが最も弱い。委員会は 2026 年 1 月に料金計画を承認したが、会社の当初の要求は大きく縮められ、市長と大統領がそろって引き下げを求めた。サザンやデュークのように認可が早く許可 ROE が高い州ではなく、手頃さに最も敏感な州のひとつにいる。

資本効率は、帳簿の自己資本 ROE が調整後で約 8.5〜9%(GAAP は 2025 年 8.4%)と、許可 ROE 9.4% を下回る。理由は、帳簿の自己資本がレートベースの約 52〜56% あり、料金の前提の 48% より厚いこと、規制のラグ(投資から料金に反映されるまでの遅れ)があること。許可を超える利益は顧客と分け合う仕組みもあり、上振れの余地は小さい。配当は 52 年連続で増やし(四半期 88.75 セント、2026 年に +4.4%)、配当性向の目標は調整後利益の 55〜65%。

弱点は財務で、純有利子負債は 268 億ドル(時価総額の約 66%)、自己資本比率は 32%、FCF は 2025 年にほぼゼロ、投資の不足は借金と増資(2026 年は最大 11 億ドル、2027 年は約 12 億ドル)で埋める。借り換えの金利が約 5.75% に上がる影響は、brief の推定で 10 年後に利払い 5 億ドル(税前)で、大半は料金に織り込まれる。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

米国の電力需要は 2025 年に過去最高の約 4,195 TWh で、EIA は 2026〜2027 年に年 +1.9% と見る(業界ノート)。伸びの中心は商業用(データセンター)だが、ニューヨーク市にはそれが少ない。CECONY の電気の販売量は 2000 年代後半から横ばいで、省エネと屋上太陽光が電化の伸びを打ち消してきた。会社自身が、近い将来の需要の伸びは建物と車の電化が中心でデータセンターや大口の工業ではないと説明しており、年 +0.5〜1% を中立に置く。サザン(契約済み 17 GW 超)やエクセル・エナジー(XEL、契約済み・建設中 約 2 GW)が大口契約を積み上げるのに対し、エジソンの成長は需要でなく、古い設備を新しくするレートベースの積み上げで決まる。

競争の形は州の委員会との交渉で、同じ送配電中心のエクセロン(許可 ROE が高く認可が速い)、パブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PSEG)、近隣のナショナル・グリッドと並べると、ED は需要の伸びが最も小さく、料金の政治が最も厳しい。住宅料金は 2026 年に全米で約 +5%、ニューヨークは前年比 +12% と全米でも上がり幅が大きく、物価 3.5% の世界でも 5% 超の上がりは許可 ROE と投資の認可を政治の標的にする。

州の脱炭素法(2040 年に電力のゼロ排出)と市の建物排出規制は、電気の需要を押し上げる一方、ガスの配管を座礁資産にする。ガスタービンの価格は 2019 年比で約 3 倍・納期 5〜7 年だが、ED はニューヨーク市内に新しい発電所をほとんど持たないので、新設ガスのコスト増の直撃は受けにくい。M&A では、ネクステラ・エナジー(NEE)によるドミニオンの買収合意など再編が動くが、ED は時価総額約 415 億ドルと州の政治を考えると、買う側にも買われる側にもなりにくい。

資本政策と M&A

資本政策の中心は、配当(52 年連続の増配、配当性向の目標 55〜65%)と、借金・増資による資金調達。2026 年は長期債 最大 32 億ドル・普通株 最大 11 億ドル、2027 年は債 最大 30 億ドル・株 約 12 億ドル(検索の要約・会社原文は未確認)。2026 年第 1 四半期には先渡し売却で 7 百万株を決済している。会社全体の時価総額で書くので、増資は払い込みを還元から引いて織り込んだ。

M&A の歴史では、2023 年に再エネ事業をドイツの RWE に売り(約 68 億ドル)、2026 年に MVP の持ち分(約 6.6%、売却額 約 3.6 億ドル)を売り、ガス貯蔵のホノイエは 500 万ドルで売却を合意(州の承認待ち)。事業を送配電に絞る方向で、再編の波に加わる気配は無い。資本配分は規制の枠の中で堅実で、売却益が増資の一部の代わりになった点は評価できる。一方、レートベースの年 8% 前後の拡大は、許可 ROE 9.4% が資本コスト 7.25% を上回る限り価値を生むが、委員会が許可 ROE や投資の認可を削ると効果が薄れる。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

計画の確度が高い。会社は 2026 年の見通しを据え置いたまま、2026〜2030 年に約 370〜390 億ドルを投じ、レートベースを年 8.6〜8.8% で増やす計画を持つ。許可 ROE 9.4% と自己資本比率 48% の 3 年計画が 2026 年 1 月に承認され、2028 年末までの料金が決まっているので、利益の見通しは同業の中でも立ちやすい。

電気の需要は、データセンターに頼らず、建物の暖房と車の電化という確実な流れで伸びる。新築は 20〜25% 多くの電力を要し、信頼性の不足は 2030 年に約 250 MW・2035 年に約 1,325 MW と見込まれ、変電所 28 か所の新設が認可の土台になる。デカップリングで販売量の増減に影響されず、天候や需要の変動に強い。MVP の売却で増資の一部を賄えたことも財務を助ける。

資本コスト 7.25% の規制公益で、レートベースが年 8% 前後伸びて ROE が 9% 近くなら、PER は正当化 PER の上限(15 倍前後)近くまで成り立つ。52 年連続の増配は、配当を軸にした長期保有の需要が厚いことを示す。今の PER 19.9 倍は 2025 年の純利益で測った値で、2026 年の調整後の見通し(約 22.7 億ドル)に対しては約 18 倍に下がる。

慎重な見方

政治が最大の敵である。ニューヨークは全米でも料金の上がり幅が大きい州で、市長と大統領が料金の引き下げを求め、市・州の公職者 70 人超が棄却を求める書簡を出した。2026 年の承認は、当初の要求より追加の増収が電気で約 34%・ガスで約 60% 小さい内容で、2029 年以降の次の料金改定では許可 ROE がさらに 9% 台前半へ削られうる。ジェフリーズは今後の料金改定の弱材料と見る。2025 年に 19 万世帯超が供給停止、60 日超の滞納が 41 万世帯・8.7 億ドルと、支払い能力の問題も大きい。

財務が薄い。純有利子負債は 268 億ドルで時価総額の約 66%、毎年 11〜12 億ドルの増資と 30 億ドル超の長期債の発行が続き、借り換えの金利が約 5.75% に上がる。帳簿の自己資本はレートベースの 52〜56% あり、許可を超えて厚いため ROE は 8.5〜9% 止まり。電気の販売量は何年も伸びていない。

ガス事業は座礁しうる。市の法律は新築のガスを禁じ、州の法律は 2040 年の電力のゼロ排出を求め、ガスのレートベース約 92 億ドルは、使う人が減るほど 1 件あたりの負担が増える。今の PER 19.9 倍は、利益ベースの正当化 PER(15〜16 倍)より高く、金利 5% の世界では高すぎ、成長が小さい ED がエクセル・エナジーなどに並ぶ倍率になる理由が無い。

どちらに重みを置いたか

規制事業の質と守りは強気の見方が上回るが、政治・財務・ガスの座礁は慎重な見方が突いている。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた(10 年の中立 12.7 倍=正当化 PER 14.9 倍の 8.5 割)。今の PER を見て寄せていない。確率は中立に寄せ、楽観・やや楽観の合計を 10 年 25%、やや悲観・悲観の合計を 10 年 38% とした。悲観を 10 年で 14% と厚くしたのは、料金の政治と、ガス資産の座礁、薄い財務が同時に起きた時、損失を吸収する余地が小さいため。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 26% 下で、結論は「やや割高」である。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 123.19 ドル456 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 31.55 ドル117 億ドル)。 今の値に割り戻すと 83.41 ドル308 億ドル、今との差 −28.3%、 期待の年率 +2.9%(資本コスト 7.2%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 6% 185.48 ドル686 億ドル 25.69 ドル95 億ドル +81.6% +6.1% 12.67 ドル47 億ドル
やや楽観 19% 153.16 ドル566 億ドル 28.39 ドル105 億ドル +56.2% +4.6% 34.50 ドル128 億ドル
中立 37% 131.10 ドル485 億ドル 29.75 ドル110 億ドル +38.3% +3.3% 59.51 ドル220 億ドル
やや悲観 24% 107.71 ドル398 億ドル 36.51 ドル135 億ドル +24.0% +2.2% 34.61 ドル128 億ドル
悲観 14% 61.49 ドル227 億ドル 34.61 ドル128 億ドル −17.3% −1.9% 13.45 ドル50 億ドル
加重平均100% 123.19 ドル456 億ドル31.55 ドル117 億ドル +33.1% +2.9% 154.74 ドル572 億ドル

今の株価時価総額 116.26 ドル430 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。

楽観 6% 楽観:電化が加速し、認可が順調で、レートベースは 10 年で年 7.5% 利益 47 億ドル · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 185.48 ドル686 億ドル

2035 年末、レートベースは約 958 億ドル(2026 年末から年 約 7.6%。2030 年まで年 約 9.4%)。建物の暖房と車の電化が想定より速く進み、電気の販売量は年 +1.2%、変電所の新設と地下網の更新が認可され、許可 ROE 9.4〜9.8% が保たれる。レートベース比の純利益率は 5.0%、実現 ROE は約 9.4% に上がる。純利益は約 46.5 億ドル(2025 年の約 2.3 倍、1 株では年 約 6.3%)。増資は 10 年で約 100 億ドル、配当は約 195 億ドルで、正味の還元は約 95 億ドル。ガスは電化で縮むが、償却を早める認可で費用が回収される。倍率は 正当化 PER 15.5 倍に対して 14.8 倍(9.5 割)に置いた(規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割)。

  • CECONY 電気(ニューヨーク市・ウェストチェスター):数量 702(レートベース(億ドル))× 価格 0.26(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 180 億ドル・営業利益 51 億ドル。収益基盤(レートベース)702 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2571
  • CECONY ガス:数量 147(レートベース(億ドル))× 価格 0.43(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 63 億ドル・営業利益 10 億ドル。収益基盤(レートベース)147 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.4254
  • CECONY 蒸気:数量 15.1(レートベース(億ドル))× 価格 0.56(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。収益基盤(レートベース)15 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.5603
  • O&R(オレンジ・アンド・ロックランド):数量 93.3(レートベース(億ドル))× 価格 0.21(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 20 億ドル・営業利益 7 億ドル。収益基盤(レートベース)93 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2090

倍率:正当化 PER 15.5 倍(g 3.7%・RONIC 8.2%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.2%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 14.8 倍(9.5 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割。g の内訳:販売電力量 +0.7%(建物・車の電化と省エネの差)× シェア 変わらず(地域独占)× 料金 +3.2%(物価 3.5% より低い。手頃さの政治)で、名目の長期 g は 3.9%。純利益は GAAP の考え方。

確率:電化の加速と料金の政治の落ち着きが重なる。10 年でも重なる確率は 1 割未満の 6%。成長が大口でなく電化に頼るので、同業の楽観より低めにした。

やや楽観 19% やや楽観:計画どおり進み、レートベースは 10 年で年 6.5% 利益 41 億ドル · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 153.16 ドル566 億ドル

2035 年末、レートベースは約 874 億ドル(2026 年末から年 約 6.5%。2030 年まで年 約 8.2%)。10 年の資本計画(約 720 億ドル)が概ね認可され、2030 年以降は更新と電化の投資に移る。電気の販売量は年 +0.9%、許可 ROE は 9.4% が続き、レートベース比の純利益率は 4.86%(実現 ROE 約 9.0%)。純利益は約 41.4 億ドル(2025 年の約 2.0 倍、1 株では年 約 5.3%)。増資は 10 年で約 78 億ドル、配当は約 183 億ドルで、正味の還元は約 105 億ドル。ガスの座礁は償却の前倒しで吸収される。倍率は 正当化 PER 15.2 倍に対して 13.7 倍(9 割)に置いた(許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9 割)。

  • CECONY 電気(ニューヨーク市・ウェストチェスター):数量 641(レートベース(億ドル))× 価格 0.28(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 176 億ドル・営業利益 45 億ドル。収益基盤(レートベース)641 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2751
  • CECONY ガス:数量 134(レートベース(億ドル))× 価格 0.46(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 61 億ドル・営業利益 9 億ドル。収益基盤(レートベース)134 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.4566
  • CECONY 蒸気:数量 13.7(レートベース(億ドル))× 価格 0.60(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。収益基盤(レートベース)14 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.6026
  • O&R(オレンジ・アンド・ロックランド):数量 85.2(レートベース(億ドル))× 価格 0.22(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 19 億ドル・営業利益 7 億ドル。収益基盤(レートベース)85 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2238

倍率:正当化 PER 15.2 倍(g 3.7%・RONIC 8.0%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 8.8%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.7 倍(9 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9 割。g の内訳:販売電力量 +0.7%(建物・車の電化と省エネの差)× シェア 変わらず(地域独占)× 料金 +3.2%(物価 3.5% より低い。手頃さの政治)で、名目の長期 g は 3.9%。純利益は GAAP の考え方。

確率:会社の 10 年計画(約 720 億ドル)が概ね認可され、許可 ROE も保たれる。強気の見方が通る確率として 19%。

中立 37% 中立:レートベースは 10 年で年 6%、利益は年 5% 利益 38 億ドル · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 131.10 ドル485 億ドル

2035 年末、レートベースは約 828 億ドル(2026 年末から年 約 5.9%。2030 年までは年 約 7.5% で約 659 億ドル、会社計画の 672 億ドルを少し下回る)。2030 年以降は信頼性の更新とガス配管の交換が中心になり、伸びは年 5% 台に落ち着く。電気の販売量は年 +0.7%、許可 ROE は 9.4% 前後を保つが、実現 ROE は帳簿の自己資本の厚さのため 8.7% 前後(レートベース比の純利益率 4.72%)。純利益は約 38.2 億ドル(2025 年の約 1.9 倍、年 約 6.0%、1 株では年 約 4.6%)。増資は 10 年で約 66 億ドル、配当は約 175 億ドルで、正味の還元は約 110 億ドル。倍率は 正当化 PER 14.9 倍に対して 12.7 倍(8.5 割)に置いた(規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.5 割)。事業別の営業利益は電気 約 41.6 億・ガス 約 7.8 億・蒸気 約 0.6 億・O&R 約 6.0 億ドルで、委員会がエクセロン並みの認可(実現 ROE 9.9%)を与えれば純利益は約 43.7 億ドル、ガスがヒートポンプに負けて座礁すれば約 33.1 億ドル(実現 ROE 7.5%)になる。

  • CECONY 電気(ニューヨーク市・ウェストチェスター):数量 607(レートベース(億ドル))× 価格 0.28(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 173 億ドル・営業利益 42 億ドル。収益基盤(レートベース)607 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2849
  • CECONY ガス:数量 127(レートベース(億ドル))× 価格 0.47(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 60 億ドル・営業利益 8 億ドル。収益基盤(レートベース)127 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.4737
  • CECONY 蒸気:数量 12.9(レートベース(億ドル))× 価格 0.63(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。収益基盤(レートベース)13 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.6259
  • O&R(オレンジ・アンド・ロックランド):数量 80.7(レートベース(億ドル))× 価格 0.23(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 19 億ドル・営業利益 6 億ドル。収益基盤(レートベース)81 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2318

倍率:正当化 PER 14.9 倍(g 3.7%・RONIC 7.9%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 8.5%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.7 倍(8.5 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.5 割。g の内訳:販売電力量 +0.7%(建物・車の電化と省エネの差)× シェア 変わらず(地域独占)× 料金 +3.2%(物価 3.5% より低い。手頃さの政治)で、名目の長期 g は 3.9%。純利益は GAAP の考え方。

確率:手頃さの政治で認可の一部が遅れ、電化の需要も緩やか。最も起きやすい筋書き。

やや悲観 24% やや悲観:許可 ROE が 9% 台前半に下がり、投資の認可が絞られる 利益 33 億ドル · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 107.71 ドル398 億ドル

2035 年末、レートベースは約 741 億ドル(2026 年末から年 約 4.6%)。2029 年以降の料金改定で許可 ROE は 9.0〜9.2% に下がり、実現 ROE は約 8.3%。変電所と地下網の投資は縮み、ガスの座礁の費用の一部が会社の負担になる。電気の販売量は年 +0.3%。レートベース比の純利益率は 4.48% まで下がり、純利益は約 32.7 億ドル(2025 年の約 1.6 倍、1 株では年 約 3.5%)。増資は 10 年で約 32 億ドルと小さく、配当は約 167 億ドルで、正味の還元は約 135 億ドル。倍率は 正当化 PER 14.7 倍に対して 12.2 倍(8.3 割)に置いた(許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8.3 割)。

  • CECONY 電気(ニューヨーク市・ウェストチェスター):数量 544(レートベース(億ドル))× 価格 0.31(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 167 億ドル・営業利益 36 億ドル。収益基盤(レートベース)544 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3064
  • CECONY ガス:数量 113(レートベース(億ドル))× 価格 0.51(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 58 億ドル・営業利益 7 億ドル。収益基盤(レートベース)113 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.5113
  • CECONY 蒸気:数量 11.5(レートベース(億ドル))× 価格 0.68(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。収益基盤(レートベース)12 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.6773
  • O&R(オレンジ・アンド・ロックランド):数量 72.3(レートベース(億ドル))× 価格 0.25(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。収益基盤(レートベース)72 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2495

倍率:正当化 PER 14.7 倍(g 3.7%・RONIC 7.7%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 8.2%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.2 倍(8.3 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8.3 割。g の内訳:販売電力量 +0.7%(建物・車の電化と省エネの差)× シェア 変わらず(地域独占)× 料金 +3.2%(物価 3.5% より低い。手頃さの政治)で、名目の長期 g は 3.9%。純利益は GAAP の考え方。

確率:手頃さの政治が続き、2029 年以降の料金改定で許可 ROE が 9.0% 前後に下がり、レートベースの伸びも縮む。慎重な見方が通る確率として 24%。

悲観 14% 悲観:料金の政治に押され、ガスが座礁し、もう優良ではなくなる 利益 26 億ドル · PBR 0.9 倍 · 株価時価総額 61.49 ドル227 億ドル

2035 年末、10 年のうちに許可 ROE は 8.5% 前後まで下がり、手頃さを理由に投資の上限が課され、レートベースは約 663 億ドル(2026 年末から年 約 3.3%)にとどまる。ガスのレートベース約 92 億ドルは、新築の禁止と電化で使う人が減り、償却の前倒しと一部の減損が会社の負担になる。電気の販売量は省エネと屋上太陽光で年 −0.5% 前後、価格(料金)は物価並みの +3.0%。実現 ROE は約 6.8% と k(7.25%)を下回り、レートベース比の純利益率は 3.9%。純利益は約 25.6 億ドル(2025 年の約 1.3 倍、1 株では年 約 0.9%)。増資は計画より小さく、配当は約 151 億ドルで、正味の還元は約 128 億ドル。評価は今の自己資本(規制資本)241.9 億ドルに、ROE÷k = 6.8% ÷ 7.25% = 0.94 倍の PBR を掛ける(ROE が k を下回る会社の正しい PBR は ROE÷k 未満。規制資本の裏付けを床にする)。

  • CECONY 電気(ニューヨーク市・ウェストチェスター):数量 488(レートベース(億ドル))× 価格 0.32(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 157 億ドル・営業利益 28 億ドル。収益基盤(レートベース)487 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3211
  • CECONY ガス:数量 101(レートベース(億ドル))× 価格 0.54(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 54 億ドル・営業利益 5 億ドル。収益基盤(レートベース)101 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.5378
  • CECONY 蒸気:数量 10.2(レートベース(億ドル))× 価格 0.71(レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む))→ 売上 7 億ドル・営業利益 0 億ドル。収益基盤(レートベース)10 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.7139
  • O&R(オレンジ・アンド・ロックランド):数量 64.7(レートベース(億ドル))× 価格 0.26(レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 17 億ドル・営業利益 4 億ドル。収益基盤(レートベース)65 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2616

倍率:実現 ROE(純利益 25.6 億ドル ÷ 自己資本 375 億ドル)6.8% は k 7.25% を下回るので、正しい PBR は ROE÷k = 0.94 倍が上限(ためた利益 1 ドルの価値は 1 ドル未満。SCHEMA §1-1)。悲観の床は今の自己資本に掛ける決まり(SCHEMA §1-3)なので、規制資本の裏付けである今の自己資本 241.9 億ドルに 0.94 倍を掛けた。PER に直すと約 8.9 倍。筋書きの伸び g は販売電力量 −1.0%(電化と省エネ)× シェア 変わらず × 料金 +3.0%(物価 3.5% より低い。手頃さの政治)で約 2.0%。純利益は GAAP。二重には下げていない。

確率:料金の政治と、ガスの座礁、財務の薄さが同時に起きる構造負け。確率は 14%。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

CECONY 電気(ニューヨーク市・ウェストチェスター)

ニューヨーク市のほぼ全域とウェストチェスター郡に届ける送配電。世界最大級の地下配電網を持つ最大の事業。

数量レートベース(億ドル)価格レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む)売上営業利益
今 2025/12 316 0.35 111 20
10 年後 中立 607 0.28 173 42

取り方:レートベース 約 316 億ドル(推定。会社は 2025 年末の全社レートベース約 464 億ドルを開示し、事業ごとは原文で確認できないので、電気 316・ガス 92・蒸気 12・O&R 44 と割り振った)、売上 約 111 億ドル(推定)。販売量(市場)は約 50 TWh(推定)でほぼ横ばい、シェアは地域独占で 100%、価格は委員会が決め、2026 年 1 月承認の計画で平均の請求額は年 +3.1〜3.5%(許可 ROE 9.4%・自己資本比率 48%)。競合は無く、同じ送配電中心のエクセロン(許可 ROE が高く認可が早い)やナショナル・グリッドと比べて、需要の伸びが小さく料金の政治が厳しい側にいる。

CECONY ガス

マンハッタン・ブロンクスなどの都市ガス配給。老朽配管の交換が投資の中心だが、電化で使う人が減る。

数量レートベース(億ドル)価格レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む)売上営業利益
今 2025/12 92.0 0.43 40 5
10 年後 中立 127 0.47 60 8

取り方:レートベース 約 92 億ドル(推定)、売上 約 40 億ドル(推定)。ガスの販売量は暖房の電化と省エネで年 −0.5〜−1% の見込み、シェアは地域独占だが、新築のガスを禁じる市の法律で長期の市場は縮む。ガスの平均の請求額は年 +4.4%・+5.7%・+5.6%(2026〜2028 年)と電気より大きく上がり、手頃さの政治が最も強く出る。老朽配管の交換は安全上やめられず、座礁の費用の回収が将来の論点。

CECONY 蒸気

マンハッタンの暖房・冷房向けの蒸気供給。全米最大の蒸気システムだが、規模は小さい。

数量レートベース(億ドル)価格レートベースあたりの売上(燃料費の転嫁を含む)売上営業利益
今 2025/12 12.0 0.50 6 1
10 年後 中立 12.9 0.63 8 1

取り方:レートベース 約 12 億ドル(推定)、売上 約 6 億ドル(推定)。蒸気は 2026 年 11 月から 3 年の合意案(許可 ROE 9.5%・自己資本比率 48%、増収 約 0.13 億・0.42 億・0.39 億ドル)が承認待ち。顧客は少数の大口で、電化と建物の更新で市場は縮み気味。競合は電気ヒートポンプ。

O&R(オレンジ・アンド・ロックランド)

ニューヨーク州南部・ニュージャージー・ペンシルベニアの小さな電力・ガス会社。

数量レートベース(億ドル)価格レートベースあたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む)売上営業利益
今 2025/12 44.0 0.27 12 3
10 年後 中立 80.7 0.23 19 6

取り方:レートベース 約 44 億ドル(推定)、売上 約 12 億ドル(推定。2026 年 4〜6 月の売上は約 2.6 億ドル)。電気・ガスの基本料金は 2026 年に引き上げ(上期で電気 +0.08 億ドル・ガス +0.04 億ドルの寄与)。市場の伸びは CECONY より緩やかで、近隣の規制公益(PSEG など)と許可 ROE が近い。

リスクと懸念

料金と許可 ROE の政治

ニューヨークは手頃さに敏感な州で、住宅料金は 2026 年に前年比 約 +12%(業界ノート)と全米でも上がり幅が大きい。市長と大統領が引き下げを求め、市・州の公職者 70 人超が棄却を求める書簡を出した。2026 年の承認は当初の要求より追加の増収が電気で約 34%・ガスで約 60% 小さく、2029 年以降の次の料金改定で許可 ROE(9.4%)が 9% 台前半に下がれば、利益の伸びは 1 割ほど鈍る。手頃さの問題は 2025 年に 19 万世帯超の供給停止と 60 日超の滞納 41 万世帯・8.7 億ドルという形でも表れており、政治の圧力は止まらない。

借金と増資に頼る資金繰り

純有利子負債は 268 億ドルで時価総額の約 66%、自己資本比率は 32%、FCF は 2025 年にほぼゼロ。2026 年に長期債 最大 32 億ドルと株 最大 11 億ドル、2027 年に債 最大 30 億ドルと株 約 12 億ドルを調達する。借り換えの金利が約 5.75% に上がり、brief の推定で 10 年後に利払い 5 億ドル(税前)の負担。料金に織り込まれる分が大半でも、料金改定の遅れ(規制のラグ)で ROE の取りこぼしが出る。信用格付けが下がれば調達コストはさらに上がる。

都市ガスの座礁

ニューヨーク市の法律は新築のガスを禁じ(低層は 2024 年から、高層は 2027 年から)、州の脱炭素法は 2040 年に電力のゼロ排出を求め、ヒートポンプの補助も増える。ガスのレートベースは約 92 億ドル(推定)で、使う人が減れば 1 件あたりの負担が上がり、料金の政治をさらに難しくする。州の委員会はガスの計画の審議で、新設・拡張の投資に厳しい。老朽配管の交換は安全上やめられず、その投資が回収できなくなる恐れがある。

需要の伸びが小さい

CECONY の電気の販売量は 2000 年代後半から横ばいで、省エネと屋上太陽光が電化の伸びを打ち消してきた。デカップリングで収入は守られるが、販売量が伸びない分、利益を増やす手段は投資の積み上げと料金の引き上げに限られる。データセンターの大口需要を取り込む同業(サザン・エクセル・エナジーなど)に比べ、需要面の追い風が無く、料金の引き上げ以外に伸びを説明できない。

工事費と信頼性の失敗

ニューヨーク市の地下工事は、他の都市より費用が高く、許認可と工期も長い。2026〜2030 年の約 370〜390 億ドル、28 か所の変電所の新設は、費用の超過が許可されなければ株主の負担になる。停電や蒸気管の破裂など大きな事故が起きれば、罰金と信頼の低下で次の料金改定が厳しくなる。猛暑の電力需要の山と、2012 年のハリケーン・サンディのような高潮は、地下網が最も弱い所である。

売却益の一時性と調整後の利益

2026 年の GAAP の純利益には、MVP の売却益(税引き後 1.34 億ドル)が入り、調整後の見通しより大きくなる。2025 年の純利益で測った PER 19.9 倍は、調整後の 2026 年の見通しでは約 18 倍に下がる。MVP の持ち分は売却で配当が無くなり、約 6.6% の持ち分の稼ぎもなくなる。調整後の数字は一時要因を除くが、増資の希薄化と金利の上昇は含む。

今後の分かれ目

次の料金改定(2029 年以降の電気・ガス)で許可 ROE が 9.0% 前後へ下がった
利益の伸びが 1 割ほど鈍り、10 年のやや悲観・悲観の確率を各 3 ポイント上げる。逆に 9.4% が維持されれば、やや楽観の確率を 3 ポイント上げる。
レートベースの年 8% 超の拡大(変電所 28 か所・信頼性の投資)が認可どおり進んだ
利益の伸びが会社目標の 6〜7% に近づき、楽観・やや楽観の確率を 10 年で 3〜5 ポイント上げる。計画が遅れれば、中立の 6% 前後も下振れる。
ニューヨーク州が手頃さを理由に、料金計画の枠を縮める法律・政策(投資の上限・利益の分け合いの強化)を決めた
認可の遅れと許可 ROE の引き下げが重なり、やや悲観・悲観の確率を 5 ポイント上げる。倍率は式の値のまま、利益の伸びで下げる。
ガス事業のレートベースの償却を早める決定(座礁の費用の回収を前倒し・減損)が出た
短期の利益は下がるが、将来の座礁の不確実さは減る。やや悲観の確率を 3 ポイント下げ、悲観の確率はそのまま。ガスが電化で縮む速さは販売量と g に入れ直す。
10 年国債の利回りが 5% を大きく超えて上がった(6% 超)
借り換えコストが利益を圧迫し、倍率が縮む。資本コストの見方を高い側(借金・値決めの目安を悪い側)に寄せる。
電気の販売量が、建物と車の電化で年 +1% 超に加速した(データセンターを除く)
販売量の g が +0.5 ポイント上がり、10 年の中立の倍率が約 1 倍上がる。料金の負担感も増えるので、確率は楽観側に寄せすぎない。

見ておくもの

  • 2028 年末に終わる 3 年計画の次の電気・ガスの料金申請(2028 年前後)と許可 ROE
  • 蒸気の料金計画(2026 年 11 月〜2029 年 10 月)の承認の有無
  • 電気の住宅料金の前年比(ニューヨークで 5% 超が続くか)と、手頃さをめぐる州・市の政策
  • レートベースの実績(2026 年 6 月末の平均 473 億ドル → 2030 年の約 672 億ドル)と資本計画の更新
  • 毎年の増資の額(2026 年 最大 11 億ドル・2027 年 約 12 億ドル)と長期債の発行金利
  • 電気の販売量(天候補正後)と、建物・車の電化の新規大口要望の件数
  • 10 年国債の利回り 5% の維持と、信用格付けの動き

倍率と資本コストの決め方

今の PER 19.9 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決め、倍率は利益ベースの正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g)(RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k)、moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 14.9 倍(g 3.7%・RONIC 7.9%)の 8.5 割の 12.7 倍。今の値段に寄せていない。結論は、総合で今の時価総額の約 26% 下の「やや割高」。

資本コスト 7.2% = 無リスク金利 5% + β 0.77 × 5%。基本 8.0% + coc.quality -0.75% = 7.25%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 7.25%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。許可 ROE の引き下げ・ガスの座礁・財務の薄さという個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益と確率(悲観を 10 年で 14%)で表す。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 7.25% では g 3.75% が上限。

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割安 NRG エナジーNRG 電力の卸売・小売とスマートホームを持つ借金の重い独立系。収益力は本物だが、価格は市場と政治が決め、借金が筋書きの振れを増幅する 本質価値との差 +36.5% · 10 年 割安(年 +10.6%) 割安 PG&E CorporationPCG 山火事の責任制度が決まらず格付けも上がらない、収益基盤が年約 9% 伸びる規制電力。値打ちは、責任の上限が会社の外に出るかで決まる 本質価値との差 +30.8% · 10 年 割安(年 +10.5%) やや割安 エジソン・インターナショナルEIX 南カリフォルニアの規制電力。収益基盤は年約 7% で伸びるが、イートン火災の責任の決着が株主の取り分を決める 本質価値との差 +10.7% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) 適正 エバーソース・エナジーES 水道を売り、北東部 3 州の送配電とガスに純化した規制公益。k は 7.5%(借金の厚さは debt に入れた)。手頃さの政治・FERC の ROE 引き下げ・洋上風力の後始末が焦点 本質価値との差 +2.1% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 ファーストエナジーFE 送電と配電のレートベースは年 10% で伸び、データセンターは計画の外の上積み。借金と年 1% の増資・統治の傷・手頃さの政治を悲観の確率に織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −5.3% · 10 年 適正(年 +6.0%) やや割高 パブリック・サービス・エンタープライズ・グループPEG ニュージャージーの送配電と原子力。料金凍結の政治と原子力の契約が、年 6〜8% 成長の達成を左右する 本質価値との差 −10.9% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 DTEエナジーDTE 電気は 3 GW 級のデータセンター負荷で収益基盤が伸び、ガスは穏やか、非公益の税額控除は 2029 年で崖。借金と年 5〜6 億ドルの増資で成長を買う構造を確率に織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −11.8% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 エクセロンEXC コムエド・ペコ・BGE・ペプコの送配電 4 系統を持つ規制会社。レートベース年 7.9% の伸びを借金と増資で賄い、料金の手頃さの政治が最大の弱み。本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −11.8% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 AESAES 契約型の再エネ・規制公益・南米の発電を持つが、借金が時価総額の約 2.7 倍。買収提案を外して単体で評価すると、式の上ではやや割高で、悲観の谷が深い 本質価値との差 −11.9% · 10 年 やや割高(年 +6.6%) やや割高 WEC エナジーWEC ウィスコンシンの規制電力とガスで、データセンター向けの設備投資が収益基盤を年 10% 前後押し上げる。許可 ROE と手頃さの政治・借金の厚みを確率に織り込み、価値は計算で判断する 本質価値との差 −14.9% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 CMSエナジーCMS ミシガンの規制電力・ガスで、レートベースを年 10.5% の計画で伸ばし、増資と借金で賄う。ノーススターを手放し公益事業一本へ。データセンター 1 GW の確度と物価以下に抑える委員会が分かれ目。 本質価値との差 −17.3% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 エヴァジーEVRG カンザス・ミズーリの規制電力。契約済み 2.5 GW のデータセンターでレートベースを年 11.5% 伸ばす計画だが、増資と借金が支える成長で、2028 年からの加速の確度が分かれ目 本質価値との差 −21.0% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 サザン・カンパニーSO データセンター需要で規制資本が年 8〜9% 伸びる南東部の優良電力。基本 8.0% に quality を足した資本コスト 7.00% の正当化 PER で測ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −21.2% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 アメレンAEE ミズーリとイリノイの規制電力・ガスで、収益基盤の年 10.6% の伸びを借金と増資で賄う。大口のデータセンター契約 2.8 GW の確度と財務の薄さを確率に織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −21.4% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 ナイソースNI 規制ガス・電力の質は高く GenCo の 4 GW も確約だが、借金と手頃さの政治を k 7.00% に織り込んで評価すると、中立でも今の値段は先取り気味 本質価値との差 −21.9% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 PPL コーポレーションPPL 送配電中心の規制公益で、レートベースが年 10% 超で伸びる成長型。借金の厚さ・増資・PJM と手頃さの政治を悲観の確率に織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −22.6% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 コンステレーション・エナジーCEG 米国最大の原子力にガス・地熱を加えた独立系の発電会社。堀は本物だが価格は市場と政治が決めて利益の振れが大きく、利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(10 年の中立 12 倍)で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −23.8% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 デューク・エナジーDUK 南東部・中西部で収益基盤が年 8〜9% 伸びる大型の規制電力。借金を入れた資本コスト 7.25% で、倍率を利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(10 年の中立 13 倍)に置くと、今の値段はやや割高 本質価値との差 −24.0% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 センターポイント・エナジーCNP ヒューストンの大口負荷 14 GW 超でレートベースが年 11% 超で伸びる成長型の規制公益。借金の厚さ・増資・ハリケーンと手頃さの政治を悲観の確率に織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −24.2% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 アメリカン・エレクトリック・パワーAEP 全米最大級の送電網とデータセンター契約 69 GW を持つ規制電力。借金で投資を回す構造を k 7.25% と悲観の厚さで測り、倍率を利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(10 年の中立 14 倍)に置くと、今の値段はやや割高 本質価値との差 −26.4% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 ビストラ・コープVST 独立系で米国最大級の発電(原子力・ガス)と小売の会社。堀はあるが価格は市場と政治が決め借金も重く、利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(10 年の中立 10.7 倍)で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −26.4% · 10 年 やや割高(年 +4.6%) やや割高 センプラ・エナジーSRE テキサスの送電網オンコアを軸に収益基盤を年 11% 伸ばす計画の複合公益。借金と山火事の裾を k 8.25% と悲観の厚さで測った価値は今の値段をやや下回る 本質価値との差 −26.7% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 アライアント・エナジーLNT アイオワとウィスコンシンの規制電力で、レートベースの年約 12% の伸びを借金と増資で賄う。契約済みのデータセンター約 3 GW だけを中立に入れ、追加分は楽観に置く。 本質価値との差 −29.1% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 エクセル・エナジーXEL 8 州の規制電力で、収益基盤の年 9% 超の伸びを借金と増資で賄う。山火事と許可 ROE の引き下げを悲観の確率に織り込んだ本質価値は、計算で判断する 本質価値との差 −30.0% · 10 年 やや割高(年 +2.9%) 割高 ピナクル・ウェスト・キャピタルPNW フェニックス圏の規制電力で、収益基盤の年 7〜9% の伸びを借金と増資で賄う。契約済み 4.5 GW の大口は中立に、未契約の約 20 GW は楽観に入れ、規制の遅れによる実現 ROE の低さを織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −33.4% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 エンタージETR メタなどの大口契約を柱に、収益基盤を 5 年で 2 倍にする規制電力。借金と増資で賄う成長と契約の集中を確率に織り込み、価値は計算に任せる 本質価値との差 −36.4% · 10 年 割高(年 +1.9%) 割高 アトモス・エナジーATO 米国最大級の純粋なガス配給会社。規制資本が年 10% で伸びる優良な公益だが、ROE が k を 2% 弱しか超えず増資で薄まるため、利益ベースの正当化 PER(13〜16 倍)では今の値段は割高 本質価値との差 −38.9% · 10 年 割高(年 +1.4%) 割高 ドミニオン・エナジーD バージニアのデータセンター需要で収益基盤を年 10% 伸ばす垂直統合の公益。ただし借金は時価総額の 9 割、k 8.25% の式の値は今の値段を大きく下回る 本質価値との差 −42.3% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 アメリカン・ウォーター・ワークスAWK 米国最大の上場水道。規制に守られた安定成長だが、ROE が k を 2% 前後しか超えず、利益ベースの正当化 PER(13〜15 倍)では今の倍率は高すぎて割高 本質価値との差 −46.8% · 10 年 割高(年 +0.3%) 割高 ネクステラ・エナジーNEE フロリダの規制電力と世界最大級の再エネ開発を持つ優良企業。借金を入れた資本コスト 8.50% の正当化 PER で単体で測ると、今の値段は割高 本質価値との差 −48.6% · 10 年 割高(年 +0.5%)

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読んだ資料

  1. Con Edison 2026 年 4〜6 月期 決算(SEC 8-K)
  2. Con Edison 2025 年 4 四半期・通期 決算と 2026〜2030 年の資本計画(indexbox の要約)
  3. ConEd 約 380 億ドルの資本計画(Utility Dive)
  4. PSC が Con Ed の料金計画を承認(Yonkers Times)
  5. Con Ed の料金値上げの承認と反発(Gothamist)
  6. トランプ・マムダニ両氏の Con Ed 批判(Gothamist)
  7. Con Edison の蒸気料金計画の提案(StockTitan)
  8. Con Edison の 52 年連続の増配(Con Edison)
  9. Con Edison の株式数・時価総額(Morningstar・2026-10-16)

分析日 2026-10-16