結論
エンタージ(ETR)は、ルイジアナ・アーカンソー・ミシシッピ・テキサスとニューオーリンズで電気(一部はガス)を売る規制公益の持株会社。2025 年の売上は約 130 億ドル、GAAP の純利益は約 18 億ドル、自己資本 ROE は 10.3%。
会社は 2026 年 6 月の投資家説明会で、2026〜2030 年の資本計画を 670 億ドル(2024 年の説明会では 330 億ドル)へ倍増し、収益基盤を 2025 年の 約 460 億ドルから 2030 年に 約 970 億ドルへ、販売量を年 約 9%(産業向けは年 約 16%)で伸ばすと説明した。調整後の 1 株利益は 2025 年から 2030 年に約 1.8 倍(年 約 13%)、「2035 年まで年 8% 超」の見通しを出している。大口契約(メタ・アマゾンなど)の受注残は計画の約 85%、会社は計画の外に 10〜17 GW の見込みも置く。
バリュー投資の観点では、地域独占の電気という事業の質は高く、10 年後も存在する。弱みは、純有利子負債 294 億ドル(時価総額の 62%)・自己資本比率 24%・FCF 赤字の財務、メタなど少数の大口への集中、アーカンソーの建設費の不回収やグランド・ガルフ原発の NRC の指摘といった執行の傷、ハリケーン、手頃さの政治である。資本コストは基本 8.0% に quality −1.00% を足した 7.0%(地域独占の規制電力で値決めは比較的安定、借金は重い)。倍率は利益ベースの正当化 PER の約 8 割(10 年の中立 13.3 倍)に置いた。ROE は帳簿の約 10%、g は 3.5%(k − 3.5% が上限)で、利益は会社の見通しの下端から 1 年遅れの水準を中立とし、確率は悲観側をやや厚くした。結果は今の時価総額を約 34% 下回る「割高」。今の値付けとの差は計算に任せる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。地域独占の電気、ガスの供給・原子力・送電の規模は、電化・産業の回帰・データセンターのどれが当たっても、10 年後も確実に残る。堀は広がる側にあるが、価格を決める力は州の委員会が握る。ルイジアナの委員会が追加 7 基の迅速審査を可決した一方、アーカンソーの委員会は建設費の一部を認めなかった。
次にオーナー利益を見る。2025 年の純利益は約 18 億ドル、配当は約 11 億ドルだが、FCF は −28 億ドルで、不足は借金と増資で埋めている。5 年の計画でも営業 CF 約 380 億ドルに対し資本計画は 670 億ドルで、株主が自由に取り出せる利益は小さい。株主の価値の増加は、収益基盤の伸びから借金と増資のコストを引いた正味の先にしか無い。中立では 10 年の純利益の合計が約 300 億ドル台、配当から増資を引いた正味の還元は約 60 億ドルで、純利益の合計の 2 割弱にとどまる。
資本配分は規制の枠の中でよいが、670 億ドルと 10 基の複合サイクル、少数の大口顧客への集中が、工期・費用・認可・契約の失敗を一度に抱え込む。契約には最低請求と早期解約の違約金があるが、批判する側は 4 年で抜けられると主張しており、約束の強さは実際に試されていない。安全域は、k 7.0%(基本 8.0% + quality −1.00%)を使い、中立を会社の見通しの下端から 1 年遅れに置き、悲観を 10 年で 10% と厚くして確保した。確信度は送電と配電の部分で高く、大口契約の確度とハリケーン、手頃さの政治では低い。わかりにくい部分を割り引いたうえで、優良な事業を適正〜やや安く買えるかは、最後は計算で判断する。
何で稼ぐ会社か
事業は 5 つの運営会社に分かれる規制公益で、利益は「収益基盤(認可された投資の残高)× 自己資本比率 × 許可 ROE」で決まる。ルイジアナ(エンタージ・ルイジアナ:電力・ガス)が最大で、アーカンソー、ミシシッピ、テキサス、ニューオーリンズと、原子力のグランド・ガルフを持つシステム・エナジー・リソーシズが続く(収益基盤の州別の配分は筆者の推定で、会社は説明会資料の図で示すのみ)。顧客は約 300 万口、燃料費・購入電力費は料金に転嫁するので、売上の増減と利益の増減は別物になる。
会社の説明では、販売量は 2030 年までに 5 年で 50% 超、年 約 9% 伸びる。伸びの中心は産業向けで、データセンター・石油化学・金属・化学(クロルアルカリ)・産業ガスなど。2026 年上期の産業向けの販売量は前年比 +12% で、メタの関連会社の契約に集中する。メタのヒュペリオン(リッチランド郡)向けには、ルイジアナ州委員会が 2025 年 8 月に天然ガスの複合サイクル 3 基(合計 2,262 MW。リッチランド 2 基は 2028 年末、ウォーターフォード 1 基は 2029 年末に運転開始)を承認し、2026 年 4 月には追加 7 基の迅速審査を 4 対 1 で可決した(本審査の投票は 12 月の予定で未承認)。
資本計画 670 億ドルのうち、配電と送電が大きく、新設の発電が約 3 割、既存設備の更新、再エネ・蓄電池と続く。計画は 10 基の複合サイクルを確保済みで、2035 年までに約 30 GW の新設・更新を見込む。収益基盤は 2030 年に約 970 億ドルと、5 年で約 2.1 倍になる設計だが、その大半が建設中の資産で、料金に入るまでに時間差がある。会社は「Fair Share Plus」で、大口の料金が固定費の分担まで負担するので既存の顧客に契約期間で 70 億ドルの便益と説明するが、15〜20 年の契約・最低請求・担保・早期解約の違約金が約束どおり働くかが要になる。
優良さと弱いところ
堀は 3 層ある。第 1 は地域独占で競合は無い。第 2 は用地・天然ガスの供給・送電・原子力の規模で、会社は「ガス価格が割引で取引される供給点」「ブラウンフィールド(既存の発電所跡)の用地」「10 基確保済みの複合サイクル」を速さの優位として示す。サザンの契約済み 17 GW 超やエクセル・エナジーの 26 GW 超の引き合い(契約済み 約 2 GW)と並べて、エンタージは契約済みの受注残が計画の約 85% と、数字の厚みでは強い側。第 3 は州の委員会との関係で、ルイジアナの 4 対 1 の可決は追い風、一方アーカンソーの Jefferson 発電所の建設費で立証が足りないと判断された例は弱点。
資本効率は、2025 年の自己資本 ROE が 10.3%(2023 年は一時要因で 15.9%、2024 年は 6.9%)と許可 ROE に近い。ただし建設仮勘定の収益(AFUDC)が大きく、現金の質は低い。FCF は 2025 年に −28 億ドルで、設備投資が営業 CF を大きく超え、今後 5 年も営業 CF 約 380 億ドルに対し資本計画 670 億ドルと、約 290 億ドルを借金(約 320 億ドル)と増資(約 70 億ドル)で賄う。信用の指標は S&P の FFO 対債務・ムーディーズの CFO 対債務ともに格下げの水準に近い帯にあり、余裕が薄い。
経営はドリュー・マーシュ会長兼 CEO(2022 年から)。ハリケーン・冬の嵐(2026 年 1 月のフェルンで約 4.5 億ドル)に弱い地域で、会社は分散した送配電への投資で復旧費を 55% 減らす計画を示す。原子力ではグランド・ガルフが NRC の「Column 2」に入り、リバーベンドに予備的な white 判定が出ており、運転の質が問われている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の電力需要は 2025 年に過去最高の約 4,195 TWh で、EIA は 2026〜2027 年に年 +1.9% と見る(業界ノート)。ただしエンタージの販売量の伸びは年 約 9% と業界の 4 倍超で、メキシコ湾岸の産業地帯(石油化学・精製・金属・化学)に、データセンターが乗る形。業界全体の見込み(EEI の発表済みの大口 約 55 GW・約 8,900 億ドル)と同じく、「引き合い」と「契約」は別物で、ERCOT が 2030 年の見通しを切り下げテキサス州知事が待ち行列の監査を命じた前例がある。エンタージは契約済みの受注残を計画に入れ、計画の外の 10〜17 GW は「見込み」と区別している。
競争の形は、州の委員会との交渉と、大口の誘致での速さの競争。強みはガスの供給(ヘンリーハブ並みの流動性と、エンタージの供給点の割引、ハイネスビルとパーミアンへの接続)と用地・送電。弱みは、新設ガスの価格が 2019 年比で約 3 倍・納期が 5〜7 年と高く、複合サイクルの確保が遅れた会社は勝負にならないこと。エンタージは 10 基を確保済みで、この点が競合より有利。
手頃さの政治が最大の分かれ目で、住宅料金は全米で 2026 年に約 +5% 上がり、エンタージの住宅料金は全米平均を下回るが、大口の費用をどこまで大口が負担するかが各州の争点。許可 ROE(電力の全米平均 9.8% 前後)は、データセンターの費用負担の議論の中で 9% 台に引き下げられる州がある(エクセルのコロラド 9.3% など)。M&A は NEE のドミニオン買収合意や AES の買収など再編が動く一方、エンタージの時価総額(約 490 億ドル)と州の承認の重さから、買う側にも買われる側にもなりにくい。税額控除は 2025 年の包括税制法で風力・太陽光に期限が付き、エンタージの 5 GW の太陽光・蓄電池の計画に影響する。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、5 年で営業 CF 約 380 億ドル、公益債(純)約 220 億ドル、親会社債(純)約 70 億ドル、劣後債(JSN)約 30 億ドル、株式約 70 億ドルで資本計画と配当(5 年で約 80 億ドル)を賄うこと。株式 70 億ドルのうち 41 億ドル分は 2026 年 6 月末までに先渡しの売却契約で確保済み(未決済の先渡しが約 38 億ドル)で、2026 年 4〜6 月期には約 22 億ドルの増資が決済され、1 株利益が前年を下回った。今後の増資は計画の 10〜15% を目安にする。配当は年 6% の増加を前提に、純利益の約 6 割から 5 割台へ下げる。
会社全体の時価総額で書くので、増資の払い込みは還元から引いた(payout_oku は配当から増資を引いた正味)。買収で規模を増やす会社ではなく、自社の収益基盤を投資で増やす会社で、再編の波に加わる気配は無い。
資本配分の焦点は、複合サイクルや送電の投資が許可 ROE を上回る収益を生むか、大口契約が約束どおり費用を負担するか。アーカンソー・Jefferson 発電所の建設費の不回収のような件が積み上がると、株主の資本が直接削られる。会社は契約で、親会社の借金に頼らず、大口の担保・建設費の拠出(CIAC)で資金を前倒しに得る方針を示す。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
計画の確度が高い。会社は資本計画を 330 億ドルから 670 億ドルへ倍増し、その大半は受注済みの大口契約(受注残は計画の約 85%)に裏付けられている。メタ向けのガス火力 3 基(2,262 MW)は州委員会が承認済みで、追加 7 基は迅速審査が 4 対 1 で通った。10 基の複合サイクルを確保済みなので、タービンの納期 5〜7 年・価格約 3 倍という業界の制約を、競合より受けない。契約は 15〜20 年・最低請求・担保・早期解約の違約金が付き、既存の顧客に 70 億ドルの便益を出す仕組みなので、手頃さの政治にも耐える。
利益の伸びは業界でいちばん強い。収益基盤は 2025 年の約 460 億ドルから 2030 年に約 970 億ドル、調整後の 1 株利益は 2030 年まで約 1.8 倍(年 約 13%)、「2035 年まで年 8% 超」の見通しがある。2026 年の見通しは 4〜6 月期でも維持され、会社は 2030 年までの見通しを上積みしてきた。計画の外にデータセンター 7〜12 GW・他産業 3〜5 GW の見込みがあり、これが契約になれば上振れする。資本コスト 7% の規制電力で、収益基盤が年 2 桁で伸び ROE が 10% 超なら、楽観では正当化 PER の上限 17.8 倍(10 年)まで成り立つ。今の GAAP の PER 26.7 倍は式の上限を超えるが、利益が計画どおり年 13% で伸びる間は倍率が縮んでも株価は大きく崩れない、と見る。
慎重な見方
借金と増資で成長を買っている。純有利子負債は 294 億ドルで時価総額の 62%、FCF は 2025 年に −28 億ドル。5 年で 670 億ドルを投じ、営業 CF 約 380 億ドルに対して不足の約 290 億ドルを借金と増資で埋め、増資は 2026 年 4〜6 月期だけで約 22 億ドルが決済されて 1 株利益が前年を下回った。借換えは 5.75% 前後に上がる(brief の推定で利払いは 10 年後に 5 億ドル増)。S&P・ムーディーズの信用指標は格下げの水準に近く、FFO 対債務に余裕が薄い。
建設の執行に傷がある。アーカンソー委員会は Jefferson 発電所の建設費で、エンタージが立証責任を果たせなかったと判断した。グランド・ガルフは NRC の「Column 2」、リバーベンドに予備的な white 判定が出た。FERC の 2026 年 6 月の MSS-4R の命令は影響を見積れない。これだけ多くの案件を一度にこなす会社が、同じ質で全部を仕上げられる保証は無い。
大口の集中が大きい。販売量の伸びはメタなど少数に偏り、批判する側は 4 年で契約から抜けられると主張する。引き合い 10〜17 GW は確約ではなく、ERCOT が見通しを切り下げた前例がある。ハリケーンの多い湾岸で、2026 年 1 月の冬の嵐だけで約 4.5 億ドル。金利 5% の世界で PER 26.7 倍は、成長の確度が下がれば縮む倍率である。
どちらに重みを置いたか
事業の質と計画の速さ、受注の厚みは強気の見方が上回る。一方、財務の薄さ・建設の執行の傷・大口の集中は慎重な見方が突いており、会社の見通しの数字は、そのまま採らず 1 年遅れの水準を中立に置いた。倍率は k 7.0%・帳簿の ROE・g 3.5% の正当化 PER を上限とし、中立は上限の約 8 割(10 年 13.3 倍)に置いた。確率は中立に寄せ、楽観・やや楽観の合計を 10 年 33%、やや悲観・悲観の合計を 10 年 31% とした。悲観を 10 年で 10% と厚くしたのは、契約の崩れ・余った設備・ハリケーンが同時に起きた時、自己資本比率 24% の財務では損失の吸収余地が小さいため。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 119.52 ドル571 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 11.29 ドル54 億ドル)。 今の値に割り戻すと 68.81 ドル329 億ドル、今との差 −36.4%、 期待の年率 +1.9%(資本コスト 7.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 198.64 ドル950 億ドル | 12.34 ドル59 億ドル | +95.0% | +6.9% | 18.99 ドル91 億ドル |
| やや楽観 | 24% | 159.94 ドル765 億ドル | 16.53 ドル79 億ドル | +63.1% | +5.0% | 42.35 ドル202 億ドル |
| 中立 | 36% | 114.00 ドル545 億ドル | 12.55 ドル60 億ドル | +17.0% | +1.6% | 45.56 ドル218 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 88.72 ドル424 億ドル | 6.69 ドル32 億ドル | −11.8% | −1.2% | 20.04 ドル96 億ドル |
| 悲観 | 10% | 35.86 ドル171 億ドル | 2.93 ドル14 億ドル | −64.1% | −9.7% | 3.88 ドル19 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 119.52 ドル571 億ドル | 11.29 ドル54 億ドル | +20.9% | +1.9% | 130.81 ドル625 億ドル |
今の株価時価総額 108.19 ドル517 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 9% 楽観:大口契約が 10 GW 超に積み上がり、収益基盤が 10 年で 3 倍超になる 利益 58 億ドル · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 198.64 ドル950 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 1650 億ドル(2025 年の 約 460 億ドルの 3.6 倍)。会社が計画の外に置く 7〜12 GW のデータセンターと 3〜5 GW の産業の見込みの大半が契約となり、10 基確保済みの複合サイクルと 5 GW の太陽光・蓄電池が建つ。ガスと用地の優位でサザンやデュークとの大口の取り合いに勝つ。純利益は約 58.0 億ドル(2025 年の約 3.2 倍)。増資は 10 年で約 160 億ドルと大きく、配当から増資を引いた正味の還元は約 59 億ドル。倍率は正当化 PER 17.8 倍(ROE 11.6%・g 3.5%・RONIC 9.3%・moat 普通)に対し 0.92 倍の 16.4 倍に置く。
- ルイジアナ(エンタージ・ルイジアナ:電力・ガス):数量 914(収益基盤(億ドル))× 価格 0.23(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 211 億ドル・営業利益 62 億ドル。収益基盤 914 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2314
- アーカンソー(エンタージ・アーカンソー:電力):数量 223(収益基盤(億ドル))× 価格 0.31(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 69 億ドル・営業利益 20 億ドル。収益基盤 223 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3115
- ミシシッピ・テキサス(電力):数量 358(収益基盤(億ドル))× 価格 0.28(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 101 億ドル・営業利益 27 億ドル。収益基盤 358 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2818
- ニューオーリンズ・システム・エナジー・その他:数量 155(収益基盤(億ドル))× 価格 0.18(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 28 億ドル・営業利益 7 億ドル。収益基盤 155 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.178
倍率:正当化 PER 17.8 倍(g 3.5%・RONIC 9.3%=k 7.00%+残る割合 0.50×(事業の ROE 11.6%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 16.4 倍(9.2 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.2 割。
確率:データセンターと産業の見込み 10〜17 GW の相当部分が契約になり、会社が示す 2035 年までの年 8% 超の成長を上回る。10 年でも重なる確率は 1 割未満の 9%。
やや楽観 24% やや楽観:会社の見通しの年 8% 超が 2035 年まで続く 利益 50 億ドル · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 159.94 ドル765 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 1420 億ドル(10 年で年 11.9%)。2030 年までは会社の計画(約 970 億ドル)に近く、その後は投資が小さくなり年 7% 台に鈍る。ルイジアナ州委員会の追加 7 基の承認が下り、10 基確保済みの複合サイクルが予定どおり建つ。許可 ROE は現状に近く、データセンターは 5〜8 GW が稼働する。純利益は約 50.0 億ドル(2025 年の約 2.8 倍)。増資は 10 年で約 120 億ドル、配当から増資を引いた正味の還元は約 79 億ドル。メタの契約(15〜20 年・最低請求・早期解約の違約金)が守られ、ガス火力の費用が認可される。ハリケーンの費用は証券化と準備金で吸収し、信用格付けは維持する。倍率は正当化 PER 17.6 倍(ROE 11.2%・g 3.5%・RONIC 9.1%・moat 普通)に対し 0.87 倍の 15.3 倍に置く。
- ルイジアナ(エンタージ・ルイジアナ:電力・ガス):数量 747(収益基盤(億ドル))× 価格 0.23(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 175 億ドル・営業利益 50 億ドル。収益基盤 747 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.234
- アーカンソー(エンタージ・アーカンソー:電力):数量 214(収益基盤(億ドル))× 価格 0.32(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 68 億ドル・営業利益 19 億ドル。収益基盤 214 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.315
- ミシシッピ・テキサス(電力):数量 322(収益基盤(億ドル))× 価格 0.29(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 92 億ドル・営業利益 25 億ドル。収益基盤 322 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.285
- ニューオーリンズ・システム・エナジー・その他:数量 137(収益基盤(億ドル))× 価格 0.18(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 25 億ドル・営業利益 6 億ドル。収益基盤 137 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.18
倍率:正当化 PER 17.6 倍(g 3.5%・RONIC 9.1%=k 7.00%+残る割合 0.50×(事業の ROE 11.2%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 15.3 倍(8.7 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 8.7 割。
確率:会社の「年 8% 超(2035 年まで)」の見通しに近い形で収益基盤が伸び、許可 ROE が保たれる。24%。
中立 36% 中立:計画が遅れて 2030 年に利益が見通しを下回り、その後は年 5〜6% に鈍る 利益 41 億ドル · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 114.00 ドル545 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 1210 億ドル(10 年で年 10.2%)。2030 年までは年 14% 台と速く伸びるが、会社計画(約 970 億ドル)より 1 割弱少ない。2030 年の純利益は約 31 億ドル(調整後 1 株利益は 2025 年の約 1.6 倍と、見通しの下を割る)。その後は投資が小さくなり、大口契約の一部が縮む。2035 年の純利益は約 41.0 億ドル(2025 年の約 2.3 倍)。増資は 10 年で約 115 億ドル、配当から増資を引いた正味の還元は約 60 億ドル。借換えがすべて新しい金利になり、利息費用は上がる。倍率は正当化 PER 16.6 倍(ROE 9.7%・g 3.5%・RONIC 8.4%・moat 普通)に対し 0.80 倍の 13.3 倍に置く。
- ルイジアナ(エンタージ・ルイジアナ:電力・ガス):数量 612(収益基盤(億ドル))× 価格 0.23(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 143 億ドル・営業利益 40 億ドル。収益基盤 612 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.234
- アーカンソー(エンタージ・アーカンソー:電力):数量 192(収益基盤(億ドル))× 価格 0.32(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 61 億ドル・営業利益 16 億ドル。収益基盤 192 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.315
- ミシシッピ・テキサス(電力):数量 285(収益基盤(億ドル))× 価格 0.29(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 81 億ドル・営業利益 21 億ドル。収益基盤 285 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.285
- ニューオーリンズ・システム・エナジー・その他:数量 120(収益基盤(億ドル))× 価格 0.18(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 22 億ドル・営業利益 5 億ドル。収益基盤 120 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.18
倍率:正当化 PER 16.6 倍(g 3.5%・RONIC 8.4%=k 7.00%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.7%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.3 倍(8 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8 割。
確率:大口は大きいが一部は縮み、認可と工期の遅れで計画を下回る標準的な筋書き。最も起きやすい。
やや悲観 21% やや悲観:認可が削られ、メタの稼働が縮み、収益基盤の伸びが年 7% 台に落ちる 利益 33 億ドル · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 88.72 ドル424 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 1020 億ドル(10 年で年 8.3%)。ルイジアナ・アーカンソーで許可 ROE が 9% 前後に引き下げられ、投資の一部が回収できなくなる。メタの契約は早期解約の条項で一部が縮み、ガス火力の稼働率が下がる。ルイジアナの追加 7 基は縮小して承認される。データセンターは 2〜3 GW で止まる。ハリケーンと建設費の不回収が重なり、信用指標が格下げの水準に近づく。純利益は約 33.0 億ドル(2025 年の約 1.8 倍)。増資は約 130 億ドルと計画より厚く、配当は維持するが、正味の還元は約 32 億ドルに縮む。倍率は正当化 PER 15.3 倍(ROE 8.1%・g 3.5%・RONIC 7.5%・moat 普通)に対し 0.84 倍の 12.8 倍に置く。
- ルイジアナ(エンタージ・ルイジアナ:電力・ガス):数量 480(収益基盤(億ドル))× 価格 0.24(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 115 億ドル・営業利益 30 億ドル。収益基盤 480 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2392
- アーカンソー(エンタージ・アーカンソー:電力):数量 175(収益基盤(億ドル))× 価格 0.32(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 56 億ドル・営業利益 14 億ドル。収益基盤 175 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.322
- ミシシッピ・テキサス(電力):数量 260(収益基盤(億ドル))× 価格 0.29(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 76 億ドル・営業利益 18 億ドル。収益基盤 260 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2913
- ニューオーリンズ・システム・エナジー・その他:数量 105(収益基盤(億ドル))× 価格 0.18(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 19 億ドル・営業利益 4 億ドル。収益基盤 105 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.184
倍率:正当化 PER 15.3 倍(g 3.5%・RONIC 7.5%=k 7.00%+残る割合 0.50×(事業の ROE 8.1%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.8 倍(8.4 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8.4 割。
確率:手頃さの政治で許可 ROE と認可が削られ、大口の稼働が縮み、増資が厚くなる。21%。
悲観 10% 悲観:契約が崩れ、ガス火力が余り、ハリケーンと建設費の損失でもう優良ではなくなる 利益 27 億ドル · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 35.86 ドル171 億ドル
2035 年末、メタの契約が最初の 4 年のあとに縮み(批判する側は 4 年で抜けられると主張する)、早期解約の違約金は設備費の一部しか賄えない。10 基確保したガス火力の一部が余り、費用は料金に入らない。大型ハリケーンの損失と、アーカンソーのような建設費の不回収が重なり、自己資本は約 40 億ドル毀損する。許可 ROE は 8.5% 前後に下がり、収益基盤は約 880 億ドルにとどまる。純利益は約 27.0 億ドル(2025 年の約 1.5 倍)。増資は約 140 億ドルと、格付けを守るため計画の約 2 倍。倒産には至らず、規制資本が床になり今の自己資本の PBR 1.00 倍で測る。
- ルイジアナ(エンタージ・ルイジアナ:電力・ガス):数量 389(収益基盤(億ドル))× 価格 0.25(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 96 億ドル・営業利益 24 億ドル。収益基盤 389 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.247
- アーカンソー(エンタージ・アーカンソー:電力):数量 164(収益基盤(億ドル))× 価格 0.33(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 55 億ドル・営業利益 13 億ドル。収益基盤 164 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3325
- ミシシッピ・テキサス(電力):数量 233(収益基盤(億ドル))× 価格 0.30(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 70 億ドル・営業利益 16 億ドル。収益基盤 233 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3008
- ニューオーリンズ・システム・エナジー・その他:数量 94.0(収益基盤(億ドル))× 価格 0.19(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 18 億ドル・営業利益 4 億ドル。収益基盤 94 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.19
倍率:悲観の床は今の自己資本に掛ける決まり(SCHEMA §1-3)なので、規制資本の裏付けである今の自己資本 171.4 億ドルに PBR 1.00 倍を掛けた。この筋書きの実現 ROE は 7.6%(純利益 27.0 億ドル ÷ 自己資本 354 億ドル)で、k 7.00% を上回る(式の PBR は ROE÷k = 1.09 倍)が、構造的に負けた会社を自己資本より高くは評価せず、1.0 倍を上限にした。PER に直すと約 6.3 倍。悲観の確率と利益の落ち込みで表したので、倍率でさらに下げてはいない。純利益は GAAP。
確率:メタなどの大口が早期に解約し、余った設備の費用が料金に入らず、大型ハリケーンの損失が重なって自己資本が毀損する確率を 10% と置く。借金が資本の 65% 近い財務で損失の吸収余地が小さい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
ルイジアナ(エンタージ・ルイジアナ:電力・ガス)
ルイジアナ州の発電・送配電・ガス配給。メタのヒュペリオン向けのガス火力 3 基(2,262 MW)と追加 7 基の申請、原子力のウォーターフォード 3 号機を持つ最大の運営会社。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 200 | 0.26 | 52 | 13 |
| 10 年後 中立 | 612 | 0.23 | 143 | 40 |
取り方:収益基盤 約 200 億ドル(推定。会社は全社の収益基盤 46B(繰延税金控除後・建設仮勘定を含む)を図で示すのみで、州別の配分は筆者の推定)、売上 約 52 億ドル(推定)。営業利益 12.5 億ドルは利払い前。メタ向けの大型投資で最も伸びる州。許可 ROE は州の委員会が決め、競合はいない。サザン(ジョージア)が 17 GW 超の契約済みで先を走るのと比べ、エンタージ・ルイジアナは契約済みの受注残を計画に入れた段階。
アーカンソー(エンタージ・アーカンソー:電力)
アーカンソー州の電力。原子力のアーカンソー・ニュークリア・ワン、Jefferson 発電所の建設費の不回収の件を抱える。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 80.0 | 0.35 | 28 | 7 |
| 10 年後 中立 | 192 | 0.32 | 61 | 16 |
取り方:収益基盤 約 80 億ドル(推定)、売上 約 28 億ドル(推定)。燃料と購入電力の転嫁が大きく売上の割に利益は薄い。Jefferson 発電所の建設費の一部が回収できない可能性が残る。競合はいない。
ミシシッピ・テキサス(電力)
ミシシッピ州(アマゾンなどのデータセンター需要)とテキサス州(ヒューストン北部・東部の産業地帯)の電力。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 0.32 | 38 | 9 |
| 10 年後 中立 | 285 | 0.29 | 81 | 21 |
取り方:収益基盤 約 120 億ドル(推定)、売上 約 38 億ドル(推定)。産業向けの販売量が速く伸びる(石油化学・精製・データセンター)。競合はいない。
ニューオーリンズ・システム・エナジー・その他
ニューオーリンズ市の電力・ガス、グランド・ガルフ原発のシステム・エナジー・リソーシズ、親会社の費用。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 0.20 | 12 | 3 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.18 | 22 | 5 |
取り方:収益基盤 約 60 億ドル(推定)、売上 約 12 億ドル(推定)。グランド・ガルフは卸売りで、NRC の「Column 2」の監視下にあり、運転の質に注意。競合はいない。
リスクと懸念
大口契約の集中と解約
販売量の伸びはメタなど少数の大口に偏る。契約は 15〜20 年・最低請求・早期解約の違約金が付くが、批判する側は 4 年で抜けられると主張する。ガス火力の一部が余り、費用が料金に入らない場合は、自己資本が削られる。引き合い 10〜17 GW は確約ではない。
借金と増資に頼る資金繰り
純有利子負債 294 億ドルで時価総額の 62%、自己資本比率 24%、FCF は 2025 年に −28 億ドル。5 年で営業 CF 約 380 億ドルに対し資本計画 670 億ドルで、不足を借金約 320 億ドルと増資約 70 億ドルで賄う。信用指標は格下げの水準に近く、2026 年 4〜6 月期は約 22 億ドルの増資で 1 株利益が前年を下回った。
建設の執行と費用の不回収
アーカンソー委員会は Jefferson 発電所の建設費で、エンタージが立証責任を果たせなかったと判断した。670 億ドルの計画(発電・送電・配電)で同じ種類の不回収が積み上がると、許可 ROE を上回る収益が出ない。ガスタービンの価格は 2019 年比で約 3 倍・納期は 5〜7 年。
原子力の運転
グランド・ガルフは NRC の「Column 2」に分類されて検査と是正措置が強まり、リバーベンドは 2026 年 7 月に予備的な white 判定が出た。停止や是正費用が出ると、配下の会社の収益と信用に響く。
ハリケーンと冬の嵐
メキシコ湾岸の事業で、2026 年 1 月の冬の嵐フェルンだけで約 4.5 億ドル。会社は復旧費を 55% 減らす計画で証券化と準備金を備えるが、大型ハリケーンが連続すれば、回収の遅れが資金繰りと信用を圧迫する。
手頃さの政治と許可 ROE
全米の住宅料金は 2026 年に約 +5%。エンタージの料金は全米平均より低いが、データセンターの費用をどこまで大口が負担するかが各州の争点で、許可 ROE(9〜10%)の引き下げや投資の認可の削減が起きうる。FERC の 2026 年 6 月の MSS-4R の命令も影響が見積れない。
今後の分かれ目
- ルイジアナ州委員会が 2026 年 12 月にメタ向け追加 7 基を承認したら
- 収益基盤の伸びが会社計画に近づき、楽観・やや楽観の確率を 10 年で 5 ポイント上げる。否決・縮小なら、中立の収益基盤を 1 割下げる。
- メタなどの契約が最初の数年で縮み、早期解約の違約金が発動したら
- ガス火力の余りが出て、悲観・やや悲観の確率を 5 ポイント上げる。契約の質(担保・最低請求)の説明が崩れたことになる。
- アーカンソーのような建設費の不回収が他の州にも広がったら
- 許可 ROE を上回る収益が出ず、中立の純利益を 1 割下げ、やや悲観・悲観の確率を各 3 ポイント上げる。
- S&P・ムーディーズが格下げの水準を割り、見通しを下げたら
- 増資が前倒しになり、計画の 70 億ドルを超える。正味の還元が減るので、やや悲観の確率を上げる。
- 2030 年の調整後 1 株利益の見通し(2025 年の約 1.8 倍)が上方に修正されたら
- 計画の外の 10〜17 GW が契約になった証拠で、楽観の確率を 5 ポイント上げる。ただし増資と借金も増えるので、価値の増加は純利益の伸びから増資を引いた正味で見る。
- 10 年国債の利回りが 5% を大きく超えて上がったら(6% 超)
- 借換えコストが利益を圧迫し、倍率が縮む。資本コストの見方を高い側(借金・値決めの目安を悪い側)に寄せる。
見ておくもの
- ルイジアナ州委員会の 2026 年 12 月の追加 7 基の投票
- 大口契約の契約量と最低請求・担保の強さ、メタの稼働の立ち上がり
- 2026〜27 年の調整後 1 株利益が見通し(2025 年比で 2026 年 約 +9%、2027 年 約 +28%)に入るか
- S&P の FFO 対債務・ムーディーズの CFO 対債務と格付けの見通し
- 増資の額と先渡しの決済(41 億ドル確保済み、未決済 約 38 億ドル)
- アーカンソー・ルイジアナ・テキサス・ミシシッピの許可 ROE と料金改定の結果
- グランド・ガルフの NRC の区分、リバーベンドの判定、ハリケーン費用
- 10 年国債 5% の維持
倍率と資本コストの決め方
今の PER(GAAP 26.7 倍)を見る前に、収益基盤を数量、収益基盤あたりの売上を価格として 4 つに分けて積み、純利益を会社の 2028・2030 年の見通しを下敷きに、中立では 1 年遅れ(2030 年の調整後 1 株利益が 2025 年の約 1.6 倍)に置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE − k)(moat 普通・残る割合 1/2)で上限を出し、その 7〜10 割に置いた。k は基本 8.0% に quality −1.00% を足した 7.0%。10 年の中立は ROE 9.7%・g 3.5%(k − 3.5% が上限)・RONIC 8.4% で正当化 PER 16.6 倍、これに対し 13.3 倍(0.80 倍)。10 年の楽観は正当化 PER 17.8 倍に対し 16.4 倍(0.92 倍)、やや悲観は 15.3 倍に対し 12.8 倍(0.84 倍)に置いた。ROE は帳簿の自己資本(のれんが無く、余った現金も無い)で、親会社の借金が自己資本を薄めるため許可 ROE より高く出る。結果は総合で今の時価総額に対し -34%(割高)で、今の株価に寄せて逆算していない。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 5% + β 0.80 × 5%。基本 8.0% + coc.quality -1.00% = 7.00%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 7.00%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。契約の集中・建設の執行・手頃さの政治といった個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益と確率(悲観を 10%)で表す。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 7.00% では g 3.50% が上限。