結論
NRG エナジー(NRG Energy)は、米国のテキサスと東部(PJM など)で発電・電力とガスの小売を営み、2023 年に買収したビビント(Vivint)でスマートホームの月額契約も持つ独立系の会社である。2026 年 1 月 30 日に LS パワーの 13 GW のガス発電と需要応答の CPower を、新株 2,425 万株・現金 約 64 億ドル・引き受け純負債 約 32 億ドルなどで買い、発電設備は約 25.8 GW に倍増した。この新株は台帳の株数(2.11 億株)にすでに入っており、2026 年 6 月 30 日の有利子負債は 232.6 億ドル(FY2025 末の純負債 119 億ドルの約 2 倍)、時価総額 約 219 億ドルの約 1.05 倍の純負債を抱える。
利益の源は 3 つ。卸売発電(テキサスの電力価格と PJM の容量価格で決まる)、小売(価格転嫁の薄い利ざや)、スマートホーム(契約者 245 万・前年比 +8%、EBITDA 約 11 億ドル)。2026 年の調整後 EBITDA の見通しは 53.25〜58.25 億ドルだが、会社自身が「中央値を下回る」と認めた(テキサスの需要・価格の弱さ、冬の嵐フェルンの費用、暖冬)。
バリュー投資の観点では、安定した契約・小売・サブスクリプションが利益の土台になる一方、卸売の山の価格を前提にしないことが大事だ。純利益は株式報酬を費用にした GAAP で、未実現のヘッジの時価評価損益は除いて見る。ならした純利益は 2027 年で約 15〜16 億ドル、今の時価総額は約 14〜15 倍。倍率は利益ベースの正当化 PER(moat=weak)の 7〜10 割に置いた。資本コストは基本 8.0% に品質の上乗せ(循環 +0.5%・値決め力 +0.5%・借金 +1.0%)を足した 10.0%。10 年の中立は正当化 PER 12.0 倍(g 4.0%・RONIC 14.4%)の 7.8 割の 9.4 倍。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 26% 上で、結論は「やや割安」である。悲観の確率と深さを厚くしたうえでも、価格は筋書きの期待より安く出る。ただし借金が重く、結果の振れは大きい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点でこの会社を見ると、「10 年後も事業は存在し、今より強いか」には「存在はするが、強いかは価格と政治しだい」と答える。発電・小売・スマートホームは、電気が要り続ける限り、どれも要る事業だ。しかし卸売発電は価格を決める力が無く、堀は設備の希少性にしか無い。小売とビビントは堀の質が良く、利益の 4 割強(EBITDA で 2026 年 約 22 億ドル)が、成長のたびに設備投資と販売費がかかる。オーナー利益は、純利益(株式報酬を引く、ヘッジの時価評価損益を除く)に減価償却を足し、維持の設備投資を引いて考える。純利益は約 15〜16 億ドル、維持の設備投資は約 8 億ドル(推定)、減価償却は約 19 億ドルで、オーナー利益は 純利益の 1.5〜2 倍と見える。ただし減価償却の多くは買収した無形資産の償却で、10 年のうちに終わるので、永続する利益とは見ない。
安全域は借金で食われる。純負債は 4 倍を超える EBITDA の水準で、時価総額の約 1.05 倍。景気の谷(2008 年に株価 −62%)や価格の暴落が来ると、株主価値は急に縮む。そこで資本コストは基本 8.0% に品質の借金 +1.0% などを足した 10.0% とし、悲観の確率(10 年 16%)と悲観の深さ(10 年は今の時価総額の 2 割台)を厚くして表した。安全域では、利益ベースの正当化 PER 12.0 倍(g 4.0%・RONIC 14.4%・k 10.00%・moat=weak)に対して、10 年の中立を 9.4 倍に置いた。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 26% 上で、結論は「やや割安」である。ただし安全域は借金の分だけ薄く、確信度は中程度。
何で稼ぐ会社か
事業は大きく 3 つに分けて見る。第 1 は卸売発電で、テキサス(ERCOT)、東部(PJM・ニューヨーク・ニューイングランド)、西部のガス・石炭・石油を 約 25.8 GW 持つ。LS パワー分の 13 GW は 18 施設・9 州のガスと二重燃料で、PJM の容量価格に収入が乗る部分が大きい。収入は電力の市場価格・容量収入・ヘッジ(先物売り)の実現価格で決まり、燃料費は転嫁されず発電会社が負う。2026 年の残りはほぼヘッジ済みだが、LS パワーの 2027 年のヘッジは今の市場より安い値段で入っている。
第 2 は小売。リライアント(Reliant)・グリーン・マウンテン・ダイレクト・エナジー・ストリームなどのブランドで、テキサスと東部の家庭と法人に電力とガスを売る。売上の大半(FY2025 の連結売上 307 億ドル)はここだが、仕入れを料金に転嫁するので営業利益率は 4% 前後で、役割は「自社の発電の出口」と「天候・価格の変動の自然なヘッジ」。
第 3 がビビント。契約者 245 万(2026 年 6 月、前年比 +8%)の月額課金で、EBITDA は FY2025 で 10.9 億ドル、4〜6 月期は 3.0 億ドル。配線と機器の初期費用を会社が負い、契約で長期に回収するので、拡大期は設備投資と販売費で FCF が圧縮される。
会社の計画は、2030 年まで調整後 1 株利益を年 14% 以上伸ばす(データセンター除く)、純レバレッジを 3 倍に下げる(目標は 2029 年)、年 10 億ドル以上の自社株買い。加えてテキサスの自社電源方式(BYOP)で 1.2 GW の複合サイクルを建て、ハイパースケーラーに 15 年以上売る(運転開始 2029 年末、投資 32 億ドル・EBITDA 年 5 億ドル以上、最終契約は未了)。
優良さと弱いところ
堀は CEG や VST より薄い。第 1 に、発電設備は原子力でなくガス中心なので、新設の天然ガス(2,000 $/kW 超・タービン納期 5〜7 年)が割高になるほど既存の設備の価値が上がる恩恵は受けるが、希少性は原子力ほど厚くない。第 2 に、小売は規模とブランドで一定の顧客基盤(テキサス・ニューヨークなど)があり、発電と小売の両方を持つ統合モデルは卸売の価格の振れを和らげる。ここが CEG・VST と共通で、独立系の中でも NRG の強みになる。第 3 に、ビビントは月額課金で収益が読みやすく、契約者当たりの利益が高い。ただし ADT・リング・シンプリセーフなどとの競争があり、堀というより「着実に伸びる安定収益」だ。
資本効率は高く見えるが錯覚である。帳簿の ROE が 4 割を超えるのは、自社株買いの累積で自己資本が 2025 年末に 17 億ドルまで縮んだためで、LS パワー後の ROIC は 1 割に届かない。資本配分は株主還元に熱心(FY2025 は買い戻し 13 億ドル・配当 3.4 億ドル)だが、買収(ビビントは企業価値 約 52 億ドル、LS パワーは 約 120 億ドル)で借金を積み上げ、のれんは 2026 年 6 月に 88 億ドル(FY2025 末 50 億ドル)に膨らんだ。経営は M&A で規模を取りに行く方針で、のれんと負債が将来の足かせになりうる。価格を決める力は小売の一部とビビントにあるが、卸売には無い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
独立系発電は、米国の電力需要が 2025 年に過去最高の約 4,195 TWh となり、2026〜27 年も年 +1.9% で増える(データセンターが牽引)追い風の中にいる。2007 年以来の 4 年連続の増加で、新設のガス(2,000〜2,200 $/kW)は 2030〜31 年まで間に合わず、既存の発電所の価値は上がる。PJM の容量オークションは 2028/29 年分が上限の 1 MW・日あたり 325 ドルに 3 年連続で張り付き(上限が無ければ約 555 ドル)、必要量に 6,831 MW 足りない。NRG はここに 2 GW ほどの出力増強の余地を持つ。
一方、テキサスは別の景色だ。ERCOT の電力需要の申請は 474.7 GW(その 9 割がデータセンター)だが、ERCOT 自身が 2030 年の見通しを 208 GW から 138 GW に下げ、州知事は待ち行列の監査を命じた。短期は電池と太陽光で供給過剰気味で、4〜6 月期のヒューストンの昼夜平均価格は 33 $/MWh(会社の計画は 52 $/MWh)、テキサス部門の EBITDA は 3.8 億ドルで前年より 1.3 億ドル減った。テキサスの SB 6 は大口負荷の接続の絞り込みと需給ひっ迫時の遮断を可能にし、データセンターの電力調達のやり方を変える。
競合は VST(テキサス中心)・CEG(原子力、PJM 中心)で、3 社の寡占が続く。NRG の特徴は小売とスマートホームを持つことで、発電会社としての純粋さは劣るが、価格の振れに強い。政治は最大の不確実性で、手頃さ(住宅料金は 2026 年に約 +5%・ニューヨークは +12%)への反発が PJM の価格上限・データセンターの別料金・再規制の議論につながる。独立系にとっては「買収で規模を取る時代」で、NRG の LS パワーも、VST の買収も、CEG–カルパインも同じ潮流にある。
資本政策と M&A
資本配分は「成長に回してから、残りを買い戻す」。自社株買いは 2026 年 7 月末までに累計 9.32 億ドルで、年 10 億ドル以上を続ける(余力があれば増やす)。配当は年約 4 億ドル。借金は 2026 年 6 月末で有利子負債 232.6 億ドル、現金は 1.6 億ドルで、流動性は 53 億ドル(うち信用枠 51 億ドル)。長期の目標は純レバレッジ 3 倍(2028 年を 2029 年にずらした。データセンターを自己資金で建てるため)。「ライトニング」債 15 億ドルはほぼ償還した。優先株は 6.5 億ドル(10.25%)。
M&A はこの会社の歴史そのもので、2020 年代はビビント(2023 年、企業価値 約 52 億ドル)、2026 年の LS パワー(13 GW のガスと CPower、新株 2,425 万株+現金 約 64 億ドル)と続いた。のれんは 88 億ドル。次の買収で借金を積み増す可能性があり、これが 10 年の最大の負け筋の 1 つになる(過去には 2003 年の破産もあった)。データセンターの自社電源方式は 1.2 GW を最大 2.4 GW に増やす計画で、投資 32 億ドルの IRR(税引き前)12〜15%。会社は資本パートナーを探している。2026 年のバージニア州の RGGI(炭素排出の取引制度)復帰は 約 0.7 億ドルの追加費用。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 9.3 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
今の値段は、借金の重さと短期の弱さだけを見た安さである。LS パワーの 13 GW のガスは、2026 年 1 月から 11 か月分が乗るだけで、通年の寄与は 2027 年に出る。テキサスの低迷は電池と太陽光の一時的な供給過剰で、電力需要が年 2% で伸び、ERCOT が 2030 年の見通しを 138 GW に下げてもなお足りなくなる。PJM は容量が 6,831 MW 足りず、価格の上限が 3 年連続で張り付いた。会社の計画では、データセンター除きで調整後 1 株利益が年 14% 以上伸びる(買い戻しで株数が毎年 4〜5% 減る分を含む)。小売とスマートホームの安定収益が、卸売の振れを下支えし、2030 年までに借金は純レバレッジ 3 倍へ下がる。
データセンターの自社電源方式は、投資 32 億ドルで EBITDA 年 5 億ドル以上、税引き前 IRR 12〜15%、収入の 95% を容量支払いで賄う契約構造で、会社は 6 GW 分の長期契約の機会があると言う。1 ブロックずつ増やせば、2035 年までに EBITDA が 15〜25 億ドル積み上がる。今の時価総額はオーナー利益に対して約 8 倍で、株式市場は景気の谷を先取りしている。
慎重な見方
借金が全てを決める。純負債は 230 億ドル超で、EBITDA の 4 倍を超え、金利は借り換えで 5.75% 前後に上がる。利払いは年 13 億ドル規模(推定)に増え、4〜6 月期の調整後 1 株利益は前年同期より 14% 下がった。テキサスは 4〜6 月期に EBITDA が 1.3 億ドル減り、先物も弱く、会社は「中央値を下回る」と認めた。LS パワーの 2027 年のヘッジは市場より安く、2027 年の利益の足を引く。データセンターの契約は「主要条件で合意」の段階で、最終契約も投資決定も未了、顧客の格付けは非開示。ERCOT の申請の多くは確約でなく、州知事が待ち行列の監査を命じた。
PJM の容量価格の上限は政治しだいで、電気料金は +5〜12% 上がっており、上限の恒久化・データセンターの別料金・再規制の議論が出る。のれんは 88 億ドルまで膨らみ、減損の危険がある。前身の NRG は 2003 年に破産し、2008 年に株価が 6 割下がり、2021 年の寒波でも 7.5 億ドル規模の損失と約 10 億ドルの現金流出を出した。GAAP の純利益はヘッジの時価評価で大きくぶれる(FY2025 の損失は 3.5 億ドル)。会社の調整後の数字は、株式報酬と買収の無形資産の償却を足し戻している。買い戻しで自己資本が縮み、帳簿の ROE(4 割)は錯覚だ。
どちらに重みを置いたか
借金と価格の振れは強い論点なので、確率は慎重な側に寄せた(悲観 16%・やや悲観 24%。VST は 14%・20%、CEG は 12%・20%)。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた(10 年の中立 9.4 倍=正当化 PER 12.0 倍の 7.8 割)。今の PER を見て寄せていない。理由は、純負債が重くても利払いは見通しに織り込み済みで、小売とスマートホームが収益の土台になるため。筋書きを確率で重ねた総合は今の時価総額の約 26% 上で、結論は「やや割安」である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 135.93 ドル287 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 123.12 ドル260 億ドル)。 今の値に割り戻すと 128.85 ドル272 億ドル、今との差 +36.5%、 期待の年率 +10.6%(資本コスト 10.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 299.05 ドル631 億ドル | 220.52 ドル465 億ドル | +450.5% | +18.6% | 41.57 ドル88 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 203.18 ドル429 億ドル | 167.68 ドル354 億ドル | +292.9% | +14.7% | 66.75 ドル141 億ドル |
| 中立 | 34% | 150.43 ドル317 億ドル | 141.75 ドル299 億ドル | +209.6% | +12.0% | 99.34 ドル210 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 86.68 ドル183 億ドル | 106.49 ドル225 億ドル | +104.7% | +7.4% | 46.36 ドル98 億ドル |
| 悲観 | 16% | 21.75 ドル46 億ドル | 9.62 ドル20 億ドル | −66.8% | −10.4% | 5.02 ドル11 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 135.93 ドル287 億ドル | 123.12 ドル260 億ドル | +174.5% | +10.6% | 259.04 ドル547 億ドル |
今の株価時価総額 94.38 ドル199 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:希少性が続き、データセンターのブロックが積み上がる 利益 54 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 299.05 ドル631 億ドル
電力需要が年 2% 超で伸び続け、新設のガスが 2,000 $/kW 超・納期 5〜7 年のままで、既存のガス発電の価値は新設費に近づく。卸売の実現価格は 112 $/MWh(2025 年の 66 から年 +5.4%)、発電量は 142 TWh(データセンター向けの自社電源が 3 ブロック・3.6 GW 稼働し、出力増強も進む)。ビビントは契約者が 440 万に伸び、小売は物価並みに値上げする。2035 年の調整後 EBITDA は約 119.1 億ドル、純利益は約 53.7 億ドル(2026 年の約 3.5 倍)。レバレッジ 3 倍を保ち、純負債は 357 億ドルへ増えるが、自社株買いは累計 450 億ドルを超える。金額は会社全体の値で、増資は無い。式の ROIC(約 20%)は設備の拡大で薄まる。倍率は 正当化 PER 13.1 倍に対して 11.8 倍(9.0 割)に置いた(データセンター契約と LS パワーの効果で ROIC が高いが、価格を決めるのは市場と政治で景気の山の利益になりやすく、堀は弱い(moat=weak)ので上限の 9.0 割)。
- 卸売発電:数量 142(発電量(TWh))× 価格 112(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量。燃料費を含む総額))→ 売上 159 億ドル・営業利益 62 億ドル。発電量×実現価格
- 小売電力・ガス:数量 220(販売量(電力換算 TWh))× 価格 176(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 387 億ドル・営業利益 16 億ドル。電力換算の販売量×売値
- スマートホーム(ビビント):数量 4.4(契約者数(百万))× 価格 1,740(1 契約者あたりの年間売上(ドル))→ 売上 77 億ドル・営業利益 18 億ドル。契約者×年間売上
倍率:正当化 PER 13.1 倍(g 4.0%、RONIC 18.4%=k 10.00%+残る割合 0.33×(事業の ROE 35.3%−k)、moat=weak。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 11.8 倍(9.0 割)に置いた。データセンター契約と LS パワーの効果で ROIC が高いが、価格を決めるのは市場と政治で景気の山の利益になりやすく、堀は弱い(moat=weak)ので上限の 9.0 割。g の内訳:電力需要の実質 +0.7〜1.0% × シェア 0 × 価格(物価 3.5% に対し新設ガス・電池が価格を押さえて実質 −0.7〜0%)で、名目の長期 g は 3.0〜4.5% で、式では k−g≥3.5% の守りで 4.0% に置いた。純利益は GAAP の考え方。式の ROE は帳簿(自社株買いで自己資本が縮み、y10 ではマイナス)でなく、ROIC +(ROIC − 借入金利の税引き後 4.5%)× 純負債÷自己資本(1 倍まで)で出した値を使う(SCHEMA_US §1)。検査は帳簿の自己資本で測るので、y10 では自己資本がマイナスの筋書きの上限は検査に出ない。
確率:需給のひっ迫が続き、価格の上限が外れ、データセンターの契約が予定どおり積み上がる、の同時成立。借金と M&A の失敗の確率を考えると、CEG の 10% より低い。
やや楽観 18% やや楽観:契約が積み上がり、価格は物価を少し上回る 利益 41 億ドル · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 203.18 ドル429 億ドル
テキサスと東部の需給がひっ迫し、卸売の実現価格は 98 $/MWh(年 +4.5%)、発電量は 135 TWh(データセンターの自社電源 2〜3 ブロック)。PJM の容量価格は 300〜350 $/MW・日で安定する。ビビントは契約者が 410 万に伸び、契約者当たりの売上は物価並みに上がる。小売は物価並みに値上げする。2035 年の調整後 EBITDA は約 98.3 億ドル、純利益は約 40.6 億ドル。会社の計画(調整後 1 株利益が年 14% 以上)の約 8 割の進み方で、買い戻しが年 4% の株数減を支える。純負債は 295 億ドル(約 3 倍)。倍率は 正当化 PER 12.4 倍に対して 10.6 倍(8.5 割)に置いた(ROIC は高めだが借金が重く利益の振れが大きいので上限の 8.5 割)。
- 卸売発電:数量 135(発電量(TWh))× 価格 98(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量。燃料費を含む総額))→ 売上 132 億ドル・営業利益 45 億ドル。発電量×実現価格
- 小売電力・ガス:数量 212(販売量(電力換算 TWh))× 価格 174(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 369 億ドル・営業利益 14 億ドル。電力換算の販売量×売値
- スマートホーム(ビビント):数量 4.1(契約者数(百万))× 価格 1,700(1 契約者あたりの年間売上(ドル))→ 売上 70 億ドル・営業利益 15 億ドル。契約者×年間売上
倍率:正当化 PER 12.4 倍(g 4.0%、RONIC 15.7%=k 10.00%+残る割合 0.33×(事業の ROE 27.2%−k)、moat=weak。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 10.6 倍(8.5 割)に置いた。ROIC は高めだが借金が重く利益の振れが大きいので上限の 8.5 割。g の内訳:電力需要の実質 +0.7〜1.0% × シェア 0 × 価格(物価 3.5% に対し新設ガス・電池が価格を押さえて実質 −0.7〜0%)で、名目の長期 g は 3.0〜4.5% で、式では k−g≥3.5% の守りで 4.0% に置いた。純利益は GAAP の考え方。式の ROE は帳簿(自社株買いで自己資本が縮み、y10 ではマイナス)でなく、ROIC +(ROIC − 借入金利の税引き後 4.5%)× 純負債÷自己資本(1 倍まで)で出した値を使う(SCHEMA_US §1)。検査は帳簿の自己資本で測るので、y10 では自己資本がマイナスの筋書きの上限は検査に出ない。
確率:需要が現実になり、政治の抑え込みが限定的で、データセンターのブロックが増える。ただし新設のガスと電池で価格の上限がある。
中立 34% 中立:希少性は保たれるが、新設・電池が価格の上昇を押さえる 利益 34 億ドル · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 150.43 ドル317 億ドル
卸売の実現価格は 90 $/MWh(年 +3.2%、物価 3.5% を下回る。ガスの新設とテキサスの電池・太陽光が価格を押さえる)、発電量は 128 TWh(データセンター向けの自社電源 2 ブロック・2.4 GW の稼働と出力増強)。PJM の容量価格は 250〜300 $/MW・日。小売は 206 TWh・172 $/MWh で営業利益率 3.6%。ビビントは契約者が 390 万(年 4% の伸びに落ち着く)、契約者当たり 1,680 ドル、営業利益率 21%。2035 年の調整後 EBITDA は約 87.6 億ドル、純利益は約 33.8 億ドル(2026 年の約 15 億ドルから年 10%)。純負債は 263 億ドルでレバレッジ 3 倍。配当は年 4.5% で増え、自社株買いは年 10 億ドルから 50 億ドルへ増え、10 年の正味の還元は約 299.1 億ドル。倍率は 正当化 PER 12.0 倍に対して 9.4 倍(7.8 割)に置いた(希少性は保たれるが、新設ガス・電池が価格を押さえ、借金が筋書きの振れを増幅するので上限の 7.8 割弱(1÷k が床))。
- 卸売発電:数量 128(発電量(TWh))× 価格 90(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量。燃料費を含む総額))→ 売上 115 億ドル・営業利益 37 億ドル。発電量×実現価格
- 小売電力・ガス:数量 206(販売量(電力換算 TWh))× 価格 172(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 354 億ドル・営業利益 13 億ドル。電力換算の販売量×売値
- スマートホーム(ビビント):数量 3.9(契約者数(百万))× 価格 1,680(1 契約者あたりの年間売上(ドル))→ 売上 66 億ドル・営業利益 14 億ドル。契約者×年間売上
倍率:正当化 PER 12.0 倍(g 4.0%、RONIC 14.4%=k 10.00%+残る割合 0.33×(事業の ROE 23.2%−k)、moat=weak。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 9.4 倍(7.8 割)に置いた。希少性は保たれるが、新設ガス・電池が価格を押さえ、借金が筋書きの振れを増幅するので上限の 7.8 割弱(1÷k が床)。g の内訳:電力需要の実質 +0.7〜1.0% × シェア 0 × 価格(物価 3.5% に対し新設ガス・電池が価格を押さえて実質 −0.7〜0%)で、名目の長期 g は 3.0〜4.5% で、式では k−g≥3.5% の守りで 4.0% に置いた。純利益は GAAP の考え方。式の ROE は帳簿(自社株買いで自己資本が縮み、y10 ではマイナス)でなく、ROIC +(ROIC − 借入金利の税引き後 4.5%)× 純負債÷自己資本(1 倍まで)で出した値を使う(SCHEMA_US §1)。検査は帳簿の自己資本で測るので、y10 では自己資本がマイナスの筋書きの上限は検査に出ない。
確率:議論の落としどころ。電力需要は伸びるが、新設・電池・政治が価格を押さえ、10 年の純利益の伸びは年 10%(借金の返済・データセンターの 2 ブロック・ビビントの成長の合計)にとどまる。
やや悲観 24% やや悲観:価格の上限が定着し、卸売の利ざやが薄い 利益 21 億ドル · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 86.68 ドル183 億ドル
PJM の容量価格の上限が恒久化し、テキサスは電池と太陽光の過剰が長引いて、卸売の実現価格は 80 $/MWh(年 +1.9%、実質で年 −1.6%)にとどまる。データセンターは 1 ブロックだけが稼働する程度で、発電量は 120 TWh。ビビントは競争で契約者が 360 万に伸びが鈍り、小売は競争で利ざやが 3.1% に薄い。2035 年の調整後 EBITDA は約 69 億ドル、純利益は約 20.9 億ドル(2026 年の約 15 億ドルから年 4%)。純負債は 235 億ドル(約 3.4 倍)。自社株買いは年 6 億ドル前後に絞る。倍率は 正当化 PER 11.1 倍に対して 8.8 倍(7.9 割)に置いた(価格が伸びず ROIC が資本コストに近づくので、上限の 7.9 割)。
- 卸売発電:数量 120(発電量(TWh))× 価格 80(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量。燃料費を含む総額))→ 売上 96 億ドル・営業利益 25 億ドル。発電量×実現価格
- 小売電力・ガス:数量 200(販売量(電力換算 TWh))× 価格 166(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 332 億ドル・営業利益 10 億ドル。電力換算の販売量×売値
- スマートホーム(ビビント):数量 3.6(契約者数(百万))× 価格 1,560(1 契約者あたりの年間売上(ドル))→ 売上 56 億ドル・営業利益 10 億ドル。契約者×年間売上
倍率:正当化 PER 11.1 倍(g 4.0%、RONIC 11.9%=k 10.00%+残る割合 0.33×(事業の ROE 15.8%−k)、moat=weak。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 8.8 倍(7.9 割)に置いた。価格が伸びず ROIC が資本コストに近づくので、上限の 7.9 割(1÷k×0.95 が床)。g の内訳:電力需要の実質 +0.7〜1.0% × シェア 0 × 価格(物価 3.5% に対し新設ガス・電池が価格を押さえて実質 −0.7〜0%)で、名目の長期 g は 3.0〜4.5% で、式では k−g≥3.5% の守りで 4.0% に置いた。純利益は GAAP の考え方。式の ROE は帳簿(自社株買いで自己資本が縮み、y10 ではマイナス)でなく、ROIC +(ROIC − 借入金利の税引き後 4.5%)× 純負債÷自己資本(1 倍まで)で出した値を使う(SCHEMA_US §1)。検査は帳簿の自己資本で測るので、y10 では自己資本がマイナスの筋書きの上限は検査に出ない。
確率:政治の抑え込みと供給過剰が 2〜3 割の確率で起こり、10 年では累積する。借金が重く、利益の下振れが株主価値に増幅して効く。
悲観 16% 悲観:構造的に負ける(再規制・需要の幻・供給過剰) 利益 7 億ドル · PER 6.2 倍 · 株価時価総額 21.75 ドル46 億ドル
PJM 域内で発電を規制公益に戻す再規制、または価格規制・補助つき調達が実現し、独立系の卸売の価値が構造的に下がる。データセンターの需要は想定の半分しか実現せず、新設のガスと電池が過剰供給となって、卸売の実現価格は 62 $/MWh(年 −0.6%)。発電量は 108 TWh、営業利益率は 14%。小売の利ざやは 2%、ビビントの契約者は 300 万。2035 年の調整後 EBITDA は約 42.7 億ドル、純利益は約 7.4 億ドル。のれん 88 億ドルのうち約 40 億ドルを減損し、自己資本を 89 億ドルへ縮める。余った現金は借金の返済に回し、純負債は 86 億ドルへ減る。もう優良ではなくなっている。ROIC は約 4% で借入金利(税引き後 4.5%)を下回り、式の PER は 6.2 倍、時価総額は今の約 21%。EBITDA の約 3.4 倍で、2009 年の底(約 5 倍)より低いのは、ROIC が借入金利を下回って価値を壊しているため。
- 卸売発電:数量 108(発電量(TWh))× 価格 62(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量。燃料費を含む総額))→ 売上 67 億ドル・営業利益 9 億ドル。発電量×実現価格
- 小売電力・ガス:数量 190(販売量(電力換算 TWh))× 価格 155(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 295 億ドル・営業利益 6 億ドル。電力換算の販売量×売値
- スマートホーム(ビビント):数量 3.0(契約者数(百万))× 価格 1,350(1 契約者あたりの年間売上(ドル))→ 売上 41 億ドル・営業利益 4 億ドル。契約者×年間売上
倍率:ROE は ROIC から出した 3.9%。帳簿の自己資本 ROE は自社株買いで自己資本が縮み、意味を持たない(帳簿では 6%)ので使わない。ROIC = 税引き後営業利益 12.4 ÷ 投下資本 298 億ドル(2026 年 6 月の自己資本 49+純負債 231 に、期間の成長投資を足した)= 4.2%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−税 24%)=4.5%)× 1 倍 = 3.9%。g は 市場の実質 +0.3%・シェア −0.5%・価格は物価より実質 −1.3% で 3.5% + 0.3% − 0.5% − 1.3% = 2.0%(成長を ROE から出さない)。k 10%。式 PER = (1 − g÷ROE)÷(k − g) = (1 − 2.0%÷3.9%)÷(10% − 2.0%) = 約 6.1 倍(来年の利益に対する倍率)。2035 年の利益に掛けるので ×(1+g) で約 6.2 倍、6.2 倍とした。k − g は 8.0% で 2.5% 以上。純利益は GAAP(株式報酬は費用)で、未実現のヘッジの時価評価損益は除いた(年ごとに正負へ大きくぶれ平均は戻るため)。 構造的に負けた姿で、ROIC(約 4%)が借入金利(税引き後 4.5%)を下回り、価値を壊しているので式の倍率が低い。EBITDA の約 3.4 倍は 2009 年の底(約 5 倍)より低いが、のれん約 40 億ドルの減損を入れて自己資本 80 億ドルに対し PBR は約 0.6 倍。この筋書きの確率は 16%。
確率:独立系の存立が政治に左右され、前身の破産(2003 年)・TXU の前身の破産(2014 年)・2021 年の寒波の前例と、NRG の借金(EBITDA の 4 倍)から 16%。VST の 14%・CEG の 12% より厚い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
卸売発電
テキサス・東部(PJM など)・西部の約 25.8 GW のガス・石炭などの卸売。LS パワー分 13 GW を含む。電力・容量・長期契約の収入。
| 数量発電量(TWh) | 価格実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量。燃料費を含む総額) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 105 | 66 | 69 | 20 |
| 10 年後 中立 | 128 | 90 | 115 | 37 |
取り方:LS パワーの 13 GW を通年で足した 2025 年の見立て(実績でなく推定)。LS パワー前の約 13 GW が約 55 TWh・実現価格 70 $/MWh(営業利益 約 14 億ドル)、LS パワー分が約 50 TWh・約 62 $/MWh(EBITDA 約 12 億ドル・減価償却 約 6 億ドルで営業利益 約 6 億ドル)。売上は小売への内部販売を含む総額。
小売電力・ガス
リライアント・グリーン・マウンテン・ダイレクト・エナジーなどで、テキサス・東部の家庭と法人に電力・ガスを売る。CPower の需要応答もここに含める。
| 数量販売量(電力換算 TWh) | 価格1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 190 | 122 | 232 | 9 |
| 10 年後 中立 | 206 | 172 | 354 | 13 |
取り方:FY2025 の連結売上 307 億ドルから、ビビントの売上(約 27 億ドル)と発電の外部売りを引いた残りを小売とし、電力換算 190 TWh・122 $/MWh(推定)。営業利益率 3.7%。仕入れを料金に転嫁する事業。
スマートホーム(ビビント)
家庭向けのスマートホーム・警備の月額契約。契約者 約 245 万(2026 年 6 月)。
| 数量契約者数(百万) | 価格1 契約者あたりの年間売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.3 | 1,180 | 27 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3.9 | 1,680 | 66 | 14 |
取り方:2025 年の平均契約者数 約 2.3 百万(2026 年 6 月 2.45 百万・前年比 +8% から逆算)、売上は約 27 億ドルと推定。EBITDA 10.92 億ドルから減価償却 約 6.5 億ドル(買収した無形資産の償却を含む)を引いて営業利益 約 4.4 億ドル(推定)。
リスクと懸念
借金とレバレッジ
有利子負債は 232.6 億ドル(2026 年 6 月)で、純負債は EBITDA の約 4.1 倍、時価総額の約 1.05 倍。目標の 3 倍に下げるのは 2029 年で、データセンターの自社電源(投資 32 億ドル)を自己資金で建てるため遅れた。借り換えで金利が上がると利払いが年 13 億ドル規模を超え、景気の谷では格下げ・自社株買いの停止・配当の削減が重なる。株主価値は借金の分だけ増幅して振れる。
PJM の容量価格の上限と再規制
容量価格の上限(1 MW・日あたり 325 ドル)は 2029/30 年分までの措置で、延長・恒久化・データセンターの別枠調達・発電を規制公益に戻す議論が出ている。電気料金は 2026 年に住宅で約 +5%・ニューヨークで +12% 上がっており、政治の反発が強い。東部(LS パワー分の約 13 GW が中心)の利益に直撃する。
テキサスの供給過剰と大口負荷の絞り込み
電池・太陽光で ERCOT の価格は低く、4〜6 月期のヒューストン平均は 33 $/MWh(計画は 52)で、テキサス部門の EBITDA は前年から 1.3 億ドル減った。SB 6 は大口負荷の接続の絞り込み・遮断を可能にし、申請 474.7 GW の多くは確約でない。データセンターの最終契約が遅れる・流れる危険がある。
のれんの減損と M&A の失敗
のれんは 88 億ドルで、LS パワーとビビントの買収で積み上がった。想定した利益が出なければ減損となり、自己資本が縮んで格付けと借入条件が悪化する。次の買収も借金で行う方針なので、のれんと負債の積み上がりが続く。
寒波・猛暑の緊急対応
2021 年 2 月の寒波では 7.5 億ドル規模の損失と約 10 億ドルの現金流出を出した。2026 年 1 月の冬の嵐フェルンでも東部で供給費用が増えた。ヘッジの不足や設備の停止で、数億ドル単位の損失が 1 年で起こりうる。
ヘッジの時価評価と利益の読みづらさ
未実現のヘッジの時価評価損益は FY2025 で −3.5 億ドル。GAAP の純利益は年ごとに正負へ大きくぶれ、会社の調整後の数字は株式報酬と買収の無形資産の償却を足し戻す。LS パワーの 2027 年のヘッジは今の市場より安く、2027 年の利益の足を引く。
ビビントの競争とサブスクリプションの設備投資
ADT・リング・シンプリセーフなどとの競争で、契約者の獲得費用が上がり、契約者当たりの利益が薄まる危険がある。拡大期は機器の設備投資と販売費で FCF が圧縮されるので、契約者の伸び(年 +8%)が鈍ると、EBITDA(FY2025 で約 11 億ドル)の伸びも止まり、買収したのれんの裏づけが弱くなる。
今後の分かれ目
- PJM の価格上限が 2029/30 年分の後も恒久化される
- 容量収入の上振れが消え、東部の利益が大きく縮む。やや悲観・悲観の確率を上げ、10 年の純利益を 1〜2 割下げて見る。
- データセンターの自社電源方式(1.2 GW)の最終契約と投資決定が 2027 年に済む
- 運転開始 2029 年末・EBITDA 年 5 億ドル以上が見え、10 年の中立が楽観寄りに動く。資本パートナーが入れば、借金の負担が軽くなる。
- テキサスの価格が 2027 年も計画を下回り、LS パワーのヘッジの足かせが残る
- 2027 年の EBITDA は 2026 年から伸びず、10 年の中立を 1 割下げて見る。自社株買いは 10 億ドルの最低水準になり、借金の返済が優先される。
- 景気後退で天然ガスと卸電力が急落し、格下げが起こる
- 10 年の悲観に近づく。借り換え金利が上がり、自社株買いと配当が止まる。ならした純利益に谷の PER(4.8〜6.2 倍)を当てる形で、時価総額は 6〜7 割下がる。
- 次の大型買収を借金で行う
- のれんと負債が増え、レバレッジ 3 倍の目標が 2030 年以降にずれる。買収が価値を壊さなければ中立、壊せば悲観の確率を上げる。
- PJM で出力増強(約 2 GW)が容量オークションで落札される
- 卸売の EBITDA が増える。1 kW あたりの費用は新設(2,700 $/kW)より低くて早いので、中立から楽観への上振れになる。
見ておくもの
- テキサスの価格(ヒューストンの昼夜平均)と、2027 年のヘッジの足かせの大きさ(2026 年 7〜9 月期決算で 2027 年の見通しが出る)
- データセンターの自社電源方式の最終契約・投資決定・顧客の格付け・資本パートナーの有無
- PJM の容量オークション(2029/30 年分・2026 年 12 月)と価格の上限の延長の可否、出力増強(約 2 GW)の落札
- 純負債と純レバレッジ(目標 3 倍)、格付けの見通し、自社株買いの水準(年 10 億ドルの最低水準を守れるか)
- ビビントの契約者数(245 万・前年比 +8%)と契約者当たりの売上・EBITDA(3.0 億ドル/四半期)
- ヘッジの時価評価損益と GAAP の純利益、調整後との差、のれんの減損の有無
- ERCOT の大口負荷の規則(SB 6)と待ち行列の監査、天然ガス価格とガスタービンの供給
倍率と資本コストの決め方
今の株価・PERを見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決め、倍率は利益ベースの正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g)(RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k)、moat=weak)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 12.0 倍(g 4.0%・RONIC 14.4%・k 10.00%)の 7.8 割の 9.4 倍。自己資本が縮んで帳簿の ROE が使えないので、式の ROE は ROIC から出した。悲観は式の倍率と稼ぐ力から置き、過去の PBR は使っていない。今の値段に寄せていない。結論は、総合で今の時価総額の約 26% 上の「やや割安」。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 5% + β 1.36 × 5%。基本 8.0%(米国)+ quality +2.0% = 10.0%。内訳は循環 +0.5%(卸売発電と小売は市況と天候で利益が大きく振れる)、値決め力 +0.5%(価格は市場と PJM の容量価格の上限など政治が決める)、借金 +1.0%(純負債は EBITDA の 4 倍超。LS パワーの買収後は有利子負債が 233 億ドルと約 2 倍で、借換え金利 5.75% が利益を削る)、寿命 0。存続を疑うほどではなく上乗せ 0。個別のリスク(PJM の政治・テキサスの供給過剰・M&A)は k に足さず、悲観の確率を厚く(16%)し、悲観を深く(10 年で今の時価総額の 2 割台)して表した。
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読んだ資料
- NRG エナジー 2026 年 6 月期の 10-Q(株数・負債・自己資本・のれん)
- NRG エナジー 2025 年通期決算(8-K。2026 年の見通し・セグメント別 EBITDA)
- NRG エナジー 2026 年 4〜6 月期の決算説明会(データセンター・見通し・自社株買い)
- LS パワーの 13 GW の買収完了(2026-01-30)
- PJM 容量オークション 2028/29 年分(Sierra Club)
- ERCOT の見通しと大口負荷の待ち行列(Utility Dive)
- 今の株価(2026-10-06・約 103.6 ドル)
- NRG の 2030 年までの見通し(調整後 1 株利益 年 14% 以上)