結論
センターポイント・エナジー(CNP)は、テキサス(ヒューストン一帯の送配電会社ヒューストン・エレクトリックとテキサス・ガス)、インディアナ(垂直統合の電力と北・南インディアナのガス)、ミネソタ(ガス)で 700 万件超の顧客に電気とガスを届ける規制公益で、オハイオのガス事業は 2026 年 10 月 1 日にナショナル・フューエル・ガス(National Fuel Gas)へ 26.2 億ドルで売却を終えた。2025 年の GAAP の純利益は 10.5 億ドル(非 GAAP 11.6 億ドル。差は償還損・売却損・ZENS の時価変動など)、2026 年の 1 株利益は非 GAAP で前年比約 8% の見通し。
成長の核はヒューストンの電力需要で、確約済みの新規負荷は 12.2 GW、ERCOT の Batch Zero に出した 17 GW 超のうち約 14 GW が 2031 年までの通電見込み(現在のピーク 21 GW に対し 65% 超)。10 年計画は 667 億ドルで、うちヒューストンの送配電が 6 割を占め、レートベースは 2030 年まで年 11% 超で伸びる計画。会社は 1 株利益を年 7〜9% で 2035 年まで伸ばす目標を掲げる。
バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8.0% に quality -0.75% を足した 7.25%(公益の規制事業で需要と値決めは安定、借金は重い)。倍率は利益ベースの正当化 PER(moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 16.5 倍(g 3.7%・RONIC 8.9%)の 8.3 割の 13.7 倍。今の GAAP の PER 25 倍は、この水準を上回る。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 23% 下で、結論は「やや割高」である。弱みは、純有利子負債 230 億ドル・自己資本比率 23%・FCF の赤字が続く財務、10 年で約 40 億ドルの増資、ムーディーズのネガティブ見通し、ハリケーンの停電と手頃さの政治、大口負荷の確度(引き合いと確約の差)である。事業の質は中の上で、成長の速さと借金・増資で成長を買う構造を筋書きと確率に織り込み、今の時価総額との差は計算に任せる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。ヒューストンの送配電の独占は、電化とデータセンターで今後 10 年も確実に残り、堀は広がる側にある。ただし堀の大部分は PUCT と州の手にあり、価格を決める力は無い。ハリケーン・ベリルの停電への批判がその現れで、成長が大きいぶん認可の政治も重い。
次にオーナー利益を見る。2025 年の GAAP 純利益 10.5 億ドルに対し配当は約 5.8 億ドルだが、FCF は −24 億ドルで、不足は借金と増資で埋めている。10 年の中立では増資の払い込み(約 40 億ドル)を引いた正味の還元は約 48 億ドルで、配当(約 88 億ドル)の 5 割強にとどまり、株主の価値の増加はレートベースの年 9% の伸びの先にしかない。
資本配分は規制の枠の中でよく、資産の整理(オハイオ・ルイジアナ・ミシシッピ)でレートベースの 1.9 倍の値段で売ったのは筋がよい。ただし 10 年で 667 億ドルを投じ、純負債が時価総額の約 87% ある構造は、工期・費用・認可の失敗と金利に弱い。安全域は、資本コストを 7.25%(基本 8.0% + quality -0.75%)と置き、悲観の確率を 10 年 13% と厚くして確保した。確信度は送配電の部分では高いが、大口負荷の確度と増資の時期では低い。優良な事業を安く買えるかは、最後は計算で判断する。安全域では、利益ベースの正当化 PER 16.5 倍(g 3.7%・RONIC 8.9%・k 7.25%・moat=normal)に対して、10 年の中立を 13.7 倍に置いた。今の PER 25 倍はこれより高く、安全域はない。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 23% 下で、結論は「やや割高」である。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 本柱と本社。第 1 はヒューストン・エレクトリック(ヒューストン一帯の送電と配電)。2026 年のレートベースは約 185 億ドルで、全社の半分超を占め、許可 ROE 9.65%・自己資本比率 43.25%。ここが成長の源泉で、10 年の投資 667 億ドルのうち 419 億ドルを占め、送電と配電をあわせると電力で 10 年に 464 億ドル(送電 188・配電 226 億ドル等)を投じる。ピーク需要は現在 21 GW で、2029 年までに約 5 割増える見通し。2026 年 11 月に 0.73 億ドルの料金増収を見込む。
第 2 はインディアナ電力(垂直統合)で、レートベースは約 31 億ドル、許可 ROE 9.8%・自己資本比率 48.3%。石炭火力の入れ替えが課題で、DOE の緊急命令(202(c))により F.B. カルバー 2 号機を動かし続けており、費用の回収は FERC と州で求めている。第 3 はガス配給(テキサス・ガス、ミネソタ、北・南インディアナ。オハイオは売却)で、10 年投資は 190 億ドル規模、テキサス・ガスは 2026 年 6 月に 0.62 億ドルの新料金が入った。
利益は「レートベース × 自己資本比率 × 許可 ROE」で決まる。売上の多くを占める燃料・ガスの調達費は料金で転嫁するので売上と利益は別物。セグメント別の売上 94 億ドルの内訳(ヒューストン 約 43・インディアナ電力 約 15・ガス 約 36 億ドル)と営業利益は、全社の売上と営業利益 21 億ドルに合わせた推定で、レートベースも会社の 2026 年予想(全社 約 330 億ドル)から逆算した推定。本社他は持株会社の借金の利払いと ZENS(2029 年満期 2.0% のノート)が中心。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は地域独占で、ヒューストンの送配電に競合は無く、電力需要が増えるほど投資が認可される。第 2 は需要の質で、確約済みの大口負荷 12.2 GW は 90% が 0.5 GW 以下の約 20 件・十数社に分かれ、特定の顧客に偏らない(会社の説明)。大口が固定費を払う設計なら、既存の顧客の料金は下がる(10 年で 50 億ドル以上の引き下げと会社は見積もる)。第 3 は規制の素直さで、許可 ROE は 9.65〜9.8% と同業並みで、電力の成長地域に属する。
弱みは 5 つ。第 1 に財務で、純有利子負債は時価総額の約 87%・自己資本比率 23%・FCF は 2025 年に −24 億ドル、FFO/債務は 13.4%(2026 年 6 月末)でムーディーズの見通しはネガティブ。第 2 に 10 年で約 40 億ドルの増資(うち約 11 億ドルは先渡し売却で 2027 年 2 月までに決済、2028〜35 年に約 30 億ドル)。第 3 に 2024 年のハリケーン・ベリルの停電への批判で、レジリエンス投資の認可が手頃さの政治と衝突する。第 4 に大口負荷の確度で、ERCOT の審査待ち約 3 GW とバッチ処理の遅れが利益の時期を動かす。第 5 に利益の質で、GAAP は非 GAAP より 1 億ドル前後低い(償還損・売却損・ZENS の時価変動)。
資本効率は GAAP の自己資本 ROE 9.4%(2025 年)で、同業並み。持株会社の借金が厚く、帳簿の ROE は許可 ROE(9.65〜9.8%)をわずかに下回る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
CNP の事業地域は、ERCOT(テキサスの独立した電力網)と、インディアナ・ミネソタの規制市場にまたがる。最大の変化はヒューストンの大口負荷で、会社の確約済みは 12.2 GW(2026 年 4 月)、うち 3.5 GW が建設中、2029 年までにデータセンターだけで 8 GW が通電する見通しだった。2026 年 7 月には Batch Zero に 17 GW 超を出し、約 14 GW が対象になる見込みで、ピーク需要は 2029 年までに約 5 割(30 GW 超)増える。ただし ERCOT の約 3 GW は研究の完了待ちで、ERCOT 全体では申請 474.7 GW の 9 割がデータセンターで、ERCOT 自身が 2030 年の見通しを切り下げた前例がある。
規制は、テキサスの公益事業委員会(PUCT)がヒューストン・エレクトリックの料金を決め、2025 年に成立した州法(SB6)などで大口負荷の接続の規則が整い始めた。手頃さの政治は、東海岸より弱いが、2024 年のハリケーン・ベリルの停電でヒューストンの電力会社への信頼は傷ついた(約 12 億ドルの証券化で費用を回収)。大口負荷が固定費を負担して一般の顧客の料金が下がる設計が、手頃さと成長を両立させる鍵になる。
競争は、地域では無いが、データセンターの誘致では ERCOT の隣接地域(オンコア、AEP テキサス)、インディアナでは NIPSCO(ナイソース)や AES インディアナと、立地と電力の確保を争う。ガス配給は成熟市場で、投資は老朽管の更新が中心。業界全体では、タービンの高騰・納期(5〜7 年)が新設の電源の費用を押し上げ、既存の電源と送電網の価値が上がっている。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、配当(1 株配当は年 6% 成長の目標、非 GAAP 利益の約 5 割)と、借金・資産売却・株式による資金調達。10 年計画 667 億ドルのうち約 65% を営業キャッシュフローで賄い、残りは借金(借り換えは年 5.75% 前後)、資産の整理、約 40 億ドルの普通株で埋める。株式は 2026〜35 年に約 40 億ドルで、うち約 11 億ドルは先渡し売却で 2027 年 2 月までに決済、2028〜35 年に約 30 億ドル(2027 年までは追加なし)。会社全体の時価総額で書くので、増資の払い込みは還元から引いた。
資産の整理は 2025 年のルイジアナ・ミシシッピのガス事業(売却損 0.37 億ドル)と 2026 年 10 月 1 日のオハイオのガス事業(26.2 億ドル、レートベースの約 1.9 倍。受取は 2026 年 14.2 億ドルと 2027 年 12.0 億ドルの売り手ノート 6.5%)で、手元を厚くして計画の資金に充てる。2024 年のハリケーン・ベリルは約 12 億ドルを証券化で回収した。
M&A の歴史は、2019 年のヴェクトレン(Vectren)買収でインディアナの電力とガスを加え、その後は 2022 年のアーカンソー・オクラホマのガス事業とミッドストリーム(エネーブル)の持ち分の売却、2025 年のルイジアナ・ミシシッピ、2026 年のオハイオと、規制の送配電への集中を進めてきた。売却で借金を減らしながら、成長の資金は増資で補う計画で、統治は規制事業への集中を実行したことが評価される一方、増資を伴う資金計画が財務を厚くしている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ヒューストンの電力需要は、確約済み 12.2 GW・建設中 3.5 GW と、1 四半期ごとに積み上がっている。2026 年 7 月には ERCOT の Batch Zero に 17 GW 超を出し、約 14 GW が対象になる見込みで、現在のピーク 21 GW に対し 65% 超の増加になる。送電は 1 マイルあたり 500 万〜2,000 万ドル(計画は 800 万ドル)で、大口の需要家は月に 1 GW あたり約 600 万ドルの需要料金を払う見込みで、これは会社の 10 年計画の外の追い風。計画 667 億ドルには、この負荷の一部しか入っていない。
規制も悪化一辺倒ではない。ヒューストン・エレクトリックは 2026 年 11 月に 0.73 億ドルの増収を見込み、テキサス・ガスは 2026 年 6 月に 0.62 億ドルの新料金が入った。オハイオのガス事業はレートベースの 1.9 倍で売れ、2027 年までに 26.2 億ドルが入る。1 株利益は 2025 年に 9% 伸び、2026 年も 8% の見通しで、会社の 7〜9%(2026〜28 年は中〜高位)の目標を守ってきた。
資本コスト 7.25%・ROE 10% 台・g 3.75% なら、正当化 PER の上限は 17 倍前後になる。今の GAAP の PER は 25 倍で、成長が速いぶん今の値付けは高いが、2028 年以降に利益が年 9% ほどで伸びるなら、今の倍率の高さも説明できる。
慎重な見方
CNP は借金と増資で成長を買っている会社で、純有利子負債は時価総額の約 87%、自己資本比率は 23%、FCF は −24 億ドルが続く。FFO/債務は 13.4% でムーディーズの見通しはネガティブ。10 年で約 40 億ドルの増資は、株価が下がった時に重くなる。リーマンの谷での株価は配当込みで −38%、コロナで −43% と、公益としては下げが深い。
大口負荷の確度は、数字の強さほど高くない。ERCOT 全体でも申請の 9 割がデータセンターで、ERCOT 自身が 2030 年の見通しを切り下げ、州知事が待ち行列の監査を命じた前例がある。CNP の約 3 GW は研究の完了待ちで、遅れれば利益の時期がずれる。ヒューストンの電力会社は 2024 年のハリケーン・ベリルで信頼を失い、レジリエンス投資の認可が手頃さの政治と衝突する。
インディアナ電力は石炭火力の入れ替えが重く、カルバー 2 号機の DOE 命令の費用は回収が確定していない。GAAP の純利益は非 GAAP より 1 億ドル前後低く、償還損・売却損が繰り返し出ている。今の PER 25 倍は、これらを織り込むには高く、利益ベースの正当化 PER(16〜17 倍)を超えている。
どちらに重みを置いたか
成長の速さ(レートベース年 11% 超)と、大口負荷が固定費を払う設計は強気の見方が上回るが、財務の薄さ・増資・ハリケーンの政治・大口負荷の確度は慎重な見方が突いている。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた(10 年の中立 13.7 倍=正当化 PER 16.5 倍の 8.3 割)。今の PER を見て寄せていない。確率は中立に寄せ、楽観・やや楽観の合計を 10 年 28%、やや悲観・悲観の合計を 10 年 35% とした。FE と近い厚さにしたのは、テキサスの規制が比較的素直で成長が速い一方、純負債が時価総額の約 87% と厚く、ハリケーンの履歴と大口負荷の確度に不確かさがあるため。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 23% 下で、結論は「やや割高」である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 53.96 ドル354 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 6.28 ドル41 億ドル)。 今の値に割り戻すと 31.22 ドル205 億ドル、今との差 −24.2%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 75.22 ドル493 億ドル | 6.97 ドル46 億ドル | +99.5% | +7.2% | 5.75 ドル38 億ドル |
| やや楽観 | 21% | 65.17 ドル427 億ドル | 7.12 ドル47 億ドル | +75.5% | +5.8% | 15.18 ドル100 億ドル |
| 中立 | 37% | 54.57 ドル358 億ドル | 7.28 ドル48 億ドル | +50.1% | +4.1% | 22.88 ドル150 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 44.93 ドル295 億ドル | 6.01 ドル39 億ドル | +23.6% | +2.1% | 11.21 ドル73 億ドル |
| 悲観 | 13% | 37.90 ドル249 億ドル | 2.20 ドル14 億ドル | −2.7% | −0.3% | 5.21 ドル34 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 53.96 ドル354 億ドル | 6.28 ドル41 億ドル | +46.2% | +3.9% | 60.24 ドル395 億ドル |
今の株価時価総額 41.20 ドル270 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:ヒューストンが全米で最も伸びる送配電になり、ERCOT の大口負荷が計画を超えて積み上がる 利益 31 億ドル · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 75.22 ドル493 億ドル
2035 年末、Batch Zero で対象になった約 14 GW が 2031 年までに通電し、その後も追加の大口負荷が契約になって、ヒューストンのピーク需要は現在の 21 GW から大きく伸びる。顧客の料金は大口が固定費を負担して下がる(会社は 10 年で 50 億ドル以上の引き下げを見込む)ので手頃さの政治は和らぎ、許可 ROE(9.65%)の維持や上げも通る。送電 188 億ドル・配電 226 億ドルの 10 年投資が計画を超えて認可され、全社のレートベースは 10 年で年 約 10.5% で伸びる。ガス配給は北インディアナ・テキサスで年 6〜7%、インディアナ電力はガスと送電の更新で伸びる。10 年の純利益は 約 30.5 億ドル(ヒューストン 約 21.9・インディアナ電力 約 4.1・ガス 約 8.2・本社他 約 -3.4・特別項目 約 -0.3 億ドル)、自己資本は約 270 億ドル。配当は 10 年で約 89.7 億ドル、増資は約 44.0 億ドルで、正味の還元は約 45.7 億ドル。倍率は 正当化 PER 17.0 倍に対して 16.2 倍(9.5 割)に置いた(規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割)。
- ヒューストン・エレクトリック(送配電):数量 470(レートベース(億ドル))× 価格 0.26(レートベース 1 ドルあたりの売上)→ 売上 122 億ドル・営業利益 35 億ドル。レートベース 470 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.260(純利益 約 21.9 億ドル=レートベース × 4.66%)
- インディアナ電力(垂直統合):数量 72.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.47(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料の転嫁を含む))→ 売上 34 億ドル・営業利益 7 億ドル。レートベース 72 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.470(純利益 約 4.1 億ドル=レートベース × 5.69%)
- ガス配給(テキサス・ミネソタ・インディアナ。オハイオは 2026 年 10 月に売却):数量 215(レートベース(億ドル))× 価格 0.29(レートベース 1 ドルあたりの売上(ガス調達費の転嫁を含む))→ 売上 62 億ドル・営業利益 13 億ドル。レートベース 215 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.290(純利益 約 8.2 億ドル=レートベース × 3.81%)
倍率:正当化 PER 17.0 倍(g 3.7%・RONIC 9.3%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 11.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 16.2 倍(9.5 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割。g の内訳:販売電力量とガス需要の実質 +1.8% × シェア 変わらず × 単位あたり収益 +2.7%(物価 3.5% を下回る)= 名目 約 4.5%。純利益は GAAP の考え方。
確率:14 GW の大口負荷の大半が通電し、さらに追加の引き合いが契約になる重なりは 7%。
やや楽観 21% やや楽観:確約済みの負荷が通電し、会社の目標(年 9%)に近づく 利益 28 億ドル · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 65.17 ドル427 億ドル
2035 年末、ヒューストンの大口負荷は確約済みの 12.2 GW が通電し、ERCOT の審査待ち分も大半が通る。レートベースは 2030 年まで年 11% 台、その後は年 7.5% で伸び、会社の目標の上側に届く。許可 ROE は 9.65〜9.8% を保ち、ガス配給の料金改定も定着する。ヒューストン・エレクトリックの顧客料金は大口の負担で下がる。インディアナ電力は石炭火力の入れ替えを認可どおり進める。10 年の純利益は 約 28.3 億ドル(ヒューストン 約 20.7・インディアナ電力 約 3.8・ガス 約 7.6・本社他 約 -3.4・特別項目 約 -0.4 億ドル)、自己資本は約 259 億ドル。配当は 10 年で約 88.7 億ドル、増資は約 42.0 億ドルで、正味の還元は約 46.7 億ドル。倍率は 正当化 PER 16.8 倍に対して 15.1 倍(9 割)に置いた(許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9 割)。
- ヒューストン・エレクトリック(送配電):数量 440(レートベース(億ドル))× 価格 0.26(レートベース 1 ドルあたりの売上)→ 売上 114 億ドル・営業利益 32 億ドル。レートベース 440 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.260(純利益 約 20.7 億ドル=レートベース × 4.70%)
- インディアナ電力(垂直統合):数量 68.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.47(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料の転嫁を含む))→ 売上 32 億ドル・営業利益 7 億ドル。レートベース 68 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.470(純利益 約 3.8 億ドル=レートベース × 5.59%)
- ガス配給(テキサス・ミネソタ・インディアナ。オハイオは 2026 年 10 月に売却):数量 205(レートベース(億ドル))× 価格 0.29(レートベース 1 ドルあたりの売上(ガス調達費の転嫁を含む))→ 売上 59 億ドル・営業利益 13 億ドル。レートベース 205 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.290(純利益 約 7.6 億ドル=レートベース × 3.71%)
倍率:正当化 PER 16.8 倍(g 3.7%・RONIC 9.1%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 10.9%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 15.1 倍(9 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9 割。g の内訳:販売電力量とガス需要の実質 +1.8% × シェア 変わらず × 単位あたり収益 +2.7%(物価 3.5% を下回る)= 名目 約 4.5%。純利益は GAAP の考え方。
確率:確約済みの 12.2 GW が通電し、追加も一部決まる。ROE は据え置き。確率 21%。
中立 37% 中立:レートベースは 2030 年まで年 11%、その後は年 6%、許可 ROE は据え置き 利益 26 億ドル · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 54.57 ドル358 億ドル
2035 年末、確約済みの大口負荷の大半が通電し、レートベースは 2030 年まで年 11%、2030 年以降は年 6% で伸びる(全社で 10 年に年 約 9%)。許可 ROE はヒューストン 9.65%・インディアナ電力 9.8% で据え置き、ガス配給は 9.7〜9.8% 台。規制の遅れで実現 ROE は許可より 0.3〜0.5 ポイント低い。増資は 2026〜35 年に約 40 億ドル(先渡し 11 億ドルを含む)で、会社の計画どおり。倍率は 正当化 PER 16.5 倍に対して 13.7 倍(8.3 割)に置いた(規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.3 割)。10 年の純利益は 約 26.1 億ドル(ヒューストン 約 19.1・インディアナ電力 約 3.6・ガス 約 7.3・本社他 約 -3.4・特別項目 約 -0.5 億ドル)、自己資本は約 248 億ドル。配当は 10 年で約 87.7 億ドル、増資は約 40.0 億ドルで、正味の還元は約 47.7 億ドル。
- ヒューストン・エレクトリック(送配電):数量 415(レートベース(億ドル))× 価格 0.26(レートベース 1 ドルあたりの売上)→ 売上 108 億ドル・営業利益 30 億ドル。レートベース 415 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.260(純利益 約 19.1 億ドル=レートベース × 4.60%)
- インディアナ電力(垂直統合):数量 65.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.47(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料の転嫁を含む))→ 売上 31 億ドル・営業利益 6 億ドル。レートベース 65 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.470(純利益 約 3.6 億ドル=レートベース × 5.54%)
- ガス配給(テキサス・ミネソタ・インディアナ。オハイオは 2026 年 10 月に売却):数量 196(レートベース(億ドル))× 価格 0.29(レートベース 1 ドルあたりの売上(ガス調達費の転嫁を含む))→ 売上 57 億ドル・営業利益 12 億ドル。レートベース 196 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.290(純利益 約 7.3 億ドル=レートベース × 3.72%)
倍率:正当化 PER 16.5 倍(g 3.7%・RONIC 8.9%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 10.5%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.7 倍(8.3 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.3 割。g の内訳:販売電力量とガス需要の実質 +1.8% × シェア 変わらず × 単位あたり収益 +2.7%(物価 3.5% を下回る)= 名目 約 4.5%。純利益は GAAP の考え方。
確率:最も起きやすい筋書き。大口負荷は確約済みの 8〜9 割が通電し、その後は需要の伸びが年 1.8%(実質)に落ち着く。確率 37%。
やや悲観 22% やや悲観:大口負荷は半分しか通電せず、手頃さの政治が ROE と投資を削る 利益 23 億ドル · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 44.93 ドル295 億ドル
2035 年末、Batch Zero の約 14 GW のうち通電したのは半分ほどで、残りは電源・送電の制約や顧客の撤退で消える。ヒューストンのハリケーンの停電の費用回収と手頃さの政治で、許可 ROE は実質 9.2% 前後に抑えられ、投資の一部が否認される。全社のレートベースは 10 年で年 8% にとどまる。格付けを守るため増資は約 44 億ドルに増える。ガス配給はテキサスで料金改定が遅れる。10 年の純利益は 約 23.0 億ドル(ヒューストン 約 18.2・インディアナ電力 約 3.0・ガス 約 6.1・本社他 約 -3.5・特別項目 約 -0.8 億ドル)、自己資本は約 240 億ドル。配当は 10 年で約 83.4 億ドル、増資は約 44.0 億ドルで、正味の還元は約 39.4 億ドル。倍率は 正当化 PER 15.8 倍に対して 12.8 倍(8.1 割)に置いた(許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8.1 割)。
- ヒューストン・エレクトリック(送配電):数量 380(レートベース(億ドル))× 価格 0.26(レートベース 1 ドルあたりの売上)→ 売上 99 億ドル・営業利益 27 億ドル。レートベース 380 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.260(純利益 約 18.2 億ドル=レートベース × 4.79%)
- インディアナ電力(垂直統合):数量 58.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.47(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料の転嫁を含む))→ 売上 27 億ドル・営業利益 5 億ドル。レートベース 58 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.470(純利益 約 3.0 億ドル=レートベース × 5.17%)
- ガス配給(テキサス・ミネソタ・インディアナ。オハイオは 2026 年 10 月に売却):数量 180(レートベース(億ドル))× 価格 0.29(レートベース 1 ドルあたりの売上(ガス調達費の転嫁を含む))→ 売上 52 億ドル・営業利益 10 億ドル。レートベース 180 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.290(純利益 約 6.1 億ドル=レートベース × 3.39%)
倍率:正当化 PER 15.8 倍(g 3.7%・RONIC 8.4%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.5%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.8 倍(8.1 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8.1 割。g の内訳:販売電力量とガス需要の実質 +1.8% × シェア 変わらず × 単位あたり収益 +2.7%(物価 3.5% を下回る)= 名目 約 4.5%。純利益は GAAP の考え方。
確率:大口負荷の一部が消え、ROE が 9% 台前半に抑えられ、増資が増える。財務が薄いため 22%。
悲観 13% 悲観:大口負荷が縮み、規制が悪化し、財務が傷んで優良な規制公益ではなくなる 利益 18 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 37.90 ドル249 億ドル
2035 年末、AI の投資が減速して大口負荷の契約が縮み、すでに建設した送電・配電の費用が一般の顧客に回って、手頃さの政治が強まる。テキサスの委員会と州の議会が許可 ROE を 9% 前後に下げ、ヒューストンのハリケーン対応の投資を一部否認する。FFO/債務が 12% 台に落ちてムーディーズが投資適格の下の方に格下げし、株価が安い時に約 58 億ドルの増資を強いられる。全社のレートベースは 10 年で年 6.5%。倒産には至らず、規制資本の裏付けが床になる。10 年の純利益は 約 17.5 億ドル(ヒューストン 約 15.0・インディアナ電力 約 2.4・ガス 約 5.0・本社他 約 -3.7・特別項目 約 -1.2 億ドル)、自己資本は約 242 億ドル。配当は 10 年で約 72.4 億ドル、増資は約 58.0 億ドルで、正味の還元は約 14.4 億ドル。
- ヒューストン・エレクトリック(送配電):数量 320(レートベース(億ドル))× 価格 0.26(レートベース 1 ドルあたりの売上)→ 売上 83 億ドル・営業利益 22 億ドル。レートベース 320 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.260(純利益 約 15.0 億ドル=レートベース × 4.69%)
- インディアナ電力(垂直統合):数量 50.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.47(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料の転嫁を含む))→ 売上 24 億ドル・営業利益 4 億ドル。レートベース 50 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.470(純利益 約 2.4 億ドル=レートベース × 4.80%)
- ガス配給(テキサス・ミネソタ・インディアナ。オハイオは 2026 年 10 月に売却):数量 165(レートベース(億ドル))× 価格 0.29(レートベース 1 ドルあたりの売上(ガス調達費の転嫁を含む))→ 売上 48 億ドル・営業利益 9 億ドル。レートベース 165 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.290(純利益 約 5.0 億ドル=レートベース × 3.03%)
倍率:帳簿の自己資本 ROE 7.2%(純利益 17.5 億ドル ÷ 自己資本 242 億ドル)・g 3.20%・k 7.25%。式 PER = (1 − g/ROE)÷(k − g) = (1 − 3.20%÷7.2%)÷(7.25% − 3.20%) = 約 13.8 倍(来年の利益に対する倍率)。2035 年の利益に掛けるので ×(1+g) で約 14.2 倍。g の内訳:販売電力量とガス需要の実質 +0.6% × シェア 変わらず × 単位あたり収益 +2.6%(物価 3.5% を下回る)= 名目 約 3.2%。10 年目の単年の伸びは 10% 未満なので 1 段で出した。k − g は 4.05% で、決まりの 3.5% 以上。純利益は GAAP。割り引きも他社への寄せもしていない。
確率:AI の投資が減速して大口負荷が消え、ヒューストンの規制が悪化し、格付けも下がる重なりを 13% と置いた。純負債が時価総額の約 87% と厚く、リーマンの谷で −38%・コロナで −43% と下げも大きい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
ヒューストン・エレクトリック(送配電)
ヒューストン一帯の送電と配電。2026 年のレートベース予想 約 185 億ドル、許可 ROE 9.65%・自己資本比率 43.25%。10 年投資 667 億ドルのうち 419 億ドル。
| 数量レートベース(億ドル) | 価格レートベース 1 ドルあたりの売上 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 152 | 0.28 | 43 | 12 |
| 10 年後 中立 | 415 | 0.26 | 108 | 30 |
取り方:レートベース 約 152 億ドルは推定(会社の 2026 年予想 約 185 億ドルから、年 18% 超の伸びを逆算)。売上 約 43 億ドル・営業利益 約 12.0 億ドルは推定(全社の売上 94 億ドル・営業利益 21 億ドルに合わせ、電力・ガスの比で割り振り)。利益は 純利益 約 7.4 億ドル(レートベースの 4.9%)。許可 ROE 9.65%。競合は無く、価格は PUCT が決める。
インディアナ電力(垂直統合)
インディアナ南部の発電・送電・配電。2026 年のレートベース予想 約 31 億ドル、許可 ROE 9.8%・自己資本比率 48.3%。石炭火力の入れ替えが課題。
| 数量レートベース(億ドル) | 価格レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 29.0 | 0.52 | 15 | 3 |
| 10 年後 中立 | 65.0 | 0.47 | 31 | 6 |
取り方:レートベース 約 29 億ドルは推定(会社資料の 2026 年予想 約 31 億ドルから)。売上 約 15 億ドル・営業利益 約 3.0 億ドルは推定。純利益 約 1.6 億ドル(レートベースの 5.5%)。許可 ROE 9.8%。競合は無く、価格はインディアナの委員会が決める。
ガス配給(テキサス・ミネソタ・インディアナ。オハイオは 2026 年 10 月に売却)
テキサス・ガス(2026 年のレートベース 約 38 億ドル)、ミネソタ・ガス、北・南インディアナ・ガス。10 年投資は約 190 億ドル規模。2025 年はオハイオ(レートベース 約 14 億ドル)を含む。
| 数量レートベース(億ドル) | 価格レートベース 1 ドルあたりの売上(ガス調達費の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 116 | 0.31 | 36 | 8 |
| 10 年後 中立 | 196 | 0.29 | 57 | 12 |
取り方:レートベース 約 116 億ドルは推定(2026 年の各社の予想と、オハイオの売却額=レートベースの約 1.9 倍から)。売上 約 36 億ドル・営業利益 約 7.6 億ドルは推定。純利益 約 4.1 億ドル(レートベースの 3.5%)。許可 ROE は 9.7〜9.8%。競合は無く、価格は各州の委員会が決める。将来の筋書きはオハイオ(売却済み)を除く。
リスクと懸念
財務の薄さと増資・借り換え
純有利子負債は時価総額の約 87%(230 億ドル)、自己資本比率は 23%、FCF は 2025 年に −24 億ドル。FFO/債務は 13.4% でムーディーズの見通しはネガティブ。10 年で約 40 億ドルの増資(うち約 11 億ドルは 2027 年 2 月までの先渡し)と借り換え(5.75% 前後)が続く。FFO/債務が 13% を割れば投資を絞るしかない。リーマンの谷では株価が −38%、コロナで −43% 下がった。
大口負荷の確度と ERCOT の審査
確約済み 12.2 GW・Batch Zero の対象 約 14 GW は、通電が 2031 年にかけて段階的で、約 3 GW は研究の完了待ち。ERCOT 全体では申請の 9 割がデータセンターで、ERCOT 自身が 2030 年の見通しを切り下げ、州知事が待ち行列の監査を命じた前例がある。AI の投資が減速すれば、建設済みの送配電の費用が一般の顧客に回る。
ハリケーンの停電と手頃さの政治
2024 年のハリケーン・ベリルでヒューストンの停電が長引き、電力会社への批判が強まった(約 12 億ドルを証券化で回収)。レジリエンス(強靭化)投資の認可が手頃さの政治と衝突すれば、許可 ROE 9.65% の維持と投資の認可率が削られる。ヒューストン・エレクトリックの料金改定(2026 年 11 月に 0.73 億ドル)が最初の試金石。
投資費用の超過とタービン・変圧器
10 年 667 億ドルの投資は、変圧器・ガスタービンの価格と納期(新設の複合ガスは 2,000〜2,200 ドル/kW)と人件費に左右される。送電は 1 マイルあたり 500 万〜2,000 万ドル(計画は 800 万ドル)で、幅が大きい。費用超過が認められなければ直接の損失になる(サザンのボーグル 3・4 号機、SCANA のサマー原発の放棄が前例)。
インディアナ電力の石炭火力の入れ替え
DOE の緊急命令(202(c))でカルバー 2 号機を動かし続けており、費用の回収は FERC と州で求めている最中で確定していない。石炭火力の入れ替えは認可が必要で、工期と費用が膨らめば、約 31 億ドルのレートベースに対して損失が大きくなる。規模は小さいが、インディアナの手頃さの政治も重い。
金利と利益の質
借り換えのたびに利払いが増え(brief.py の推定で 10 年後 −4 億ドル)、持株会社の利払いが成長を食う。GAAP の純利益は非 GAAP より 1 億ドル前後低く、償還損・売却損・ZENS(2029 年満期 2.0% のノート)の時価変動が出る。10 年国債 5% が続けば、倍率の縮みの圧力も続く。
今後の分かれ目
- 2026 年 10 月 28 日の第 3 四半期決算で、10 年計画の更新(大口負荷の上積み)が示されたら
- レートベースの伸びが年 11% 超で保たれ、楽観・やや楽観の確率を 10 年で 3 ポイント上げる。更新が先送りなら中立に戻す。
- ERCOT が Batch Zero で CNP の審査待ち 約 3 GW を 2027 年前半までに承認したら
- ヒューストンの利益の時期が前倒しになり、楽観側へ 10 年の確率を 3 ポイント寄せる。審査が 2028 年以降に遅れれば、10 年のやや悲観を 3 ポイント上げる。
- PUCT がヒューストン・エレクトリックの 0.73 億ドルの増収(2026 年 11 月)を要求の 5 割以下に削ったら
- 配電の伸びが約 1 割下がり、10 年のやや悲観・悲観の確率を各 3 ポイント上げる。要求の 9 割以上が認められれば、悲観側を 3 ポイント下げる。
- ムーディーズが格付けを引き下げる、または FFO/債務が 13% を割ったら
- 借り換えコストが上がり、増資が前倒しになる。10 年で悲観の確率を 3 ポイント上げる。14% 超に戻れば、悲観側を 2 ポイント下げる。
- AI の投資が減速して、CNP の大口負荷の契約が撤回されたら
- ヒューストンの伸びが年 5% 台に落ち、10 年のやや悲観・悲観の確率を各 4 ポイント上げ、楽観を 4 ポイント下げる。
- テキサスで次のハリケーンが大きな停電を起こし、費用回収が長引いたら
- 許可 ROE と投資の認可率に政治の圧力がかかり、10 年の悲観の確率を 3 ポイント上げる。証券化で費用が早く回収されれば影響は限られる。
見ておくもの
- 2026 年第 3 四半期決算(10 月 28 日)での 2026 年の非 GAAP 1 株利益の見通し(1.89〜1.91 の中央以上)と 10 年計画の更新
- ERCOT の Batch Zero の承認の進み方(約 14 GW のうち約 3 GW が研究待ち)と、大口の需要料金(月 1 GW あたり約 600 万ドル)の確定
- PUCT によるヒューストン・エレクトリックの料金改定(2026 年 11 月の 0.73 億ドル)とレジリエンス投資の認可
- ムーディーズの見通し(ネガティブ)、FFO/債務(13.4%)、10 年で約 40 億ドルの増資の時期と額
- オハイオ売却の受取(2026 年 14.2 億ドル・2027 年 12.0 億ドルの売り手ノート)の使い道と借金の圧縮
- インディアナ電力の石炭火力の入れ替えの認可と、カルバー 2 号機の費用回収(FERC と州)
- 10 年国債 5% の維持、持株会社の借り換えコスト、ZENS の時価変動
倍率と資本コストの決め方
今の PER 25 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決め、倍率は利益ベースの正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g)(RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k)、moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 16.5 倍(g 3.7%・RONIC 8.9%)の 8.3 割の 13.7 倍。今の値段に寄せていない。結論は、総合で今の時価総額の約 23% 下の「やや割高」。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 5% + β 0.91 × 5%。基本 8.0% + coc.quality -0.75% = 7.25%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 7.25%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。ハリケーン・手頃さの政治・大口負荷の確度という個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益と確率(悲観を 10〜13%)で表す。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 7.25% では g 3.75% が上限。
同じ業種(公益事業)の AI 分析
読んだ資料
- CNP 2026 年 4〜6 月期決算(2026-07-28。GAAP・非 GAAP・10 年計画 667 億ドル・Batch Zero 17 GW)
- CNP 2025 年 10〜12 月期決算資料(レートベース・投資の内訳・増資 40 億ドル・FFO/債務・許可 ROE)
- Utility Dive:CNP の 2026 年 1〜3 月期(確約済み 12.2 GW・ERCOT 承認 3.2 GW)
- GuruFocus:CNP の 2026 年 4〜6 月期の決算説明会の要約(レートベース年 18% 超・FFO/債務 13.4%・ムーディーズ見通し)
- CNP:オハイオのガス事業の売却完了(2026-10-01、26.2 億ドル)
- ビジネスワイヤ:オハイオ・ガス事業の売却発表(ナショナル・フューエル・ガス、26.2 億ドル、売り手ノート 6.5%)
- Equibles:CNP の時価総額(2026-08-19)