結論
エクセロン(EXC)は、イリノイ(コムエド)、ペンシルベニア(ペコ)、メリーランド(BGE・ペプコ)、ワシントン DC(ペプコ)、デラウェア(デルマーバ)、ニュージャージー(ACE)の 6 つの規制電力・ガス会社を束ねる持株会社。2022 年にコンステレーション(原子力・発電)を切り離し、いまは発電を持たない送配電専業に近い。2025 年の売上は約 243 億ドル、GAAP 純利益は約 28 億ドル、レートベース(認可された投資残高)は約 640 億ドル(推定)。
会社は 2026〜2029 年に約 417 億ドルを投じ、レートベースを年 7.9% で伸ばし、1 株利益を 2025〜2029 年に年 5〜7% の上端近くで伸ばす計画を持つ。2026 年の調整後 1 株利益の目標は前年比 約 6% 増で据え置き。データセンターの引き合いは 36 GW(精査後。以前は 43 GW)で、送電保証契約(TSA)で担保が付いた確約は 4 GW にとどまる。2026 年 4 月には PECO が電気 12.5%・ガス 11.4% の値上げ申請を議員の反発で取り下げ、料金の手頃さの政治が最大の弱みとして現れた。
バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8.0% に quality −0.50% を足した 7.5%(規制公益で景気に強い。純有利子負債 494 億ドル=時価総額の 112%・自己資本比率 24.7% の借金の重さは debt +0.75% に入れた)。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g) で、ROE は帳簿の自己資本 ROE の約 9.3%(2029 年までの増資 34 億ドルとその後の増資を自己資本に入れた値)、g 4.0%、RONIC 8.4%。10 年の中立の正当化 PER は 14.9 倍で、その約 9 割の 13.6 倍に置いた。増資は 10 年で約 60 億ドルで、還元はその払い込みを配当から引いた正味で測る。事業の質(独占・認可された収益)は高いが、成長を借金と増資で買う構造と、料金を抑える政治が上値を縛る。確率は慎重側に寄せ、値と今の時価総額の差は計算に任せる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。送配電の独占は電化とデータセンターで需要が増え、10 年後も確実に残り、堀は広がらないが崩れにくい。ただし価格を決めるのは州の委員会で、許可 ROE が会社の要求より低く決まり続けるのが堀の限界である。
次にオーナー利益を見る。純利益 約 28 億ドルのうち配当は約 16 億ドルで、FCF は −23 億ドル。不足は借金と増資で埋めており、経営者が自由に取り出せる利益は小さい。レートベースの年 7.9% 成長の先に、1 株あたりの価値の増加(会社目標 5〜7%)は届かない。理由は 2 つあり、利払いが借換えで上がることと、増資で株が増えることである。
資本配分は規制の枠の中でよいが、4 年で 417 億ドルを投じる規模は、工期・費用・認可の遅れの失敗を抱え込む。安全域は、k を 7.5%(基本 8.0% + quality −0.50%)と置き、悲観の確率を 10 年 11%、やや悲観を 24% と厚く置いて確保した。確信度は送配電の部分では高いが、データセンターと料金の政治では低い。優良な事業を適正な値段で買えるかは、最後は計算で判断する。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つの運営グループに分かれる(数字は推定)。コムエド(シカゴ周辺、電力の送配電、レートベース 約 235 億ドル)が最大で、利益の約 4 割を稼ぐ。PECO(フィラデルフィア周辺、電気・ガス、約 120 億ドル)、BGE(ボルチモア周辺、電気・ガス、約 130 億ドル)、PHI(ペプコ DC・ペプコ メリーランド・デルマーバ・ACE、約 155 億ドル)が続く。各州の地域独占で、利益は「レートベース × 自己資本比率 × 許可 ROE」で決まる。電気の仕入れ(燃料・購入電力)は料金に転嫁するので、売上の増減と利益の増減は別物である。
強みは、配電網と送電網という「需要が増えても減っても残る資産」を、認可を受けて積み上げていくこと。2026〜2029 年の計画 417 億ドルの大半は送電線・変電所・老朽設備の更新・停電対策で、発電の建設リスクは小さい。コムエドは 2028〜2031 年に 153 億ドルのグリッド計画を提出し、イリノイ商業委員会(ICC)が 12 月 15 日までに決める。メリーランドでは BGE が 2026 年 7 月に 1.561 億ドルの電気料金の引き上げを申請(要求 ROE 10.40%、決定は 2027 年 1 月)。
成長の新しい柱はデータセンターで、PJM の 2040 年の負荷予測 14 GW のうちコムエドが 11 GW を占める(2025 年 9 月の PJM への提出、20 GW の要求のうち)。TSA(送電保証契約)が付いた 4 GW は約 10 億ドルの担保に裏付けられ、7 GW は TSA 以前から進行、約 25 GW は検討中。ただし PJM の容量価格が上限 330 ドル/MW・日に張り付き、必要量に 6.8 GW 足りず、住宅料金の上昇の責めが配電会社に向きやすい。エクセロンは発電を持たないので、卸売価格の上がりでは得をせず、料金を上げる側にだけ立たされる。
優良さと弱いところ
堀は 3 層ある。第 1 は地域独占で、競合は存在しない。第 2 は規制との関係(許可 ROE と投資の認可率)で、コムエドは 8.905%(多年度計画は 2027 年まで)、BGE とペプコは 9.50%、デルマーバと ACE は 9.60% と、同業の平均(電力 9.84%)より低い。価格を決める力は弱く、堀は「投資が認可される速さ」にある。第 3 は工事の実行力で、発電を持たず、設備更新と送電に集中している分、超過コストの前例(サザンのボーグル)のような尾は小さい。
弱みは財務と政治。純有利子負債は 494 億ドルで時価総額の 112%、自己資本比率 24.7%、FCF は 2025 年に −23 億ドル。配当は約 16 億ドルで純利益の約 6 割に当たる。信用指標は 2029 年まで平均 14% 前後を維持する計画で、2029 年までの増資は 34 億ドル(37% は先渡しで確定)。許可 ROE が低いので、帳簿の自己資本 ROE は約 9.6%(2025 年)と、塊 A の垂直統合会社と大きくは変わらない。
ガバナンス面では、コムエドが 2020 年に政治献金に絡む贈賄事件で訴追猶予合意(DPA)を結んだ前例があり、イリノイ・ペンシルベニア・メリーランドの規制当局・議会との信頼が料金の決まり方を左右する。PECO の社長が料金申請取り下げの直後に退いたのは、この信頼の傷つきやすさを示す。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の電力需要は 2025 年に過去最高の約 4,195 TWh、EIA は 2026〜2027 年に年 +1.9% と見る(業界ノート)。伸びの中心は商業用(データセンター)だが、エクセロンの 4 州(イリノイ北部・ペンシルベニア南東部・メリーランド・デラウェア)は人口がほぼ伸びず、販売電力量は実質年 +1% 前後が基本線で、データセンターと電化が上乗せになる。
業界の形は「PJM の電源不足」と「手頃さの政治」の綱引きである。PJM の直近の容量オークションは上限 330 ドル/MW・日に張り付き、必要量に約 6.8 GW 不足、上限が無ければ RTO 全体で約 555 ドル、ComEd 域で 777 ドルと PJM は試算する。電気料金の請求書に載るので、ペンシルベニア・メリーランド・イリノイでは住宅料金が政治問題になり、PECO は申請を取り下げた。同業のファーストエナジー・PPL・PSEG・コンソリデーテッド・エジソンも PJM 域内で同じ圧力を受ける。
一方、タービン不足の中で、公益事業自身が発電所を保有できるようにする制度の議論が出ている(経営陣は「市場の補完」と発言)。認められれば、レートベースの伸びの余地が広がる一方、建設費の超過リスクを抱える。M&A では、NEE によるドミニオン買収合意など再編が進むが、エクセロンは時価総額 約 440 億ドル・純負債を含む事業価値約 940 億ドルと大きく、買う側にも買われる側にもなりにくい。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、配当と、借金と先渡しの増資による資金調達。四半期配当は 2026 年に前年比 約 5% 増(推定)で、配当性向は純利益の約 6 割。2029 年までの増資は 34 億ドルで、37% は先渡しの ATM で確定済み(2026 年の全額と 2027 年の半分)。2026 年の借入の 86% は調達済みで、上期に長期債 36 億ドルと普通株 3.8 億ドルを発行した。自社株買いは無い。
M&A の歴史は、2012 年のコンステレーション・エナジーと 2016 年のペプコ・ホールディングスの買収で、後者ののれん(約 66 億ドル、推定)が今も自己資本に残る。2022 年のコンステレーション切り離しで発電を手放し、送配電に絞った。いまは買収よりも、データセンター向けの送電保証契約(TSA)と、ニュージャージーの 500 MW の蓄電池(約 10 億ドル、2027 年前半に最終決定)など認可を得た投資の積み上げが中心。MISO の送電の入札も競争の場である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
計画の確度は高い。レートベースは年 7.9% で、公益事業の平均を上回る。2026 年の目標は据え置かれ、上期の調整後 1 株利益は前年を上回り、会社は目標の中央値以上を狙う。コムエドのグリッド計画 153 億ドル(2028〜2031 年)は ICC が 12 月に決め、イリノイは許可が比較的早い。データセンターは 36 GW の引き合いのうち 4 GW が TSA で担保され、7 GW が先行する。
発電を持たないので、タービン高騰や建設超過という最大の費用リスクを負わない。山火事の尾も無い。許可 ROE はメリーランド 9.5%・デルマーバと ACE 9.6% で、BGE は 10.4% を求めて申請している。資本コスト 7.5% の規制公益として、レートベース成長 7.9% が実現すれば、PER は正当化 PER の上限(楽観で 10 年 15.4 倍)まで成り立つ。今の PER 15.9 倍(GAAP)は 10 年の中立の正当化 PER(14.9 倍)を上回り、成長を先に織り込んだ値である。
慎重な見方
借金で成長を買う会社である。純有利子負債は時価総額の 1.1 倍、自己資本比率 24.7%、FCF は 2025 年に −23 億ドル。借換えのたびに金利が 5.75% 前後へ上がり、brief の推定では 10 年後に 9 億ドルの減益になる。増資は 34 億ドルを計画するが、レートベース年 7.9% の成長を保つには、これを超える増資が要る可能性がある。
最大の弱みは政治である。PECO は電気 12.5%・ガス 11.4% の申請を議員の反発で取り下げ、社長が退いた。PJM の容量価格が上限に張り付いて住宅料金が上がり、責めが配電会社に向く。コムエドの許可 ROE は 8.905% と低く、BGE の 10.4% の要求が通る見込みは薄い。データセンターの引き合いは 43 GW から 36 GW に縮み、確約は 4 GW だけ。10 年の g は名目 4.0% が上限で、今の PER 15.9 倍は金利 5% の世界で高い。
どちらに重みを置いたか
送配電の事業の質は強気の言い分が通る。一方、成長が借金と増資で賄われ、料金の政治が許可 ROE を縛る点は慎重な言い分が強い。本質価値は k 7.5%・実現 ROE・g 4.0% の正当化 PER の 7〜10 割に置き(10 年の中立 13.6 倍=上限 14.9 倍の 0.91 倍)、利益は会社目標の中ほどからやや下に置いた。確率は慎重側に寄せ、楽観・やや楽観の合計は 10 年 27%、やや悲観・悲観の合計は 10 年 35%。悲観を山火事のある XEL(13%)より低い 10〜11% にしたのは、尾の太さが違うため。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 59.79 ドル605 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 15.12 ドル153 億ドル)。 今の値に割り戻すと 39.54 ドル400 億ドル、今との差 −11.8%、 期待の年率 +5.3%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 80.74 ドル817 億ドル | 14.03 ドル142 億ドル | +111.3% | +7.8% | 6.63 ドル67 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 71.29 ドル722 億ドル | 14.72 ドル149 億ドル | +91.8% | +6.7% | 17.20 ドル174 億ドル |
| 中立 | 38% | 63.52 ドル643 億ドル | 15.22 ドル154 億ドル | +75.6% | +5.8% | 29.92 ドル303 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 52.56 ドル532 億ドル | 16.21 ドル164 億ドル | +53.3% | +4.4% | 16.50 ドル167 億ドル |
| 悲観 | 11% | 28.46 ドル288 億ドル | 13.83 ドル140 億ドル | −5.7% | −0.6% | 4.65 ドル47 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 59.79 ドル605 億ドル | 15.12 ドル153 億ドル | +67.0% | +5.3% | 74.91 ドル758 億ドル |
今の株価時価総額 44.85 ドル454 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:大口契約が確約になり、レートベースが年 8% 前後で伸び続ける 利益 56 億ドル · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 80.74 ドル817 億ドル
2035 年末、レートベースは約 1376 億ドル(10 年で年 8.0%)。データセンターの TSA 契約は 15 GW を超え、イリノイ・メリーランド・ペンシルベニアの大型負荷の料金が整い、送電と配電の投資が連続して認可される。許可 ROE は現状から動かず、実現 ROE も 10% を超える。公益事業が自ら発電所を持つ制度が各州で認められれば、コムエドとペプコの投資が上乗せになる。純利益は約 55.7 億ドル(2025 年の約 2.0 倍)、増資は 10 年で約 80 億ドル(2029 年までの計画 34 億ドルの上振れと、その後も投資の約 4 割を株で賄う方針)、配当は約 222 億ドル、正味の還元は約 142 億ドル。成長は次第に 7% 台へ鈍り、倍率は正当化 PER 15.4 倍(ROE 9.9%・g 4.0%・RONIC 8.7%・moat 普通)に対し 0.95 倍の 14.7 倍に置く。
- ComEd(イリノイ北部:電力):数量 532(レートベース(億ドル))× 価格 0.34(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 179 億ドル・営業利益 40 億ドル。レートベース 532 億ドル × レートベースあたりの売上 0.337
- PECO(フィラデルフィア周辺:電力・ガス):数量 234(レートベース(億ドル))× 価格 0.35(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 81 億ドル・営業利益 16 億ドル。レートベース 234 億ドル × レートベースあたりの売上 0.345
- BGE(ボルチモア周辺:電力・ガス):数量 284(レートベース(億ドル))× 価格 0.30(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 85 億ドル・営業利益 17 億ドル。レートベース 284 億ドル × レートベースあたりの売上 0.2977
- PHI(ペプコ・デルマーバ・ACE:電力・ガス):数量 326(レートベース(億ドル))× 価格 0.38(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 125 億ドル・営業利益 27 億ドル。レートベース 326 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3832
倍率:正当化 PER 15.4 倍(g 4.0%・RONIC 8.7%=k 7.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.9%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 14.7 倍(9.5 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割。
確率:大口需要が確約になり、許可 ROE も保たれる筋書き。地域の政治が料金を抑える方向なので 7%。
やや楽観 20% やや楽観:計画の高い伸びが 2029 年まで続く 利益 52 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 71.29 ドル722 億ドル
2035 年末、レートベースは約 1295 億ドル(年 7.3%)。2029 年までは計画を少し上回る年 8.5% で伸び、その後は 6.8% に鈍る。大口契約は 10 GW 前後で、PJM の容量価格の高止まりで地域の電源投資の議論が進み、送電の投資が厚くなる。許可 ROE はおおむね維持される。純利益は約 51.5 億ドル(2025 年の約 1.8 倍)、増資は約 70 億ドル、配当は約 219 億ドル、正味の還元は約 149 億ドル。倍率は正当化 PER 15.2 倍(ROE 9.6%・g 4.0%・RONIC 8.6%・moat 普通)に対し 0.92 倍の 14.0 倍に置く。 ComEd のグリッド計画 153 億ドルは 1 割ほどの削減で通り、BGE とペプコの許可 ROE は 9.5% 台を保つ。ペコは再申請が 2027〜28 年に通って遅れを取り戻し、データセンターは TSA が付いた契約を中心に増える。借換えの利払いは増えるが、規制料金の見直しで大半を回収する。
- ComEd(イリノイ北部:電力):数量 501(レートベース(億ドル))× 価格 0.33(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 167 億ドル・営業利益 37 億ドル。レートベース 501 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3333
- PECO(フィラデルフィア周辺:電力・ガス):数量 220(レートベース(億ドル))× 価格 0.34(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 75 億ドル・営業利益 15 億ドル。レートベース 220 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3412
- BGE(ボルチモア周辺:電力・ガス):数量 267(レートベース(億ドル))× 価格 0.29(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 79 億ドル・営業利益 16 億ドル。レートベース 267 億ドル × レートベースあたりの売上 0.2944
- PHI(ペプコ・デルマーバ・ACE:電力・ガス):数量 307(レートベース(億ドル))× 価格 0.38(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 116 億ドル・営業利益 25 億ドル。レートベース 307 億ドル × レートベースあたりの売上 0.379
倍率:正当化 PER 15.2 倍(g 4.0%・RONIC 8.6%=k 7.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.6%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 14.0 倍(9.2 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9.2 割。
確率:計画どおりの認可が 2029 年まで続く筋書き。
中立 38% 中立:計画の年 7.9% が 2029 年以降は年 6% に鈍る 利益 47 億ドル · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 63.52 ドル643 億ドル
2035 年末、レートベースは約 1209 億ドル(10 年で年 6.6%)。2029 年までは計画に近い年 7.9% で伸び、その後は投資計画が小さくなって年 6% に落ちる。データセンターの確約は 8 GW 程度、許可 ROE は 9.3〜9.6% の周辺、実現 ROE は 9.5〜10%。手頃さの政治で料金の上がりは物価より低い。純利益は約 47.3 億ドル(2025 年の約 1.7 倍、増資による株数の増加を含む)。増資は 10 年で約 60 億ドル(2029 年までの計画 34 億ドルと、2030 年以降は時価総額の年 1% 前後)、配当は約 214 億ドル、正味の還元は約 154 億ドル。倍率は正当化 PER 14.9 倍(ROE 9.3%・g 4.0%・RONIC 8.4%・moat 普通)に対し 0.91 倍の 13.6 倍に置く。
- ComEd(イリノイ北部:電力):数量 468(レートベース(億ドル))× 価格 0.33(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 154 億ドル・営業利益 34 億ドル。レートベース 468 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3295
- PECO(フィラデルフィア周辺:電力・ガス):数量 206(レートベース(億ドル))× 価格 0.34(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 69 億ドル・営業利益 14 億ドル。レートベース 206 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3373
- BGE(ボルチモア周辺:電力・ガス):数量 249(レートベース(億ドル))× 価格 0.29(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 72 億ドル・営業利益 14 億ドル。レートベース 249 億ドル × レートベースあたりの売上 0.2911
- PHI(ペプコ・デルマーバ・ACE:電力・ガス):数量 286(レートベース(億ドル))× 価格 0.37(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 107 億ドル・営業利益 23 億ドル。レートベース 286 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3747
倍率:正当化 PER 14.9 倍(g 4.0%・RONIC 8.4%=k 7.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.6 倍(9.1 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 9.1 割。
確率:計画の 7.9% が後半に 6% へ鈍る、最も起きやすい筋書き。
やや悲観 24% やや悲観:許可 ROE が 9% 前後に下がり、投資の認可が削られる 利益 41 億ドル · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 52.56 ドル532 億ドル
2035 年末、レートベースは約 1073 億ドル(年 5.3%)。ペンシルベニアとメリーランドで料金を抑える圧力が続き、許可 ROE は 9% 前後へ下がり、申請した投資の 2〜3 割が認可されない。データセンターは 36 GW のうち確約が 6 GW 前後にとどまる。実現 ROE は 9% 台前半。純利益は約 41.2 億ドル(2025 年の約 1.5 倍)、増資は約 45 億ドル、配当は約 209 億ドル、正味の還元は約 164 億ドル。倍率は正当化 PER 14.5 倍(ROE 8.7%・g 4.0%・RONIC 8.1%・moat 普通)に対し 0.89 倍の 12.9 倍に置く。 ComEd は 2028 年以降のグリッド計画が削られて計画の伸びが鈍り、BGE の要求 10.4% は通らず、ペコの再申請も遅れる。借換えで利払いが増え、信用指標 14% 前後を守るために増資を前倒しする場面も出る。山火事の尾は無いので破綻はせず、配当は維持する。
- ComEd(イリノイ北部:電力):数量 416(レートベース(億ドル))× 価格 0.33(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 137 億ドル・営業利益 30 億ドル。レートベース 416 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3295
- PECO(フィラデルフィア周辺:電力・ガス):数量 182(レートベース(億ドル))× 価格 0.34(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 61 億ドル・営業利益 12 億ドル。レートベース 182 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3373
- BGE(ボルチモア周辺:電力・ガス):数量 221(レートベース(億ドル))× 価格 0.29(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 64 億ドル・営業利益 12 億ドル。レートベース 221 億ドル × レートベースあたりの売上 0.2911
- PHI(ペプコ・デルマーバ・ACE:電力・ガス):数量 254(レートベース(億ドル))× 価格 0.37(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 95 億ドル・営業利益 20 億ドル。レートベース 254 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3747
倍率:正当化 PER 14.5 倍(g 4.0%・RONIC 8.1%=k 7.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 8.7%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.9 倍(8.9 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8.9 割。
確率:ペンシルベニア・メリーランド・イリノイの手頃さの政治で許可 ROE と認可が削られる筋書き。純負債が時価総額の 1.1 倍で増資・借換えの余地が小さいので、同領域の XEL と同程度の 24% を置く。
悲観 11% 悲観:料金を抑える政治が定着し、もう優良な送配電ではなくなる 利益 34 億ドル · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 28.46 ドル288 億ドル
2035 年末、料金の手頃さを理由にした政治が定着し、許可 ROE は 8.5% 前後、実現 ROE は 8% 台に落ちる。レートベースは約 971 億ドル(年 4.3%)にとどまり、投資計画は縮む。データセンターは 36 GW の引き合いが縮み、確約は 4 GW 程度。配当は維持するが増やせず、増資は約 30 億ドル(2029 年までの計画の大半)にとどめる。純利益は約 34.4 億ドル(2025 年の約 1.2 倍)、配当は据え置きで約 170 億ドル(2025 年の約 16.2 億ドル × 10 年に株数の増加分を足した額)、増資の約 30 億ドルを引いた正味の還元は約 140 億ドル。倒産には至らず、規制資本の裏付けが床になり、今の自己資本の PBR 1.0 倍で測る。
- ComEd(イリノイ北部:電力):数量 376(レートベース(億ドル))× 価格 0.33(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 123 億ドル・営業利益 25 億ドル。レートベース 376 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3258
- PECO(フィラデルフィア周辺:電力・ガス):数量 165(レートベース(億ドル))× 価格 0.33(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 55 億ドル・営業利益 10 億ドル。レートベース 165 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3335
- BGE(ボルチモア周辺:電力・ガス):数量 200(レートベース(億ドル))× 価格 0.29(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 58 億ドル・営業利益 10 億ドル。レートベース 200 億ドル × レートベースあたりの売上 0.2878
- PHI(ペプコ・デルマーバ・ACE:電力・ガス):数量 230(レートベース(億ドル))× 価格 0.37(レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む))→ 売上 85 億ドル・営業利益 16 億ドル。レートベース 230 億ドル × レートベースあたりの売上 0.3705
倍率:構造的に負けた後(許可 ROE の引き下げと投資の削減が定着)の床は、今の自己資本(規制資本の裏付け)288 億ドルに PBR 1.0 倍を掛ける(SCHEMA §1-3)。実現 ROE は 7.5%(純利益 34.4 億ドル ÷ 自己資本 459 億ドル)で k 7.50% とほぼ同じなので、正しい PBR は ROE÷k = 1.00 倍で、1.0 倍を上限にした。PER に直すと約 8.4 倍。悲観で自己資本を積み上げて掛けてはいない。純利益は GAAP。
確率:構造的に負ける筋書き(許可 ROE の引き下げ・投資の削減・料金凍結)。山火事の尾が無いので、同領域の XEL(13%)より低い 11%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
ComEd(イリノイ北部:電力)
コムエドの電力送配電(シカゴ北部)。2028〜2031 年のグリッド計画 153 億ドルと、データセンター 11 GW(PJM の 2040 年予測)が伸びの源。
| 数量レートベース(億ドル) | 価格レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 235 | 0.37 | 88 | 20 |
| 10 年後 中立 | 468 | 0.33 | 154 | 34 |
取り方:レートベース ≒ 235 億ドル(推定。会社は 4 社別のレートベースを今回の資料で開示しておらず、全社の約 640 億ドル(2025 年の委任状説明書の 2025 年推定 641 億ドル、公益子会社の利益 約 33 億ドル ÷(許可 ROE 9.6% × 自己資本比率 約 52%)≒ 650 億ドルとも近い)を、利益の割合と売上から配分した)、売上 88 億ドル・営業利益 19.5 億ドル(推定。合計は kabufu の 243・51 に合わせた)。許可 ROE は 8.905%(多年度計画は 2027 年まで)で、同業より低い。レートベースあたりの売上は、燃料・購入電力と容量価格の転嫁を含むので、PJM の容量価格や料金の政治で動く。
PECO(フィラデルフィア周辺:電力・ガス)
ペコ(フィラデルフィア周辺の電気・ガス)。2026 年に電気 12.5%・ガス 11.4% の値上げ申請を取り下げ、再申請の方針。
| 数量レートベース(億ドル) | 価格レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 0.38 | 46 | 9 |
| 10 年後 中立 | 206 | 0.34 | 69 | 14 |
取り方:レートベース ≒ 120 億ドル(推定。会社は 4 社別のレートベースを今回の資料で開示しておらず、全社の約 640 億ドル(2025 年の委任状説明書の 2025 年推定 641 億ドル、公益子会社の利益 約 33 億ドル ÷(許可 ROE 9.6% × 自己資本比率 約 52%)≒ 650 億ドルとも近い)を、利益の割合と売上から配分した)、売上 46 億ドル・営業利益 9.0 億ドル(推定。合計は kabufu の 243・51 に合わせた)。ペンシルベニアは手頃さの政治が最も強い州で、認可は遅れやすい。レートベースあたりの売上は、燃料・購入電力と容量価格の転嫁を含むので、PJM の容量価格や料金の政治で動く。
BGE(ボルチモア周辺:電力・ガス)
BGE(ボルチモア周辺の電気・ガス)。2026 年 7 月に 1.561 億ドルの電気料金引き上げを申請(要求 ROE 10.40%)。決定は 2027 年 1 月。
| 数量レートベース(億ドル) | 価格レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 130 | 0.33 | 43 | 9 |
| 10 年後 中立 | 249 | 0.29 | 72 | 14 |
取り方:レートベース ≒ 130 億ドル(推定。会社は 4 社別のレートベースを今回の資料で開示しておらず、全社の約 640 億ドル(2025 年の委任状説明書の 2025 年推定 641 億ドル、公益子会社の利益 約 33 億ドル ÷(許可 ROE 9.6% × 自己資本比率 約 52%)≒ 650 億ドルとも近い)を、利益の割合と売上から配分した)、売上 43 億ドル・営業利益 8.5 億ドル(推定。合計は kabufu の 243・51 に合わせた)。メリーランドは許可 ROE 9.50%。レートベースあたりの売上は、燃料・購入電力と容量価格の転嫁を含むので、PJM の容量価格や料金の政治で動く。
PHI(ペプコ・デルマーバ・ACE:電力・ガス)
PHI(ペプコ DC・ペプコ メリーランド・デルマーバ・ACE)。ニュージャージーの 500 MW の蓄電池(約 10 億ドル)など。許可 ROE は 9.50〜9.60%。
| 数量レートベース(億ドル) | 価格レートベースあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁分を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 155 | 0.43 | 66 | 14 |
| 10 年後 中立 | 286 | 0.37 | 107 | 23 |
取り方:レートベース ≒ 155 億ドル(推定。会社は 4 社別のレートベースを今回の資料で開示しておらず、全社の約 640 億ドル(2025 年の委任状説明書の 2025 年推定 641 億ドル、公益子会社の利益 約 33 億ドル ÷(許可 ROE 9.6% × 自己資本比率 約 52%)≒ 650 億ドルとも近い)を、利益の割合と売上から配分した)、売上 66 億ドル・営業利益 14.0 億ドル(推定。合計は kabufu の 243・51 に合わせた)。4 つの州・特別区で規制が分かれ、ROE は中ほど。レートベースあたりの売上は、燃料・購入電力と容量価格の転嫁を含むので、PJM の容量価格や料金の政治で動く。
リスクと懸念
料金の手頃さの政治
PECO は 2026 年 4 月に電気 12.5%・ガス 11.4% の値上げ申請を取り下げ、社長が退いた。PJM の容量価格の高止まりで住宅料金が上がり、責めが配電会社に向きやすい。許可 ROE が 9% 前後へ下がり、投資が削られれば、レートベースの伸びと利益が同時に落ちる。
借金と増資に頼る資金繰り
純有利子負債は 494 億ドルで時価総額の 112%、自己資本比率 24.7%、FCF は 2025 年に −23 億ドル。借換えのたびに金利が 5.75% 前後へ上がり、brief の推定で 10 年後に 9 億ドルの減益になる。2029 年までの増資は 34 億ドルの計画だが、超えれば 1 株の価値が薄まる。
PJM の電源不足と容量価格
直近の容量オークションは上限 330 ドル/MW・日に張り付き、必要量に約 6.8 GW 不足。夏の需要が 168 GW に達した。停電や価格急騰が起きれば、責任の議論が配電会社にも及び、発電所の保有を認める制度が出ても建設費の超過を抱える。
データセンター需要の確度
引き合いは 43 GW から 36 GW に絞られ、TSA で担保が付いた確約は 4 GW。残りは検討中。PJM の 2040 年予測(14 GW)に対し要求は 20 GW。需要が計画の半分でも、レートベースの伸びは年 7.9% を下回り、送電・配電の一部の投資が不要になる。
規制の決定の遅れ
ComEd のグリッド計画(153 億ドル)は 12 月 15 日までに ICC が決め、BGE は 2027 年 1 月、デルマーバは 2027 年第 3 四半期。決定が遅れる・削られると、投資が先送りされ、利益の伸びが後ろにずれる。ペコの再申請の時期も未定。
嵐・設備の事故
2026 年はコムエドで大型の嵐が 16 回起き、ペコでは 7 月に従業員のストライキがあった。復旧費用の回収には規制の認可が要り、遅れれば当期の利益を圧迫する。山火事の尾は無いが、気象災害の頻度が上がれば費用が積み上がる。
今後の分かれ目
- データセンターの TSA 契約が 2027 年末までに 4 GW から 10 GW を超えて積み上がったら
- レートベースの伸びが年 8.5〜9% で保たれ、楽観・やや楽観の確率を 10 年で 5 ポイント上げる。逆に 4 GW で止まれば、年 7.9% の計画の後半が削られる。
- コムエドのグリッド計画(153 億ドル)が 12 月に満額に近く認められたら
- 2028〜2031 年のレートベースの伸びが確定し、中立の利益の下振れ(1〜2 割削減)を小さくする。3 割以上削られれば、やや悲観の確率を 3 ポイント上げる。
- ペコの再申請が穏やかな水準で通ったら
- ペンシルベニアの手頃さの政治が和らぐ兆しで、やや悲観の確率を 3 ポイント下げる。再び取り下げか大幅に削られれば、10 年のやや悲観を上げる。
- BGE の 2027 年 1 月の決定で許可 ROE が 9.5% を下回ったら
- メリーランドでも ROE が 9% 台前半へ下がる流れになり、利益の伸びを 1 ポイント下げ、10 年のやや悲観・悲観の合計を 4 ポイント上げる。
- 10 年国債の利回りが 5% を大きく超えて上がったら(6% 超)
- 借換えコストが利益を圧迫し、資本コストの見方を高い側(借金・値決めの目安を悪い側)に寄せる。本質価値は縮み、増資も重くなる。
- 発電所の公益事業保有が各州で制度化されたら
- レートベースの伸びの余地が広がる一方、建設費の超過リスクを抱える。上振れは楽観に入れるが、確率は小さく置く。
見ておくもの
- データセンターの TSA 契約量(4 GW から 2027 年に増えるか)と担保の額
- コムエドのグリッド計画の 12 月の決定、BGE(2027 年 1 月)・ペコの再申請・ペプコ メリーランドの許可 ROE
- 住宅料金の前年比と、PJM の次の容量オークション(2029/30 年分は 2026 年 12 月)
- 増資の額(34 億ドルの計画との差)と信用指標(14% 前後)の維持
- 2026 年の調整後 1 株利益(目標レンジの中央値以上)と、2027〜2030 年の投資計画の更新
- 10 年国債の利回り(5% の維持)
倍率と資本コストの決め方
今の PER(GAAP 15.9 倍)を見る前に、レートベースの 4 社別の積み上げと、利益 = 計画の 5〜7% の中ほどからやや下、で筋書きを作った。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE − k)(moat 普通・残る割合 1/2)で上限を出し、その 7〜10 割に置いた。k は基本 8.0% に quality −0.50% を足した 7.5%。10 年の中立は ROE 9.3%・g 4.0%・RONIC 8.4% で正当化 PER 14.9 倍、これに対し 13.6 倍(0.91 倍)。10 年の楽観は正当化 PER 15.4 倍に対し 14.7 倍(0.95 倍)、やや悲観は 14.5 倍に対し 12.9 倍(0.89 倍)に置いた。ROE はレートベースの伸びで決めず、伸びは販売電力量・シェア・価格から出した。ROE は 2029 年までの増資を自己資本に入れた帳簿の値。結果は総合で今の時価総額に対し -9%(適正)で、今の株価に寄せて逆算していない。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β 0.99 × 5%。基本 8.0% + coc.quality -0.50% = 7.50%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 7.50%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。料金の政治・許可 ROE の引き下げ・データセンターの確度という個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益と確率(悲観を 11%、やや悲観を 18%・24%)で表した。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 7.50% では g 4.00% が上限。