結論
エジソン・インターナショナル(EIX)は、ロサンゼルス周辺を中心に約 1,500 万人へ電気を届ける規制公益、サザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)の持株会社。収益基盤(認可された投資の残高)は 2026 年の約 508 億ドルから 2030 年に 679 億ドル(年約 7%)へ伸ばす計画で、5 年で 380〜410 億ドルを投じ、普通株の増資は 2030 年まで予定していない。2025 年の売上は約 193 億ドル、コア純利益は約 25 億ドル、時価総額は約 216 億ドル。
事業の質は規制公益として並みで、許可 ROE は 10.03%(自己資本 52%)と全米の平均 9.8% を少し上回る。値付けを決めるのはイートン火災(2025 年 1 月、19 人が亡くなった)の責任である。会社は 2026 年 7 月に「設備が出火に関係した可能性が高い」と認め、和解の損失は 6 月末までに累計 16 億ドル。最初の 10 億ドルは顧客負担の自己保険で払い、以降は山火事基金(約 210 億ドルに SB 254 の継続口座 180 億ドルを加えた枠)から出る。株主が負うのは、CPUC が「慎重でなかった」と認めた場合の基金への返済(送配電の自己資本の収益基盤の 20% が上限で約 50 億ドル)と、上限の外へ出る故意の認定である。2026 年 8 月末には代位求償を遮る法案(SB 492)が成立せず、株価は 1 日で 23% 下がった。
倍率は利益ベースの正当化 PER(moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 13.9 倍(g 4.0%・RONIC 10.7%)の 8.5 割の 11.8 倍。今の GAAP の PER 9 倍は、この水準を下回る。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 15% 上で、結論は「やや割安」である。イートンの責任を、悲観の確率(10 年 17%)と深さ(税引き後 100〜190 億ドルの損失と増資)で表し、筋書きを重ねた値と今の時価総額の差は計算に任せる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。南カリフォルニアの電気は電化で需要が残り、収益基盤は年 6〜7% で広がる。堀は地域独占だが、その中身は州の委員会と議会の手にあり、価格を決める力は無い。堀の性格は PG&E と同型で、一事故で資本が消える裂け目を抱える点も同じである。
次にオーナー利益。2025 年の GAAP の純利益 約 46 億ドルのうち約 19 億ドルは TKM・ウールジー和解の費用回収など繰り返さない一時要因で、土台はコアの約 25 億ドル(2026 年は約 23 億ドル)に置く。FCF は 2025 年に −7 億ドル、設備投資が営業 CF を上回り、配当(約 14 億ドル)は借入で支える面がある。稼ぎのうち株主が自由に取り出せる額は小さい。
資本配分は規制の枠の中ではよいが、イートンの責任という「一度で資本が消える」リスクがあり、増資・配当減が起きうる。安全域は、k を 8.5%(基本 8.0% + quality +0.50%)、悲観を 10 年 17% と厚く、悲観の損失を税引き後 100〜190 億ドル(自己資本の 6〜10 割)と深く置いて確保した。確信度は送配電の収益基盤では高く、イートンの責任(原因の決着・慎重性の審査・SB 254 の第 2 段)では低い。わかりにくい部分を厚く割り引いたうえで、優良な事業をどう買えるかは計算に任せる。安全域では、利益ベースの正当化 PER 13.9 倍(g 4.0%・RONIC 10.7%・k 8.50%・moat=normal)に対して、10 年の中立を 11.8 倍に置いた。今の PER 9 倍はこれより低く、安全域がある。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 15% 上で、結論は「やや割安」である。
何で稼ぐ会社か
事業は規制公益で、収益基盤 × 自己資本比率 × 許可 ROE で利益が決まる。SCE の収益基盤は 2025 年の約 475 億ドル(推定)で、配電(CPUC 規制、約 310 億ドル)、送電(FERC 規制、約 85 億ドル)、発電・電力調達等(水力・蓄電池・購入電力の転嫁。約 80 億ドル)の順に大きい(内訳は推定)。燃料費・購入電力費は料金に転嫁するので、売上の増減と利益の増減は別物である。売上 193 億ドルのうち、配電が約 100 億、送電が約 20 億、残り約 73 億ドルは電力調達の転嫁分で利益率が低い。
地域独占だが、料金は州の公益事業委員会(CPUC)が決める。2025 年の料金改定(GRC)で会社の投資の約 91% が認められ、2028 年までの利益に見通しが付いた。2025 年 12 月の資本コスト決定で許可 ROE は 10.03%・自己資本 52% と、要求の 11.75% より低く決まった。同じ州の PG&E は許可 ROE 9.98%、収益基盤は 2025 年末 690 億ドルから 2030 年に 1,060 億ドル(年約 9%)で、SCE(約 7%)より伸びが速い。
成長の源は、山火事への備え(被覆電線を 7,000 マイル超に張り、高リスク地域の配電線の約 90% を強化)、電化(電気自動車・ビルの電化)、送電の増強である。データセンターは SCE の引き合いが 2024 年時点で約 4.8 GW と報告されたが確約量は小さく、PG&E ほど成長の柱にはなっていない。人口の多い南カリフォルニアの電力量は、屋根の太陽光・効率改善・地域電力購入集団(CCA)に削られながら、電化で少しずつ増える形である。
持株会社 EIX は SCE に資本を入れるための借入と優先株を持ち、これが「親会社の費用」として利益を削る。自己資本 176 億ドルは、SCE の資本構成(収益基盤の 52%)に要る約 250 億ドルを下回り、差を親会社の借入で賄っている。
優良さと弱いところ
堀は州の地域独占と、約 1,500 万人の大市場。南カリフォルニアは人口・産業の厚みがあり、需要が減る心配は小さい。許可 ROE は 10.03% で、PG&E の 9.98% や全米の平均 9.8% を上回るが、許可は上限で、実現はそれより 0.5 ポイントほど下がりやすい(規制の遅れ)。会社目標の 2026 年のコア利益(約 23 億ドル)は、2025 年のコア 25 億ドルより低い。2025 年には TKM・ウールジー和解の費用回収に伴う利息分が入っていたためで、繰り返さない。
弱みは 3 つ。第 1 は山火事で、2017〜18 年のウールジー・トーマス火災、2025 年のイートン火災と、7〜8 年に 2 回大きな事故が起きている。同じ州の PG&E(2018 年のキャンプ火災で破産申請)と並び、火元になりやすい設備を抱える。第 2 は財務で、純有利子負債 414 億ドルは時価総額の 1.9 倍、帳簿の自己資本比率は 19%、SCE の格付けは投資適格の最下段 BBB-、S&P は EIX・SCE を 1 段引き下げ、さらに下がれば投資不適格になる。第 3 は手頃さの政治で、住宅料金は 2026 年に全米で約 5% 上がる。
資本効率は、コアの自己資本利益率が 14% 前後と高く見える。これは自己資本が小さく、SCE に入れる資本を親会社の借入で賄うレバレッジの効果で、財務の弱さと表裏一体。経営は設備投資の認可を取る力に実績があり(GRC で 91%)、配当は 22 年連続で増やしている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の電力需要は 2025 年に過去最高で、EIA は 2026〜2027 年に年 +1.9% と見る(業界ノート)。南カリフォルニアは屋根の太陽光とビルの電化の方針で需要が全米の平均よりゆるやかで、データセンターの流入も北部(PG&E)や南東部ほどではない。収益基盤の伸びを決めるのは需要そのものでなく、認可された投資の量である。会社は 5 年の設備投資を 380〜410 億ドルとし、収益基盤は年約 7%。同業(全米 25 社)の 6.5〜7% と同じ水準である。
同じ領域のカリフォルニアの 2 社(PG&E・EIX)は、倍率が全米の電力 25 社の中央(PER 20 倍前後)より大きく低い。理由は山火事の責任が会社に戻る制度の恐れである。2025 年の SB 254 は継続口座 180 億ドル(料金負担者と事業者が折半)を作ったが、2026 年 8 月の SB 492 は、保険会社が公益に求償できる仕組み(代位求償)の遮断と、基金の 1 事故あたり 60 億ドルの上限を最終案から落とし、会期末に成立しなかった。基金は 2028 年に失効する規定が残り、補充の仕組みも無い。
競合は、同じ州の PG&E(北・中部)とセンプラ傘下の SDG&E(サンディエゴ)で、規制の枠と山火事の責任の制度を共有する。違いは、PG&E が破産を経て責任制度の外側に立った歴史を持ち、SCE が 2019 年の基金の創設後に初めて大規模な事故を起こした点である。SCE の悲観は、基金がどこまで守ってくれるか(慎重性の審査)で決まる。電力の購入は CCA に移りつつあり、SCE の売る電力量は減るが、配電・送電の収益基盤は残る。
M&A は、カリフォルニアの規制公益どうしの合併が州の承認で重く、EIX が買う側にも買われる側にもなりにくい。ガスタービンの価格が 2019 年比で約 3 倍・納期 5〜7 年と高く、SCE は蓄電池と送電に寄せる。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、増資を要らないという会社の説明(5 年の設備投資 380〜410 億ドルを、営業 CF 360〜380 億ドルと新規借入 90〜120 億ドルで賄う)と、配当を増やし続ける方針である。四半期配当は 2025 年 10 月に引き上げられ、年換算の配当利回りは約 6.3%、配当総額は 2025 年に 13.8 億ドル、2026 年のコア利益に対する配当性向は約 58%。この水準は高く、山火事の追加損失が出れば配当の増加が止まる可能性がある。
2026 年 7 月にウールジー和解に基づく証券化債 20 億ドルを発行し、費用回収の資金を前倒しで得た。優先株は 2025 年に償還が進み、償還損が親会社の費用に入った。山火事の損失は株主資本を直接削る。イートンの株主負担は、CPUC の慎重性の審査で「慎重でなかった」とされた場合の基金への返済(送配電の自己資本の収益基盤の 20% が上限)と、故意などの認定による上限の外の損失である。筋書きでは、悲観で 10 年に増資 110 億ドルを払い込みとして還元から引いた(時価総額は会社全体で書き、増えた株の持ち分では縮めない)。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 0.3 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(175.5 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
計画の確度は高い。2026 年のコア利益の見通しは据え置かれ、2025〜2030 年の年 5〜7% 成長も維持された。2025 年の料金改定で投資の 91% が認められ、2028 年までの利益に見通しがある。収益基盤は 2030 年に 679 億ドルへ年約 7% で伸び、増資は要らない。
イートンの費用は基金が受け止める仕組みである。会社は最初の 10 億ドルを顧客負担の自己保険で払い切り、以降は基金の事前の資金手当て(プレファンディング)を使って自前の現金を出さないと説明している。基金は約 210 億ドルに SB 254 の継続口座 180 億ドルが加わり、通知された使用枠は最大 210 億ドル。代位求償は額面の 55% ほどで 2 件が和解済みで、2,200 件超・7.75 億ドルの補償の申し出も進んでいる。慎重性の審査でも、基金への返済の上限は送配電の自己資本の収益基盤の 20%(約 50 億ドル)にとどまり、時価総額の 4 分の 1 以下である。
倍率は利益ベースの正当化 PER(k 8.5%・帳簿の ROE 12% 台・g 4.0% で 14 倍前後)の 7〜10 割で、中立は 12 倍前後。今は PER 9 倍台と、山火事の悲観を織り込みすぎている。空売り筋の指摘(損害 40 億〜200 億ドル)は主張にすぎず、会社は否定している。
慎重な見方
原因の決着はまだで、会社自身が「設備が出火に関係した可能性が高い」と書き改めた。2026 年 8 月の SB 492 は代位求償の保護を落とし、基金の 1 事故あたり 60 億ドルの上限も入らず、会期末に成立しなかった。保険会社の求償が残る限り、基金の枠を食いつぶす速度は読めない。基金は 2028 年に失効する規定が残り、補充の仕組みも無く、次の火災に備えた枠が足りなくなる恐れがある。
慎重性の審査で「慎重でなかった」とされれば、基金への返済で約 50 億ドル(税引き後でも約 40 億ドル)が株主の負担になる。さらに 2026 年 10 月には、空売り筋が「リスクモデルが強風を扱えないと 5 年前から知っていた」と指摘し、故意と認定されれば損害は 200 億ドル規模と主張した。故意の認定は基金の上限の外に出るので、自己資本 176 億ドルを超えうる。
財務は薄い。純有利子負債 414 億ドルは時価総額の 1.9 倍、SCE の格付けは BBB- で、1 段下がれば投資不適格になり、設備投資 380〜410 億ドルの借入コストが跳ね上がる。2025 年のコア利益には繰り返さない利息の回収分が入り、2026 年は下がる。配当性向 58% は余裕が小さく、増資なしの約束は損失が出れば守れない。
どちらに重みを置いたか
事業の質と計画の勢いは強気の見方が上回るが、イートンの責任は慎重な見方が突くとおり、決着の時期も金額も読めない。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた(10 年の中立 11.8 倍=正当化 PER 13.9 倍の 8.5 割)。今の PER を見て寄せていない。確率は悲観側に寄せ、やや悲観と悲観の合計を 10 年 47% とした。悲観を 10 年 17% と置いたのは、基金の枠を超える損失と 2 回目の山火事で自己資本が大きく削られ、増資を迫られる筋書きの重みである。計画の達成率は会社目標の約 9 割で置いた。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 15% 上で、結論は「やや割安」である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 95.50 ドル369 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 32.89 ドル127 億ドル)。 今の値に割り戻すと 64.11 ドル247 億ドル、今との差 +10.7%、 期待の年率 +8.3%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 141.06 ドル545 億ドル | 46.22 ドル178 億ドル | +223.5% | +12.5% | 9.36 ドル36 億ドル |
| やや楽観 | 14% | 123.63 ドル477 億ドル | 44.66 ドル172 億ドル | +190.7% | +11.3% | 23.56 ドル91 億ドル |
| 中立 | 34% | 111.97 ドル432 億ドル | 42.80 ドル165 億ドル | +167.3% | +10.3% | 52.62 ドル203 億ドル |
| やや悲観 | 30% | 86.14 ドル333 億ドル | 38.06 ドル147 億ドル | +114.5% | +7.9% | 37.26 ドル144 億ドル |
| 悲観 | 17% | 42.54 ドル164 億ドル | −9.66 ドル−37 億ドル | −43.2% | −5.5% | 5.59 ドル22 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 95.50 ドル369 億ドル | 32.89 ドル127 億ドル | +121.8% | +8.3% | 128.39 ドル496 億ドル |
今の株価時価総額 57.90 ドル223 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:責任が制度で限られ、収益基盤が年 6.5% 超で伸び続ける 利益 42 億ドル · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 141.06 ドル545 億ドル
2035 年末、イートンの責任は制度で限られ、慎重性の審査を通り、格付けは BBB-〜BBB で安定する。収益基盤は約 954 億ドル(2030 年に約 697 億ドル、その後年 6.5%)、電化・送電の増強が続き、実現の利益率は許可どおり。純利益は約 41.6 億ドル(2026 年の約 1.8 倍)。配当性向は 57% で 10 年の配当は約 182 億ドル、増資は無い。小規模な火災は起きても基金と保険で収まる。倍率は 正当化 PER 14.1 倍に対して 13.1 倍(9.3 割)に置いた(規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.3 割)。
- 電力の配電(CPUC 規制):数量 582(収益基盤(億ドル))× 価格 0.28(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 163 億ドル・営業利益 56 億ドル。収益基盤 582 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2801
- 電力の送電(FERC 規制):数量 229(収益基盤(億ドル))× 価格 0.17(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 38 億ドル・営業利益 25 億ドル。収益基盤 229 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.1659
- 発電・電力調達その他:数量 143(収益基盤(億ドル))× 価格 0.79(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 113 億ドル・営業利益 20 億ドル。収益基盤 143 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.7902
倍率:正当化 PER 14.1 倍(g 4.0%・RONIC 10.9%=k 8.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 13.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.1 倍(9.3 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.3 割。g の内訳:数量の実質 +1.25%(電化と送電の増強)× シェア 変わらず(地域独占)× 単位あたり収益の伸び(物価 3.5% を下回る。手頃さの政治・山火事費用)で、名目の長期 g は 3.5〜4.5%(式の上限は 4.0%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:責任制度・審査・送電の増強が全部そろう 5%。10 年でも重なる確率は小さい。
やや楽観 14% やや楽観:会社の計画どおり 2030 年に収益基盤 680 億ドル 利益 39 億ドル · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 123.63 ドル477 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 910 億ドル(2030 年に 680 億ドル、会社の計画どおり。その後年 6%)。慎重性の審査は小さな否認(税引き後 5 億ドル)で済み、格付けは BBB-〜BBB で安定する。許可 ROE は 9.9〜10% に保たれ、純利益は約 38.8 億ドル(2026 年の約 1.7 倍)。PG&E が計画どおり年約 9% で伸びる中、SCE は約 7% と一段低いが、送電の増強(FERC 規制)が速く伸びて利益の質を支える。データセンターは確約量が小さいまま、電化と EV が電力量の伸びを担う。配当性向は 58% で 10 年の配当は約 176 億ドル、増資は無い。倍率は 正当化 PER 14.0 倍に対して 12.3 倍(8.8 割)に置いた(許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 8.8 割)。 10 年の純利益の累計は約 302 億ドル(2026 年の約 23 億ドルから 2035 年の 38.8 億ドルへ年 6% 台で伸びる)に、審査の否認 5 億ドルを引いて約 297 億ドル。
- 電力の配電(CPUC 規制):数量 562(収益基盤(億ドル))× 価格 0.28(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 160 億ドル・営業利益 53 億ドル。収益基盤 562 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2847
- 電力の送電(FERC 規制):数量 211(収益基盤(億ドル))× 価格 0.18(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 37 億ドル・営業利益 24 億ドル。収益基盤 211 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.1754
- 発電・電力調達その他:数量 137(収益基盤(億ドル))× 価格 0.81(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 111 億ドル・営業利益 19 億ドル。収益基盤 137 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.8102
倍率:正当化 PER 14.0 倍(g 4.0%・RONIC 10.8%=k 8.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 13.1%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.3 倍(8.8 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 8.8 割。g の内訳:数量の実質 +1.25%(電化と送電の増強)× シェア 変わらず(地域独占)× 単位あたり収益の伸び(物価 3.5% を下回る。手頃さの政治・山火事費用)で、名目の長期 g は 3.5〜4.5%(式の上限は 4.0%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:会社の計画どおり進み、審査も小さな否認で済む筋書き。実績が出ているので 14%。
中立 34% 中立:会社の計画の約 98%、格付けは BBB-〜BBB 利益 37 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 111.97 ドル432 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 870 億ドル(2030 年に 666 億ドル、会社の計画の約 98%。その後年 5.5% に鈍る)。慎重性の審査は結論が出て、一部の費用(税引き後 約 15 億ドル)が否認される。10 年のうち小〜中規模の火災が 1〜2 回あるが、基金と自己保険で吸収される。許可 ROE は 9.7〜10% で、純利益は約 36.5 億ドル(2026 年の約 1.6 倍。年約 5.5% で会社目標 5〜7% の下端)。配当性向は 58% で 10 年の配当は約 169 億ドル、増資は会社の説明どおり無い。倍率は 正当化 PER 13.9 倍に対して 11.8 倍(8.5 割)に置いた(規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.5 割)。 10 年の純利益の累計は約 292 億ドル(2026 年の約 23 億ドルから 2035 年の 36.5 億ドルへ年 5% 台で伸びる)に、審査の否認 15 億ドルを引いて約 277 億ドル。
- 電力の配電(CPUC 規制):数量 544(収益基盤(億ドル))× 価格 0.28(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 155 億ドル・営業利益 50 億ドル。収益基盤 544 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2849
- 電力の送電(FERC 規制):数量 196(収益基盤(億ドル))× 価格 0.18(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 36 億ドル・営業利益 23 億ドル。収益基盤 196 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.1837
- 発電・電力調達その他:数量 130(収益基盤(億ドル))× 価格 0.83(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 108 億ドル・営業利益 18 億ドル。収益基盤 130 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.8308
倍率:正当化 PER 13.9 倍(g 4.0%・RONIC 10.7%=k 8.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 12.9%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 11.8 倍(8.5 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.5 割。g の内訳:数量の実質 +1.25%(電化と送電の増強)× シェア 変わらず(地域独占)× 単位あたり収益の伸び(物価 3.5% を下回る。手頃さの政治・山火事費用)で、名目の長期 g は 3.5〜4.5%(式の上限は 4.0%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:計画の少しの遅れと、審査での一部否認という標準的な置き方。34%。
やや悲観 30% やや悲観:審査で基金への返済が出て、許可 ROE が下がる 利益 30 億ドル · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 86.14 ドル333 億ドル
2035 年末、慎重性の審査で基金への返済が認められ、税引き後 約 55 億ドルの損失が 2028〜2030 年に出る。格付けは BBB- に張り付き、手頃さの政治で許可 ROE が 9.2% 前後に下がる。収益基盤は約 780 億ドル(2030 年に 626 億ドル、その後年 4.5% に鈍る)、純利益は約 29.5 億ドル(2026 年の約 1.3 倍)。PG&E が計画どおりに伸びる中、SCE は投資の認可の遅れで差をつけられる。配当は 10 年で約 150 億ドル(配当の伸びは止まる)、増資は無い。倍率は 正当化 PER 14.1 倍に対して 11.3 倍(8 割)に置いた(許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8 割)。 10 年の純利益の累計は約 260 億ドル(2026 年の約 23 億ドルから 2035 年の 29.5 億ドルへ年 3% 前後で伸びる)に、2028〜2030 年の基金への返済 55 億ドルを引いて約 205 億ドル。
- 電力の配電(CPUC 規制):数量 498(収益基盤(億ドル))× 価格 0.30(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 148 億ドル・営業利益 46 億ドル。収益基盤 498 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2972
- 電力の送電(FERC 規制):数量 165(収益基盤(億ドル))× 価格 0.21(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 34 億ドル・営業利益 21 億ドル。収益基盤 165 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2061
- 発電・電力調達その他:数量 117(収益基盤(億ドル))× 価格 0.88(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 103 億ドル・営業利益 17 億ドル。収益基盤 117 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.8803
倍率:正当化 PER 14.1 倍(g 4.0%・RONIC 10.9%=k 8.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 13.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 11.3 倍(8 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8 割。g の内訳:数量の実質 +1.25%(電化と送電の増強)× シェア 変わらず(地域独占)× 単位あたり収益の伸び(物価 3.5% を下回る。手頃さの政治・山火事費用)で、名目の長期 g は 3.5〜4.5%(式の上限は 4.0%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:審査で基金への返済が認められ、手頃さの政治で許可 ROE が下がる。SB 492 の頓挫後の見方を反映して 30%。
悲観 17% 悲観:基金の枠を超える損失と増資で、優良な規制公益でなくなる 利益 15 億ドル · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 42.54 ドル164 億ドル
2035 年末、構造的に負ける。2027〜2029 年にイートンの損失が基金の枠と慎重性の審査の上限を超え(故意の認定を含み)、税引き後 約 150 億ドル、さらに 2031 年に別の大きな火災で約 40 億ドルが出て、合計は税引き後 約 190 億ドル。格付けは投資不適格に落ち、2028〜2030 年に増資を約 110 億ドル、安い株価で払い込む。許可 ROE は 8.3% 前後へ下げられ、借入コストは約 2 ポイント上がり、収益基盤は 2035 年に約 662 億ドル(10 年で年約 3.4%)にとどまる。純利益は約 15.2 億ドル。配当は 10 年で約 76 億ドルだが、増資の約 110 億ドルを引いた正味は約 -34 億ドル。もう優良な規制公益ではなく、信用の落ちた地方の公益になる。倍率は式(ROE 7.2%・g 3.25%・k 8.5%)×(1+g) で約 10.8 倍。 10 年の純利益の累計は約 188 億ドル(2026 年の約 23 億ドルから 2035 年の 15.2 億ドルへ下がる)に、税引き後の損失 190 億ドルを引いて約 −2 億ドル。自己資本は今の 176 億ドルにこの −2 億ドルを足し、還元の負の分(増資 110 億ドルを配当 約 73 億ドルより多く払い込む正味 37 億ドル)を加えた約 211 億ドル。
- 電力の配電(CPUC 規制):数量 431(収益基盤(億ドル))× 価格 0.33(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 141 億ドル・営業利益 40 億ドル。収益基盤 431 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3271
- 電力の送電(FERC 規制):数量 132(収益基盤(億ドル))× 価格 0.25(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 33 億ドル・営業利益 18 億ドル。収益基盤 132 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.25
- 発電・電力調達その他:数量 99.0(収益基盤(億ドル))× 価格 0.99(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む))→ 売上 98 億ドル・営業利益 15 億ドル。収益基盤 99 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.9899
倍率:帳簿の自己資本 ROE 7.2%(純利益 15.2 億ドル ÷ 自己資本 211 億ドル)・g 3.25%・k 8.50%。式 PER = (1 − g/ROE)÷(k − g) = (1 − 3.25%÷7.2%)÷(8.50% − 3.25%) = 約 10.5 倍(来年の利益に対する倍率)。2035 年の利益に掛けるので ×(1+g) で約 10.8 倍。g の内訳:数量 実質 +0.6% × シェア 変わらず(地域独占。CCA への移りは織り込み)× 価格 実質 −0.85% + 物価 3.5% = 名目 約 3.25%(収益基盤の伸びは、需要の伸び × 設備投資の認可 × 許可 ROE の水準で決まる)。10 年目の伸びは年 10% 未満なので 1 段で出した。10 年目の単年の伸びは 10% 未満なので 1 段で出した。k − g は 5.25% で、決まりの 3.5% 以上。純利益は GAAP。割り引きも他社への寄せもしていない。
確率:同じ州の PG&E が 2018 年に山火事で破産申請した前例があり、基金の枠が故意の認定や 2 回目の火災で足りなくなる筋書きを 10 年で 17% と置く(山火事の会社に固有。PG&E の 16% と同水準)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
電力の配電(CPUC 規制)
南カリフォルニアの約 500 万の顧客へ届ける配電網。地中化・被覆電線・強化電柱の投資と、電化・新規接続の投資が中心で、山火事の火元になりうる設備が集中する。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 310 | 0.32 | 100 | 30 |
| 10 年後 中立 | 544 | 0.28 | 155 | 50 |
取り方:収益基盤 約 310 億ドル(推定。会社は合計の 2026 年 508 億ドル・2030 年 679 億ドルだけを開示し、内訳は事業ごとの規模から割り振った)、売上 約 100 億ドル(推定)、営業利益 約 30 億ドル(推定)。許可 ROE 10.03%・自己資本 52%(CPUC の 2025 年 12 月の決定)。競合は無い(地域独占)が、CCA に電源の調達を移す顧客が増え、売る電力量は減るが配電の収益基盤は残る。同じ州の PG&E は収益基盤の伸びが年約 9% と SCE の約 7% より速く、配電の投資で先行する。
電力の送電(FERC 規制)
高圧の送電網。連邦(FERC)が料金を決め、投資の認可と回収が州の手頃さの政治から少し離れている。再エネ・蓄電池・大口負荷の接続で伸びが速い。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 85.0 | 0.24 | 20 | 11 |
| 10 年後 中立 | 196 | 0.18 | 36 | 23 |
取り方:収益基盤 約 85 億ドル(推定)、売上 約 20 億ドル(推定)、営業利益 約 11 億ドル(推定)。FERC の許可ベースで利益率が高い。競合は無い。送電は SCE・PG&E・SDG&E とも伸びが速く、カリフォルニア州内の再エネと蓄電池の接続が主な成長で、会社内で最も利益率が高い部門。
発電・電力調達その他
水力・蓄電池・自社の発電と、購入電力・燃料の転嫁。料金は CPUC が認めるが、売上の多くは利益の出ない転嫁分である。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力費の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 80.0 | 0.91 | 73 | 11 |
| 10 年後 中立 | 130 | 0.83 | 108 | 18 |
取り方:収益基盤 約 80 億ドル(推定)、売上 約 73 億ドル(推定。購入電力・燃料の転嫁を含む)、営業利益 約 11 億ドル(推定)。自社の発電は水力・蓄電池・小型ガス火力が中心で、収益基盤は小さい。売上が収益基盤より大きく見えるのは購入電力の転嫁が入るため。利益率が低いのは、転嫁分に利益が乗らないため。競合は無い。
リスクと懸念
イートン火災の責任(原因・審査・故意)
会社は 2026 年 7 月に設備が出火に関係した可能性が高いと認め、和解の損失は累計 16 億ドル。最初の 10 億ドルは自己保険で払い済みで、以降は山火事基金が払うが、CPUC の慎重性の審査で「慎重でなかった」とされれば、基金への返済(送配電の自己資本の収益基盤の 20% が上限、約 50 億ドル)が株主の負担になる。故意などの認定は上限の外で、自己資本を超えうる。
SB 254 の第 2 段と代位求償
2026 年 8 月末の SB 492 は、代位求償の遮断と基金の 1 事故あたり 60 億ドルの上限を最終案から落とし、会期末に成立しなかった。保険会社が会社に求償できる限り、基金の枠を食いつぶす速度は読めず、基金は 2028 年に失効する規定が残り補充の仕組みも無い。特別会期での再挑戦が成立するかが分かれ目。
財務の薄さと格付け
純有利子負債 414 億ドル(時価総額の約 1.9 倍)、帳簿の自己資本比率 19%、SCE の格付けは投資適格の最下段 BBB-。S&P は EIX・SCE を 1 段下げた。さらに下がれば投資不適格になり、5 年で 380〜410 億ドルの設備投資のための借入コストが上がり、増資なしの約束が崩れる。2025 年のコア利益に入っていた TKM・ウールジー回収の利息分は繰り返さない。
手頃さの政治と許可 ROE
CPUC は 2025 年 12 月に ROE を要求 11.75% より低い 10.03% に決めた。住宅料金は 2026 年に全米で約 5% 上がり、カリフォルニアは特に敏感。次の資本コスト決定や 2028 年以降の GRC で ROE や投資の認可が削られると、収益基盤の伸びと利益率が同時に落ちる。山火事の費用の回収は料金に乗るので、料金への反発を強める。
配当の持続性
配当は 22 年連続で増え、2025 年は 13.8 億ドル、2026 年のコア利益に対する性向は約 58%、利回りは約 6.3%。設備投資が営業 CF を上回る間は借入で支える面があり、イートンの追加損失や増資が出れば、配当の増加が止まるか減る可能性がある。配当を守ろうとして負債を増やす選択は、財務の薄さを悪化させる。
2 回目の山火事・気象
南カリフォルニアは乾燥と強風(サンタアナ風)が毎年重なり、2017〜18 年のウールジー・トーマス、2025 年のイートンと、7〜8 年に 2 回大きな事故が起きた。被覆電線 7,000 マイル超と高リスク地域の約 90% の強化は効くが、残りの設備と他社の失火の巻き込みは残る。次の事故は、基金の残りが減った状態で起きる点が悪い。
電力量の伸びの鈍さ
屋根の太陽光・効率改善・CCA(地域電力購入集団)で売る電力量の伸びは鈍る。電化と EV で増える見通しだが、データセンターの引き合いは約 4.8 GW(2024 年時点)で確約量が小さく、PG&E ほど柱にならない。収益基盤は残るが、固定費を少ない電力量で負担するため請求額が上がり、手頃さの政治に響く。
今後の分かれ目
- SB 254 の第 2 段(代位求償の制限・基金の補充)が特別会期などで成立したら
- 基金の枠が足りなくなる恐れが後退し、格付けの下がる懸念も弱まる。悲観の確率を 10 年で 5 ポイント下げ、楽観・やや楽観を上げる。倍率は式の値のまま。
- CPUC の慎重性の審査(イートン)で、基金への返済が認められたら
- 上限の約 50 億ドルが株主の負担になり、税引き後約 40 億ドルが自己資本から引かれる。やや悲観の筋書きに近づき、配当の増加が止まる。上限が使われないなら中立のまま。
- イートンの原因調査で、故意または重大な過失の指摘が公式に出たら
- 基金の上限の外の損失が現実になり、自己資本 176 億ドルを超えうる。悲観の確率を 10 年で 5〜10 ポイント上げ、増資と投資不適格の筋書きの重みを増す。
- S&P・ムーディーズ・フィッチのいずれかが SCE を投資不適格に下げたら
- 設備投資 380〜410 億ドルの借入コストが跳ね上がり、増資なしの約束が崩れる。やや悲観と悲観の確率を各 3 ポイント上げる。
- 2028 年以降の GRC で許可 ROE が 9.5% 前後に下がったら
- 実現 ROE が約 0.5 ポイント下がり、純利益の伸びが 1 割落ちる。10 年のやや悲観・悲観の確率を各 3 ポイント上げる。
- 南カリフォルニアでデータセンターの確約量が 2027 年末に 2 GW を超えたら
- 収益基盤の伸びが年 7% 超で保たれ、楽観・やや楽観の確率を 3 ポイント上げる。逆に 1 GW 未満なら、中立の収益基盤を 1 割下げる。
見ておくもの
- SB 254 の第 2 段・特別会期での責任改革の成立
- CPUC の慎重性の審査の申請・結論の時期と、基金の使用額(最大 210 億ドルの枠)
- SCE の格付け(S&P・ムーディーズ・フィッチ。BBB- からの動き)
- イートンの原因調査と、故意・重大な過失の指摘の有無(Muddy Waters の主張の当否)
- 2028 年以降の GRC(2027 年の申請)と資本コストの見直し
- 収益基盤(2026 年 508 億ドル → 2030 年 679 億ドル)と設備投資 380〜410 億ドルの進み具合
- 配当の増加の継続と FFO/負債
倍率と資本コストの決め方
今の PER 9 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決め、倍率は利益ベースの正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g)(RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k)、moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 13.9 倍(g 4.0%・RONIC 10.7%)の 8.5 割の 11.8 倍。今の値段に寄せていない。結論は、総合で今の時価総額の約 15% 上の「やや割安」。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β 1.62 × 5%。基本 8.0% + coc.quality +0.50% = 8.50%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 8.50%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。個別のリスク(イートンの責任・手頃さの政治・増資)は k に足さず、筋書きの利益と確率(やや悲観・悲観を 47%)と悲観の深さで表す。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 8.50% では g 4.00% が上限。