結論
CMS エナジー(CMS)は、ミシガン州で電気(約 190 万件)と都市ガス(約 180 万件)を売る規制公益の持株会社で、子会社はコンシューマーズ・エナジー。2025 年の売上は約 85 億ドル、GAAP 純利益は約 10.6 億ドル。会社は 2026〜2030 年に公益事業へ 240 億ドルを投じ、レートベース(認可された投資残高)を 284 億ドルから 468 億ドル(年 10.5%)へ伸ばして、調整後の 1 株利益を年 6〜8%(上限寄り)で伸ばす計画を持つ。非規制の再エネ開発会社ノーススターは開発から撤退し、ディアボーン産業発電(DIG)・ガスのピーカー・商業用太陽光だけ残す。2027 年以降は利益のほぼ全部が公益事業になる。
新しい材料は 2 つ。1 つは 100 万 kW(1 GW)のデータセンターで、約 20 年の大口料金契約に署名済み。ただし地元の用地の許可は未了で、会社の投資計画には入っていない(事業開発の候補は約 9 GW)。もう 1 つは、ミシガン州の委員会が料金の申請を削る傾向で、2026 年 10 月のガス料金は申請の約 42% 減、ROE は申請 10.25% に対し 9.8% で決まった。
バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8.0% に quality -0.75% を足した 7.25%(公益の規制事業で需要と値決めは安定、借金は重い。純負債は時価総額の 86%)。倍率は利益ベースの正当化 PER(moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 16.3 倍(g 3.7%・RONIC 8.8%)の 8.3 割の 13.6 倍。今の GAAP の PER 19.9 倍は、この水準を上回る。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 15% 下で、結論は「やや割高」である。弱みは、自己資本比率 22.6%・FCF −16 億ドルという財務の薄さ、5 年で約 37.5 億ドルの増資、委員会の削り、嵐の費用。強みは、20 年以上守ってきた利益目標と、物価以下に請求額を抑えながら投資を回す設計。楽観・悲観と今の時価総額の差は計算に任せる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。ミシガンの電気とガスの地域独占は、電化とデータセンター・製造業の需要で 10 年後も確実に残り、レートベースが増える分だけ堀は量の面で厚くなる。ただし堀の価値は州の委員会が決める。ROE は 9.8〜9.9% で、委員会は申請を 4 割削る。価格を決める力は無い。
次にオーナー利益を見る。2025 年の純利益は約 10.6 億ドル、配当は約 6.5 億ドルだが、FCF は −16 億ドルで、不足は借金と増資で埋める。経営者が自由に取り出せる利益は小さく、レートベースが 10% 前後伸びた先にしか株主の価値の増加は出ない。10 年の中立では、新株の払い込み約 61 億ドルを引いた正味の還元は約 39 億ドルで、配当の合計(約 98 億ドル)の 4 割にとどまる。
資本配分は規制の枠の中でよい。2026 年にノーススターから撤退する判断は、非規制の稼ぎが小さい割に資本と増資を食う事業を切り、資本を許可 ROE の稼げる公益事業に回す点で評価できる。投資の大きさ(5 年で 240 億ドル、10 年で 450 億ドル超)が工期・費用・認可の失敗を抱え込む点は他の公益と同じで、サザンのボーグル 3・4 号機が前例。安全域は、資本コストを 7.25%(基本 8.0% + quality -0.75%)と置き、悲観の確率を 10 年 11% と厚めに置いて確保した。確信度は公益事業の部分では高いが、データセンターの確度と委員会の削り方では低い。安全域では、利益ベースの正当化 PER 16.3 倍(g 3.7%・RONIC 8.8%・k 7.25%・moat=normal)に対して、10 年の中立を 13.6 倍に置いた。今の PER 19.9 倍はこれより高く、安全域はない。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 15% 下で、結論は「やや割高」である。
何で稼ぐ会社か
事業は規制公益と、整理中の非規制の 2 つ。公益事業はコンシューマーズ・エナジーで、ミシガン州の下半島を地域独占で受け持つ。電気は約 190 万件・販売電力量は 2025 年に約 37.2 TWh(会社のサイト。気候補正後は約 36.6 TWh)、都市ガスは約 180 万件・貯蔵能力約 154 Bcf。料金は州公益事業委員会(MPSC)が決める。電気は将来の試験年度で申請し、委員会は 10 か月で決める決まりのため、投資が出来上がる前から料金に織り込める(規制のラグは小さい)。燃料費・購入電力費・ガスの調達費は料金に転嫁するので、売上の増減と利益の増減は別物で、利益は「レートベース × 自己資本比率 × 許可 ROE」で決まる。
レートベースは 2025 年末に 284 億ドル。電気とガスの内訳は会社が示さないので、投資計画(電気の発電 36%・配電ほか 36%・ガス 28%)と利益の割合から電気 約 208・ガス 約 76 億ドルと推定した。計画の 240 億ドルは、発電(蓄電池・太陽光・ガスのピーカー)と配電の信頼性向上、ガス管の更新に入る。IRP(2026 年 9 月に提出、案件番号 U-22127)には、カーンなどのガス約 1.4 GW を含み、発電能力を 2040 年に倍増する案が入っている(委員会の判断待ち)。
ノーススター(非規制)は、再エネの開発・所有と DIG(ディアボーンの産業向け発電、税引き前利益 約 0.7 億ドルの見込み)を持つ。2026 年末までに非ミシガンの資産を売却して開発から撤退し、5 年の計画に入れていた 17 億ドルを公益事業に付け替える。2025 年の利益への寄与は GAAP で 1 株利益の約 7%(約 0.7 億ドル)と小さく、売上・利益の割り振りは推定。親会社は持株会社の借金(転換社債を含む)の利払いを負う。
優良さと弱いところ
堀は 3 層ある。第 1 は地域独占で、競合は無い。第 2 は規制の枠組みで、将来の試験年度と 10 か月の決定期限で投資が先に料金に乗る。さらに、省エネの報奨(年 約 0.65 億ドルの税引き前)と、購入電力契約の金融補償(2030 年に約 0.5 億ドルの税引き前。会社の資料の名前は「Firm Capacity Market」「FCM」と揺れる)が、レートベース以外の利益として積み上がる。第 3 は、請求額の伸びを物価以下に抑えるという会社の方針で、手頃さの政治に対して先に譲る構えを取っている。
弱みは 4 つ。第 1 に、委員会は削る側に立つ。2026 年 3 月の電気は 2.17 億ドル(ROE 9.9%)が決まり、2026 年 10 月のガスは 1.392 億ドル(ROE 9.8%・申請は約 2.4 億ドル)。ROE はサザン・デュークの 9.7〜9.9% と同じ水準で、司法長官は反対の立場を続ける。第 2 に財務で、純有利子負債は 183 億ドル(時価総額の 86%)、自己資本比率は 22.6%、FCF は 2025 年に −16 億ドル。第 3 に、嵐と信頼性(信頼性は第 4 四分位から第 3 四分位へ改善、第 2 に近づく途上)で、2026 年上期は嵐の費用で O&M が前年同期より約 0.6 億ドル増えた。第 4 に、電気の発電の入れ替え(石炭のキャンベル発電所は国の緊急命令で稼働が続く報道があり、費用の回収は手続き中)。
資本効率は、GAAP の自己資本 ROE 11.7%(2025 年。親会社の借金が公益事業の自己資本を支える構造のため許可 ROE の 9.9% より高く出る)。経営は、20 年以上にわたり調整後の 1 株利益を年 6〜8% で伸ばす目標を守ってきた点が評価できる。ノーススターの再エネ開発は、資本を非規制に振り向けた過去の判断が稼ぎを小さくした。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の電力需要は 2025 年に過去最高の約 4,195 TWh、EIA は 2026〜2027 年に年 +1.9% と見る(業界ノート)。伸びの中心は商業用(データセンター)。発表済みの大口プロジェクトは約 55 GW・約 8,900 億ドルあるが、引き合いは確約ではない(テキサスの系統運用者 ERCOT は 2030 年の見通しを 208 GW から 138 GW へ切り下げた)。CMS が示すミシガンの案件候補は約 9 GW(適格 1.5〜2 GW・進んだ段階 4〜5 GW・最終段階 1〜2 GW)で、そのうち署名済みは 1 GW のデータセンター 1 件と、2026 年に契約した製造業・産業の約 135 MW。
競争の形は、近隣の州(DTE エナジーは約 3 GW の追加負荷、アライアント・ナイソース)とのデータセンターの誘致競争。ミシガンは 2025 年に大口料金の枠組み(案件 U-21859。100 MW 以上・最低 15 年・退出料と担保)を決め、CMS の優位は「一般の顧客の料金を押し上げない設計」を先に作った点にある。会社は大口負荷 1 GW あたり、平均的な住宅の電気代を月 約 7.5 ドル下げ、5 年の料金の伸びを約 2 ポイント減らすと説明する(会社の見方。固定費を多くの顧客で分けるため)。資本は 1 GW あたり 20〜50 億ドル。
政治の分かれ目は手頃さで、住宅料金は全米で 2026 年に約 +5%。ミシガンは 2023 年の法律で 2040 年に 100% クリーンを求めており、再エネ・蓄電池の投資が義務に近い。M&A は、ネクステラによるドミニオンの買収合意など再編が動くが、CMS は時価総額約 215 億ドルと借金の大きさから買い手にはなりにくく、売り手にもなっていない。ガスは暖房需要が中心で数量は伸びず、料金の伸びはガス管の更新投資で決まる。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、配当(性向の目標は約 55%、2026 年は 20 年連続の増配)と、増資・借金・ハイブリッド債による資金調達。5 年(2026〜2030 年)の新株の発行は約 37.5 億ドル(2026 年に 7 億ドル、うち約 4.95 億ドルは済み。残りは約 30 億ドル)。ノーススターの売却と資金の付け替えで、少なくとも 3.5 億ドル減らせる見込みで、親会社の資金需要は 5 億ドル超減る。2026 年に転換社債 10 億ドルを借り換え、コンシューマーズは担保付き社債 8.5 億ドル(年 17.35 億ドルの予定の一部)を発行。FFO/負債は中位の 10% 台を目標。設備投資 1 ドルあたり自己資本約 0.4 ドルが目安と説明している。
借金は借り換えで金利が上がる。brief.py の推定では、10 年後に約 3 億ドル増える(会社の見通しに先に入っている分を除き、筋書きの利益率に織り込んだ)。M&A の歴史では、買収で大きくなる会社ではなく、レートベースを投資で増やす会社。評価できる資本配分は、非規制の再エネから公益事業へ付け替える今回の判断(利益の質が上がり、増資も減る)。悪い点は、ノーススターに資本を振り向けたこと自体が稼ぎを薄めたこと。会社全体の時価総額で書くので、増資は払い込みを還元から引いて織り込んだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は 20 年以上、調整後の 1 株利益の目標を守ってきた。2025 年は目標を上回り、2026 年の見通しを引き上げ、2027 年の見通し(調整後の 1 株利益 約 +6.7%)まで示し、上限寄りを狙う。レートベースの年 10.5% は、配当を払いながら 1 株利益を年 6〜8% 伸ばせる設計で、計画には約 30 億ドルの上振れ(再エネ約 20 億・配電の信頼性約 10 億)とデータセンターの大口負荷が入っていない。1 GW のデータセンターは約 20 年の契約に署名済みで、事業開発は約 9 GW。1 GW で住宅の電気代が月 約 7.5 ドル下がる設計なら、手頃さの政治も味方になる。
資本の質も上がる。ノーススターを手放して公益事業に集中すれば、利益の質(規制の予見性)が上がり、増資は 3.5 億ドル以上減る。委員会は削るが、10 か月で必ず決まり、将来の試験年度で投資が先に料金に乗る。信頼性は第 4 から第 3 四分位へ改善し、第 2 に近づけば委員会の信頼が増す。省エネの報奨・購入電力の金融補償など、レートベース以外の利益も積み上がる。
k 7% 台の規制電力で、レートベースが年 10% 前後伸びて ROE が 10% 前後なら、倍率は正当化 PER の上限(17 倍前後)近くまで成り立つ。今の GAAP の PER 19.9 倍は、伸びを考えればまだ許せるとする。
慎重な見方
借金と増資で成長を買う会社である。純有利子負債は 183 億ドルで時価総額の 86%、自己資本比率は 22.6%、FCF は 2025 年に −16 億ドル。5 年で 240 億ドルを投じ、不足は借金と約 37.5 億ドルの増資で埋める。借り換えの金利が 5.75% 前後へ上がり、新株で既存の株主の持ち分は薄まり続ける。リーマンの谷での株価は配当込みで −40%、PBR は 0.86 倍まで縮んだ。
委員会は削る。2026 年 10 月のガスは 1.392 億ドルで申請の約 42% 減、ROE は申請 10.25% に対し 9.8%。2026 年 3 月の電気も 2.17 億ドルで ROE 9.9%。司法長官は 3.5% の値上げを求めて反対した。次の電気の申請(4.56 億ドル・ROE 10.25%)も同じように削られ、住宅料金が全米で 2026 年に約 +5% 上がる中、手頃さの反発が強まれば許可 ROE は 9.5% 前後まで下がる。2026 年上期の調整後の 1 株利益は前年同期比で約 13% 減で、嵐の費用と O&M の増加を料金に乗せきれていない。
データセンターは確約ではない。署名済みは 1 件で、用地の許可は未了、計画に入っていない。ミシガンの 2025〜2026 年の議論は、顧客に偏りがある大口負荷が料金に与える影響を問うている。今の PER 19.9 倍は、利益ベースの正当化 PER(16〜17 倍)より高く、金利 5% の世界では高すぎる。
どちらに重みを置いたか
規制事業の質と、会社が目標を守ってきた実績は強気の見方が上回るが、財務の薄さ・委員会の削り・増資は慎重な見方が突いている。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた(10 年の中立 13.6 倍=正当化 PER 16.3 倍の 8.3 割)。今の PER を見て寄せていない。確率は中立に寄せ、楽観・やや楽観の合計を 10 年 30%、やや悲観・悲観の合計を 10 年 32% とした。財務の薄さ(リーマンの谷で PBR 0.86 倍)と、委員会が申請を 4 割削る現実の分は悲観を 10 年で 11% と厚めに置いた。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 15% 下で、結論は「やや割高」である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 101.03 ドル313 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 11.30 ドル35 億ドル)。 今の値に割り戻すと 58.14 ドル180 億ドル、今との差 −17.3%、 期待の年率 +4.8%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 152.77 ドル474 億ドル | 9.35 ドル29 億ドル | +130.6% | +8.7% | 11.35 ドル35 億ドル |
| やや楽観 | 23% | 124.82 ドル387 億ドル | 10.64 ドル33 億ドル | +92.7% | +6.8% | 31.16 ドル97 億ドル |
| 中立 | 38% | 101.84 ドル316 億ドル | 11.93 ドル37 億ドル | +61.8% | +4.9% | 43.23 ドル134 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 80.82 ドル251 億ドル | 12.57 ドル39 億ドル | +32.8% | +2.9% | 19.61 ドル61 億ドル |
| 悲観 | 11% | 54.16 ドル168 億ドル | 9.35 ドル29 億ドル | −9.7% | −1.0% | 6.99 ドル22 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 101.03 ドル313 億ドル | 11.30 ドル35 億ドル | +59.8% | +4.8% | 112.33 ドル348 億ドル |
今の株価時価総額 70.30 ドル218 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:データセンターと電化で、レートベースが年 10% で伸び続ける 利益 29 億ドル · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 152.77 ドル474 億ドル
2035 年末、ミシガンの大口契約は署名済みの 1 GW に加え、約 9 GW の候補から 2 GW 以上が稼働し、販売電力量は 2025 年比で約 +42%(年 3.6%)。レートベースは約 735 億ドル(10 年で年 10.0%。2030 年まで年 11.5%、その後 8.5%)で、うち電気が約 533 億ドル。ミシガンの委員会は許可 ROE を 10% 前後で維持し、ガス管の更新も予定どおり認可する。純利益は約 29.4 億ドル(2025 年の GAAP の約 2.8 倍)。新株の払い込みは 10 年で約 84 億ドルと巨額だが、配当は約 113 億ドルで、正味の還元は約 29 億ドル。IRP の発電の入れ替え(ガス・蓄電池・太陽光)の費用がすべて認可される。倍率は 正当化 PER 17.0 倍に対して 16.1 倍(9.5 割)に置いた(規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割)。
- 電気(コンシューマーズ・エナジーの電力事業):数量 53.0(販売電力量(TWh))× 価格 22(1 kWh あたり収益(セント。燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 119 億ドル・営業利益 36 億ドル。販売電力量 53.0 TWh × 1 kWh あたり 22.47 セント
- 都市ガス(コンシューマーズ・エナジーのガス事業):数量 189(顧客数(万件))× 価格 1,719(1 件あたり売上(ドル。ガスの調達費の転嫁を含む))→ 売上 33 億ドル・営業利益 12 億ドル。顧客 189 万件 × 1 件あたり 1719 ドル(ガス管の更新費で物価をやや上回って上がる)
- ノーススター(非規制の発電・再エネ):数量 1.7(保有する発電容量(GW))× 価格 2.10(1 GW あたり売上(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 2 億ドル。残る容量 1.7 GW × 1 GW あたり 2.10 億ドル
倍率:正当化 PER 17.0 倍(g 3.7%・RONIC 9.2%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 11.2%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 16.1 倍(9.5 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割。g の内訳:販売電力量の実質 +1.6%(データセンター・電化・産業の増加から省エネを引いた値)× シェア 変わらず(地域独占)× 1 kWh あたり収益 +2.45%(物価 3.5% より低い。ミシガンの委員会が請求額の伸びを物価以下に抑える)で、名目の長期 g は 4.0〜4.5%(式の上限は 3.7%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:署名済みの 1 GW に加え、約 9 GW の候補から 2 GW 以上が稼働し、上振れの投資 30 億ドルも通る。10 年でも重なる確率は 1 割未満の 7%。
やや楽観 23% やや楽観:計画どおりの投資が通り、10 年のレートベースが年 8.9% 利益 26 億ドル · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 124.82 ドル387 億ドル
2035 年末、計画の投資(5 年で 240 億ドル)が認可され、データセンターは署名済みの 1 GW に加えて 1〜2 GW が稼働する。販売電力量は 2025 年比で約 +32%(年 2.8%)、レートベースは約 668 億ドル(10 年で年 8.9%。2030 年まで年 10.7%、その後 7.2%)で、うち電気が約 484 億ドル。許可 ROE は 9.9〜10.0% で、委員会との関係も改善する。純利益は約 25.9 億ドル(2025 年の GAAP の約 2.4 倍)。新株の払い込みは約 71 億ドル、配当は約 104 億ドルで、正味の還元は約 33 億ドル。ノーススターは DIG などの安定した利益だけが残る。倍率は 正当化 PER 16.6 倍に対して 14.9 倍(9 割)に置いた(許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9 割)。
- 電気(コンシューマーズ・エナジーの電力事業):数量 49.0(販売電力量(TWh))× 価格 22(1 kWh あたり収益(セント。燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 109 億ドル・営業利益 33 億ドル。販売電力量 49.0 TWh × 1 kWh あたり 22.26 セント
- 都市ガス(コンシューマーズ・エナジーのガス事業):数量 189(顧客数(万件))× 価格 1,702(1 件あたり売上(ドル。ガスの調達費の転嫁を含む))→ 売上 32 億ドル・営業利益 11 億ドル。顧客 189 万件 × 1 件あたり 1702 ドル(ガス管の更新費で物価をやや上回って上がる)
- ノーススター(非規制の発電・再エネ):数量 1.6(保有する発電容量(GW))× 価格 2.10(1 GW あたり売上(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 2 億ドル。残る容量 1.6 GW × 1 GW あたり 2.10 億ドル
倍率:正当化 PER 16.6 倍(g 3.7%・RONIC 9.0%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 10.7%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 14.9 倍(9 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9 割。g の内訳:販売電力量の実質 +1.6%(データセンター・電化・産業の増加から省エネを引いた値)× シェア 変わらず(地域独占)× 1 kWh あたり収益 +2.45%(物価 3.5% より低い。ミシガンの委員会が請求額の伸びを物価以下に抑える)で、名目の長期 g は 4.0〜4.5%(式の上限は 3.7%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:計画の投資が認可され、データセンターが 1〜2 GW 稼働する筋書き。強気の見方が通る確率として 23%。
中立 38% 中立:2030 年まで年 10%、その後は年 6% に鈍る 利益 23 億ドル · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 101.84 ドル316 億ドル
2035 年末、レートベースは約 612 億ドル(10 年で年 8.0%)。2030 年までは計画(10.5%)を少し下回る年 10%、2031 年以降は物価の伸びと更新投資で年 6% に鈍る。うち電気が約 443 億ドル。販売電力量は 2025 年比で約 +24%(年 2.2%。データセンター 1 GW と電化で伸び、省エネで相殺)。許可 ROE は 9.8〜9.9% で、委員会は申請を 4 割前後削り続ける。純利益は約 23.3 億ドル(2025 年の GAAP の約 2.2 倍)。新株の払い込みは 10 年で約 61 億ドル、配当は約 98 億ドルで、正味の還元は約 37 億ドル。ノーススターは DIG の契約が続き、利益は 1 億ドル未満で安定する。倍率は 正当化 PER 16.3 倍に対して 13.6 倍(8.3 割)に置いた(規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.3 割)。
- 電気(コンシューマーズ・エナジーの電力事業):数量 46.2(販売電力量(TWh))× 価格 22(1 kWh あたり収益(セント。燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 102 億ドル・営業利益 30 億ドル。販売電力量 46.2 TWh × 1 kWh あたり 22.04 セント
- 都市ガス(コンシューマーズ・エナジーのガス事業):数量 187(顧客数(万件))× 価格 1,686(1 件あたり売上(ドル。ガスの調達費の転嫁を含む))→ 売上 32 億ドル・営業利益 10 億ドル。顧客 187 万件 × 1 件あたり 1686 ドル(ガス管の更新費で物価をやや上回って上がる)
- ノーススター(非規制の発電・再エネ):数量 1.5(保有する発電容量(GW))× 価格 2.10(1 GW あたり売上(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。残る容量 1.5 GW × 1 GW あたり 2.10 億ドル
倍率:正当化 PER 16.3 倍(g 3.7%・RONIC 8.8%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 10.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.6 倍(8.3 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8.3 割。g の内訳:販売電力量の実質 +1.6%(データセンター・電化・産業の増加から省エネを引いた値)× シェア 変わらず(地域独占)× 1 kWh あたり収益 +2.45%(物価 3.5% より低い。ミシガンの委員会が請求額の伸びを物価以下に抑える)で、名目の長期 g は 4.0〜4.5%(式の上限は 3.7%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:2030 年までは計画を少し下回る年 10%、その後は年 6% に鈍る。最も起きやすい。38%。
やや悲観 21% やや悲観:手頃さの政治で認可が削られ、レートベースの伸びが年 6.7% 利益 20 億ドル · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 80.82 ドル251 億ドル
2035 年末、レートベースは約 542 億ドル(10 年で年 6.7%。2030 年まで年 8.6%、その後 4.8%)。手頃さの政治で、委員会は許可 ROE を 9.5% 前後に抑え、ガス管の更新と発電の入れ替えの費用の一部(計画外の上振れ分)を認めない。住宅料金の伸びを物価以下に抑える会社の約束が、投資の規模を縮める。データセンターは署名済みの 1 GW にとどまり、販売電力量は 2025 年比で約 +16%。純利益は約 19.8 億ドル(2025 年の GAAP の約 1.9 倍)。新株の払い込みは 10 年で約 49 億ドル、配当は約 88 億ドルで、正味の還元は約 39 億ドル。倍率は 正当化 PER 15.8 倍に対して 12.7 倍(8 割)に置いた(許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8 割)。
- 電気(コンシューマーズ・エナジーの電力事業):数量 43.2(販売電力量(TWh))× 価格 22(1 kWh あたり収益(セント。燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 93 億ドル・営業利益 26 億ドル。販売電力量 43.2 TWh × 1 kWh あたり 21.62 セント
- 都市ガス(コンシューマーズ・エナジーのガス事業):数量 184(顧客数(万件))× 価格 1,607(1 件あたり売上(ドル。ガスの調達費の転嫁を含む))→ 売上 30 億ドル・営業利益 9 億ドル。顧客 184 万件 × 1 件あたり 1607 ドル(ガス管の更新費で物価をやや上回って上がる)
- ノーススター(非規制の発電・再エネ):数量 1.4(保有する発電容量(GW))× 価格 2.10(1 GW あたり売上(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。残る容量 1.4 GW × 1 GW あたり 2.10 億ドル
倍率:正当化 PER 15.8 倍(g 3.7%・RONIC 8.4%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.6%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.7 倍(8 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 8 割。g の内訳:販売電力量の実質 +1.6%(データセンター・電化・産業の増加から省エネを引いた値)× シェア 変わらず(地域独占)× 1 kWh あたり収益 +2.45%(物価 3.5% より低い。ミシガンの委員会が請求額の伸びを物価以下に抑える)で、名目の長期 g は 4.0〜4.5%(式の上限は 3.7%)。純利益は GAAP の考え方。
確率:手頃さの政治で認可が削られ、増資が嵩む。委員会が申請を 4 割削る現実があるので 21%。
悲観 11% 悲観:構造的に負け、許可 ROE が 9% 前後に下がり投資の一部が認められない 利益 12 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 54.16 ドル168 億ドル
2035 年末、構造的に負ける筋書き。ミシガンの委員会と政治が許可 ROE を 9% 前後へ下げ、データセンターの大口負荷は署名済みの 1 GW も用地の許可で遅れ、ガス管の更新と発電の入れ替えの費用の一部が否認される(損失の合計は自己資本を 6 億ドル削る程度)。住宅料金の反発を受け、会社は投資計画を縮め、レートベースは約 429 億ドル(10 年で年 4.2%)にとどまる。増資は株価の下落で重く、新株の払い込みは約 32 億ドルに達し、配当は約 61 億ドル、正味の還元は約 29 億ドル。純利益は約 12.0 億ドルと 2025 年と同じ水準。もう優良な規制公益ではなくなり、倍率は式(ROE 7.1%・g 3.3%・k 7.25%)で PER 14.0 倍まで縮む。
- 電気(コンシューマーズ・エナジーの電力事業):数量 39.5(販売電力量(TWh))× 価格 21(1 kWh あたり収益(セント。燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 83 億ドル・営業利益 18 億ドル。販売電力量 39.5 TWh × 1 kWh あたり 20.99 セント
- 都市ガス(コンシューマーズ・エナジーのガス事業):数量 180(顧客数(万件))× 価格 1,501(1 件あたり売上(ドル。ガスの調達費の転嫁を含む))→ 売上 27 億ドル・営業利益 6 億ドル。顧客 180 万件 × 1 件あたり 1501 ドル(ガス管の更新費で物価をやや上回って上がる)
- ノーススター(非規制の発電・再エネ):数量 1.3(保有する発電容量(GW))× 価格 2.10(1 GW あたり売上(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。残る容量 1.3 GW × 1 GW あたり 2.10 億ドル
倍率:帳簿の自己資本 ROE 7.1%(純利益 12.0 億ドル ÷ 自己資本 169 億ドル)・g 3.27%・k 7.25%。式 PER = (1 − g/ROE)÷(k − g) = (1 − 3.27%÷7.1%)÷(7.25% − 3.27%) = 約 13.6 倍(来年の利益に対する倍率)。2035 年の利益に掛けるので ×(1+g) で約 14.0 倍。10 年目の単年の伸びは 10% 未満なので 1 段で出した。k − g は 3.98% で、決まりの 3.5% 以上。純利益は GAAP。割り引きも他社への寄せもしていない。
確率:10 年で構造的に負ける確率を 11% と置く。許可 ROE が 9% 前後に下がり、ガス・電気の投資の一部が否認され、増資で薄まる。財務の薄さ(リーマンの谷で PBR 0.86 倍)を反映して厚めに。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
電気(コンシューマーズ・エナジーの電力事業)
ミシガン州下半島の発電から送配電までの電気事業(約 190 万件)。蓄電池・太陽光・ガスのピーカーの新設と信頼性投資が計画の中心で、データセンターの大口契約の受け皿。
| 数量販売電力量(TWh) | 価格1 kWh あたり収益(セント。燃料・購入電力の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 37.2 | 16 | 61 | 13 |
| 10 年後 中立 | 46.2 | 22 | 102 | 30 |
取り方:販売電力量 約 37.2 TWh(会社のサイト。2025 年の暦年、気候補正後は約 36.6 TWh)× 1 kWh あたり収益 約 16.4 セント(推定)。売上 約 61 億ドル・営業利益 約 12.6 億ドルは、全社の売上 85.4 億ドル・営業利益 17.3 億ドルから割り振った推定(会社は電気・ガス別のレートベースと利益を示していない。レートベース 約 208 億ドル、年末)。競合は無く、価格は州の委員会(MPSC)が決める。
都市ガス(コンシューマーズ・エナジーのガス事業)
ミシガン州の都市ガス配給(約 180 万件)。貯蔵能力 約 154 Bcf。暖房需要が中心で数量は伸びず、ガス管の更新投資でレートベースが伸びる。
| 数量顧客数(万件) | 価格1 件あたり売上(ドル。ガスの調達費の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 180 | 1,139 | 21 | 4 |
| 10 年後 中立 | 187 | 1,686 | 32 | 10 |
取り方:顧客 約 180 万件(会社の資料)× 1 件あたり売上 約 1,139 ドル(推定)。売上 約 20.5 億ドル・営業利益 約 4.3 億ドルは推定(レートベース 約 76 億ドル)。許可 ROE は 2025 年 9 月の決定から 2026 年 10 月に 9.8% へ。ガスの数量は顧客数で見るが、販売量は気温で変わる。1 件あたり売上は、調達費の転嫁に加え、ガス管の更新費(年 数億ドル規模の回収)で物価をやや上回って上がると置く。競合は無い。
ノーススター(非規制の発電・再エネ)
再エネ開発から撤退中。2026 年末までに非ミシガンの資産を売却し、DIG(ディアボーンの産業向け発電)・カラマズーとリビングストンのガスピーカー・ミシガンの商業用太陽光 4 件だけ残す。
| 数量保有する発電容量(GW) | 価格1 GW あたり売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.5 | 1.56 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1.5 | 2.10 | 3 | 1 |
取り方:保有容量 約 2.5 GW(売却予定の資産を含む。推定)× 1 GW あたり売上 約 1.56 億ドル(推定)。売上 約 3.9 億ドル・営業利益 約 1.3 億ドルは推定(2025 年の GAAP 純利益への寄与 約 0.7 億ドルから)。撤退後の残る容量は約 1.5 GW(DIG・ピーカー・太陽光 約 0.5 GW)。DIG の税引き前利益は 約 0.7 億ドルの見込み。
リスクと懸念
委員会が申請を削り、許可 ROE が下がる
ミシガンの委員会(MPSC)は申請を大きく削る。2026 年 10 月のガスは 1.392 億ドルで申請の約 42% 減、ROE は 10.25% 申請に対し 9.8%。2026 年 3 月の電気も 2.17 億ドル(ROE 9.9%)に落ち着いた。次の電気の申請(4.56 億ドル・ROE 10.25%・自己資本比率 51.75%)も同じ運命なら、レートベースの伸びほど利益が伸びない。司法長官は反対を続け、住宅料金は全米で 2026 年に約 +5% と手頃さの政治が強い。
借金と増資に頼る財務
純有利子負債は 183 億ドルで時価総額の 86%、自己資本比率は 22.6%、FCF は 2025 年に −16 億ドル。5 年(2026〜2030 年)に約 37.5 億ドルの増資を計画し、2026 年は 7 億ドル(約 4.95 億ドルは済み)。株価が下がると同じ額でも新株が増え、既存の株主の持ち分が薄まる。借り換えで金利は 5.75% 前後へ上がり、利払いは 10 年で約 3 億ドル増える(推定)。FFO/負債は中位の 10% 台が目標で、格付けを守るため増資は減らせない。
データセンターの確度
署名済みは 1 GW のデータセンター 1 件(約 20 年の大口料金契約)で、地元の用地の許可は未了、会社の投資計画(5 年で 240 億ドル)には入っていない。事業開発の候補は約 9 GW(適格 1.5〜2 GW・進んだ段階 4〜5 GW・最終段階 1〜2 GW)だが、引き合いは確約ではなく、テキサスの系統運用者が 2030 年の見通しを 208 GW から 138 GW へ切り下げた前例がある。大口料金の枠組み(U-21859)は 100 MW 以上・最低 15 年・退出料と担保だが、費用の配分は次の料金申請で 6 案を示して決める段階で、将来の費用負担の争いが残る。
発電の入れ替えの費用と工期
IRP(2026 年 9 月提出・案件 U-22127)は、ガス 約 1.4 GW(カーンなど)・蓄電池・太陽光を含め、発電能力を 2040 年に倍増する案。ガスタービンは価格が 2019 年比で約 3 倍・納期 5〜7 年と高く、費用の超過が認可されなければ直接の損失になる(サザンのボーグル 3・4 号機が前例)。ミシガンは 2040 年に 100% クリーンを求める法律で、蓄電池・再エネが義務に近く、ガスに環境団体の反対がある。石炭のキャンベル発電所が国の緊急命令で稼働し続ける費用の回収も未了。
嵐・信頼性と費用の回収
2026 年上期は嵐の費用で O&M が増え、調整後の 1 株利益は前年同期比で約 13% 減った。信頼性は第 4 四分位から第 3 四分位に上がったが、第 2 に近づく途上で、長時間の停電は委員会と議会の風当たりを強める。嵐の費用の繰り延べ申請は審理中で、会社は建設的な結論を見込むが、一部が否認されれば利益が直接減る。
ノーススター撤退の実行
2026 年末までに非ミシガンの再エネ資産を売り、開発から撤退する計画。売却価格が低ければ、増資を減らす狙い(3.5 億ドル以上)が小さくなり、損失が出る可能性もある。残す DIG(税引き前 約 0.7 億ドル)・ガスのピーカー・商業用太陽光は契約の更新に左右される。2025 年の 1 株利益のうち約 7% を占めるので、撤退後の利益の穴を公益事業の成長で埋められるかが問われる。
金利と倍率の縮み
10 年国債 5% の世界で、GAAP の PER 19.9 倍・PBR 2.33 倍は、過去 20 期の PBR の中央(2.42 倍)に近いが、リーマンの谷では PBR 0.86 倍・株価(配当込み)−40% まで下がった。配当利回りが約 3% で、国債(5%)に劣ることが続けば、配当を重視する買い手は離れやすい。倍率は ROE と g と k の式で決まるので、長期金利が上がって k が上がれば PER は下がる。
今後の分かれ目
- 2026 年 10 月 27 日の第 3 四半期決算で、IRP とデータセンターの大口負荷を計画に入れ、投資計画を引き上げたら
- レートベースの伸びが年 11% 前後に上がり、楽観・やや楽観の確率を 10 年で 4〜5 ポイント上げる。逆に、大口負荷が計画に入らず、増資の見通しが増えたら確率を中立に戻す。
- 次の電気の料金改定(申請 4.56 億ドル・ROE 10.25%)が ROE 9.5% 前後に削られたら
- 利益の伸びが 1 ポイント下がり、やや悲観・悲観の確率を各 3 ポイント上げる。9.9% 以上で決まれば、逆に楽観側へ 3 ポイント寄せる。
- データセンターの用地の許可が下り、大口料金の契約が着工に進んだら
- 署名済み 1 GW の確度が上がり、10 年のやや楽観の確率を 3 ポイント上げる。許可が下りない・契約が縮めば、計画の外の上振れだったので影響は小さいが、楽観の確率を 3 ポイント下げる。
- ノーススターの売却資金で増資が 3.5 億ドル以上減ったら
- 株の薄まりが小さくなり、1 株あたりの伸びが上がる。売却価格が低く、増資の削減が小さい・損失が出る場合は、やや悲観の確率を 2 ポイント上げる。
- 10 年国債の利回りが 5% を大きく上回って上がり続けたら(6% 超)
- 借り換えの費用が利益を削り、配当利回り約 3% の魅力が薄れ、倍率が縮む。資本コストの見方を高い側(借金・値決めの目安を悪い側)に寄せる。
- 住宅料金の上がりが全米で 5% を超えて続き、ミシガンの議会・司法長官が料金の抑制策を強めたら
- 委員会の削りが強まり、10 年のやや悲観・悲観の確率を各 2〜3 ポイント上げる。会社が請求額の伸びを物価以下に抑えられれば、逆に政治のリスクが下がる。
見ておくもの
- 2026 年 10 月 27 日の第 3 四半期決算(データセンター・IRP を入れた投資計画・2027 年の見通し・Q4 の資金調達の更新)
- 電気の料金改定(申請 4.56 億ドル・ROE 10.25%)の決定(2027 年前半)と、ガスの決定(2026 年 10 月 15 日)後の次の申請
- IRP(U-22127)の委員会の判断と、ガスの新設・蓄電池の認可、大口料金(U-21859)の費用配分の 6 案
- 1 GW のデータセンターの用地の許可・着工と、約 9 GW の候補が契約に進む量
- ノーススターの非ミシガン資産の売却の価格と時期(2026 年末までの撤退)、増資の額(2026 年 7 億ドル・5 年で約 37.5 億ドル)
- 住宅料金の前年比(5% 超が続くか)、嵐の費用の繰り延べ申請の結論、信頼性の四分位
倍率と資本コストの決め方
今の PER 19.9 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決め、倍率は利益ベースの正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g)(RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k)、moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 16.3 倍(g 3.7%・RONIC 8.8%)の 8.3 割の 13.6 倍。今の値段に寄せていない。結論は、総合で今の時価総額の約 15% 下の「やや割高」。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 5% + β 0.87 × 5%。基本 8.0% + coc.quality -0.75% = 7.25%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 7.25%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。委員会の削り・データセンターの確度・ノーススター撤退の実行という個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益と確率(悲観を 9〜11%)で表す。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 7.25% では g 3.75% が上限。