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PPL コーポレーション PPL

送配電中心の規制公益で、レートベースが年 10% 超で伸びる成長型。借金の厚さ・増資・PJM と手頃さの政治を悲観の確率に織り込み、本質価値は計算で判断する

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)27.38 ドル203 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)35.3 ドル263 億ドル差 −22.6%
10 年後から見ると やや割高 価値 27.38 ドル203 億ドル · 差 −22.6% · 期待の年率 +4.2%
期待の年率リターン(10 年)+4.2%資本コスト比 −3.1 pt
推定の資本コスト7.2%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.2% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

PPL コーポレーション(PPL)は、ペンシルベニア(PPL Electric。送電と配電)、ケンタッキー(LG&E と KU。発電・送配電・ガス)、ロードアイランド(2022 年に買収した RI エナジー。電気とガス)の 3 つで約 360 万件の顧客に届ける規制公益。2021 年に英国の配電会社 WPD を売却して米国の規制事業に絞った。2025 年の GAAP の純利益は 11.8 億ドル、特別項目(RI の統合費用・IT 刷新)を除いた非 GAAP は約 13.4 億ドルで、2026 年の非 GAAP の 1 株利益の見通しは前年比 約 5〜9%(中央 7%)。

成長の核はペンシルベニアのデータセンターで、先行案件が 31.8 GW、署名済みの電力サービス契約が 11 GW 超、建設中が 6.5 GW 超。契約には最低使用量の 8 割ほどの支払い・担保・預託金が付き、通電しなくても費用を負担させる設計。会社は 2026〜29 年の投資を 230 億ドル、レートベースを 290 億ドルから 429 億ドルへ年 10.3% で伸ばす計画で、1 株利益を年 6〜8%(上限寄り)で 2029 年まで伸ばす目標を掲げる。ブラックストーンとの JV(Invitium、PPL の持ち分 51%)の発電事業は計画に入っていない。

バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8.0% に quality -0.75% を足した 7.25%(公益の規制事業で需要と値決めは安定、借金は重い)。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g) で、10 年の中立の上限は g 3.7%・帳簿の ROE 8.7%・RONIC 8.0% で 15.1 倍。中立は上限の 0.92 倍の 13.9 倍に置いた。弱みは、純有利子負債 183 億ドル・FCF の赤字・約 30 億ドルの増資、PJM の容量価格と電力調達費を発端とする手頃さの政治、RI の稼ぐ力の低さ、ケンタッキーの規制の揺れである。事業の質は中の上で、今の時価総額との差は計算に任せる。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。ペンシルベニア・ケンタッキー・ロードアイランドの送配電の独占は、電化とデータセンターで今後 10 年も残り、堀は広がる側にある。ただし堀の大部分は PUC・KPSC・ロードアイランドの委員会の手にあり、価格を決める力は無い。ペンシルベニアの電力調達費が約 200% 増えた手頃さの政治は、成長が大きいほど認可の政治も重くなることを示す。

次にオーナー利益を見る。2025 年の GAAP 純利益 11.8 億ドルに対し配当は約 8 億ドルだが、FCF は −14 億ドルで、不足は借金と増資で埋めている。10 年の中立では増資の払い込み(約 80 億ドル)を引いた正味の還元は約 36 億ドルで、配当(約 116 億ドル)の 3 割強にとどまり、株主の価値の増加はレートベースの年 7〜8% の伸びの先にしかない。

資本配分は規制の枠の中で堅実で、買収で価値を壊さず(WPD の売却で借金を減らし、規制事業へ集中)、Invitium も計画外に置いた。一方、10 年で 230 億ドルを超える投資を借金と株式で賄う構造は、工期・費用・認可・金利に弱い。安全域は、資本コストを 7.25%(基本 8.0% + quality -0.75%)と置き、悲観の確率を 10 年 13% と厚くして確保した。確信度は送配電では高いが、データセンターの確度と増資の時期では低い。

何で稼ぐ会社か

事業は 3 本柱と本社。第 1 はペンシルベニア規制事業(PPL Electric)で、州中東部の約 150 万件に送電と配電を行う。2026 年 7 月から基本の配電料金が年 2.75 億ドル上がった(2016 年以来初)。2 年間は据え置きの約束付き。送電は連邦の公式料金(FERC)で投資がすぐ回収され、大口のデータセンター向けに 10 年の負荷と財務のコミットを求める新しい料金区分ができた。第 2 はケンタッキー規制事業(LG&E と KU)で、発電(石炭・ガス)から送配電・ガスまで持つ垂直統合。2025 年の料金の命令で許可 ROE は 9.775%(資本の仕組みは 9.675%)、約 2.33 億ドルの増収。第 3 はロードアイランド規制事業(RI エナジー)で、2022 年にナショナル・グリッドから買収した電気とガス。許可 ROE は 9.275%・自己資本比率 52%(2026 年 9 月から)。

利益は「レートベース × 自己資本比率 × 許可 ROE」で決まる。売上の約 9 割を占める燃料・購入電力・ガスの費用は料金で転嫁され、売上と利益は別物。レートベースは 2025 年末で 290 億ドル、3 分の 2 が送配電、約 25% が FERC 規制の送電。セグメント別の純利益(2025 年の非 GAAP)はケンタッキー 約 6.9・ペンシルベニア 約 6.4・ロードアイランド 約 1.4・本社他 約 −1.3 億ドル。州別のレートベース(ケンタッキー 約 125・ペンシルベニア 約 125・ロードアイランド 約 40 億ドル)と売上・営業利益の配分は、会社が州別を出さないための推定。本社他は持株会社の借金の利払い(2026 年 2 月のエクイティ・ユニットを含む)が中心。

優良さと弱いところ

堀は 3 つ。第 1 は地域独占で、3 州とも競合は無く、需要が増えるほど投資が認可される。第 2 は需要の質で、ペンシルベニアの署名済み契約には最低使用量の約 8 割・担保・解約の違約金が付き、データセンターが撤退しても建設済みの設備の費用が一般の顧客に回りにくい(ケンタッキーも 12〜24 か月分の最低料金の担保)。第 3 は費用管理で、O&M は 2021 年比で約 1.7 億ドルの削減を 1 年前倒しで達成し、今後の伸びは年 1% 程度と会社は見る。

弱みは 5 つ。第 1 に財務で、純有利子負債は時価総額の約 7 割(183 億ドル)・FCF は 2025 年に −14 億ドル・自己資本比率 33%。格付けは Moody's Baa1・S&P A− で、FFO/債務の目標は 16〜18%。第 2 に増資で、2026〜29 年に約 30 億ドル(うち約 20 億ドルは 2025 年の先渡しと 2026 年 2 月のエクイティ・ユニットで実行済み)。第 3 に手頃さの政治で、ペンシルベニアの電力調達費は 2020 年末から約 200% 増え、PPL の料金の増額が槍玉に挙がる。第 4 にロードアイランドの稼ぐ力の低さで、2025 年の非 GAAP の純利益は約 1.4 億ドル(レートベースの 3.5%)にとどまり、買収後の統合費用と ISO-NE の送電 ROE の引き下げの払い戻しが続く。第 5 に 2025 年の GAAP は非 GAAP より約 1.6 億ドル低く、特別項目が繰り返し出る。

資本効率は GAAP の自己資本 ROE 7.9%(2025 年)で同業より低いが、特別項目を除き、伸びに買収が要らない過去ののれん 22.5 億ドルを除くと 約 10.6%。これは許可 ROE(9.3〜9.8%)に近い。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

PPL の事業地域は、PJM(米国東部 13 州の卸電力市場)に属するペンシルベニアと、PJM に属さないケンタッキー、ISO-NE(ニューイングランド)のロードアイランドに分かれる。最大の変化はペンシルベニアのデータセンターで、先行案件は 2026 年第 2 四半期に 31.8 GW(第 1 四半期の 28.3 GW から +12%、10 四半期連続の増加)、署名済みの電力サービス契約が 11 GW 超、建設中が 6.5 GW 超。QTS・アマゾン ウェブ サービス(AWS)・パワーハウス・コアウィーブなどが名を連ねる。2026 年に 0.6 GW が稼働し、2030 年に 20 GW 超という会社の見通しだが、PJM は事前審査の厳格化で近い将来の負荷見通しを引き下げた前例がある。

規制は、ペンシルベニア公益事業委員会(PUC)が 2026 年 6 月に年 2.75 億ドル(要求 3.56 億ドル)の増収を承認し、ケンタッキー公益事業委員会(KPSC)は 2025 年に ROE 9.775% の命令を出した。ロードアイランドは 2025 年 11 月の申請で 1.81 億ドルを求め、電気 0.441 億・ガス 0.937 億ドルが認められた。手頃さの政治は PJM の容量価格と電力調達費が発端で、ペンシルベニアの州知事が PJM を強く批判し、PPL の料金も巻き込まれた。

競争は、地域では無いが、データセンターの誘致ではエクセロン・ファーストエナジー・PSEG(PJM 内の送配電会社)やデューク・エナジー・AEP などと立地と電力の確保を争う。発電では、ガスタービンの価格が 2019 年比 約 3 倍・納期が 5〜7 年で、既存の発電所と送電網の価値が上がり、規制会社は新設の費用を手頃さと両立させる必要がある。

資本政策と M&A

資本政策は、配当(四半期の引き上げ 4.6%、配当の伸びは 4〜6% に下げた。配当性向 50〜60%)と、借金・株式による資金調達。2026〜29 年の投資 230 億ドルは、営業 CF から配当を引いた分が約半分、借金が約 40%、残りが株式。株式は約 30 億ドルで、2025 年の先渡し約 10 億ドル・2026 年 2 月のエクイティ・ユニット約 10 億ドルが実行済み、残り約 10 億ドルは ATM。借金は 2026 年 5 月に PPL Electric が 5.75%(2056 年)、RI エナジーが 6.00%(2056 年)で起債。会社全体の時価総額で書くので、増資の払い込みは還元から引いた。

M&A の歴史は、2015 年のタレン(発電)の分離、2021 年の WPD(英国)の売却、2022 年のロードアイランド(RI エナジー、事業価値 約 53 億ドル)の取得で、規制の米国事業に集中してきた。今後は、ブラックストーンとの JV(Invitium、PPL の持ち分 51%)でペンシルベニアのデータセンター向けのガス火力を建てる。CCGT 5 GW 超の予約(投資 125〜150 億ドル、2032 年まで)、サイト 8〜14 GW、PJM の接続キューに 5 GW 超が入ったが、長期契約が前提で、今年中に少なくとも 1 件を発表する見込み。JV は計画・目標に入っておらず、利益は 2030 年まで大きくない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

ペンシルベニアの需要は、署名済みの契約が 11 GW 超・建設中が 6.5 GW 超と、四半期ごとに積み上がっている。先行案件の 31.8 GW は会社の 2029 年までの計画(レートベース 290 億ドル→429 億ドル)に一部しか入っておらず、さらに契約には最低使用量の約 8 割・担保・違約金が付くので、通電しなくても投資の回収が守られる。ケンタッキーも約 1.3 GW が署名済みで、2032 年までの新規負荷の見通しを 1.8 GW から 3.7 GW に引き上げた。追加の電源の申請(35〜40 億ドル)が 2026 年末に出る。

規制も悪化一辺倒ではない。ペンシルベニアは 2.75 億ドルの増収が承認され、2 年の据え置きの代わりに大口の新料金区分ができた。ケンタッキーは ROE 9.775% で約 2.33 億ドルの増収が通り、ロードアイランドも 2026 年 9 月から新料金が入る。会社は 2025 年に 1 株利益を前年比 7.1% 伸ばし、2026 年の見通し(中央)も 7% 台で、年 6〜8%(上限寄り)の目標を 2029 年に延ばした。

資本コスト 7.25%・ROE 9% 台・g 3.7% なら、正当化 PER の上限は 15 倍前後になる。今の PER(GAAP で 22 倍、特別項目を除くと約 19 倍)は成長の速さを織り込んでおり、2028 年以降に利益が年 8〜9% で伸びる間は、10 年後も上限(15 倍前後)に近い倍率が保たれる、と見る。

慎重な見方

PPL は借金と増資で成長を買っている会社で、純有利子負債は時価総額の約 7 割、自己資本比率は 33%、FCF は 2025 年に −14 億ドル、2026 年上期にも長期借入が 18 億ドル増えた。2026 年 2 月のエクイティ・ユニットで 10 億ドルを入れ、さらに ATM が続く。2026 年 4〜6 月期の非 GAAP の 1 株利益は市場予想を下回った。リーマンの谷での株価は配当込みで −46% と、公益としては下げが深い。

データセンターの確度は、数字の強さほど高くない。先行案件の 31.8 GW は署名済みの 11 GW の約 3 倍で、残りは引き合いの段階。PJM は事前審査の厳格化で近い将来の負荷見通しを切り下げ、ERCOT でも見通しの切り下げがあった。ペンシルベニアは電力調達費が約 200% 増え、料金の政治が最も厳しい州の 1 つで、2 年の据え置きが終わる 2028 年に配電の次の改定が最大の試金石になる。

ケンタッキーは収益分配の仕組みが認められず、2026 年 8 月の知事の行政命令(データセンターの長期エネルギー計画の提出・環境の審査)で新規のガス火力の認可が遅れうる。ロードアイランドは 2025 年の稼ぐ力が低く、要求の 8 割弱(1.38 億ドル)しか認められなかった。今の PER は正当化 PER の上限(15 倍前後)を超え、2026 年 4〜6 月期の未達を織り込んでいない。

どちらに重みを置いたか

成長の速さ(レートベース年 10% 超)と、大口契約が担保と最低使用量で守られた設計は強気の見方が上回るが、財務の薄さ・増資・PJM と手頃さの政治・RI の稼ぐ力の低さは慎重な見方が突いている。倍率は k 7.25%・帳簿の ROE・g 3.7% の正当化 PER の 7〜10 割に置き(10 年の中立 13.9 倍=上限 15.1 倍の 0.92 倍)、利益は会社目標(年 6〜8%)の中位〜下側に置いた。確率は中立に寄せ、楽観・やや楽観の合計を 10 年 28%、やや悲観・悲観の合計を 10 年 35% とした。同じ領域の CNP と同じ厚さにしたのは、成長の速さと純負債の厚さが近く、PPL は契約の担保が堅い一方、手頃さの政治が重いため。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 48.78 ドル363 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 4.47 ドル33 億ドル)。 今の値に割り戻すと 27.38 ドル203 億ドル、今との差 −22.6%、 期待の年率 +4.2%(資本コスト 7.2%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 7% 69.43 ドル516 億ドル 4.14 ドル31 億ドル +108.1% +7.6% 5.15 ドル38 億ドル
やや楽観 21% 58.69 ドル436 億ドル 4.47 ドル33 億ドル +78.7% +6.0% 13.26 ドル99 億ドル
中立 37% 51.64 ドル384 億ドル 4.79 ドル36 億ドル +59.6% +4.8% 20.88 ドル155 億ドル
やや悲観 22% 41.29 ドル307 億ドル 4.25 ドル32 億ドル +28.8% +2.6% 10.02 ドル74 億ドル
悲観 13% 26.18 ドル195 億ドル 4.12 ドル31 億ドル −14.3% −1.5% 3.94 ドル29 億ドル
加重平均100% 48.78 ドル363 億ドル4.47 ドル33 億ドル +50.6% +4.2% 53.25 ドル396 億ドル

今の株価時価総額 35.35 ドル263 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。

楽観 7% 楽観:ペンシルベニアが全米有数の成長送配電になり、ケンタッキーの電源投資も上積みされる 利益 34 億ドル · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 69.43 ドル516 億ドル

2035 年末、ペンシルベニアのデータセンター(2030 年までに先行案件で 20 GW 超、その後も追加)の大半が通電し、大口の顧客が最低使用量と担保を払う設計で一般の顧客の料金を押し下げ、手頃さの政治が和らぐ。送電(FERC の公式料金)の投資が長く積み上がり、ケンタッキーは追加の電源(会社の見積もり 35〜40 億ドル、さらにデータセンター向けで拡大)が認可される。ブラックストーンとの JV(Invitium、PPL の持ち分 51%)の発電所も 2031 年以降に動き出し、PPL の利益に上乗せされるが、この筋書きの数字には含めない。 10 年の純利益は 約 34.2 億ドル(ケンタッキー 約 14.8・ペンシルベニア 約 17.7・ロードアイランド 約 4.1・本社他 約 -2.4・特別項目 約 -0.1 億ドル)、自己資本は約 355 億ドル。配当は 10 年で約 120.8 億ドル、増資は約 90.0 億ドルで、正味の還元は約 30.8 億ドル。倍率は正当化 PER 15.9 倍(ROE 9.6%・g 3.7%・RONIC 8.4%・moat 普通)に対し 0.95 倍の 15.1 倍に置く。

  • ケンタッキー規制事業(LG&E・KU):数量 270(レートベース(億ドル))× 価格 0.30(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 81 億ドル・営業利益 24 億ドル。レートベース 270 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.300(純利益 約 14.8 億ドル=レートベース × 5.50%)
  • ペンシルベニア規制事業(PPL Electric):数量 340(レートベース(億ドル))× 価格 0.24(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 80 億ドル・営業利益 28 億ドル。レートベース 340 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.235(純利益 約 17.7 億ドル=レートベース × 5.20%)
  • ロードアイランド規制事業(RI エナジー):数量 90.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.37(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 33 億ドル・営業利益 7 億ドル。レートベース 90 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.370(純利益 約 4.1 億ドル=レートベース × 4.60%)

倍率:正当化 PER 15.9 倍(g 3.7%・RONIC 8.4%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.6%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 15.1 倍(9.5 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.5 割。

確率:PA の先行案件 31.8 GW の大半が通電し、KY の追加電源と大口契約も実現し、規制も手頃さと両立する重なりは 7%。

やや楽観 21% やや楽観:署名済みの契約が通電し、レートベースは年 8% 台で伸びる 利益 31 億ドル · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 58.69 ドル436 億ドル

2035 年末、ペンシルベニアは署名済みの 11 GW 超と先行案件の相当部分が通電し、ケンタッキーは 2025 年の命令どおり電源の増設を進める。レートベースは 2029 年まで年 10%、その後は年 7% で伸び、会社の目標の上側に届く。許可 ROE は KY 9.775%・RI 9.275%・PA は 9〜10% 台で保たれ、2 回目の PA の料金改定(2028 年以降)も大口契約の費用負担で和らげられる。 10 年の純利益は 約 30.9 億ドル(ケンタッキー 約 13.6・ペンシルベニア 約 16.0・ロードアイランド 約 4.0・本社他 約 -2.5・特別項目 約 -0.1 億ドル)、自己資本は約 337 億ドル。配当は 10 年で約 118.2 億ドル、増資は約 85.0 億ドルで、正味の還元は約 33.2 億ドル。倍率は正当化 PER 15.5 倍(ROE 9.2%・g 3.7%・RONIC 8.2%・moat 普通)に対し 0.91 倍の 14.1 倍に置く。

  • ケンタッキー規制事業(LG&E・KU):数量 250(レートベース(億ドル))× 価格 0.30(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 75 億ドル・営業利益 22 億ドル。レートベース 250 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.300(純利益 約 13.6 億ドル=レートベース × 5.45%)
  • ペンシルベニア規制事業(PPL Electric):数量 310(レートベース(億ドル))× 価格 0.24(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 73 億ドル・営業利益 25 億ドル。レートベース 310 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.235(純利益 約 16.0 億ドル=レートベース × 5.15%)
  • ロードアイランド規制事業(RI エナジー):数量 90.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.37(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 33 億ドル・営業利益 6 億ドル。レートベース 90 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.370(純利益 約 4.0 億ドル=レートベース × 4.45%)

倍率:正当化 PER 15.5 倍(g 3.7%・RONIC 8.2%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.2%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 14.1 倍(9.1 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 9.1 割。

確率:署名済みの PA の 11 GW 超と KY の 1.3 GW が通電し、許可 ROE が維持される。確率 21%。

中立 37% 中立:レートベースは 2029 年まで年 9%、その後は年 6.5%、許可 ROE は据え置き 利益 28 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 51.64 ドル384 億ドル

2035 年末、署名済みの大口負荷の大半が通電し、先行案件(31.8 GW)は 3〜4 割が実現、2029 年までレートベースが年 9%、2030 年以降は年 6.5% で伸びる。許可 ROE は KY 9.775%・RI 9.275%・PA は 9〜10% 台で動かず、実現 ROE は許可より 0.3〜0.7 ポイント低い(規制ラグ)。増資は 2026〜29 年に約 30 億ドル(うち約 20 億ドルは実行済み)、2030 年以降は ATM で毎年 8〜9 億ドルほど。Invitium の利益は足さない。 10 年の純利益は 約 27.6 億ドル(ケンタッキー 約 12.3・ペンシルベニア 約 14.6・ロードアイランド 約 3.4・本社他 約 -2.6・特別項目 約 -0.2 億ドル)、自己資本は約 318 億ドル。配当は 10 年で約 115.6 億ドル、増資は約 80.0 億ドルで、正味の還元は約 35.6 億ドル。倍率は正当化 PER 15.1 倍(ROE 8.7%・g 3.7%・RONIC 8.0%・moat 普通)に対し 0.92 倍の 13.9 倍に置く。

  • ケンタッキー規制事業(LG&E・KU):数量 230(レートベース(億ドル))× 価格 0.30(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 69 億ドル・営業利益 19 億ドル。レートベース 230 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.300(純利益 約 12.3 億ドル=レートベース × 5.35%)
  • ペンシルベニア規制事業(PPL Electric):数量 290(レートベース(億ドル))× 価格 0.24(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 68 億ドル・営業利益 23 億ドル。レートベース 290 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.235(純利益 約 14.6 億ドル=レートベース × 5.05%)
  • ロードアイランド規制事業(RI エナジー):数量 80.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.37(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 30 億ドル・営業利益 5 億ドル。レートベース 80 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.370(純利益 約 3.4 億ドル=レートベース × 4.30%)

倍率:正当化 PER 15.1 倍(g 3.7%・RONIC 8.0%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 8.7%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.9 倍(9.2 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 9.2 割。

確率:最も起きやすい筋書き。署名済みの契約の大半が通電し、先行案件の 3〜4 割が実現。許可 ROE は据え置きで、手頃さの政治が認可の伸びを少し抑える。確率 37%。

やや悲観 22% やや悲観:大口負荷は半分しか通電せず、手頃さの政治が ROE と投資を削る 利益 23 億ドル · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 41.29 ドル307 億ドル

2035 年末、ペンシルベニアのデータセンターの先行案件は半分ほどしか通電せず、PJM の供給不足と容量価格の高騰で住宅の請求が 2 桁に上がり、州知事と議会が配電と送電の ROE と投資の認可を抑える。KY は電源の増設が割高になり認可が削られ、RI は ROE 9.275% 以下に抑えられる。格付け(Baa1・S&P A-)を守るための増資が増え、全社のレートベースは 10 年で年 6.5% にとどまる。 10 年の純利益は 約 22.8 億ドル(ケンタッキー 約 10.5・ペンシルベニア 約 12.7・ロードアイランド 約 2.7・本社他 約 -2.7・特別項目 約 -0.4 億ドル)、自己資本は約 293 億ドル。配当は 10 年で約 111.6 億ドル、増資は約 80.0 億ドルで、正味の還元は約 31.6 億ドル。倍率は正当化 PER 14.3 倍(ROE 7.8%・g 3.7%・RONIC 7.5%・moat 普通)に対し 0.94 倍の 13.5 倍に置く。

  • ケンタッキー規制事業(LG&E・KU):数量 205(レートベース(億ドル))× 価格 0.30(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 62 億ドル・営業利益 17 億ドル。レートベース 205 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.300(純利益 約 10.5 億ドル=レートベース × 5.10%)
  • ペンシルベニア規制事業(PPL Electric):数量 265(レートベース(億ドル))× 価格 0.24(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 62 億ドル・営業利益 20 億ドル。レートベース 265 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.235(純利益 約 12.7 億ドル=レートベース × 4.80%)
  • ロードアイランド規制事業(RI エナジー):数量 70.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.37(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 26 億ドル・営業利益 4 億ドル。レートベース 70 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.370(純利益 約 2.7 億ドル=レートベース × 3.90%)

倍率:正当化 PER 14.3 倍(g 3.7%・RONIC 7.5%=k 7.25%+残る割合 0.50×(事業の ROE 7.8%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.5 倍(9.4 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 9.4 割。

確率:先行案件の半分が消え、ROE が 9% 台前半に抑えられ、増資が増える。財務が薄いため 22%。

悲観 13% 悲観:大口負荷が縮み、規制が悪化し、財務が傷んで優良な規制公益ではなくなる 利益 17 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 26.18 ドル195 億ドル

2035 年末、AI の投資が減速してデータセンターの契約の多くが撤回され、建設済みの送配電の費用が一般の顧客に回り、手頃さの政治が強まる。ペンシルベニアで ROE と投資が大きく削られ、ケンタッキーでは追加の電源と石炭火力の入れ替えの費用が否認される。FFO/債務が 16% を割って格下げに向かい、株価が安い時に増資を強いられる。レートベースは 10 年で年 4.5% にとどまる。倒産には至らず、規制資本の裏付けが床になる。 10 年の純利益は 約 16.6 億ドル(ケンタッキー 約 8.5・ペンシルベニア 約 10.1・ロードアイランド 約 1.8・本社他 約 -3.0・特別項目 約 -0.8 億ドル)、自己資本は約 260 億ドル。配当は 10 年で約 105.6 億ドル、増資は約 75.0 億ドルで、正味の還元は約 30.6 億ドル。倍率は正当化 PER 13.8 倍に対し、構造的に負けて優良でなくなった会社として 0.85 倍の 11.7 倍に置く。

  • ケンタッキー規制事業(LG&E・KU):数量 185(レートベース(億ドル))× 価格 0.30(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 56 億ドル・営業利益 13 億ドル。レートベース 185 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.300(純利益 約 8.5 億ドル=レートベース × 4.60%)
  • ペンシルベニア規制事業(PPL Electric):数量 230(レートベース(億ドル))× 価格 0.24(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 54 億ドル・営業利益 16 億ドル。レートベース 230 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.235(純利益 約 10.1 億ドル=レートベース × 4.40%)
  • ロードアイランド規制事業(RI エナジー):数量 55.0(レートベース(億ドル))× 価格 0.37(レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 20 億ドル・営業利益 3 億ドル。レートベース 55 億ドル × 1 ドルあたりの売上 0.370(純利益 約 1.8 億ドル=レートベース × 3.30%)

倍率:正当化 PER 上限 13.8 倍(事業の ROE 6.4% が k 7.25% 以下なので 1÷k まで)に対して 11.7 倍(8.5 割)に置いた。構造的に負けて優良でなくなった会社として、上限の 8.5 割に置く。許可 ROE と投資の認可の削減は利益に入れてあり、倍率でさらに下げてはいない。純利益は GAAP。

確率:AI の投資が減速し、PA・KY の規制が悪化し、格下げと割安な増資が重なる重なりを 13% と置いた。純負債が時価総額の約 7 割と厚く、リーマンで −46% の下げを経験している。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

ケンタッキー規制事業(LG&E・KU)

ケンタッキーの発電・送配電・ガス。許可 ROE 9.775%(2025 年の命令)。署名済みの大口 1.3 GW、追加電源 35〜40 億ドルの申請を 2026 年末に予定。

数量レートベース(億ドル)価格レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む)売上営業利益
今 2025/12 125 0.34 42 10
10 年後 中立 230 0.30 69 19

取り方:レートベース 約 125 億ドルは推定(会社は州別を出さず、全社 290 億ドルを 3 州に割り振り。利益から逆算して許可 ROE と自己資本比率に近い値)。売上 約 42 億ドル・営業利益 約 9.6 億ドルは推定(全社の売上 90 億ドル・営業利益 21 億ドルに合わせた)。純利益 約 6.9 億ドル(非 GAAP。レートベースの 5.5%)。競合は無く、価格は KPSC が決める。

ペンシルベニア規制事業(PPL Electric)

ペンシルベニア中東部の送電と配電。2026 年 7 月から年 2.75 億ドル増収、2 年据え置き。送電は FERC の公式料金。署名済みのデータセンター契約 11 GW 超。

数量レートベース(億ドル)価格レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む)売上営業利益
今 2025/12 125 0.25 31 9
10 年後 中立 290 0.24 68 23

取り方:レートベース 約 125 億ドルは推定。売上 約 31 億ドル・営業利益 約 8.7 億ドルは推定。純利益 約 6.4 億ドル(非 GAAP。レートベースの 5.1%)。競合は無く、配電の価格は PUC、送電は FERC が決める。売上の多くは電力調達費の転嫁。

ロードアイランド規制事業(RI エナジー)

ロードアイランドの電気とガス。2022 年にナショナル・グリッドから買収。許可 ROE 9.275%・自己資本比率 52%(2026 年 9 月から)。稼ぐ力が低い。

数量レートベース(億ドル)価格レートベース 1 ドルあたりの売上(燃料・購入電力の転嫁を含む)売上営業利益
今 2025/12 40.0 0.43 17 3
10 年後 中立 80.0 0.37 30 5

取り方:レートベース 約 40 億ドルは推定(買収時ののれん・取得調整を除く)。売上 約 17 億ドル・営業利益 約 3.2 億ドルは推定。純利益 約 1.4 億ドル(非 GAAP。レートベースの 3.5%)。競合は無く、価格は州の委員会が決める。

リスクと懸念

財務の薄さと増資・借り換え

純有利子負債は時価総額の約 7 割(183 億ドル)、自己資本比率 33%、FCF は 2025 年に −14 億ドル。2026 年上期だけで長期借入が約 18 億ドル増えた。2026〜29 年に約 30 億ドルの株式(うち約 20 億ドルは実行済み)と借り換え(直近は 5.75〜6.00%)が続く。FFO/債務 16〜18% の目標を割れば投資を絞るしかない。リーマンの谷では株価が −46% 下がった。

PJM と手頃さの政治(ペンシルベニア)

ペンシルベニアの電力調達費は 2020 年末から約 200% 増え、PJM の容量価格が発端になって州知事と議会が電力会社に厳しい。2026 年 7 月の増収は要求の約 77%(2.75 億ドル)で、次の配電の改定は 2028 年以降。10 年の住宅の請求の伸びが 2 桁に近づけば、許可 ROE と投資の認可率が削られる。

データセンターの確度と PJM の負荷見通し

先行案件 31.8 GW に対し署名済みは 11 GW 超・建設中は 6.5 GW 超。残りは引き合いの段階で、PJM は事前審査の厳格化で近い将来の負荷見通しを引き下げた。AI の投資が減速すれば、建設済みの送配電の費用が一般の顧客に回る。契約の担保と最低使用量が守りになる。

ケンタッキーの規制の揺れと電源の増設

2025 年の命令は ROE 9.775% で通ったが、収益分配の仕組みは認められず、次の料金改定の時期を再検討している。2026 年 8 月に知事がデータセンターの長期エネルギー計画の提出と環境審査を命じ、新規のガス火力(複合サイクルは 1 kW あたり 2,000〜2,200 ドル)の認可が遅れうる。追加電源 35〜40 億ドルの申請は 2026 年末。

ロードアイランドの稼ぐ力の低さ

2025 年の非 GAAP の純利益は約 1.4 億ドル(レートベースの 3.5%)にとどまり、買収後の統合費用・ISO-NE の送電 ROE の引き下げの払い戻し(2026 年に 0.26 億ドルの負債計上)が続く。2025 年 11 月の申請 1.81 億ドルに対し認められたのは電気 0.441 億・ガス 0.937 億ドルで、許可 ROE は 9.275% と同業で低い。

Invitium の計画外の資金需要

ブラックストーンとの JV は、CCGT 5 GW 超の予約(125〜150 億ドル、2032 年まで)を持つが長期契約が前提で、計画・目標に入っていない。契約が決まれば持ち分 51% の資金(株式の追加)が必要になりうる。決まらなければ上振れは無く、予約の費用が重荷になる。

金利と減価償却の増加

借り換えのたびに利払いが増え(brief.py の推定で 10 年後 −3 億ドル)、投資の増加で減価償却も増え、利益の伸びを食う。2026 年 4〜6 月期の非 GAAP の 1 株利益は市場予想を下回った。10 年国債 5% が続けば、倍率の縮みの圧力も続く。

今後の分かれ目

2026 年 9 月に PJM が大口負荷向けのバックストップ入札を実施し、PPL の JV(Invitium)が入札して勝ったら
2031 年以降の発電の利益が計画外の上振れになり、10 年の楽観・やや楽観の確率を各 2 ポイント上げる。ただし持ち分 51% の資金需要も増えるので、中立の倍率は動かさない。
2026 年末までに Invitium が最初のデータセンター契約(長期の電力供給)を発表したら
10 年の楽観の確率を 3 ポイント上げ、やや悲観を 3 ポイント下げる。発表が 2027 年以降に遅れれば中立に戻す。
ペンシルベニアで 2028 年以降の配電の料金改定が要求の 6 割を下回ったら
許可 ROE と投資の認可率が削られ、10 年のやや悲観・悲観の確率を各 3 ポイント上げる。要求の 8 割以上が認められれば、悲観側を 3 ポイント下げる。
ムーディーズ(現在 Baa1)または S&P(A−)が格下げ、または FFO/債務が 16% を割ったら
借り換えコストが上がり、増資が前倒しになる。10 年で悲観の確率を 3 ポイント上げる。17% 超が続けば、悲観側を 2 ポイント下げる。
AI の投資が減速して、署名済みのデータセンター契約(11 GW 超)の一部が撤回されたら
ペンシルベニアの伸びが年 5% 台に落ち、10 年のやや悲観・悲観の確率を各 4 ポイント上げ、楽観を 4 ポイント下げる。契約の担保・違約金が回収されれば損失は限られる。
ケンタッキーの追加電源(35〜40 億ドル)の申請が 2027 年前半までに満額に近い形で承認されたら
10 年のレートベースの伸びが上振れし、やや楽観の確率を 3 ポイント上げる。環境審査で大きく削られれば、やや悲観を 3 ポイント上げる。

見ておくもの

  • 2026 年第 3 四半期決算(11 月)での 2026 年の非 GAAP 1 株利益の見通し(前年比 5〜9% の中央以上)と、2029 年までの設備投資 230 億ドルの更新
  • ペンシルベニアの先行案件(31.8 GW)のうち署名済み(11 GW 超)・建設中(6.5 GW 超)の増え方と、PJM の負荷見通しの改定
  • 2026 年 9 月の PJM のバックストップ入札と、Invitium の最初の長期契約(2026 年中の発表見込み)
  • ロードアイランドの新料金(2026 年 9 月)後の稼ぐ力と、ケンタッキーの再審議・追加電源の申請(2026 年末)
  • FFO/債務(目標 16〜18%)、Baa1・A− の見通し、約 10 億ドルの ATM とエクイティ・ユニット(2029 年決済)
  • 次のペンシルベニアの配電の料金改定(2028 年以降)と、州知事・議会の PJM・手頃さをめぐる動き
  • 10 年国債 5% の維持、持株会社の借り換えコスト

倍率と資本コストの決め方

今の PER(GAAP で 22 倍)を見る前に、レートベースを数量、レートベース 1 ドルあたりの売上を価格として、ケンタッキー・ペンシルベニア・ロードアイランドの 3 つを積み、純利益を「レートベース × 利益率」で決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE − k)(moat 普通・残る割合 1/2)で上限を出し、その 7〜10 割に置いた。k は基本 8.0% に quality −0.75% を足した 7.25%。10 年の中立は ROE 8.7%・g 3.7%・RONIC 8.0% で正当化 PER 15.1 倍、これに対し 13.9 倍(0.92 倍)。10 年の楽観は正当化 PER 15.9 倍に対し 15.1 倍(0.95 倍)、やや悲観は 14.3 倍に対し 13.5 倍(0.94 倍)に置いた。ROE は帳簿の自己資本(過去ののれん 22.5 億ドルも除かない)で 8.7%。増資と内部留保で自己資本が積み上がり、ロードアイランドの稼ぐ力も低いため低い。純利益は GAAP。結果は総合で今の時価総額に対し -22%(やや割高)で、今の株価に寄せて逆算していない。

資本コスト 7.2% = 無リスク金利 5% + β 0.93 × 5%。基本 8.0% + coc.quality -0.75% = 7.25%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 7.25%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。手頃さの政治・データセンターの確度・ロードアイランドの稼ぐ力という個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益と確率(悲観を 10〜13%)で表す。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 7.25% では g 3.75% が上限。

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割安 NRG エナジーNRG 電力の卸売・小売とスマートホームを持つ借金の重い独立系。収益力は本物だが、価格は市場と政治が決め、借金が筋書きの振れを増幅する 本質価値との差 +36.5% · 10 年 割安(年 +10.6%) 割安 PG&E CorporationPCG 山火事の責任制度が決まらず格付けも上がらない、収益基盤が年約 9% 伸びる規制電力。値打ちは、責任の上限が会社の外に出るかで決まる 本質価値との差 +30.8% · 10 年 割安(年 +10.5%) やや割安 エジソン・インターナショナルEIX 南カリフォルニアの規制電力。収益基盤は年約 7% で伸びるが、イートン火災の責任の決着が株主の取り分を決める 本質価値との差 +10.7% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) 適正 エバーソース・エナジーES 水道を売り、北東部 3 州の送配電とガスに純化した規制公益。k は 7.5%(借金の厚さは debt に入れた)。手頃さの政治・FERC の ROE 引き下げ・洋上風力の後始末が焦点 本質価値との差 +2.1% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 ファーストエナジーFE 送電と配電のレートベースは年 10% で伸び、データセンターは計画の外の上積み。借金と年 1% の増資・統治の傷・手頃さの政治を悲観の確率に織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −5.3% · 10 年 適正(年 +6.0%) やや割高 パブリック・サービス・エンタープライズ・グループPEG ニュージャージーの送配電と原子力。料金凍結の政治と原子力の契約が、年 6〜8% 成長の達成を左右する 本質価値との差 −10.9% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 DTEエナジーDTE 電気は 3 GW 級のデータセンター負荷で収益基盤が伸び、ガスは穏やか、非公益の税額控除は 2029 年で崖。借金と年 5〜6 億ドルの増資で成長を買う構造を確率に織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −11.8% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 エクセロンEXC コムエド・ペコ・BGE・ペプコの送配電 4 系統を持つ規制会社。レートベース年 7.9% の伸びを借金と増資で賄い、料金の手頃さの政治が最大の弱み。本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −11.8% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 AESAES 契約型の再エネ・規制公益・南米の発電を持つが、借金が時価総額の約 2.7 倍。買収提案を外して単体で評価すると、式の上ではやや割高で、悲観の谷が深い 本質価値との差 −11.9% · 10 年 やや割高(年 +6.6%) やや割高 WEC エナジーWEC ウィスコンシンの規制電力とガスで、データセンター向けの設備投資が収益基盤を年 10% 前後押し上げる。許可 ROE と手頃さの政治・借金の厚みを確率に織り込み、価値は計算で判断する 本質価値との差 −14.9% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 CMSエナジーCMS ミシガンの規制電力・ガスで、レートベースを年 10.5% の計画で伸ばし、増資と借金で賄う。ノーススターを手放し公益事業一本へ。データセンター 1 GW の確度と物価以下に抑える委員会が分かれ目。 本質価値との差 −17.3% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 エヴァジーEVRG カンザス・ミズーリの規制電力。契約済み 2.5 GW のデータセンターでレートベースを年 11.5% 伸ばす計画だが、増資と借金が支える成長で、2028 年からの加速の確度が分かれ目 本質価値との差 −21.0% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 サザン・カンパニーSO データセンター需要で規制資本が年 8〜9% 伸びる南東部の優良電力。基本 8.0% に quality を足した資本コスト 7.00% の正当化 PER で測ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −21.2% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 アメレンAEE ミズーリとイリノイの規制電力・ガスで、収益基盤の年 10.6% の伸びを借金と増資で賄う。大口のデータセンター契約 2.8 GW の確度と財務の薄さを確率に織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −21.4% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 ナイソースNI 規制ガス・電力の質は高く GenCo の 4 GW も確約だが、借金と手頃さの政治を k 7.00% に織り込んで評価すると、中立でも今の値段は先取り気味 本質価値との差 −21.9% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 コンステレーション・エナジーCEG 米国最大の原子力にガス・地熱を加えた独立系の発電会社。堀は本物だが価格は市場と政治が決めて利益の振れが大きく、利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(10 年の中立 12 倍)で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −23.8% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 デューク・エナジーDUK 南東部・中西部で収益基盤が年 8〜9% 伸びる大型の規制電力。借金を入れた資本コスト 7.25% で、倍率を利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(10 年の中立 13 倍)に置くと、今の値段はやや割高 本質価値との差 −24.0% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 センターポイント・エナジーCNP ヒューストンの大口負荷 14 GW 超でレートベースが年 11% 超で伸びる成長型の規制公益。借金の厚さ・増資・ハリケーンと手頃さの政治を悲観の確率に織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −24.2% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 アメリカン・エレクトリック・パワーAEP 全米最大級の送電網とデータセンター契約 69 GW を持つ規制電力。借金で投資を回す構造を k 7.25% と悲観の厚さで測り、倍率を利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(10 年の中立 14 倍)に置くと、今の値段はやや割高 本質価値との差 −26.4% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 ビストラ・コープVST 独立系で米国最大級の発電(原子力・ガス)と小売の会社。堀はあるが価格は市場と政治が決め借金も重く、利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(10 年の中立 10.7 倍)で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −26.4% · 10 年 やや割高(年 +4.6%) やや割高 センプラ・エナジーSRE テキサスの送電網オンコアを軸に収益基盤を年 11% 伸ばす計画の複合公益。借金と山火事の裾を k 8.25% と悲観の厚さで測った価値は今の値段をやや下回る 本質価値との差 −26.7% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 コンソリデーテッド・エジソンED ニューヨーク市の電気・ガス・蒸気を独占する規制公益。堀は深いが料金が政治の標的で、財務は薄め。値打ちは計算が決める 本質価値との差 −28.3% · 10 年 やや割高(年 +2.9%) やや割高 アライアント・エナジーLNT アイオワとウィスコンシンの規制電力で、レートベースの年約 12% の伸びを借金と増資で賄う。契約済みのデータセンター約 3 GW だけを中立に入れ、追加分は楽観に置く。 本質価値との差 −29.1% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 エクセル・エナジーXEL 8 州の規制電力で、収益基盤の年 9% 超の伸びを借金と増資で賄う。山火事と許可 ROE の引き下げを悲観の確率に織り込んだ本質価値は、計算で判断する 本質価値との差 −30.0% · 10 年 やや割高(年 +2.9%) 割高 ピナクル・ウェスト・キャピタルPNW フェニックス圏の規制電力で、収益基盤の年 7〜9% の伸びを借金と増資で賄う。契約済み 4.5 GW の大口は中立に、未契約の約 20 GW は楽観に入れ、規制の遅れによる実現 ROE の低さを織り込み、本質価値は計算で判断する 本質価値との差 −33.4% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 エンタージETR メタなどの大口契約を柱に、収益基盤を 5 年で 2 倍にする規制電力。借金と増資で賄う成長と契約の集中を確率に織り込み、価値は計算に任せる 本質価値との差 −36.4% · 10 年 割高(年 +1.9%) 割高 アトモス・エナジーATO 米国最大級の純粋なガス配給会社。規制資本が年 10% で伸びる優良な公益だが、ROE が k を 2% 弱しか超えず増資で薄まるため、利益ベースの正当化 PER(13〜16 倍)では今の値段は割高 本質価値との差 −38.9% · 10 年 割高(年 +1.4%) 割高 ドミニオン・エナジーD バージニアのデータセンター需要で収益基盤を年 10% 伸ばす垂直統合の公益。ただし借金は時価総額の 9 割、k 8.25% の式の値は今の値段を大きく下回る 本質価値との差 −42.3% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 アメリカン・ウォーター・ワークスAWK 米国最大の上場水道。規制に守られた安定成長だが、ROE が k を 2% 前後しか超えず、利益ベースの正当化 PER(13〜15 倍)では今の倍率は高すぎて割高 本質価値との差 −46.8% · 10 年 割高(年 +0.3%) 割高 ネクステラ・エナジーNEE フロリダの規制電力と世界最大級の再エネ開発を持つ優良企業。借金を入れた資本コスト 8.50% の正当化 PER で単体で測ると、今の値段は割高 本質価値との差 −48.6% · 10 年 割高(年 +0.5%)

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読んだ資料

  1. PPL 2026 年 4〜6 月期決算(2026-08-07。GAAP・非 GAAP・セグメント・データセンター・Invitium)
  2. PPL 2025 年通期決算と 2029 年までの事業計画(2026-02-20。投資 230 億ドル・レートベース年 10.3%・株式 30 億ドル・配当 4〜6%)
  3. PPL 2025 年第 4 四半期の説明会の記録(ケンタッキーの命令・料金改定・資金・データセンター・手頃さ)
  4. Investing.com:PPL 2026 年 4〜6 月期のスライドの要約(レートベース 290→429 億ドル・設備投資の内訳・格付け・起債)
  5. Utility Dive:PPL の先行案件 28.3 GW(2026 年 1〜3 月期)
  6. Utility Dive:ブラックストーンとの JV が 5 GW のガスタービンを確保(2026-08-10)
  7. PPL Electric の料金改定の和解(2026-03-13、年 2.75 億ドル)
  8. ペンシルベニア PUC:PPL Electric の料金の決定(2026-06-04)
  9. PPL 2025 年 10-K(のれん 22.47 億ドル:ケンタッキー 6.62・ロードアイランド 7.25・本社他 8.60)
  10. Morningstar・ADVFN:PPL の時価総額と株数(2026-10-15)

分析日 2026-10-16