結論
ビストラ・コープ(Vistra)は、約 41 GW の発電設備(原子力 約 6.4 GW、ガス・石炭・太陽光・蓄電池)と、TXU エナジーなど 約 500 万件の電力小売を持つ米国最大級の独立系の発電・電力販売会社である。拠点はテキサス(ERCOT)、東部(PJM・ニューヨーク・ニューイングランド)、西部(カリフォルニア)で、2024 年にエナジー・ハーバー(PJM の原子力)、2025 年 10 月にロータス(約 2.6 GW のガス・19 億ドル)を買った。
利益の源は、発電の電気をいくらで売れるか(卸電力・容量・長期契約の価格)と、小売の利ざやである。2026 年 4〜6 月期の継続事業の調整後 EBITDA は 17.7 億ドルで前年同期の約 1.3 倍、通期の見通しは 68〜76 億ドルで中央値かそれ以上を見込む。メタ(2,609 MW)・AWS(コマンチピーク 1,200 MW)と 20 年の原子力契約を結び、データセンター需要を価格に変える入口に立った。倍率は利益ベースの正当化 PER(moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 13.8 倍(g 4.0%・RONIC 16.4%)の 7.8 割の 10.7 倍。今の GAAP の PER 56 倍は、この水準を大きく上回る。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 32% 下で、結論は「割高」である。
バリュー投資の観点では、事業の質と値段と借金を分けて見る。原子力の希少性は本物だが、価格を決める力は無く、純負債は時価総額の 37% で、優先株も抱える。資本コストは基本 8.0% に品質の上乗せ(循環 +0.5%・値決め力 +0.5%・借金 +0.5%)を足した 9.5%。優良な資産だが、借金と政治が重く、安全域は厚くない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後にこの事業が存在し今より強いかを問う。原子力の既存炉は、需要が伸び新設が難しい限り、10 年後もより貴重になる公算が高い。火力も、タービン不足の間は価値が上がる。堀は広がる。ただし堀の中身は「供給が限られること」であり、価格を決める力ではない。電力は規制と政治が最終的に価格を決める商品で、堀が利益に変わる度合いは政策に左右される。しかも借金がある。
次にオーナー利益を考える。ならした純利益は 2026 年で 約 26 億ドル(調整後 EBITDA 72 億ドルから D&A 約 17・利払い約 13・税・優先株配当を引く)。維持の投資(保守の設備投資と核燃料)が年 約 13 億ドルあり、FCF は純利益より厚いが、成長投資(ガス・Helix・出力増強)と買収が年 10 億ドル前後あり、残りは自社株買いと借金の返済に回る。安全域では、利益ベースの正当化 PER 13.8 倍(g 4.0%・RONIC 16.4%・k 9.50%・moat=normal)に対して、10 年の中立を 10.7 倍に置いた。今の PER 56 倍はこれより高く、安全域はない。確率で重ねた総合は今の時価総額の約 32% 下で、結論は「割高」である。いまの株価は当時の約 4 倍で、同じ規律で買えるかが問われる。
確率で重ねた価値は今の時価総額に対し 10 年で約 −32%。構造的な負けでは、借金が重い分だけ悲観の時価総額が今の 3 割弱まで下がる。確信度は、原子力の存続は高いが、価格・政治・借金は低い。安全域は厚くないので、買うなら調整の時が良い、というのが本質価値の評価である。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つ。第 1 に原子力(約 6.4 GW:コマンチピーク 2.4 GW がテキサス、ペリー・デービスベッシー・ビーバーバレーが PJM)。稼働率は 93〜95% で年 約 54 TWh を発電し、燃料と運転の費用が低いので利益は売値でほぼ決まる。収入は卸電力と PJM の容量価格、長期契約(メタ 2,609 MW、AWS 1,200 MW)で、45U の税額控除は市場価格が高い今はほとんど効かない。
第 2 がガス・石炭・太陽光・蓄電池の発電(約 35 GW)。テキサスのコマンチピーク以外の火力と、PJM・ニューイングランド・カリフォルニアの火力が中心で、稼働率は低く、ピーク時の価格の跳ね上がりと容量収入で稼ぐ。ガスタービンの新設費が 2,000 ドル/kW 超・納期 5〜7 年になり、既存の火力の価値が上がっている。石炭は閉鎖が進み(資産閉鎖の部門)、ペルミアン盆地で新しいガス 2 基と太陽光を建設中である。
第 3 が小売(TXU エナジー、ダイナジーなど。家庭・法人 約 500 万件)で、年 約 80 TWh を売る。売上は大きいが、仕入れを転嫁する薄い利ざやの事業で、発電を持つ会社が小売を持つと、卸価格が動いても需要側の収益で相殺する自然のヘッジになる。2026 年 4〜6 月期は発電 9.9 億ドル・小売 7.7 億ドル。春と秋に小売の利ざやが厚くなる季節性がある。調整後 EBITDA に占める割合は、発電が約 7 割、小売が約 3 割(推定)。
優良さと弱いところ
優良さの中心は 3 つある。第 1 に原子力の希少性(新設が事実上できず、既存炉は電力需要が 2 年で 3.8% 増える中で価値が上がる)。第 2 に発電と小売を一体で持つ構造で、卸価格のぶれを小売の利ざやが和らげ、ヘッジも約 100%(2026)・94%(2027)・72%(2028)まで積んで利益の見通しが立てやすい。第 3 に資本配分の実績で、2021 年 11 月からの自社株買いは約 65 億ドル・約 1.7 億株で、平均の買い付け価格は今の株価の約 4 分の 1、株数は 約 30% 減った。
弱い所は 5 つある。第 1 に価格を決める力が無い。PJM の容量価格は上限 325 米ドル(1 MW・日)に 3 年連続で張り付き、テキサスは需給と政治で価格が決まる。第 2 に借金:純有利子負債 196 億ドルは時価総額の 37%、自己資本は 51 億ドルと小さく、優先株の配当も年 約 2 億ドル。第 3 に利益の質:GAAP の純利益は未実現のヘッジ損益で動き(2026 年 4〜6 月期は調整後 EBITDA 17.7 億ドルに対し、ヘッジ損 4.7 億ドルを含む純利益 3.1 億ドル)、2021 年 2 月のウリ(寒波)では営業赤字になった前例もある。第 4 に買収の積み上げ(エナジー・ハーバー、ロータス、これから成立するコージェンテックス)と、そののれん・負債。第 5 にテキサスの SB 6(大口負荷の接続・需給ひっ迫時の遮断)と接続待ちの監査。
資本効率は、自己資本が小さく ROE は見かけ上 40% 超になる年もあるので、ROIC(税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債))で見ると 15% 前後。経営は株主還元に積極的で、株価が上がった今の自社株買いは、価値を超える値で買うと価値を壊す。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の電力需要は 2025 年に過去最高の 4,195 TWh、EIA は 2027 年まで年 +1.9% と見る。伸びを引っ張るのは商業用(データセンター)で、発表済みの大口プロジェクトは約 55 GW。ただし引き合いは確約ではない。ERCOT への大口負荷の申請は 474.7 GW に達したが、ERCOT 自身が 2030 年の見通しを 208 GW から 138 GW に切り下げ、テキサス州知事は待ち行列の監査を命じた。ビストラも、ERCOT の待ち行列に積まれた需要の見積もりは自社の予測を大きく上回ると見ている。
供給側は、石炭の廃止が進み、ガスタービンは 5〜7 年待ちで、新設の複合サイクルは 2,000〜2,200 ドル/kW。需給がひっ迫して既存の原子力・ガスの価値が上がるのが独立系の追い風。PJM の容量オークションは 2028/29 年分が上限の 1 MW・日あたり 325 米ドルで 3 年連続で約定し、必要量に 6,831 MW 足りなかった。上限が無ければ約 555 米ドルとされ、政治が価格を押さえているのが実態で、2029/30 年分(2026 年 12 月)までの措置を延ばすかが最大の分かれ目になる。住宅用の電気料金は 2026 年に約 5% 上がり(東海岸は 12% 超の州も)、料金の上昇は再規制・補助つき発電・大口負荷の別料金化といった政治の標的になる。
競合は、独立系のコンステレーション・エナジー(CEG)と NRG エナジー(NRG)で、PJM と ERCOT の大部分を寡占し、競争は顧客の取り合いが中心。規制公益(デューク・サザン・ドミニオン)が自前の発電所を建てる動きは、規制料金で回収できる分だけ独立系より有利な競合になりうる。再編では、CEG–カルパイン、NRG–LS パワー、ビストラのコージェンテックスなど、買収で規模を取りに行く時代が続く。ERCOT の先物価格は 2025 年秋より「かなり低い」とビストラ自身が言い、2027 年の利益は見通しの下限寄りになる。
資本政策と M&A
資本政策は、投資適格の信用の維持、自社株買いと配当、成長投資の順に回す。2021 年 11 月以降の自社株買いは約 65 億ドルで、残る枠 約 12 億ドルを 2027 年末までに使う。2026〜27 年に約 30 億ドルを株主へ返す方針で、配当は上半期 1.5 億ドルと利益に対して低く、還元の主役は自社株買いである。優先株(年の配当 約 2 億ドル)は普通株より前に払う負債に近い資本で、純利益から引いて見る。
買収では、2024 年のエナジー・ハーバー(PJM の原子力)、2025 年 10 月のロータス(約 2.6 GW・19 億ドル)が済み、コージェンテックス(ガス 10 か所・約 5.5 GW・40 億ドル、PJM 約 3.1 GW・ニューイングランド 約 1.75 GW・ERCOT 0.6 GW)は FERC の承認を得たが未完了で、2026 年後半の完了を見込む。現金・営業キャッシュ・取引に伴う税の利益で賄い、2026 年 1 月に 22.5 億ドルの担保付き社債を出した。この分析は **未成立のコージェンテックスを入れず、今の会社だけ** で書く(成立の得失は確率と文章で触れる)。
成長投資は、ペルミアン盆地のガス 2 基、太陽光(Oak Hill 2・Pulaski)、原子力の出力増強(メタ契約で 433 MW)、KKR・クウェート投資庁・エヌビディアとの合弁ヘリックス(最大 10 億ドル、5 億ドル超はマイルストーン条件、ビストラは優先電力供給者)。ガバナンスは単一の普通株で、特に目立つ問題は見当たらない。買われる側にはなりにくい(時価総額 約 500 億ドル)。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
原子力は米国で最も価値が上がっている資産で、PJM の容量が必要量に 6,800 MW 足りない状況は需給のひっ迫が構造的であることを示す。メタは 20 年・2,609 MW の契約(433 MW の出力増強を含む)、AWS は 20 年・1,200 MW を結び、卸の市場価格より高い値を払うのは、大口顧客が確実な電源に価値を見ているからだ。経営陣はメタの契約だけで 2027 年に約 7 億ドルの EBITDA が乗ると言い、コマンチピークは 2027 年末から段階的に始まる。
ヘッジは 2027 年 94%・2028 年 72% まで積んで下振れを抑え、2026 年は上半期だけで調整後 EBITDA 32.6 億ドルと中央値以上を見込む。発電と小売を持つ強みで、ERCOT の需要の伸びが小売の利ざやでも取れる。自社株買いは約 65 億ドルで株数を 3 割減らし(平均の買い付け価格は今の約 4 分の 1)、成長の元手も出している。コージェンテックス(約 5.5 GW・40 億ドル)は 2027〜29 年の 1 株 FCF を高い 1 桁%押し上げ、ヘリックスで AI 向けの電力・土地の需要の取り込み口も持つ。タービンの納期が 5〜7 年、新設費が 2,000 ドル/kW 超の世界では既存の火力・原子力の価値は新設費に収れんし、10 年後の実現価格は物価(年 3.5%)を超えて上がる。
慎重な見方
今の GAAP の PER は 56 倍、調整後でも 20 倍で、利益ベースの中立(10 年後 10.7 倍)より高い。値段は、データセンターの契約と高い容量価格がずっと続くことを先に織り込んでいる。ERCOT の先物は 2025 年秋より「かなり低い」とビストラ自身が認め、2027 年の見通しは下限寄りに傾いた。引き合いは約束ではなく、ERCOT の 2030 年の需要の見通しが 208 GW から 138 GW に切り下げられ、州知事が待ち行列の監査を命じたことが、需要が幻になりうることを示す。
最大の問題は価格を決める力が無いこと。PJM の容量価格は上限 325 米ドルに 3 年連続で張り付き、連邦政府と州知事はデータセンターの電力を別枠で調達する案を示し、料金の上昇(住宅 +5%、東海岸は +12%)が政治の標的になっている。上限は恒久化でき、再規制もありうる。テキサスの SB 6 は大口負荷の接続と遮断を絞る。借金は純 196 億ドルで時価総額の 37%、自己資本は 51 億ドルと薄く、優先株も重い。コージェンテックスの買収で負債はさらに増え、2021 年 2 月の寒波では営業赤字になった。倍率が 20 倍から 10〜11 倍に戻るだけで、利益が 5 割伸びても株価は 3 割しか動かない。
どちらに重みを置いたか
事業の質(原子力・火力の希少性とヘッジ)は強気の見方が強い。しかし値段・政治・借金は慎重な見方が強い。メタ・AWS の契約で 2027 年の利益は確実に上がるが、2028 年のヘッジは 72% で、ERCOT の先物は下がっており、基準にする純利益は 2026 年で約 26 億ドルが妥当な線。確率は、楽観・やや楽観を 32%、悲観・やや悲観を 34% に置いた。VST は借金が重く、価格が政治で決まるので、悲観を CEG より少し厚くしている。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた(10 年の中立 10.7 倍=正当化 PER 13.8 倍の 7.8 割)。今の PER を見て寄せていない。筋書きを確率で重ねた総合は今の時価総額の約 32% 下で、結論は「割高」である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 159.97 ドル553 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 61.54 ドル213 億ドル)。 今の値に割り戻すと 103.64 ドル358 億ドル、今との差 −26.4%、 期待の年率 +4.6%(資本コスト 9.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 297.35 ドル1,028 億ドル | 95.47 ドル330 億ドル | +178.9% | +10.8% | 39.28 ドル136 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 231.62 ドル801 億ドル | 79.56 ドル275 億ドル | +121.0% | +8.3% | 68.46 ドル237 億ドル |
| 中立 | 34% | 170.57 ドル590 億ドル | 65.96 ドル228 億ドル | +68.0% | +5.3% | 80.42 ドル278 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 76.64 ドル265 億ドル | 49.18 ドル170 億ドル | −10.7% | −1.1% | 25.16 ドル87 億ドル |
| 悲観 | 14% | 42.53 ドル147 億ドル | 15.91 ドル55 億ドル | −58.5% | −8.4% | 8.18 ドル28 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 159.97 ドル553 億ドル | 61.54 ドル213 億ドル | +57.3% | +4.6% | 221.51 ドル766 億ドル |
今の株価時価総額 140.83 ドル487 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:需給のひっ迫が続き、既存の原子力・火力が新設費に近い価格で売れる 利益 79 億ドル · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 297.35 ドル1,028 億ドル
10 年後(2035 年末)、電力需要は年 2% 超で伸び続け、新設のガスが 2,000 ドル/kW 超・納期 5〜7 年のままで、既存の原子力・火力の価値が新設費に近づく。原子力の実現価格は 118 ドル/MWh(2025 年から年 +7.7%)、メタ・AWS の契約更新と PJM の価格の枠の撤廃が効く。ガスは 100 ドル/MWh、営業利益率 36%、小売は 195 ドル/MWh で物価並みの値上げ。調整後 EBITDA は 約 132 億ドル、純利益は 約 79 億ドル(2028 年から年 8%)。45U の期限や新規供給は価格の上限として効くが、需要が上回る。借金は 約 50 億ドルまで減り、自社株買いと配当は 10 年で 約 330 億ドル(正味)。コージェンテックスは入れていない。倍率は 正当化 PER 14.5 倍に対して 13.0 倍(9.0 割)に置いた(原子力・火力の希少性が続き ROE が高いが、価格を決めるのは市場と政治で景気の山の利益になりやすいので上限の 9.0 割)。
- 原子力発電:数量 58.0(発電量(TWh))× 価格 118(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量+契約))→ 売上 68 億ドル・営業利益 42 億ドル。発電量×実現価格
- ガス・石炭・太陽光・蓄電池の発電:数量 140(発電量(TWh))× 価格 100(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量))→ 売上 140 億ドル・営業利益 50 億ドル。発電量×実現価格
- 小売(TXU エナジーなど):数量 95.0(販売電力量(TWh))× 価格 195(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 185 億ドル・営業利益 26 億ドル。販売電力量×売値
倍率:正当化 PER 14.5 倍(g 4.0%、RONIC 19.5%=k 9.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 29.5%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.0 倍(9.0 割)に置いた。原子力・火力の希少性が続き ROE が高いが、価格を決めるのは市場と政治で景気の山の利益になりやすいので上限の 9.0 割。g の内訳:電力需要の実質 +1.0% × シェア 0 × 価格(物価 3.5% に対し新設ガス・電池が価格を押さえて実質 −0.5〜0%)で、名目の長期 g は 3.0〜4.5%で、式では 4.0%(k−g≥3.5% の守り)。純利益は GAAP の考え方。
確率:需要が現実になり、価格の枠が外れ、出力増強と契約更新が予定どおり進む、の同時成立。10 年で 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:契約が厚く、価格は物価を上回る 利益 67 億ドル · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 231.62 ドル801 億ドル
10 年後、原子力の実現価格は 106 ドル/MWh(年 +6.6%)、ガスは 94 ドル/MWh、営業利益率 33%、小売は物価並みの値上げ。PJM の容量価格は 300〜350 米ドルで推移し、ヘリックスの案件・出力増強 433 MW も乗る。調整後 EBITDA は 約 116 億ドル、純利益は 約 67 億ドル。借金は 約 50 億ドルまで減り、配当と自社株買いの合計は 10 年で 約 275 億ドル(株式報酬を引いた正味)。ただし新設ガス・蓄電池の供給と政治の押さえで、価格は新設費までは届かず、成長は 4% に落ち着く。倍率は 正当化 PER 14.1 倍に対して 11.9 倍(8.5 割)に置いた(ROE は高めだが借金が重く利益の振れが大きいので上限の 8.5 割)。
- 原子力発電:数量 57.5(発電量(TWh))× 価格 106(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量+契約))→ 売上 61 億ドル・営業利益 35 億ドル。発電量×実現価格
- ガス・石炭・太陽光・蓄電池の発電:数量 138(発電量(TWh))× 価格 94(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量))→ 売上 130 億ドル・営業利益 43 億ドル。発電量×実現価格
- 小売(TXU エナジーなど):数量 92.0(販売電力量(TWh))× 価格 190(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 175 億ドル・営業利益 24 億ドル。販売電力量×売値
倍率:正当化 PER 14.1 倍(g 4.0%、RONIC 17.6%=k 9.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 25.8%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 11.9 倍(8.5 割)に置いた。ROE は高めだが借金が重く利益の振れが大きいので上限の 8.5 割。g の内訳:電力需要の実質 +1.0% × シェア 0 × 価格(物価 3.5% に対し新設ガス・電池が価格を押さえて実質 −0.5〜0%)で、名目の長期 g は 3.0〜4.5%で、式では 4.0%(k−g≥3.5% の守り)。純利益は GAAP の考え方。
確率:需要が現実になり、政治の抑え込みも限定的。ただしタービンの納期が解け、新設の供給で価格に上限がある。
中立 34% 中立:希少性は保たれるが、政治が価格の上昇を押さえる 利益 55 億ドル · PER 10.7 倍 · 株価時価総額 170.57 ドル590 億ドル
10 年後、原子力の実現価格は 94 ドル/MWh(年 +5.3%。メタ・AWS の契約の効きと、業界ノートの 85〜95 の上寄り)、発電量は 433 MW の出力増強で 57 TWh。ガスは 135 TWh・88 ドル/MWh、営業利益率 28.5%(石炭の閉鎖とペルミアンの新設ガスの入れ替わり)。小売は 90 TWh・184 ドル/MWh で物価並みの値上げ、営業利益率 13%。調整後 EBITDA は 約 101 億ドル、純利益は 約 55 億ドル(2028 年から年 6%)。純負債は 約 65 億ドルに減り、配当と自社株買いの正味は 10 年で 約 230 億ドル。倍率は 正当化 PER 13.7 倍に対して 10.7 倍(7.8 割)に置いた(原子力と小売の土台はあるが、新設ガス・電池が価格を押さえ、借金が筋書きの振れを増幅するので上限の 7.8 割弱(1÷k が床))。ROE は帳簿で 23%、ROIC では約 17%。
- 原子力発電:数量 57.0(発電量(TWh))× 価格 94(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量+契約))→ 売上 54 億ドル・営業利益 30 億ドル。発電量×実現価格
- ガス・石炭・太陽光・蓄電池の発電:数量 135(発電量(TWh))× 価格 88(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量))→ 売上 119 億ドル・営業利益 34 億ドル。発電量×実現価格
- 小売(TXU エナジーなど):数量 90.0(販売電力量(TWh))× 価格 184(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 166 億ドル・営業利益 22 億ドル。販売電力量×売値
倍率:正当化 PER 13.7 倍(g 4.0%、RONIC 16.4%=k 9.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 23.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 10.7 倍(7.8 割)に置いた。原子力と小売の土台はあるが、新設ガス・電池が価格を押さえ、借金が筋書きの振れを増幅するので上限の 7.8 割弱(1÷k が床)。g の内訳:電力需要の実質 +1.0% × シェア 0 × 価格(物価 3.5% に対し新設ガス・電池が価格を押さえて実質 −0.5〜0%)で、名目の長期 g は 3.0〜4.5%で、式では 4.0%(k−g≥3.5% の守り)。純利益は GAAP の考え方。
確率:原子力の存続は確度が高いが、価格は物価に実質 +1% 以内の範囲に政治が押さえる。借金は返しながら成長に回る。
やや悲観 20% やや悲観:価格の枠が定着し、需要は半分しか実現しない 利益 28 億ドル · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 76.64 ドル265 億ドル
10 年後、PJM の価格の枠は恒久化し、データセンターは契約を結びきれず、需要は半分しか実現しない。原子力の実現価格は 80 ドル/MWh(年 +3.6%)、ガスは 72 ドル/MWh、営業利益率 20%、小売の利ざやも 10.5%。新設のガス・蓄電池が増えて稼働率が上がらず、人件費・資材は物価で上がるので営業利益率が縮む。調整後 EBITDA は 約 70 億ドル、純利益は 約 28 億ドル。純負債は 約 140 億ドルまでしか減らず、自社株買いは年 10〜15 億ドルに落ちる(10 年で 約 170 億ドル)。倍率は 正当化 PER 13.1 倍に対して 9.5 倍(7.2 割)に置いた(価格が伸びず ROE が薄れるので、上限の 7.2 割(1÷k×0.95 が床))。
- 原子力発電:数量 56.0(発電量(TWh))× 価格 80(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量+契約))→ 売上 45 億ドル・営業利益 21 億ドル。発電量×実現価格
- ガス・石炭・太陽光・蓄電池の発電:数量 125(発電量(TWh))× 価格 72(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量))→ 売上 90 億ドル・営業利益 18 億ドル。発電量×実現価格
- 小売(TXU エナジーなど):数量 88.0(販売電力量(TWh))× 価格 170(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 150 億ドル・営業利益 16 億ドル。販売電力量×売値
倍率:正当化 PER 13.1 倍(g 4.0%、RONIC 14.4%=k 9.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 19.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 9.5 倍(7.2 割)に置いた。価格が伸びず ROE が薄れるので、上限の 7.2 割(1÷k×0.95 が床)。g の内訳:電力需要の実質 +1.0% × シェア 0 × 価格(物価 3.5% に対し新設ガス・電池が価格を押さえて実質 −0.5〜0%)で、名目の長期 g は 3.0〜4.5%で、式では 4.0%(k−g≥3.5% の守り)。純利益は GAAP の考え方。
確率:10 年では枠の恒久化・需要の遅れ・新設の供給が累積する。2 割と置く。
悲観 14% 悲観:構造的に負ける(再規制・需要の幻・借金) 利益 14 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 42.53 ドル147 億ドル
10 年後、PJM 域内で発電を規制公益に戻す再規制か、価格規制・補助つき調達が実現し、独立系の卸電力の価値が構造的に下がる。データセンターの需要は想定の半分に満たず、新設のガス・蓄電池が過剰で、原子力の実現価格は 68 ドル/MWh(年 +2%)、ガスは 62 ドル/MWh、営業利益率 17%。テキサスの SB 6 の遮断が収益の機会を削る。借金は 約 160 億ドルまでしか減らず、石炭・古い火力と一部ののれんの減損(約 25 億ドル)を引いても自己資本は積み上がる。調整後 EBITDA は 約 53 億ドル、純利益は 約 14 億ドル。もう優良ではなくなっている。PER は式(g 2%・ROE 9%)で 10 倍、時価総額は今の 3 割弱。 10 年の純利益の累計は約 187 億ドル(2025 年の 9.4 億ドルから、新しい発電所とデータセンターの契約で 2028 年に 26 億ドルまで上がり、その後は再規制と過剰供給で 2035 年の 14 億ドルへ下がる)に、減損約 25 億ドルを引いて約 162 億ドル。自己資本は今の 51 億ドルにこの 162 億ドルを足し、還元 55 億ドルを引いた約 158 億ドル。
- 原子力発電:数量 54.0(発電量(TWh))× 価格 68(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量+契約))→ 売上 37 億ドル・営業利益 15 億ドル。発電量×実現価格
- ガス・石炭・太陽光・蓄電池の発電:数量 108(発電量(TWh))× 価格 62(実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量))→ 売上 67 億ドル・営業利益 11 億ドル。発電量×実現価格
- 小売(TXU エナジーなど):数量 82.0(販売電力量(TWh))× 価格 158(1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh))→ 売上 130 億ドル・営業利益 12 億ドル。販売電力量×売値
倍率:ROE は帳簿の自己資本 ROE 8.9%(純利益 14 ÷ 期末自己資本 158 億ドル。自己資本は今の 51 億ドルに 10 年の純利益の累計 162 億ドルを足し、還元 55 億ドルを引いた値)・g 2.0%・k 9.5%。式 PER = (1 − g÷ROE)÷(k − g) = (1 − 2.0%÷8.9%)÷(9.5% − 2.0%) = 約 10.3 倍(来年の利益に対する倍率)。2035 年の利益に掛けるので ×(1+g) で約 10.5 倍、10.5 倍とした。k − g は 7.5%。
確率:前身の EFH の 2014 年の破産、2021 年の寒波、PJM 域内の再規制の議論から、借金が重い分だけ 1 割強(14%)と置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
原子力発電
約 6.4 GW(コマンチピーク・ペリー・デービスベッシー・ビーバーバレー)。卸電力・容量・長期契約(メタ 2,609 MW・AWS 1,200 MW)で稼ぐ。営業利益は 45U の税額控除を含むが今はほとんど効かない。
| 数量発電量(TWh) | 価格実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量+契約) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 54.0 | 56 | 30 | 13 |
| 10 年後 中立 | 57.0 | 94 | 54 | 30 |
取り方:発電量は約 6.4 GW・稼働率 93〜95% から 約 54 TWh(推定)。実現価格は 56 $/MWh(推定)。売上 = TWh × $/MWh × 0.01(億ドル)。営業利益は調整後 EBITDA から D&A を引いた推定。
ガス・石炭・太陽光・蓄電池の発電
テキサス・PJM・ニューイングランド・カリフォルニアの約 35 GW(ロータス 約 2.6 GW を含む)。卸電力と容量・ピーク時の価格で稼ぐ。石炭は閉鎖が進み、ペルミアンの新設ガス 2 基と太陽光が入る。
| 数量発電量(TWh) | 価格実現した 1 MWh あたりの売値($/MWh。電力+容量) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 58 | 70 | 15 |
| 10 年後 中立 | 135 | 88 | 119 | 34 |
取り方:2025 年はロータスが 2.5 か月分。発電量は約 120 TWh・実現価格は 58 $/MWh(推定)。営業利益は調整後 EBITDA から D&A を引いた推定。発電の売上は小売への内部販売を含む総額で、連結売上(内部取引を消去)より大きい。
小売(TXU エナジーなど)
約 500 万件の家庭・法人への電力販売。卸を転嫁して薄い利ざやを取り、発電の自然なヘッジにもなる。春と秋に利ざやが厚い。
| 数量販売電力量(TWh) | 価格1 MWh あたりの顧客への売値($/MWh) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 82.0 | 130 | 107 | 15 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 184 | 166 | 22 |
取り方:販売電力量 約 82 TWh・売値 130 $/MWh(推定)。営業利益は 2025 年の小売の調整後 EBITDA から D&A を引いた推定。
リスクと懸念
PJM の価格の枠の延長・恒久化と再規制
容量価格の上限(1 MW・日あたり 325 米ドル)は 2029/30 年分までの措置で、延長・恒久化の議論が続く。住宅の電気料金は 2026 年に約 5% 上がり(東海岸は 12% 超)、政治の反発は、上限の恒久化・データセンターの電力の別枠調達・発電を規制公益に戻す議論につながる。メタの 2,609 MW は PJM の原子力で、価格の枠の影響を受ける割合が大きい。
ERCOT(テキサス)の価格と SB 6
ERCOT の先物価格は 2025 年秋より「かなり低い」とビストラ自身が認め、2027 年の見通しは下限寄りになった。大口負荷の接続を絞り、需給ひっ迫時の遮断を定める SB 6 と、待ち行列の監査は、データセンター需要の実現の時期と価格を左右する。ガス火力の利益はピーク時の価格に依存する。
借金・優先株・買収の積み上げ
純有利子負債は 196 億ドルで時価総額の 37%、自己資本は 51 億ドルと薄い。優先株の配当は年 約 2 億ドル。ロータス(19 億ドル)に続くコージェンテックス(40 億ドル)、ヘリックス(最大 10 億ドル)で負債とのれんが増える。不況や価格の下落が来ると、投資適格の信用と自社株買いの継続が試される。
データセンター需要の幻
引き合いは約束ではない。ERCOT は 2030 年の見通しを 208 GW から 138 GW に切り下げ、知事は待ち行列の監査を命じた。AI の電力効率が上がり需要が半分しか実現しなければ、価格が新設費に届かず、20 年契約の追加も止まる。メタ・AWS の契約が最後の大型になるおそれもある。
利益の質(未実現ヘッジ・税額控除)
GAAP の純利益は未実現のヘッジの損益で動き、2025 年は営業利益 13 億ドル・純利益 9 億ドル、2026 年 4〜6 月期は調整後 EBITDA 17.7 億ドルに対しヘッジ損 4.7 億ドルを含み純利益 3.1 億ドル。調整後の数字は未実現の損益を除くが、将来の決済で実現する。見る数字が 2 つあることが評価をぶれさせる。
極端な天候による緊急時の損失
2021 年 2 月の寒波では、テキサスの卸価格が上限の 9,000 ドル/MWh に張り付き、ビストラは営業赤字・多額の損失を出した(前身の TXU・EFH も 2014 年にガス価格の下落で破産)。小売で顧客に供給する義務があり、発電が止まれば高い市場価格で電気を買って届ける。ヘッジと設備の信頼性が試される。
資本配分(高い株価での自社株買い)
2021 年以降の自社株買いは今の株価の約 4 分の 1 の価格で買った割安なものだったが、株価は当時の約 4 倍になった。式の価値(10 年後の中立で PER 10.7 倍前後)より高い株価で買い続けると、残る株主の価値を落とし、借金の返済も遅れる。コージェンテックス・ヘリックスなど、買収・出資と買い戻しのどちらに回すかの優先順位が問われる。
今後の分かれ目
- PJM の価格の枠が 2029/30 年分の後も恒久化される
- 容量収入の上振れが消え、原子力・ガスの実現価格の上昇は年 2〜3% に落ちる。やや悲観・悲観の確率を上げ、10 年の PER を 1 倍下げて見る。
- PJM の上限が外れ、容量価格が 400 米ドル(1 MW・日)を超える
- 原子力・ガスの実現価格が新設費に近づき、10 年後の純利益が 3〜4 割増える。楽観・やや楽観の確率を上げる。ただし政治の反発も強まるので、PER は 1 倍ほどしか上げない。
- 大型データセンターとの新規契約(1 GW 以上・20 年・100 ドル/MWh 級)が PJM の既存炉・火力で決まる
- 契約に回る比率が上がり、利益のぶれが小さくなる。倍率を 1〜1.5 倍上げて見直す。メタ・AWS の次の一手を示す材料になる。
- コージェンテックスの完了後に ERCOT・PJM の価格が下がり、借金の比率が高まる
- 純負債が EBITDA の 3 倍を超えると自社株買いが止まり、価値は借金の分だけ薄まる。悲観の確率を上げ、倍率の元の ROE を ROIC で見直す。
- 不況でガス・卸電力の価格が 3〜4 割落ち、ERCOT でピーク価格の急騰が起きない
- ガス・小売の利益が崩れ、純利益はならして 4 割減。自社株買いを止めて借金を守る。PBR の床は使いにくいので、ならした利益 × 谷の PER で見る。
- コマンチピークの AWS 向けの供給が 2027 年末から予定どおり始まる、または ERCOT の接続監査で遅れる
- 始まれば発電の約 2 割を長期契約に固定でき、ERCOT のぶれが小さくなる。遅れれば 2028 年の純利益が数億ドル下がる。
見ておくもの
- PJM の容量オークション(2029/30 年分・2026 年 12 月)と価格の枠の延長の可否
- メタ・AWS 以外の大型データセンター契約の量と価格($/MWh)、ヘリックスの案件の中身
- コージェンテックスの完了時期・買収価格の最終調整・負債の増え方と格付け
- 継続事業の調整後 EBITDA の実績と 2027 年の「中央値の機会」(74〜78 億ドル)の改定、ERCOT の先物価格
- 自社株買いの額と平均の取得単価、純負債÷EBITDA、優先株の償還・借り換え
- ERCOT の大口負荷の規則(SB 6)と待ち行列の監査の結果
- 電気料金の上昇率と PJM 域内の再規制・補助つき調達の議論
倍率と資本コストの決め方
今の PER 56 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決め、倍率は利益ベースの正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g)(RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k)、moat=normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は正当化 PER 13.8 倍(g 4.0%・RONIC 16.4%・k 9.50%)の 7.8 割の 10.7 倍。悲観の倍率は式(ROE 8.9%・g 2.0%)から置いた。今の値段に寄せていない。結論は、総合で今の時価総額の約 32% 下の「割高」。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 1.31 × 5%。基本 8.0%(米国)+ quality +1.5% = 9.5%。内訳は循環 +0.5%(卸売発電と小売は市況と天候で利益が大きく振れる)、値決め力 +0.5%(価格は市場と PJM の容量価格の上限など政治が決める)、借金 +0.5%(純負債は EBITDA の約 2.8 倍・時価総額の 37%、優先株も抱え、買収で負債が増える)、寿命 0。PJM の価格の枠・ERCOT・買収の積み上げ・借金は k に足さず、筋書きと確率(悲観を CEG より厚く)で表した。