結論
エクセル・エナジー(XEL)は、ミネソタ・コロラド・テキサス・ウィスコンシン・ニューメキシコ・ノースダコタ・サウスダコタ・ミシガンの 8 州で、電気とガスを売る規制公益の持株会社。2025 年の売上は約 147 億ドル、GAAP 純利益は約 20 億ドル(山火事の和解費用を含む)で、費用を戻した調整後は約 22 億ドル。
会社は 2026〜2030 年に基本計画で約 600 億ドル、見通しの立つ上乗せで約 700 億ドルを投じ、調整後の 1 株利益を年 6〜8%超(足元の発言は平均 9% 超)で伸ばす計画を持つ。大口のデータセンターは 26 GW 超の引き合いに対し、契約済み・建設中が約 2 GW、2027 年末までに 4 GW の契約を見込む。許可 ROE はコロラド 9.3%・ミネソタ 9.6%・ニューメキシコ 9.5% と、会社の要求より下に決まる傾向が出ている。
バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8.0% に quality -0.50% を足した 7.50%(公益の規制事業で需要と値決めは安定、借金は重い)。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g) で、ROE は帳簿の自己資本 ROE(のれんはほぼ無い)の約 9.5〜10%、g 4.0%、RONIC 8.6%。10 年の中立は上限 15.2 倍の約 8 割の 12.2 倍。弱みは、純有利子負債 356 億ドル・FCF −68 億ドル・負債が資本の 62% という財務、スモークハウス・クリーク火災とマーシャル火災の山火事責任、許可 ROE の引き下げと手頃さの政治である。事業の質は高いが借金と増資で成長を買う構造なので、確率は悲観を厚めに置き、筋書きを重ねた価値と今の時価総額の差は計算に任せる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。地域独占の電気とガス、風力・原子力・送電網は、電化とデータセンターで需要が増える今後 10 年も確実に残り、堀は広がる側にある。ただし堀の大部分は 8 州の委員会の手にあり、価格を決める力は無い。コロラド・ミネソタ・ニューメキシコで許可 ROE が会社の要求より下に決まっているのが、その現れである。
次にオーナー利益を見る。2025 年の調整後純利益 約 22 億ドルのうち配当は約 13 億ドルだが、FCF は −68 億ドルで、不足は借金・増資で埋めている。経営者が自由に取り出せる利益は小さく、収益基盤の年約 9〜11% の伸びの先にしか株主の価値の増加はない。10 年の中立では増資の払い込み(約 77 億ドル)を引いた正味の還元は約 119 億ドルで、純利益の合計(約 360 億ドル)の 3 割強にとどまる。
資本配分は規制の枠の中でよいが、山火事の和解と 600〜700 億ドルの投資の大きさが、工期・費用・認可の失敗を抱え込む。安全域は、資本コストを 7.50%(基本 8.0% + quality -0.50%)と置き、悲観の確率を 10 年で 13% と厚くして確保した。確信度は送電・規制電力の部分では高いが、データセンターの確度と山火事の責任の上限、手頃さの政治では低い。わかりにくい部分を割り引いたうえで、優良な事業を適正〜やや安く買えるかは、最後は計算で判断する。
何で稼ぐ会社か
事業は規制公益で、4 つの運営子会社に分かれる(収益基盤は推定)。PSCo(コロラド、電力・ガス、約 183 億ドル)、NSP-ミネソタ(ミネソタ・ノースダコタ・サウスダコタ、電力・ガス、約 169 億ドル)、SPS(テキサス北西部・ニューメキシコ東部、電力、約 86 億ドル)、NSP-ウィスコンシン(ウィスコンシン北西部・ミシガン北部、約 32 億ドル)。各州の地域独占で、利益は「収益基盤(認可された投資の残高)× 自己資本比率 × 許可 ROE」で決まる。燃料費・購入電力費は料金に転嫁するので、売上の増減と利益の増減は別物である。
強みは、風力の導入量が電力会社で最大級であり(会社の説明)、石炭の退出と風力・原子力(プレーリー・アイランド、モンティセロ)の延命を投資に変えてきたこと。2026〜2030 年の計画は再エネ 11.4 GW・ガス 3.4 GW・蓄電池 2.2 GW・送電線 約 1,700 マイル・山火事対策 50 億ドルを含む。収益基盤は年約 11%(検索の要約、原文では未確認)で伸びる設計だが、基本計画の外に約 100 億ドルの上乗せがあり、データセンター向けの 3 GW 前後が計画に足されている。
大口需要の中心は、ミネソタのグーグルの電力契約(顧客への便益 約 11 億ドル)、コロラドとテキサスの引き合い。会社の資料では 26 GW 超の引き合いのうち契約済み・建設中は約 2 GW、2027 年末までに 4 GW を契約する見込みで、残りの 20 GW 超は確約ではない。電気の販売量は上期が天候補正で +2.1%、2026 年は +3% を目標にしている。ガスは暖冬で販売が落ちたが(天候補正で −1.5%)、利益は規制の収益基盤で決まる。
優良さと弱いところ
堀は 3 層ある。第 1 は地域独占で、競合は無い。第 2 は風力・原子力・送電網の規模で、石炭の退出を早く進めた電力会社のひとつであり、再エネを自社で持つので顧客の脱炭素の要望に応えやすい。第 3 は州の委員会との関係だが、ここが最も弱い。コロラドの電力は要求 3.56 億ドル・ROE 9.8% に対し和解は 2.25 億ドル・9.3%、ニューメキシコは要求 10.5% が 9.5% に、ミネソタは 9.60% に下がっており、サザンやデュークに比べ、価格を決める力は弱い。
資本効率は、自己資本 ROE が調整後で約 9.5〜10%(GAAP は山火事の費用で 2025 年 8.6%)と許可 ROE をわずかに上回るが、これは建設中の資産に付く帳簿上の収益(AFUDC)と税額控除の影響が大きく、現金の質は低い。自己資本比率は 28%(帳簿の総資産ベース)、純有利子負債は時価総額の 75%、FCF は 2025 年に −68 億ドルと、同業でも財務は薄い側。配当は約 13 億ドルで、純利益の約 6 割にあたる。
経営の弱点は山火事である。2021 年のマーシャル火災(コロラド)は 6.4 億ドルで和解し、2024 年のスモークハウス・クリーク火災(テキサス、SPS)は損失見込み 4.6 億ドルのうち和解が約 4 億ドルに達し、2025 年 12 月にはテキサス州司法長官が提訴した。保険の枠は 5.25 億ドルで、残りは約 0.8 億ドル。山火事の対策費として 5 年で 50 億ドルを計画に入れたが、責任をどこまで会社が負うかの制度は州ごとに整理されていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の電力需要は 2025 年に過去最高の約 4,195 TWh、EIA は 2026〜2027 年に年 +1.9% と見る(業界ノート)。伸びの中心は商業用(データセンター)で、発表済みの大口プロジェクトは約 55 GW・約 8,900 億ドル。ただし引き合いは確約ではなく、ERCOT の 2030 年の見通しは切り下げられ、テキサス州知事が待ち行列の監査を命じた。エクセルの 26 GW 超の引き合いも同じ性質で、契約済み 約 2 GW との差が大きい。
競争の形は州の委員会との交渉である。投資の認可率と許可 ROE が堀で、フロリダ・ジョージア・インディアナ・ウィスコンシンは早く高く認められ、ニュージャージー・ニューヨーク・カリフォルニアは手頃さに敏感。エクセルの州では、コロラドが 9.3% に下げ、ミネソタは慎重で、テキサスは山火事で政治の標的になっている。住宅料金は 2026 年に全米で約 +5% 上がり、物価 3.5% の世界でも 5% 超の上がりは許可 ROE と投資の認可を政治の標的にする。
設備では、ガスタービンの価格が 2019 年比で約 3 倍・納期 5〜7 年と、新設ガスが高い。既存の原子力・風力・送電網の価値は上がるが、新設分の費用は料金に乗せる必要があり、手頃さと衝突する。税額控除は 2025 年の包括税制法で風力・太陽光に期限が付き、エクセルの再エネ中心の計画(11.4 GW)に向かい風と追い風が混ざる(着工の期限内なら控除が使える)。M&A は、ネクステラ・エナジー(NEE)によるドミニオンの買収合意など再編が動いており、規制公益どうしの合併は州の承認に 12〜18 か月かかる。エクセルが買う側・買われる側になる可能性は、時価総額(約 477 億ドル)の大きさから低い。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、配当と、借金・先渡しの株式売却・劣後債による資金調達である。配当は純利益の 5 割台(会社の目標は 45〜55%)で、年 4〜6% 増やす方針。2026 年には 4,250 万株(最低 32 億ドル)の先渡し売却を結び、6 月末の未決済は 6,970 万株(最低 52 億ドル)、長期債は約 47.5 億ドルを発行済みで、さらに 11 億ドルの担保付き社債と 7 億ドルの無担保債を出す予定。基本計画の株式の必要額は約 70 億ドルで 85% が手当て済みと説明されている(検索の要約・原文未確認)。会社全体の時価総額で書くので、増資は払い込みを還元から引いて織り込んだ。
M&A の歴史では、買収で規模を増やす会社ではなく、自社の収益基盤を投資で増やす会社である。再編の波(ネクステラ・エナジーとドミニオン、AES の買収)に加わる気配は無い。資本配分では、風力と蓄電池への投資が許可 ROE を上回る収益を生むかが焦点で、山火事の和解(マーシャル 6.4 億ドル、スモークハウス・クリーク 約 4 億ドル)は株主の資本を直接削った。山火事対策に 50 億ドルを入れた点は評価できるが、責任の上限が決まるまでは財務の余裕を食う。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
計画の確度が上がっている。会社は基本計画を約 600 億ドルに据え、見通しの立つ上乗せ約 100 億ドルを持ち、2026 年の調整後利益の見通しを維持したまま 2030 年までの伸びを平均 9% 超へ引き上げた。大口のデータセンターは契約済み・建設中が約 2 GW、2027 年末までに 4 GW の契約を見込み、その先に 20 GW 超の引き合いが並ぶ。グーグルとのミネソタの契約は顧客に約 11 億ドルの便益をもたらし、大口料金で最低請求・担保が付く。
風力の導入量が電力会社で最大級で、再エネ・蓄電池・送電の投資が許可 ROE で認められる。ガス火力は 3.4 GW に抑えており、納期 5〜7 年・価格約 3 倍のタービンの影響を競合より受けにくい。山火事は 2025 年に和解を進め、2026 年上期にはマーシャルの費用の戻しも出て、保険と和解の枠で収まりつつある。
資本コスト 7.5% の規制電力で、収益基盤が年 9〜11% 伸びて ROE が 10% 前後なら、正当化 PER の上限は 15〜16 倍が成り立つ。今の GAAP の PER 23.6 倍は、山火事の費用で利益が小さく見えているだけで、調整後ではもっと低く、成長を考えれば割高ではない。
慎重な見方
借金と増資で成長を買っている会社である。純有利子負債は 356 億ドルで時価総額の 75%、負債は資本の 62%、FCF は 2025 年に −68 億ドル。5 年で 600〜700 億ドルを投じ、不足は借金と先渡しの株式売却で埋めるため、借換えの金利が 5.75% 前後に上がり(brief の推定で 10 年後に 6 億ドルの減益)、2026 年だけで 6,970 万株が未決済と、既存の株主の持ち分は薄まり続ける。
許可 ROE は政治に削られている。コロラドの電力は要求 9.8% が 9.3% に、ニューメキシコは 10.5% が 9.5% に、ミネソタは 9.60% に下がり、住宅料金が全米で 2026 年に約 +5% 上がる中、手頃さの反発が続けば 9% 割れもありうる。実現 ROE は AFUDC と税額控除で支えられており、これらが縮めば利益の伸びは落ちる。データセンターは 26 GW 超が引き合いで、契約済みは約 2 GW にすぎず、確約までは遠い。
山火事は終わっていない。スモークハウス・クリーク火災は損失見込み 4.6 億ドルだが、2025 年 12 月にテキサス州司法長官が提訴し、請求は 2 年の時効前に増えている。マーシャル火災の和解は 6.4 億ドル。気候で山火事の頻度が上がれば、責任が会社に戻る制度の議論が再燃し、自己資本が削られる。k 7.5% での PER 15〜16 倍(上限)でも、金利 5% の世界では高すぎる。
どちらに重みを置いたか
規制事業の質と計画の勢いは強気の見方が上回るが、財務の薄さ・許可 ROE の引き下げ・山火事の責任は慎重な見方が突いている。倍率は k 7.5%・帳簿の ROE・g 4.0% の正当化 PER の約 8 割に置き(10 年の中立 12.2 倍)、利益は会社目標(調整後 1 株利益 年 6〜8%超)の下限に近い所に置いた。確率は中立に寄せ、楽観・やや楽観の合計を 10 年 26%、やや悲観・悲観の合計を 10 年 37% とした。悲観を 10 年で 13% と厚くしたのは、山火事の責任と許可 ROE の引き下げが同時に起きた時、負債が資本の 62% の財務では損失の吸収余地が小さいため。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 85.82 ドル536 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 19.51 ドル122 億ドル)。 今の値に割り戻すと 55.23 ドル345 億ドル、今との差 −30.0%、 期待の年率 +2.9%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 135.44 ドル847 億ドル | 15.04 ドル94 億ドル | +90.7% | +6.7% | 10.53 ドル66 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 111.81 ドル699 億ドル | 17.76 ドル111 億ドル | +64.2% | +5.1% | 24.62 ドル154 億ドル |
| 中立 | 37% | 89.57 ドル560 億ドル | 19.04 ドル119 億ドル | +37.7% | +3.2% | 40.18 ドル251 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 71.02 ドル444 億ドル | 21.28 ドル133 億ドル | +17.0% | +1.6% | 22.15 ドル138 億ドル |
| 悲観 | 13% | 37.78 ドル236 億ドル | 22.56 ドル141 億ドル | −23.5% | −2.6% | 7.84 ドル49 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 85.82 ドル536 億ドル | 19.51 ドル122 億ドル | +33.5% | +2.9% | 105.33 ドル658 億ドル |
今の株価時価総額 78.90 ドル493 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:大口契約が確定し、収益基盤が年 9% 超で伸び続ける 利益 59 億ドル · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 135.44 ドル847 億ドル
2035 年末、データセンターの大口契約は 10 GW を超えて稼働し、収益基盤は約 1136 億ドル(10 年で年 9.2%。2030 年まで年 11.5%)に達する。風力・蓄電池・送電の投資が許可 ROE(9.5〜10%)で認められ、ミネソタ・コロラド・テキサスで大口料金が最低請求・担保付きで定着する。山火事は制度の整備で責任が限られ、追加の費用は小さい。純利益は約 58.5 億ドル(2025 年の約 2.6 倍)。増資は 10 年で約 128 億ドルと大きく、配当は約 221 億ドルで、正味の還元は約 94 億ドル。サザン・デューク・エナジーと並ぶ大手の地位を保つ。倍率は正当化 PER 15.7 倍(ROE 10.3%・g 4.0%・RONIC 8.9%・moat 普通)に対し 0.92 倍の 14.5 倍に置く。
- コロラド(PSCo:電力・ガス):数量 438(収益基盤(億ドル))× 価格 0.28(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 122 億ドル・営業利益 31 億ドル。収益基盤 438 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2784
- ミネソタ・ノースダコタ・サウスダコタ(NSP-ミネソタ:電力・ガス):数量 404(収益基盤(億ドル))× 価格 0.28(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 113 億ドル・営業利益 29 億ドル。収益基盤 404 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2806
- テキサス・ニューメキシコ(SPS:電力):数量 231(収益基盤(億ドル))× 価格 0.26(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 59 億ドル・営業利益 15 億ドル。収益基盤 231 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2553
- ウィスコンシン・ミシガン(NSP-ウィスコンシン:電力・ガス):数量 64.0(収益基盤(億ドル))× 価格 0.27(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。収益基盤 64 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2744
倍率:正当化 PER 15.7 倍(g 4.0%・RONIC 8.9%=k 7.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 10.3%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 14.5 倍(9.2 割)に置いた。規制の質が高く投資の回収が計画どおり進む筋書きなので、上限の 9.2 割。
確率:データセンターの契約が確定し、風力・蓄電池・送電の投資が許可 ROE で認められ続ける。10 年でも重なる確率は 1 割未満の 7%。
やや楽観 19% やや楽観:計画に近い形で、収益基盤は年 9% 近く伸びる 利益 52 億ドル · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 111.81 ドル699 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 1036 億ドル(10 年で年 8.2%)。2030 年までは会社の計画に近い年 10.5% で伸び、その後は投資が小さくなり年 6% に鈍る。許可 ROE は 9.3〜9.6% に保たれ、実現 ROE は 10% 前後。純利益は約 51.8 億ドル(2025 年の約 2.3 倍)。データセンターは 6 GW 前後が稼働する。山火事の責任は限られ、風力・原子力の延命も予定どおり進む。増資は 10 年で約 97 億ドル、配当は約 208 億ドルで、正味の還元は約 111 億ドル。倍率は正当化 PER 15.5 倍(ROE 10.0%・g 4.0%・RONIC 8.8%・moat 普通)に対し 0.87 倍の 13.5 倍に置く。
- コロラド(PSCo:電力・ガス):数量 400(収益基盤(億ドル))× 価格 0.29(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 115 億ドル・営業利益 27 億ドル。収益基盤 400 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2886
- ミネソタ・ノースダコタ・サウスダコタ(NSP-ミネソタ:電力・ガス):数量 369(収益基盤(億ドル))× 価格 0.29(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 107 億ドル・営業利益 25 億ドル。収益基盤 369 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2908
- テキサス・ニューメキシコ(SPS:電力):数量 208(収益基盤(億ドル))× 価格 0.26(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 55 億ドル・営業利益 13 億ドル。収益基盤 208 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2646
- ウィスコンシン・ミシガン(NSP-ウィスコンシン:電力・ガス):数量 59.0(収益基盤(億ドル))× 価格 0.28(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 17 億ドル・営業利益 4 億ドル。収益基盤 59 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2845
倍率:正当化 PER 15.5 倍(g 4.0%・RONIC 8.8%=k 7.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 10.0%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 13.5 倍(8.7 割)に置いた。許可 ROE がおおむね保たれ投資が計画どおり進むので、上限の 8.7 割。
確率:会社の計画に近い形で収益基盤が年 10% 前後で伸び、許可 ROE が 9.3〜9.6% に保たれる。19%。
中立 37% 中立:収益基盤は年 9% から 5.5% に鈍り、利益は年約 7% 利益 46 億ドル · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 89.57 ドル560 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 958 億ドル(10 年で年 7.4%)。2030 年までは年 9.3% で伸びるが、その後は投資が小さくなり、大口契約の一部が縮む(ERCOT が見通しを切り下げた前例)。許可 ROE は 9.3〜9.6%、実現 ROE は 9.6% 前後に下がる。純利益は約 46.0 億ドル(2025 年の調整後の約 2.0 倍、年 7.4%、増資による株数の増加を含む)。借換えがすべて 5.75% 前後になり、財務費用が増える。増資は 10 年で約 77 億ドル、配当は約 195 億ドルで、正味の還元は約 119 億ドル。倍率は正当化 PER 15.2 倍(ROE 9.6%・g 4.0%・RONIC 8.6%・moat 普通)に対し 0.80 倍の 12.2 倍に置く。
- コロラド(PSCo:電力・ガス):数量 370(収益基盤(億ドル))× 価格 0.30(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 109 億ドル・営業利益 24 億ドル。収益基盤 370 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.295
- ミネソタ・ノースダコタ・サウスダコタ(NSP-ミネソタ:電力・ガス):数量 342(収益基盤(億ドル))× 価格 0.30(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 102 億ドル・営業利益 23 億ドル。収益基盤 342 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2973
- テキサス・ニューメキシコ(SPS:電力):数量 191(収益基盤(億ドル))× 価格 0.27(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 52 億ドル・営業利益 12 億ドル。収益基盤 191 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2705
- ウィスコンシン・ミシガン(NSP-ウィスコンシン:電力・ガス):数量 55.0(収益基盤(億ドル))× 価格 0.29(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 16 億ドル・営業利益 4 億ドル。収益基盤 55 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2908
倍率:正当化 PER 15.2 倍(g 4.0%・RONIC 8.6%=k 7.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.6%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 12.2 倍(8 割)に置いた。規制の質は高いが、ROE が k を超える幅は限られ、増資で薄まるので、上限の 8 割。
確率:大口需要は大きいが一部は縮み、料金の政治が許可 ROE を 9.3〜9.6% に抑える標準的な筋書き。最も起きやすい。
やや悲観 24% やや悲観:許可 ROE が 9% 前後に下がり、投資の認可が削られる 利益 39 億ドル · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 71.02 ドル444 億ドル
2035 年末、収益基盤は約 841 億ドル(10 年で年 6.0%)。2030 年までは年 7.5% で、その後は手頃さの政治で認可が削られ年 4.5% に鈍る。コロラド・ミネソタの許可 ROE は 9.0% 前後に下がり、実現 ROE は 9.2% 前後。山火事ではスモークハウス・クリークの訴訟とマーシャルの追加で数億ドルが出て、新たな火災の責任も一部が会社に残る。データセンターは 2〜3 GW で止まる。純利益は約 38.7 億ドル(2025 年の約 1.7 倍)。増資は約 45 億ドル。倍率は正当化 PER 14.9 倍(ROE 9.2%・g 4.0%・RONIC 8.4%・moat 普通)に対し 0.77 倍の 11.5 倍に置く。
- コロラド(PSCo:電力・ガス):数量 325(収益基盤(億ドル))× 価格 0.31(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 100 億ドル・営業利益 21 億ドル。収益基盤 325 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3059
- ミネソタ・ノースダコタ・サウスダコタ(NSP-ミネソタ:電力・ガス):数量 300(収益基盤(億ドル))× 価格 0.31(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 93 億ドル・営業利益 19 億ドル。収益基盤 300 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3083
- テキサス・ニューメキシコ(SPS:電力):数量 165(収益基盤(億ドル))× 価格 0.28(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 46 億ドル・営業利益 9 億ドル。収益基盤 165 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.2805
- ウィスコンシン・ミシガン(NSP-ウィスコンシン:電力・ガス):数量 50.0(収益基盤(億ドル))× 価格 0.30(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 15 億ドル・営業利益 3 億ドル。収益基盤 50 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3015
倍率:正当化 PER 14.9 倍(g 4.0%・RONIC 8.4%=k 7.50%+残る割合 0.50×(事業の ROE 9.2%−k)、moat=normal。式 (1−g÷RONIC)÷(k−g))に対して 11.5 倍(7.7 割)に置いた。許可 ROE と投資の認可が絞られ、RONIC が k に近づくので、上限の 7.7 割。
確率:許可 ROE が 9% 前後に下がり、山火事の追加費用と手頃さの政治で投資の認可が削られる。24%。
悲観 13% 悲観:山火事の責任が会社に戻り、もう優良な規制電力ではなくなる 利益 29 億ドル · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 37.78 ドル236 億ドル
2035 年末、気候で山火事の頻度が上がり、責任が会社に戻る制度(責任の上限の撤廃・基金の縮小)になる。複数の大火災で数十億ドル規模の損失が出て、自己資本が毀損し、増資が重くなる。許可 ROE は 8.5% 前後、実現 ROE は 8% に落ち、収益基盤は約 729 億ドル(年 4.5%)にとどまる。データセンターの引き合いは縮み、大口契約は 2 GW のまま。純利益は約 29.2 億ドル(2025 年の調整後の約 1.3 倍)。配当は維持するが、増資は約 26 億ドル。倒産には至らず、規制資本の裏付けが床になり、今の自己資本の PBR 1.00 倍で測る。
- コロラド(PSCo:電力・ガス):数量 283(収益基盤(億ドル))× 価格 0.31(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 87 億ドル・営業利益 16 億ドル。収益基盤 283 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3086
- ミネソタ・ノースダコタ・サウスダコタ(NSP-ミネソタ:電力・ガス):数量 261(収益基盤(億ドル))× 価格 0.31(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 81 億ドル・営業利益 14 億ドル。収益基盤 261 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.311
- テキサス・ニューメキシコ(SPS:電力):数量 141(収益基盤(億ドル))× 価格 0.28(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 40 億ドル・営業利益 7 億ドル。収益基盤 141 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.283
- ウィスコンシン・ミシガン(NSP-ウィスコンシン:電力・ガス):数量 44.0(収益基盤(億ドル))× 価格 0.30(収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。収益基盤 44 億ドル × 収益基盤あたりの売上 0.3042
倍率:悲観の床は今の自己資本に掛ける決まり(SCHEMA §1-3)なので、規制資本の裏付けである今の自己資本 236.1 億ドルに PBR 1.00 倍を掛けた。この筋書きの実現 ROE は 8.0%(純利益 29.2 億ドル ÷ 自己資本 365 億ドル)で、k 7.50% を上回る(式の PBR は ROE÷k = 1.07 倍)が、構造的に負けた会社を自己資本より高くは評価せず、1.0 倍を上限にした。PER に直すと約 8.1 倍。悲観の確率と利益の落ち込みで表したので、倍率でさらに下げてはいない。純利益は GAAP。
確率:山火事の責任が会社に戻り、許可 ROE の引き下げが重なって、もう優良な規制電力ではなくなる確率を 13% と置いた(AEP の 13% と同じ)。負債が資本の 62% の財務で損失の吸収余地が小さいため。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
コロラド(PSCo:電力・ガス)
コロラドで発電から配電・ガス配給まで持つ最大の子会社。再エネ・蓄電池・ガス火力と山火事対策の投資が大きい。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 183 | 0.32 | 58 | 12 |
| 10 年後 中立 | 370 | 0.30 | 109 | 24 |
取り方:収益基盤 約 183 億ドル(推定。会社は全社合計の収益基盤を原文で公表しておらず、自己資本 236 億ドル+純負債 356 億ドルから建設仮勘定などを除いて 470 億ドルと置き、子会社に割り振った)、売上 約 58 億ドル(推定)。営業利益 11.6 億ドルは利払い前。コロラドの許可 ROE は電力 9.3%・ガス 9.2%(会社の要求 9.8% を和解で下げた値)で、手頃さの政治が最も強く出る州。競合は無く、価格は州の委員会が決める。垂直統合のデューク・エナジーやサザンと比べると、州の規制が厳しく許可 ROE が低い側にいる。
ミネソタ・ノースダコタ・サウスダコタ(NSP-ミネソタ:電力・ガス)
ミネソタ州を中心に原子力(プレーリー・アイランド、モンティセロ)・風力・送電網を持つ規制電力と都市ガス。グーグルとの大口契約もここ。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 169 | 0.32 | 54 | 11 |
| 10 年後 中立 | 342 | 0.30 | 102 | 23 |
取り方:収益基盤 約 169 億ドル(推定。電力は会社の申請で 2025 年 132 億ドル、ガスは 約 15 億ドルに、建設仮勘定などを足した推定)、売上 約 54 億ドル(推定)。許可 ROE は電力 9.60%(口頭決定、2 年で約 2.1 億ドルの増収)。ミネソタは石炭の退出と風力・原子力の延命で投資が大きく、委員会は慎重。競合は無い。
テキサス・ニューメキシコ(SPS:電力)
テキサス北西部とニューメキシコ東部の電力。石油・ガスの生産とデータセンターの需要が増える一方、スモークハウス・クリーク火災の責任を負う子会社。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 86.0 | 0.29 | 25 | 5 |
| 10 年後 中立 | 191 | 0.27 | 52 | 12 |
取り方:収益基盤 約 86 億ドル(推定)、売上 約 25 億ドル(推定)。ニューメキシコの許可 ROE は 9.5%(会社の要求 10.5% を和解で下げた値)。需要の伸びは速いが、山火事の和解 約 4 億ドルとテキサス州司法長官の提訴が経営の重みになる。競合は無い。
ウィスコンシン・ミシガン(NSP-ウィスコンシン:電力・ガス)
ウィスコンシン北西部とミシガン北部の小さな規制電力・ガス。成長は穏やか。
| 数量収益基盤(億ドル) | 価格収益基盤あたりの売上(燃料費・購入電力の転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 32.0 | 0.31 | 10 | 2 |
| 10 年後 中立 | 55.0 | 0.29 | 16 | 4 |
取り方:収益基盤 約 32 億ドル(推定)、売上 約 10 億ドル(推定)。4 つの子会社のうち最小で、投資の伸びも遅い。競合は無い。
リスクと懸念
山火事の責任
スモークハウス・クリーク火災(SPS)は損失見込み 4.6 億ドル・法務 0.43 億ドル、和解 約 4 億ドルで、2025 年 12 月にテキサス州司法長官が提訴した。保険の枠は 5.25 億ドルで残り約 0.8 億ドル。マーシャル火災(PSCo)の和解は 6.4 億ドル。山火事の責任が会社に戻る制度になれば、自己資本が削られ、悲観の筋書きになる。
許可 ROE の引き下げと手頃さの政治
コロラド電力は要求 9.8% が 9.3%、ニューメキシコは 10.5% が 9.5%、ミネソタは 9.60% に決まった。全米の住宅料金は 2026 年に約 +5% で、手頃さの反発が続けば許可 ROE が 9% 前後まで下がり、投資の認可も削られる。収益基盤の伸びと利益率が同時に落ちる。
借金と増資に頼る資金繰り
純有利子負債 356 億ドルで時価総額の 75%、負債は資本の 62%、FCF は 2025 年に −68 億ドル。借換えの金利が 5.75% 前後になり、brief の推定で利払いは 10 年後に 6 億ドル増える。先渡しの株式売却の未決済は 6,970 万株(最低 52 億ドル)で、既存の株主の持ち分は薄まる。
データセンター需要の確度
引き合いは 26 GW 超だが、契約済み・建設中は約 2 GW、2027 年末までの契約見込みは 4 GW。残りは確約ではない。ERCOT が 2030 年の見通しを切り下げた前例のとおり、引き合いは縮みうる。先行した発電・送電の投資が一般の料金に回れば、手頃さの政治を悪化させる。
工期・費用の超過
計画は再エネ 11.4 GW・ガス 3.4 GW・蓄電池 2.2 GW・送電 約 1,700 マイルと、約 600〜700 億ドルの大きさ。ガスタービンは 2019 年比で価格が約 3 倍・納期 5〜7 年。超過費用が認可されなければ直接の損失になる(サザンのボーグル 3・4 号機の前例)。
税額控除と再エネ政策の変化
2025 年の包括税制法で風力・太陽光の税額控除に期限が付いた。着工の期限内なら使えるが、延びれば計画の費用が上がる。実現 ROE を支える税額控除と建設中の資産の収益(AFUDC)が縮めば、帳簿の利益の伸びが落ちる。
今後の分かれ目
- データセンターの契約が 2027 年末までに 4 GW を超えて積み上がったら
- 収益基盤の伸びが年 10% 前後で保たれ、楽観・やや楽観の確率を 10 年で 5 ポイント上げる。逆に 2 GW 台で止まれば、中立の収益基盤を 1 割下げる。
- スモークハウス・クリークの訴訟で保険の枠を超える追加の費用が数億ドル出たら
- 自己資本が削られ、増資が増える。やや悲観・悲観の確率を 3 ポイント上げる。
- コロラド・ミネソタの許可 ROE が 9.0% 前後に下がったら
- 利益の伸びが 1 割下がり、10 年のやや悲観・悲観の確率を各 3 ポイント上げる。
- 山火事の責任の上限・基金が制度として整った(責任が社会化された)ら
- 悲観の確率を 5 ポイント下げ、倍率は式の値のまま、財務の薄さへの懸念が和らぐ。
- 10 年国債の利回りが 5% を大きく超えて上がったら(6% 超)
- 借換えコストが利益を圧迫し、倍率が縮む。資本コストの見方を高い側(借金・値決めの目安を悪い側)に寄せる。
- 次回の資本計画の更新(2026 年第 3 四半期、2027〜2031 年)で基本計画が約 700 億ドルへ引き上げられたら
- 収益基盤の伸びは強まるが、増資と借金も増えるので、価値の増加は純利益の伸びから増資の払い込みを引いた正味で見る。
見ておくもの
- データセンターの契約量(約 2 GW → 2027 年末に 4 GW)と最低請求・担保の強さ
- コロラド・ニューメキシコ・ミネソタの許可 ROE と、次の料金改定の結果
- 住宅料金の前年比(5% 超が続くか)
- スモークハウス・クリークの訴訟と保険の残り、新たな山火事の責任の制度
- 先渡しの株式売却の決済と増資の額、借換えの金利
- 2026 年第 3 四半期の資本計画(2027〜2031 年)の更新
- 10 年国債 5% の維持
倍率と資本コストの決め方
今の PER(GAAP 23.6 倍)を見る前に、収益基盤を数量、収益基盤あたりの売上を価格として 4 つの子会社を積み、純利益を ROE × 自己資本(収益基盤の約 50%)で決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE − k)(moat 普通・残る割合 1/2)で上限を出し、その 7〜10 割に置いた。k は基本 8.0% に quality −0.50% を足した 7.5%。10 年の中立は ROE 9.6%・g 4.0%・RONIC 8.6% で正当化 PER 15.2 倍、これに対し 12.2 倍(0.80 倍)。10 年の楽観は正当化 PER 15.7 倍に対し 14.5 倍(0.92 倍)、やや悲観は 14.9 倍に対し 11.5 倍(0.77 倍)に置いた。今の GAAP の PER は山火事の和解費用で利益が小さく見えるので、そのまま比べていない。結果は総合で今の時価総額に対し -28%(やや割高)で、今の株価に寄せて逆算していない。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β 0.81 × 5%。基本 8.0% + coc.quality -0.50% = 7.50%(4 つの目安と理由は quality_parts・quality_why)。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より株の k が低くならない(k は 7.50%)。規模は S&P 500 で 0、上乗せ(extra)も 0。山火事・許可 ROE の引き下げ・データセンターの確度という個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益と確率(悲観を 10〜13%)で表す。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割(multiple.why)。長期の g は 4% まで、かつ k − g ≥ 3.5% なので k 7.50% では g 4.00% が上限。