結論
ビジョンは、海外旅行者に通信環境を貸し、創業したばかりの会社に通信回線や事務機器を届ける企業である。筆者の結論は「割安」だ。通信の需要そのものは消えず、法人の継続利用と幅広い販売網に稼ぐ力がある。もっとも、主力のWi-FiルーターはeSIMに置き換わり始めているため、現在の高い利益率を十年後まで当然視しない。
2025年12月期の売上高は390億円、営業利益は65億円だった。海外Wi-Fi関連は売上のおよそ半分を稼ぎ、法人向け情報通信サービスが四割強を占める。前者は旅行者数だけでなく、手間なく受け取れる拠点、通信品質、法人への一括請求で選ばれる。後者は会社を新設する時点で顧客を獲得し、携帯電話、複合機、光回線などを追加で売る仕組みを持つ。
難点は、端末を持ち歩く理由が十年で弱まることだ。World eSIMの販売が伸びるのは良いニュースだが、単価が安く、利用者が他社へ移る手間も小さい。記帳代行やウェブ制作にはAIエージェント代替がある。旅行需要の回復だけを十年間延長する見方は採らず、端末台数の減少と電子SIMの単価競争、事務受託の縮小を中心の筋書きに織り込んだ。
それでも、純現金と還元への姿勢が下値を支える。2028年に売上500億円、営業利益100億円を目指す計画は、売上目標を大きく下げた修正版であり、達成が約束された数字ではない。
10年後の純利益は中心的には64億円程度とみる。五つの将来像で将来の余剰現金も別に評価し、資本コストで現在へ引き直すと、株式全体の価値は約737億円となる。基準時価総額502億円を約47%上回る。ただし、通信方式の転換が速ければ安全域は失われる。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に問うべきは、十年後に旅行者が同じ仕組みにお金を払っているかである。海外で通信が必要なことは変わらない。だが、ルーターを借りる作業は、その目的を達成するための一時的な技術にすぎない。eSIMが便利になれば、空港にカウンターを持つ強みは売上を守る堀から、固定費の負担へ姿を変えうる。
それでも、顧客との関係は簡単には消えない。法人出張の窓口、渡航先の通信品質を知る営業担当、複合機や回線をまとめて手配する職員は、企業にとって切替の手間を減らす。ここで売れるのは通信そのものより、通信にまつわる面倒を引き受けるサービスだ。しかし、この強みを価格の独占力と呼ぶほどの証拠はなく、世界中の通信会社から回線を仕入れている以上、長期の超過利益には限界がある。
資本を預かる経営者としての評価は上向いている。配当を開始し、余剰資金の使い道を買収か自社株買いかと明示したことは、少数株主にとって大きい。反面、グランピングの新設と異業種買収で資本を使うほど、端末レンタルで培った経営力がそのまま通用するのかが問われる。減価償却より多額の設備更新が必要な場面では、会計の純利益と実際に配れる現金もずれる。
筆者は、優良さの判断では法人の取引基盤と現金創出力を買うが、永久に高い成長率を与えない。悲観では端末事業が衰え、受託業務がAIに削られ、買収先にも採算問題が出る。その損失を引き受けられる値段かどうかが価値投資の最終判断になる。現時点では、十分に厳しい可能性を織り込んだ後にも一定の安全域が残る。
何で稼ぐ会社か
最大の収益源は「グローバルWiFi」「WiFiレンタルどっとこむ」「NINJA WiFi」などの端末レンタルである。個人客は旅行や出張のたびに申し込み、法人客は出張者の通信をまとめて管理する。空港での受渡し、郵送、無人受取ロッカー、現地通信事業者からの回線調達を一つに束ねている。2025年のルーター利用は約272万件で、法人一括請求の登録社数は約7万2千社に達した。
同じ部門の「World eSIM」は、スマートフォンに通信契約を直接設定する商品である。端末の発送・回収が要らない代わりに、顧客には他社との比較が容易になる。2025年の販売は47万5千件、売上は約11億円で、ルーターと足してグローバルWiFi部門は約210億円を売り上げた。法人向け定額型の「グローバルWiFi for Biz」もあるため、旅行者の単純な一回限りの取引だけではない。
情報通信サービスでは、法人携帯、光回線、複合機、電話設備、空調、防犯カメラを一括して紹介・販売する。回線契約の代理店手数料、機器販売代金、継続契約からの収入が混ざる。2025年の部門売上は約164億円だった。約40万社という累計導入実績と、新設法人への営業経路が強みだが、累計数は現在の有料契約社数ではない。
その周辺にはホームページ制作、SNS運用、記帳代行、業務ソフトもある。これらは通信インフラと違い、人の作業時間や操作画面に対価を払うサービスだ。売上の独立開示がないため分析では保守的に分け、AIに置き換えられる部分の数量を減らした。
小さな第三の柱は山中湖や霧島でのグランピング、旅行手配などの観光事業である。2025年売上は約16億円だったが、2026年にインバウンド旅行のフリープラスと賃貸保証会社を取得しており、事業構成は変わりつつある。施設の宿泊客は現実の部屋と接客を必要とし、AIだけでは代替できない。しかし、土地・建物と人員の固定費があるため、売上が細った時の損失は見かけより大きい。
優良さと弱いところ
堀、つまり競合が容易には奪えない強みは、通信技術そのものより顧客獲得と現場の手配能力にある。グローバルWiFiは東京商工リサーチの調査で、海外用Wi-Fiレンタルの利用者数首位を九年連続で確認された。法人客は請求をまとめ、渡航者の端末を管理できるため、単価が少し違うだけでは乗り換えにくい。2025年末の法人利用は件数で六割を超え、継続利用の多さが需要の土台になっている。
もっとも、その堀は広がるだけではない。eSIMには物理的な受取場所も返却の手間もなく、顧客が一回ごとに別の会社を選べる。Airalo、Holafly、各国通信会社の海外ローミングとの競争では、会社が独自の回線を保有していない点が弱さとなる。端末レンタルでの首位という事実を、海外通信全体での独占力に読み替えてはいけない。
創業法人向けの営業基盤も値打ちがある。顧客が会社を設立する際に携帯・固定回線・機器をまとめて導入すれば、その後に別の商品を提案しやすい。一方、大塚商会や通信大手との比較では、ビジョンは多くの製品を自ら製造しておらず、仕入れ先の手数料条件に左右される。独自のデータ蓄積が高い乗換費用を生むという開示も十分ではないため、全社の堀は「普通」とした。
資本効率は実績で確かめられる。営業利益は2019年の33億円から、コロナ禍の2020年には1億円まで落ち、その後2025年に65億円へ伸びた。自己資本利益率は高水準に戻り、純現金も積み上がった。ただし、2024年には現金同等物の株主優待費用が膨らみ、2025年にはその制度を整理したという一過性の利益押上げも含まれる。過去の増益率をそのまま増分投資の利回りとはみなさない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場を一つの「通信市場」と呼ぶと、判断を誤る。2025年の出国日本人数は約1473万人、訪日客は約4268万人だった。これが海外・国内Wi-Fiの需要の母集団となる。ビジョンの海外向けレンタル約177万件は日本人出国者数の約12%に相当するが、全出国者がレンタルを使うわけではないため、これは市場シェアではなく到達率の目安にすぎない。直接競合はイモトのWiFi、WiFiBOXなどで、各社の市場シェアの確定値は公表されていない。
十年先の旅行者数は急減よりも緩やかな回復・増加を基本にする。ただし、ルーターの利用率は低下するとみる。スマートフォンのeSIM対応が標準化すると、接続を買うたびに機器を借りる必要がなくなるからだ。eSIM事業の市場は海外旅行者と同じ母集団を奪い合うが、一人で複数契約する例もある。World eSIMの注文数を世界のeSIM利用者シェアと同一視しない。
法人向けでは、中小企業約336万社という企業基盤と、2025年に設立された新法人約15万7千社が需要の入口だ。会社の累計導入約40万社は大きいが、それは現在の市場シェアではない。営業中の取引先を約12万社相当と仮定すれば、国内中小企業の約3.6%に当たる。ここでの競合はNTTドコモビジネス、KDDI、ソフトバンク、大塚商会、地場のOA機器販売店であり、回線・複合機・ウェブ制作それぞれの価格を比べられる。
グランピングと訪日旅行手配の参照市場は、2025年の訪日旅行消費約9.5兆円という巨大な支出である。ただし、これは国内宿泊や旅行代理業を含むビジョンの厳密な同一市場ではない。施設競合は各地域のホテル、貸別荘、他のグランピング施設、旅行手配はJTBやHISなどで、会社の売上は参照市場に比べごく小さい。市場全体の拡大より、施設の稼働率と買収企業の販売網が利益を決める。
通信サービスの値段には年3%の物価上昇を織り込むが、eSIMの単価は競争と技術進歩でそれを下回る。事務の受託とウェブ制作もAIに価格を押し下げられる。一方、仕入通信料、人件費、空港カウンターの賃料は物価とともに上がる。この非対称な変化が、十年後に今の利益率を維持できるかどうかの分かれ目である。
資本政策と M&A
資本政策は明確になってきた。2026年2月改定の中期経営計画は、2028年の売上目標を634億円から500億円に下げたが、営業利益100億円、純利益68億円、営業利益率20%、ROE23.9%を維持した。2026年計画は売上420億円、営業利益75億円である。売上拡大を追うより、利益率を上げると経営者は約束した。
株主還元は2028年まで配当性向50%またはDOE(自己資本配当率)8%の高い方とし、その後の通常方針は配当性向30~40%である。中計では配当原資89億円に加え、買収機会が乏しければ成長投資枠89億円を自社株買い・消却へ回す可能性を示している。買収の執行額も自社株買いの全額も確約ではない。2024年に配当を始め、2025年に増配し、2026年前半には約17億円を実際に自社株買いへ投じた点は評価できる。
買収では2026年に訪日旅行手配のフリープラスと賃貸保証のアイウィッシュを取得した。通信と旅行の顧客を相互に紹介できれば収益源が増えるが、通信サービスと異なる審査・運営能力も必要になる。投下資本に対する買収後の営業利益を追わなければ、ROEの高さだけで良い買収とは言えない。
2025年の株主優待は自社サービスの割引券が中心で、以前のQUOカード等の大きな費用負担は見直した。単体で開示された2025年の優待引当金繰入れは約0.33億円である。長期の還元計算には年間約0.4億円の現物給付費用を加え、額面の券の総額とは区別した。2026年前半までに実施済みの自社株買いを将来の還元額へ再計上することも避けている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
法人顧客の質を見れば、海外用Wi-Fiは単なる一回限りのレンタルではない。2025年末の一括請求登録は約7万2千社に達し、出張のたびに手続きが要らない顧客が増えている。通信品質を重視する企業は、渡航先でつながらない損失を嫌う。価格を数百円下げるだけの競合にすべて奪われるとは考えにくい。
ルーターがeSIMに替わっても、ビジョンがその注文を取り込めば、回線を届ける窓口として残る。World eSIMは2025年に約47万5千件を売り、2026年前半も増えた。端末の配送・回収が不要になる分だけ変動費は小さくなる。スマートフォンを持つ顧客が増えるほど、商品の移行を自社で進める余地がある。
法人向けの通信と事務機器には、もう一つの成長余地がある。国内では年間約16万社が新しく設立される。初期の回線手配から携帯、複合機、防犯カメラへ追加販売できれば、一社当たりの取引額と契約期間が伸びる。ウェブ制作や記帳代行のような部分はAIで単価を下げられても、物理的な機器や通信は消えない。
旅行手配や宿泊施設も訪日客の厚い需要を追い風にできる。フリープラスの買収と淡路島の新施設が計画どおり立ち上がれば、Wi-Fiだけに頼らない柱が育つ。還元は配当と自己株買いを組み合わせ、純現金の余力もある。技術の入れ替わりを自社の新商品へ取り込み、営業の生産性まで改善できれば、十年先の利益は現在の二倍を大きく超える可能性がある。
慎重な見方
最大の危険は、ルーターの市場で勝っている会社が、通信接続の市場でも勝ち続けるとは限らないことだ。旅先でスマートフォンにeSIMを設定するだけなら、空港カウンターも返却手続きも不要になる。AiraloやHolafly、通信大手のローミングは同じ通信回線を売れるため、価格以外で差をつけにくい。安価なeSIMの注文が増えても、利益額では従来のルーターを埋められないことがある。
国内の法人顧客も、永久に付いてくるわけではない。電話回線、端末、複合機は通信会社やメーカーから直接調達できる。経理BPOはAIが領収書を読み、記帳から照合まで進めるほど人月の価値が下がる。ウェブ制作やSNS運用も同じだ。解約率の低さや法対応による強いロックインを数字で示せない以上、これらの仕事が過去のペースで増えるとは考えない。
観光事業では、施設や人員に先に資本を投じる。2020年の売上急落を思い出せば、訪日客が過去最高だからというだけで固定費の増加を正当化できない。旅行手配の買収が価格競争に巻き込まれれば、売上だけ増えて資本収益性が落ちる。事業間で明確な相乗効果を立証できない買収には慎重であるべきだ。
中計は売上目標を134億円も下方修正した。その一方で、利益目標は変えていない。営業努力と経費削減が進まなければ、会社が掲げる利益率20%は届かない。株主還元の方針が良くなっても、十年後の利益を生む力の毀損を全て補えるわけではない。
どちらに重みを置いたか
法人の継続取引と財務の厚さでは前向きな見方が強い。一方、ルーターからeSIMへの移行は現に進んでおり、経理受託やウェブ制作にはAIエージェント代替がある。2026年前半のWi-Fi部門は減収で、変化を遠い未来の話として扱えない。
確率は楽観二つで28%、悲観二つで38%と下側へ寄せた。中心の筋書きには既に端末件数とAI型業務の縮小を織り込んでいるため、同じ理由で資本コストをさらに上乗せしない。この慎重さでも本質価値が現在の時価総額を上回ることから、結論は割安となる。ただし、この差を無条件の保険とはみない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,238 円1,094 億円(+ 還元の換算額還元の合計 561 円274 億円)。 今の値に割り戻すと 1,507 円737 億円、今との差 +52.8%、 期待の年率 +12.7%(資本コスト 7.2%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 5,165 円2,525 億円 | 908 円444 億円 | +515.9% | +22.8% | 729 円356 億円 |
| やや楽観 | 16% | 3,640 円1,780 億円 | 783 円383 億円 | +348.6% | +18.7% | 708 円346 億円 |
| 中立 | 34% | 2,532 円1,238 億円 | 663 円324 億円 | +224.0% | +14.6% | 1,086 円531 億円 |
| やや悲観 | 25% | 545 円267 億円 | 309 円151 億円 | −13.4% | −1.7% | 213 円104 億円 |
| 悲観 | 13% | 299 円146 億円 | 188 円92 億円 | −50.6% | −8.1% | 63 円31 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,238 円1,094 億円 | 561 円274 億円 | +183.9% | +12.7% | 2,799 円1,369 億円 |
今の株価時価総額 986 円482 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 法人・電子SIM・訪日事業の三つを拡大 利益 134 億円 · PER 17.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,165 円2,525 億円
出張客は法人の一括請求を使い続け、グローバルWiFiは通信品質と無制限プランで一定の値上げを通す。ルーター利用は年320万件に戻る。海外旅行と訪日需要がともに拡大し、受取ロッカーや現地通信の仕入れで利便性の差が保たれる。
World eSIMの年間注文は300万件に増える。安売りには追随せず品質を説明して利用者をつかみ、機器の配送や修理が不要な商売へ利益の柱を移す。海外ローミングとの競争は残るものの、既存法人との接点が新しい通信方式への移行を助ける。
法人向けは年間21万5千社相当に取引基盤を広げる。回線だけでなく複合機や防犯カメラ、賃貸保証などの提案を組み合わせ、単なる携帯代理店を脱する。AIが記帳・ウェブ制作を省力化するため、受託案件数は現在を上回らない。それでも顧客への追加販売が弱い部門を補う。
フリープラスの訪日旅行と淡路島を含む施設が安定稼働し、宿泊・旅行手配の件数は大きく増える。固定費を十分に吸収できれば、全社の営業利益率は二割を超える。買収は高い投資利回りに限り、余った現金は配当と自社株買いに回す。
- Wi-Fiルーターレンタル:数量 320(年間ルーターレンタル利用件数(万件、法人定額型の稼働分も件数換算))× 価格 1.07(1件当たり売上(万円、名目、通信料・付帯サービス・法人定額収益の配分込み))→ 売上 341 億円・営業利益 119 億円。320万件。高品質・無制限プランの単価優位が残る
- World eSIM等の電子SIM:数量 300(年間eSIM販売件数(万件))× 価格 0.26(1販売当たり売上(万円、名目))→ 売上 78 億円・営業利益 16 億円。海外接続市場のシェアを拡大するが、安売りは限定
- 法人向け通信回線・OA機器等:数量 21.5(年間稼働する法人取引先相当数(万社、複数商品・反復購入を一社へ統合した推計))× 価格 17(法人一社相当当たり年間売上(万円、名目、機器一括販売と継続手数料を平均))→ 売上 374 億円・営業利益 67 億円。中小企業全体の約6%相当へ営業基盤を拡張
- 記帳代行・ウェブ制作・SNS運用等:数量 0.2(年間記帳・制作・運用の業務受託契約相当数(万件、推計))× 価格 110(案件一件当たり年間売上(万円、名目、月額型は年額化))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。AI代替型の案件数量は現状の1倍を超えない
- グランピング・旅行手配:数量 6.4(宿泊室泊数と旅行手配の年間利用案件換算(万件、分析上の推計))× 価格 12(宿泊・旅行手配の一案件当たり売上(万円、名目))→ 売上 77 億円・営業利益 15 億円。フリープラスと淡路島が伸長し稼働率が上昇
倍率:k7.25%。2035年の自己資本623.6億円から、法人・旅行事業の拡張資金を控除した将来の余剰現金270億円を分ける。残る事業自己資本353.6億円、純利益134億円から現金の税後利息3.78億円を引いた事業純利益130.22億円により、事業ROE約36.8%。普通の堀として超過ROEの半分が残るRONIC約22.0%、長期名目成長g2%から正当化PERの上限17.32倍。事業利益×PER+将来余剰現金270億円で時価総額を計算する
確率:高品質の法人海外通信を維持しながらeSIMを伸ばし、さらに別業種買収と宿泊施設を成功させる三重の実行が必要であり、実現は可能だが少数の上振れ事象とした。
やや楽観 16% 法人営業が伸び、eSIM移行に成功 利益 94 億円 · PER 17.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,640 円1,780 億円
法人の一括請求と出張者への対応を強みに、主力ルーターの利用は年275万件前後で踏みとどまる。海外旅行者が増えても個人利用の一部は電子SIMへ移るため、ルーター市場で独り勝ちするわけではない。無制限プランの構成比改善が単価を支える。
World eSIMは海外での接続品質を重視する人に広がり、年225万件に達する。単価は強く伸びないが、配送物流の負担が軽いため利益率は改善する。自社のルーター客がeSIMへ移ることを恐れず、同じ顧客の通信予算を引き受ける。
新設法人への営業から既存法人の複数商材利用が進み、取引基盤は年17万4千社相当になる。記帳BPOやウェブ制作はAIに仕事の一部を奪われるものの、他の通信・機器への案内役として残る。独自のAIソフトで爆発的に増収するとは仮定しない。
グランピングと旅行手配は買収先との連携で堅調に増える。設備更新と人件費は物価に沿って増すが、物流・顧客対応の効率化が費用を一部吸収する。利益の成長と株主への還元を両立する十年になる。
- Wi-Fiルーターレンタル:数量 275(年間ルーターレンタル利用件数(万件、法人定額型の稼働分も件数換算))× 価格 1.03(1件当たり売上(万円、名目、通信料・付帯サービス・法人定額収益の配分込み))→ 売上 283 億円・営業利益 93 億円。海外法人の継続と高単価プランでほぼ横ばい
- World eSIM等の電子SIM:数量 225(年間eSIM販売件数(万件))× 価格 0.24(1販売当たり売上(万円、名目))→ 売上 53 億円・営業利益 8 億円。接続品質で差別化、225万件まで拡大
- 法人向け通信回線・OA機器等:数量 17.4(年間稼働する法人取引先相当数(万社、複数商品・反復購入を一社へ統合した推計))× 価格 17(法人一社相当当たり年間売上(万円、名目、機器一括販売と継続手数料を平均))→ 売上 298 億円・営業利益 49 億円。取引先が増え、クロスセル単価も改善
- 記帳代行・ウェブ制作・SNS運用等:数量 0.2(年間記帳・制作・運用の業務受託契約相当数(万件、推計))× 価格 102(案件一件当たり年間売上(万円、名目、月額型は年額化))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。人月型は15%減。単価の実質上昇はなし
- グランピング・旅行手配:数量 5.2(宿泊室泊数と旅行手配の年間利用案件換算(万件、分析上の推計))× 価格 11(宿泊・旅行手配の一案件当たり売上(万円、名目))→ 売上 56 億円・営業利益 9 億円。買収と既存施設の稼働率が着実に改善
倍率:2035年の蓄積余剰現金240億円を自己資本543.6億円から分ける。事業純利益90.64億円と事業自己資本303.6億円で事業ROE約29.9%、k7.25%、普通の堀のRONIC約18.6%、g2%から正当化PER16.99倍前後の上限そのものとする。事業純利益×上限PERに余剰現金240億円を足す。現金の税後利息の二重計上は避ける
確率:2026年の法人契約とeSIMの増加には既に実績がある。ただし海外通信で高い価格を維持するには競合との差別化と利用者の継続率が要るため、最も楽観的な筋書きより現実味が高い程度にとどめた。
中立 34% 通信方法が変わり、営業基盤だけが着実に残る 利益 64 億円 · PER 16.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,532 円1,238 億円
2025年に年272万件あったルーター利用は、十年後に220万件程度へ減る。訪日需要の伸びと法人の品質重視が下支えになる一方、個人の海外通信はスマートフォンだけで完結することが増える。高容量プランで客単価を上げても、名目価格の伸びは物価程度にとどまる。
World eSIMは年175万件へ増える。ただし他社のeSIMや通信大手のローミングが普及し、一注文当たりの料金は現在より下がる。機器の運送負担が減る効率化を、競争による価格下落が一部相殺する。
法人取引は年15万8千社相当へ拡大する。新しい会社に一式を売る営業力は残るが、通信・OA機器の価格を顧客は比較できる。経理BPOやウェブ制作はAIエージェント代替で契約相当件数が約三分の一減り、独自データと解約率の裏付けが乏しいため収益を大きく回復させない。
フリープラスと新施設の売上が加わり、観光部門は従来より大きくなる。ただし宿泊の固定費と人手の制約が残る。中計の2028年営業利益100億円という目標は持続的な実績として無条件には使わず、十年先は約92億円を稼ぐ成熟企業と見る。累積利益は還元を上回り、ROEは現在より落ち着く。事業拡大に要る資本を超えて残る現金は、買収益を勝手に見込まず株主に帰属する資産として残す。
- Wi-Fiルーターレンタル:数量 220(年間ルーターレンタル利用件数(万件、法人定額型の稼働分も件数換算))× 価格 0.96(1件当たり売上(万円、名目、通信料・付帯サービス・法人定額収益の配分込み))→ 売上 211 億円・営業利益 68 億円。272万件から220万件へ。物価分の値上げも競争で一部失う
- World eSIM等の電子SIM:数量 175(年間eSIM販売件数(万件))× 価格 0.21(1販売当たり売上(万円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 4 億円。175万件、単価は現在より約1割低下
- 法人向け通信回線・OA機器等:数量 15.8(年間稼働する法人取引先相当数(万社、複数商品・反復購入を一社へ統合した推計))× 価格 16(法人一社相当当たり年間売上(万円、名目、機器一括販売と継続手数料を平均))→ 売上 253 億円・営業利益 39 億円。取引先15.8万社相当。名目単価はほぼ物価並み
- 記帳代行・ウェブ制作・SNS運用等:数量 0.1(年間記帳・制作・運用の業務受託契約相当数(万件、推計))× 価格 92(案件一件当たり年間売上(万円、名目、月額型は年額化))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。AI人月型数量0.65倍、価格1.08倍。長期gは当部分0%
- グランピング・旅行手配:数量 4.4(宿泊室泊数と旅行手配の年間利用案件換算(万件、分析上の推計))× 価格 10(宿泊・旅行手配の一案件当たり売上(万円、名目))→ 売上 45 億円・営業利益 6 億円。買収先と新設施設を加え案件4.4万件相当
倍率:2035年自己資本518.6億円のうち、法人向け営業資本、施設更新、買収した事業の維持に必要な資本約268.6億円と、それを超えた余剰現金250億円を分ける。今ある事業資本192.9億円に加えて75.7億円を成長と維持に充てるため、過去の全社平均資本密度よりも宿泊・買収の資金を厚く確保した。純利益63.5億円から現金の税後利息3.50億円を控除すると事業純利益60.00億円、事業ROE約22.3%。k7.25%、普通の堀の継続係数1/2でRONIC約14.8%、g2%から正当化PER16.48倍の上限を採る。事業純利益×PER+蓄積余剰現金250億円
確率:会社の法人顧客とeSIM注文の実績を認める一方、2026年前半にはWi-Fiが減収であり2028年の利益目標も未達成である。海外接続の置換速度と法人クロスセルの両方を均して最頻の筋書きとした。下に寄せる理由:端末の利用減少が既に表れ、BPOはAI代替型で、観光買収には採算の不確実性があるため。
やや悲観 25% ルーター市場縮小が収益を圧迫 利益 15 億円 · PER 11.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 545 円267 億円
eSIM利用が急速に一般化し、空港で機器を借りる利用者は年155万件まで減る。法人出張の需要は残るが、大手通信会社のローミングや法人eSIM管理に置き換わる。既存の空港カウンターと保守人員を完全には減らせず、ルーター事業の利益率は低下する。
自社のeSIMも年95万件を売るが、接続料金の安さが選択の決め手になり、価格を維持できない。配送不要による原価削減は、広告獲得費と回線卸値の競争に食われる。大きな需要の増加があっても、収益はルーター減少分を埋められない。
法人取引先は年11万社相当へ減る。顧客の仕入れ先集約が進み、大手通信会社とOA機器メーカーが直接契約を増やす。人の手作業で行う経理BPOやウェブ制作の仕事はAIに減らされ、営業機会の拡大にもつながらない。
観光施設は稼働率が落ち、家賃や減価償却の負担だけが残る。経営は配当を続けるが、2028年までのDOE方針をそのまま永久に維持することは難しい。業績に応じて還元を縮め、営業利益率が一桁へ下がる十年である。
- Wi-Fiルーターレンタル:数量 155(年間ルーターレンタル利用件数(万件、法人定額型の稼働分も件数換算))× 価格 0.82(1件当たり売上(万円、名目、通信料・付帯サービス・法人定額収益の配分込み))→ 売上 127 億円・営業利益 29 億円。eSIM代替で件数は現在の約57%
- World eSIM等の電子SIM:数量 95.0(年間eSIM販売件数(万件))× 価格 0.16(1販売当たり売上(万円、名目))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。低価格競争に巻き込まれ件数増を単価下落が相殺
- 法人向け通信回線・OA機器等:数量 11.0(年間稼働する法人取引先相当数(万社、複数商品・反復購入を一社へ統合した推計))× 価格 15(法人一社相当当たり年間売上(万円、名目、機器一括販売と継続手数料を平均))→ 売上 161 億円・営業利益 16 億円。大手直接販売が増え、稼働契約は減少
- 記帳代行・ウェブ制作・SNS運用等:数量 0.1(年間記帳・制作・運用の業務受託契約相当数(万件、推計))× 価格 82(案件一件当たり年間売上(万円、名目、月額型は年額化))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。AI代替で工数数量は半分に近づき採算悪化
- グランピング・旅行手配:数量 2.7(宿泊室泊数と旅行手配の年間利用案件換算(万件、分析上の推計))× 価格 9.20(宿泊・旅行手配の一案件当たり売上(万円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。施設稼働が低く、賃料・減価償却が残る
倍率:全社ROEは約3.9%でk7.25%を下回り、稼ぐ力の上限1/k約13.8倍より保守的なPER11倍を使う。2035年の累積自己資本385.6億円から、運営固定費と観光施設・M&Aの回収の難しさを踏まえ事業維持資本約265.6億円を残し、余剰現金120億円だけを認識する。余剰現金の税後利息1.68億円を除いた事業純利益13.32億円にPERを掛け、余剰120億円を足す。売れない資産を帳簿どおりの現金として認識しない
確率:2026年前半の海外Wi-Fi減収に加え、スマートフォンへの直接接続が進むという確かな構造要因がある。法人機器の手数料低下や賃貸・観光事業の固定費負担まで重なる可能性として十分な重みを持たせた。
悲観 13% 端末の需要が崩れ、投資負担が固定化 利益 −14 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 299 円146 億円
スマートフォン直結型の海外通信が標準になり、ルーターレンタルは一部の企業や長期滞在者しか使わなくなる。年間件数は95万件へ落ち、他社のeSIMや大手通信会社のローミングに顧客の大半を奪われる。既存のブランドは残っても、物流・受渡施設を支える数量が消える。
World eSIMも低価格競争に勝てない。既存ルーター利用者を移行させるだけでは新規客獲得の費用を賄えず、販売件数は年50万件程度にとどまる。赤字でも販売を続ければ営業損失が広がるため、品ぞろえと海外拠点の縮小が避けられない。
法人通信では大手キャリアと機器メーカーが直接契約を強め、取引先は年7万4千社相当に減る。経理受託の単純処理はAIに置き換わり、ウェブサイト制作も低価格化する。営業担当が十分な追加販売をできず、買収した旅行手配や賃貸保証も期待した投下資本利益を生まない。
宿泊施設には家賃・減価償却・修繕費が残り、全社は営業赤字になる。過去の蓄積利益と現金があるため直ちに倒産する筋書きではないが、利益を分配できる会社としての質は失われる。帳簿上の自己資本の額ではなく、事業を縮めて換金できる資産の価値だけが株主の支えになる。
- Wi-Fiルーターレンタル:数量 95.0(年間ルーターレンタル利用件数(万件、法人定額型の稼働分も件数換算))× 価格 0.70(1件当たり売上(万円、名目、通信料・付帯サービス・法人定額収益の配分込み))→ 売上 67 億円・営業利益 5 億円。技術代替で約3分の1の件数。赤字に近い利益率
- World eSIM等の電子SIM:数量 50.0(年間eSIM販売件数(万件))× 価格 0.12(1販売当たり売上(万円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。市場競争の敗者となり単価は半分近くへ低下
- 法人向け通信回線・OA機器等:数量 7.4(年間稼働する法人取引先相当数(万社、複数商品・反復購入を一社へ統合した推計))× 価格 12(法人一社相当当たり年間売上(万円、名目、機器一括販売と継続手数料を平均))→ 売上 85 億円・営業利益 2 億円。法人取引基盤が長期で弱まり、手数料も低下
- 記帳代行・ウェブ制作・SNS運用等:数量 0.1(年間記帳・制作・運用の業務受託契約相当数(万件、推計))× 価格 68(案件一件当たり年間売上(万円、名目、月額型は年額化))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。AIによる仕事減と低価格化で赤字継続
- グランピング・旅行手配:数量 1.5(宿泊室泊数と旅行手配の年間利用案件換算(万件、分析上の推計))× 価格 8.00(宿泊・旅行手配の一案件当たり売上(万円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 −2 億円。施設費用と取得後の管理費が採算を圧迫
倍率:2035年は営業・純利益とも赤字であり永久利益のPERを用いない。2025年末の自己資本208.6億円を起点に、現金と回収可能な債権・現物資産がどこまで残るかを評価した。PBR0.70倍は当初純資産への換価掛目であり、2035年まで留保した自己資本288.6億円に掛けない。結果146.0億円は別途試算した清算可能額140億円を上回る。
確率:世界的な渡航停止がもう一度来ることではなく、通信方式と販売経路の変化で恒久的に客を失う事態を想定した。2020年の急減益という脆弱性の実績はあるが、純現金と法人客の残存もあるため最頻とはしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
Wi-Fiルーターレンタル
海外用のグローバルWiFi、国内のWiFiレンタルどっとこむ、訪日客用NINJA WiFi、法人用の端末常備契約など。現物と通信回線を届ける役割で、AIエージェントがそのまま置き換える人月型ではない。
| 数量年間ルーターレンタル利用件数(万件、法人定額型の稼働分も件数換算) | 価格1件当たり売上(万円、名目、通信料・付帯サービス・法人定額収益の配分込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 272 | 0.73 | 199 | 65 |
| 10 年後 中立 | 220 | 0.96 | 211 | 68 |
取り方:2025年会社説明資料の年間ルーター利用約272万件(海外出国177万、訪日・国内等89万、海外現地5万、端数差あり)を採用。グローバルWiFi部門売上210.11億円から、別途開示のWorld eSIM 10.967億円を控除し199.143億円を得た。利用単価は約7,321円/件であり、海外通常プラン一日約1,700円×平均7日、国内約5,000円/月×平均45日という商品単価と区別する。法人定額・オプションの混合平均である。営業利益65.01億円はeSIMへの推定先行赤字1.50億円を本部門の公表利益63.51億円から分けた分析上の推計。AIエージェント代替:対象外。資料:https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80392/7d77d87f/d021/4992/916f/b53cd1a9ad04/140120260212557527.pdf 市場母集団は観光庁の2025年出国日本人約1,473万人、訪日外客約4,268万人を参照した。ルーターの海外利用177万件÷出国者1,473万人は約12%だが、端末レンタル市場のシェアではない。https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shutsunyukokushasu.html
World eSIM等の電子SIM
スマートフォンに直接設定する旅行者向けデータ通信。受渡し物流は小さいが契約変更が容易で、海外ローミングや独立系eSIM事業者と価格を競う。
| 数量年間eSIM販売件数(万件) | 価格1販売当たり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 47.5 | 0.23 | 11 | −2 |
| 10 年後 中立 | 175 | 0.21 | 36 | 4 |
取り方:会社の2025年eSIM販売件数47.5万件、四半期売上高合計約10.967億円から単価約2,309円を計算した。2026年前半は販売約30.4万件・売上約6.9億円で数量増勢を確認。2025年のeSIM単独営業利益は会社非開示のため、先行投資局面を考慮して推計赤字1.50億円とし、レンタル側と合計すれば正式なWiFiセグメント利益63.51億円に一致する。接続契約の販売はAI人月・席課金と異なるためAIエージェント代替の定型縮小率は当てない。ただし端末レンタルに対する強い技術的代替であり、価格は物価より弱くなる。
法人向け通信回線・OA機器等
新設法人と既存中小企業への携帯・光回線の取り次ぎ、複合機、電話設備、エネルギー、オフィス施工、継続サービスなど。多くは機器・回線と営業販売の収益である。
| 数量年間稼働する法人取引先相当数(万社、複数商品・反復購入を一社へ統合した推計) | 価格法人一社相当当たり年間売上(万円、名目、機器一括販売と継続手数料を平均) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.0 | 12 | 147 | 20 |
| 10 年後 中立 | 15.8 | 16 | 253 | 39 |
取り方:公表の情報通信サービス事業売上164.06億円からAI型の記帳代行・ウェブ制作等への推計配賦17.06億円を除いた147.0億円を採用。累計40万社の導入実績は現役社数でない。稼働取引先を約12万社(累計の3割)と仮定し、複合機等の一括販売・回線手数料・継続売上を含む一社年間売上12.25万円と逆算した。これは開示契約社数ではなく数量推計。中小企業336万社に対して稼働基盤は約3.6%、2025年新設法人15万6,525社(帝国データバンク)は新規獲得機会の母集団。営業利益19.76億円はAI型部門の仮定赤字2.30億円を戻し、情報通信の正式利益17.46億円に一致させた配賦推計である。通信回線・実物機器はAI人月型の対象外だが、電子契約等の席課金や事務代行は次のAI型へ入れた。統計:https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260518-shinsetsu25y/
記帳代行・ウェブ制作・SNS運用等
経理BPO、ホームページ・ロゴ制作、SNSの制作と運用、画面操作中心の業務サービスを集約した分析用内訳。人月・工数売り、広告運用と一部席課金型でありAIエージェント代替の対象となる。
| 数量年間記帳・制作・運用の業務受託契約相当数(万件、推計) | 価格案件一件当たり年間売上(万円、名目、月額型は年額化) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.2 | 85 | 17 | −2 |
| 10 年後 中立 | 0.1 | 92 | 12 | 0 |
取り方:会社は記帳代行・ウェブ制作等の個別売上を公表していない。情報通信164.06億円の約10.4%、17.06億円を仮配賦し、年間約2,000件の記帳継続案件・ウェブ制作/運用案件相当、平均年額85.3万円とした。2026年経営者説明では記帳BPOを導入約1,000社から開始したとの説明があり、独立黒字化は将来見込みで売上実績額は開示していない。赤字2.30億円も販促・AI-OCR先行投資を想定した内部分析用配賦であり公表セグメント数字ではない。AIエージェント代替:人月・制作運用・席型に該当。中立数量は0.65倍、価格は1.08倍、長期gは当部分だけ名目0%とする。記録の正本型に必要な低解約率、法対応値上げなど2種類の実証がないため保護された型にはしない。サービス:https://www.vision-net.co.jp/solution/information.html
グランピング・旅行手配
山中湖・霧島などの宿泊と旅行手配。2026年買収したフリープラスの訪日旅行手配、2027年予定の淡路島施設も将来件数へ織り込む。
| 数量宿泊室泊数と旅行手配の年間利用案件換算(万件、分析上の推計) | 価格宿泊・旅行手配の一案件当たり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.0 | 7.94 | 16 | 2 |
| 10 年後 中立 | 4.4 | 10 | 45 | 6 |
取り方:会社は山中湖・こしかの温泉の室泊数と旅行手配案件数を統合して開示していない。公表セグメント売上15.88億円を出発点として、年間2万件相当(例:複数施設の合計室泊約8千件×10万円前後、旅行手配約1.2万件×6.5万円前後)と平均7.94万円を推計。宿泊客と旅行手配の正味売上は会計上の表示が異なり得るため、厳密な販売件数・平均単価としては扱わない。2026年取得のフリープラスの2025年売上約9.1億円はこの起点に含めず、2035年の追加件数に反映。観光は現場と実物の宿泊が中心でAIエージェント代替の直接型の対象外、予約事務の合理化のみ利益率に入れる。
リスクと懸念
eSIMと海外ローミングによるルーターの技術代替
旅行者がスマートフォンに電子SIMを入れる方法は、受取・返却・充電の手間をなくす。Airalo、Holafly、通信各社の海外ローミングとの違いが小さくなれば、海外用ルーターレンタルで首位でも、接続市場の顧客は流出する。World eSIMで契約を取り返せても、一件単価と利益が端末貸出しを下回れば売上だけが入れ替わる。特に個人客の利用件数とeSIM単価の両方を監視する必要がある。
回線仕入れ・法人販売の価格決定力の限界
独自の国際携帯通信網を所有せず、海外回線を現地事業者から仕入れている。現地の卸価格や通信規制が変わると採算が揺れる。国内の法人携帯・光回線・複合機も大手通信会社、OA機器メーカー、大塚商会などと比較される。顧客の一括管理の便利さは強みだが、独占料金を取れる仕組みではなく、メーカーが直接販売を広げれば営業手数料率を削られる。
渡航停滞と施設の固定費
2020年には世界的な移動制限で営業利益がほぼ消え、最終赤字となった。今後も円安、航空運賃、感染症、地政学上の渡航制限によって利用件数は急減しうる。空港受渡窓口、カスタマーセンター、通信端末の償却、グランピング施設の人件費と修繕費は利用者が減ってもすぐには減らせない。資産の新設と更新に投入した資金は取り戻せないため、単純な利益率予測より現金損失が深くなる。
AIエージェント代替
記帳代行は領収書の読み込み、仕訳、照合まで自動化され、ウェブ制作やSNSの運用・広告制作もAIエージェントが代行する。人月・工数、席課金、画面操作に対する料金には恒久的な縮小圧力がかかる。規制対応・低解約率・独自データなど二つ以上の堀の証拠がないため、これらを記録の正本型の安全なソフト事業とは扱わない。中心シナリオでは受託数量を現在の65%とし、その後の名目成長も当部分は0%と見ている。
買収と観光事業の資本配分
フリープラスとアイウィッシュ賃貸保証は従来の端末レンタルと顧客の一部を共有する一方、旅行手配や家賃保証には異なる信用・審査・人員管理が必要になる。取得価格に見合う利益を上げられなければ、累積利益が増えてもROICは下がる。淡路島の施設建設も稼働が計画に届かなければ、減価償却より大きい維持更新費が現金を使う。新リース会計で負債が見えるようになっても、支払義務そのものは変わらない。
高い収益目標と株主還元の両立
2028年の売上目標は改定時に下げられたが、営業利益100億円は維持された。20%の利益率は未達の目標であり、達成前から十年先の平常値と考えると過大評価になる。配当性向50%またはDOE8%という方針も2028年までの特例で、通常方針は30~40%だ。買収機会があれば89億円の成長投資枠は自社株買いに回らない。利益率と現金配分を別々に点検する必要がある。
報告上のROE・純現金と株数の読み違い
自己資本比率は高く純現金を保有するが、2028年までに約100億円の戦略資金を確保する方針がある。少数株主は現金の即時払戻しを決められない。さらに2026年中間期の自社株買いは実行済みで、2025年末の現金残高と中間期の株数・自己株式の時点が異なる。分析では添付の基準株数と財務の数字を正とし、実行済みの買付金額を将来還元へ重ねず、次回開示の株数との照合を重要な条件とする。
今後の分かれ目
- 年間Wi-Fiレンタル件数が200万件を下回り、同時にWorld eSIMの粗利益が端末事業の減益を埋めなければ
- 中立のルーター件数220万件とeSIM成長の前提を下げ、やや悲観の確率を高める。会社全体の販売件数より通信一注文当たりの利益額を重視する。
- 法人の一括請求登録社数と「for Biz」の継続契約が増え、顧客当たり継続売上も上昇し続ければ
- 法人通信の稼働契約数と単価を引き上げる。明確な解約率と継続顧客別の粗利益が開示されれば、営業基盤の堀に対する評価も上げられる。
- 2028年に営業利益100億円、ROE20%超を実際に達成し、その後も利益率が低下しなければ
- 中心的な営業利益率16%台という慎重さを見直し、法人営業の生産性上昇が継続するという楽観側を厚くする。ただし施設投資と買収費の控除後の現金も確認する。
- World eSIMの販売件数は増えても、平均販売単価が急落し販促費率が上がれば
- eSIMの価格・利益率を下げ、ルーターレンタルからの置換が株主利益を増やさないという悲観側へ移す。数量の伸びだけでは増分利益を推定しない。
- 記帳BPO・ウェブ制作で人員を増やさずに売上総利益を維持した実績が出れば
- AIエージェント代替部分の利益率を引き上げる。ただし人月型から成果報酬型への実際の転換金額や解約率の開示がない限り、数量縮小の前提と長期g0%を緩めない。
- フリープラス・アイウィッシュと新グランピング施設の取得後ROICが資本コストを下回る状態が続けば
- 観光と周辺事業の将来数量を引き下げ、買収に回す余剰資金の価値を保守的に扱う。のれんと固定費の減損、将来の設備更新必要額を確認する。
- 2028年以降も増配と消却を伴う自社株買いが継続し、追加買収額を上回れば
- 株主への戻り方1.0の判断を確認し、10年の還元合計を増やす。逆に買収が継続して自己資本だけが増えROEが下がる場合は累積還元の見込みを下げる。
見ておくもの
- 海外用・国内用Wi-Fiルーターレンタル年間利用件数と法人比率(2025年約272万件)
- World eSIMの年間販売件数・売上単価・販促費控除後の利益(2025年約47.5万件)
- グローバルWiFi法人一括請求の登録社数、for Biz継続契約数と解約率
- 情報通信サービスの継続収益・法人クロスセル率、メーカーからの販売手数料率
- 記帳代行・ウェブ制作の受託契約数と売上・粗利益、人員当たり生産性
- 中計2028年の売上500億円・営業利益100億円・ROE23.9%への進捗
- 宿泊施設の稼働率、フリープラスおよびアイウィッシュ取得後のROIC
- 配当性向50%またはDOE8%の継続、株式消却、買収に使う89億円の配分
- 現預金約100億円の戦略バッファ、2028年リース会計適用後の固定費、設備償却と更新投資
倍率と資本コストの決め方
今の株価や過去・同業のPERを将来倍率の出発点にしていない。2025年の会社開示を起点として、ルーター272万件とeSIM47.5万件を直接採用した。法人・記帳・観光の数量は未開示を明記した推計であり、物価年3%は数量でなく名目単価のみに反映した。ドル円は150円、無リスク金利は3%、株式の資本コストは7.25%で固定した。
本社調整費用は2025年の約18.1億円から、物価・賃金の上昇後に中立2035年約25億円へ増やした。2025年の償却費約7.5億円は既存端末の取得原価が基準であり、そのまま1.34倍にはしない。レンタル端末は約2年で償却するため買替えの取得価格が上がること、観光施設の建設分が追加されることを勘案し、2035年の概算償却費は10億円前後と見ている。更新支出が償却を上回れば、現金還元能力を圧迫する。
中立の純利益は営業利益の約69%で、過去の純利益/営業利益中央値65%から大きく外れない。金利2%の現金運用による税後収益も想定した。10年後に蓄積される余剰現金を、必要な事業資本と分けた。中立では初期余剰15.7億円に将来の未分配利益を足し、営業基盤に必要な追加運転資本や観光施設・買収に備える資本を差し引いた250億円を認識する。税後利息1.4%を事業純利益から引き、現金は一度だけ時価総額に足した。ルーターと事務BPOの縮小は数量と成長率に反映し、資本コストの寿命項目で重複させない。
悲観では営業赤字につき直近の自己資本へのPBRと清算可能額140億円を照合し、2035年まで積み上がる帳簿自己資本を床とはしない。2028年以後に新リース基準で賃借資産・負債の表示が変わっても、十年先の営業利益は現行の家賃費用控除後でそろえた。基準株数は添付の2026年6月末の数値を優先し、自己株式の計数差があれば後日要照合とした。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を合計し、企業の質の調整−0.25%を加えて7.25%とした。株価のベータと規模は使わない。