結論
ミッド・アメリカ・アパートメント・コミュニティーズ(MAA)は、米国南東部・南部の「サンベルト」で約 10.5 万戸(2026 年 6 月、工事中・賃貸開始中を含む)の集合住宅を持つ最大手の上場 REIT。2025 年の売上は 22.1 億ドル、コア FFO(純利益に減価償却を足し戻した REIT の利益)は 10.5 億ドル。2026 年は同一物件の売上が +0.1%、費用が +1.75% で、NOI は −0.9%(見通しの中央値)、コア FFO は約 10.2 億ドルの見通し。
事業の質は高い。入居者の回転率は 39.6% と過去最低で、賃料は所得の 18% にとどまり、滞納は 0.3%。借金は 56.9 億ドル・平均金利 3.9%・純負債/EBITDAre 4.5 倍で、格付けは A3/A-/A-。弱いのは足元の賃料で、2026 年 4〜6 月期の新規契約は −5.3%、更新は +5.2%、混合で +0.7%。2024 年の 69.6 万戸をピークに全米の新築の引き渡しは減り(2026 年は約 42 万戸)、2027 年はさらに約 24% 減る見込みだが、サンベルトは移住の減速が重なり、山の越え方に幅がある。
バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8% + quality +0.5% = 8.5%。筆者が数えるのは AFFO、つまりコア FFO から維持の設備投資を引いた株主の手に残る利益で、2025 年は GAAP 4.43 + 償却ほか 6.17 − 売却益 0.72 + 少数株主 0.10 + 一過性 0.50 = コア FFO 10.48、− 経常の設備投資 1.35 = 約 9.1 億ドル。今の時価総額はその約 15 倍。倍率は AFFO に利益ベースの正当化 PER(RONIC の式)を当てる。10 年後の中立は ROE 20.1%(維持の設備投資を引いた利益で測る)で、正当化 PER は 16.0 倍。中立は上限の 7.3 割の 11.8 倍に置いた(1÷k は 11.8 倍)。AFFO に替えた結果、割り引いた価値は総合で今の時価総額を約 20% 下回る。供給の山が長引く筋書きを 3 割強の確率で置いた値。判定は「やや割高」。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。人は住む場所を必要とし、サンベルトには雇用と土地と人口の流入が残る。堀は規模・分散・A 格の財務・運営で、ブランドや価格を決める力ではない。今より強くなるというより、供給の山を越えた後に、同じ位置で稼ぐ事業。
オーナー利益は、コア FFO から維持の設備投資を引いた AFFO で見る。2025 年は約 9.1 億ドル、2026 年の見通しでは約 8.9 億ドル(コア FFO 10.2 − 維持 1.2)。配当が約 7.3 億ドルで、残りの約 1.6 億ドルが自社株買いと改修に回る。改修は現金利回り約 25% と高いが小さい(年 約 1 億ドル)。新築の目標利回り 6.25〜6.5% は資本コスト 8.5% を下回り、売却価値(キャップレート 5% 台)との差で価値をつくるという説明。この差は、金利が高い世界では縮みやすい。
資本配分は評価できる。借入を抑え(4.5 倍)、売却と自社株買いを同時に行い、2026 年の開発は将来の NOI 0.70〜0.75 億ドルを見込む。ただし NOI の伸びは、賃料(物価並みを期待)と費用(税・保険)の差で決まり、借換えで利払いが 10 年で 0.8 億ドル増える分が重い。
安全域は、AFFO で見た式の価値が今の値段より 1 割ほど低く、無い。予測のしやすさは中程度で、賃料の読みは新築の供給と移住、金利に左右される。サンベルトの供給の山の裾(供給の落ち込みと需要の減速のどちらが先か)が、結論を分ける。
何で稼ぐ会社か
収益のほぼ全部が集合住宅の賃料と付帯収入(駐車・ペット・ごみ収集・光回線など)。契約は 1 年が中心で、更新と入れ替えのたびに賃料が市場へ動く。2026 年 4〜6 月期は、新規契約 −5.3%(前期は −7.0%)、更新 +5.2%、混合 +0.7%。平均実効賃料は 1 戸あたり月 1,688 ドル、稼働は 95.3%。7 月以降は更新の賃料が +5% 台で固まり、8〜9 月の新規は前年より 0.7〜0.8 ポイント以上よい。
市場は大きく三つに分けて置く。第一は新築供給の山が重い市場(オーランド 7.4%・タンパ 7.1%・シャーロット 6.2%・オースティン 5.3%・ローリー/ダーラム 5.1%・ナッシュビル 4.7%・フェニックス 3.9% など。数字は NOI に占める割合で、合計は約 4 割)。シャーロットでは一部の間取りで 8〜10 週間の賃料無料が出ている。第二は大型の主力市場(アトランタ 12.0%・ダラス 9.0%・ヒューストン 3.9% など、約 4 割弱)で、アトランタとダラスの混合賃料は前年を上回った。第三は東部・内陸の中堅市場(ワシントン DC・バージニア・サウスカロライナ・ジャクソンビル・メンフィスなど、約 2 割強)で、2026 年は最も堅い。市場の割り振りは上位 10 市場の公表値と、残りは推定。
収益の外側に、内装改修(2026 年上期に約 3,500 戸、1 戸 約 5,130 ドルで月 約 110 ドルの賃料上乗せ、現金利回り約 25%)、共用部の改修、光回線の導入(28 物件、売上は四半期 0.85 百万ドルへ)、新築の開発(工事中 1,749 戸・総額 6.0 億ドル)がある。費用の中心は固定資産税・保険・人件費で、2026 年は税の再評価と保険料の下落(7 月の更新で −12%)で費用の伸びが +1.75% に収まっている。
優良さと弱いところ
堀は中くらい。一つ目は規模と分散:約 10.5 万戸を南東部・南部の 30 近い都市に分け、一つの市場の供給や景気の悪化が全体に響きにくい。二つ目は財務:純負債/EBITDAre 4.5 倍、無担保債が負債の 94%、格付け A 格は、同じ領域の ESS(BBB+)や INVH(BBB 格)より高く、供給の山で借換えができなくなる心配はほぼない。三つ目は運営の力で、回転率が過去最低(39.6%)で、管理できる費用を抑えている。
資本配分は手堅い。新築の目標利回りは 6.25〜6.5%、売却は 6% 台半ば〜後半の古い物件、取得は 4% 台半ば〜後半の新しめの物件と、資産を入れ替えながら自社株買いと 3〜4 億ドルの開発を回す。配当は 128 四半期連続で払われ、コア FFO の 73.6%。
弱い所もある。第一に、価格を決める力は強くない。新規契約は競合の新築の賃料無料に押され、更新の +5% で穴を埋めているだけで、混合は +0.7% にとどまる。第二に、サンベルトは参入の障壁が低い。土地が広く、供給は金利が下がれば素早く戻る。第三に、固定資産税・保険は自社で決められず、2027 年の費用は「同程度かやや高い」と会社が見ている。第四に、価格付けソフトを使う業界の慣行は独占禁止の訴訟の論点(同業の ESS は 2026 年 4〜6 月期に 5,580 万ドルの和解費用を計上した。MAA の関与は確認できていない)。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
サンベルトの集合住宅は、2020〜22 年の賃料の急騰(2021〜24 年で約 3 割)に誘われて着工が急増し、2024 年に全米の引き渡しが 69.6 万戸のピークをつけた(CoStar)。2025 年は 53.1 万戸、2026 年は約 42.1 万戸、2027 年はさらに約 24% 減る。着工は 2022 年のピークの約 75% 下で、工事中の戸数は 2016 年の水準まで縮んだ(Marcus & Millichap)。山は越えつつあるが、業界の予想は後ろへずれてきた。Yardi は、供給の重い市場の賃料が前年を上回る時期の見通しを 2026 年末から 2027 年末へずらし、全米の募集賃料の伸びを 2026 年 +0.5%・2027 年 +1.0%・2028 年 +2.3% と置く。
需要側の不安が重なる。フロリダへの州間の純流入は 2022 年の 31.4 万人から約 6.4 万人へ、テキサスは 2024 年に前年比 −44% の約 7.6 万人、アトランタは純流出に転じ、サンベルトへの移民の到着は 2025 年に 35.8 万人と 2018 年以来の低さ。一方、MAA は 4〜6 月期に新規入居者のうち他州からが 10% から 13% へ上がり、吸収は新築の引き渡しの 1.8 倍と報告している。オースティンは混合賃料が前年より 3 ポイント改善し、サンアントニオ(吸収/引き渡し 1.7 倍)が先頭、フェニックス・シャーロット・ローリー・ナッシュビルが遅れている。
数量と価格で置くと、数量は戸数 × 稼働(95% 前後)、価格は 1 戸あたりの賃料。競合は、グレイスター(Greystar、非上場の最大手)、カムデン(Camden、CPT。同じサンベルトの上場の同業。2026 年の NOI 見通しは約 −0.5% と業界ノートにある)、UDR、アパートを買う私募ファンドと個人資産家。沿岸は供給が少なく、ESS の同一物件 NOI は 2026 年 4〜6 月期に +2.6%。サンベルトでは 2028 年に最も逼迫する市場(フェニックス・シャーロット・フォートワース・オースティン)が出るとの予想もある。
資本政策と M&A
還元は配当が年 7 億ドル台(コア FFO の約 74%)、自社株買いは 2025 年 0.27 億ドル、2026 年は 6 月までに 94 万株・1.23 億ドル。経営陣は、株の値が資産の価値より安いとき、売却の代金を自社株買いに回す方針で、売却の代金はおおむね自社株買いの資金に見合うと説明する。2026 年の売却は約 2.5 億ドル、開発は 3〜4 億ドル、改修は約 1 億ドルの見通し。
借金は 56.9 億ドルで金利は 3.9%(87% が固定)。2026 年 9 月に金利 1.2% の社債 3 億ドルが満期で、手形(CP)約 6.6 億ドルは 3.5 億ドルの期限付き借入(うち 1 億ドル実行)と売却の代金で当てる。2027〜2035 年に毎年 3〜6 億ドルの社債が満期になり、2031 年の分は金利 1.8% で、新しい金利は今の水準なら 5.5% 前後(10 年国債 5% + A 格の上乗せ 0.5%)。10 年で全額が替わり、これだけで FFO を 0.8 億ドル(今の約 8%)削る。
M&A は、2013 年のコロニアル・プロパティーズ(Colonial Properties Trust)との合併で今の規模ができた。その後は買収より新築・改修・資産の入れ替えが中心。業界ノートによれば、サンベルトの同業の統合や非公開化が 2025〜26 年に話題になったが、MAA について確かな話は確認できていない。OP ユニット(運営会社の持ち分)は 2025 年末に 294 万口(全体の 2.5%)。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
新築の引き渡しは 2024 年の 69.6 万戸から 2026 年は約 42 万戸、2027 年はさらに 24% 減り、着工はピークの約 75% 下に落ちた。2026 年上期の吸収は新築の 1.8 倍で、新規入居者のうち他州からの割合は 10% から 13% へ上がった。賃料の下落は小さくなり、新規契約は −7.0% から −5.3% へ、混合は −0.3% から +0.7% へ改善している。オースティンは混合賃料が前年より 3 ポイント良く、オーランドは 1.3 ポイント良い。更新は +5% 台で、8〜9 月の新規は前年より 0.7〜0.8 ポイント以上高い。
費用は税の再評価と保険料の 12% 下落で +1.75% に収まり、新規が戻れば NOI は一気に動く。住宅ローン金利が高く、持ち家への転出は 10.9% に留まる。賃料は所得の 18% で上げ余地がある。サンベルトは土地が広く住宅が高い沿岸より安く、企業の移転も続く。2028 年にはフェニックス・シャーロット・オースティンなどで過去数年で最も逼迫するとの予想もある。
借金は A 格で純負債 4.5 倍と軽く、2027 年以降の借換えも負担できる。開発のリースアップが進めば NOI が 0.70〜0.75 億ドル増える。この全部が効けば、賃料は 2029 年から年 4〜5% で伸び、AFFO は 10 年で 1.6 倍近くになり、倍率は 15 倍台(正当化 PER の 9.2 割)まで上がる。
慎重な見方
2026 年の同一物件の NOI は −0.9%(見通しの中央値)で、売上の見通しは年初の +0.55% から +0.1% へ下がった。新規契約は 1〜3 月期 −7.0%、4〜6 月期 −5.3% と深く、更新の +5% は新規の弱さを埋めるだけで、混合は +0.7%。フェニックス・シャーロット・ローリー・ナッシュビル・サバンナは供給が重く、シャーロットは 8〜10 週間の賃料無料が出ている。Yardi は、供給の重い市場で賃料が前年を上回る時期を 2026 年末から 2027 年末へ延ばした。
需要は強くない。フロリダの州間の純流入は 2022 年の 31.4 万人から約 6.4 万人へ、テキサスは 1 年で 44% 減り、アトランタは純流出に転じ、移民の到着は 2018 年以来の低さ。供給が減っても、需要が先にやせれば山は続く。費用の下落(税の再評価・保険の −12%)は 1 回限りで、会社も 2027 年は「同程度かやや高い」と見る。
借換えは、1.2%(2026 年)、1.8%(2031 年)の社債が 5.5% へ替わり、10 年で FFO を 0.8 億ドル削る。新築の利回り 6.25〜6.5% は資本コスト 8.5% を下回り、売却のキャップレート 6% 台半ば〜後半との差も薄い。賃料が物価に負け続ければ、NOI 率は 60% から 54% へ下がり、AFFO は 10 年後も今を下回る水準にとどまる。2008〜09 年は価格が 53% 下がった。景気後退が供給の山と重なれば、稼働と賃料の両方が崩れる。
どちらに重みを置いたか
サンベルトは新築の山を越えつつあり、2027 年の供給減は確かな材料。ただし、需要の側(移住・雇用)が弱まっている点で、供給の落ち込みが賃料に効く時期は後ろへずれてきた。慎重な側の根拠は、4〜6 月期の新規契約(−5.3%)や Yardi の見通し修正と、数字で確認できる。強気な側は、2027〜28 年の賃料の戻りで、これはまだ予想。
確率は、中立を中心にした。山が長引く側(やや悲観・悲観)の合計は 33%。ESS(32%)、INVH(32%)よりわずかに厚く、サンベルトが山の真ん中にいることを反映した。利益は FFO から AFFO(維持の設備投資を引いた後)に揃えたので、中立の 10 年は AFFO 11.2 億ドル × 11.8 倍 = 132 億ドル。総合は今の時価総額に対し -20%(資本コスト 8.5%)で、判定は「やや割高」。逆に楽観・やや楽観の合計は 31%(ESS は 34%)。高い格付けと軽い負債で倒産に遠く、悲観の確率は 12% に抑えた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 101.57 ドル121 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 72.06 ドル86 億ドル)。 今の値に割り戻すと 92.85 ドル110 億ドル、今との差 −21.1%、 期待の年率 +4.0%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 171.01 ドル203 億ドル | 92.74 ドル110 億ドル | +124.1% | +8.4% | 23.74 ドル28 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 123.59 ドル147 億ドル | 82.81 ドル99 億ドル | +75.4% | +5.8% | 45.41 ドル54 億ドル |
| 中立 | 36% | 110.73 ドル132 億ドル | 75.00 ドル89 億ドル | +57.8% | +4.7% | 66.86 ドル80 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 70.20 ドル84 億ドル | 61.12 ドル73 億ドル | +11.6% | +1.1% | 27.58 ドル33 億ドル |
| 悲観 | 12% | 36.57 ドル44 億ドル | 47.17 ドル56 億ドル | −28.8% | −3.3% | 10.05 ドル12 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 101.57 ドル121 億ドル | 72.06 ドル86 億ドル | +47.5% | +4.0% | 173.63 ドル207 億ドル |
今の株価時価総額 117.68 ドル140 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 9% 楽観:供給が枯れ移住が戻り、賃料が年 4〜5% で伸びる 利益 15 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 171.01 ドル203 億ドル
供給の山は 2027 年に終わり、フロリダ・テキサス・ジョージアの州間の流入が戻り、賃料は 2029 年から年 4〜5%。10 年で山の中心 +50%・大型主力 +48%・東部 +48%。費用は年 3.5% で、NOI 率は 61% から 64% へ上がる。売上 36.6 億ドル・NOI 23.4 億ドル・FFO 約 16.7 億ドル(2026 年の 1.65 倍)。開発は約 10 億ドルの規模へ育ち、戸数は年 1% 増。借換えで利払いは 4.8 億ドル。10 年の還元は約 110 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 57 億ドル(FFO の累計 128 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 71 億ドルを引く)。 オーナー利益(AFFO)は約 15 億ドル(FFO 約 17 億ドルから、維持の支出・賃料の平準化などの差 約 2.1 億ドルを引く)。 g 4.0%・ROE 26.3%・k 8.50% の式(正当化 PER 17.1 倍)の 8.1 割にあたる 13.93 倍を利益に掛けて、時価総額は約 203 億ドル。
- 供給の山が重い市場(オーランド・タンパ・シャーロット・オースティン・ローリー・ナッシュビル・フェニックスなど):数量 45.6(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 32(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 15 億ドル・営業利益 6 億ドル。賃料 +50%、戸数 +11%
- 大型の主力市場(アトランタ・ダラス・ヒューストン・その他テキサスなど):数量 44.5(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 30(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 13 億ドル・営業利益 5 億ドル。賃料 +48%、戸数 +11%
- 東部・内陸の中堅市場(ワシントン DC・バージニア・サウスカロライナ・ジャクソンビル・メンフィスなど):数量 26.7(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 31(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 8 億ドル・営業利益 3 億ドル。賃料 +48%、戸数 +11%
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 -1.0 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE (負・計算不能) は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 14.6 + 借入金利 5.75% × 純負債 54)÷(今の自己資本 57 + 純負債 54)= 16.0%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 26.3%。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.4%、正当化 PER は 17.1 倍。 上限は利益 14.6 × 17.1 倍 = 250 億ドル。置いた 13.93 倍は上限の 8.1 割。
確率:供給が 2027 年に枯れ、移住が戻り、賃料が年 4〜5% で伸びる確率を 9% に置く。ESS(12%)より低いのは、サンベルトは土地が広く、供給が戻りやすいため。
やや楽観 22% やや楽観:山を 2028 年までに越え、賃料が物価をやや上回る 利益 13 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 123.59 ドル147 億ドル
サンベルトの供給の山を 2028 年までに越える。着工が 2022 年のピークの 75% 下まで落ちた効果が 2027 年から出て、山の中心市場の新規契約も 0 近辺へ戻り、賃料は 2029 年から年 4% 台。10 年で山の中心 +40%・大型主力 +40%・東部 +41%。費用は年 3.5% で NOI 率は 62% へ。売上 33.4 億ドル・NOI 20.6 億ドル・FFO 約 14.6 億ドル。戸数は年 0.7% 増。借換えで利払いは 4.2 億ドル。10 年の還元は約 99 億ドル。更新の +5% 台と内装改修(現金利回り約 25%)が効き、運営の差で費用の伸びを賃料の伸びの下に抑える。 10 年の純利益の累計は約 48 億ドル(FFO の累計 119 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 71 億ドルを引く)。 オーナー利益(AFFO)は約 12 億ドル(FFO 約 15 億ドルから、維持の支出・賃料の平準化などの差 約 2.1 億ドルを引く)。 g 4.0%・ROE 22.5%・k 8.50% の式(正当化 PER 16.5 倍)の 7.1 割にあたる 11.76 倍を利益に掛けて、時価総額は約 147 億ドル。
- 供給の山が重い市場(オーランド・タンパ・シャーロット・オースティン・ローリー・ナッシュビル・フェニックスなど):数量 44.3(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 30(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 13 億ドル・営業利益 4 億ドル。賃料 +40%、戸数 +8%
- 大型の主力市場(アトランタ・ダラス・ヒューストン・その他テキサスなど):数量 43.2(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 29(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。賃料 +40%、戸数 +8%
- 東部・内陸の中堅市場(ワシントン DC・バージニア・サウスカロライナ・ジャクソンビル・メンフィスなど):数量 25.9(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 30(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 8 億ドル・営業利益 3 億ドル。賃料 +41%、戸数 +8%
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 1.2 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE 1042% は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 12.5 + 借入金利 5.75% × 純負債 54)÷(今の自己資本 57 + 純負債 54)= 14.1%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 22.5%。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 15.5%、正当化 PER は 16.5 倍。 上限は利益 12.5 × 16.5 倍 = 206 億ドル。置いた 11.76 倍は上限の 7.1 割。 EV でも見た:(時価総額 147 + 純有利子負債 54)÷ 営業利益 10 = 20 倍と高く出るのは、REIT の営業利益が減価償却後で小さいため。利払い前のオーナー利益(利益 12.5 + 借入金利 5.75% × 純負債)15.6 で割ると 12.9 倍で、利益の倍率で出した値と食い違わない。
確率:山の中心市場の吸収が進み、2028 年までに越える。ESS・INVH と同じ 22%。
中立 36% 中立:山を 2029 年までに越え、賃料は物価をやや下回る伸び 利益 11 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 110.73 ドル132 億ドル
山を 2029 年までに越え、賃料は 2029 年から年 3.5〜3.7%。10 年で山の中心 +32%・大型主力 +34%・東部 +35%(物価の 1.41 倍より低いのは、前半の 3 年で賃料が約 5% しか伸びないため)。費用は年 3.5% で NOI 率は 60% のまま。売上 31.1 億ドル・NOI 18.6 億ドル・FFO 約 13.2 億ドル(年 2.7%)。戸数は年 0.4% 増。借換えで平均金利は 3.9% から 5.2% 前後になり、利払いは 3.6 億ドル(今の約 1.7 倍)。10 年の還元は約 89 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 41 億ドル(FFO の累計 112 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 71 億ドルを引く)。 オーナー利益(AFFO)は約 11 億ドル(FFO 約 13 億ドルから、維持の支出・賃料の平準化などの差 約 2.0 億ドルを引く)。 g 4.0%・ROE 20.1%・k 8.50% の式(正当化 PER 16.0 倍)の 7.3 割にあたる 11.76 倍を利益に掛けて、時価総額は約 132 億ドル。
- 供給の山が重い市場(オーランド・タンパ・シャーロット・オースティン・ローリー・ナッシュビル・フェニックスなど):数量 43.2(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 28(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。賃料 +32%、戸数 +5%
- 大型の主力市場(アトランタ・ダラス・ヒューストン・その他テキサスなど):数量 42.2(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 27(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。賃料 +34%、戸数 +5%
- 東部・内陸の中堅市場(ワシントン DC・バージニア・サウスカロライナ・ジャクソンビル・メンフィスなど):数量 25.3(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 29(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 7 億ドル・営業利益 2 億ドル。賃料 +35%、戸数 +5%
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 4.0 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE 280% は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 11.2 + 借入金利 5.75% × 純負債 54)÷(今の自己資本 57 + 純負債 54)= 12.9%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 20.1%。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.3%、正当化 PER は 16.0 倍。 上限は利益 11.2 × 16.0 倍 = 179 億ドル。置いた 11.76 倍は上限の 7.3 割。 EV でも見た:(時価総額 132 + 純有利子負債 54)÷ 営業利益 8 = 23 倍と高く出るのは、REIT の営業利益が減価償却後で小さいため。利払い前のオーナー利益(利益 11.2 + 借入金利 5.75% × 純負債)14.3 で割ると 13.0 倍で、利益の倍率で出した値と食い違わない。
確率:山を 2029 年までに越え、賃料は物価をやや下回る伸び(中立の山の中心市場は 10 年で 1.32 倍、物価は 1.41 倍)。業界ノートの中立に沿う。36%。
やや悲観 21% やや悲観:山の裾が長く移住が細り、賃料が物価に負ける 利益 8 億ドル · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 70.20 ドル84 億ドル
供給の山の裾が 2029〜30 年まで長く、移住も細る。賃料は 10 年で山の中心 +14%・大型主力 +21%・東部 +26%、費用は年 3.9% で NOI 率が 60% から 54% へ下がる。売上 25.5 億ドル・NOI 13.7 億ドル・FFO は約 9.4 億ドルで、2026 年の水準を下回る。新築は止め、古い物件の売却で戸数は 3% 減り、純負債を約 48 億ドルへ下げる。借換えは 5.75%。10 年の還元は約 73 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 22 億ドル(FFO の累計 93 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 71 億ドルを引く)。 オーナー利益(AFFO)は約 8 億ドル(FFO 約 9 億ドルから、維持の支出・賃料の平準化などの差 約 1.8 億ドルを引く)。 g 4.0%・ROE 13.6%・k 8.50% の式(正当化 PER 14.2 倍)の 7.7 割にあたる 10.99 倍を利益に掛けて、時価総額は約 84 億ドル。
- 供給の山が重い市場(オーランド・タンパ・シャーロット・オースティン・ローリー・ナッシュビル・フェニックスなど):数量 39.6(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 25(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。賃料 +14%、戸数 -3%
- 大型の主力市場(アトランタ・ダラス・ヒューストン・その他テキサスなど):数量 38.7(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 25(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。賃料 +21%、戸数 -3%
- 東部・内陸の中堅市場(ワシントン DC・バージニア・サウスカロライナ・ジャクソンビル・メンフィスなど):数量 23.2(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 27(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル。賃料 +26%、戸数 -3%
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 2.4 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE 317% は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 7.6 + 借入金利 5.75% × 純負債 54)÷(今の自己資本 57 + 純負債 54)= 9.7%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 13.6%。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.1%、正当化 PER は 14.2 倍。 上限は利益 7.6 × 14.2 倍 = 108 億ドル。置いた 10.99 倍は上限の 7.8 割。 EV でも見た:(時価総額 84 + 純有利子負債 54)÷ 営業利益 4 = 39 倍と高く出るのは、REIT の営業利益が減価償却後で小さいため。利払い前のオーナー利益(利益 7.6 + 借入金利 5.75% × 純負債)10.7 で割ると 12.8 倍で、利益の倍率で出した値と食い違わない。
確率:山の裾が 2029〜30 年まで長く、移住も細る筋書き。山の中心市場の賃料は 10 年で 1.14 倍(中立 1.32 倍より 13% 低い)、NOI 率は 60% から 54% へ。山の中心にいるので、ESS(20%)・INVH(20%)よりわずかに厚い 21%。
悲観 12% 悲観:山が居座り景気後退と費用の急騰が重なる構造的な負け 利益 4 億ドル · PER 10.4 倍 · 株価時価総額 36.57 ドル44 億ドル
山が居座るうえに、景気後退・税と保険の急騰・家賃規制が重なる。賃料は 10 年で山の中心 -4%・大型主力 +6%・東部 +11%、費用は年 4.2% で NOI 率は 61% から 45% 台へ。売上 20.3 億ドル・NOI 9.2 億ドル・FFO 約 5.9 億ドル(2026 年の約 6 割)。約 11% の戸数を安値で売り、純負債を約 31 億ドルへ。借換えは 6.0%。10 年の還元は約 56 億ドル(前半の配当と売却の分配)。 10 年の純利益の累計は約 0 億ドル(FFO の累計 71 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 71 億ドルを引く)。 オーナー利益(AFFO)は約 4 億ドル(FFO 約 6 億ドルから、維持の支出・賃料の平準化などの差 約 1.7 億ドルを引く)。 ROE 7.4% が k 8.50% 以下なので、倍率の上限は 1÷k の 11.8 倍。その 8.8 割の 10.35 倍を利益に掛けて、時価総額は約 44 億ドル。
- 供給の山が重い市場(オーランド・タンパ・シャーロット・オースティン・ローリー・ナッシュビル・フェニックスなど):数量 36.5(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 21(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 8 億ドル・営業利益 0 億ドル。賃料 -4%、戸数 -11%
- 大型の主力市場(アトランタ・ダラス・ヒューストン・その他テキサスなど):数量 35.6(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 22(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。賃料 +6%、戸数 -11%
- 東部・内陸の中堅市場(ワシントン DC・バージニア・サウスカロライナ・ジャクソンビル・メンフィスなど):数量 21.4(賃貸戸数(千戸、平均並みに換算))× 価格 24(1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。賃料 +11%、戸数 -11%
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 -1.0 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE (負・計算不能) は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 4.2 + 借入金利 5.75% × 純負債 54)÷(今の自己資本 57 + 純負債 54)= 6.6%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 7.4%。 ROE 7.4% が k 8.50% 以下なので、PER は 1÷k = 11.8 倍まで(ためた利益は額面未満の価値)。 上限は利益 4.2 × 11.8 倍 = 49 億ドル。置いた 10.35 倍は上限の 8.8 割。
確率:山の居座りに、景気後退・費用の急騰・規制が重なる構造的な負け。山の中心市場の賃料は 10 年で 0.96 倍(中立より 27% 低い)、NOI 率 45% 台、売却で約 1 割の戸数を手放す。ただし A 格・純負債 4.5 倍で倒産には遠い。12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
供給の山が重い市場(オーランド・タンパ・シャーロット・オースティン・ローリー・ナッシュビル・フェニックスなど)
新築の引き渡しが多く、新規契約の賃料が下がっている市場。NOI の約 4 割。
| 数量賃貸戸数(千戸、平均並みに換算) | 価格1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 41.0 | 22 | 9 | 3 |
| 10 年後 中立 | 43.2 | 28 | 12 | 4 |
取り方:MAA の 2025 年の賃料などの売上 22.09 億ドルを、上位 10 市場の NOI 比(オーランド 7.4%・タンパ 7.1%・シャーロット 6.2%・オースティン 5.3%・ローリー/ダーラム 5.1%・ナッシュビル 4.7%・フェニックス 3.9% + サバンナなど約 1%、計約 40%)で按分し 8.84 億ドル。戸数は全体 約 10.5 万戸のうち推定 4.1 万戸、1 戸あたり年 2.16 万ドル(月 約 1,800 ドル)。営業利益は NOI(費用率 40.5% は推定)から減価償却を売上比で引いた値。新築の引き渡しが重く、新規契約は −5% 前後(会社全体の 4〜6 月期の値)。競合はグレイスター(Greystar)・カムデン・UDR などで、シェアで価格を決める市場ではない。
大型の主力市場(アトランタ・ダラス・ヒューストン・その他テキサスなど)
戸数が最も多く、アトランタとダラスの混合賃料は前年を上回る市場。NOI の約 4 割弱。
| 数量賃貸戸数(千戸、平均並みに換算) | 価格1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 20 | 8 | 3 |
| 10 年後 中立 | 42.2 | 27 | 12 | 4 |
取り方:アトランタ 12.0%・ダラス 9.0%・ヒューストン 3.9% に、フォートワース・サンアントニオ・カンザスシティなどの推定約 12% を足した約 37% で 8.17 億ドル。戸数は推定 4.0 万戸、1 戸あたり年 2.04 万ドル(月 約 1,700 ドル)。費用率 38.5% は推定(テキサスは固定資産税が高い)。サンアントニオ・ダラスは吸収が進み、アトランタは州間の純流出に転じた。競合はグレイスター・カムデン・UDR・私募ファンド。
東部・内陸の中堅市場(ワシントン DC・バージニア・サウスカロライナ・ジャクソンビル・メンフィスなど)
供給が軽く 2026 年は最も堅い中堅都市。NOI の約 2 割強。
| 数量賃貸戸数(千戸、平均並みに換算) | 価格1 戸あたりの年間の売上(千ドル。賃料・稼働・付帯収入込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 24.0 | 21 | 5 | 2 |
| 10 年後 中立 | 25.3 | 29 | 7 | 2 |
取り方:残りの約 23%(ワシントン DC・ノーフォーク・リッチモンド・チャールストン・グリーンビル・ジャクソンビル・メンフィス・バーミングハムなど。割り振りは推定)で 5.08 億ドル。戸数は推定 2.4 万戸、1 戸あたり年 2.12 万ドル(月 約 1,760 ドル)。費用率 37.5% は推定。会社の説明では、バージニアとサウスカロライナの市場(ノーフォーク・リッチモンド・チャールストン・グリーンビル)と DC が 2026 年の好調組。競合は地元の大家とグレイスター。
リスクと懸念
サンベルトの新築供給の山が長引く
全米の引き渡しは 2024 年の 69.6 万戸から 2026 年は約 42 万戸へ減るが、フェニックス・シャーロット・ローリー・ナッシュビル・オーランドでは山が残る。Yardi は賃料が前年を上回る時期を 2027 年末に延ばした。山の中心市場は MAA の NOI の約 4 割。やや悲観の筋書き(10 年で賃料が中立より 13% 低い)と悲観を合わせ、10 年で 3 分の 1 の確率を置いた。
移住と雇用の減速
フロリダの州間の純流入は 2022 年の 31.4 万人から約 6.4 万人へ、テキサスは 1 年で 44% 減り、アトランタは純流出。移民の到着は 2025 年に 35.8 万人と 2018 年以来の低さ。供給が減っても、需要がそれ以上に細れば賃料は戻らない。MAA は 4〜6 月期に他州からの流入が上がったと報告するが、1 四半期の動き。
借換えで利払いが増える
負債 56.9 億ドルの平均金利は 3.9%。2026 年の 1.2% の社債 3 億ドル、2031 年の 1.8% の社債 4.5 億ドルなど、低い金利の債が 5.5% 前後へ替わる。10 年で FFO を 0.8 億ドル(今の約 8%)削る。金利が下がらない世界では賃料の伸びで吸収できない年がある。2026 年の CP 約 6.6 億ドルも長期へ置き換える。
固定資産税・保険が戻る
2026 年は税の再評価と保険料(7 月の更新で −12%)で費用の伸びが +1.75% に収まったが、会社は 2027 年を「同程度かやや高い」と見る。1 回限りの下落が剝げ、費用が物価並みの 3.5% 以上に戻れば、賃料が弱い中で NOI 率が下がる。サンベルトは税の見直しが頻繁。
新築の利回りが資本コストを下回る
新築の目標利回り 6.25〜6.5%(今の案件は賃料無料で約 5%)は資本コスト 8.5% を下回り、売却のキャップレート 6% 台半ば〜後半との差も薄い。工事中 1,749 戸・6.0 億ドルと、約 10 億ドルを目標とする開発は、供給の山の最中に自社が供給を増やす面もある。賃料が弱ければ価値を壊す。
景気後退で稼働と賃料が下がる
2008〜09 年は価格が 53% 下がった(brief)。失業が増えれば稼働は 95% から 92〜93% へ、新規契約は −10% 以下へ。供給の山と重なると傷が深い。2020 年は −25%、2022 年の利上げは −32%。今の財務(4.5 倍・A 格)は耐えられるが、配当は減額しうる。
価格付けソフトの訴訟と規制
業界は価格付けソフトの独占禁止の訴訟の論点になっており、同業の ESS は 2026 年 4〜6 月期に 5,580 万ドルの和解費用を計上した。MAA の関与は確認できていない。サンベルトの州・市で家賃規制の議論が広がれば、更新の +5% の柱が揺らぐ。
今後の分かれ目
- 2027 年に新規契約が +2% を超え、混合が +3% 台に上がったら
- 10 年の中立の AFFO(約 11.2 億ドル)は 1 割ほど上へ見直す。楽観・やや楽観の確率を上げ、山が 2027 年で終わったと読む。
- 2027 年の新規契約が −5% 前後のまま、更新も +4% を割ったら
- 山が 2029 年まで居座るやや悲観の筋書きに近づく。AFFO は 10 年で 1 割減、倍率は 13 倍前後へ。確率をやや悲観・悲観へ移す。
- フロリダ・テキサス・ジョージアで州間の純流入が 2026 年も減り続けたら
- 供給が減っても賃料が戻らない。山の裾が長く、10 年のやや悲観・悲観の確率を厚くして見る。
- 10 年国債が 5% を超えて上がり、借換えが 6.5% 以上になったら
- 利払いの増加が FFO を 1.2 億ドル前後削り、k も上がる。10 年の中立の倍率 11.8 倍は、k の上昇とともに 11 倍台へ下がる。
- 2027 年の費用の伸びが +4% を超えたら
- 税・保険の下落が剝げた合図。NOI 率が 60% から 57% 台へ下がり、AFFO は 10 年で 1 割減る。
- 景気後退で失業が増え、稼働が 93% を割ったら
- 悲観に当たる。AFFO は 2 割強減り、谷の倍率 11 倍で測る。配当は減額になりうるが、A 格と 4.5 倍で存続は揺らがない。
見ておくもの
- 新規契約・更新・混合の賃料と稼働(四半期ごと。新規が −5% から 0 に近づくか)
- 全米・サンベルトの新築の引き渡し・着工・工事中の戸数(CoStar・Yardi・RealPage)
- フロリダ・テキサス・ジョージア・ノースカロライナの州間の純流入、雇用の伸び
- 同一物件の費用(固定資産税・保険)の伸びと 2027 年の見通し
- 借換えの調達金利と純負債/EBITDAre(4.5 倍)、2026 年の CP の長期化
- 開発のリースアップの利回り(約 5% が 6% へ上がるか)と新規の着工
- 売却のキャップレート(6% 台半ば〜後半)と自社株買いの実行額、同業との統合の動き
倍率と資本コストの決め方
今の P/AFFO 約 15 倍(P/コア FFO 約 13.6 倍。時価総額 138.7 億ドル)を見る前に、3 つの市場の塊の戸数 × 1 戸あたりの売上を積み、NOI から本社費・利払いを引いて FFO を出し、維持の設備投資(2025 年 1.35 億ドル、会社の実績)を引いて AFFO に揃えた。倍率は AFFO に利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)÷(k − g)(RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k))を当て、上限の 7〜10 割に置いた(k 8.5%・g 4.0%・ROE は NOI から本社費と維持の設備投資を引き物価で付け替えた投下資本で割った 4.5〜9.8%。帳簿の ROE は 300% 超で使えない)。この ROE の定義がもともと AFFO と同じなので、利益だけを FFO から AFFO に替えた(10 年の中立は正当化 PER 16.0 倍に対し 11.8 倍)。今の株価には寄せていない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%(内訳と理由は quality_why)。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。