結論
CBRE グループ(CBRE Group)は世界最大の商業不動産サービス会社。賃貸・売買の仲介と融資・鑑定・運用を行うアドバイザリー、オフィス・工場・データセンターの施設運営(ビルディング・オペレーションズ)、建設・開発の管理(プロジェクト・マネジメント。ターナー・アンド・タウンゼンドなど)、開発の 4 本で稼ぐ。2025 年の売上は 406 億ドルだが約 167 億ドルは顧客の費用の立て替え(実費転嫁)で利益はほぼ付かない。実質の稼ぎ頭は、取引で振れるアドバイザリー(セグメント利益 18 億ドル)と、景気に強い施設運営とプロジェクト管理(合計 17 億ドル)である。2026 年 4〜6 月期は売上 +16%、Core EBITDA +34% で、通期の Core 1 株利益の見通しを約 +23% へ引き上げた。
10 年後もこの事業は存在し、データセンターや工場の建設・運営で今より強い可能性が高い。ただし堀は規模と顧客との長い関係で、利益の約 5 割は金利と取引量で振れる。
バリュー投資の観点では、取得した無形資産の償却を費用として引いた「ならした純利益」は 2025 年で約 15〜16 億ドルで、今の時価総額 400 億ドルはその約 26 倍。2026 年の好調を織り込んでも 20 倍近い。倍率を利益ベースの正当化 PER の内側(10 年後の中立は 12.3 倍、資本コスト 8.5%)に置く。中立の筋書きは、10 年で時価総額 463 億ドル。10 年後は今の時価総額(400 億ドル)を上回るが、資本コスト 8.5% で 10 年割り引くと今の値段に届かない。悲観(不況の底・構造的な負け)を含めた総合は今の時価総額に対し -34% で、割高とみる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。大企業は不動産を売買・賃貸・運営するたびに外部の専門家を使い続け、CBRE は世界最大でデータも人員も厚い。堀は規模・データ・顧客との関係だが、技術の壁ではなく、人材が移れば揺らぐので、堀は「広い」とまでは言えない。
オーナー利益は、Core の利益から取得無形資産の償却(税引き後約 4 億ドル)を引いて 2025 年に約 15〜16 億ドル。FCF は 2025 年に 12 億ドルで時価総額の約 3%。10 年国債 5% より低い。2026 年は 4〜6 月期の勢いで約 20 億ドルへ伸びる見通しだが、取引の山に近いことを割り引く必要がある。
資本配分は評価できる。借金は軽く、自社株買いを年 10 億ドル続け、買収は事業の増強に使っている。ただし配当はなく、自社株買いの価格は今の高い局面では割高になりやすい。
安全域は薄い。中立の筋書きの年率は 10 年で約 4% と資本コスト 8.5% に届かず、やや楽観以上の筋書きで初めて今の値段が正当化される。取引量と金利が読めない部分が大きいので、確信度は中くらい。優良な会社だが、値段が高ければ報われない。
何で稼ぐ会社か
アドバイザリー(2025 年の売上 88 億ドル・セグメント利益 18 億ドル)は、オフィス・工場・物流施設の賃貸と売買の仲介、融資の仲介と返済管理、鑑定、そして運用資産約 1,550 億ドルの投資運用(手数料)を含む。取引量と金利に敏感で、2026 年 4〜6 月期は賃貸が +24%、売買も大きく伸びた。
ビルディング・オペレーションズ(売上 232 億ドル・利益 11 億ドル)は、顧客企業のオフィス・工場・データセンターの運営を長期で請け負い、人件費や資材を顧客に請求する。売上は大きいが利益率は 5% 弱。2025 年 11 月に買収したピアース・サービシズなどで、インフラ関連サービスは 4〜6 月期に +45% 超、約 12 億ドル、データセンター関連は +30% 近くで 7 億ドル超へ伸びた。
プロジェクト・マネジメント(売上 77 億ドル・利益 5.6 億ドル)は、ターナー・アンド・タウンゼンドなどが建設・開発・設備の導入を管理する事業で、手数料型。データセンター・製造・再エネの建設増で伸びる。
リアル・エステート・インベストメンツ(売上 8.8 億ドル・利益 3.2 億ドル)は、物件の開発。パイプラインは約 296 億ドル。
実費転嫁は売上の約 4 割(167 億ドル)あり、売上の伸びと利益の伸びを分けて見る必要がある。2026 年の Core 1 株利益見通しは +23%、2027 年も +15% 以上を目標にする。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 に規模で、世界の主要都市で最大の取引・賃貸・運営のデータと人員を持ち、多国籍の顧客に一括して提供できる。第 2 に顧客との長期契約で、施設運営とプロジェクト管理は数年の契約で更新率が高く、収益の約 6 割が景気に左右されにくい。第 3 に資本の軽さで、資産を自分で持たない(開発を除く)ので、純負債は 2025 年末で 41 億ドル、純レバ 1.24 倍と低く、年 10 億ドルの自社株買いを続けても余力がある。
弱みも 3 つ。第 1 に、営業利益率は売上全体で 3% 台(実費転嫁を含む)で、仲介の人材(ブローカー)の報酬が固定費に近く、取引が減ると利益が急に落ちる。リーマン時の株価は −92%。第 2 に、堀は技術の壁でなく人と関係の堀で、競合のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド、コリアーズも同じ事業を持ち、ブローカーは会社を移れる。第 3 に、取得無形資産の償却と買収の繰り返しで、会計の利益と Core の利益が約 2 割ずれる。
経営は買収に積極的だが、2025 年はピアース・サービシズ(インフラ関連サービス)に加え自社株買いも続けており、資本配分は評価できる。ただし、買収の効果は 5 年見ないと分からない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
商業不動産サービスは世界の上位 4〜5 社(CBRE・JLL・クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・コリアーズ・ニューマーク)の寡占で、CBRE が最大。2026 年は取引の回復が鮮明で、4〜6 月期はクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの賃貸が +27%、コリアーズの売上が +17%、CBRE のアドバイザリーが +17.7% と、全社が同じ方向。業界全体で取引の山に近づいている。
循環のどこにいるか:商業不動産の投資額は 2021 年の山から 2023〜24 年に大きく減り、2025 年に回復し、2026 年は前年比 16% 増の見通し。金利が 5% の世界では利回りが下がりにくく、2021 年の山には戻らないと見る。2027 年のアドバイザリーは鈍る見通しで、会社も取引型の伸びは景気の平均に戻ると見ている。
構造の変化は 3 つ。第 1 にデータセンター・半導体工場・電力設備の建設需要で、プロジェクト管理と施設運営の売上が伸びる。第 2 に、AI による仲介の自動化と情報サービス(コスターなど)の浸透で、鑑定・調査の手間が減る可能性。第 3 に、オフィス需要の二極化で、高品質な賃貸は強く、低品質は縮む。水・電力・地元の反対がデータセンター建設の制約になりうる。
資本政策と M&A
還元は自社株買いが中心で、配当は出さない。2025 年に 7.6 百万株・10 億ドル超(平均価格は今より高い)、2026 年も年初来で約 10 億ドルを買った。株数は 2025 年に 2.5% 減った。payout_oku は自社株買いから株式報酬による増加分(年 2〜3 億ドル相当)を引いた正味で置いた。
借金は低く、純負債は 41 億ドル(純レバ 1.24 倍、2026 年 6 月は 1.60 倍)。借換えは約 5.75% で、利払いは今後 3 億ドル台後半へ増える。買収では、ターナー・アンド・タウンゼンド(2021 年)、ピアース・サービシズ(2025 年)などでインフラ・プロジェクト管理を厚くしており、過去の買収は成長に寄与している。
M&A は今後も年 5〜10 億ドル規模で続くと見る。TOB の対象には大きすぎる(時価総額 400 億ドル)。資本配分の評価の分かれ目は、買収の投資収益が資本コスト 8.5% を上回るか、自社株買いを割高な時期に増やさないか。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
CBRE の利益の約 6 割は、施設運営・プロジェクト管理・投資運用といった景気に強い事業で、2026 年 4〜6 月期は全 4 セグメントでセグメント利益が +25% 超だった。データセンター関連は +30% 近く(7 億ドル超)、インフラ関連は +45% 超(約 12 億ドル)と、AI の建設需要が追い風になっており、ターナー・アンド・タウンゼンドとピアース・サービシズの買収はここに賭けた投資だった。
取引型も回復の途中にある。商業不動産の投資額は 2026 年に前年比 16% 増の見通しで、2021 年の山までは遠い。賃貸は +24%、売買も二桁成長で、取引量が山に戻れば、アドバイザリーの利益率は 20% から 25% へ上がる。
資本が軽く、純レバ 1.6 倍・年 10 億ドルの自社株買いで、株数は毎年 2% 前後減る。会社は 2026 年の Core 1 株利益を +23%、2027 年も +15% 以上と見ている。ならした純利益が 2028 年に 26 億ドル、2035 年に 46 億ドルまで届けば、20 倍の評価がつき、今の時価総額は割安に変わる。
慎重な見方
2026 年の数字は、金利が下がらない中で取引が一時的に戻った山に近い。アドバイザリーの利益は取引量と金利に直結し、2008〜09 年は取引の手数料が約 45% 落ち、CBRE の株価は山から谷で −92%(リーマン)、コロナでも −38%、2022 年の利上げで −38%。2027 年のアドバイザリーは鈍る見通しで、すでに山の後半と見る。
売上の 4 割は実費転嫁で、売上の伸びが利益の伸びを意味しない。Core の利益は買収の償却を足し戻した値で、ならすと約 2 割低い。そのうえ今の時価総額は、ならした純利益の約 26 倍、2026 年の見通しでも 20 倍近くで、成熟後の倍率(g 4.0%・k 8.5% の式で約 15 倍)より高い。
競合も同じ追い風を受け、ジョーンズ・ラング・ラサールやクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドと差別化できているか疑わしい。ブローカーは移動でき、AI による鑑定・調査の自動化は手数料を削る。データセンター関連の建設は、水・電力・地元の反対で止まる可能性もある。還元を足しても期待の年率は 10 年で約 4% と資本コストに届かず、割高。
どちらに重みを置いたか
事業の質と管理型の安定収益、資本の軽さは強気の見方が強く、確率を少し楽観側へ寄せた(10 年の楽観・やや楽観の合計 32%、やや悲観・悲観の合計 35%)。ただし値段は慎重な見方が強い。中立の年率は、倍率を利益ベースの上限の内側に置くと資本コスト 8.5% を下回る(成熟後の倍率が 12.3 倍と、今の倍率より低いため)。10 年は構造的な負けを 13% に置いた。結論は「優良だが、値段は高い」(総合で今の時価総額に対し -34%、判定は割高)。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 150.31 ドル452 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 33.08 ドル100 億ドル)。 今の値に割り戻すと 88.48 ドル266 億ドル、今との差 −32.6%、 期待の年率 +3.4%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 291.50 ドル877 億ドル | 49.88 ドル150 億ドル | +160.1% | +10.0% | 34.14 ドル103 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 209.38 ドル630 億ドル | 41.56 ドル125 億ドル | +91.2% | +6.7% | 55.21 ドル166 億ドル |
| 中立 | 33% | 153.95 ドル463 億ドル | 34.91 ドル105 億ドル | +43.9% | +3.7% | 62.32 ドル187 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 89.54 ドル269 億ドル | 24.94 ドル75 億ドル | −12.8% | −1.4% | 25.19 ドル76 億ドル |
| 悲観 | 13% | 35.38 ドル106 億ドル | 14.96 ドル45 億ドル | −61.6% | −9.1% | 6.54 ドル20 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 150.31 ドル452 億ドル | 33.08 ドル100 億ドル | +39.7% | +3.4% | 183.40 ドル552 億ドル |
今の株価時価総額 131.24 ドル395 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:インフラ・データセンター関連が育ち、規模の優位が広がる 利益 59 億ドル · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 291.50 ドル877 億ドル
10 年後(2035 年)、アドバイザリーは取扱量 年 +4.5%・手数料 年 +4.1% で 205 億ドル、利益率 27.5%(規模と技術投資で営業レバレッジ)。施設運営は管理面積 年 +3.4%・単価 物価超で 471 億ドル、利益率 5.7%。プロジェクト管理は人員 年 +6%・単価 年 +3.8% で 200 億ドル、利益率 9%。売上は 896 億ドル(実費転嫁を含む)、ならした純利益は 59 億ドル。データセンターの設計・建設・運営の市場が年 10% 超で伸び、ターナー・アンド・タウンゼンドとピアース・サービシズがその受け皿になる。M&A は小粒を続け、価値を壊さない。10 年の還元は自社株買いの正味で 150 億ドル。g 4.0%・ROE 23.1%・k 8.50% の式(正当化 PER 16.6 倍)の 9.0 割にあたる 14.91 倍を利益に掛けて、時価総額は約 877 億ドル。
- アドバイザリー(賃貸・売買の仲介、融資・鑑定・運用):数量 49.6(取扱量(億平方フィート相当、推定))× 価格 4.14(1 平方フィート相当あたりの手数料収入(ドル))→ 売上 205 億ドル・営業利益 57 億ドル。取扱量と1単位あたり手数料
- ビルディング・オペレーションズ・アンド・エクスペリエンス(施設運営):数量 98.0(管理する面積(億平方フィート、推定))× 価格 4.81(1 平方フィートあたり売上(ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 471 億ドル・営業利益 27 億ドル。管理面積と1平方フィートあたり収入
- プロジェクト・マネジメント(建設・開発の管理):数量 72.0(プロジェクト管理の人員(千人、推定))× 価格 278(1 人あたり売上(千ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 200 億ドル・営業利益 18 億ドル。人員と1人あたり収入
- リアル・エステート・インベストメンツ(開発):数量 444(開発パイプライン(億ドル))× 価格 0.04(パイプラインに対する年間収入率)→ 売上 19 億ドル・営業利益 8 億ドル。開発パイプラインと収入率
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 事業の ROE は筋書きの利益 58.8 ÷ 自己資本 254.0 = 23.1%(帳簿の値で 40% 以下なので ROIC には直さない)。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 15.8%、正当化 PER は 16.6 倍。 上限は利益 58.8 × 16.6 倍 = 976 億ドル。置いた 14.91 倍は上限の 9.0 割。
確率:AI とデータセンターの建設・運営需要が 10 年続き、同業の寡占が進み、手数料率も守られる確率を 1 割に置く。
やや楽観 22% やや楽観:管理・施設運営の安定成長が積み上がる 利益 46 億ドル · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 209.38 ドル630 億ドル
アドバイザリーは取扱量 年 +3.8%・手数料 年 +3.6% で 183 億ドル、利益率 25.5%。施設運営は 439 億ドル、利益率 5.3%。プロジェクト管理は人員 年 +5.1%・単価 年 +3.6% で 180 億ドル、利益率 8.3%。売上は 818 億ドル、ならした純利益は 46 億ドル。買収は年 5〜10 億ドル規模で続き、償却を引いてある。データセンター・半導体工場・電力設備の建設管理と運営が育ち、売上に占める管理型の比率が高まる。取引型は景気の平均で、金利が 5% で高止まりしても毎年の取引は一定量あり、手数料は物価並みに上がる。10 年の還元は正味 125 億ドル。g 4.0%・ROE 20.0%・k 8.50% の式(正当化 PER 16.0 倍)の 8.5 割にあたる 13.60 倍を利益に掛けて、時価総額は約 630 億ドル。
- アドバイザリー(賃貸・売買の仲介、融資・鑑定・運用):数量 46.4(取扱量(億平方フィート相当、推定))× 価格 3.95(1 平方フィート相当あたりの手数料収入(ドル))→ 売上 183 億ドル・営業利益 47 億ドル。取扱量と1単位あたり手数料
- ビルディング・オペレーションズ・アンド・エクスペリエンス(施設運営):数量 93.1(管理する面積(億平方フィート、推定))× 価格 4.71(1 平方フィートあたり売上(ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 439 億ドル・営業利益 23 億ドル。管理面積と1平方フィートあたり収入
- プロジェクト・マネジメント(建設・開発の管理):数量 66.0(プロジェクト管理の人員(千人、推定))× 価格 272(1 人あたり売上(千ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 180 億ドル・営業利益 15 億ドル。人員と1人あたり収入
- リアル・エステート・インベストメンツ(開発):数量 400(開発パイプライン(億ドル))× 価格 0.04(パイプラインに対する年間収入率)→ 売上 17 億ドル・営業利益 6 億ドル。開発パイプラインと収入率
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 事業の ROE は筋書きの利益 46.3 ÷ 自己資本 232.0 = 20.0%(帳簿の値で 40% 以下なので ROIC には直さない)。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.2%、正当化 PER は 16.0 倍。 上限は利益 46.3 × 16.0 倍 = 740 億ドル。置いた 13.60 倍は上限の 8.5 割。
確率:施設運営・プロジェクト管理が年 7〜8% で伸び続け、取引も景気の平均を少し上回る確率を 22% に置く。
中立 33% 中立:世界最大の地位を保ち、名目 GDP を少し上回って伸びる 利益 38 億ドル · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 153.95 ドル463 億ドル
10 年後の売上は 777 億ドル(2025 年比 年 +6.7%、実費転嫁を含む)。アドバイザリーは市場の取扱量 年 +3%・シェア維持・手数料 物価並みで 168 億ドル、利益率 23%。施設運営は管理面積 年 +2.7%・単価 物価並みで 426 億ドル、利益率 5%。プロジェクト管理は人員 年 +4.5%・単価 物価並みで 167 億ドル、利益率 7.8%。開発は 16 億ドル。セグメント利益 79 億ドルから本社費 9 億ドル・減価償却と償却 12.5 億ドルを引いた営業利益は 57 億ドル、利払い 5 億ドル、ならした純利益は 38 億ドル。10 年の還元は自社株買いの正味で 105 億ドル。中立では、取引型の景気循環の平均、競合とのシェアの現状維持、AI による仲介業務の一部自動化と人員の効率化が相殺する。g 4.0%・ROE 17.2%・k 8.50% の式(正当化 PER 15.3 倍)の 8.0 割にあたる 12.28 倍を利益に掛けて、時価総額は約 463 億ドル。
- アドバイザリー(賃貸・売買の仲介、融資・鑑定・運用):数量 43.2(取扱量(億平方フィート相当、推定))× 価格 3.89(1 平方フィート相当あたりの手数料収入(ドル))→ 売上 168 億ドル・営業利益 39 億ドル。取扱量と1単位あたり手数料
- ビルディング・オペレーションズ・アンド・エクスペリエンス(施設運営):数量 91.0(管理する面積(億平方フィート、推定))× 価格 4.68(1 平方フィートあたり売上(ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 426 億ドル・営業利益 21 億ドル。管理面積と1平方フィートあたり収入
- プロジェクト・マネジメント(建設・開発の管理):数量 62.0(プロジェクト管理の人員(千人、推定))× 価格 270(1 人あたり売上(千ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 167 億ドル・営業利益 13 億ドル。人員と1人あたり収入
- リアル・エステート・インベストメンツ(開発):数量 385(開発パイプライン(億ドル))× 価格 0.04(パイプラインに対する年間収入率)→ 売上 16 億ドル・営業利益 6 億ドル。開発パイプラインと収入率
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 事業の ROE は筋書きの利益 37.7 ÷ 自己資本 219.0 = 17.2%(帳簿の値で 40% 以下なので ROIC には直さない)。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.9%、正当化 PER は 15.3 倍。 上限は利益 37.7 × 15.3 倍 = 577 億ドル。置いた 12.28 倍は上限の 8.0 割。
確率:業界ノートの中立(売上 年 +6〜7%・利益率は横ばい〜微増・Core 1 株利益は年 +8〜9%)に沿う。
やや悲観 22% やや悲観:仲介の手数料が下がり、オフィスの需要が細る 利益 24 億ドル · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 89.54 ドル269 億ドル
アドバイザリーは取扱量 年 +1.4%・手数料 年 +2.9%(物価に届かない)で 135 億ドル、利益率 20%。施設運営は競争で価格が下がり、単価 年 +3.0%、利益率 4.7%。プロジェクト管理は人員 年 +2.7%・単価 年 +3.0% で 134 億ドル、利益率 7%。売上は 651 億ドル、ならした純利益は 23.5 億ドル(2025 年の 1.5 倍に届くが、物価で目減りして実質では横ばい)。M&A で規模を保つが、償却が重い。還元は正味 75 億ドル。g 4.0%・ROE 12.5%・k 8.50% の式(正当化 PER 13.8 倍)の 8.3 割にあたる 11.46 倍を利益に掛けて、時価総額は約 269 億ドル。
- アドバイザリー(賃貸・売買の仲介、融資・鑑定・運用):数量 36.8(取扱量(億平方フィート相当、推定))× 価格 3.67(1 平方フィート相当あたりの手数料収入(ドル))→ 売上 135 億ドル・営業利益 27 億ドル。取扱量と1単位あたり手数料
- ビルディング・オペレーションズ・アンド・エクスペリエンス(施設運営):数量 82.6(管理する面積(億平方フィート、推定))× 価格 4.48(1 平方フィートあたり売上(ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 370 億ドル・営業利益 17 億ドル。管理面積と1平方フィートあたり収入
- プロジェクト・マネジメント(建設・開発の管理):数量 52.0(プロジェクト管理の人員(千人、推定))× 価格 259(1 人あたり売上(千ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 134 億ドル・営業利益 9 億ドル。人員と1人あたり収入
- リアル・エステート・インベストメンツ(開発):数量 296(開発パイプライン(億ドル))× 価格 0.04(パイプラインに対する年間収入率)→ 売上 11 億ドル・営業利益 3 億ドル。開発パイプラインと収入率
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。事業の g は 3.5%(取引型 年 +5%、管理・施設運営・インフラ 年 +8%(名目)で、式の値はその分だけ上限より低い。 事業の ROE は筋書きの利益 23.5 ÷ 自己資本 188.0 = 12.5%(帳簿の値で 40% 以下なので ROIC には直さない)。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.5%、正当化 PER は 13.8 倍。 上限は利益 23.5 × 13.8 倍 = 323 億ドル。置いた 11.46 倍は上限の 8.3 割。
確率:在宅勤務の定着によるオフィス需要の縮小と、AI・テクノロジー企業による仲介の簡素化で、手数料が物価に届かなくなる確率を 22% に置く。
悲観 13% 悲観:仲介が AI で置き換わり、競合に負けて優良ではなくなる 利益 11 億ドル · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 35.38 ドル106 億ドル
10 年後、アドバイザリーの取扱量は 5% 減り、手数料は物価に負けて年 +1.4% にとどまり、売上は 97 億ドル、利益率 16%。施設運営は価格競争で利益率 4.2%、プロジェクト管理も 6.2% に下がる。売上は 515 億ドル、営業利益は 20 億ドル、ならした純利益は 11 億ドル。ここまで下がる要因は、取引の仲介の価値が下がることと、過去の買収(のれん)の減損が自己資本を削ること。ROE 7.0% が k 8.50% 以下なので、倍率の上限は 1÷k の 11.8 倍。その 8.3 割の 9.76 倍を利益に掛けて、時価総額は約 106 億ドル。リーマンの −92% よりは浅い(今のレバは低く、管理型の収益が残る)。
- アドバイザリー(賃貸・売買の仲介、融資・鑑定・運用):数量 30.4(取扱量(億平方フィート相当、推定))× 価格 3.17(1 平方フィート相当あたりの手数料収入(ドル))→ 売上 97 億ドル・営業利益 15 億ドル。取扱量と1単位あたり手数料
- ビルディング・オペレーションズ・アンド・エクスペリエンス(施設運営):数量 73.5(管理する面積(億平方フィート、推定))× 価格 4.15(1 平方フィートあたり売上(ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 305 億ドル・営業利益 13 億ドル。管理面積と1平方フィートあたり収入
- プロジェクト・マネジメント(建設・開発の管理):数量 44.0(プロジェクト管理の人員(千人、推定))× 価格 239(1 人あたり売上(千ドル。実費転嫁を含む))→ 売上 105 億ドル・営業利益 7 億ドル。人員と1人あたり収入
- リアル・エステート・インベストメンツ(開発):数量 237(開発パイプライン(億ドル))× 価格 0.03(パイプラインに対する年間収入率)→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。開発パイプラインと収入率
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。事業の g は 2.5%(取引型 年 +5%、管理・施設運営・インフラ 年 +8%(名目)で、式の値はその分だけ上限より低い。 事業の ROE は筋書きの利益 10.9 ÷ 自己資本 156.0 = 7.0%(帳簿の値で 40% 以下なので ROIC には直さない)。 ROE 7.0% が k 8.50% 以下なので、PER は 1÷k = 11.8 倍まで(ためた利益は額面未満の価値)。 上限は利益 10.9 × 11.8 倍 = 128 億ドル。置いた 9.76 倍は上限の 8.3 割。
確率:AI と情報サービスが仲介の手数料を削り、クライアントが自社で運営・調達する動きが広がるか、買収の失敗で資本を損なう確率を 13% に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
アドバイザリー(賃貸・売買の仲介、融資・鑑定・運用)
賃貸・売買の仲介、融資の仲介、鑑定、投資運用の手数料。取引量と金利で振れる。
| 数量取扱量(億平方フィート相当、推定) | 価格1 平方フィート相当あたりの手数料収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 32.0 | 2.76 | 88 | 18 |
| 10 年後 中立 | 43.2 | 3.89 | 168 | 39 |
取り方:アドバイザリーの売上 88.4 億ドルを、賃貸・売買で扱う面積相当 約 32 億平方フィート(推定)で割り、1 平方フィートあたり約 2.76 ドルの手数料と置いた。セグメント利益 18.3 億ドル(償却前)。
ビルディング・オペレーションズ・アンド・エクスペリエンス(施設運営)
顧客企業のオフィス・工場・データセンターの運営を長期契約で請け負う。費用の立て替えを含む。
| 数量管理する面積(億平方フィート、推定) | 価格1 平方フィートあたり売上(ドル。実費転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 70.0 | 3.32 | 232 | 11 |
| 10 年後 中立 | 91.0 | 4.68 | 426 | 21 |
取り方:売上 232.2 億ドル(実費転嫁を含む)を、管理面積 約 70 億平方フィート(推定)で割り、1 平方フィートあたり約 3.3 ドル。セグメント利益 10.9 億ドル。
プロジェクト・マネジメント(建設・開発の管理)
ターナー・アンド・タウンゼンドなどによる建設・設備導入の管理。手数料型。
| 数量プロジェクト管理の人員(千人、推定) | 価格1 人あたり売上(千ドル。実費転嫁を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 192 | 77 | 6 |
| 10 年後 中立 | 62.0 | 270 | 167 | 13 |
取り方:売上 76.6 億ドルを、プロジェクト管理の人員 約 4 万人(推定)で割り、1 人あたり約 19 万ドル。セグメント利益 5.6 億ドル。
リアル・エステート・インベストメンツ(開発)
物件の開発と売却。パイプラインは約 296 億ドル。収益は物件の売却時期で振れる。
| 数量開発パイプライン(億ドル) | 価格パイプラインに対する年間収入率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 296 | 0.03 | 9 | 3 |
| 10 年後 中立 | 385 | 0.04 | 16 | 6 |
取り方:売上 8.79 億ドルを、開発パイプライン 296 億ドルの約 3% と置いた。セグメント利益 3.24 億ドル。
リスクと懸念
取引量と金利への依存
アドバイザリーは取引量に直結し、利益の約 5 割が金利で振れる。2008〜09 年は賃貸・売買の手数料が約 45% 落ち、株価は −92%。10 年国債が 5% を超えて上がれば、2026 年の回復が止まる。
取引の山での評価
2026 年の利益は取引の回復で膨らんだ山に近く、2027 年のアドバイザリーは鈍る見通し。今の時価総額はならした純利益の約 26 倍で、山の利益を恒常と見ると、利益が戻った時に倍率ごと下がる二重の逆風になる。
競合とブローカーの流出
ジョーンズ・ラング・ラサール、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド、コリアーズが同じ追い風で動く。仲介のブローカーは会社を移れるので、報酬競争で利益率が下がる。堀は人と関係で、技術の壁ではない。人材の移動で顧客ごと持っていかれることもある。
AI による仲介・調査の置き換え
鑑定・調査・契約書の作成・市場分析は AI で効率化されやすい。手数料が下がるか、顧客が自社で内製すれば、アドバイザリーの価格が物価に届かなくなる。逆に人員の効率化で利益率が上がる面もあり、方向は定まらない。
買収の実行と償却
ターナー・アンド・タウンゼンド、ピアース・サービシズなど買収で成長を作っており、買収は今後も続く。Core の利益は取得無形資産の償却を足し戻した値で、ならした利益は約 2 割低い。高く買えば償却とのれんの減損が資本を削る。
データセンター関連の制約
インフラ・データセンター関連の売上が +30〜45% で伸びているが、水・電力・地元の反対で建設が遅れる可能性がある。AI の設備投資が減速すれば、この部分の売上が先に落ちる。ピアース・サービシズなどの買収で積み上げた売上は、建設の波に左右される部分が大きく、受注が止まると数年は固定費だけが残る。
英国の防火改修の引当と開発
2026 年 4〜6 月期に、英国の開発事業で防火改修の引当を 1.68 億ドル積み増した。過去の開発の瑕疵が残り、さらに積み増す可能性がある。GAAP の利益には出るが、Core の利益には出ない。ならした純利益では、この種の引当を繰り返し起こりうる費用として、約 1 億ドル前後(税引き後)を毎年見込む必要がある。
今後の分かれ目
- 商業不動産の投資額が 2021 年の山の水準へ戻り、賃貸・売買の手数料が 2 年連続で二桁増となったら
- 10 年の楽観・やや楽観の確率を上げる。ただし山の利益を恒常と見ないよう、倍率は据え置く。
- 10 年国債が 5% を超えて上がり、取引量が減り始めたら
- 悲観・やや悲観の確率を上げ。アドバイザリーの利益を 3 割下げて見る。
- インフラ関連・データセンター関連の売上が 2 年連続で +30% を超え、利益率も保たれたら
- 施設運営とプロジェクト管理の利益率を 0.5pt 上げ、10 年の楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 大型の買収(年 20 億ドル超)を割高で行い、のれんが大きく増えたら
- 資本配分の評価を下げ、倍率を 1〜2 倍下げる。減損のリスクを悲観の確率に加える。
- AI による仲介の自動化で、賃貸・売買の手数料率が 1 年で 10% 以上下がったら
- アドバイザリーの手数料を物価より低く置き直し、10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 賃貸・売買の手数料と商業不動産の投資額(四半期の決算・MSCI)
- インフラ関連・データセンター関連の売上の伸び
- セグメント利益率(特にアドバイザリー 20%→25%)
- 純レバ(1.6 倍)と自社株買いの額、買収の額
- 競合(ジョーンズ・ラング・ラサール、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド)の賃貸の伸び
- 10 年国債の利回り
倍率と資本コストの決め方
今の PER 34.5 倍(GAAP)や、ならした純利益の約 26 倍、2026 年の Core 1 株利益見通しから見た 17 倍弱を見る前に、取扱量×手数料・管理面積×単価・人員×単価で売上を積み上げ、セグメント利益率から営業利益・ならした純利益を出した。倍率はそのあとに、利益ベースの正当化 PER で出した。10 年の中立は g 4.0%・k 8.5%・帳簿の ROE 17.2%(のれん込み)・moat 普通で正当化 PER 15.3 倍。上限の 8.0 割の 12.3 倍に置いた。上限の 8.0 割の 12.2 倍に置いた。前の 17.9 倍は上限を超えていた。今の倍率には寄せていない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%(内訳と理由は quality_why)。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。