結論
サイモン・プロパティ・グループ(Simon Property Group)は、米国を中心に約 190 か所のモール・プレミアムアウトレット・ミルズ(大型の割安モール)を所有・運営する最大の商業施設 REIT である。収益は店舗の賃料(最低賃料、売上連動の賃料、共益費の回収)が大半で、2026 年は不動産事業の FFO が約 43 億ドル(普通株ベース)、モール・アウトレットの占有は 96%、店舗の売上は 1 平方フィートあたり約 838 ドルで前年比 +13.9%。2025 年にタブマン(Taubman)を連結して最上級のモールを加えた。
事業の質は高い。クラス A のモールは米国の約 900 のうち約 26% しかなく、新築はほぼ止まっているため、優良な立地は新たに作れない。店舗の売上が伸び、占有費用率は 12.5% と余裕があるので、賃料を物価以上に上げられる。再開発も 10.7 億ドルが利回り 9% で進む。ただし純有利子負債は時価総額の約 85% と重く、2026 年後半から 2027 年に無担保債約 45 億ドルが満期を迎え、借換えで利払いが 10 年で約 10 億ドル増える。
バリュー投資の観点では、強さと値段は別である。資本コストは基本 8% + quality +0.75%(負債の重さ)= 8.75%。維持の設備投資と株式報酬を引いた正味 AFFO(約 37 億ドル)に対し、時価総額 670 億ドルは約 18 倍。成長は年 3〜4%。利益ベースの正当化 PER の上限は約 15.3 倍(k 8.75%・g 4.0%・事業の ROE 21%)で、中立の成熟後の倍率はその 7.5 割の 11.4 倍。中立の筋書きは 10 年後も今の値段を下回る。消費が強く、価格決定力と再開発が両方とも続く楽観の筋書きで今の値段を超える。総合では価値が今の値段を 28% ほど下回り、「やや割高」とみる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。ただし「モール」全体ではなく「一流の立地」だけが残る。サイモンは A 級の 4 割強を持ち、新築が止まる中で供給の希少性が高まる。人が集まる場所に出店したいブランドにとって、代わりがない。堀は広がる方向にある。
次にオーナー利益を見る。2026 年の不動産事業 FFO は約 43 億ドル(普通株ベース)。維持の設備投資・テナント改装費(約 5 億ドル)と株式報酬(約 1 億ドル)を引くと正味 AFFO は約 37 億ドル。配当(約 29 億ドル)を除くと約 8 億ドルが再投資に回る。再開発は利回り 9% で、これは良い使い道である。
資本配分は概ね良い。タブマンの追加取得は経営の収益改善(利益率 +300bp)で回収が見える。自社株買いは規模が小さく、割高で買って価値を壊す水準ではない。
安全域では、正味 AFFO の約 18 倍(利回り 5.5%)に対し、成長が年 3〜4% で、借換えが利払いを削る。成熟後の倍率は正当化 PER の 7.5 割の 11.4 倍で、今の約 18 倍は成長を大きく前払いしている。事業の確信度は高いが、借金の重さと消費の循環を考えると、払う値段に余裕はない。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は、米国のモール(約 90 か所)、プレミアムアウトレット(約 70 か所)、ミルズ(約 15 か所)、そして 2025 年から連結したタブマンの上級モール(チェリー・クリーク、ビバリー・センターなど)の賃料である。店舗は 5〜10 年の契約で、最低賃料に毎年約 2〜3% の上げ幅が付き、売上が基準を超えると売上連動の賃料が加わる。共益費や固定資産税は借り手に回収する。2026 年 4〜6 月期は平均の最低賃料が前年比 +6.3%、新規契約の初年度賃料が +17%、テナントへの改装負担額は 1 平方フィートあたり −12% で、契約の質は良化している。
数量は貸床面積×占有率、価格は 1 平方フィートあたりの収入である。占有は 96% で、ミルズは 98.8%。小売店の売上が 1 平方フィートあたり 838 ドルと伸びているため、占有費用率(賃料と共益費の売上比)は 12.5% と低く、賃料の上げ余地が残る。海外はヨーロッパのデザイナーアウトレット、日本・韓国のプレミアムアウトレットなどの合弁が中心で、売上は小さい。
成長の手段は 3 つ。第 1 に既存物件の賃料の上げ(同一物件 NOI は 2026 年上期 +7.6%)。第 2 に再開発(映画館やデパートの跡をレストラン・ホテル・住宅・オフィスに替える。進行中 10.7 億ドル・利回り 9%、候補は 40 億ドル超)。第 3 にブランド・メディア投資(サイモン・メディア・ネットワークは来店客の画面広告で、投資の回収は 1〜2 年)。2026 年の通期見通しは不動産事業 FFO が前年比で約 4〜5% 増(今回 2 度目の引き上げ)で、配当は年約 29 億ドル(普通株ベース)。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は立地と規模で、クラス A のモールは米国で約 235 か所しかなく、サイモンがその半分近くを持つ。新築は在庫の 1% 未満で、土地・許認可・反対運動の壁で新たに作れない。第 2 はテナントとの交渉力で、約 1,200 件の契約を年に結ぶ最大の貸し手であり、ブランドは出店の優先の相手にサイモンを選ぶ。リーマン後に危機に陥った小売業者(JC ペニー、シアーズ)を、ブランド投資(ABG など)で救い出して賃料を守った実績もある。第 3 は資本調達力で、投資適格の格付けと豊富な流動性(93 億ドル)により、競合のマセリック(Macerich)などより安く資金を集める。
会計の自己資本は 52 億ドルしかなく ROE 89% は見かけの値。長年の配当と自社株買いで簿価が削られたためで、本質の収益力は FFO と NOI で見る。FFO の営業利益率は約 50%、NOI 率は約 72%。
弱点は 3 つ。第 1 に借金が重い(純有利子負債は時価総額の約 85%)。2010 年代に 3〜4% で借りた債券が借り換えで 5.75% に上がる。第 2 にテナントの破産(2026 年はサックスが約 100 万平方フィートを返却)。第 3 に、B・C 級のモールの衰退が長く、全体の見方を曇らせる。サイモン自身は A 級が大半で影響は小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の小売の空室率は 5.7% と低く、新築は極端に少ない。モール REIT の占有は約 96% と歴史平均の 94% を上回る。小売の売上は物価を上回って伸び、モール・アウトレットの店舗売上は 1 平方フィートあたり 800 ドル超に達した。この 10 年の構造は、「A 級の勝ち、B・C 級の負け」が鮮明になったことで、需要は一流の立地に集中している。
競合は、マセリック(約 90% が A 級、占有 94%)、ブルックフィールド(Brookfield)傘下の旧 GGP の大型モール(非上場)、アウトレットのタンジャー(Tanger)、食品スーパー核の屋外型のキムコ(Kimco)・リージェンシー(Regency)がある。サイモンは A 級のモールとプレミアムアウトレットで最大で、競合より占有・賃料の伸びが高い。
構造の変化は 3 つ。第 1 に、EC(ネット通販)は店舗の役目を「体験と受け取り」に変えたが、ブランドは実店舗の出店を増やしている。第 2 に、映画館・デパートの撤退跡が住居・オフィス・ホテルに変わり、物件の用途が混ざる。第 3 に、金利 5% の世界では物件の買収利回りが上がり(優良物件で 6〜7%)、評価額の回復が止まる。今は循環の山に近く、消費の強さと新築の枯れで賃料が守られている。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、2026 年は普通株ベースで約 29 億ドル(正味 AFFO の約 78%)。7〜9 月期の配当は前年比 +4.7%。自社株買いは 2026 年に約 2.1 億ドル(平均 205 ドル前後)で、株式報酬による株の増加(年 0.3%)を打ち消す程度。payout_oku は配当に正味の自社株買いを足している。
資金は、配当後の正味 AFFO(約 8 億ドル)と物件売却で再開発(年 10 億ドル前後)を賄う。足りない分は借金(新規は 5 年 CMBS で約 4.83%、無担保債は約 5.75% 想定)。2026 年後半〜2027 年に約 45 億ドルが満期。利払いの重しは年内だけで FFO の約 2%(約 0.7 億ドル)。借換えが 10 年で全部新しい金利に替わると、利払いは約 10 億ドル増える(brief の推定)。
M&A は、タブマン(TRG)を 2020 年に 80% 取得し、2025 年に残り 12% を取得して 100% にした。管理物件の EBITDA 利益率は +300bp 改善し、さらに 200bp 前後見込む。ヨーロッパ・アジアのアウトレット合弁の拡大、ABG など小売ブランドへの出資もある。時価総額 670 億ドルで買収の対象には大きすぎる。資本配分の評価の分かれ目は、再開発の利回り(9%)が資金コスト(約 6〜7%)を十分上回るか、そして借金を増やさず配当を伸ばせるか。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
サイモンの持つ立地は新たに作れない。クラス A のモールは米国で約 235 か所しかなく、新築はほぼ止まっている。ブランドは出店の優先の相手にサイモンを選び、新規契約の初年度賃料は前年比 +17%、改装負担額は −12% と、貸し手の交渉力が強まっている。店舗の売上は 1 平方フィートあたり 838 ドルで +13.9%、占有費用率は 12.5% と、賃料を上げる余地がある。
2 つ目は再開発とタブマン。映画館・デパートの跡を飲食・ホテル・住居に替える再開発は進行中 10.7 億ドル・利回り 9% で、候補は 40 億ドル超。タブマンの管理物件の利益率は +300bp 上がり、さらに 200bp 見込む。メディア事業は 1〜2 年で投資を回収する。3 つ目は消費。サックスの返却分も賃料 0.18 億ドルが約 0.44 億ドルで再賃貸される。
この前提で同一物件 NOI が年 5〜6% 伸び、利払いの増加を吸収すれば、10 年後の正味 AFFO は約 62 億ドルに届き、倍率も 14.5 倍(正当化 PER の 8.7 割)に上がる。借換えは 5.75% になるが、賃料の伸びがそれを上回る。
慎重な見方
今の評価は、消費の強さが続き、金利が高くても借換えが吸収できる前提を置いている。正味 AFFO の約 18 倍(利回り 5.5%)は、成長が年 5% 前後で続いて初めて成り立つが、実際の成長は借換えで削られる。純有利子負債は時価総額の約 85% と重く、2010 年代に 3〜4% で借りた債券は 5.75% に置き換わり、10 年で利払いが約 10 億ドル増える。これは正味 AFFO の約 3 割に当たる。
2 つ目は消費の循環。店舗の売上 +13.9% は一部が価格の上昇と高所得層の消費で、景気後退で賃料の上げは止まる。2008〜09 年は SPG −65%、2020 年は −63% と、REIT の中でも落ち幅が大きい。テナントの破産(サックス、ジョアン、ビッグ・ロッツなど)が続き、B・C 級のモールは長期の衰退。3 つ目は倍率。成熟後の妥当値は 11.4 倍(正当化 PER の 7.5 割)で、今の 18 倍はそれを大きく上回る。
物件の評価は金利が決める。優良物件でも買収利回りが 6〜7% に留まれば、評価額は伸びず、配当の伸びは年 3% 程度。10 年後の中立の水準は今の値段を約 16% 下回り、10 年かけて得る総リターンは資本コストを下回る。
どちらに重みを置いたか
強気の主張(希少な立地、賃料の交渉力、9% の再開発)は事実の裏付けが強く、中立の筋書きの賃料の伸びを物価(3.5%)より少し上に置いた。慎重な主張は、借金の重さと倍率の水準が妥当な指摘で、利払いの増加を利益に、倍率の縮みを正当化 PER の 7.5 割(中立)に反映した。確率は、悲観を 12% と厚めに置き(重い借金と REIT の落ち幅が理由)、楽観は 13% にとどめた。結果は、中立が今の値段を約 16% 下回る形になり、総合は -28%(やや割高)。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 161.72 ドル528 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 117.38 ドル383 億ドル)。 今の値に割り戻すと 147.07 ドル480 億ドル、今との差 −30.6%、 期待の年率 +2.8%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 13% | 233.66 ドル763 億ドル | 131.75 ドル430 億ドル | +72.3% | +5.6% | 47.50 ドル155 億ドル |
| やや楽観 | 25% | 192.61 ドル629 億ドル | 125.63 ドル410 億ドル | +50.1% | +4.1% | 79.56 ドル260 億ドル |
| 中立 | 32% | 171.62 ドル560 億ドル | 119.50 ドル390 億ドル | +37.3% | +3.2% | 93.16 ドル304 億ドル |
| やや悲観 | 18% | 111.90 ドル365 億ドル | 108.77 ドル355 億ドル | +4.1% | +0.4% | 39.72 ドル130 億ドル |
| 悲観 | 12% | 67.78 ドル221 億ドル | 91.92 ドル300 億ドル | −24.7% | −2.8% | 19.16 ドル63 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 161.72 ドル528 億ドル | 117.38 ドル383 億ドル | +31.6% | +2.8% | 279.10 ドル911 億ドル |
今の株価時価総額 212.04 ドル692 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 13% 楽観:希少な立地と賃料の交渉力が 10 年続き、再開発が育つ 利益 62 億ドル · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 233.66 ドル763 億ドル
2035 年、賃貸中の面積は 2.1 億平方フィート(再開発・新規のアウトレット)、1 平方フィートあたり収入は物価 1.41 倍に実質 +16%(年 +1.5%)の約 56.8 ドルで売上約 119 億ドル。NOI 率は 74%、営業利益率は 55%。再開発は累計 80 億ドル・利回り 9% で正味 AFFO を 7 億ドル押し上げる。借換えは全て約 5.75%(利払いは 2026 年より約 10 億ドル増)。正味 AFFO は約 62 億ドル。配当は年 4% 超で伸びる。サックスのような返却跡は早く埋まり、ブランドは A 級の出店を増やし続け、タブマンの管理物件は利益率が上がり続ける。海外のアウトレットとメディア事業の寄与が全体の 1 割に育つ。成長 4.5% が残る段。g 4.0%・ROE 24.8%・k 8.75% の式(正当化 PER 16.0 倍)の 7.7 割にあたる 12.30 倍を利益に掛けて、時価総額は約 763 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 385 億ドル(正味 AFFO の累計 522 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 137 億ドルを引く)。AFFO は 2026 年の約 37.0 億ドルから 2035 年に約 62.0 億ドル、期間の GAAP 純利益の累計は約 274.3 億ドル(償却を引いた後。AFFO の累計は約 485.5 億ドル)。
- 米国のモール・プレミアムアウトレット・ミルズ(タブマン含む):数量 210(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 57(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル。賃料+共益費の回収))→ 売上 119 億ドル・営業利益 66 億ドル。賃料 実質 年 +1.5%
- 海外・その他(ヨーロッパ・アジアのアウトレット、メディア・ブランド):数量 12.0(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 100(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 7 億ドル。メディア・海外が育つ
倍率:2025 年の実績(億ドル。OP 全体):GAAP 純利益 46.2 + 償却 22.2(連結 14.1・持ち分 8.1)− 再測定益 28.9(タウブマンの持ち分の評価替え)+ 非支配持ち分・一過性などの調整 8.5 = 不動産 FFO 48.1、− 維持の支出(テナント手当 3.4・運営の設備投資 3.0)= 41.8、普通株分(87%)36.5 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 35.5。2026 年は FFO(普通株分)43.2 − 維持 約 5.2 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 37。 利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 -104.0 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE (負・計算不能) は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 62.0 + 借入金利 5.75% × 純負債 568)÷(今の自己資本 52 + 純負債 568)= 15.3%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 24.8%。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 16.8%、正当化 PER は 16.0 倍。 上限は利益 62.0 × 16.0 倍 = 994 億ドル。置いた 12.30 倍は上限の 7.7 割。
確率:A 級の供給が止まったまま消費が強く、10 年続く確率を 13% に置く。金利が 5% で借換えコストが重く、全部が実現するには物価を超える賃料の伸びが要る。
やや楽観 25% やや楽観:賃料は物価を実質で上回り、再開発が堅調 利益 55 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 192.61 ドル629 億ドル
2035 年、賃貸中の面積は 2.06 億平方フィート、1 平方フィートあたり収入は物価 1.41 倍に実質 +10%(年 +1%)の約 53.8 ドルで売上約 111 億ドル。営業利益率は 54%。再開発は累計 60 億ドル・利回り 9%。借換えは全て約 5.75%。正味 AFFO は約 55 億ドル。配当は年 4% で伸びる。クラス A の占有は 96% 前後を保ち、B 級の一部は用途転換で住居・オフィスに替わる。タブマンの利益率の改善は計画の八割ほどが実現し、サイモン・メディア・ネットワークは小さいが利益に寄与する。競合のマセリックなど A 級専業との差は縮まらない。成長が鈍る段。g 4.0%・ROE 22.5%・k 8.75% の式(正当化 PER 15.7 倍)の 7.3 割にあたる 11.43 倍を利益に掛けて、時価総額は約 629 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 359 億ドル(正味 AFFO の累計 478 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 119 億ドルを引く)。AFFO は 2026 年の約 37.0 億ドルから 2035 年に約 55.0 億ドル、期間の GAAP 純利益の累計は約 243.6 億ドル(償却を引いた後。AFFO の累計は約 454.7 億ドル)。
- 米国のモール・プレミアムアウトレット・ミルズ(タブマン含む):数量 206(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 54(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル。賃料+共益費の回収))→ 売上 111 億ドル・営業利益 60 億ドル。賃料 実質 年 +1%
- 海外・その他(ヨーロッパ・アジアのアウトレット、メディア・ブランド):数量 11.5(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 96(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 6 億ドル。堅調
倍率:2025 年の実績(億ドル。OP 全体):GAAP 純利益 46.2 + 償却 22.2(連結 14.1・持ち分 8.1)− 再測定益 28.9(タウブマンの持ち分の評価替え)+ 非支配持ち分・一過性などの調整 8.5 = 不動産 FFO 48.1、− 維持の支出(テナント手当 3.4・運営の設備投資 3.0)= 41.8、普通株分(87%)36.5 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 35.5。2026 年は FFO(普通株分)43.2 − 維持 約 5.2 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 37。 利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 -114.0 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE (負・計算不能) は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 55.0 + 借入金利 5.75% × 純負債 568)÷(今の自己資本 52 + 純負債 568)= 14.1%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 22.5%。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 15.6%、正当化 PER は 15.7 倍。 上限は利益 55.0 × 15.7 倍 = 862 億ドル。置いた 11.43 倍は上限の 7.3 割。
確率:賃料が実質 +0.9% 前後で伸びる確率を 25% に置く。新築の枯れが続く間の姿。
中立 32% 中立:物価を少し上回る賃料と、借換えで削られる成長 利益 49 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 171.62 ドル560 億ドル
2035 年、賃貸中の面積は 2.02 億平方フィート(年 +0.6%)、1 平方フィートあたり収入は物価 1.41 倍に実質 +5%(年 +0.5%)の約 51.4 ドルで売上約 114 億ドル。営業利益率は 53%。利払いは 2026 年より約 8 億ドル増えて全て約 5.75%。再開発は累計 50 億ドルで正味 AFFO を約 4 億ドル押し上げる。正味 AFFO は約 49 億ドル(2026 年の約 37 億ドルから年 2.7%)。配当は年 3.5%。占有は 95〜96% で安定し、A 級が主力のまま B 級の一部が閉鎖される。ブランドの出店は増えもせず減りもせず、競合のマセリックとは同じ程度の伸びになる。成熟した姿。g 4.0%・ROE 20.6%・k 8.75% の式(正当化 PER 15.3 倍)の 7.5 割にあたる 11.43 倍を利益に掛けて、時価総額は約 560 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 336 億ドル(正味 AFFO の累計 437 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 101 億ドルを引く)。AFFO は 2026 年の約 37.0 億ドルから 2035 年に約 49.0 億ドル、期間の GAAP 純利益の累計は約 216.3 億ドル(償却を引いた後。AFFO の累計は約 427.5 億ドル)。
- 米国のモール・プレミアムアウトレット・ミルズ(タブマン含む):数量 202(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 51(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル。賃料+共益費の回収))→ 売上 104 億ドル・営業利益 55 億ドル。賃料 実質 年 +0.5%・面積 年 +0.6%
- 海外・その他(ヨーロッパ・アジアのアウトレット、メディア・ブランド):数量 11.0(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 93(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 6 億ドル。横ばい
倍率:2025 年の実績(億ドル。OP 全体):GAAP 純利益 46.2 + 償却 22.2(連結 14.1・持ち分 8.1)− 再測定益 28.9(タウブマンの持ち分の評価替え)+ 非支配持ち分・一過性などの調整 8.5 = 不動産 FFO 48.1、− 維持の支出(テナント手当 3.4・運営の設備投資 3.0)= 41.8、普通株分(87%)36.5 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 35.5。2026 年は FFO(普通株分)43.2 − 維持 約 5.2 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 37。 利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 -122.0 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE (負・計算不能) は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 49.0 + 借入金利 5.75% × 純負債 568)÷(今の自己資本 52 + 純負債 568)= 13.2%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 20.6%。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.7%、正当化 PER は 15.3 倍。 上限は利益 49.0 × 15.3 倍 = 750 億ドル。置いた 11.43 倍は上限の 7.5 割。 EV でも見た:(時価総額 560 + 純有利子負債 568)÷ 営業利益 56 = 20 倍と高く出るのは、REIT の営業利益が減価償却後で小さいため。利払い前のオーナー利益(利益 49.0 + 借入金利 5.75% × 純負債)81.7 で割ると 13.8 倍で、利益の倍率で出した値と食い違わない。
確率:業界ノートの中立(貸床 年 +0.5%・賃料 年 +3.5%・占有 95〜96%)に実質 +0.5%/年を加え、借換えの重しを入れた。
やや悲観 18% やや悲観:B・C 級の衰退が A 級にも及び、賃料が物価に負ける 利益 40 億ドル · PER 9.1 倍 · 株価時価総額 111.90 ドル365 億ドル
2035 年、賃貸中の面積は 1.95 億平方フィート(閉店と用途転換)、1 平方フィートあたり収入は物価 1.41 倍に実質 −3% の約 47.5 ドルで売上約 93 億ドル。営業利益率は 50%。利払いは約 10 億ドル増え、借換えが成長を食う。再開発は縮み、正味 AFFO は約 40 億ドル。配当は年 1〜2%。占有は 93〜94% に下がり、百貨店の撤退跡の埋まりが遅い。サイモンの A 級は持ちこたえるが、中位のモールとアウトレットで賃料の値引きが目立ち、タブマンの利益率の改善も計画の半分にとどまる。成長 2% の段。g 4.0%・ROE 17.7%・k 8.75% の式(正当化 PER 14.7 倍)の 6.2 割にあたる 9.13 倍を利益に掛けて、時価総額は約 365 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 300 億ドル(正味 AFFO の累計 384 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 84 億ドルを引く)。AFFO は 2026 年の約 37.0 億ドルから 2035 年に約 40.0 億ドル、期間の GAAP 純利益の累計は約 173.7 億ドル(償却を引いた後。AFFO の累計は約 384.8 億ドル)。
- 米国のモール・プレミアムアウトレット・ミルズ(タブマン含む):数量 195(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 48(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル。賃料+共益費の回収))→ 売上 93 億ドル・営業利益 46 億ドル。賃料 実質 −3%
- 海外・その他(ヨーロッパ・アジアのアウトレット、メディア・ブランド):数量 10.0(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 85(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 4 億ドル。縮小
倍率:2025 年の実績(億ドル。OP 全体):GAAP 純利益 46.2 + 償却 22.2(連結 14.1・持ち分 8.1)− 再測定益 28.9(タウブマンの持ち分の評価替え)+ 非支配持ち分・一過性などの調整 8.5 = 不動産 FFO 48.1、− 維持の支出(テナント手当 3.4・運営の設備投資 3.0)= 41.8、普通株分(87%)36.5 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 35.5。2026 年は FFO(普通株分)43.2 − 維持 約 5.2 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 37。 利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 -129.0 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE (負・計算不能) は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 40.0 + 借入金利 5.75% × 純負債 568)÷(今の自己資本 52 + 純負債 568)= 11.7%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 17.7%。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.2%、正当化 PER は 14.7 倍。 上限は利益 40.0 × 14.7 倍 = 587 億ドル。置いた 9.13 倍は上限の 6.2 割。 EV でも見た:(時価総額 365 + 純有利子負債 568)÷ 営業利益 46 = 21 倍と高く出るのは、REIT の営業利益が減価償却後で小さいため。利払い前のオーナー利益(利益 40.0 + 借入金利 5.75% × 純負債)72.7 で割ると 12.8 倍で、利益の倍率で出した値と食い違わない。
確率:消費の循環と EC への置換で賃料が実質で下がる確率を 18% に置く。小売の構造変化と金利 5% の長期化。
悲観 12% 悲観:EC への置換と借換え難で、優良さを失う 利益 28 億ドル · PER 7.9 倍 · 株価時価総額 67.78 ドル221 億ドル
2035 年、A 級の賃貸は残るが、中位のモールとアウトレットが大きく空く。賃貸中の面積は 1.8 億平方フィート、1 平方フィートあたり収入は物価 1.41 倍に実質 −15% の約 41.6 ドルで売上約 75 億ドル。営業利益率は 45%。借換えが 5.75% を超える水準になり、利払いは 12 億ドル以上増える。借金を減らすため優良物件を安く売り、配当を 2 割削る。正味 AFFO は約 28 億ドル。もう優良とは言えない。g 4.0%・ROE 13.8%・k 8.75% の式(正当化 PER 13.6 倍)の 5.8 割にあたる 7.90 倍を利益に掛けて、時価総額は約 221 億ドル。ブランドが実店舗を絞り、ネット通販の置換が A 級の下位にも及ぶ。サイモンは借金の返済を優先して再開発を止め、タブマンの回収も遅れる。 10 年の純利益の累計は約 182 億ドル(正味 AFFO の累計 299 億ドルから、減価償却・維持の設備投資などの差の累計 117 億ドルを引く)。自己資本は、今の 52.1 億ドルに GAAP の累計 112 億ドルを足し、還元 300 億ドルを引いて -136 億ドル。AFFO は 2026 年の約 37.0 億ドルから 2035 年に約 28.0 億ドル、期間の GAAP 純利益の累計は約 112.0 億ドル(償却を引いた後。AFFO の累計は約 323.1 億ドル)。
- 米国のモール・プレミアムアウトレット・ミルズ(タブマン含む):数量 180(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 42(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル。賃料+共益費の回収))→ 売上 75 億ドル・営業利益 34 億ドル。賃料 実質 −15%
- 海外・その他(ヨーロッパ・アジアのアウトレット、メディア・ブランド):数量 9.0(賃貸中の貸床面積(百万平方フィート))× 価格 70(1 平方フィートあたりの年間収入(ドル))→ 売上 6 億ドル・営業利益 3 億ドル。縮小
倍率:2025 年の実績(億ドル。OP 全体):GAAP 純利益 46.2 + 償却 22.2(連結 14.1・持ち分 8.1)− 再測定益 28.9(タウブマンの持ち分の評価替え)+ 非支配持ち分・一過性などの調整 8.5 = 不動産 FFO 48.1、− 維持の支出(テナント手当 3.4・運営の設備投資 3.0)= 41.8、普通株分(87%)36.5 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 35.5。2026 年は FFO(普通株分)43.2 − 維持 約 5.2 − 株式報酬 約 1 = AFFO 約 37。 利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k は 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%。 検査の g は 4.0%(長期の上限)。 帳簿の自己資本 -136.0 億ドルは減価償却・還元で小さく、帳簿の ROE (負・計算不能) は使えない。決まりどおり ROIC の式で出す:ROIC =(利益 28.0 + 借入金利 5.75% × 純負債 568)÷(今の自己資本 52 + 純負債 568)= 9.8%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利)× 負債比率 1(上限)= 13.8%。 moat は 普通(残る割合 0.50)、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.3%、正当化 PER は 13.6 倍。 上限は利益 28.0 × 13.6 倍 = 380 億ドル。置いた 7.90 倍は上限の 5.8 割。 EV でも見た:(時価総額 221 + 純有利子負債 568)÷ 営業利益 31 = 25 倍と高く出るのは、REIT の営業利益が減価償却後で小さいため。利払い前のオーナー利益(利益 28.0 + 借入金利 5.75% × 純負債)60.7 で割ると 13.0 倍で、利益の倍率で出した値と食い違わない。
確率:構造的な負けの確率を 12% に置く。借金が重く、景気後退と金利高が重なれば、配当削減と物件売却を迫られる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国のモール・プレミアムアウトレット・ミルズ(タブマン含む)
A 級のモール、プレミアムアウトレット、ミルズの賃料収入。店舗の売上が伸びると売上連動の賃料と更新時の上げ幅が入る。
| 数量賃貸中の貸床面積(百万平方フィート) | 価格1 平方フィートあたりの年間収入(ドル。賃料+共益費の回収) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 170 | 35 | 59 | 31 |
| 10 年後 中立 | 202 | 51 | 104 | 55 |
取り方:連結売上 64 億ドルのうち海外・その他を引いた約 59 億ドルを、賃貸中の面積 約 1.7 億平方フィート(占有 96% の貸床。タブマンは 10〜12 月期のみ連結のため通年換算より少ない)で割り、1 平方フィートあたり約 35 ドルと置いた。営業利益は NOI 率 約 72% から減価償却を引いた約 53%。
海外・その他(ヨーロッパ・アジアのアウトレット、メディア・ブランド)
連結する海外物件の賃料と、ブランド・メディア投資の収益。合弁の持ち分は利益に入るが売上には入らない。
| 数量賃貸中の貸床面積(百万平方フィート) | 価格1 平方フィートあたりの年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 8.0 | 63 | 5 | 3 |
| 10 年後 中立 | 11.0 | 93 | 10 | 6 |
取り方:連結売上 64 億ドルから米国のモール分 59 億ドルを引いた約 5 億ドルを、連結する海外物件・メディア・ブランドの面積 約 0.08 億平方フィート換算で割った推定。メディア・ブランドは面積換算の単価に含めた。営業利益率は約 54%。
リスクと懸念
借金の重さと借換え
純有利子負債は時価総額の約 85%。2026 年後半〜2027 年に無担保債約 45 億ドルが満期で、5% 超の金利で借り換えると、10 年で利払いが約 10 億ドル(正味 AFFO の約 3 割弱)増える。長期金利が 6% を超えると、成長が削られ、評価額も下がる。
消費の循環と店舗売上
店舗の売上は 1 平方フィートあたり 838 ドルで +13.9% と高い。景気後退で売上が減ると、占有費用率が上がり、賃料の上げが止まる。2008〜09 年は SPG −65%、2020 年は −63%。借金が重い分、落ち幅は REIT の平均より大きい。
テナントの破産と閉店
2026 年はサックスの破産で約 100 万平方フィートが返却された。再賃貸で約 0.44 億ドルの賃料が見込まれるが、効果は 2027 年。百貨店・衣料の破産が続けば、核テナントの空きが A 級のモールの足を引く。
EC と構造の変化
EC は店舗の役割を体験と受け取りに変えた。A 級は影響が小さいが、B・C 級や買い物の習慣の変化が続けば、モール全体の評価の見方を曇らせる。再開発は用途転換(住居・ホテル・オフィス)を伴い、実行の難しさもある。
海外・観光の鈍化
国境近くのアウトレット、ラスベガス、オーランドは国際旅行の減少で伸びが鈍い。ヨーロッパ・アジアの合弁は為替を動かさないと置くが、地域の景気の影響を受ける。ドルの価値が削られる世界では、海外の評価が揺れる。
タブマンの統合と資本配分
タブマンの残り 12% の追加取得で 100% になり、利益率の改善(+300bp、さらに 200bp 見込み)が計画。達成できない場合、買収価格に見合う回収が遅れる。再開発(年 10 億ドル前後)の利回りが 9% を割れば、資本配分の質が下がる。
今後の分かれ目
- 長期金利が 6% を超え、借換えの金利が 7% 近くになったら
- 正味 AFFO の成長が 1% 台に落ち、倍率も 1〜2 倍下がる。やや悲観・悲観の確率を上げ、価値は大きく下がる。
- 小売の店舗売上の伸びが 2 桁から 3% 未満に落ち、占有費用率が 14% を超えたら
- 賃料の上げが止まる信号。やや悲観の確率を上げ、中立の賃料の伸びを物価並みに下げる。
- 再開発の利回りが 9% を維持し、新規契約の賃料が 2 桁で伸び続けたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げ、10 年後の正味 AFFO を 1 割上げる。希少な立地の価値が借換えの重さを上回る。
- サックスに続く大きなテナントの破産が出て、占有が 95% を割ったら
- 賃料と NOI が 2 年下がる。やや悲観の確率を上げる。A 級に影響が及ぶかが分かれ目。
- 長期金利が 4% 台に下がり、物件の買収利回りが 5.5% 台に下がったら
- 評価額と倍率が 2 倍ほど上がる。ただし本稿は金利の低下を当てにしないので、上振れの要因として別に見る。
- サイモンが優良物件を大きく売って借金を減らし、配当を抑え始めたら
- 資本配分の質が下がる信号。悲観の確率を上げ、payout を引き下げる。
見ておくもの
- 同一物件 NOI の伸びと占有(96%)、新規契約の賃料の上がり幅
- 店舗の売上(1 平方フィートあたり)と占有費用率(12.5%)
- 借換えの金利と満期の消化(2026 年後半〜2027 年に約 45 億ドル)
- 再開発の利回り(9%)と開始額、タブマンの利益率の改善
- 小売業者の破産と閉店、マセリックなど競合の占有
- 10 年国債の利回りと、優良物件の買収利回り
倍率と資本コストの決め方
今の値段(正味 AFFO の約 18 倍)を見る前に、セグメントごとに面積×1 平方フィートあたり収入で売上を積み上げ、正味 AFFO を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)÷(k − g)(RONIC = k + 1/2 ×(事業の ROE − k))に、k 8.75%(基本 8% + quality +0.75%)・g 4.0%・事業の ROE(自己資本が負か 0 前後なので、ROIC +(ROIC − 利率)× 負債比率 1 の式で 13.8〜24.8%)を入れ、その 6.5〜8.7 割に置いた(中立は上限 15.3 倍の 7.5 割で 11.4 倍。楽観 12.3・やや楽観 11.4・やや悲観 9.1・悲観 7.9 倍)。業界ノートの「モール P/FFO 12〜15 倍」は FFO 基準で、正味 AFFO では 14〜17 倍に当たる。中立の 11.4 倍はそれを下回るが、k が 8.75% と高く(借金が重い)、利益ベースの上限がそこで決まるため。結果として中立は今の時価総額を下回り、楽観で上回る。倍率を今の 18 倍に寄せていない。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%(内訳と理由は quality_why)。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。