結論
平山ホールディングスは、製造工場の中に人と管理者を送り込み、生産工程そのものを請け負う会社である。筆者の結論は「割安」だ。工場の実作業にはAIが直ちに代わりにくく、値上げと現場改善の実績がある。利益を生む事業の規模と株主に返る現金を十年で積み重ねると、確率を織り込んだ現在価値は約203億円となり、基準時価総額約130億円を約56%上回る。
ただし、派遣会社の利益は顧客工場の稼働率と募集費に左右される。2026年6月期の営業利益率5.1%は過去最高で、退職給付費用の減少という一時的な追い風も含む。技術者のうちソフトウェア開発・事務寄りの仕事はAIエージェントに奪われうるため、過去十年の高成長をそのまま延ばす判断はしない。
主力には一万人規模の労働供給網、顧客工場に入り込んだ請負管理、教育センターという持続する価値がある。一方、競合のUTグループや日総工産に比べて規模は小さく、賃金の転嫁は顧客の承認を要する。2030年の会社目標は野心的で、中立の将来売上はその達成を前提にしていない。純現金は厚いが、特殊電極への投資や運転資金の拘束を除いて評価する。それでも現在の値段は、製造現場の需要がほどほどに維持される未来に対して低いと考える。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、工場の設備を持たずに工場の仕事を請け負うという発想を評価できる。顧客が生産量を変えたとき、建物と大型装置に投じた資本を抱えずに対応できる。人材を育てて設備保全や工程管理へ移す仕組みが機能すれば、同じ人数でもより高い単価を請求でき、増分の利益は資本コストを上回りやすい。2026年に現場改善と値上げの双方が利益へ結びついたことは、その可能性を示している。
ただし、働き手を雇用する責任そのものは重い。契約が止まってもすぐに賃金、社宅、採用費を止められるわけではない。顧客が工場を閉じたときに派遣元だけが負う損失があり、景気の谷の純利益を軽く扱えない。顧客に特別な許認可や独自製品を預けているわけでもなく、永遠に高い利幅を保てる会社だとは言い切れない。
最大の見落としは、黒字のすべてが株主に自由に使える現金ではないことだ。採用教育を続け、外国人材の支援網を維持し、工場の需要変化へ移れる余力を確保する必要がある。加えて特殊電極への投資には、既存の請負業務と結びついた利益が本当に生まれるかという検証がいる。買収の多角化が目的化するなら評価を下げる。現時点では事業の寿命に必要な資金を残しながら増配してきた姿勢を評価する。
筆者が払う価値があると見るのは、将来の採用人数の約束そのものではない。現場に根差した作業は残り、価格を上げる交渉力も完全には失われず、過大な買収を避けるという三つの条件が続く場合の利益である。反対に、事務とソフト開発がAIに代わり、高い採用費だけが残る筋書きには大きな安全域を求める。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱はインソーシング・派遣事業で、2026年6月期の売上約308億円は連結全体の約81%を占める。製造業の顧客が自社工場の工程を外注すると、平山は作業者だけでなく工程管理者や改善担当者も配置する。人材派遣の時間単価と請負工程の生産性が、受け取る金額と残る利益を左右する。医療機器、半導体、電子部品、自動車に加え、防衛関連や物流、外食の製造・作業現場へ広がっている。
現場では期末の常用従業員約2,700人と年間平均の臨時従業員約4,800人が働く。研修センターで設備保全や工程改善を教え、未経験者を単価の高い現場へ送り出す。受け入れた工場は教育と配置を平山に任せられるが、契約を解けば他社へ切り替えられる。工場内に作業場を持ちながら大型工場の設備を所有しない点が、資産の軽さにつながる。
技術者派遣は売上約32億円の小さい事業だ。搬送設備、航空機、機械・電気設計、制御・組込ソフトの技術者を派遣する。設備の点検や設置に人が行く仕事は残りやすい反面、図面作成、コード生成、試験記録の作業時間はAIに圧縮される。このため技術者派遣の中でも現場系とデジタル系を別々に考える。
海外事業は主にタイの工場派遣で、売上約25億円と小さい。タイの自動車生産と設備稼働率が弱ければ、雇用者が増えても利益を確保しにくい。その他の約14億円には外国人労働者の採用・在留管理支援、現場改善コンサルティング、福祉関連などが入る。管理書類と研修内容の作成は自動化されやすく、実際の現場訪問や許認可対応とは分けて評価する。
優良さと弱いところ
平山の競争力は、工場で働く人を採るだけでなく、教育して定着させ、現場の改善まで引き受ける仕組みにある。製造請負優良適正事業者認定を早期に取得し、2026年にも更新している。設備保全を学ぶ研修や外国人材の受け入れ体制があるため、単純な人数の売買に比べれば顧客に入り込みやすい。直近決算では多数の顧客が派遣単価の引き上げを承認し、主力セグメントの利益が売上より速く伸びた。
もっとも、これは独占的な堀ではない。派遣単価は顧客の調達部門との交渉で決まり、募集賃金を上回る値上げが常に通る証拠はない。顧客内の工程管理ノウハウは切り替えの手間を増やすが、UTグループ、日総工産、地域の派遣会社も同じ工場を狙う。契約更新と入札で価格競争が再燃すれば、営業利益率はすぐに縮む。
資本の使い方には一定の成果がある。2015年6月期の自己資本約15億円に対し、2026年は約59億円となり、純利益も約2億円から約13億円へ伸びた。差額同士の比較では投下された自己資本の増分に対する利益の増加は大きいが、買収効果と好況期の単価改善を含むため、その比率が十年続くとは考えない。純現金に余裕があり大きな設備投資も要らないことは長所だが、採用広告、研修給与、寮、管理者への支出を止めれば稼働人数も減る。営業利益ではなく、採用維持に必要な支出を引いた株主の取り分を見たい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の製造請負・製造派遣市場は、会社資料によれば2030年度に約2兆7,060億円となる見通しだ。年率1.7%程度の市場成長は主として国内工場の外注化や人材不足を背景とする。これを遡った2026年の市場規模は約2兆5,300億円と推定でき、平山の主力売上のシェアは約1.2%にすぎない。売上規模で先行するUTグループや日総工産に加え、地場の請負会社が多数残る分散市場であり、小さなシェア獲得は可能だが採用能力が制約になる。
技術者派遣について同じ会社資料は2030年度の市場を約1兆8,040億円、年率成長を4.4%と見ている。2026年へ割り戻した約1兆5,200億円に対して平山の売上シェアは約0.2%である。競合のテクノプロは単体売上が約2,000億円で、技術者数も数万人に達する。大手が研究開発費と採用網で先行するため、平山には航空機、設備保全、工程管理のような狭い現場技術で勝つ道が残る。
労働供給の制約がいちばん厳しい。少子高齢化で国内の就業可能人口は減り、製造業の国内回帰だけで頭数が増え続けるわけではない。工場の自動化は現場作業の総人数を減らす反面、設備を直す技術者の需要を増やす。AIエージェントは技術者の資料作成や検査プログラム、外国人雇用支援の事務処理を代替するが、機械の点検、現物の組み立て、生活支援や対面での法令確認を丸ごと代替しない。タイでは自動車産業の弱さが続く一方、電気自動車向けの新規顧客が増えている。国内の規制では派遣法、同一労働同一賃金、外国人の育成就労・特定技能制度の変更が、単価と管理費に直接跳ね返る。
資本政策と M&A
株主還元には具体的な約束がある。会社の2030年計画は売上600億円、営業利益36億円、営業利益率6%、ROE24%超に加え、正社員採用5,000人、就労者15,000人を掲げる。配当性向は従来の30%超から40%超へ引き上げ、翌年度の自社株取得を含む総還元性向は50%以内とする。2026年6月期にも増配しており、少数株主への現金の戻り方は一定程度確認できる。
ただし、計画の進捗は直線ではない。以前の計画で2027年6月期に売上460億円を目指していたのに対し、最新の年度予想は約393億円である。採用人数を急増させながら利益率も改善するという両立は容易ではない。2026年の高い利益には退職給付費用減少の一時要因もある。
過去の買収では2009年のトップエンジニアリング、2018年のFUNtoFUNや平和鉄工所が事業範囲を広げた。2025年のFUNtoFUN吸収合併は販管費を効率化し、2026年7月には特殊電極の約27%を約15億円で取得した。後者は溶接・表面処理の現場技術を取り込む狙いがあるが、今後の持分法利益と一過性の負ののれんを永続利益には含めない。2026年8月には運転資金のため20億円の借入も公表した。2027年初めにはケディックスホールディングスへの商号変更を予定しているが、名称の変更を新しい継続収益とはみなさない。買収後に自由に使える現金は決算末の純現金全額ではない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
製造請負の本質は労働者の紹介ではなく、生産ラインを途切れさせない責任を顧客に代わって負うことである。顧客の現場に管理者を常駐させれば、安全教育、品質、歩留まり、作業標準を把握できる。大手顧客が工程を切り替えるには、別の派遣元を探すだけでは足りず、改善ノウハウまで再構築しなければならない。医療機器、防衛関連、半導体のように品質管理の重い仕事が増えるほど、この手間は競争力に転化する。製造請負の市場は多数の小規模会社に分散しているため、資金と研修設備を持つ企業への集約も続きうる。
実績も後押しする。2026年6月期の主力事業は顧客からの単価引き上げ承認と工程改善によって大幅増益となった。単価を上げても請負範囲を維持できるなら、人数の増加が鈍くても売上総利益を増やせる。研修で設備保全の技能者を育て、海外の採用ネットワークと組み合わせる戦略は、国内人口減少への具体的な対策になっている。2030年計画の600億円という売上目標は強気だが、工場の国内回帰と顧客一社当たりの工程拡大が重なれば、実現の余地がある。
特殊電極の技術と顧客網を活用できれば、単なる工数販売を高付加価値の保全請負へ切り替えられる。現場の作業はAIが記録を作っても消えない。過去数年の増配は、稼いだ資本を株主に戻す意思も示している。成功すれば利益率と稼働人数の両方が伸び、現在の時価総額には相当の余裕がある。
慎重な見方
人材派遣と請負には、顧客にとって一社だけを選ぶ必然性が乏しい。賃上げが必要な局面では顧客が派遣単価を上げても、募集広告、入社手当、住宅補助が先に膨らみ、派遣元の取り分は薄くなる。製造業が景気後退でラインを閉じたときは、人数の契約を減らす判断が速い。一方、労働者の雇用、社宅の賃貸、管理部門の固定費を同じ速さでは減らせない。過去にも営業利益率が1%に満たない年があったという事実は、2026年の高い利益率だけを長期の実力とみなせないことを示す。
AIエージェント代替は事務系の請負と技術者派遣の一部で深刻になる。設計補助、コード作成、試験記録、外国人管理の定型書類や研修資料は、人が一人一年かけて処理する件数が増えても、顧客が支払う工数を減らせる。競争が激しいデジタル系の仕事では数量が減るうえ、単価も一般物価ほどは上がらない。これは企業がAIを使って採用事務を効率化するメリットとは別に、顧客が外注する人月を削る構造変化である。
経営面の弱点もある。2027年の見通しは過去の中計目標より下であり、2030年に人数と利益率を同時に大きく伸ばすには採用が急改善しなければならない。特殊電極の株式取得など、請負から離れた資本配分が増えると現金の安全性は低下する。支配的な株主の下では、少数株主が買収や余剰資金の使途を主導しにくい。将来の赤字と組織再編費用が純現金を侵食する筋書きを無視できない。
どちらに重みを置いたか
現場作業の実需、値上げの実績、研修基盤については強い見方に説得力がある。一方、採用競争の厳しさと野心的な計画、特殊電極への投資判断は、慎重な評価を必要とする。確率は上側30%に対し下側42%へ寄せた。下に寄せた理由は、2026年の一時的な増益を十年間保てないことと、採用・M&Aの実行をまだ見届けていないことだ。AI代替は数量と長期成長率に反映済みで、同じ理由で確率や資本コストをさらに罰していない。この保守性を入れても現在価値は時価総額を上回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,118 円325 億円(+ 還元の換算額還元の合計 468 円72 億円)。 今の値に割り戻すと 1,326 円203 億円、今との差 +56.2%、 期待の年率 +13.4%(資本コスト 7.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 5,231 円802 億円 | 913 円140 億円 | +623.7% | +25.2% | 737 円113 億円 |
| やや楽観 | 18% | 3,519 円539 億円 | 698 円107 億円 | +396.7% | +20.0% | 759 円116 億円 |
| 中立 | 28% | 2,470 円379 億円 | 528 円81 億円 | +253.2% | +15.4% | 840 円129 億円 |
| やや悲観 | 26% | 518 円79 億円 | 294 円45 億円 | −4.4% | −0.6% | 211 円32 億円 |
| 悲観 | 16% | 196 円30 億円 | 52 円8 億円 | −70.8% | −12.5% | 40 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,118 円325 億円 | 468 円72 億円 | +204.6% | +13.4% | 2,586 円396 億円 |
今の株価時価総額 849 円130 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 現場の付加価値化と請負シェア拡大 利益 46 億円 · PER 16.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,231 円802 億円
国内の製造請負市場で平山のシェアは現在の約1.2%から2%近くまで広がり、顧客工場の工程をまとめて引き受ける仕事が増える。工場内で7,500人余りが働く主力部門は、設備保全や半導体製造ラインの請負増加によって一万人を超える。値上げが賃金上昇を上回り、工程改善で不良率と空き時間も減るため、主力部門の営業利益率は二桁へ高まる。
技術者では航空機、溶接設備、保守管理など現物の技術者が増員される。ソフト開発はAIエージェントにより必要工数が減るが、他社を上回る組込設計の案件を残して急減は避ける。タイでは電気自動車や電子部品向けの新規受注が伸びる。特殊電極との協業が高付加価値の保全請負につながり、過去に買収した事業の統合も進む。
採用教育への投資が実際の配置人数と単価に結びつき、営業利益は60億円台になる。会社の2030年目標は早期に射程に入り、増配と限定的な自社株取得が続く。大量の設備投資は不要で、還元後にも余剰資金が残る。ただし、AIに置き換えられる業務の数量まで増えるとは考えず、利益拡大の中心は現場の仕事に限る。
- インソーシング・製造請負・現場派遣:数量 10,949(国内の稼働人員(人、常用+臨時平均))× 価格 0.06(稼働人員1人当たり年間売上(億円、派遣料・工程請負料を含む))→ 売上 633 億円・営業利益 71 億円。物理現場の稼働人員は現在の1.45倍、単価は1.42倍。工程改善と高単価の設備保全への移行が進む。
- 技術者派遣・設備保全と機電の現場:数量 650(現場・機電系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.07(現場・機電系技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 49 億円・営業利益 4 億円。高技能の保全・機電技術者の需要が強く、人数・単価とも大きく伸びる。
- 技術者派遣・組込ソフト等の工数:数量 191(ソフト・デジタル系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.07(稼働技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替により人月は0.90倍止まり。価格は名目で1.34倍以内。
- 海外の現場派遣(主にタイ):数量 3,402(タイ等の稼働人員(人、現場と臨時の合計))× 価格 0.01(海外稼働人員1人当たり年間売上(億円、円換算))→ 売上 50 億円・営業利益 3 億円。タイの工場稼働回復と新規EV関連顧客で増員。
- 外国人管理支援・改善コンサル・その他:数量 166(支援・コンサル等の従事人員(人、稼働能力の代理))× 価格 0.11(従事人員1人当たり年間売上(億円、支援料・請負料含む))→ 売上 18 億円・営業利益 5 億円。コンサル・管理事務のAI縮小は残し、対面支援と管理単価で収益を維持。
倍率:余剰現金65億円を事業の自己資本・純利益から区分。事業純利益45.34億円、事業ROE31.3%、k7.75%、超過ROEが半分残るRONIC19.5%、g_long2.5%で正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=16.61倍。上限を人為的に減らさず、65億円×戻り方0.75を別に加える。
確率:工場請負のシェアが約1.2%から2%近くへ拡大し、利益率も大幅改善するには、採用、保全技術、価格転嫁、M&A連携の複数の成功が必要なため12%にとどめる。AIに弱い人月系を増収要因としない。
やや楽観 18% 育成と単価改善が着実に進む 利益 32 億円 · PER 16.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,519 円539 億円
国内製造業の再編と人手不足が続き、大手工場では複数の下請けをまとめて請負管理できる業者への需要が増す。平山は研修センターと全国の採用網を使い、主力の就労人数を一万人弱まで増やす。機械保全、医療機器、防衛関連に重点を移して単価改善も進み、主力部門の採算は改善する。市場全体の伸びより速く成長するが、独占的な価格決定力を得るわけではない。
技術者のうち現場設計や設備点検は増員でき、ソフトウェア系はAIが設計補助やテストを肩代わりするため実際の人月が約四分の一減る。外国人管理支援も定型手続きが効率化し、同じ売上を得るための人員増は不要になる。タイでは自動車関連の稼働が緩やかに回復する。
買収事業の統合が進む一方、特殊電極の持分法利益は持続的な営業利益とは区別される。会社の目標に一歩届かない年があっても、主力の改善活動が定着することで高い資本効率と安定配当を保つ。
- インソーシング・製造請負・現場派遣:数量 9,665(国内の稼働人員(人、常用+臨時平均))× 価格 0.06(稼働人員1人当たり年間売上(億円、派遣料・工程請負料を含む))→ 売上 536 億円・営業利益 54 億円。稼働人数1.28倍、単価1.36倍。大手顧客の請負化と技能向上が続く。
- 技術者派遣・設備保全と機電の現場:数量 552(現場・機電系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.07(現場・機電系技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 40 億円・営業利益 3 億円。航空機と設備点検の技術者を中心に増える。
- 技術者派遣・組込ソフト等の工数:数量 159(ソフト・デジタル系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.07(稼働技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で人月0.75倍、単価は物価未満の1.28倍。
- 海外の現場派遣(主にタイ):数量 2,880(タイ等の稼働人員(人、現場と臨時の合計))× 価格 0.01(海外稼働人員1人当たり年間売上(億円、円換算))→ 売上 42 億円・営業利益 2 億円。タイの現場派遣が持ち直すが市場構造は変わらない。
- 外国人管理支援・改善コンサル・その他:数量 140(支援・コンサル等の従事人員(人、稼働能力の代理))× 価格 0.10(従事人員1人当たり年間売上(億円、支援料・請負料含む))→ 売上 15 億円・営業利益 4 億円。外国人支援の事務効率化により工数は減り、営業利益率もやや下がる。
倍率:余剰現金50億円を区分した事業純利益31.23億円、事業ROE24.2%。k7.75%、超過利回り半減によるRONIC約16.0%、長期名目成長g2.5%から正当化PER16.07倍の上限そのものとし、余剰現金50億円の75%を別に評価。
確率:請負化と教育投資の効果で採用人員・単価が市場平均を上回る筋書き。工場の現場需要は持続するが、管理能力の拡大には採用費がかかるため18%。
中立 28% 現場は残り、工数型だけ細る 利益 23 億円 · PER 15.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,470 円379 億円
製造現場の外注化が続き、主力の稼働人数は約7,550人から約8,680人に増える。国内の人材不足と競合による採用争奪のため、増加率は会社の2030年目標より穏やかだ。派遣料金は多数の顧客で引き上げられるが、賃金と社宅費も増え、主力の採算改善は段階的に進む。市場全体よりわずかに速く伸び、国内製造請負でのシェアは約1.5%となる。
現場系技術者は航空機・保全設備向けで増える一方、デジタル系の外注人月はAIエージェントが代替して十年間で約35%減る。外国人雇用管理の事務作業や改善コンサルの資料作成も自動化され、その他事業の数量は減る。海外事業はタイの低成長が続きながらも若干増員する。顧客が現場の物理的な仕事を必要とする構造は残るが、競合大手との規模差は縮まらない。
FUNtoFUNとの統合効果はある程度続き、特殊電極への投資は高い利回りを保証しない。会社の2030年売上600億円には届かなくとも、2036年の売上は約556億円、営業利益は32億円程度に育つ。配当と自己株取得を控えめに続け、株主の持ち分も増える。
- インソーシング・製造請負・現場派遣:数量 8,684(国内の稼働人員(人、常用+臨時平均))× 価格 0.05(稼働人員1人当たり年間売上(億円、派遣料・工程請負料を含む))→ 売上 464 億円・営業利益 42 億円。稼働人員約8,684人、単価は現行1.31倍でCPI1.34倍をわずかに下回る。市場シェア約1.5%。
- 技術者派遣・設備保全と機電の現場:数量 485(現場・機電系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.07(現場・機電系技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 34 億円・営業利益 2 億円。物理的な設備保全はAIが代替しにくく人数1.23倍、名目単価1.35倍。
- 技術者派遣・組込ソフト等の工数:数量 138(ソフト・デジタル系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.06(稼働技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型のAIエージェント代替。数量0.65倍、価格1.24倍(物価未満)。
- 海外の現場派遣(主にタイ):数量 2,540(タイ等の稼働人員(人、現場と臨時の合計))× 価格 0.01(海外稼働人員1人当たり年間売上(億円、円換算))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。タイ生産の弱さを織り込み、人数1.12倍で小幅増。
- 外国人管理支援・改善コンサル・その他:数量 122(支援・コンサル等の従事人員(人、稼働能力の代理))× 価格 0.10(従事人員1人当たり年間売上(億円、支援料・請負料含む))→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。BPO・コンサルを主とする慎重なAI代替。数量0.70倍、価格1.27倍。
倍率:余剰現金40億円を事業の利益・自己資本から区分し、事業純利益22.44億円、事業ROE19.34%。k7.75%、標準的な超過利回り残存率1/2のRONIC13.55%、長期g2.5%から正当化PER15.53倍の上限を使う。余剰現金は40億円の75%を別途加算。
確率:現場需要は残り、国内シェアも約1.5%に上がるが、AIが人月の一部を代替し、現場の採用・賃金競争も続く中心ケースを28%。下に寄せる理由:2026年の退職給付費用の追い風と採用・M&Aの実行不確実性があり、2030年計画をそのまま延長できない。
やや悲観 26% 採用競争と外注人月の減少 利益 7 億円 · PER 11.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 518 円79 億円
顧客である自動車・電子部品工場が自動化と海外移管を進め、人を使う工程の発注が減る。国内製造請負の市場全体が消えるわけではないが、UTグループや地域の派遣会社との価格競争が強くなる。平山の主力稼働人数は約6,800人となり、単価は名目で上がっても賃金、寮、採用広告費への転嫁が遅れる。利益率は目に見えて低下する。
ソフトウェア設計の外注工数はAIエージェントに削られ、海外のタイ事業も自動車生産の低迷から脱せない。外国人雇用管理では法制度の変更に追随する固定費が重く、単純な書類処理の対価は縮む。特殊電極との協業も新規案件を大きく増やすには至らず、買収の効果は投下資本に見合わない。
会社全体の売上は400億円台を保つが、営業利益は10億円を割り込む。配当を維持する努力は続いても利益額に合わせて抑制し、余った現金の一部を事業再建に回す。ここでは過去の好況期の値付けではなく、残った事業の稼ぐ力だけを資本に対する対価と考える。
- インソーシング・製造請負・現場派遣:数量 6,796(国内の稼働人員(人、常用+臨時平均))× 価格 0.05(稼働人員1人当たり年間売上(億円、派遣料・工程請負料を含む))→ 売上 346 億円・営業利益 23 億円。減産と採用難で人数0.90倍。派遣価格1.25倍では賃金上昇の一部が転嫁できない。
- 技術者派遣・設備保全と機電の現場:数量 394(現場・機電系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.06(現場・機電系技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。設備保全は残るが採用が止まり、価格上昇も物価を下回る。
- 技術者派遣・組込ソフト等の工数:数量 117(ソフト・デジタル系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.06(稼働技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。AI代替と内製化で数量0.55倍、価格1.12倍。
- 海外の現場派遣(主にタイ):数量 2,041(タイ等の稼働人員(人、現場と臨時の合計))× 価格 0.01(海外稼働人員1人当たり年間売上(億円、円換算))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。タイの自動車生産停滞で派遣人数減。値上げも限定的。
- 外国人管理支援・改善コンサル・その他:数量 96.0(支援・コンサル等の従事人員(人、稼働能力の代理))× 価格 0.09(従事人員1人当たり年間売上(億円、支援料・請負料含む))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。書類業務の価格競争とAI代替で工数0.55倍。
倍率:構造的に請負シェアを失うため、事業ROEは約6%で資本コスト7.75%を下回る。企業価値は稼ぐ力を上限とし、PER11.1倍は1/k=12.90倍より低い。余剰現金8億円の税後利息0.112億円を純利益から除外し、その75%を加える。過去のPBRやPERには依拠しない。
確率:請負の人員減と単価転嫁の遅れが同時に起こる可能性は製造業の景気循環に照らして相応に高い。収益性の改善が直近一年に偏るため26%。
悲観 16% 製造外注の縮小と再編損失 利益 −5 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 196 円30 億円
製造業の主力顧客が国内の一部ラインを閉じ、業務をロボットへ切り替える。工場の停止と海外移管で作業人数は約4,150人まで減り、請負契約の更新時には大手競合との単価競争も激しくなる。労働者の再配置や社宅解約には時間がかかり、正社員の人件費と本社機能の固定費が残る。改善請負の強みを維持できず、主力部門でも低い利益率が続く。
ソフト開発、研修資料、外国人雇用管理の定型手続きはAIエージェントへ移行し、外注工数は半分以下になる。タイでは製造業の停滞が長期化し、海外子会社を整理する。特殊電極との連携が失敗すれば、取得した株式の評価減や事業再編費用も生じる。採用投資の前倒しと契約終了が重なり、十年間の累積利益は後半の赤字と整理費で失われる。
2036年の売上は約230億円となり、営業利益は赤字で、自己資本も今より減る。前半に行った小さな配当の後は還元を止める。評価の最後の支えは将来の利益ではなく、運転資金や債務を差し引いて売却できる金融資産と関連会社持分であり、現預金を額面どおり株主が受け取れるとは見ない。
- インソーシング・製造請負・現場派遣:数量 4,153(国内の稼働人員(人、常用+臨時平均))× 価格 0.05(稼働人員1人当たり年間売上(億円、派遣料・工程請負料を含む))→ 売上 190 億円・営業利益 8 億円。工場の海外移転と自動化で稼働人数0.55倍、価格転嫁も1.12倍止まり。
- 技術者派遣・設備保全と機電の現場:数量 256(現場・機電系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.06(現場・機電系技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。現場の機電技術者まで請負発注が縮み、部門赤字。
- 技術者派遣・組込ソフト等の工数:数量 74.0(ソフト・デジタル系の推定稼働技術者数(人))× 価格 0.05(稼働技術者1人当たり年間売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で工数0.35倍、名目単価0.90倍。
- 海外の現場派遣(主にタイ):数量 1,474(タイ等の稼働人員(人、現場と臨時の合計))× 価格 0.01(海外稼働人員1人当たり年間売上(億円、円換算))→ 売上 18 億円・営業利益 −1 億円。タイ生産停滞と再編で人数が三分の一強減り、部門は赤字。
- 外国人管理支援・改善コンサル・その他:数量 61.0(支援・コンサル等の従事人員(人、稼働能力の代理))× 価格 0.08(従事人員1人当たり年間売上(億円、支援料・請負料含む))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。文書管理の業務委託が消え、対面支援等だけ残る。
倍率:最終純利益は赤字のため利益倍率を使わない。現時点の自己資本58.8億円を基準に床の資産価値30億円を評価し、PBR0.5102倍とした。十年間の赤字・再編費で縮んだ自己資本38億円に倍率を掛けて床を膨らませていない。過去の株価の谷から決めた倍率ではない。
確率:現場の自動化・海外移転に加えて人員整理、ソフト業務のAI移行、タイ低迷、投資失敗が重なる構造的衰退は低頻度だが、過去に利益率1%未満の年があり16%を認める。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
インソーシング・製造請負・現場派遣
工場の工程請負、製造ライン作業、保全補助、品質・工程管理。AIが代替しにくい実物の作業を中心とする。
| 数量国内の稼働人員(人、常用+臨時平均) | 価格稼働人員1人当たり年間売上(億円、派遣料・工程請負料を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 7,551 | 0.04 | 308 | 25 |
| 10 年後 中立 | 8,684 | 0.05 | 464 | 42 |
取り方:有報の2026年6月期の2,711人+臨時平均4,840人=7,551人を数量の代理とする。公式セグメント売上307.663億円÷7,551人=年407万円相当を単価とした。人数は常用期末と臨時平均の混合であり、実際の年間延べ派遣人月とは異なる推計。国内製造請負・派遣の2030年度市場2兆7,060億円と年率1.7%から2026年約2兆5,300億円を逆算し、会社のシェアは約1.2%。値段には物価3%と賃金転嫁の差を反映する。製造現場の物理作業なのでAI型は現場の体。
技術者派遣・設備保全と機電の現場
工場保全、航空機、搬送設備、機械電気設計、検証のうち現物・現場に依存する技術者派遣。
| 数量現場・機電系の推定稼働技術者数(人) | 価格現場・機電系技術者1人当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 394 | 0.05 | 21 | 1 |
| 10 年後 中立 | 485 | 0.07 | 34 | 2 |
取り方:技術者派遣の有報人員は常用586人+臨時平均20人の606人、売上は31.733億円。制御・組込ソフトと機電・設備保全の契約別開示がないため、現場系65%=394人を分析者が推計し、現在の平均単価は31.733億円÷606人の約524万円を共通に使用。売上20.632億円、利益も同率按分。AI型は現場の体であり数量は実作業の採用と市場シェアで考える。技術者派遣2030年度市場1兆8,040億円との比較は同じ領域の会社売上合計で行う。
技術者派遣・組込ソフト等の工数
組込ソフト、制御プログラム、設計補助・検証など、納品工数が収入に結びつきAI代替の余地がある業務。
| 数量ソフト・デジタル系の推定稼働技術者数(人) | 価格稼働技術者1人当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 212 | 0.05 | 11 | 0 |
| 10 年後 中立 | 138 | 0.06 | 9 | 0 |
取り方:有報の技術者派遣合計606人の35%に相当する212人をAIの影響を受ける組込ソフト・設計補助等へ仮按分した。契約別人数は非開示で、この35%は推計であり実測ではない。総売上31.733億円の35%約11.101億円を配分し、現在の単価は約524万円/人。AIエージェント代替型は人月・工数販売で、中立の数量を十年0.65倍、価格を1.24倍(物価1.34倍未満)とする。
海外の現場派遣(主にタイ)
タイの自動車、EV、電子部品などの工場へ人員を派遣し、生産や運転を支援する。
| 数量タイ等の稼働人員(人、現場と臨時の合計) | 価格海外稼働人員1人当たり年間売上(億円、円換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2,268 | 0.01 | 25 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2,540 | 0.01 | 37 | 1 |
取り方:有報の海外部門は常用34人+臨時平均2,234人=2,268人、売上24.649億円で1人当たり約109万円。海外はタイの景気と現地賃金に左右され、為替を150円に固定する。売上の現地通貨換算単価は非開示なので円換算の年間売上を代理とし、10年の物価分は単価にのみ反映する。AI型は製造現場の体で、事務部分は小さいとみる。
外国人管理支援・改善コンサル・その他
外国人採用・在留管理、工場改善コンサル、研修や福祉関連など。書類業務のAI代替と現場サービスを併せ持つ。
| 数量支援・コンサル等の従事人員(人、稼働能力の代理) | 価格従事人員1人当たり年間売上(億円、支援料・請負料含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 175 | 0.08 | 14 | 4 |
| 10 年後 中立 | 122 | 0.10 | 12 | 3 |
取り方:有報のその他セグメント常用115人+臨時平均60人=175人、外部売上14.109億円から年806万円相当を代理単価としている。これは管理を受託した外国人の人数や相談件数そのものではなく、稼働能力の推計である。外国人採用・管理支援市場2026年度3,303億円に対するその他事業全額の比率0.43%は上限であり実際のシェアとは異なる。コンサル・定型管理を主体とする保守的な人月・BPO型として、中立数量0.70倍、価格1.27倍、長期成長0%扱い。福祉・対面支援はAI影響が小さい。
リスクと懸念
採用難・賃上げと人員の稼働率
需要があっても人が採れなければ請負人数を増やせない。募集広告、入社手当、社宅、研修中の給与は契約開始前から発生し、顧客が派遣単価の引き上げに応じるまで利益を圧迫する。既存の顧客を失えば待機人員の負担が残り、好況期の高利益率は急速に薄れる。この非対称性を見落とせない。
AIエージェント代替
制御ソフトの設計補助、試験記録、工程報告、研修教材、外国人雇用管理の申請書類や問い合わせは、人が費やす工数が顧客にとって購入不要になる可能性がある。現場の保全・組み立て自体とは分け、中立ではデジタル技術者の工数を35%、その他の事務系等を30%削る想定とした。
自動車・半導体の投資循環
主力には自動車部品、半導体、電子デバイスの顧客が多い。装置投資や輸出が止まると工場の稼働率だけでなく外部作業者の契約人数が先に削られ、固定の賃金・本社費用が残る。防衛や医療機器への分散が進んでも、同じ年に複数の製造業が減産する複合不況は避けられない。
M&Aと運転資金の誤認
2026年7月の特殊電極持分取得は約15億円の現金利用を伴い、8月には運転資金20億円の新規借入が決まった。株式取得の負ののれん発生益は毎年得られる本業利益ではない。買収株式の価格変動や協業の不発により、見かけの純現金と実際の少数株主持分の価値が離れるおそれがある。
派遣・外国人材制度の変更
労働者派遣法、同一労働同一賃金、外国人の特定技能・育成就労制度が変われば、許認可の更新、受入れ支援、住居と労務管理の費用が増える。法令対応は競争上の参入障壁にもなるが、人材供給網を維持するための固定費が膨らみ、受け入れ先と本人の双方を失う可能性がある。
オーナー支配・株主還元の変化
主要株主上位10名の比率は約7割と高く、個人を含む支配株主の議決権は集中している。配当性向40%超という方針は評価できるが、実際には少数株主がM&Aの投資規模や現金の保有方針を変えにくい。過大な買収や増資が起きれば、事業が成長しても持ち分当たりの価値を損なう。
今後の分かれ目
- 2030年の就労人数が1万5,000人に近づき、主力の一人当たり売上も実質で維持できたら
- 採用網と教育の再投資利回りが予想以上に高いと判断し、主力の数量と利益率を楽観寄りに見直す。ただし増員だけで営業利益率が下がる場合は上方修正しない。
- 主力の派遣単価改定率が賃金上昇率を2年以上続けて上回ったら
- 現場の改善価値に値決め力があるという証拠が増えるため、利益率の持続性と堀の評価を引き上げる。
- デジタル系技術者の稼働人数と契約単価が同時に前年割れし、AI内製化を顧客が説明し始めたら
- 技術者派遣の人月縮小を速め、その他事業の工数も減らす。AI代替を資本コストや確率へ重複上乗せせず、数量・価格と長期成長率を修正する。
- 2027年以降の営業利益が一過性の会計益を除いても20億円を超え、採用費増を吸収したら
- 2026年の好調が単年で終わらない証拠として、中立の採算前提を上げる。持分法利益と営業利益を混同しない。
- 特殊電極との保全・溶接の共同案件が金額付きで開示され、追加投資利益率が資本コストを超えたら
- M&Aによる事業の強化を認める。逆に借入増だけが先行するなら余剰現金の評価をさらに減らす。
- 国内請負の稼働人数が前年から一割以上減り、受注単価にも値下げが生じたら
- 主力の切り替え負担が堀として機能しなかったと判断し、やや悲観・悲観の利益と清算可能資産を再評価する。
見ておくもの
- 主力インソーシング・派遣事業の就労人数、平均売上・請求単価、採用費と定着率
- 2030年計画に向けた正社員採用者5,000名、就労者15,000名の進捗
- 製造請負・製造派遣市場の成長率と国内シェア(会社推計の市場2兆7,060億円を基準)
- 技術者派遣の組込ソフト比率、AIエージェントによる顧客の工数削減
- タイの派遣人数と稼働率、海外事業の営業利益率
- 特殊電極の持分法損益、負ののれんを除く継続利益、20億円借入の返済・金利
- 中立の営業利益率と純利益の差、配当性向40%超・総還元性向50%以内の実行
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や過去のPER・PBRを倍率の根拠には使っていない。各事業の実稼働人員と一人当たり年間売上から数量と単価を切り分け、2036年の利益を求めた。資本コストは国債3%と株式リスクプレミアム4.5%に、価格交渉力の弱さと純現金の効果を反映した7.75%である。中立の倍率は事業ROE19.3%、超過利回りの残存半分、10年後以降の名目成長2.5%から導いた正当化PER約15.53倍である。悲観時は過去の安値倍率でなく、初期自己資本と売却できる資産の税後額を用いた。2028年6月期からの新リース会計による使用権資産・リース負債の両建ては、従来の賃借料を費用とする利益との比較で二重計上しない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%+株式リスクプレミアム4.5%+品質調整0.25%。企業固有の買収リスクは利益シナリオに織り込み、追加の上乗せはしない。