結論
オーバルは、工場やプラント向けの流量計で国内最大手の専業メーカーだ。主力は容積式・コリオリ式・渦式の流量計で、容積式は国内の約半分を握る。筆者の結論は、やや割高である。事業の質は悪くないが、今の利益には一時金が混ざり、値段は先の改善をかなり織り込んでいる。
2026年3月期の売上は156億円、営業利益は17億円、純利益は14億円だった。営業利益率は10.9%に上がったが、オーストリアのAnton Paar社から受け取ったライセンスの契約一時金が、営業利益を4〜5億円押し上げた(筆者の推定)。これを除く実力の利益率は8%台で、2024〜2025年の9〜10%より低い。
2027年3月期の第1四半期は、営業利益が0.3億円と前年の5.9億円から大きく減った。反動である。受注は34%増の46億円で、通期予想(営業利益18億円)は後半に偏る。会社の予想は保守的との声もあるが、一時金が無くなった後の実力は、この年に分かる。
10年後の中立は、売上238億円、営業利益25億円、純利益18億円。ROEは9%で、資本コスト7.5%を上回る。強気の筋書きは9%、悲観は11%に置いた。過去10年のROEの中央値は3%にすぎず、この改善が続くかが価値を決める。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、悪くない会社だが、安全域は見えにくい。流量計という地味で長持ちする仕事、校正の独占的な位置、堅い財務は良い。ただ、利益率が3%台だった時代が長く、今の改善が続くと断言できない。
懸念は、利益の質だ。2026年3月期の営業利益には、一度きりの契約一時金が数億円入っている。大幅増益の看板は、そのまま続く数字ではない。純利益には繰延税金資産の見直しも効いた。実力の利益を見誤ると、割高をつかみやすい。
経営の資本配分は、ここ数年で改善した。自己株の取得と増配、総還元性向70%の目標は、資本効率を意識している証拠だ。ただ、設備投資が償却を大きく超える局面で、還元との両立が続くかは見極めたい。
わからない点は二つある。技術を許諾したAnton Paar社が、将来オーバルの市場を食わないか。そして、水素・アンモニア向けの需要が本当に立ち上がるか。どちらも筆者には読み切れない。
何で稼ぐ会社か
事業は三つの部門に分かれる。センサ、サービス、システムだ。2026年3月期の売上156億円のうち、センサが67%、サービスが20%、システムが13%を占める。
センサ部門は、石油・水・ガスなどの流れる量を測る流量計を作って売る。容積式、コリオリ式、渦式の3つが売上の9割で、低温から高温までの液体・ガス・蒸気を幅広く扱う。化学、石油、船舶、半導体、電池の工場が買い手だ。2025年には、工事なしで取り付けられる超音波式の「UC-1」を出した。
サービス部門は、修理、保守、校正を担う。計量法に基づく校正事業者(JCSS)として、石油・水・気体の3種で登録を持つ国内唯一の会社だ。他社の流量計も校正でき、売上は6期続けて増えている。景気に左右されにくい安定した部門である。
システム部門は、石油の受け渡しに使う計量装置や検定装置を、設計から施工まで請け負う。案件が大きく、売上が期ごとに大きく動く。2026年3月期は前期の大口案件の反動で23%減った。
海外は売上の2割で、中国、韓国、シンガポール、台湾などアジアが中心だ。11社の子会社を持ち、2026年4月に中国で新しい工場を開いた。従業員は連結で678人と小さい会社である。
優良さと弱いところ
強みは三つある。幅広い製品群、現場に入り込むサービス、そして校正の実績だ。低温から高温、液体・ガス・蒸気までそろえる流量計の会社は世界でも少なく、同業の横河電機は一部の方式にとどまる。計測は一度入れると数十年使われ、保守と校正の収入が続く。
ただ、堀は強くない。コリオリ式の世界ではエマソン、エンドレスハウザー、クローネなど欧米の大手が上位にいて、中国や韓国の安い製品が追い上げる。オーバル自身も、2023年にコリオリ・電磁流量計の技術をAnton Paar社へ許諾した。10年の契約で、一時金のほか売上に応じたロイヤリティが入る。技術を貸す側に回る点は、評価も分かれる。
資本の効率は低かった。過去10年のROEの中央値は3%で、営業利益率は2〜5%が長く続いた。ここ3年で8〜10%へ上がったのは、値上げ、収益性の高い製品への構成の移し替え、システム部門の改善による。会社はこれを構造改革の成果と説明するが、一時金を除くと2026年3月期は前期より弱い。
財務は堅い。自己資本比率は64%で、現金が借入を上回る。研究開発は売上の3%台。経営陣は中期計画で、売上200億円、経常利益率14%、ROE10%を2032年3月期に掲げる。資本コストを意識した還元も始まった。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
流量計の需要は、石油・化学・電力・水・半導体・電池などの工場の設備投資と保守に紐づく。世界の流量計市場は名目で年5〜6%ほどの伸びと言われ、省エネ、脱炭素、プロセスの自動化が追い風になる。国内は人口減で頭打ちだが、更新と保守の需要が底を支える。
成長の芽は、水素・アンモニアの計測だ。会社は2026年2月に、国内でも少ない水素の実ガス校正設備「OVAL H2 Lab」を完成させた。水素用の流量計は精度の要求が高く、校正を持つ強みが効く。ただ、水素の普及は政策と価格次第で、立ち上がりの時期は読みにくい。
中国では、船舶、リチウムイオン電池、化学の需要が伸び、会社は新工場で現地生産を増やす。一方で、中国メーカーの価格攻勢が強まる。防衛省向けの売上も、防衛予算の増加で一定程度増えている。
景気の谷では、化学・石油・半導体の設備投資が止まり、システム部門の大口案件が消える。2009年や2020年にも、営業利益は赤字近くまで落ちた。10年の構造的な負け筋は、中国メーカーの価格破壊と、顧客の設備投資の先送りである。
資本政策と M&A
還元は積極に変わった。2026年3月期は、配当4億円に自己株の取得13億円を加え、純利益を上回る額を戻した。中期計画は、総還元性向70%以上(3年平均)とDOE(株主資本配当率)2.7%以上を掲げる。2026年8月までの取得枠は最大220万株・8億円だ。
設備投資は、2026年3月期に14億円と、償却の5億円を大きく上回った。水素の校正設備と中国の新工場が主因で、償却は先で増える。償却は今ある設備の分は物価で増やさず、新しい設備の分だけ新しい値段で15年に按分した。会計の利益は物価で膨らむが、更新の投資は高くなり、現金を使う。
大株主は、明治安田生命9.3%、東京計器6.4%、轟産業5.6%、三笠4.0%、日本生命3.4%、横河電機2.5%と分散している。東京計器とは2009年に業務・資本提携を結んだ。横河電機は競合でもある。支配株主はおらず、TOB(株式公開買い付け)の確率は参考値で21%だが、筋書きには入れない。
現金は39億円、借入は23億円で、純現金は15億円ほど。今は還元が先に立つため、余った現金として別に足さない。M&Aは小粒で、新規事業は社内ベンチャーで育てる計画だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ここ3年の改善は構造的だ。値上げが通り、収益性の高い製品の比率が上がり、システム部門の赤字体質が直った。物価と賃金が上がる世界では、計測機器の値付けは高機能化と合わせて名目で上げやすい。
水素・アンモニアが立ち上がれば、校正設備を持つ強みが一気に効く。中国の新工場は、船舶・電池・化学の需要を現地で取り込む。防衛向けも増え、システム部門は大口が積み上がる。サービス部門は、他社製品の校正で顧客層を広げる。
中期計画の2032年3月期目標(売上200億円、経常利益率14%)を、10年のうちに超える筋書きだ。10年後の売上は303億円、営業利益は47億円、純利益は34億円に伸び、ROEは15%を超える。
この道では、総還元性向が高いまま、自己株の取得が続く。資本を意識した経営が、評価の水準も押し上げる。
利益率の底上げが定着すれば、ROEは資本コストを超える年が続き、これまでの低い水準の会社という見方が改まる。純現金が積み上がっても、還元と投資で使い切れる。校正の独占的な位置は、他社が簡単には真似できない。
慎重な見方
今の利益率は一時的に高い。一時金を除くと2026年3月期の営業利益率は8%台で、前期より下がっている。2027年3月期の第1四半期は営業利益が0.3億円まで落ちた。会社予想の18億円は、後半に偏った強気である。
ROEの中央値が3%という過去が重い。営業利益率は2〜5%が長く、改善はここ3年の話だ。需要が落ちる年に、同じ水準を保てるかは分からない。システム部門は大口案件で売上が大きく振れ、赤字に戻りうる。
中国メーカーの価格攻勢と、顧客の設備投資の先送りも逆風だ。石油・化学・半導体は景気の谷で設備投資を止める。Anton Paar社へ許諾した技術は、中長期で競争相手を育てる面もある。
最後に、設備投資が償却を大きく超える。水素の校正設備や中国の新工場は、需要が立ち上がらなければ重荷になる。この会社は、改善の途中の数字で高く見られている。
さらに、株主の構成も読みにくい。支配株主がいないため、経営の方針は株主総会の顔ぶれで揺れうる。還元を厚くしても、利益が伴わなければ、現金だけが先に減る。
どちらに重みを置いたか
事業の質は悪くなく、財務も堅い。ただ、直近の利益は一時金で膨らみ、ROEの過去の水準は低い。確率は強気9%、やや強気23%、中立36%、やや悲観21%、悲観11%に置いた。同じ領域の計測機器と同じ物差しにそろえた。
中立の純利益は18億円、ROEは9%。資本コスト7.5%をわずかに上回る水準で、倍率は式の値の9割に抑えた。結果はやや割高になった。利益率が構造的に10%を保てば、見方は変わる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,317 円268 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 441 円90 億円)。 今の値に割り戻すと 946 円193 億円、今との差 +4.0%、 期待の年率 +6.8%(資本コスト 7.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,746 円559 億円 | 702 円143 億円 | +278.9% | +14.3% | 310 円63 億円 |
| やや楽観 | 23% | 1,988 円405 億円 | 575 円117 億円 | +181.6% | +10.9% | 589 円120 億円 |
| 中立 | 36% | 1,210 円246 億円 | 432 円88 億円 | +80.4% | +6.1% | 591 円120 億円 |
| やや悲観 | 21% | 611 円124 億円 | 334 円68 億円 | +3.9% | +0.4% | 199 円40 億円 |
| 悲観 | 11% | 442 円90 億円 | 182 円37 億円 | −31.5% | −3.7% | 69 円14 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,317 円268 億円 | 441 円90 億円 | +93.2% | +6.8% | 1,758 円358 億円 |
今の株価時価総額 910 円185 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 9% 水素・中国・システムが当たり、利益率が14%を超える 利益 34 億円 · PER 16.6 倍 · 株価時価総額 2,746 円559 億円
水素・アンモニア向けの校正と計測が立ち上がり、中国の新工場が船舶・電池・化学の需要を取り込む。センサの数量は1.35倍に伸び、単価は物価を上回る1.38倍まで上げられる。防衛向けと石油の受け渡しの大口案件で、システムは黒字になる。
売上は303億円、営業利益は47億円(利益率16%)、純利益は34億円。ROEは16%に上がる。
総還元性向は高いまま、10年の還元は約143億円。投資も増えるが、稼ぎが追い越す。
(名目の前提)センサの単価は10年で1.38倍、サービスは1.38倍、システムは1.38倍と置いた。センサの数量は、一時金(推定4.5億円)を除いた上で1.35倍。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約14年で減り、新しい設備(10年の投資の合計110億円)だけ新しい値段で15年に按分した。償却は今の5.2億円が10年後に約8.8億円。物価で一律に増やすと約9.8億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費・機械の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約71億円(今は15億円)。
- センサ部門(流量計):数量 47.3(年間の出荷台数(千台。推定))× 価格 41(1台あたりの平均販売額(万円。推定))→ 売上 194 億円・営業利益 32 億円。数量 1.35倍・単価 1.38倍・EBITDA率 19.5%・営業利益率 16.6%
- サービス部門(校正・保守):数量 38.8(年間の校正・保守の件数(千件。推定))× 価格 18(1件あたりの平均売上(万円。推定))→ 売上 68 億円・営業利益 12 億円。数量 1.55倍・単価 1.38倍・EBITDA率 20.5%・営業利益率 17.6%
- システム部門(計量・検定装置の設計施工):数量 120(年間の受注・完工の件数(件。推定))× 価格 0.34(1件あたりの売上(億円))→ 売上 41 億円・営業利益 3 億円。数量 1.50倍・単価 1.38倍・EBITDA率 10.0%・営業利益率 7.1%
倍率:事業の純利益 34 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.6 倍。全体の PER 16.59 倍、時価総額 559 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:水素・アンモニアの立ち上がり、中国の新工場、システムの黒字化が三つとも実現し、利益率が15%を超える必要がある。過去のROE中央値が3%の会社には難しく、確率は低くした。
やや楽観 23% 中期計画の目標に近づき、利益率が13%に届く 利益 26 億円 · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 1,988 円405 億円
中期計画がおおむね達成され、2032年3月期の目標に近づく。センサの数量は1.25倍、単価は1.36倍。サービスは他社製品の校正で数量が1.42倍に伸び、システムの利益率が5%まで上がる。
売上は272億円、営業利益は36億円(利益率13%)、純利益は26億円。ROEは13%で、資本コストを上回る。
10年の還元は約117億円。現金は積み上がり、設備投資を賄う。
(名目の前提)センサの単価は10年で1.36倍、サービスは1.36倍、システムは1.34倍と置いた。センサの数量は、一時金(推定4.5億円)を除いた上で1.25倍。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約14年で減り、新しい設備(10年の投資の合計100億円)だけ新しい値段で15年に按分した。償却は今の5.2億円が10年後に約8.2億円。物価で一律に増やすと約9.2億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費・機械の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約67億円(今は15億円)。
- センサ部門(流量計):数量 43.8(年間の出荷台数(千台。推定))× 価格 41(1台あたりの平均販売額(万円。推定))→ 売上 177 億円・営業利益 25 億円。数量 1.25倍・単価 1.36倍・EBITDA率 17.0%・営業利益率 14.0%
- サービス部門(校正・保守):数量 35.5(年間の校正・保守の件数(千件。推定))× 価格 17(1件あたりの平均売上(万円。推定))→ 売上 61 億円・営業利益 10 億円。数量 1.42倍・単価 1.36倍・EBITDA率 19.0%・営業利益率 16.0%
- システム部門(計量・検定装置の設計施工):数量 100(年間の受注・完工の件数(件。推定))× 価格 0.33(1件あたりの売上(億円))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。数量 1.25倍・単価 1.34倍・EBITDA率 8.0%・営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.45 倍、時価総額 405 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2032年3月期の目標(売上200億円、経常利益率14%)に近づく筋書き。ここ3年の改善が続き、受注も強い。強気側の中心に置いた。
中立 36% 利益率は10%前後で定着し、還元と投資が両立する 利益 18 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 1,210 円246 億円
センサの数量は、一時金を除いたうえで1.12倍に伸びる。化学・船舶の需要が底を支え、半導体は波を打つ。単価は物価並みの1.32倍に追いつく。サービスは校正の拡大で1.3倍、システムは大口案件の波を平らにして1.1倍。
売上は238億円、営業利益は25億円(利益率10%)、純利益は18億円。ROEは9%と、資本コスト7.5%をわずかに上回る。
10年の還元は約88億円。会社の目標(経常利益率14%)には届かないが、一時金を除いた実力(8%台)は超える。
(名目の前提)センサの単価は10年で1.32倍、サービスは1.34倍、システムは1.30倍と置いた。センサの数量は、一時金(推定4.5億円)を除いた上で1.12倍。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約14年で減り、新しい設備(10年の投資の合計90億円)だけ新しい値段で15年に按分した。償却は今の5.2億円が10年後に約7.5億円。物価で一律に増やすと約8.6億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費・機械の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約61億円(今は15億円)。
- センサ部門(流量計):数量 39.2(年間の出荷台数(千台。推定))× 価格 39(1台あたりの平均販売額(万円。推定))→ 売上 154 億円・営業利益 17 億円。数量 1.12倍・単価 1.32倍・EBITDA率 14.0%・営業利益率 10.9%
- サービス部門(校正・保守):数量 32.5(年間の校正・保守の件数(千件。推定))× 価格 17(1件あたりの平均売上(万円。推定))→ 売上 55 億円・営業利益 7 億円。数量 1.30倍・単価 1.34倍・EBITDA率 16.5%・営業利益率 13.4%
- システム部門(計量・検定装置の設計施工):数量 88.0(年間の受注・完工の件数(件。推定))× 価格 0.32(1件あたりの売上(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。数量 1.10倍・単価 1.30倍・EBITDA率 5.0%・営業利益率 1.9%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.61 倍、時価総額 246 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:数量は実質で小さく伸び、価格は物価並み。利益率は一時金を除いた実力(8%台)と会社の目標(14%)の間、10%前後に落ち着く中心の筋書き。
やや悲観 21% 一時金の剥落後に伸び悩み、利益率が7%台へ戻る 利益 11 億円 · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 611 円124 億円
一時金が無くなった後、実力の利益率が8%台から戻らない。センサの数量は一時金を除いて0.98倍と伸びず、単価も1.25倍にとどまる。システムは再び赤字に戻る。
売上は194億円、営業利益は14億円(利益率7%)、純利益は11億円。ROEは6%で、資本コストに届かない。
10年の還元は約68億円。現金は残り、財務の堅さは変わらない。
(名目の前提)センサの単価は10年で1.25倍、サービスは1.28倍、システムは1.20倍と置いた。センサの数量は、一時金(推定4.5億円)を除いた上で0.98倍。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約14年で減り、新しい設備(10年の投資の合計75億円)だけ新しい値段で15年に按分した。償却は今の5.2億円が10年後に約6.5億円。物価で一律に増やすと約7.8億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費・機械の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約54億円(今は15億円)。
- センサ部門(流量計):数量 34.3(年間の出荷台数(千台。推定))× 価格 37(1台あたりの平均販売額(万円。推定))→ 売上 128 億円・営業利益 9 億円。数量 0.98倍・単価 1.25倍・EBITDA率 10.5%・営業利益率 7.2%
- サービス部門(校正・保守):数量 27.5(年間の校正・保守の件数(千件。推定))× 価格 16(1件あたりの平均売上(万円。推定))→ 売上 45 億円・営業利益 5 億円。数量 1.10倍・単価 1.28倍・EBITDA率 15.0%・営業利益率 11.7%
- システム部門(計量・検定装置の設計施工):数量 72.0(年間の受注・完工の件数(件。推定))× 価格 0.30(1件あたりの売上(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。数量 0.90倍・単価 1.20倍・EBITDA率 2.0%・営業利益率 -1.3%
倍率:ROE 5.8% は k 7.5% を下回る。ためた利益は額面未満で、PER の上限は 1÷k=12.5 倍。システムが赤字に戻る筋書きで、その85%の 10.6 倍に置いた。EVは営業利益に対して 4.2 倍。
確率:一時金を除いた実力の利益率が戻らず、7%台にとどまる。システムが赤字に戻り、価格競争が値上げの効果を削る。過去のROEが低い会社には起こりやすい。
悲観 11% 価格競争と設備投資の谷で、利益が消える 利益 2 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 442 円90 億円
化学・石油・半導体の設備投資が止まり、中国メーカーの価格攻勢が強まる。センサの数量は0.78倍に落ち、単価は1.12倍と物価に届かない。システムは大口が消えて赤字になる。
売上は140億円、営業利益は2億円(利益率2%)、純利益は2億円と、ほぼ消える。10年に約15億円の評価損や整理費用が出る。
設備投資の回収は遅れる。価値の支えは、稼ぐ力でなく、持っている現金と土地・設備になる。
(名目の前提)センサの単価は10年で1.12倍、サービスは1.18倍、システムは1.05倍と置いた。センサの数量は、一時金(推定4.5億円)を除いた上で0.78倍。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約14年で減り、新しい設備(10年の投資の合計60億円)だけ新しい値段で15年に按分した。償却は今の5.2億円が10年後に約5.5億円。物価で一律に増やすと約6.6億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費・機械の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約39億円(今は15億円)。
- センサ部門(流量計):数量 27.3(年間の出荷台数(千台。推定))× 価格 33(1台あたりの平均販売額(万円。推定))→ 売上 91 億円・営業利益 1 億円。数量 0.78倍・単価 1.12倍・EBITDA率 4.5%・営業利益率 0.6%
- サービス部門(校正・保守):数量 23.8(年間の校正・保守の件数(千件。推定))× 価格 15(1件あたりの平均売上(万円。推定))→ 売上 36 億円・営業利益 3 億円。数量 0.95倍・単価 1.18倍・EBITDA率 12.0%・営業利益率 8.1%
- システム部門(計量・検定装置の設計施工):数量 52.0(年間の受注・完工の件数(件。推定))× 価格 0.26(1件あたりの売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.65倍・単価 1.05倍・EBITDA率 -4.0%・営業利益率 -7.9%
倍率:稼ぐ力はほぼ無く、赤字に近い。売れる資産の床(floor_assets_oku)90億円をそのまま時価総額に置いた。今の自己資本157億円に対する PBR は 0.57 倍。
確率:設備投資の先送りと中国メーカーの価格攻勢が重なり、利益が消える。2021年3月期の営業赤字の実績があり、計測機器の同業と同じく11%に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
センサ部門(流量計)
容積式・コリオリ式・渦式を中心とする流量計と周辺機器。化学・石油・船舶・半導体・電池などの工場向け。
| 数量年間の出荷台数(千台。推定) | 価格1台あたりの平均販売額(万円。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 35.0 | 30 | 104 | 13 |
| 10 年後 中立 | 39.2 | 39 | 154 | 17 |
取り方:センサ部門の売上104.3億円を、年間の出荷台数を約3.5万台と推定して割った値(1台あたり約30万円)。台数は非開示。売上にはAnton Paar社の契約一時金(推定4.5億円)が含まれ、営業利益にも同額が入る。部門別の利益は非開示のため、全社の営業利益17.0億円を「センサ>サービス>システム」の順で按分した推定。
サービス部門(校正・保守)
自社・他社の流量計の修理、保守、校正(JCSS)。景気に左右されにくい。
| 数量年間の校正・保守の件数(千件。推定) | 価格1件あたりの平均売上(万円。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25.0 | 13 | 32 | 4 |
| 10 年後 中立 | 32.5 | 17 | 55 | 7 |
取り方:サービス部門の売上31.75億円を、年間の件数を約2.5万件と推定して割った値(1件あたり約13万円)。件数は非開示。営業損益は全社の営業利益の按分による推定。
システム部門(計量・検定装置の設計施工)
石油の受け渡しの計量装置、検定装置、流量校正装置の設計・施工。案件が大きく期ごとの波が大きい。
| 数量年間の受注・完工の件数(件。推定) | 価格1件あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 80.0 | 0.25 | 20 | 0 |
| 10 年後 中立 | 88.0 | 0.32 | 28 | 1 |
取り方:システム部門の売上19.85億円を、年間の件数を約80件と推定して割った値(1件あたり約0.25億円)。件数は非開示で、大口案件と小口の混在。営業損益は全社の営業利益の按分による推定(収益性に課題があったが改善中)。
リスクと懸念
一時金で膨らんだ利益の反動
2026年3月期の営業利益には、Anton Paar社からの契約一時金が4〜5億円入っていたと筆者は推定する。2027年3月期の第1四半期は営業利益0.3億円と、その反動が出た。実力の利益率は8%台で、予想の18億円が後半に達成できるかは不確かだ。
システム部門の大口案件
システム部門は売上が20億円ほどで、石油の受け渡しの計量装置などを請け負う。案件が大きく、期ごとに23%減から50%増まで動く。収益性は改善中だが、大口の失注や採算割れで赤字に戻る恐れがある。
中国・韓国メーカーの価格攻勢
コリオリ・渦式の流量計は、中国や韓国の安い製品が追い上げる。値上げで利益率を上げた分を、価格競争で削られる恐れがある。海外の売上は2割で、中国は成長が続くが、現地の競争も厳しい。
設備投資の回収
2026年3月期の設備投資は14億円で、償却の5億円の約3倍だった。水素の校正設備と中国の新工場は、需要が立ち上がるまで償却だけが先に出る。水素・アンモニアの普及は政策と価格次第で、時期が読みにくい。
顧客の設備投資の波
買い手は化学・石油・船舶・半導体・電池の工場で、設備投資は景気と市況で止まる。2021年3月期は営業赤字だった。ここ数年の好調は、化学と船舶の追い風によるもので、谷では受注とシステムの大口が同時に細る。
Anton Paar社との関係
2023年に、コリオリ・電磁流量計の製造と日本以外での販売の権利を、10年間許諾した。一時金とロイヤリティが入るが、許諾先は世界の市場で競合にもなる。契約の終わる2033年以降の収入と競争の形は、今は見通せない。
株主還元の持続性
2026年3月期は、配当と自己株の取得で純利益を超える額を戻した。中期計画は総還元性向70%以上だが、設備投資が先行する局面で続けると、現金が細る。取得枠の終了後に、還元の水準が下がる可能性がある。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が15億円を超える
- 一時金を除く実力の利益率が9%近くへ戻った合図だ。値上げと構成の改善が続き、やや強気の筋書きに寄る。
- 2027年3月期の営業利益が12億円前後にとどまる
- 一時金を除いた水準から上がらなかった合図だ。会社予想の達成が遠のき、やや悲観の筋書きに寄る。
- システム部門の受注が2年続けて前年を超え、利益率が5%を超える
- 大口案件の採算が安定した合図だ。部門が赤字から抜け、全社の利益率を押し上げ、強気側に寄る。
- 水素・アンモニア向けの校正と計測の売上が2倍になる
- 新設備の回収が見える合図だ。サービス部門の成長が加速し、強気の筋書きに寄る。
- 大株主(明治安田生命・東京計器など)の持ち分や再編の動きが表に出る
- TOBの参考確率は21%。支配株主がいないため、再編の可能性は残る。価値は事業の稼ぎで測り、筋書きには入れていない。
- 中国での価格競争が強まり、コリオリ式の値下げが広がる
- センサ部門の利益率が下がる合図だ。値上げの効果が消え、やや悲観の筋書きに寄る。
見ておくもの
- 営業利益の四半期の動き(2027年3月期の第2四半期以降に、一時金を除いた水準が戻るか)
- 受注高(2027年3月期の第1四半期は46億円で34%増。大口の積み上がりを確認)
- システム部門の売上と利益率
- 水素・アンモニア向け製品とH2 Labの売上、中国新工場の稼働
- 設備投資と償却、営業CF(投資が還元を圧迫しないか)
- 自己株の取得と配当の水準(総還元性向70%の目標の維持)
倍率と資本コストの決め方
数量と名目の単価から利益を積み、倍率は式で置いた。今の市場の評価(PER13倍前後・PBR1.2倍)には寄せていない。k は基本7.5%に quality 0.5%(循環+0.5・値決め力+0.25・借金0・寿命−0.25)を足した8.0%。ROEがkを上回る中立〜強気は、PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の式の値(g 3.5%、堀は普通で残る割合1/2)の9割に置いた。ROEがkを下回るやや悲観は、上限1÷k=12.5倍の85%に置いた。2026年3月期の営業利益に含まれるライセンス一時金(推定4.5億円)は、実力の利益から除いて10年を積んだ。新リース会計基準(2028年3月期から)は、借りて営む資産が小さく、影響は小さい。同じ領域のノートに流量計の節は無く、近い領域(分析・計測機器・産業機器)の長野計器・東京計器・理研計器と同じ物差し(k 7.0〜8.0%、悲観の確率10〜13%)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.2→16.59 倍・やや楽観 PER 13.3→15.45 倍・中立 PER 12→13.61 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.5% = 8.0%。水素の立ち上がり・Anton Paar社との関係・中国メーカーの価格攻勢などの個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。