結論
東京衡機は、金属や樹脂の強さを測る材料試験機のメーカーで、2025 年にシミュレーションソフト(CAE)の会社を買って、試験と解析を組み合わせる会社へ変わりつつある。売上は 45 億円、連結従業員は約 185 人。
筆者の結論は「割高」だ。理由は、利益が小さい割に、固定の本社費と過去の不祥事・無配・潜在株式の重みが大きいことだ。10 年後の中立でも、時価総額は今とほぼ同じ水準にとどまり、年率では資本コストに届かない。
強みはある。試験機の受注残は約 32 億円で、売上の 9 割近くを数年かけてこなせる。来期は営業利益が倍増する計画だ。ただ、会社の計画は営業利益率 10% を掲げ、過去の最高 5.6% を大きく超える。計画の達成実績は無い。
筆者は、試験機の事業そのものは堅いと見る。問題は、その堅さが株主の取り分に変わるまでの距離が遠いことだ。今の値段は、その距離をほとんど見込んでおらず、安全域は薄い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「稼ぐ力が小さく、信用に傷があり、希薄化の可能性がある」小型株に分類される。試験機の需要と受注残は堅いが、利益率は過去 12 年で 5.6% が最高で、会社の計画(10%)は信頼しにくい。
株主のものになる利益は小さい。本社費が毎年 5 億円近くかかり、試験機の利益の多くを吸収する。物価で本社費も膨らむので、売上が伸びても利益は伸びにくい。
経営の資本配分は、ASTOM の買収という一手を打った段階で、成果はこれから。過去に不適切会計があったことは、決算の数字を読む上で割り引く理由になる。
安全域は薄い。時価総額は純資産の約 1.7 倍で、利益の見込みが計画どおりに進む前提を織り込んでいる。割安と見るには、利益率の改善が確かめられる必要がある。今は、それを待つ段階にある。
何で稼ぐ会社か
売上の約 8 割は試験機事業だ。材料試験機の製造・販売と、ドイツの ZwickRoell など海外提携先の製品の輸入販売、受託試験。保守は持分法会社の ZR 東京衡機サービスが担う。買い手は製造業の研究・品質管理の部門などで、最大の販売先は西村商会(売上の約 15%)。
エンジニアリング事業は、ゆるみ止めナットやスプリング、電力ばねなどの締結部材を、製造を外部に任せて売る小さな事業。前期は赤字だったが、今期は薄い黒字に戻った。
デジタル事業は、2025 年 3 月に子会社化した先端力学シミュレーション研究所(ASTOM)による CAE ソフトの開発・販売、解析受託、AI ソリューション。実機で測る試験機と、コンピュータ上で測る解析を並べて売る、というのが会社の描く形だ。
連結の従業員は約 185 人で、試験機が 98 人、デジタルが 57 人。提出会社は 21 人で、本社は持株会社に近い。試験機の製造は神奈川県の相模原工場が担い、設備投資は 3 年で 3 億円ほどと小さい。その他の関係会社の Dream Bridge が約 30% を持つ。
優良さと弱いところ
堀は中くらいだ。材料試験機は技術の蓄積と校正・保守の信頼が壁になり、顧客は一度入れた機種を使い続ける傾向がある。ZwickRoell など海外有力メーカーとの提携で、品ぞろえを広げている。弱みは、その提携の継続が会社の事業等のリスクに挙げられるほど大きな前提になっている点だ。
財務は薄い。自己資本比率は約 34%、純有利子負債は 1 億円だが、営業利益は支払利息の 5 倍にとどまる。ROE は過去 10 年の中央値で 6% 前後。2018 年と 2023 年に赤字の年があった。
経営の信頼には傷がある。2023 年に不適切な会計処理が第三者委員会で明らかになり、東証の特別注意銘柄に指定された(2024 年 11 月に解除)。2026 年 2 月末にも、上場維持基準の改善期間をめぐり監理銘柄に指定されたが、3 月に解除された。
配当は無配が続き、会社は 2029 年 2 月期の復配を目指す。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
材料試験機の市場は、自動車(電動化に伴う新素材・電池の試験)、航空・防衛、建設・電力、半導体向けの素材など、製造業の設備投資と研究開発費に左右される。国内市場は成熟しており、数量が急に伸びる市場ではない。
競合は、島津製作所や、インストロンなどの海外大手。東京衡機は輸入販売も手がけ、国産と輸入の両方で顧客に提案できるのが特色だ。
CAE(コンピュータ上で強度や振動を解析するソフト)の市場は、製品開発のデジタル化で伸びている。Ansys など海外大手が圧倒的で、ASTOM は国内の特定分野で強い小さな会社だ。試験機と組み合わせるデジタルツインの提案は魅力的だが、大手と競う力は未知数だ。
受注は設備投資で振れ、直近の受注高は前期比 14% 減、受注残も 10% 減。売上の山と谷が大きい業態だ。景気が悪くなれば、顧客はまず試験機の更新を先送りする。為替の影響も受ける。輸入販売は円安になると仕入れ価格が上がり、利益を圧迫する。国内市場だけで見ると数量は伸びにくいので、会社は海外提携先の製品とデジタルで売上を広げようとしている。
資本政策と M&A
無配が続いており、2029 年 2 月期の復配が会社の目標。自己株式の取得は無い。
新株予約権の潜在株式は約 85 万株で、発行済株式の 11.8%。行使されれば既存株主の取り分は 1 割ほど薄まる。大株主の Dream Bridge は約 30% を持つその他の関係会社で、会社の資本政策への影響が大きい。
2025 年 3 月に ASTOM を子会社化した(のれんが発生)。中期計画は最終年度に新たな業務提携先を探る。設備投資は 3 年で約 3 億円と小さく、相模原工場の労務環境の改善が中心だ。
10 年の中立は、2029 年 2 月期から配当性向 3 割ほどで、還元の合計を 5 億円ほどとした。TOB の話は確認できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
試験機は受注残が約 32 億円あり、売上の 9 割近くを数年かけてこなせる。来期は売上 54 億円・営業利益 3.4 億円と、今期の倍以上の営業利益を計画している。今期の営業利益は前期の 6 倍に伸びており、改善の勢いはすでに出ている。ASTOM を 1 年分取り込み、デジタルの赤字も縮む。
試験と解析を組み合わせるデジタルツインは、自動車や素材の開発現場で求められる流れだ。実機の顧客基盤に解析を売る、という形が根づけば、人手に頼る従来の試験の現場も効率化できる。利益率の高いソフトと受託が全社の稼ぎを押し上げる。
特別注意銘柄も監理銘柄も解除され、上場維持基準にも適合した。信用の傷は癒えつつある。海外の有力メーカーとの提携は、品ぞろえと販路の両方で同社の強みだ。2029 年 2 月期の復配を目指しており、時価総額が 30 億円と小さい中で、利益率が計画の 10% に近づけば、価値は数倍になりうる。受注残の厚みと、来期の増益計画が、その期待の足場になる。
慎重な見方
利益率の計画は過去の最高の 2 倍近い。過去 12 年の営業利益率は赤字から 5.6% の間で、計画の 10% を達成した実績は無い。直近の受注高は 14% 減で、受注残も減っている。来期の増益計画の土台がすでに揺らいでいる。
本社費が約 5 億円かかり、試験機の利益の大半を吸収する。物価が上がれば本社費も膨らむ。デジタルは赤字で、買収ののれんは回収できるか分からない。CAE の分野は海外大手が圧倒的で、小さな ASTOM が顧客を広げられる保証は無い。
2023 年の不適切会計、2026 年 2 月末の監理銘柄指定という履歴は、内部管理への信頼を損ねたままだ。無配が続き、復配の時期も 2029 年 2 月期とまだ先で、新株予約権が行使されれば株主の取り分は 1 割ほど薄まる。最大の販売先が 15% を占め、提携先の販売契約に依存する点も弱い。小さな会社で、一つの不祥事や一つの契約の打ち切りが、収益の大半を吹き飛ばす構造にある。
どちらに重みを置いたか
事業の堅さは認めるが、争点は利益率が計画どおり上がるかだ。強気の見方が頼る計画の数字は、過去の最高を大きく超える。慎重な見方の指摘(受注高の減少、本社費の重さ、過去の不祥事、希薄化)のほうが、数字の裏づけが強い。
そこで確率は中立に 36%、やや悲観を 27% と厚くし、悲観も 14% と高めに置いた。やや楽観以上は 23%。結果として本質価値は今の時価総額を大きく下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 424 円30 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 48 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 224 円16 億円、今との差 −35.6%、 期待の年率 +3.1%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,182 円85 億円 | 106 円8 億円 | +270.1% | +14.0% | 77 円6 億円 |
| やや楽観 | 17% | 742 円53 億円 | 81 円6 億円 | +136.5% | +9.0% | 140 円10 億円 |
| 中立 | 36% | 503 円36 億円 | 62 円4 億円 | +62.5% | +5.0% | 204 円15 億円 |
| やや悲観 | 27% | 131 円9 億円 | 21 円2 億円 | −56.2% | −7.9% | 41 円3 億円 |
| 悲観 | 14% | 71 円5 億円 | 0 円0 億円 | −79.5% | −14.7% | 10 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 424 円30 億円 | 48 円3 億円 | +35.6% | +3.1% | 472 円34 億円 |
今の株価時価総額 348 円25 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 解析と試験をつなぐ事業が当たり、計画の線に近づく 利益 6 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 1,182 円85 億円
試験機の受注残をこなしながら、実機試験と CAE 解析を組み合わせた「デジタルツイン」の提案が自動車・素材・電力の顧客に広がる。ZwickRoell との提携で輸入のネジ式試験機が伸び、試験機の台数は 15% 増える。
CAE の契約は 10 年で倍以上になり、解析と AI の受託が利益を押し上げる。試験機の利益率は 18% に上がり、デジタルも 13% を稼ぐ。
全社の営業利益率は 8% 台後半。それでも本社費は物価で膨らむので、会社が掲げる 10% には届かない。無配が終わり、2029 年 2 月期の復配から配当が積み上がる。ただし新株予約権が行使され、既存株主の取り分は 1 割ほど薄まる。
- 試験機(材料試験機・受託試験):数量 414(納入台数・案件数(件・推定))× 価格 1,428(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 59 億円・営業利益 11 億円。414 × 1 単位 1.43e+03 万円(今の 1.40 倍)、営業利益率 18.0%
- エンジニアリング(締結部材):数量 45.0(販売数量(万個・推定))× 価格 0.14(1 個あたり売上(万円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。45 × 1 単位 0.14 万円(今の 1.40 倍)、営業利益率 8.0%
- デジタル(CAE ソフト・解析・AI):数量 1,500(契約・案件数(件・推定。今は決算期変更で 9 か月分))× 価格 140(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 3 億円。1500 × 1 単位 140 万円(今の 1.40 倍)、営業利益率 13.0%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍。全体の PER 15.94 倍、時価総額 89 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画は最終年度に営業利益率 10% を掲げるが、同社の過去の最高は 5.6%。計画の達成実績が無い中での上振れなので低めに置いた。
やや楽観 17% 試験機が堅調で、デジタルが黒字に定着 利益 4 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 742 円53 億円
試験機の件数は 8% 増え、価格は物価を少し上回る。受注残が潤沢で、ZwickRoell 製品の販売も安定する。デジタルは赤字を脱し、解析の受託とソフトの保守で 11% の利益率に乗る。
エンジニアリングは締結部材の採算が戻り、薄い黒字になる。海外の提携先との関係も安定し、輸入品の販売が試験機の売上を下支えする。
全社の営業利益率は 7% 前後。会社の計画(10%)には遠いが、過去の最高(5.6%)は超える。ただし、本社費の重さが利益の伸びを抑える構図は変わらない。受注残が積み上がり、納期の管理や人員の手当ても求められる。
- 試験機(材料試験機・受託試験):数量 389(納入台数・案件数(件・推定))× 価格 1,397(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 10 億円。389 × 1 単位 1.4e+03 万円(今の 1.37 倍)、営業利益率 17.5%
- エンジニアリング(締結部材):数量 40.0(販売数量(万個・推定))× 価格 0.13(1 個あたり売上(万円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。40 × 1 単位 0.134 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 6.0%
- デジタル(CAE ソフト・解析・AI):数量 1,200(契約・案件数(件・推定。今は決算期変更で 9 か月分))× 価格 137(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。1200 × 1 単位 137 万円(今の 1.37 倍)、営業利益率 11.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍。全体の PER 14.57 倍、時価総額 56 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残が約 32 億円あり、CAE の統合が進めば赤字は解消する。計画どおりではないが、改善が続く筋書きとして厚めに置いた。
中立 36% 中立:受注残に支えられ、利益率は過去の山並みに届く 利益 3 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 503 円36 億円
試験機の件数は横ばい、価格は物価並みの 1.34 倍。受注残は約 32 億円あり、数年は売上を支える。国内の製造業の設備投資に左右される商売で、需要が急に伸びることも急に途絶えることも想定しない。買い替え需要が中心で、機器の寿命は長く、数量の伸びは小さい。
デジタルは件数が 2 倍に近づき、利益率は 10%。ASTOM の統合で、実機試験の顧客に解析を売る形が根づく。
営業利益率は 5.6% で、過去 12 年の最高(2020 年 2 月期の 5.6%)に並ぶ。今期の会社予想(6%台)を下回る水準で、計画の 10% は織り込まない。全社費は物価で 1.34 倍に増えるとして置いた。
ROE は 8% 台で、資本コストとほぼ同じ。無配が終わり、復配後は配当性向 3 割程度を見込む。
- 試験機(材料試験機・受託試験):数量 360(納入台数・案件数(件・推定))× 価格 1,367(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 49 億円・営業利益 9 億円。360 × 1 単位 1.37e+03 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 17.5%
- エンジニアリング(締結部材):数量 37.0(販売数量(万個・推定))× 価格 0.13(1 個あたり売上(万円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。37 × 1 単位 0.134 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 5.0%
- デジタル(CAE ソフト・解析・AI):数量 1,000(契約・案件数(件・推定。今は決算期変更で 9 か月分))× 価格 134(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。1000 × 1 単位 134 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.2% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.34 倍、時価総額 37 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残と来期の増益計画が裏づけになる一方、過去の不祥事・無配・販売先の偏りを抱え、確度は中程度。落としどころとして最も厚く置いた。
やや悲観 27% 試験機の需要が弱まり、本社費が重しになる 利益 1 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 131 円9 億円
製造業の設備投資が鈍り、試験機の件数は 1 割弱減る。価格も競争で物価の 1.30 倍にとどまる。受注高は直近で 14% 減っており、その流れが続く姿だ。顧客は更新を先送りし、輸入品の販売も円安で採算が悪化する。
デジタルは顧客の広がりが遅れ、利益率は 6%。のれんの回収にも時間がかかる。ASTOM の人員を維持する人件費も重い。
営業利益は 1.4 億円ほどで、今期の水準に戻る。本社費は物価で増え、試験機の利益では吸収しきれない。復配は遅れ、配当は小さい。
新株予約権は行使されず、希薄化は起きない。
- 試験機(材料試験機・受託試験):数量 331(納入台数・案件数(件・推定))× 価格 1,326(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 7 億円。331 × 1 単位 1.33e+03 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 16.0%
- エンジニアリング(締結部材):数量 34.0(販売数量(万個・推定))× 価格 0.13(1 個あたり売上(万円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。34 × 1 単位 0.128 万円(今の 1.28 倍)、営業利益率 3.0%
- デジタル(CAE ソフト・解析・AI):数量 850(契約・案件数(件・推定。今は決算期変更で 9 か月分))× 価格 130(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。850 × 1 単位 130 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 6.0%
倍率:ROE は 3.5% で k 8.25% を下回るので、ためた利益は額面未満。PER の上限は 1÷k=11.8 倍。ROE が k を大きく下回り、稼ぐ力は薄い。上限の 6.4 割の 7.5 倍に置いた。
確率:設備投資の波で受注は大きく振れ、実際に直近の受注高は前期比 14% 減。2023 年 2 月期にも赤字の年があり、現実味が高い。
悲観 14% 提携・信用・のれんが同時に傷み、赤字に戻る 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 71 円5 億円
海外の提携先との販売契約が更新されず、輸入のネジ式試験機を失う。内部管理の問題が再び起きて顧客の信用を落とし、試験機の件数が 3 割減る。デジタルは顧客が付かず、のれんを減損する。
営業利益は赤字になり、本社費は一部削っても重い。顧客の信用が落ちると、受注の回復にも年単位の時間がかかる。2018 年 2 月期の赤字(営業損失 3 億円)や 2023 年 2 月期の最終赤字に近い形で、自己資本が痩せる。
会社の価値は稼ぐ力ではなく、売れる資産で測る。借入が現金を上回るため、床は今の自己資本の 3 割にとどまる。新株予約権は行使されない。
- 試験機(材料試験機・受託試験):数量 252(納入台数・案件数(件・推定))× 価格 1,173(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 30 億円・営業利益 4 億円。252 × 1 単位 1.17e+03 万円(今の 1.15 倍)、営業利益率 12.0%
- エンジニアリング(締結部材):数量 28.0(販売数量(万個・推定))× 価格 0.12(1 個あたり売上(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。28 × 1 単位 0.115 万円(今の 1.15 倍)、営業利益率 -3.0%
- デジタル(CAE ソフト・解析・AI):数量 500(契約・案件数(件・推定。今は決算期変更で 9 か月分))× 価格 115(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。500 × 1 単位 115 万円(今の 1.15 倍)、営業利益率 -5.0%
倍率:ROE がマイナスで稼ぐ力は無く、価値は売れる資産の税後で測る。今の自己資本 17.1 億円の 3 割を床とする。
確率:2023 年に不適切会計で特別注意銘柄になった経緯、海外提携先への依存、のれんの減損が重なる構造的な負けを 14% 置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
試験機(材料試験機・受託試験)
引張・圧縮などの材料試験機の製造・販売と、ZwickRoell など海外提携先の製品の輸入販売、受託試験。
| 数量納入台数・案件数(件・推定) | 価格1 件あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 360 | 1,020 | 37 | 6 |
| 10 年後 中立 | 360 | 1,367 | 49 | 9 |
取り方:開示は試験機の売上 36.8 億円と、セグメント利益 6.5 億円(本社費を配分する前)だけ。納入と受託の件数は開示が無いので、年約 360 件、1 件あたり約 1,020 万円と推定した。
エンジニアリング(締結部材)
ゆるみ止めナット・スプリング・電力ばねなどの締結部材を、製造を外部に委託して開発・販売する。
| 数量販売数量(万個・推定) | 価格1 個あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 37.0 | 0.10 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 37.0 | 0.13 | 5 | 0 |
取り方:売上 3.7 億円と営業利益 0.12 億円(前期は 1.3 億円の損失)が開示。数量は 1 個あたり 1 千円と置いて約 37 万個と推定した。
デジタル(CAE ソフト・解析・AI)
子会社の先端力学シミュレーション研究所(2025 年 3 月に子会社化)によるシミュレーションソフトの開発・販売、解析受託、AI ソリューション。
| 数量契約・案件数(件・推定。今は決算期変更で 9 か月分) | 価格1 件あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 450 | 100 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,000 | 134 | 13 | 1 |
取り方:売上 4.5 億円・営業損失 0.27 億円は 2025 年 4〜12 月の 9 か月分。契約・案件の件数は開示が無く、1 件あたり約 100 万円、450 件と推定した。10 年後は 1 年分で置く。
リスクと懸念
中期計画の利益率が高すぎる
営業利益率 10% は過去 12 年の最高 5.6% の約 2 倍。達成の実績が無く、計画を鵜呑みにすると価値を高く見すぎる。
受注の減少
試験機の受注高は前期比 14% 減、受注残も 10% 減。設備投資の波で、来期の増益計画の土台が崩れる恐れがある。
内部管理の信頼
2023 年の不適切会計で特別注意銘柄になり、2024 年 11 月に解除された。再発すれば顧客・取引先の信用と上場の維持に関わる。
希薄化と大株主
新株予約権が全部行使されると発行済株式の 11.8% が増える。大株主の Dream Bridge の持株が約 30% で、少数株主の声が資本政策に届きにくい。
提携先への依存
ZwickRoell など海外提携先との販売契約が継続しない場合の影響を、会社自身が事業等のリスクに挙げている。
のれんの減損
ASTOM の買収で生じたのれんは、デジタル事業が赤字のうちは回収が確かでない。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 6% を超えたら
- 計画の利益率が現実味を帯びたと見て、中立の利益率を上げ、やや楽観の確率を厚くする。
- 試験機の受注高が 2 期続けて前期を下回ったら
- やや悲観に確率を移し、売上の前提を下げる。
- デジタル事業が黒字に転じ、件数が増えたら
- デジタルの利益率の前提を上げる。のれんの減損リスクも下がる。
- 復配が 2029 年 2 月期より前倒しされたら
- 還元の合計を増やし、キャッシュ創出力を上方修正する。
- 新株予約権が行使され発行済株式が増えたら
- 希薄化の係数を固定し、払い込まれた現金を価値に足す。
- 大株主が持株を増やす・TOB を提案したら
- 価格を本質価値と比べる。分析の前提が変わるので再点検する。
見ておくもの
- 営業利益率と、会社計画(来期 6%台・最終年度 10%)との差
- 試験機の受注高・受注残の増減
- デジタル事業の損益とのれんの減損の有無
- 無配から復配への時期と配当方針
- 新株予約権の行使状況と大株主の持株
倍率と資本コストの決め方
数量と価格を別々に置き、物価の分は価格(10 年 1.34 倍)に入れた。本社費も物価で 1.34 倍に増やした。中立の営業利益率は過去 12 年の山 5.6% に並べ、計画の 10% は織り込んでいない。ROE が k を下回る(または近い)ので PER の上限は 1÷k=11.8 倍で、中立はその約 9 割に置いた。今の株価や過去の倍率からは置いていない。新株予約権は行使される筋書きに係数 0.894 を掛けた。悲観は売れる資産の税後を床とした。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→15.94 倍・やや楽観 PER 11.5→14.57 倍・中立 PER 10.5→13.34 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。