結論
IMVは、製品が壊れないかを調べる振動試験装置の専業メーカーだ。自動車、防衛、鉄道、電子機器の開発現場で、試験用の揺れを作る加振機を売る。国内シェアは6割、世界でも3割近いと会社は説明する。2025年9月期は売上179億円、営業利益23億円(利益率12.9%)と、5期続けて過去最高を更新した。筆者の結論は、本質価値が今の値段を1割強下回る、やや割高だ。
追い風は強い。防衛予算の拡大、AIサーバーの試験、大型の車載・産業機器の開発が重なり、受注残は155億円と前の期より3割増えた。今期は売上215億円、営業利益29億円と、さらに2割の増収を会社は見込む。
問われるのは、この需要がどこまで続くかだ。受注の4割が防衛で、政府予算と国際情勢に左右される。自動車向けは電動化の波の中で変わりうる。財務は安定し、純現金は15億円ある。10年の中立でも純利益は35億円ほどで、伸びは年4%にとどまる。強さは認めるが、追い風の分は今の値段に入っている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、IMVは小さくても強い専業メーカーだ。顧客は試験を省けず、装置の制御まで自社で握るため、簡単には置き換えられない。堀はそれほど広くないが、国内で6割のシェアは力を示している。
株主のものになる利益は、純利益の7割ほどとみる。設備投資が増えているため、足元は利益の全部が配当に回らない。ただ、受注が売上の1年分を超え、見通しは立てやすい。
気になるのは、今の利益が防衛と AI の需要で押し上げられている点だ。この波が10年続くなら価値は大きく増えるが、過去には利益率が6年で15%から3%へ崩れた例がある。筆者は、現在の水準を永遠のものとは見ない。ただ弱気一色でもない。受注が売上の1年分を超えて積み上がり、会社の質は確かだ。問題は値段で、追い風の分を先に払うと、安全域が薄くなる。 払う値段に安全域があるかが、判断の分かれ目になる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、振動シミュレーションシステム(DSS)だ。加振機(揺れを作る装置)、パワーアンプ、コントローラーを自社で作り、組み合わせて納める。売上は130億円で、全体の7割を占める。自動車、防衛、機械・鉄道、試験所、航空宇宙が顧客で、売上の4割強が自動車向け、受注では防衛が4割強を占める。1台あたりの単価が大きい装置も多く、大型のKシリーズは大阪の工場で作る。2025年2月に生産エリアを広げ、大型機の約4割をこの新エリアで作った。
テスト&ソリューションサービス(TSS)は売上37億円で、受託の振動試験やEMC(電磁波の影響を調べる)試験、顧客ごとの試験の設計を行う。埼玉県入間市の試験センターにEMC試験専用棟を作り、40GHzまでの試験に対応し、航空・宇宙・防衛向けを広げている。
メジャリングシステム(MES)は売上12億円で、振動や騒音を測る機器とソフトだ。規模は小さく、前期は6%減った。
海外は売上の4割、受注では66%を占める。欧州、米国、アジアに子会社を持ち、米国のアナハイムに新拠点を作る。同社は単一セグメントで、製品別の利益は開示していない。
優良さと弱いところ
強みは、加振機からアンプ、コントローラーまで自社で作れることだ。試験の揺れは精密な制御が必要で、部品の組み合わせを自社で最適化できるため、顧客は納入後の保守や追加機の購入でも同社を選びやすい。国内シェアは61%、世界は28%と会社は説明している。
数字にも出ている。営業利益率は2020年9月期の3%から2025年9月期の12.9%まで戻り、ROEは17.5%に達した。受注が売上を大きく上回る状態が続き、先行きの見通しも立てやすい。
弱みは三つある。第一に、規模が小さい。時価総額は300億円ほどで、需要が急に冷えた時の耐性は限られる。第二に、需要が防衛予算と自動車の開発投資という二つの波に偏る。第三に、利益率の歴史は上下が大きい。2014年9月期の15%から2020年の3%まで、6年で大きく崩れた経験がある。
経営は設備投資と研究開発を積極化し、3年で投資59億円、研究開発30億円を計画する。配当は利益連動型に変え、機動的な自社株買いも掲げる。ただ、売上の伸びを支える投資の回収には時間がかかる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
振動試験は、製品が輸送や使用中の揺れに耐えるかを確かめる、開発に欠かせない工程だ。法規制や顧客の品質基準で必要になるため、景気が悪くても試験自体はなくならない。ただ、装置の購入は顧客の開発投資の波に連動する。
足元の需要は三つの流れで強い。第一に、防衛だ。NATO諸国の国防予算が膨らみ、防衛規格の試験設備への投資が増えている。IMVの受注の4割強が防衛向けに変わった。第二に、AIサーバーだ。重いサーバーラックの輸送や運用での振動試験の引き合いが、アジアで複数入っている。第三に、自動車の電動化だ。電池や駆動系の耐久試験が増える。
世界の市場規模は、民間の調査で12億ドルから25億ドルまで幅があり、年6〜15%の成長予測も出ているが、定義は不明確だ。IMVが主張する世界シェア28%と売上から逆算すると、完成した試験システムの市場は約470億円になる。
競合は米国のユンホルツ・ディッキー、MBダイナミクス、センテック、欧州の企業、そして中国メーカーだ。10年の分かれ目は二つある。防衛と AI の需要が定着するか、中国メーカーが性能を上げて価格を押し下げるかだ。
資本政策と M&A
還元は変わりつつある。従来の安定配当から、純利益に連動する配当へ移し、機動的な自社株買いを掲げた。2025年9月期の配当性向は24.7%と低く、利益に比べて内部に残す割合が高い。
投資は積極的だ。2025年9月期から3年で設備投資59億円、研究開発30億円を計画し、大阪に先進技術センターを2027年1月ごろに建てる。会社は積極的な M&A も予定する。買収は、試験設備や EMC 試験の領域で技術を補う使い方が主になるとみる。
株主は安定している。有限会社の筆頭株主が約19%、取引先持株会が約7%、個人株主2名で約14%、同業のエスペックが約5%を持つ。株主優待は確認できなかった。買われる側としては、安定株主が厚く、TOB の可能性は低い。
純現金は15億円で、時価総額の1割に満たない。余った現金として分けず、投資と運転資金の分と見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注残が売上の1年分を超え、需要の質が変わった。防衛向けの受注が4割を占めるのは、一時の注文ではなく、NATOの国防予算が数年にわたり高まる構造から来る。防衛規格の試験設備は更新と追加が続き、IMVは入間のEMC棟でも対応を広げた。AIサーバーの試験でも、アジアを中心に引き合いが重なる。
会社は中期経営計画を引き上げ、2027年9月期の売上を180億円から205億円に改めた。今期の会社予想はそれをさらに上回る。大阪の生産エリアの拡張と先進技術センターが、供給の制約をほどく。国内で6割、世界で3割弱のシェアを持ち、加振機からコントローラーまで自社で作る強みがあるので、需要が増えるほど利益率は上がる。営業利益率は15%台に戻り、10年で売上を名目で年6〜7%伸ばせば、利益は50億円前後に届く。 加振機の保守と改造で稼ぐ収益が積み上がるほど、景気の波は薄まる。
収益の質も変わりつつある。装置の販売に加え、受託試験が売上37億円まで育ち、入間のEMC棟が稼働して防衛・航空宇宙向けの試験を取り込める。装置を売り、試験を受託し、計測まで提供するため、顧客を長く囲える。
慎重な見方
好調の中身を見る必要がある。今の利益は防衛とAIという、二つの波に乗っている面が強い。受注の41%を占める防衛は、政府予算と国際情勢で一気に動く分野で、注文が前倒しされた分の反動が来る恐れがある。自動車向けは、電動化の投資が減速すると、開発向けの試験設備の需要は先送りされる。
過去を見ると、営業利益率は2014年9月期の15%から2020年9月期の3%まで、6年で崩れた。規模が小さく、固定費の重い会社は、売上が1〜2割減るだけで利益が大きく動く。海外の売上は4割で、米国の関税の影響も出ている。
中国メーカーが性能を上げれば、汎用の加振機は価格競争になる。投資も重い。3年で設備59億円、研究開発30億円を投じるため、需要が想定を下回ると、償却が利益を圧迫する。純資産が積み上がるほど ROE は下がり、今の17%は維持できない。追い風が弱まった時、今の値段は支えを失う。 大株主の安定は、経営の規律が緩むことと裏表でもある。
さらに、今期の予想は期初の200億円から215億円へ上がったばかりで、期待は高い。受注が少し鈍るだけで、株価は期待の剥落を織り込む。設備と人への先行投資が重く、売上の伸びが止まれば利益率は急に悪化する。
どちらに重みを置いたか
防衛とAIの需要が続くという強気の見方は、受注残の厚みという事実に支えられ、足元ではこちらが強い。それでも中立の確率は4割弱に抑え、やや悲観を2割、悲観を1割と、悲観側を3割残した。理由は、過去に利益率が6年で15%から3%へ崩れた経験と、規模の小ささだ。中立の10年後の時価総額と還元は今の1.8倍にとどまり、資本コストに届かない。価値は今の時価総額を1割強下回る、やや割高になった。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 3,764 円600 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 525 円84 億円)。 今の値に割り戻すと 2,239 円357 億円、今との差 +23.9%、 期待の年率 +9.0%(資本コスト 7.2%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 6,308 円1,006 億円 | 759 円121 億円 | +290.9% | +14.6% | 707 円113 億円 |
| やや楽観 | 22% | 5,270 円840 億円 | 634 円101 億円 | +226.5% | +12.6% | 1,299 円207 億円 |
| 中立 | 38% | 4,374 円697 億円 | 552 円88 億円 | +172.4% | +10.5% | 1,872 円298 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,325 円211 億円 | 395 円63 億円 | −4.9% | −0.5% | 344 円55 億円 |
| 悲観 | 10% | 469 円75 億円 | 207 円33 億円 | −62.6% | −9.4% | 68 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,764 円600 億円 | 525 円84 億円 | +137.2% | +9.0% | 4,289 円684 億円 |
今の株価時価総額 1,808 円288 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 10% 防衛とAIが定着し、利益率が山を超える 利益 49 億円 · PER 19.7 倍 · 株価時価総額 6,308 円1,006 億円
NATO諸国の防衛予算の拡大が10年続き、防衛規格の試験設備の更新と追加がIMVの受注を押し上げる。AIサーバーの試験が新しい柱に育ち、世界シェアは29%に高まる。大阪の増産と先進技術センターが供給の制約を取り除き、受注は売上の1年分を超え続ける。売上は10年で約400億円と2倍を超え、営業利益は59億円。利益率は15%近くと過去の山に並ぶ。ROE は13%台を保ち、配当と自社株買いも強まる。この筋書きの鍵は、試験装置が一度入ると、保守・改造・追加機で長く稼げる点だ。装置の台数が増えるほど、保守とサービスの収益も積み上がり、利益の質が上がる。M&A も試験設備の領域で成功し、技術の厚みが増す。
- 振動シミュレーションシステム(DSS):数量 760(世界の振動試験装置市場(今の値段で測った実質・億円、会社の世界シェア 28% から逆算))× 価格 38.9%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 295 億円・営業利益 49 億円。防衛・AI で拡大、シェア 29%(実質の市場 760 億円、物価込みで名目)
- テスト&ソリューションサービス(TSS):数量 1,250(受託試験市場(国内中心の振動・EMC・環境試験、今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 6.2%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 77 億円・営業利益 10 億円。EMC・防衛規格の試験で拡大(実質の市場 1,250 億円 × シェア 4.6%)
- メジャリングシステム(MES):数量 1,600(世界の振動・騒音計測機器市場(今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 1.5%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。計測も緩やかに拡大(実質の市場 1,600 億円 × シェア 1.1%)
倍率:事業の純利益 49 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.9% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.7 倍。全体の PER 19.68 倍、時価総額 968 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防衛予算の拡大が長く続き、AIサーバー向けが第三の柱に育つ。中国勢にも負けず、会社の計画を大きく超える筋書きなので1割に抑えた。
やや楽観 22% 需要が緩やかに続き、利益率14%台を保つ 利益 41 億円 · PER 19.3 倍 · 株価時価総額 5,270 円840 億円
防衛と自動車の試験需要が堅調に続き、AIサーバーも一定の売上を生む。シェアは28%を保ち、大型機の生産能力の拡大で供給も追いつく。売上は約350億円、営業利益は49億円で、利益率は14%台に乗る。ROE は12%と、今の17%からは下がるが、資本コストは大きく上回る。投資の回収が進み、配当は利益連動で増え、自社株買いも実施される。受注が売上を上回る状態が数年は続き、生産能力の拡張が利益に結びつく。M&A は小粒にとどまるが、EMC や環境試験の技術を補う。自動車は電池と駆動系の耐久試験で底堅く、防衛は更新需要が続く。海外の受注比率が高く、為替と関税の変動はあるが、価格に転嫁できる。
- 振動シミュレーションシステム(DSS):数量 700(世界の振動試験装置市場(今の値段で測った実質・億円、会社の世界シェア 28% から逆算))× 価格 37.5%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 263 億円・営業利益 42 億円。防衛・自動車が堅調、シェア 28%(実質の市場 700 億円)
- テスト&ソリューションサービス(TSS):数量 1,150(受託試験市場(国内中心の振動・EMC・環境試験、今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 5.9%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 68 億円・営業利益 9 億円。EMC 試験が拡大(実質の市場 1,150 億円 × シェア 4.4%)
- メジャリングシステム(MES):数量 1,450(世界の振動・騒音計測機器市場(今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 1.3%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。小幅に拡大(実質の市場 1,450 億円 × シェア 1.0%)
倍率:事業の純利益 41 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.8% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.3 倍。全体の PER 19.25 倍、時価総額 797 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防衛とAIの需要が続き、会社の中期計画をほぼ達成して、その先も伸びる。実現しやすい好ケースとして2割強を置いた。
中立 38% 波を越えて、物価を上回る成長を保つ 利益 35 億円 · PER 18.7 倍 · 株価時価総額 4,374 円697 億円
防衛と AI の勢いは今期をピークに落ち着くが、試験需要は規制と品質基準に支えられて続く。世界市場は実質で4割ほど大きくなり、IMVのシェアは中国勢の追い上げで27%に少し下がる。物価も加わり、売上は10年で約320億円、年5.9%の伸びになる。営業利益は42億円、利益率は13%強と今の水準をやや上回る。純利益は35億円、配当性向は3割で、純資産が積み上がって ROE は11%弱に下がる。中国メーカーとの競争は、価格の安い汎用機を中心に起きる。IMVは大型機と防衛規格の試験で優位を保ち、値上げは物価の分にとどまる。人件費と設備投資も物価で増えるため、利益率は大きく上がらない。
- 振動シミュレーションシステム(DSS):数量 650(世界の振動試験装置市場(今の値段で測った実質・億円、会社の世界シェア 28% から逆算))× 価格 36.2%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 235 億円・営業利益 35 億円。需要は続くが中国勢でシェア微減(実質の市場 650 億円 × シェア 27%)
- テスト&ソリューションサービス(TSS):数量 1,100(受託試験市場(国内中心の振動・EMC・環境試験、今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 5.8%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 63 億円・営業利益 8 億円。受託試験は緩やかに拡大(実質の市場 1,100 億円 × シェア 4.3%)
- メジャリングシステム(MES):数量 1,400(世界の振動・騒音計測機器市場(今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 1.3%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。横ばいに近い(実質の市場 1,400 億円 × シェア 1.0%)
倍率:事業の純利益 35 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.4% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.7 倍。全体の PER 18.69 倍、時価総額 652 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防衛・AI の追い風は薄れながらも需要は続き、中国勢との競争で利益率は少し下がる。会社の中期計画の延長で、最も蓋然性が高い。
やや悲観 20% 需要が一巡し、価格競争で利益率が戻る 利益 18 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 1,325 円211 億円
防衛予算の増加が一服し、前倒しされた注文の反動が出る。自動車の電動化投資は減速し、試験設備の更新が先送りされる。中国メーカーが汎用品で価格を下げ、IMVのシェアは24%に落ちる。固定費の重い生産体制が利益を削り、営業利益は23億円、利益率は9%台まで下がる。純利益は18億円で、ROE は7%を下回り、資本コストに届かない。配当は据え置きに近づく。前の山のあとに起きた、2016年からの利益率の低下に近い動きだ。人件費は物価で増えるが、価格に転嫁できず、固定費の重さが利益を削る。受注残が減って稼働率が落ち、試験所の償却も重くなる。海外の売上は伸び悩み、米国の関税も収益を圧迫する。
- 振動シミュレーションシステム(DSS):数量 560(世界の振動試験装置市場(今の値段で測った実質・億円、会社の世界シェア 28% から逆算))× 価格 32.2%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 180 億円・営業利益 20 億円。需要が一巡しシェア低下(実質の市場 560 億円 × シェア 24%)
- テスト&ソリューションサービス(TSS):数量 950(受託試験市場(国内中心の振動・EMC・環境試験、今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 5.1%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 48 億円・営業利益 4 億円。受託試験は伸び悩む(実質の市場 950 億円 × シェア 3.8%)
- メジャリングシステム(MES):数量 1,200(世界の振動・騒音計測機器市場(今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 1.2%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。採算が悪化(実質の市場 1,200 億円 × シェア 0.9%)
倍率:事業の ROE は7%弱と k 7.25% を下回るので、PER の上限は 1÷k の13.3 倍。そこから利益の質の低下を割り引き、7割強に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 9.5 倍・時価総額 173 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:防衛とAIの需要が一巡し、中国勢の価格競争も重なる。過去の水準(利益率6〜10%)に近い。固定費が重く振れも大きいため2割と厚めに置いた。
悲観 10% 中国勢に押され、構造的に負ける 利益 3 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 469 円75 億円
AIサーバーと防衛の需要は一過性で終わり、受注は急減する。中国メーカーが高付加価値品でも品質を上げ、IMVのシェアは18%に落ちる。大阪の増産設備と先進技術センターの固定費が重くのしかかり、営業利益はほぼ消える。受託試験は稼働率が下がり、計測は赤字になる。減損も出て自己資本が20億円ほど減る。それでも国内の顧客基盤と土地建物、運転資本が残るので、売れる資産の税後が株価の床になる。配当は半減に近づき、自社株買いも止まる。大株主の安定株主が支えるため、買収の対象にはなりにくいが、少数株主に有利な展開になる保証はない。
- 振動シミュレーションシステム(DSS):数量 440(世界の振動試験装置市場(今の値段で測った実質・億円、会社の世界シェア 28% から逆算))× 価格 24.1%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 106 億円・営業利益 4 億円。シェアを失い縮小(実質の市場 440 億円 × シェア 18%)
- テスト&ソリューションサービス(TSS):数量 800(受託試験市場(国内中心の振動・EMC・環境試験、今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 4.0%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。稼働率が低下(実質の市場 800 億円 × シェア 3.0%)
- メジャリングシステム(MES):数量 1,000(世界の振動・騒音計測機器市場(今の値段で測った実質・億円、推定))× 価格 0.9%(実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。赤字に転落(実質の市場 1,000 億円 × シェア 0.7%)
倍率:稼ぐ力は細り、価値は売れる資産の税後で決まる。今の自己資本に PBR 0.63 倍を掛けた額が、floor_assets_oku の内訳(純現金、運転資本の回収、土地建物の半分)と一致する。
確率:AIと防衛の需要が定着せず、中国メーカーが品質を上げて価格で押し込み、構造的に負ける。固定費の重さで赤字に近づくが、売れる資産が床を作るので1割に抑えた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
振動シミュレーションシステム(DSS)
加振機・パワーアンプ・コントローラーを組み合わせた振動試験装置。自動車、防衛、試験所、機械、航空宇宙向け。
| 数量世界の振動試験装置市場(今の値段で測った実質・億円、会社の世界シェア 28% から逆算) | 価格実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 465 | 28.0% | 130 | 20 |
| 10 年後 中立 | 650 | 36.2% | 235 | 35 |
取り方:会社は世界シェア 28% と説明している。DSS 売上 130 億円を 0.28 で割った 465 億円を世界市場とした(民間調査の推計は 12 億ドル超と範囲が広く、これは完成した試験システムに絞った額に当たる)。数量は実質、物価 3% は価格に入れた。会社は単一セグメントで、製品別の利益は開示がないため、利益率は連結 12.9% から 15% と推定した(推定)。
テスト&ソリューションサービス(TSS)
振動・EMC・環境の受託試験と、顧客ごとの試験ソリューション。
| 数量受託試験市場(国内中心の振動・EMC・環境試験、今の値段で測った実質・億円、推定) | 価格実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 900 | 4.1% | 37 | 4 |
| 10 年後 中立 | 1,100 | 5.8% | 63 | 8 |
取り方:受託試験の市場統計は見つからず、900 億円と推定し売上 36.9 億円からシェア 4.1% を逆算した。利益率は設備負担の重い試験所として 12% と推定(推定)。
メジャリングシステム(MES)
振動・騒音の計測機器、センサ、解析システム。
| 数量世界の振動・騒音計測機器市場(今の値段で測った実質・億円、推定) | 価格実質の市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,200 | 1.0% | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,400 | 1.3% | 19 | 1 |
取り方:計測機器は HBK、キスラー、PCB などが大きく、同社は小さな存在。1,200 億円と推定し売上 12.3 億円からシェア 1.0% を逆算した。利益率は 3% 程度と推定(推定)。全社の調整額 −1.2 億円(本社費)を引いて連結営業利益 23.1 億円になる。
リスクと懸念
防衛予算への依存
受注の41%が防衛向けで、政府予算と国際情勢に左右される。注文が前倒しされた分の反動が来ると、受注の勢いは急に鈍りうる。
AI・自動車の開発投資の波
AI サーバーや電動車の試験設備は、顧客の開発投資の波に連動する。投資が減速すれば、装置の購入が先送りされる。
利益率の歴史的な振れ
営業利益率は2014年9月期の15%から2020年9月期の3%まで、6年で崩れた。規模が小さく固定費が重いため、売上が1〜2割動くだけで利益が大きく動く。
中国メーカーの台頭
汎用の加振機では中国メーカーの性能が上がり、価格競争が強まる。世界シェア28%は欧米・中国勢の動き次第で削られる。
積極投資の回収
3年で設備投資59億円、研究開発30億円を計画し、M&A も視野に入れる。需要が想定を下回ると償却と費用が利益を圧迫し、買収の統合も失敗の余地を残す。
関税・為替・部材
海外は売上の4割で、米国の関税の影響が出ている。部材高騰や人的投資の増加も利益率を押し下げる。
今後の分かれ目
- 受注残が2期続けて減り、受注が売上を下回る
- 需要の山が過ぎた証拠で、慎重な筋書きの確率を上げる。
- 防衛向けの受注比率が5割を超える
- 政府予算への依存がさらに強まり、波が大きくなる。強気の確率は上がるが、悲観の深さも増す。
- AIサーバー向けの受注が定着し、売上の1割に達する
- 自動車・防衛以外の第三の柱ができ、利益率の山が高く、長く続く筋書きに近づく。
- 営業利益率が14%を超えて2期維持される
- 生産能力の拡大が利益に結びつき、強気の筋書きの確率を上げる。
- 自社株買いや増配で総還元性向が4割を超える
- 純資産の積み上がりが緩み、ROE の低下が和らぐ。倍率の見方が上がる。
- 中国メーカーが欧米の防衛・自動車向けに大型機を納入する
- 価格競争が高付加価値品にも及び、構造的な負けの筋書きの確率が上がる。
見ておくもの
- 受注高と受注残の推移
- 防衛・AIサーバー・自動車向けの受注構成
- 営業利益率の維持
- 海外受注比率と米国の関税
- 設備投資とM&Aの実行状況
- 総還元性向
- 中国メーカーの動向
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や PER を見ず、製品別の市場規模とシェア、利益率から10年後の利益を積み、k 7.25%・長期成長 4%・残る割合 0.5 の式の正当化 PER の9割(楽観寄り)〜85%(中立)に置いた。やや悲観は ROE が資本コストを下回るので上限 1÷k から割り引き、悲観は稼ぐ力より売れる資産の床から置いた。過去の PBR は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.9→19.68 倍・やや楽観 PER 14.9→19.25 倍・中立 PER 13.6→18.69 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality 0(循環 +0.25 と値決め −0.25 が相殺)。純現金で借金の加算はなく、事業が傾いてもいないので extra は置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.50% → 7.25%。