結論
朝日インテックは、冠動脈・末梢・脳血管のカテーテル治療に使うガイドワイヤー・カテーテル(循環器・非循環器のメディカル事業、売上の約87%)と、産業用ワイヤーロープ・FA機器(デバイス事業、約13%)の2本柱からなる会社。極細ステンレスワイヤーの撚り線技術を核に、1995年に世界で初めて慢性完全閉塞(CTO)病変用のガイドワイヤーを開発し、この最も難度の高い領域でシェアをほぼ独占している。冠動脈ガイドワイヤーの世界シェアは地域によって中国約6割・欧州・中東約5割・米国約3割に達し、医師が手技に習熟し切り替えにくい製品で高い価格決定力を持つ。
2026年6月期はROE18.5%・営業利益率31.1%・自己資本比率79.4%と精密機器業種でも際立って高い収益性で、2025年8月策定・2026年8月に上方修正した中期経営計画「Building the Future 2030」では2030年6月期に売上2,125億円・営業利益率32.0%・ROE20.0%を掲げている。循環器中心の事業構成から、米国での専門人材拡充・直販化を進める末梢・脳血管(非循環器)事業への広がりが次の成長の軸になっている。
ここでは循環器・非循環器を世界市場規模×実質シェア(価格は物価3%込みの名目)、デバイス事業を出荷量×単価で積み上げ、資本コスト6.75%(基本7.5%に、景気で振れない需要−0.5%)と長期の成長率3.5%から、利益ベースの正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)で倍率を決めた。残る割合1/2で資本コストを超えるROEの一部を先の薄れとして織り込み、中国のVBPと循環器への集中を見て上限の7〜9割に置いた。結果、中立の10年後の時価総額は今の1.2倍まで届くものの、確率で重みづけた総合では本質価値が今の時価総額を1割台半ば下回る「やや割高」になった。現在のPER28.9倍・PBR5.35倍という評価は、すでに高成長の継続を強く織り込んだものであることが分かる。中国のVBP(集中購買)による値下げ圧力と、循環器事業への利益集中という強みと依存リスクを併せ持つ会社であり、非循環器・新興国事業の拡大がこの高い評価に見合う成長を続けられるかが分かれ目になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、朝日インテックはCTO病変用ガイドワイヤーという「医師が使い方に習熟し、切り替えにくい」製品で、世界的にほぼ独占的な地位を築いた、堀の深い事業だと評価できる。高齢化と低侵襲治療へのシフトという需要の裏付けがあり、10年後もこの事業が存在し、強い価格決定力を保つ確度は高い。
株主のものになる利益という観点では、ROE18.5%・自己資本比率79.4%というほぼ無借金の資本効率は精密機器業種でも際立って高く、再投資効率に優れる。経営の資本配分は、循環器中心の内部成長から、300億円の資金調達によるM&A・新研究棟への投資という新しい段階に入ったところで、過去の規律は保たれているものの、買う側としての大型M&A実行力はまだ証明されていない。安全域については、現在のPER28.9倍・PBR5.35倍という評価は、2030年の中期経営計画目標(ROE20%)の達成をほぼ織り込んだ強気な値段であり、中国のVBPによる価格圧力や非循環器事業の立ち上がりが計画より遅れれば、業績の悪化を待たずに倍率そのものが縮小しやすい。循環器事業への利益集中という強みと依存リスクを併せ持つ、質は高いが安全域の大きくない事業だと考える。
何で稼ぐ会社か
メディカル事業は循環器(冠動脈・大動脈領域のガイドワイヤー・カテーテル)と非循環器(末梢血管・脳血管領域のガイドワイヤー・カテーテル)の2つの柱からなり、2026年6月期の売上は約1,268億円(全社の87.2%)。循環器は慢性完全閉塞(CTO)病変用ガイドワイヤーを中心に、心臓カテーテル治療における「血管の中を通す」入口の製品群で世界をリードし、中間期の開示では循環器が非循環器の4倍超の規模を占める。非循環器(末梢・脳血管)は規模はまだ小さいものの、2021年に脳血管系製品の米国直接販売体制へ移行し、2024年9月就任の宮田憲次社長の下で専門人材を3倍に増やす計画が進む、次の成長領域である。
デバイス事業(産業用ワイヤーロープ・FA機器等、売上の約12.8%)は、創業の極細ワイヤー撚り線技術を産業用途に応用した事業で、メディカル事業に比べ利益率は低いが、医療機器事業とは異なる需要構造を持つ安定した収益源になっている。
地域別には中国・フィリピン・タイへの生産拠点展開を進め、2025年には中国に新たに子会社を設立し約20億円を投じて工場を改修、現地の医療機関が自国生産品を優先する動きに対応している。設立から50年(2026年に50周年)、創業家中心の経営から、プロ経営者による中期経営計画の遂行体制に移行しつつある。
優良さと弱いところ
朝日インテックの堀は、ガイドワイヤーという「医師が使い方に習熟し、切り替えにくい」製品で、特に難度の高いCTO病変治療において世界で事実上の独占的な地位を築いていることにある。中国約6割・欧州・中東約5割・米国約3割という地域別シェアは、長年の臨床データの蓄積と医師への手技トレーニングという、資本力だけでは模倣しにくい参入障壁を反映している。資本効率は2026年6月期のROE18.5%・営業利益率31.1%・自己資本比率79.4%と、精密機器業種の中でもHOYAに次ぐ高水準で、ほぼ無借金(純有利子負債-576億円)の財務基盤を持つ。
一方で、利益の大半は循環器事業に依存しており、非循環器(末梢・脳血管)事業はまだ規模が小さく、治療デバイス本体ではアボット・メドトロニック・ボストンサイエンティフィックといった米国大手に規模で及ばない。中国ではVBP(集中購買)がガイドワイヤー等にも対象を広げており、長年の価格決定力が徐々に試される局面にある。経営面では、2024年9月に就任した宮田憲次社長の下で中期経営計画「Building the Future 2030」の数値目標を2026年8月に大きく上方修正したばかりで、その実行力はこれからの四半期で検証が必要になる。300億円規模の資金調達でM&Aや新研究棟への投資を進めており、買う側としての大型M&Aの経験はまだ少ない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の冠動脈ガイドワイヤー市場は調査会社により6億〜20億ドル規模と幅があるが、朝日インテックの循環器事業の売上規模(年約1,000億円強)とシェア(50%超)から逆算すると、周辺のカテーテル・サポート製品を含めて13億ドル前後の市場規模が実態に近い。高齢化・生活習慣病の増加に伴う手技件数の増加と、低侵襲治療へのシフト(開胸・開腹手術からカテーテル治療への置き換え)が、この市場を構造的に押し上げる。一方、末梢血管・脳血管(非循環器)領域は循環器よりも新しい市場で、新興国での手技普及や米国での直販化により高い成長が期待できる。
競争の形は、治療デバイス本体(ステント・バルーン等)ではアボット・メドトロニック・ボストンサイエンティフィック・J&Jの米国大手4社が高いシェアを握る一方、朝日インテックはガイドワイヤー・マイクロカテーテルという「アクセス」領域でテルモと並ぶ日本発のニッチ王者としての地位を保っている。中国ではVBP(集中購買)による価格低下圧力が強まっており、心血管インターベンション関連消耗品がVBPの対象に追加されてきている。朝日インテックは2025年に中国へ新工場を設け現地生産を強化することで、価格圧力への対応とシェア維持を図っている。
10年の構造的な負け筋は、①中国・インドの地場メーカーがガイドワイヤーの中位品で技術力を高め、最先端品にも食い込む、②主要国の医療費抑制(薬価・材料価格の恒常的な引き下げ)がVBPの形で他地域にも広がる、③新規モダリティ(薬剤溶出バルーン等)による既存デバイスの陳腐化、の3つが重なれば市場成長が年1〜2%まで落ち込む絵になる。逆に、低侵襲治療の普及が加速し、末梢・脳血管事業が循環器並みの規模に育てば、会社全体の成長ペースは中期経営計画を上回る余地がある。
資本政策と M&A
株主還元の方針は、2024年6月期に配当方針を配当性向30%目安から35%目安へ引き上げ、大型投資の完了・在庫増加が一巡したことを理由に還元を拡大した。自社株買いは目立った実績が少なく、還元は配当が中心。政策保有株式・ガバナンス面で大きな懸念は報じられていない。
資本政策は、2025年に300億円規模の資金調達を行い、M&A(買収)や新研究棟の建設に充てる計画を示している。過去の大型M&Aの実績は限られ、循環器中心の自社開発・内部成長が中心だったが、今後は非循環器・新興国事業の強化に向けた買う側としてのM&Aを模索している段階にあり、その実行力はまだ検証できていない。ほぼ無借金(自己資本比率79.4%)の財務基盤と、中期経営計画で掲げる成長投資を考えると、朝日インテック自身が買われる側になる可能性は現時点では高くない。中国に新たに現地子会社を設立し工場を改修するなど、VBP環境下でのシェア維持に向けた地域ごとの生産体制の構築も資本配分の一部になっている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
朝日インテックのガイドワイヤー事業は、医師が使い方に習熟した製品からの切り替えが起きにくいという強い堀を持ち、1995年に世界初のCTO用ガイドワイヤーを開発して以来、この最も難度の高い領域でシェアをほぼ独占してきた。中国約6割・欧州・中東約5割・米国約3割という地域別シェアは、治療デバイス本体で規模の大きいアボット・メドトロニック・ボストンサイエンティフィックに対しても揺るがない競争優位を示している。
2025年8月に策定した中期経営計画「Building the Future 2030」は、2026年8月のわずか1年後にすでに数値目標を大きく上方修正し、2030年6月期の売上目標を1,800億円から2,125億円へ、営業利益率目標を28.0%から32.0%へ引き上げた。この上方修正の速さそのものが、会社の実行力と市場機会の大きさを物語っている。非循環器(末梢・脳血管)事業は、2021年の米国直接販売体制への移行、2024年9月就任の宮田憲次社長による米国専門人材3倍増計画で、循環器に続く次の成長エンジンに育つ可能性が高い。
中国のVBP(集中購買)についても、2025年の現地子会社設立・工場改修という先手の対応で、価格圧力をシェア拡大による量でむしろ相殺できる位置にある(テルモの脳血管事業が中国で販路拡大した例と同様の構図)。自己資本比率79.4%・ほぼ無借金という健全な財務基盤を背景に、300億円の資金調達によるM&A・新研究棟投資は、循環器中心の事業ポートフォリオを広げる機会になる。50周年を迎え、創業の極細ワイヤー技術を核に、医療機器のグローバルニッチトップとして長期にわたり高いROEを持続できる、質の高い成長企業だと評価できる。
慎重な見方
現在のPER28.9倍・PBR5.35倍という評価は、ROE18.5%というすでに高い資本効率と、2030年の中期経営計画目標(ROE20%)達成をほぼ織り込んだ、相当に強気な値段である。中期経営計画が策定から1年足らずで上方修正されたことは好材料だが、逆に言えば会社自身の見通しの振れ幅が大きいことの裏返しでもあり、次の下方修正のリスクも否定できない。
中国のVBP(集中購買)は、心血管インターベンション関連消耗品の対象をガイドワイヤー等にも広げており、朝日インテックの中国シェア約6割という大きな事業ほど、恒久的な値下げ圧力の影響を強く受ける。現地生産による対応も、工場改修費用や品質管理の負担を増やす面がある。非循環器(末梢・脳血管)事業はまだ規模が小さく、治療デバイス本体ではアボット・メドトロニック・ボストンサイエンティフィックという規模の大きい米国大手に対抗できておらず、循環器事業への利益集中が崩れれば全社業績への影響が大きくなりやすい。
300億円の資金調達によるM&Aは、過去に大型買収の実績が乏しい会社にとって未知の領域であり、買う側としての統合リスクは軽視できない。2024年9月に就任した宮田憲次社長の下での経営体制の転換期であることに加え、中国・インドの地場メーカーがガイドワイヤーの中位品で技術力を高めつつあり、長期的には最先端品にも食い込むリスクが残る。現在の高い評価は、こうした実行リスクを十分に織り込んでいない可能性がある。
どちらに重みを置いたか
事業の質については強気の見方が優勢で、CTO病変用ガイドワイヤーでの世界的にほぼ独占的な地位と、1年足らずでの中期経営計画の上方修正は、同業他社にはない競争優位と実行力を示している。一方、現在のPER28.9倍・PBR5.35倍という評価自体がすでに高い成長を織り込んでおり、中国VBPによる価格圧力・循環器事業への依存・M&Aの実行リスクという慎重な見方の指摘も妥当である。計算では、資本コスト6.75%と利益で測る正当化PERの7〜9割で倍率を決めると、中立の10年後の時価総額は今の1.2倍になるが、悲観側に厚めの確率を置いた総合では今の評価がやや割高気味という結果になった。事業の質の高さ自体は疑わないが、すでに市場が相当に先取りして評価しているとの判断から、確率は中立からやや悲観側にも相応の重みを置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 6,310 円1.67 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 707 円1,876 億円)。 今の値に割り戻すと 3,794 円1.01 兆円、今との差 +1.3%、 期待の年率 +6.5%(資本コスト 6.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 16% | 10,427 円2.77 兆円 | 1,002 円2,658 億円 | +205.2% | +11.8% | 1,829 円4,852 億円 |
| やや楽観 | 30% | 7,863 円2.09 兆円 | 814 円2,160 億円 | +131.7% | +8.8% | 2,603 円6,907 億円 |
| 中立 | 32% | 6,179 円1.64 兆円 | 687 円1,822 億円 | +83.3% | +6.2% | 2,197 円5,829 億円 |
| やや悲観 | 16% | 1,745 円4,631 億円 | 436 円1,157 億円 | −41.8% | −5.3% | 349 円926 億円 |
| 悲観 | 6% | 435 円1,155 億円 | 218 円579 億円 | −82.6% | −16.0% | 39 円104 億円 |
| 加重平均 | 100% | 6,310 円1.67 兆円 | 707 円1,876 億円 | +87.4% | +6.5% | 7,017 円1.86 兆円 |
今の株価時価総額 3,745 円9,936 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.8% を下回るほど割高。
楽観 16% CTO独占の継続と非循環器事業が循環器級に育つ 利益 1,198 億円 · PER 22.3 倍 · 株価時価総額 10,427 円2.77 兆円
10年間で低侵襲治療へのシフトと新興国での手技普及が加速し、世界の冠動脈ガイドワイヤー市場は30億ドル規模まで拡大する。朝日インテックはCTO病変での独占的地位を保ちながら実質シェアを61%まで引き上げる。非循環器(末梢・脳血管)事業は米国直販化・専門人材拡充が結実し、市場28億ドルの中でシェア29%まで伸ばし、循環器事業に迫る規模に育つ。デバイス事業も自動化需要の拡大を取り込む。中国のVBPによる価格圧力は現地生産の規模拡大でむしろ競争優位に転じ、グローバルニッチトップとして長期にわたり高いROEを持続する、同社にとって最も理想的な10年になる。
- 循環器(冠動脈・大動脈領域):数量 22.4(世界の冠動脈ガイドワイヤー・マイクロカテーテル等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 123(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 2,745 億円・営業利益 1,153 億円。名目の市場 30 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 22.4 億ドル)× シェア 61%、営業利益率 42%
- 非循環器(末梢血管・脳血管領域):数量 20.9(世界の末梢・脳血管ガイドワイヤー等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 58(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 1,218 億円・営業利益 426 億円。名目の市場 28 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 20.9 億ドル)× シェア 29%、営業利益率 35%
- デバイス事業(産業用ワイヤー・FA機器等):数量 80.0(産業用ワイヤー・FA機器等の年間出荷数量(百万単位、推定))× 価格 500(1 単位あたり平均単価(円・名目))→ 売上 400 億円・営業利益 84 億円。80 百万単位 × 単価 500(今の 1.34 倍)、営業利益率 21.0%
倍率:事業の純利益 1,198 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.6% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.2% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 22.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 22.2 倍。全体の PER 22.25 倍、時価総額 26,656 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:10年間でCTO病変での独占的地位を維持しつつ、非循環器(末梢・脳血管)事業が循環器に迫る規模に育つという複数の構造変化を同時に取り切る必要があり、実現すれば非常に強いが連続成功の確度は高くない。
やや楽観 30% Building the Future 2030の先の巡航成長 利益 913 億円 · PER 21.8 倍 · 株価時価総額 7,863 円2.09 兆円
世界の冠動脈ガイドワイヤー市場は26億ドルまで拡大し、朝日インテックの実質シェアは59%に改善する。CTO病変での強みを核に循環器事業の営業利益率は39%を維持する。非循環器事業は米国直販化・新興国の普及が進み、市場24億ドルの中でシェア27%に伸ばす。デバイス事業も自動化需要の拡大を取り込み利益率が改善する。中国の国産化・VBPの圧力は中位品を中心に残るが、最先端のCTOガイドワイヤーでは技術優位を保つ。配当性向35%前後の方針も維持され、2030年目標(ROE20%)の先を見据えた資本効率の改善が着実に進む10年になる。
- 循環器(冠動脈・大動脈領域):数量 19.4(世界の冠動脈ガイドワイヤー・マイクロカテーテル等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 119(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 2,301 億円・営業利益 897 億円。名目の市場 26 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 19.4 億ドル)× シェア 59%、営業利益率 39%
- 非循環器(末梢血管・脳血管領域):数量 17.9(世界の末梢・脳血管ガイドワイヤー等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 54(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 972 億円・営業利益 311 億円。名目の市場 24 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 17.9 億ドル)× シェア 27%、営業利益率 32%
- デバイス事業(産業用ワイヤー・FA機器等):数量 75.0(産業用ワイヤー・FA機器等の年間出荷数量(百万単位、推定))× 価格 485(1 単位あたり平均単価(円・名目))→ 売上 364 億円・営業利益 69 億円。75 百万単位 × 単価 485(今の 1.30 倍)、営業利益率 19.0%
倍率:事業の純利益 913 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.6% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.2% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.8 倍。全体の PER 21.78 倍、時価総額 19,885 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:低侵襲治療へのシフトと新興国の医療アクセス改善が業界見通しの中心〜やや強いレンジで進み、2030年目標(売上2,125億・OP32%)のさらに先の巡航成長が続く想定。
中立 32% 中立:循環器の優位は続くが非循環器は循環器並みには育たない 利益 720 億円 · PER 21.4 倍 · 株価時価総額 6,179 円1.64 兆円
10年後の冠動脈ガイドワイヤー市場は23億ドル規模に構造的に拡大するが、朝日インテックの実質シェアは57%で現状からの改善は小幅にとどまり、循環器事業の営業利益率は37%に平常化する。非循環器事業は米国直販化・新興国普及で着実に拡大するが、市場21億ドルの中でシェア25%にとどまり、循環器ほどの規模には育たない。デバイス事業は製造業の自動化需要に支えられ安定成長する。中国のVBP・主要国の医療費抑制は構造的な前提として残り続け、CTO病変での独占的地位という優良さは保たれるものの、過去ほど極端な高倍率は付かず、「極めて強いが単一領域に依存するニッチトップ」としての評価に収まる10年になる。
- 循環器(冠動脈・大動脈領域):数量 17.2(世界の冠動脈ガイドワイヤー・マイクロカテーテル等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 115(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 1,967 億円・営業利益 728 億円。名目の市場 23 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 17.2 億ドル)× シェア 57%、営業利益率 37%。中国VBP・主要国の医療費抑制が10年続く前提だが、市場の伸びが物価を上回り、シェアは今の53%から57%へ小幅に上がる。価格(シェア×150円×物価の倍率)は今の1.46倍。
- 非循環器(末梢血管・脳血管領域):数量 15.7(世界の末梢・脳血管ガイドワイヤー等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 50(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 788 億円・営業利益 236 億円。名目の市場 21 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 15.7 億ドル)× シェア 25%、営業利益率 30%
- デバイス事業(産業用ワイヤー・FA機器等):数量 70.0(産業用ワイヤー・FA機器等の年間出荷数量(百万単位、推定))× 価格 470(1 単位あたり平均単価(円・名目))→ 売上 329 億円・営業利益 56 億円。70 百万単位 × 単価 470(今の 1.26 倍)、営業利益率 17.0%
倍率:事業の純利益 720 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.0% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.9%、10 年より先の名目の伸び g 3.2% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.4 倍。全体の PER 21.37 倍、時価総額 15,386 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業界団体・会社の長期見通しの中心値と、資本コストと長期の成長率から出した倍率を組み合わせた中心シナリオ。
やや悲観 16% 新興国メーカーとVBPにシェアと価格決定力を侵食される 利益 340 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,745 円4,631 億円
中国・インドの地場メーカーがガイドワイヤーの中位品で技術力を高め、朝日インテックの循環器事業の実質シェアは52%まで低下する。冠動脈ガイドワイヤー市場自体も18億ドルにとどまり、VBPの広がりで循環器事業の営業利益率は27%まで低下する。非循環器事業も新興国メーカーとの価格競争が強まり、市場16億ドルの中でシェア20%にとどまる。デバイス事業も製造業の投資鈍化で利益率が伸び悩む。それでもCTO病変での技術の核心は保たれ、事業自体が崩れるわけではなく、配当による株主還元も規模を縮小しつつ継続される10年になる。
- 循環器(冠動脈・大動脈領域):数量 13.4(世界の冠動脈ガイドワイヤー・マイクロカテーテル等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 105(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 1,404 億円・営業利益 379 億円。名目の市場 18 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 13.4 億ドル)× シェア 52%、営業利益率 27%
- 非循環器(末梢血管・脳血管領域):数量 11.9(世界の末梢・脳血管ガイドワイヤー等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 40(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 480 億円・営業利益 96 億円。名目の市場 16 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 11.9 億ドル)× シェア 20%、営業利益率 20%
- デバイス事業(産業用ワイヤー・FA機器等):数量 55.0(産業用ワイヤー・FA機器等の年間出荷数量(百万単位、推定))× 価格 430(1 単位あたり平均単価(円・名目))→ 売上 237 億円・営業利益 28 億円。55 百万単位 × 単価 430(今の 1.15 倍)、営業利益率 12.0%
倍率:ROE 8.8%。RONIC=k 6.75%+残る割合 1/2×(8.8−7.0)=7.9%、g 3.5% から正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.9 倍、下限の 1÷k は 14.3 倍で、上限は 15.9 倍。VBP で価格が下がり ROE が k を少し上回る水準に落ちる筋書きなので、堀の持ちを低く見て、上限の 7.0 割の 11.1 倍に置いた。
確率:中国・インドの地場メーカーがガイドワイヤーの中位品で技術力を高め、かつVBPが主要国に広がる想定。業界見通しのうち弱めのレンジに相当。
悲観 6% 構造的にCTOの独占とシェアを失う 利益 65 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 435 円1,155 億円
中国・インドの地場メーカーがCTO病変用ガイドワイヤーの最先端品にも食い込み、朝日インテックの循環器事業の実質シェアは40%まで低下する。冠動脈ガイドワイヤー市場自体も13億ドルにとどまる中でシェア損失が業績を直撃し、循環器事業の営業利益率は15%まで落ち込む。非循環器事業も新興国メーカーとの価格競争・VBPの広がりで市場11億ドルの中でシェア13%にとどまる。デバイス事業も製造業の投資停滞で利益率が4%まで落ち込む。ほぼ無借金の財務と厚い自己資本を背景にPBRは0.75倍で踏みとどまるが、かつての「CTOの独占者」という評価から「規模はあるが並みの医療機器部材メーカー」へ評価が下がる10年になる。
- 循環器(冠動脈・大動脈領域):数量 9.7(世界の冠動脈ガイドワイヤー・マイクロカテーテル等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 80(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 780 億円・営業利益 117 億円。名目の市場 13 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 9.7 億ドル)× シェア 40%、営業利益率 15%
- 非循環器(末梢血管・脳血管領域):数量 8.2(世界の末梢・脳血管ガイドワイヤー等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 26(実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍))→ 売上 215 億円・営業利益 17 億円。名目の市場 11 億ドル(物価 1.34 倍を除いた実質 8.2 億ドル)× シェア 13%、営業利益率 8%
- デバイス事業(産業用ワイヤー・FA機器等):数量 40.0(産業用ワイヤー・FA機器等の年間出荷数量(百万単位、推定))× 価格 380(1 単位あたり平均単価(円・名目))→ 売上 152 億円・営業利益 6 億円。40 百万単位 × 単価 380(今の 1.02 倍)、営業利益率 4.0%
倍率:稼ぐ力は純利益 65 億円÷k 6.75%=約 930 億円しか残らないが、純現金 576 億円と生産設備・在庫が下支えになる。純現金は全額、それ以外の事業用資産(今の自己資本 1,734 億円に純現金を引いた 1,158 億円)が簿価の 5 割で売れると仮定すると 1,155 億円で、今の自己資本の 0.67 倍にあたる。市場の値付けは根拠にしていない。
確率:中国・インドの地場メーカーがCTO病変用の最先端品にまで食い込み、かつ主要国のVBPが恒常的に強まるという複合シナリオ。技術優位の喪失は一度始まると10年で後退しやすいため低頻度だが無視できない確率を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
循環器(冠動脈・大動脈領域)
冠動脈・大動脈領域のカテーテル治療に使うガイドワイヤー・マイクロカテーテル等を手掛ける中核事業。CTO(慢性完全閉塞)病変用ガイドワイヤーで世界をほぼ独占。
| 数量世界の冠動脈ガイドワイヤー・マイクロカテーテル等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質) | 価格実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 13.0 | 79 | 1,023 | 379 |
| 10 年後 中立 | 17.2 | 115 | 1,967 | 728 |
取り方:循環器事業の売上を、2026年6月期のメディカル事業売上1,267.8億円(全社の87.2%)に、中間期開示の循環器:非循環器比率(474.5億:113.0億≒80.8%:19.2%)を当てはめて約1,023億円と推定。世界の冠動脈ガイドワイヤー市場は調査会社により6〜20億ドルと幅があるが(Fortune Business Insights・Emergen Research)、マイクロカテーテル等の周辺アクセス製品を含めた実質市場を13億ドルと置き、実質シェアを53%(1ドル150円換算で1,023億円÷13億ドル÷150円)とした。これは報告されているPCIガイドワイヤーの世界シェア50%超(中国6割・欧州5割・米国3割)と整合する。
非循環器(末梢血管・脳血管領域)
末梢血管・脳血管領域のカテーテル治療に使うガイドワイヤー・マイクロカテーテル等を手掛ける事業。2021年に米国で直接販売体制へ移行し、専門人材拡充で拡大中。
| 数量世界の末梢・脳血管ガイドワイヤー等アクセス製品市場(億ドル・今の値段で測った実質) | 価格実質の市場 1 ドルあたりの売上(円)=実質シェア × 150 円 × 物価の倍率(3 年 1.09・10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 9.0 | 27 | 244 | 69 |
| 10 年後 中立 | 15.7 | 50 | 788 | 236 |
取り方:非循環器事業の売上を、メディカル事業売上の約19.2%(中間期の循環器:非循環器比率より)として約244億円と推定。世界の末梢・脳血管ガイドワイヤー等の市場を9億ドルと置き、実質シェアを18%(244億円÷9億ドル÷150円)とした。循環器より市場・シェアともに小さいが、米国直販化・専門人材3倍増計画・新興国の手技普及で高成長が見込める領域。 先の数量は名目の市場(10 年後 21 億ドル)を物価 1.34 倍で割った実質 15.7 億ドルで置いており、名目の伸びをそのまま数量に置いたものではない(物価分は価格側)。
デバイス事業(産業用ワイヤー・FA機器等)
創業の極細ステンレスワイヤー撚り線技術を応用した産業用ワイヤーロープ・FA(ファクトリーオートメーション)機器等を手掛ける事業。メディカル事業より利益率は低いが安定した収益源。
| 数量産業用ワイヤー・FA機器等の年間出荷数量(百万単位、推定) | 価格1 単位あたり平均単価(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 50.0 | 372 | 186 | 28 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 470 | 329 | 56 |
取り方:デバイス事業の売上186.2億円(2026年6月期、全社の12.8%)を、産業用ワイヤー・FA機器等を年約50百万単位出荷すると推定して、1単位あたりの平均単価に分けた。数量は実質(製造業の設備投資・自動化需要に紐づき横ばい〜緩やかな増加)、単価は物価3%と高機能品への構成変化を反映して名目で上がる。
リスクと懸念
中国VBP(集中購買)による価格低下圧力
中国では心血管インターベンション関連消耗品のVBP(集中購買・帯量採購)対象が広がっており、朝日インテックの中国シェア約6割という大きな事業ほど恒久的な値下げ圧力の影響を強く受ける。現地生産(2025年の子会社設立・工場改修)で量の拡大による相殺を図るが、完全には相殺できない可能性がある。
循環器事業への利益集中
循環器(冠動脈)事業がメディカル事業売上の8割強を占め、高い利益率を支える一方で単一分野への依存度が高い。この事業の需要・価格環境が悪化すれば、規模の小さい非循環器・デバイス事業では完全には吸収できず、全社業績への影響が大きくなりやすい。
新興国メーカーの技術力向上
中国・インドの地場メーカーがガイドワイヤーの中位品で技術力を高めつつあり、長期的には価格決定力の低下やシェアの侵食につながるリスクがある。CTO病変用の最先端品での技術優位がどこまで保たれるかが分かれ目になる。
治療デバイス本体での規模の差
ガイドワイヤー・マイクロカテーテルというアクセス製品では強いが、ステント等の治療デバイス本体ではアボット・メドトロニック・ボストンサイエンティフィックという規模の大きい米国大手に対抗できておらず、技術の中心が治療デバイス本体に移れば取り分は限定的なままになる。
M&Aの実行リスク
300億円規模の資金調達によるM&A・新研究棟投資を進めているが、過去に大型買収の実績が乏しく、買う側としての統合リスクはまだ検証できていない。循環器中心の内部成長から事業ポートフォリオを広げる段階でのガバナンス・資本配分の規律が問われる。
中期経営計画の上方修正の裏返し
2025年8月策定の中期経営計画「Building the Future 2030」が2026年8月にわずか1年で大きく上方修正されたことは好材料だが、会社自身の見通しの振れ幅が大きいことの裏返しでもあり、次の下方修正のリスクも否定できない。
倍率の高さ
現在のPER28.9倍・PBR5.35倍という評価は、今のROE18.5%というすでに高い資本効率と2030年の中期経営計画目標(ROE20%)の達成をほぼ織り込んでいる。計画達成が遅れれば、業績の悪化を待たずに倍率そのものが縮小する場面が起こりやすい。
今後の分かれ目
- 中国のVBPがガイドワイヤーの中核製品にまで広がり、現地生産による量の拡大でも値下げを相殺できなくなったら
- 循環器事業の利益率前提を下方修正し、やや悲観側の筋書きに近づいているか点検する。
- 非循環器(末梢・脳血管)事業の米国直販化・専門人材拡充の効果が確認され、市場シェアが計画を上回るペースで伸びたら
- 非循環器事業の成長率・利益率の前提を上方修正し、循環器に次ぐ成長の柱として価値を見直す。
- 300億円の資金調達によるM&Aが実行され、その統合が順調に進んだら
- 資本配分の実行力への評価を見直し、事業ポートフォリオの広がりを楽観側の筋書きに反映する。
- 中期経営計画「Building the Future 2030」の目標がさらに上方修正される、または逆に下方修正されたら
- 会社計画の実行力そのものへの評価を見直し、筋書きの確率配分を再検討する。
- 中国・インドの地場メーカーがCTO病変用の最先端品のシェアを大きく伸ばしたら
- 10年の長期シェア前提を下方修正し、堀の持続性(moat)の評価を見直す。
- 配当性向35%の方針から逸脱し還元が大きく縮小、または増配が続いたら
- 資本配分の規律そのものへの評価を見直し、筋書きの確率配分を再検討する。
見ておくもの
- 四半期ごとの循環器・非循環器の売上構成比・実質シェアの動向
- 中国VBPの対象拡大・現地生産による相殺の進捗
- 米国での非循環器(末梢・脳血管)事業の専門人材拡充・売上の伸び
- 中期経営計画「Building the Future 2030」の進捗と上方・下方修正の有無
- 300億円の資金調達によるM&A・新研究棟投資の実行状況
倍率と資本コストの決め方
循環器・非循環器は世界市場の見通し(ドル建ての名目)を今の値段で測った実質の市場に直し、物価3%は実質シェア×150円×物価の倍率という価格の側に入れた。デバイス事業は出荷量(実質)×単価(物価込みの名目)に分けた。資本コストは基本7.5%に、景気で振れない需要−0.5%を足した7.0%(値決め・借金・寿命は0)。倍率は利益ベースの正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)(RONICは資本コストを超える分の1/2が残る値。10年中立のROE14.1%、g 3.5%)を引き、医療機器の非循環的な利益の質から上限の7〜9割(楽観9割、やや悲観7割)に置き、最後に今の時価総額と比べた。中立のPERは約15.6倍で、今のPER28.9倍にも過去のPBRの幅にも寄せていない。やや悲観は上限の7割、悲観は純現金と事業用資産(簿価の5割)の床で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 18.5→22.25 倍・やや楽観 PER 17.5→21.78 倍・中立 PER 15.6→21.37 倍)。
資本コスト 6.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k=基本 7.5%+quality -0.5%=7.0%。内訳と理由は quality_why。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.00% → 6.75%。
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