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助川電気工業 7711

原子力・核融合の試験設備と、半導体向けの熱部品の会社。利益率は過去最高だが、小さく案件の波が大きい。今の値段は大きく割高と見る

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,588 円88 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)4,315 円238 億円差 −63.2%
10 年後から見ると 割高 価値 1,588 円88 億円 · 差 −63.2% · 期待の年率 −2.8%
期待の年率リターン(10 年)−2.8%資本コスト比 −11.0 pt
推定の資本コスト8.3%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.3% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

助川電気工業は、原子力と核融合の研究設備、そして半導体や自動車の工場で使う熱の部品を作る会社だ。筆者の結論は、今の値段は大きく割高、というものだ。

稼ぐ力は急に上がった。営業利益は2年前の6億円から、2025年9月期の12億円へ倍になり、利益率は21%と過去最高に達した。受注残高は44億円ある。核融合や次世代炉の試験設備が、利益を引っ張っている。会社の予想でも、2026年9月期の営業利益はさらに増える見込みだ。

ただ、従業員は191人、生産の9割は茨城県の1つの工場に集まる。売上の約45%は原子力向けで、上位3社の販売先で4割を占める。研究機関の予算に左右される事業は、案件の波が大きい。

10年の中立は、売上が約93億円、営業利益が約16億円、純利益が約11億円。強気の見方は、核融合と次世代炉が本格化する姿だ。慎重な見方は、研究予算の後退と半導体需要の縮小が重なる姿である。今の時価総額は、強気の筋書きの先まで織り込んでいるように見える。

バリュー投資の観点から

事業は分かりやすい。熱の測定と制御という地味な技術で、原子力や半導体の工場を支える。

良い点は三つある。第一に、ナトリウムや溶融金属の装置は、50年以上の蓄積があり、まねしにくい。第二に、自己資本比率が65%あり、借金が重くない。第三に、受注残高が44億円あり、当面の売上が見える。

気になる点も三つある。第一に、利益率が21%に届いたのは、過去最高だ。長く続いた一桁台の水準から急に上がっており、案件の波に恵まれた面がある。第二に、販売先が偏る。上位3社で4割を占める。第三に、規模が小さい。従業員191人、工場は1か所で、事故や人の入れ替わりの影響が大きい。

筆者は、この会社を「技術は本物だが、小さく、波の大きい受注産業」と見る。持ち続けたいかは、受注の高さが数年続くかにかかる。今の利益率を永久に続く水準と見るのは危ない。

安全域は、今の値段にはない。時価総額は、足元の利益の30倍を超える。核融合や次世代炉への期待が、強気の筋書きの先まで値段に織り込まれているように見える。

何で稼ぐ会社か

助川電気工業は、熱と温度を測り、制御する機器の会社だ。1949年に茨城県日立市で創業し、主力の高萩工場は茨城県の北部にある。従業員は単体で191人と少ない。

事業は二つに分かれる。エネルギー関連は、2025年9月期の売上が27.6億円で、全体の半分。研究機関向けの安全性を確かめる試験装置と、原子力・火力発電所向けの温度制御の装置を作る。高速炉で使う液体ナトリウムの流量計や、核融合の研究で使う溶融金属のループ(循環する実験設備)がその例だ。

産業システム関連は26.8億円。半導体、液晶パネル、自動車、鉄鋼の工場で使う熱電対(細い金属管に入れた温度センサ)とシーズヒーター(同じ構造の加熱線)を売る。

売上の約45%は原子力産業向け、約25%は半導体・液晶の関連だ。販売額が1割を超える相手は、シンワバネスが16%、量子科学技術研究開発機構が13%、日立GEベルノバニュークリアエナジーが11%。

受注は強い。2025年9月期の受注高は63億円で34.9%増え、受注残高は44億円と26.2%増えた。増えたのはエネルギー関連で、産業システム関連は受注も受注残も減った。生産の約9割が高萩工場に集まる。

優良さと弱いところ

堀は、ほかが手を出さない技術にある。ただ、堀の深さは事業によって違う。

エネルギー関連は堀が深い。液体ナトリウムの装置は1970年代から作ってきて、2021年にはナトリウムループを新設した。高速炉や核融合の試験設備は、実績がないと発注されにくい。セグメント利益率は30%と高い。

産業システム関連は普通だ。熱電対とヒーターは、海外メーカーとも競う標準的な部品で、半導体の投資循環に左右される。利益率は26%と高いが、受注は2025年9月期に減った。

値決めの力は案件ごとに違う。受注生産で、見積りと実際の費用がずれる危うさを、会社自身がリスクに挙げる。

資本効率は急に上がった。ROEは2020年9月期のほぼゼロから、2025年9月期の16%へ。ただ、過去10年の中央値は7%で、今の高さは新しい局面だ。

経営は実直だ。現金は5億円と薄く、設備投資は1.5億円と小さい。配当は2025年9月期で純利益の約3割、2026年9月期は大きく増やす予定だ。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

市場は二つの異なる世界でできている。

一つは、国の政策に左右される原子力と核融合の世界だ。会社は、次世代革新炉と核融合の試験研究が今後の事業をけん引すると述べる。発注するのは、量子科学技術研究開発機構のような国の研究機関と、発電所を作る日立GEベルノバニュークリアエナジーのような企業だ。案件は大きく、年によって波がある。

市場の大きさは、公的な統計が取れなかった。筆者の粗い推定では、会社が応じる国内の対象市場は100億〜200億円で、同社のシェアは2〜3割に当たる。根拠は弱い。

もう一つは、半導体・液晶・自動車・鉄鋼の工場だ。熱電対とヒーターは設備ごとに必要な部品で、設備投資が増える時期に数量が伸びる。海外メーカーとの競争があり、価格は上がりにくい。

数量の物差しは、エネルギー関連が年間の完成案件数、産業システム関連が出荷本数の推定とした。エネルギー関連は案件が高度化するため、価格を物価並みか、やや上に置いた。産業システム関連は競争で1.2倍とした。

決算説明会は開かれておらず、中期経営計画も公表されていない。会社の見通しは、期初に出す1年の予想だけだ。

資本政策と M&A

還元は穏やかだ。配当は2025年9月期が純利益の約3割。2026年9月期の予想は大きく増える。自社株買いの方針は確認できなかった。自己株は発行済み株式の6%ほどある。

財務は健全だ。自己資本比率は65%。現金は5億円で、純有利子負債も5億円と、ほぼゼロだ。社債の償還が進んでいる。設備投資は1.5億円、減価償却は1.2億円、研究開発費は0.9億円と小さい。

大株主は、創業者と同じ名前を冠するドウメキエンタープライズが14〜17%、東京中小企業投資育成が約6%、常陽銀行が約4.5%だ。社長の持株は1%ほどで、オーナー経営の色は薄い。

M&Aの実績は確認できなかった。kabufuの推計では、10年以内の買収の確率は19%だ。保有する上場株は日立製作所とめぶきフィナンシャルグループで、規模は小さく、価値には入れていない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

強気の見方は、国の原子力・核融合政策と、受注の勢いに目を向ける。

2025年9月期の受注高は63億円で、前期から34.9%増えた。受注残高は44億円で、売上の8割にあたる。エネルギー関連だけで受注は41億円、受注残は36億円ある。2026年9月期の中間期は営業利益が12.1%増え、年間の利益率は21%を保つ見込みだ。

会社は、次世代革新炉と核融合の試験研究が、今後の事業をけん引すると述べる。核融合では、溶融金属のループなど研究機関向けの製品がすでに増えた。液体ナトリウムの装置を作れる会社は国内に少なく、実績が参入の壁になる。

産業システム関連も、半導体と液晶の投資が戻れば、売上が伸びる。数量の伸びに加え、納入先は高性能な部品を求めるため、単価も上がる。

10年後、核融合と次世代炉の試験設備が本格化し、エネルギー関連の売上が100億円を超えれば、営業利益は31億円に届く。ROEは14%台に乗る。この筋書きの確率を8%とした。

慎重な見方

慎重な見方は、案件の波と、利益率の山を突く。

研究機関向けの案件は、国の予算に左右される。大型の試験設備は一度発注されると、次の発注まで間が空く。2025年9月期の営業利益率21%は過去最高で、長く続いた一桁台の水準から2年で倍以上になった。この高さが続く保証はない。

販売先は偏る。上位3社で売上の4割を占め、原子力向けが約45%、半導体・液晶向けが約25%。研究予算の後退と半導体の投資循環が重なれば、売上が一気に落ちる。2020年9月期には営業赤字に沈んだ。

産業システム関連は、すでに受注と受注残が減っている。2025年9月期の受注は前期の88%、受注残は63%だった。

規模も小さい。従業員191人、生産の9割が1つの工場に集まる。事故や災害、人の入れ替わりの影響が大きい。受注生産で、見積りと実際の費用がずれる危うさも、会社自身が認めている。

最後に、値段が先に走りすぎている。核融合のテーマで買われ、時価総額は足元の利益の30倍を超える。テーマが落ち着けば、値段は利益に引き寄せられる。

どちらに重みを置いたか

結論は、今の値段は大きく割高、というものだ。確率を重ねた価値は約69億円で、時価総額258億円を7割ほど下回る。

分かれ目は、今の利益率が続くかだ。中立の10年後は営業利益16億円、利益率17%と、今の21%から戻す。それでも純利益は11億円で、時価総額は足元の30倍の利益を払っている。強気の筋書きでも、10年後の時価総額は今と同じ水準だ。

強気の言い分は受注の勢いと国の政策、慎重な見方は案件の波と利益率の山だ。受注残が厚いので、数年は強気が当たりやすい。しかし10年で見ると、波が戻る確率が高く、確率は慎重側に寄せた。

見るべき点は三つ。受注高と受注残高、営業利益率の推移、そして上位3社の売上比率である。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)

確率で加重した株価時価総額 2,761 円152 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 502 円28 億円)。 今の値に割り戻すと 1,588 円88 億円、今との差 −63.2%、 期待の年率 −2.8%(資本コスト 8.3%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 6,193 円342 億円 816 円45 億円 +62.4% +5.0% 561 円31 億円
やや楽観 20% 4,287 円236 億円 617 円34 億円 +13.6% +1.3% 981 円54 億円
中立 33% 3,321 円183 億円 544 円30 億円 −10.4% −1.1% 1,275 円70 億円
やや悲観 26% 1,003 円55 億円 381 円21 億円 −67.9% −10.8% 360 円20 億円
悲観 13% 399 円22 億円 272 円15 億円 −84.5% −17.0% 87 円5 億円
加重平均100% 2,761 円152 億円502 円28 億円 −24.4% −2.8% 3,264 円180 億円

今の株価時価総額 4,315 円238 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。

楽観 8% 核融合と次世代炉が本格化し、エネルギー関連が3倍超に育つ 利益 21 億円 · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 6,193 円342 億円

核融合の実証と次世代革新炉の設計が進み、試験設備の発注が10年続く。エネルギー関連の売上は28億円から100億円を超え、国内で同じ装置を作れる数少ない会社として、価格も物価より上がる。

産業システム関連も、半導体の投資が戻り、売上が1.7倍になる。ただ、利益率はエネルギー関連ほどは上がらない。

売上は約150億円、営業利益は約31億円で、利益率は21%と過去最高に並ぶ。純利益は約21億円、ROEは14.2%。工場は高萩の1か所では足りなくなり、設備投資と人員が増える。研究機関の発注先が分散することも、新しい競争相手の登場にもつながる。

  • エネルギー関連(試験研究設備・発電所の温度制御):数量 150(年間の完成案件数(件、推定))× 価格 0.69(1案件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 104 億円・営業利益 28 億円。数量2.50倍、単価1.50倍、利益率27%
  • 産業システム関連(熱計測部品):数量 28.0(年間の出荷本数(万本、推定))× 価格 16,719(1本あたり平均単価(円・名目))→ 売上 47 億円・営業利益 10 億円。数量1.40倍、単価1.25倍、利益率22%

倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.6 倍。全体の PER 15.59 倍、時価総額 330 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:研究設備の発注は国の予算と案件の時期に左右される。核融合と次世代炉の計画が同時に進み、産業システム関連も好調を保つ姿は、うまくいった場合の上限に近い。8%とした。

やや楽観 20% 試験設備の需要が続き、利益率は18%台を保つ 利益 14 億円 · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 4,287 円236 億円

次世代革新炉と核融合の試験設備が着実に発注される。エネルギー関連の売上は68億円に増え、受注残高が売上を支える。単価は物価を上回り、利益率は27%を保つ。

産業システム関連は、半導体と自動車の投資循環に合わせて緩やかに伸び、売上は42億円になる。

営業利益は約21億円、利益率は19%。純利益は約14億円、ROEは11.3%。全社の費用は物価で増えるが、固定の費用が薄まる分は吸収できる。配当は純利益の約3割を保ち、自己資本は着実に積み上がる。

ただし堀は広がらない。新しい競争相手が現れれば、単価の上がり方は鈍る。研究機関の予算も年ごとに動き、利益率が27%を超え続けることはない。

  • エネルギー関連(試験研究設備・発電所の温度制御):数量 102(年間の完成案件数(件、推定))× 価格 0.67(1案件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 68 億円・営業利益 18 億円。数量1.70倍、単価1.45倍、利益率27%
  • 産業システム関連(熱計測部品):数量 26.0(年間の出荷本数(万本、推定))× 価格 16,318(1本あたり平均単価(円・名目))→ 売上 42 億円・営業利益 9 億円。数量1.30倍、単価1.22倍、利益率21%

倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.0% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.1 倍。全体の PER 15.07 倍、時価総額 216 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:受注が34.9%増え、受注残も26.2%増えている。この勢いが数年は続くと見るのが自然だ。ただ、研究予算は年ごとに動く。20%とした。

中立 33% エネルギー関連が緩やかに伸び、利益率は17%台に戻る 利益 11 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 3,321 円183 億円

エネルギー関連は、案件数が1.45倍、単価が1.4倍になり、売上は56億円になる。単価の上がり方は、物価1.34倍に高度化の分が少し乗る程度だ。利益率は26%と、今の30%から下がる。

産業システム関連は、数量が1.15倍、単価が1.2倍にとどまり、売上は37億円。海外メーカーとの競争で、単価は物価に届かない。

売上は約93億円、営業利益は約16億円で、利益率は17%。今の21%から戻る。全社の費用は物価で増えて約6億円になる。

純利益は約11億円、ROEは9.7%。減価償却は今の約1.2億円から少し増える程度で、工場は自社の設備が中心だ。配当は純利益の約3割を保つ。

  • エネルギー関連(試験研究設備・発電所の温度制御):数量 87.0(年間の完成案件数(件、推定))× 価格 0.64(1案件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 56 億円・営業利益 15 億円。数量1.45倍、単価1.40倍、利益率26%
  • 産業システム関連(熱計測部品):数量 23.0(年間の出荷本数(万本、推定))× 価格 16,050(1本あたり平均単価(円・名目))→ 売上 37 億円・営業利益 7 億円。数量1.15倍、単価1.20倍、利益率20%

倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.49 倍、時価総額 159 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:受注は強いが、2024〜2025年の利益率の急上昇は、案件の時期に恵まれた面がある。山から戻りつつ、水準は過去より高い姿を中立とした。33%とした。

やや悲観 26% 研究予算が一巡し、利益率は一桁台に戻る 利益 4 億円 · PER 9.1 倍 · 株価時価総額 1,003 円55 億円

大型の試験設備の発注が一巡し、エネルギー関連の案件数は今の水準にとどまる。単価は物価で上がるが、競争入札で利益率は20%に下がる。

産業システム関連は、半導体と液晶の投資が冷え、数量が横ばい。単価は競争で1.1倍にとどまり、利益率は14%に落ちる。

売上は約67億円で、物価分しか増えない。全社の費用が物価で増え、営業利益は約6億円、利益率は9%。長く続いた8%台の水準に戻る。純利益は約4億円、ROEは4.7%。配当は維持され、自己資本は薄く積み上がる。

受注残高は細り、新しい大型案件が入るかが年ごとの焦点になる。人員は削らず、固定費が利益を圧迫する。技術は残るが、成長の物語は描きにくい。

  • エネルギー関連(試験研究設備・発電所の温度制御):数量 63.0(年間の完成案件数(件、推定))× 価格 0.60(1案件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 8 億円。数量1.05倍、単価1.30倍、利益率20%
  • 産業システム関連(熱計測部品):数量 20.0(年間の出荷本数(万本、推定))× 価格 14,713(1本あたり平均単価(円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 4 億円。数量1.00倍、単価1.10倍、利益率14%

倍率:事業のROEは4.7%で資本コスト8.25%を大きく下回り、上限は1÷k=約12.1倍。利益が今の3分の1に細り、成長もないので、上限の75%の9.1倍とした。

確率:研究機関向けの案件は国の予算に左右され、半導体の設備投資も循環する。2024〜2025年の高い利益率が長続きしない姿は、十分ありうる。26%とした。

悲観 13% 原子力と半導体の需要が同時にしぼみ、赤字に近づく 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 399 円22 億円

国の研究計画が見直され、試験設備の発注が細る。日立GEベルノバなどの大口の案件も一巡する。エネルギー関連の案件数は25%減る。

半導体・液晶の工場向けは、海外メーカーに切り替わり、数量が15%減る。単価も上がらない。

売上は約48億円と、今を下回る。全社の費用は物価で増えて約5億円になり、営業利益はほぼゼロ、純利益は赤字に沈む。受注生産で見積りが外れる案件も出る。

配当は大きく減り、現金は薄いので、設備投資も抑えられる。倒れるほどの借金はないが、稼ぐ力はなくなる。

研究機関は発注先を絞り、国内で残る案件は大手に集まる。小さな会社は価格でも技術でも押され、人材の確保も難しくなる。

  • エネルギー関連(試験研究設備・発電所の温度制御):数量 45.0(年間の完成案件数(件、推定))× 価格 0.55(1案件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 25 億円・営業利益 3 億円。数量0.75倍、単価1.20倍、利益率12%
  • 産業システム関連(熱計測部品):数量 17.0(年間の出荷本数(万本、推定))× 価格 13,375(1本あたり平均単価(円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。数量0.85倍、単価1.00倍、利益率6%

倍率:赤字で稼ぐ力が無い筋書きなので PBR。床は、現金と保有株、売掛金の回収、工場の売却から借入などを返した残り(floor_assets_oku)で、今の自己資本の約3割。損失で自己資本が今の水準(49億円)まで減ると見て、それに掛けた。

確率:原子力向けが約45%、半導体・液晶向けが約25%と、二つの需要に偏る。研究予算の後退と、半導体関連の海外メーカーへの切り替えが重なる構造的な負けとして、13%とした。この数字を、k の上乗せでも重ねて数えていない。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

エネルギー関連(試験研究設備・発電所の温度制御)

研究機関向けの安全性確証の試験装置、核融合や高速炉向けの溶融金属・ナトリウム装置、原子力・火力発電所向けの温度制御の装置。

数量年間の完成案件数(件、推定)価格1案件あたりの売上(億円・名目)売上営業利益
今 2025/09 60.0 0.46 28 8
10 年後 中立 87.0 0.64 56 15

取り方:売上27.59億円とセグメント利益8.30億円(利益率30.1%、全社費用の配賦前)は開示。案件数は開示がなく、大型の研究設備と小口の発電所向けを平均した推定(年60件、1案件約0.46億円)。数量は件数、価格は名目(二重がけなし)。

産業システム関連(熱計測部品)

半導体・液晶パネル・自動車・鉄鋼の製造装置で使う熱電対、シーズヒーター、信号ケーブル。

数量年間の出荷本数(万本、推定)価格1本あたり平均単価(円・名目)売上営業利益
今 2025/09 20.0 13,375 27 7
10 年後 中立 23.0 16,050 37 7

取り方:売上26.75億円とセグメント利益7.07億円(利益率26.4%、全社費用の配賦前)は開示。本数と単価は開示がなく、推定(年20万本、平均単価約1.3万円)。数量は本数、価格は名目。

リスクと懸念

研究予算と案件の波

エネルギー関連の売上の大半は、国の研究機関と原子力関連の大型案件だ。予算の見直しや発注の時期のずれで、売上が大きく動く。受注残高は44億円と厚いが、次の大型案件が続くとは限らない。

利益率の山からの反動

2025年9月期の営業利益率21%は過去最高。2020年9月期は赤字だった。案件の時期に恵まれた面があり、この高さが続かなければ、利益は今の半分近くに戻りうる。

販売先の偏り

シンワバネスが16%、量子科学技術研究開発機構が13%、日立GEベルノバニュークリアエナジーが11%。上位3社で4割を占める。1社の方針転換が、売上に直接響く。

半導体・液晶の需要の循環

産業システム関連は、半導体・液晶の設備投資に左右される。2025年9月期は受注が前期の88%、受注残が63%に減った。海外メーカーとの価格競争もある。

生産の集中と規模

生産の約9割が高萩工場に集まる。災害や事故で止まれば、納期に影響が及ぶ。従業員は191人と少なく、技術の承継も課題になる。

受注生産の費用のずれ

個別に設計する受注生産で、見積りと実際の費用がずれるリスクを、会社自身が挙げている。資材高や人件費の上昇が、固定価格の案件で利益を削る。

今後の分かれ目

次世代革新炉または核融合の大型の試験設備を受注した
案件の波が上に振れた合図だ。エネルギー関連の数量の前提を上げる。
受注残高が売上の半年分(30億円)を割った
山を過ぎた合図だ。慎重な筋書きの確率を上げる。
営業利益率が2年続けて15%を下回った
利益率の山からの反動が表に出た合図だ。中立の利益率の前提を下げる。
産業システム関連の受注が2年続けて前年を超えた
半導体・液晶の投資が戻った合図だ。産業システム関連の数量の前提を上げる。
上位3社の販売先のうち1社の売上比率が20%を超えた
偏りが強まった合図だ。慎重な筋書きの確率を上げる。
配当性向を大きく引き上げた、または自社株買いを始めた
資本の使い方が改善する合図だ。ROEが保たれ、中立の根拠が強まる。

見ておくもの

  • 受注高・受注残高(エネルギー関連と産業システム関連)
  • 営業利益率(山の21%からどこまで戻るか)
  • 上位3社の売上比率
  • 次世代革新炉・核融合の発注と、国の予算
  • 半導体・液晶の設備投資
  • 配当性向と自社株買い

倍率と資本コストの決め方

起点は2025年9月期の実績(売上54.7億円、営業利益11.65億円)で、時価からは出発していない。2026年9月期の予想(営業利益13億円)は、期初の1年の見通しなので、10年の筋書きの出発点としては参考にとどめた。

倍率は式から決めた。資本コストは8.25%(基本7.5%+quality0.75%)。中立のROEは9〜10%で資本コストをわずかに上回り、堀が普通なので式の上限は約13倍。中立はその85%に置いた。他社や過去の倍率は、判断に使っていない。今の時価総額は足元の利益の30倍を超えるが、それは判断に使っていない。

案件数と出荷本数、市場規模とシェアは開示がなく、売上から置いた推定値である(notes/7711.md)。セグメント利益は全社費用の配賦前で、全社費用は営業利益との差から約3.7億円と読んだ。

利益率は、過去最高の21%を山とし、中立は17%に戻した。決算が9月期のため、10年後は2036年9月期になる。新リース会計基準の影響は小さい(工場は自社保有が中心)。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。

資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality0.75%を足した。案件の波や販売先の偏りなど個別の事情は、k に足さず、筋書きと確率で表した。

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読んだ資料

  1. 有価証券報告書 FY2025(助川電気工業)
  2. 2025年9月期 決算短信
  3. 助川電気工業 セグメント別の売上と利益(期待資本)

分析日 2026-10-16