結論
インターアクションは、スマートフォンや車に載るイメージセンサ(カメラの目の部品)の検査に使う光源装置と、検査用の光学部品を作る小さな会社だ。売上は48億円、営業利益は7億円。ただし来期は売上72億円、営業利益16億円を見込み、利益は倍以上に戻る。筆者の結論はやや割高である。足元の戻りは本物だが、10年の稼ぎにならすと今の株価を支えるには足りない。
最大の理由は、売りものの性格にある。光源装置は顧客が工場を建てる時に売れる。投資の波が来れば急に伸び、去れば4割落ちる。2026年5月期の減収がその例だ。
強みも本物だ。光源と光学の技術は粗利率が6割を超え、セグメント利益率は4〜5割に達する。瞳モジュールは国内で約半分のシェアを持つ。
財務はきわめて厚く、純現金は80億円(時価総額の45%)ある。この現金の価値は事業と別に足して見ている。それを足しても、10年先まで考えた価値は今の値段を下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10年後に、この事業が今より強いか」を問う。光源装置は、技術の差があるうちは高い利益率が続くが、顧客の投資の波に左右され、将来の稼ぎが読みにくい。市場がイメージセンサの拡大に支えられている点は強みだが、少数の顧客に頼る構造は変わらない。
オーナー利益、つまり株主に残る利益は、設備投資が小さいので純利益にほぼ等しい。ただ、その額が谷と山で3倍近く動く。10年の平均で見る必要がある。
経営の資本配分は評価が分かれる。還元は手厚く、不採算事業からの撤退も早い。一方で、これから3年で現金の6割ほどに当たる額を戦略投資や新規事業に使う計画があり、使い方次第で価値を壊しうる。
安全域は、純現金80億円にある。事業の稼ぐ力は、資本コストをわずかに上回る程度で、現金を除くと余裕は薄い。払う値段に、投資の谷と山の両方を織り込みたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは2本ある。1本目はIoT関連事業で、売上の6割(30億円)、利益の大半を稼ぐ。イメージセンサの検査で、被写体に当てる光を出す光源装置と、センサの前に置く「瞳モジュール」を作る。光源装置は顧客の設備投資に連動する大口の売り物、瞳モジュールは生産が続く限り要る部品だ。
2本目はインダストリー4.0推進事業で、売上の4割(19億円)を占める。半導体の製造装置に使う精密除振装置、歯車の精度を測る試験機(子会社の東京テクニカル)、表面の粗さを測る試験機を売る。利益は薄く、2026年5月期は1億円にとどまった。
セグメントの利益から全社の費用(約7億円)を引いた残りが、営業利益になる。環境エネルギー事業は、投資に対する利回りが資本コストを下回ったため、2026年5月期に譲渡して撤退した。
足元では、海外の主要顧客から2026年4月に過去最大の大口受注(23億円)を得た。出荷は2027年5月期の第2四半期に始まる。受注残は2026年8月末で36億円あり、9月にも7.5億円の大口受注を得た。国内の主要顧客は設備投資を見合わせているが、車載やロボット向けの新工場の構想はあり、中長期の回復を会社は見込んでいる。
優良さと弱いところ
堀は光学の技術と顧客との実績にある。粗利率は60%を超え、中期経営計画の目標(50%)を上回る。瞳モジュールは国内で約半分のシェアを持つ。技術の差が価格に表れている。
弱みは顧客の偏りだ。ベース売上、つまり設備投資に左右されない売上の過半が、今期は韓国の1社向けになる。国内の主要顧客の投資が止まれば、売上の4割が消える。2026年5月期がそれにあたる。
財務は非常に厚い。自己資本比率は89%で、純現金は80億円ある。配当は純資産配当率(DOE)4%以上を方針とし、2026年5月期は自社株買い10億円と配当を合わせて約15億円を返した。資本の使い方で、株主を向いている。
気がかりは、これから3年で戦略投資に30億円、新規事業に20億円、既存事業に35億円を使う計画だ。M&Aを含み、必要なら借入も使う。過去の環境エネルギー事業の撤退のように、投資の回収に失敗した経験がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この会社の市場は二つある。一つはイメージセンサだ。世界の市場は2025年に約300億ドルと推計され、年8〜10%(名目)で広がる。物価の分を除いた数量は年5%ほどだ。スマートフォン、車載、ロボットのカメラ需要が支える。
もう一つは半導体製造装置の周辺で、精密除振装置が半導体の投資に連動する。世界の製造装置市場は2026年に約1,440億ドルと過去最高の水準で、10年では山と谷を繰り返す。
光源装置の売上は、センサ会社の新工場の計画で決まる。国内では車載やロボット向けの新工場が検討されているが、時期は中長期だ。海外では韓国と欧州の顧客が旺盛で、足元の受注残は36億円に積み上がっている。
競争の面では、顧客が検査装置を内製する動きと、中国の装置メーカーが力をつけている点が懸念される。装置の単価は下がる方向にあり、技術の差で守れるかが分かれ目になる。会社は、スマートフォン向けにハイエンドからローエンドまでの新モデルを開発しており、中国の新規顧客での検証が始まっている。新しい顧客を広げられるかが、投資の波への備えになる。
資本政策と M&A
還元の方針はDOE4%以上で、2027年5月期の年間配当は前の期の約1.25倍の予定(特別配当を含む)だ。加えて機動的な自社株買いを進める。2026年5月期は自社株買い約10億円と配当約4.7億円で、純利益の約3倍を返した。
3年(2027〜2029年5月期)のキャッシュの使い道は、既存事業35億円、戦略投資30億円、新規事業20億円、株主還元25億円の計110億円。営業キャッシュフローでは足りず、有利子負債も使う想定だ。
ガバナンスは改善している。2026年8月から取締役会の議長を社外取締役が務める。ROICが資本コストを下回った環境エネルギー事業から撤退した判断は、資本効率を意識した動きとして評価できる。
kabufuの推計では、10年以内に買収される確率は19%と、高めに出る。時価総額が小さく、現金が厚いためだ。ただし本分析は、買収の上乗せを価値に入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注は戻っている。2026年4月に過去最大の大口受注(23億円)を獲得し、9月にも7.5億円を追加した。受注残は36億円で、2027年5月期のイメージセンサ向け売上予算51億円のうち、約8割がすでに確保済みだ。
イメージセンサの市場は年9%で広がり、車載とロボットが需要を牽引する。国内の主要顧客も、フィジカルAI向けの新工場を検討している。国内の投資が戻れば、売上はさらに上積みできる。
粗利率は60%を超え、中期経営計画の目標を前倒しで達成している。瞳モジュールの国内シェアは約半分で、韓国にも広げている。ベース売上は、2027年5月期に13億円前後、2030年に30億円を目標にしており、投資の波に左右されない収益が積み上がる。
財務は純現金80億円と厚く、DOE4%に自社株買いが加わる。社外取締役が議長を務める体制になり、資本効率への意識も高い。足元の谷から山への戻りは、まだ始まったばかりだ。
慎重な見方
来期の利益の倍増は、大口案件の売上計上に大きく依存する。第1四半期は営業損失で、出荷は第2四半期から始まる。計画の組み方は受注の確保率に頼り、需要は推定値に過ぎない。
光源装置は顧客の設備投資の波に左右される。2026年5月期に売上が3割減ったように、投資が止まれば注文は急に消える。国内の主要顧客の投資再開は中長期の話で、時期は見えない。
ベース売上の過半は、今期は韓国の1社向けだ。顧客の分散が進まず、調達先が広がれば単価は下がる。中国の装置会社の追い上げも続く。
戦略投資30億円と新規事業20億円は、過去に撤退した環境エネルギー事業と似た失敗を繰り返す恐れがある。純現金は厚いが、その使い道が株主の利益になる保証はない。株価は、山の利益を前提にしている。質問の多い計画の組み方ひとつをとっても、受注の確保率という推定に頼る度合いは大きい。足元の好調に値段を払いすぎないことが、慎重な見方の要点である。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、受注残という具体的な裏づけを持つ。一方、慎重な見方の指摘どおり、顧客が少数で、利益が山と谷を3倍近く往復する事業の10年の平均は、山の利益より低い。確率は中立を最も厚く置き、足元の受注を反映してやや楽観を少し厚くした。ただし悲観の確率は、少数顧客への依存を理由に、1割強を置いた。強気の見方が描く姿は、10年のうちの好調な数年であり、その後の谷まで含めると、今の値段には余裕がないと見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 2,751 円284 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 742 円77 億円)。 今の値に割り戻すと 1,815 円188 億円、今との差 +4.7%、 期待の年率 +7.3%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 6,402 円662 億円 | 1,161 円120 億円 | +336.2% | +15.9% | 681 円70 億円 |
| やや楽観 | 22% | 4,422 円457 億円 | 968 円100 億円 | +210.8% | +12.0% | 1,186 円123 億円 |
| 中立 | 33% | 2,935 円303 億円 | 822 円85 億円 | +116.7% | +8.0% | 1,240 円128 億円 |
| やや悲観 | 24% | 691 円71 億円 | 581 円60 億円 | −26.7% | −3.1% | 305 円32 億円 |
| 悲観 | 12% | 564 円58 億円 | 116 円12 億円 | −60.8% | −8.9% | 82 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,751 円284 億円 | 742 円77 億円 | +101.4% | +7.3% | 3,493 円361 億円 |
今の株価時価総額 1,734 円179 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 9% センサー投資の波が続き、AI向けの新製品も立ち上がる 利益 31 億円 · PER 20.1 倍 · 株価時価総額 6,402 円662 億円
フィジカルAI向けにイメージセンサの新工場が国内外で相次ぎ、光源装置の注文が途切れない。国内の主要顧客も投資を再開し、韓国と欧州の顧客に加えて中国の新規顧客でも検証が通る。瞳モジュールは国内シェアを取り戻し、韓国にも広がって、装置の投資に左右されない「ベース売上」が着実に積み上がる。AI関連企業との共同製品と、半導体向けの計測製品が各数億円の規模に育ち、インダストリー4.0側の収益も上がる。営業利益率は過去の山に近い水準に戻る。還元はDOE4%に特別配当と自社株買いが加わり、利益の6割を超える。
- IoT関連(イメージセンサ検査用の光源装置・瞳モジュール):数量 540(世界のイメージセンサ市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 18.5%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=装置投資の強さ × シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 100 億円・営業利益 46 億円。イメージセンサ市場 540 億ドル(実質) × 1 ドルあたりの売上 0.185(谷の 0.098 の 1.88 倍)、セグメント利益率 46%
- インダストリー4.0推進(精密除振装置・歯車試験機・粗さ試験機):数量 2,100(世界の半導体製造装置(WFE)市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 2.0%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 43 億円・営業利益 7 億円。WFE 市場 2,100 億ドル(実質)に連動、物価に新製品の構成改善 17% を加えた単価、セグメント利益率 16%
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 24.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)55 億円。全体の PER 20.07 倍、時価総額 662 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:海外の主要顧客に加え、国内の新工場、AI関連企業との共同製品がそろって立ち上がる必要がある。過去に営業利益率が 26% まで上がった実績はあるが、顧客が数社に偏る事業で、全部がそろう確率は 1 割に届かない。
やや楽観 22% 海外の旺盛な投資が続き、ベース売上が育つ 利益 23 億円 · PER 18.3 倍 · 株価時価総額 4,422 円457 億円
韓国と欧州の顧客の投資が続き、光源装置の売上は予想の水準を数年保つ。瞳モジュールは国内で一定のシェアを取り戻すが、国内の主要顧客の投資再開は遅れる。ベース売上は計画の半分ほど(15 億円強)まで育ち、利益のぶれが小さくなる。半導体向けの計測製品は 1〜2 製品が収益化する。研究開発費が増えて全社費用は膨らむが、売上の増加で吸収する。営業利益率は 23% 前後で、過去の平均をやや上回る。配当は DOE 4% を守り、自社株買いも続く。国内の主要顧客の投資再開は一部にとどまり、ベース売上の顧客の偏りも残る。
- IoT関連(イメージセンサ検査用の光源装置・瞳モジュール):数量 500(世界のイメージセンサ市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 16.7%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=装置投資の強さ × シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 84 億円・営業利益 36 億円。イメージセンサ市場 500 億ドル(実質) × 1 ドルあたりの売上 0.170、セグメント利益率 43%
- インダストリー4.0推進(精密除振装置・歯車試験機・粗さ試験機):数量 2,000(世界の半導体製造装置(WFE)市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 1.9%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 38 億円・営業利益 5 億円。WFE 市場 2,000 億ドル(実質)に連動、物価に新製品の構成改善 10% を加えた単価、セグメント利益率 14%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.8% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)55 億円。全体の PER 18.33 倍、時価総額 457 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残が 36 億円あり、27/05 期の予想はイメージセンサ向けで約 8 割が確保済みだ。海外の主要顧客の投資が数年続き、ベース売上の計画が半分ほど進む筋書きは十分にありうるので、中立の次に厚く置く。
中立 33% 投資の波を均すと、売上は 100 億円強で利益率は 19% 利益 16 億円 · PER 16.7 倍 · 株価時価総額 2,935 円303 億円
イメージセンサの市場は年 8% ほどで広がり、実質でも 10 年で 1.6 倍になる。ただし光源装置の売上は顧客の工場建設の波に左右される。国内の主要顧客の投資は中長期で戻り、韓国の顧客は複数の装置会社から調達先を広げて、単価はじわりと下がる。この二つが相殺して、10 年の平均は谷の水準から 1.5 倍ほどに戻る。インダストリー4.0側は、精密除振装置が半導体の投資に連動して伸び、半導体向けの計測製品が 4〜5 億円規模のベース売上を加える。全社費用は物価で増え、研究開発の上積みもある。結果は、売上 100 億円強、営業利益率 19% 前後に収まる。
- IoT関連(イメージセンサ検査用の光源装置・瞳モジュール):数量 465(世界のイメージセンサ市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 14.9%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=装置投資の強さ × シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 69 億円・営業利益 29 億円。イメージセンサ市場 465 億ドル(実質) × 1 ドルあたりの売上 0.149(物価 1.34 × 谷からの戻り 1.50 × 顧客・シェアの調整 0.75)、セグメント利益率 42%
- インダストリー4.0推進(精密除振装置・歯車試験機・粗さ試験機):数量 1,943(世界の半導体製造装置(WFE)市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 1.9%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 36 億円・営業利益 4 億円。WFE 市場 1,943 億ドル(実質)に連動、物価に新製品の構成改善 7% を加えた単価、セグメント利益率 12%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.7% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)55 億円。全体の PER 16.74 倍、時価総額 303 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2019 年 5 月期以降の営業利益率は 15〜26% の間で、平均は 21% ほどだった。足元の谷の 15% から、予想の 22% へ戻るが、顧客が少数のため、平均の少し下を中心にした。
やや悲観 24% 国内顧客の投資が戻らず、競合に押される 利益 5 億円 · PER 6.7 倍 · 株価時価総額 691 円71 億円
国内の主要顧客のイメージセンサ工場は新設が見送られ、光源装置の注文は韓国・欧州に偏る。韓国の顧客は調達先を広げ、中国の装置会社も力をつけて、単価が下がる。瞳モジュールのシェアは戻らず、ベース売上の計画も遅れる。インダストリー4.0は歯車試験機が海外で伸びるが、新製品の収益化は遅れ、利益率は 6% 前後にとどまる。営業利益率は 8% 前後に落ち、配当は DOE 4% を守れず、減配が現実味を帯びる。戦略投資で買った事業が期待どおり育たず、現金の一部が失われる場面もある。会社は費用を絞るが、研究開発を止めると次の製品が出なくなるという板挟みになる。
- IoT関連(イメージセンサ検査用の光源装置・瞳モジュール):数量 400(世界のイメージセンサ市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 11.2%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=装置投資の強さ × シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 45 億円・営業利益 16 億円。イメージセンサ市場 400 億ドル(実質) × 1 ドルあたりの売上 0.112(谷の水準に物価を掛け、競合の値下げで 15% 低い)、セグメント利益率 36%
- インダストリー4.0推進(精密除振装置・歯車試験機・粗さ試験機):数量 1,700(世界の半導体製造装置(WFE)市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 1.5%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。WFE 市場 1,700 億ドル(実質)に連動、単価は物価に届かず 0.88 倍、セグメント利益率 6%
倍率:ROE 5.1% が k 7.75% 以下なので、伸びても価値は増えず、正当化 PER は 1÷k=11.1 倍。顧客が少数で装置投資の波に左右され、利益が振れる会社なので、上限の 6.0 割の 6.67 倍に置いた。事業の純利益は現金の利息 0.6 億円を除いて測り、余った現金は別に足す。
確率:国内の主要顧客の設備投資は落ち着いたままで、足元の売上は 2 期で 4 割減った。過去には 2022/05 期にも売上が 1 割落ちており、この水準で 10 年が過ぎる筋書きは十分にありうる。確率は中立に近く置く。
悲観 12% 主要顧客を失い、新製品も育たない 利益 −6 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 564 円58 億円
主要顧客が検査工程を内製化し、中国の装置会社への切り替えも進んで、光源装置の注文が大きく減る。瞳モジュールは国内でも他社製品に置き換わり、ベース売上は育たない。新規事業の投資と、戦略投資として出した買収が成果を上げず、費用だけが残る。インダストリー4.0も景気の悪化で伸びず、営業赤字に転じる。ただし自己資本比率が 89% あり、倒産はしない。株主からは事業の売却や資本の返還を求める声が強まるが、会社の判断は遅れがちになる。配当は赤字の間も数年は続けるが、やがて減る。価値は手元の現金と、整理できる資産が決める。大株主や市場からは、事業の売却や資本の返還を求める声が強まるが、会社の判断は遅れがちになる。
- IoT関連(イメージセンサ検査用の光源装置・瞳モジュール):数量 330(世界のイメージセンサ市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 7.9%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=装置投資の強さ × シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 26 億円・営業利益 4 億円。イメージセンサ市場 330 億ドル(実質) × 1 ドルあたりの売上 0.079(谷の 0.8 倍)、セグメント利益率 15%
- インダストリー4.0推進(精密除振装置・歯車試験機・粗さ試験機):数量 1,500(世界の半導体製造装置(WFE)市場(億ドル・今の値段で測った実質))× 価格 1.3%(実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 19 億円・営業利益 −1 億円。WFE 市場 1,500 億ドル(実質)に連動、単価は 10 年横ばい、セグメント利益率 -5%
倍率:営業赤字で稼ぐ力では測れない、構造的な負けの10年。純現金80億円に、戦略投資の目減りと戻り方0.6を掛けた約48億円と、在庫・売掛金・設備を整理した税引き後約10億円を足した約58億円を床とし、今の自己資本108億円に0.54倍を掛けた。ためた利益には掛けていない。やや悲観より低い。
確率:2019 年 5 月期以降で最も低い 2026 年 5 月期でも、営業利益率は 15% あった。ただし、少数の顧客に頼る事業で、主要顧客の内製化や中国勢への切り替えが起きれば、一気に半分になる。過去の利益率を根拠にせず、この構造から確率を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
IoT関連(イメージセンサ検査用の光源装置・瞳モジュール)
イメージセンサの検査で使う光源装置と、センサ前に置く瞳モジュール。
| 数量世界のイメージセンサ市場(億ドル・今の値段で測った実質) | 価格実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=装置投資の強さ × シェア × 150 円 × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 300 | 9.8% | 30 | 13 |
| 10 年後 中立 | 465 | 14.9% | 69 | 29 |
取り方:イメージセンサ市場は調査会社により約240〜385億ドルと幅があり、中央の約300億ドルを使った(推定)。IoT関連の売上29.5億円を割ると、市場1ドルあたり約0.098億円。2026/05期は国内顧客の投資が止まった谷なので、この値は低めに出る。セグメント利益13.45億円(45.6%)は決算の開示。数量は実質で、物価は価格に入れた。
インダストリー4.0推進(精密除振装置・歯車試験機・粗さ試験機)
半導体製造装置向けの精密除振装置と、歯車・表面の計測・試験機。
| 数量世界の半導体製造装置(WFE)市場(億ドル・今の値段で測った実質) | 価格実質の市場 1 ドルあたりの同社の売上(億円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 1,439 | 1.3% | 19 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,943 | 1.9% | 36 | 4 |
取り方:精密除振装置は半導体の設備投資に連動するので、WFE市場約1,439億ドル(業種ノート、SEMIの2026年予測)を数量の物差しにした。歯車・粗さ試験機は半導体と無関係で、WFEとの連動は部分的な近似に過ぎない。売上18.6億円を割ると1ドルあたり約0.0129億円。セグメント利益は1.02億円(5.5%)。
リスクと懸念
少数の顧客への依存
今期のベース売上の過半は韓国の1社向けで、光源装置も数社の大口に集中する。顧客が内製化や調達先の分散に動けば、売上が一気に減る。
設備投資の波
光源装置はセンサ会社の工場建設に連動する。2026年5月期に売上が3割減ったように、投資が止まれば注文が消え、利益は半分以下になる。
来期の大口案件の計上
来期の利益の倍増は、大口案件の売上計上に大きく依存する。出荷は第2四半期からで、第1四半期は営業損失だった。遅れや仕様変更があれば、予想を下回る。
戦略投資と新規事業の失敗
3年で戦略投資30億円と新規事業20億円を計画し、必要なら借入も使う。過去に環境エネルギー事業から撤退した経験があり、投資の回収に失敗すれば、現金の厚みが削られる。
中国の装置メーカーとの価格競争
検査装置は中国の会社が力をつけており、単価が下がる恐れがある。技術の差で守れなければ、高い粗利率は維持できない。
インダストリー4.0の低収益
除振装置や試験機は利益率が低く、2026年5月期のセグメント利益は1億円だった。新製品が育たなければ、全社費用を賄う足しにならない。
今後の分かれ目
- 国内の主要顧客がイメージセンサの新工場を正式に決め、光源装置の発注が出たら
- やや楽観・楽観の確率を上げる。IoT関連の売上と利益率の前提を引き上げる。
- 韓国の顧客以外に、ベース売上を持つ顧客が増えたら
- 顧客の偏りが和らいだとみて、寿命のkと悲観の確率を見直す。
- 主要顧客が検査工程を内製化すると表明したら
- 悲観の筋書きに重みを移し、IoT関連の売上の前提を大きく下げる。
- 戦略投資の大型M&Aが発表され、有利子負債で賄われたら
- 買収の内容と価格で、余った現金の戻り方を見直す。
- 半導体向け計測製品が収益化し、インダストリー4.0の利益率が10%を超えたら
- インダストリー4.0の利益率の前提を上げる。
- 他社が買収に動き、TOBが発表されたら
- 買収価格で価値が決まる局面になる。本分析の値は事業の本質価値なので、乖離を確かめる。
見ておくもの
- 受注高と受注残(四半期)、特に海外主要顧客以外の受注
- ベース売上高の水準と顧客の分散
- 粗利率とセグメント利益率
- 戦略投資・M&Aの発表と資金の調達方法
- DOE4%の維持と自社株買いの実施
倍率と資本コストの決め方
数量×価格をセグメントごとに積み上げ、ROEと資本コストから倍率を決めた。中立はROE約10%がk 7.75%をやや上回る程度で、正当化PERの7.5割に置いた。今のPER(約34倍)や、簿価に近いPBRには寄せていない。足元の谷(2026/05期)と来期の山(会社予想)のどちらも10年の置き方には使わず、投資の波を均した水準で測った。余った現金55億円は事業と別に足し、利息は除いた。悲観の床は純現金と整理できる資産の推定で、過去のPBRの底には依らない。設備は小さく、償却費は利益率にほとんど効かない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.25→20.07 倍・やや楽観 PER 11.38→18.33 倍・中立 PER 11.11→16.74 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。