結論
国際計測器は、東京・多摩のバランシングマシン(回転体の重さの偏りを測って直す機械)の専業メーカーだ。タイヤや自動車部品、モーターの工場が顧客で、売上の7割は海外。筆者の結論は「今の値段はほぼ適正」。純現金が29億円と厚い一方、利益の波が大きく、10年先を強く言い切れない。
2026年3月期は、売上が149億円、営業利益が21億円と過去最高に近い。営業利益率は14%に達した。ただ、今期の会社予想は営業利益16億円と、1年で23%減る見通しで、第1四半期の営業利益は6割減った。
過去を振り返ると、営業利益率は2020年代前半に赤字まで落ち、2006年には26%まで上がった。タイヤ工場の設備投資が止まれば、受注がすぐ細る体質だ。今期の好調を10年続くものとは見ない。
筆者は、波のならした利益率を10%台前半と置く。配当を増やす姿勢は評価できるが、筆頭株主の資産管理会社が38%を持つ点には注意が要る。少数株主にとっては、利益より還元の方針が評価を左右する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、国際計測器は「波の大きい事業を、厚い現金が支える会社」だ。
良い点は、現金が厚いことと、受注残が約1年分あること。借入の返済も進み、倒産の心配は小さい。時価総額は純現金の3倍半ほどで、事業そのものを安く買えているとも言える。
悪い点は、利益の波と、顧客の偏りだ。タイヤ関連が売上の6割を占め、設備投資が止まれば受注が落ちる。営業利益率が20%を超えた年もあれば、赤字の年もある。10年後の利益を、今の山の水準で読むのは危険だ。
さらに、筆頭株主が38%を持つため、少数株主の意見が通りにくい。配当の増額は良い兆しだが、方針が変われば現金の戻り方は変わる。
筆者が見る安全域は、純現金と、売れる資産にある。事業が構造的に傷んでも、現金の半分程度は株主に届く。一方で、事業の波がならされれば、今の値段はおおむね妥当と見る。
安さを強く言える会社ではない。持ち続ける価値があるのは、利益の波をならした水準で、資本コストをわずかに上回る程度の会社だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、回転体の釣り合いを測り、修正するバランシングマシンだ。売上の65%を占め、自動車部品、家電、OA機器、産業機械などに使われる。タイヤの均一性とバランスを1台で測るUBマシンもこの仲間で、タイヤ関連の試験機が売上の約6割を占める。
次が電気サーボモータ式試験機で、売上の17%。油圧に代わる省エネの試験機で、30種類を超える。自動運転関連の信頼性試験などに使われる。会社はこの分野を育てる方針で、売上目標を2027年度に50億円と掲げているが、今は25億円だ。
残りは、子会社の東伸工業が作る材料試験機、シャフト歪自動矯正機、巻線試験機、地震計などだ。
売上の71%は海外。米国、韓国、中国、ドイツ、タイに子会社があり、韓国の売上は21億円と米国を上回る。米ドル建ての売上は約40億円で、為替の影響が大きい。
受注生産で、期末の受注残は136億円と、年間売上の約12か月分に当たる。顧客は個別に名前を開示しておらず、10%を超える販売先はない。従業員は連結で296人、うち単体は154人だ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、測定の精度と、タイヤメーカーなどの現場に入り込んだ実績にある。バランシングマシンは、回転の釣り合いを高い精度で測るノウハウが要り、一度導入されれば保守と更新でつながる。研究開発費は年0.8億円と小さいが、EVやハイブリッド車のモーター向けなど、新しい用途に向けた改良を続けている。
弱みは三つある。タイヤ関連が売上の58%、受注残の69%を占め、顧客の設備投資の波をまともに受けること。アジアへの生産移管で価格競争が強まると、会社自身が課題に挙げていること。そして規模が小さく、神戸製鋼所やシェンク系の大手と競うこと。
利益率は大きくぶれる。営業利益率は過去10年で、20%から赤字まで動いた。2024年3月期は6億円の赤字だった。今期の14%は上位だが、会社の予想は11%に戻る。
資本効率は低い。自己資本利益率の過去10年の中央値は5%。今期は12%まで上がったが、波の山だ。
経営は堅実で、借入を減らしつつ、配当を増やしている。ただ筆頭株主の資産管理会社が38%を持つ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
商売は設備投資の波に左右される。タイヤ工場は、新しい生産ラインや、より大きなタイヤ(EV向けなど)への対応のときに試験機を買う。今期の好調は、米国の工場投資の動きや、関税を避ける生産移管で受注が増えた面がある。
世界のバランシングマシン市場は、調査会社の推計で約7億ドル(2024年)。タイヤ用の試験機に限れば、神戸製鋼所が2016年に世界シェア約3割と自称しており、シェンク系の長浜製作所なども競合になる。国際計測器は、これらより規模が小さい。
追い風は二つ。EVやハイブリッド車のモーターは回転数が高く、釣り合いの精度が厳しくなるため、バランシングの需要が増える。電気サーボ式の試験機は、油圧式の置き換えで省エネ需要を取れる。
逆風は三つ。アジア勢(中国など)の台頭で、標準的な機械は価格が下がる。米国の関税政策と中東情勢は、顧客の投資判断を遅らせる。今期の第1四半期は、売上が25%減り、営業利益が6割減った。
会社の予想は、売上が6%減、営業利益が23%減。受注残が約1年分あるため、売上の急落は考えにくい。ただ、その後の受注が続くかは、タイヤ業界の設備投資次第だ。
資本政策と M&A
配当は年2回で、2026年3月期の総額は約4.7億円と、純利益の約3割。今期は期末の配当を増やす予想で、利益が落ちる中での増配は還元姿勢の表れだ。自社株買いの記載はない。
財務は健全だ。現金は55億円、有利子負債は26億円で、純現金は29億円。銀行との貸出枠15億円は使っておらず、今期は長期借入を7億円返済した。
持ち合い株は小さく、上場株は取引先のNITTOKUなど2銘柄で3.2億円だけ。純投資目的の株が5.3億円ある。
筆頭株主は松本繁興産で、議決権の38.67%を持つ「その他の関係会社」。資産の保有と運用を事業とする会社で、役員の兼任が3人いる。取引の記載はない。そのため、経営の独立性や、少数株主への還元は、この株主の方針に左右される。
M&Aは目立たない。子会社は6社で、材料試験機の東伸工業は今期に売上が3倍超になった。筆者は、買収で価値を壊す心配は小さいが、資本を使う意欲も弱いと見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国際計測器の強みは、バランシングマシンの精度と、EV時代に伸びる用途にある。EVやハイブリッド車のモーターは回転が速く、釣り合いの精度が厳しい。この需要は、10年を通して続く。タイヤ向けも、大きなEV用タイヤへの対応で更新が進む。
電気サーボ式の試験機は、油圧式の置き換えで省エネの需要を取れる。会社が掲げる2027年度の売上50億円が達成できれば、利益率の高い第2の柱が育つ。バランシングマシンの売上は目標をすでに超えており、計画に保守的な会社だ。
財務も良い。純現金は29億円で時価総額の3割、受注残は約1年分。配当は今期に増やす予想で、筆頭株主も還元に前向きになりうる。波の山の営業利益率は14〜20%に達し、物価で価格が上がる中、10年後の波の山は今より高くなる。
時価総額は純現金の3倍半。中立の利益率が10%を超えれば、今の値段は割安に変わる。会社の予想する来期の営業利益16億円でも、営業利益率は11%あり、過去10年の中央値の2倍を超える。波が谷に落ちても、受注残が約1年分あるため、傷は浅い。電気サーボ式と海外の拡販が当たれば、売上の波は和らぎ、倍率の評価も上がる。
慎重な見方
国際計測器の利益は、いつ崩れてもおかしくない。営業利益率は、赤字から26%まで動いてきた。今期の21億円の営業利益は波の山で、会社自身が来期は16億円に下がると見ている。第1四半期はすでに6割の減益だ。
タイヤ関連が売上の6割、受注残の7割を占める。タイヤ工場の設備投資が止まれば、受注が一気に細る。アジア勢が標準機を安く作り、会社も課題に挙げている。電気サーボ式の売上50億円の目標は、現在の2倍で、実現しにくい。
筆頭株主の資産管理会社が38%を持ち、少数株主の意見は通りにくい。現金が厚くても、その使い方は筆頭株主の方針次第だ。為替の影響も大きく、ドル建て売上が約40億円ある。
自己資本利益率の過去10年の中央値は5%で、資本コストを下回る。今期の12%は一時的な山で、ならせば平凡な会社だ。純現金を除く事業の価値は、時価総額の7割にすぎず、割安とは言いにくい。しかも、顧客の投資が止まったときに、固定費の重さがそのまま利益を削る構造は変わらない。米国の関税や中東情勢も、顧客の判断を遅らせる要因になっている。
どちらに重みを置いたか
筆者は、慎重な見方がやや強いと判断した。理由は、利益の波が大きく、今期が山に近いこと、そして筆頭株主の方針に還元が左右されることだ。ただし受注残と純現金が悲観を支えるため、やや悲観と悲観を合わせて35%に抑えた。強気の根拠である電気サーボ式の拡大とEV向けは、楽観に入れた。中立は、今期の山をならした水準にとどめ、来期予想の16億円からさらに波をならして置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,254 円169 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 358 円48 億円)。 今の値に割り戻すと 793 円107 億円、今との差 +8.0%、 期待の年率 +8.2%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,646 円357 億円 | 705 円95 億円 | +356.6% | +16.4% | 235 円32 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,812 円244 億円 | 520 円70 億円 | +217.7% | +12.3% | 466 円63 億円 |
| 中立 | 38% | 1,362 円184 億円 | 401 円54 億円 | +140.2% | +9.2% | 670 円90 億円 |
| やや悲観 | 25% | 622 円84 億円 | 186 円25 億円 | +10.0% | +1.0% | 202 円27 億円 |
| 悲観 | 10% | 334 円45 億円 | 59 円8 億円 | −46.4% | −6.0% | 39 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,254 円169 億円 | 358 円48 億円 | +119.6% | +8.2% | 1,612 円217 億円 |
今の株価時価総額 734 円99 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% EV向けと電気サーボ式が伸び、波の山が高くなる 利益 27 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 2,646 円357 億円
バランシングマシンはEV用モーターの釣り合い需要と、大きなタイヤ向けの更新で、今期の1.25倍になる。電気サーボ式は会社の目標どおり育ち、2.2倍。価格は物価並みの1.34倍が通る。
営業利益率は、バランシングが16%、電気サーボ式が13%に上がる。全体の営業利益は40億円、営業利益率は14%で、直近の山と同じ水準だ。
配当性向は5割に上がり、受注残は十分な水準で積み上がる。
会社の経営は、アジアの工場や米国・韓国の子会社に生産を移して、コストを下げる。海外の売上比率は75%を超える。ただ、波の谷は10年の間に何度か来るので、いつもこの水準というわけではない。
- バランシングマシン(タイヤ用 UB マシン含む):数量 125(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 1.30(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 163 億円・営業利益 26 億円。数量 1.25 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 16.0%
- 電気サーボモータ式試験機:数量 220(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.34(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 75 億円・営業利益 10 億円。数量 2.20 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 13.0%
- 材料試験機・シャフト歪矯正機・その他:数量 130(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.36(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 47 億円・営業利益 4 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 9.0%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.1% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.16 倍、時価総額 355 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:EV・ハイブリッド用モーターの需要と電気サーボ式の拡大が重なり、波の山が今より高くなる筋書き。成長は会社の目標どおりだが、波の読みは難しいので7%。
やや楽観 20% 波の山が続き、電気サーボ式が育つ 利益 18 億円 · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 1,812 円244 億円
バランシングマシンは今期の水準を保ち、数量は1.0倍。電気サーボ式は1.6倍に育つ。価格は1.34倍。
営業利益率は、バランシングで14%、電気サーボ式で11%。全体で12%、営業利益は27億円になる。
受注の波は10年のうちに数回来るが、ならすと今期の水準に近い。配当性向は4割台に上がる。
谷の年でも、受注残が約1年分あるため、売上は半分に落ちない。電気サーボ式が育つ分、バランシングへの依存は下がる。10年で純利益は18億円、自己資本は215億円に増える。電気サーボ式は自動運転関連の信頼性試験と、タイヤ性能試験機への応用で顧客が広がるが、会社の目標50億円には届かない。
- バランシングマシン(タイヤ用 UB マシン含む):数量 100(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 1.30(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 130 億円・営業利益 18 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 14.0%
- 電気サーボモータ式試験機:数量 160(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.34(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 6 億円。数量 1.60 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 11.0%
- 材料試験機・シャフト歪矯正機・その他:数量 110(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.36(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 3 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 8.0%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.4 倍。全体の PER 12.41 倍、時価総額 228 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今期の好調が部分的に続き、電気サーボ式も伸びる筋書き。受注残が約1年分あるので、数年は見通しやすく20%。
中立 38% 波をならした水準に落ち着く 利益 13 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,362 円184 億円
バランシングマシンは、今期の山から波をならして0.85倍。電気サーボ式は1.3倍、材料試験機などは0.9倍。価格は物価並みの1.34倍。
営業利益率はバランシングで12.5%、電気サーボ式で9%、その他で6%。全体で10.6%、営業利益は20億円。純利益は13億円。
10年のうちに、売上が2割落ちる谷が1〜2回来る。受注残が約1年分あるので、谷の影響は半年から1年遅れて出る。配当性向は4〜5割を保つ。
自己資本は10年で1.6倍の205億円に増え、事業のROEは6%台になる。ならした利益率は、直近の山(14%)と来期の会社予想(11%)のあいだで、過去10年の中央値の約9%よりは上に置いた。タイヤ関連の比率は6割から5割台に下がる。
- バランシングマシン(タイヤ用 UB マシン含む):数量 85.0(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 1.30(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 111 億円・営業利益 14 億円。数量 0.85 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 12.5%
- 電気サーボモータ式試験機:数量 130(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.34(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 4 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 9.0%
- 材料試験機・シャフト歪矯正機・その他:数量 90.0(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.36(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。数量 0.90 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 155 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今期が波の山であることを織り込み、10年の間の山と谷をならした水準を置く筋書き。いちばん起こりやすいので最大の38%。
やや悲観 25% タイヤ設備投資が細り、アジア勢に価格を削られる 利益 5 億円 · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 622 円84 億円
タイヤ業界の設備投資が細り、バランシングマシンは0.65倍に減る。電気サーボ式は0.9倍。価格はアジア勢の影響で、10年1.30倍にとどまる。
営業利益率はバランシングで6%、電気サーボ式で5%に下がる。営業利益は7億円。
純現金は積み上がるが、事業の稼ぎは細る。配当は性向3〜4割を保つが、金額は減る。
円高が進めば、ドル建ての売上は目減りする。会社は生産を海外に移して為替の影響を抑えようとするが、完全には消せない。受注残は谷の年に薄くなり、先の見通しが立ちにくい。電気サーボ式も、油圧式からの置き換えが進まず、伸びは鈍い。
- バランシングマシン(タイヤ用 UB マシン含む):数量 65.0(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 1.26(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 82 億円・営業利益 5 億円。数量 0.65 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 6.0%
- 電気サーボモータ式試験機:数量 90.0(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.33(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 5.0%
- 材料試験機・シャフト歪矯正機・その他:数量 80.0(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.35(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。数量 0.80 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 3.0%
倍率:ROEは約3%でkを下回るが、自己資本の多くは現金。上限11.8倍に対し、97%に近い11.5倍。事業の稼ぎは小さく、貯まる現金の分が別に加わる。
確率:顧客の設備投資が減り、アジア勢の機械が価格を押し下げる筋書き。会社自身が課題に挙げているため25%。
悲観 10% タイヤ向けを失い、アジア勢に押される 利益 2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 334 円45 億円
タイヤ工場の投資が長い停滞に入り、バランシングマシンは0.5倍。電気サーボ式は0.7倍。価格は物価を移せず1.20倍にとどまる。
営業利益率は、バランシングで3%、電気サーボ式で2%、その他はゼロ。営業利益は約2億円で、固定費が重く、利益はほとんど出ない。
会社は事業を縮めつつ、現金を保つ。配当は細り、筆頭株主の方針次第で戻り方は弱くなる。
工場の稼働率が下がり、固定費の重さが利益を食う。人員の削減と生産拠点の統合に踏み込み、特別損失も出る。それでも借入が少ないため、会社は存続し、現金は一定程度残る。
- バランシングマシン(タイヤ用 UB マシン含む):数量 50.0(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 1.16(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 2 億円。数量 0.50 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 3.0%
- 電気サーボモータ式試験機:数量 70.0(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.30(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。数量 0.70 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 2.0%
- 材料試験機・シャフト歪矯正機・その他:数量 70.0(売上の実質指数(2026/03 期=100))× 価格 0.33(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。数量 0.70 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 0.0%
倍率:事業の稼ぎはほぼゼロ。現金と売れる資産が値段を決める。今の自己資本125億円ではなく、床の資産45億円。
確率:タイヤ業界の投資が長く止まり、アジア勢が主力のバランシングマシンで価格を崩す筋書き。波の大きい事業なので、10%は置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
バランシングマシン(タイヤ用 UB マシン含む)
回転体の重さの偏りを測って直す機械。タイヤ・自動車部品・モーター・家電の工場向け。受注生産。
| 数量売上の実質指数(2026/03 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.97 | 97 | 16 |
| 10 年後 中立 | 85.0 | 1.30 | 111 | 14 |
取り方:2026/03 期のバランシングマシン売上 96.99 億円(売上の 64.9%)。製品別の利益は開示が無く、連結営業利益 20.85 億円を売上比と受注残の構成から推定して 16.0 億円(16.5%)とした。数量は台数の開示が無く、売上からの推定(実質の指数 100)。
電気サーボモータ式試験機
油圧式に代わる省エネの試験機。自動車部品・タイヤ・材料の耐久試験向け。30 種類超。
| 数量売上の実質指数(2026/03 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.25 | 25 | 3 |
| 10 年後 中立 | 130 | 0.34 | 44 | 4 |
取り方:2026/03 期の売上 25.27 億円(16.9%)。利益は推定で 2.8 億円(11%)。数量は台数の開示が無く、売上からの推定。
材料試験機・シャフト歪矯正機・その他
子会社の東伸工業が作る材料試験機、シャフト歪自動矯正機、巻線試験機、地震計など。
| 数量売上の実質指数(2026/03 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.27 | 27 | 2 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.36 | 33 | 2 |
取り方:材料試験機 9.50・矯正機 4.45・その他 13.27 億円の合計 27.2 億円。利益は連結営業利益 20.85 億円から上の 2 つを引いた残り 2.05 億円(推定)。
リスクと懸念
タイヤ・自動車の設備投資
タイヤ関連の試験機が売上の58%、受注残の69%を占める。顧客の設備投資が止まれば受注が落ち、受注生産のため固定費の重さが利益を直撃する。営業利益率は過去10年で20%から赤字まで動いた。
アジア勢との価格競争
会社は、アジア地域への生産移管に伴う価格競争の激化を課題に挙げている。標準的なバランシングマシンは中国などのメーカーが安く作り、10年の価格を物価並みに上げられない恐れがある。
為替
米ドル建て売上が約40億円ある。円高になると円換算の売上と利益が減る。今期は為替差益が1.6億円出ており、為替が利益を押し上げた面がある。
関税と中東情勢
米国の関税政策と中東情勢による原材料高騰は、会社自身がリスクに挙げる。顧客の設備投資の判断を遅らせ、受注が後ろにずれる。今期の第1四半期は売上が25%減った。
筆頭株主の方針
松本繁興産が議決権の38.67%を持つその他の関係会社で、役員の兼任が3人いる。取引の中身は開示がなく、現金の使い方や還元の方針が少数株主の意見より筆頭株主の都合に左右されうる。
電気サーボ式の育成が遅れる
電気サーボ式は2027年度の売上目標50億円に対し、今は25億円。倍増には新しい顧客の開拓が要り、油圧式からの置き換えは時間がかかる。伸びなければ、売上の波を和らげる第2の柱がなくなる。
製造物責任と知的財産
試験機の不具合で顧客に損害が出れば、保険でカバーしきれない恐れがある。知的財産の侵害を受けるリスクもあり、小さな会社は訴訟の負担が重い。
今後の分かれ目
- 受注高が2期続けて前期を下回り、受注残が10億円以上減る
- 波の谷に入ったとみて、中立の売上を下げ、慎重な筋書きの確率を上げる。
- 電気サーボ式の売上が35億円を超える
- 第2の柱が育ち、強気の筋書きの確率が上がる。
- 松本繁興産が持株を売る、または会社が自社株買いを発表する
- 還元と流通株が増え、現金の戻り方が1.0に近づく。
- 中国・韓国のアジア勢が、タイヤ用の主力機種で同等の機械を出す
- バランシングの価格が下がり、利益率が7%台まで落ちる恐れ。悲観の確率を上げる。
- 営業利益率が12%台で2年続く
- 波の山の水準が定着した兆しで、中立の利益率を上げて見直せる。
- 大型の買収が行われる
- 純現金が減り、のれんのリスクが増える。買収価格と相手の利益率を見る。
見ておくもの
- 受注高と受注残(タイヤ関連の比率)
- 電気サーボ式の売上
- 円ドルの水準
- 配当性向と自社株買い
- アジア勢の主力機種の価格
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。kは8.5%で、中立の事業のROEは7%程度とkを下回るため、PERの上限は1÷k=11.8倍。その約9割の10.5倍に置いた。今の株価や同業のPERは使っていない。10年後の売上は、今期の山の水準ではなく、波をならした数量(今期の0.85倍)から出した。中立の営業利益率は10.6%で、過去12年の最高(20.4%)を大きく下回り、直近の山(14%)よりも低い。純現金の扱いは、前受金などの預りを除いた余りを見込んで分けず、excess_cash_none_whyに理由を書いた。新リース会計は、賃借が小さく影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→13.16 倍・やや楽観 PER 11→12.41 倍・中立 PER 10.5→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。