結論
メニコンは、コンタクトレンズの国内最大手だ。売上の約9割がレンズとケア用品で、会員制の定額サービス「メルスプラン」が国内の土台になっている。筆者の結論は、10年の価値は今の時価総額を3割ほど下回る「割高」だ。理由は、投じたお金に見合う稼ぎが、まだ資本コストの手前にあることだ。
勝負は1DAY、つまり1日で捨てるレンズだ。マレーシアに約500億円の工場を建て、量販チェーン向けと他社向けの供給を増やす。欧米の大手との価格競争に勝てば利益は大きく伸びる。負ければ、償却の重い設備だけが残る。
もう一つの柱はオルソケラトロジー、夜に着けて角膜の形を整え、近視の進行を抑えるレンズだ。中国が最大の市場だが、景気の停滞と競争で足踏みしている。国内とアジアで補えるかが分かれ目になる。
事業の中身は悪くない。レンズは景気に左右されにくく、会員が毎年買い続ける。ただ、世界の大手と比べて規模が小さく、値段を自分で決める力は強くない。営業利益率は8%台、ROEは6%台で、会社が目標に掲げる12%には届いていない。
中立の10年では、数量は1DAYとオルソが伸び、国内の従来型が細る。営業利益率は11%まで上がるが、ROEは8%前後にとどまる。強気の筋書きでも利益率は14%だ。倍率を高く置ける会社ではない。
悲観は、価格競争で新工場の償却が重荷になり、赤字に沈む姿だ。確率は1割とみる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、メニコンは「いい事業を、まだ十分な値段で稼げていない会社」だ。
事業は続く。レンズは毎日使う消耗品で、会員が毎年買い替える。景気が悪くなっても、近視の人が見えにくいまま過ごすことはない。10年後も存在する事業だと確信できる。
堀は中程度だ。国内のハードレンズとメルスプランには、乗り換えにくさがある。だが1DAYの量販向けとオルソの中国は、価格で戦う世界だ。価格を決める力は強くない。
オーナーが手にできる利益は小さい。いま営業利益のうち、工場の償却と研究開発に相当な額が出ていく。ROEは6%台で、投じた資本を資本コストの水準で回せていない。
経営の資本配分は評価の途中だ。約500億円の工場投資は、稼働が進んで初めて正しかったと言える。筆者は、需要を見て段階的にラインを増やす今の進め方を悪くないとみる。
安全域は薄い。中立でも10年の価値は今の時価総額を割る。強気の筋書きでも、倍率は高く置けない。この会社を買うなら、利益率が10%を超えて戻る証拠が出てからでよい。
結論は、事業は持ち続けたいが、今の値段で買う理由は薄い、だ。
何で稼ぐ会社か
1DAYは、シリコーンハイドロゲルという酸素をよく通す素材で作る使い捨てレンズだ。売上は約340億円で、全社の約3割を占める。国内では会員向けと店頭向けに売り、欧米では大手の量販チェーンに卸す。他社ブランド向けのOEM(相手先ブランドでの受託生産)も増やしている。
オルソケラトロジー関連は約145億円。就寝中に装着し、朝外すと昼間は裸眼で過ごせる。子どもの近視の進行を抑える効果が研究で示され、アジアを中心に需要が伸びてきた。ただ、中国では現地メーカーが台頭し、値下がりと景気停滞で足踏みが続く。
その他のコンタクトレンズ・ケア用品は約665億円で最大の塊だ。ハードレンズの国内最大手であり、2週間・1か月交換のソフトレンズ、洗浄液もここに入る。国内の会員制「メルスプラン」は定額で、会員は130万人を超える。
ヘルスケア・ライフケアは約106億円。女性の健康(フェムテック)、動物医療、環境などの新領域で、会社自身が事業の見直しを進めている。
稼ぎ方の核は、会員が毎年レンズを買い替える繰り返しの需要だ。眼科医やコンタクト店との関係が、新しい会員を呼び込む。売上は80か国以上に広がるが、海外比率は3割強にとどまり、中国と欧米では競争が厳しい。
各セグメントの数量と営業利益は開示がなく、売上の内訳と利益は推定で置いた。
優良さと弱いところ
優良さを一言でいえば、安定はしているが、飛び抜けて強いとまでは言えない会社だ。
強みは三つある。第一に、ハードレンズの技術と国内最大手の信頼だ。第二に、会員制のメルスプランで、解約の少ない定額収入を持つ。第三に、年58億円の研究開発費と、自社で素材から作る体制だ。
弱みは規模と値決めだ。世界の大手のジョンソン・エンド・ジョンソン、アルコン、クーパーは、メニコンより桁違いに大きい。1DAYの量販チェーン向けは、価格交渉で大手に押されやすい。オルソケラトロジーも、中国では現地の安い製品が出てきた。
資本の使い方は、いまは重い局面だ。マレーシアの大型投資で、純有利子負債は時価総額の2割台まで増えた。償却が先に出るため、利益率は2023年3月期の10.9%から8%台へ落ちたままだ。
自己資本比率は約48%で財務は堅いが、ROEは6%台と、資本コストの7.5%に届かない。会社は2028年3月期にROE12%を掲げる。筆者は、その実現は工場の稼働率と価格次第で、確かな道筋はまだ見えないとみる。
経営は累進配当を掲げ、自社株買いも始めた。資本効率への意識は上がっている。ただ、結果が出るまでは、優良さを低くも高くも置かない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界のコンタクトレンズ市場は、成長が続く安定した市場だ。会社の見立てでは、1DAYは年5%前後で伸び、近視人口の増加が背景にある。会社は2050年に世界の近視人口が約49億人に達すると見込む。
1DAYでは、世界の大手が圧倒的に強い。ジョンソン・エンド・ジョンソンが首位で、アルコン、クーパー、ボシュロムが続く。メニコンは上位5社に入るが、規模は一回り小さい。素材がシリコーンハイドロゲルに移り、各社が値下げ競争を避けつつ新製品で差をつけている。
国内市場は約3,100億円で、横ばいだ。人口は減るが、1DAY化と単価の上昇で金額は保たれている。眼科とコンタクト店の集客が、会員の獲得を左右する。
オルソケラトロジーは、近視の進行を抑える手段として需要が伸びる。ただ中国では、現地メーカーの参入と景気の停滞で値段が下がっている。日本・東南アジア・欧州・北米へ広げる余地はあるが、処方できる医師を育てるのに時間がかかる。
近視抑制には、低濃度の点眼薬や特殊な眼鏡という競合もある。中国メーカーが安い代替品を出せば、需要の取り合いになる。技術の転換というより、価格と処方網の競争だ。
10年の見通しは、数量は世界で伸び、国内の従来型だけが細る。値段は、1DAYが量販で重く、国内の会員制が支える。景気の山と谷の影響は小さい。
資本政策と M&A
資本政策は、成長投資を優先しつつ、還元も始めた段階だ。3年間(2026年3月期〜2028年3月期)の営業キャッシュフロー450〜500億円を、マレーシア工場と研究開発に回す。還元は3年累計で60〜70億円の枠だ。
配当は性向30%を目安にした累進配当で、2026年3月期から始めた。自社株買いも2025年に約24億円を実行した。ただ、純有利子負債が346億円まである間は、大規模な還元はしにくい。
M&Aの色は薄い。最近は事業の見直しの側にいて、動物医療の子会社を連結から外した。買収で規模を稼ぐ会社ではなく、工場への自前投資で伸ばす会社だ。
大株主は信託銀行の口座と海外の運用会社が中心で、支配する筆頭株主はいない。政策保有株は縮減の方針だ。親子上場や持ち合いの重さはない。
買収される側になる可能性は、小さくない。時価総額は約1,400億円で、世界の大手や投資ファンドには手の届く大きさだ。国内の会員制事業は、外資が欲しがる資産でもある。確率は2割弱と見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
1DAYは、会社が掲げる以上の伸びを見せる。マレーシア工場が計画どおり稼働し、量販チェーンとOEMの両方で数量が積み上がる。会社の目標では、1DAYの売上は2028年3月期に460億円になる。その勢いが10年続く筋書きだ。
規模の効果は大きい。工場が満稼働になれば、1枚あたりの原価が下がり、1DAYの利益率は17%まで上がる。今の償却負担が重い段階から、収穫の段階に入る。
オルソケラトロジーは中国の停滞を抜け、国内・アジア・欧米で広がる。近視の子どもは世界で増え続け、処方できる医師も増える。会社が見込む中国外の年11%の伸びが、そのまま数量になる。
国内の会員制は、1DAYへの切り替えが進み、売上は保たれる。ヘルスケア・ライフケアは、見直しで残った事業が育つ。
この筋書きでは営業利益率が14%、ROEが11%台に乗る。会社の掲げる12%に近い形だ。メニコンが、世界の大手に近い利益率を持つ会社に変わる。
慎重な見方
1DAYは、世界の大手との値下げ競争に引き込まれる。ジョンソン・エンド・ジョンソンやアルコンは、量販チェーンの棚を値引きで守る。メニコンが数量を取りにいくほど、単価が下がる。マレーシアの巨大な工場の償却は、固定費として残る。
オルソケラトロジーは、中国で現地メーカーの安い製品に押される。会社が掲げる年11%の成長は、中国を除いた話だ。その中国は市場が最大なので、そこで値段が崩れれば、他の地域の伸びでは埋まらない。
営業利益率は、2023年3月期の10.9%を取り戻せない。前の中期計画の目標だった営業利益率12%は、すでに未達に終わった。計画が繰り返し後ろへずれる会社に、10年で劇的な改善を置くのは危うい。
純有利子負債は346億円あり、借り換えの金利が上がれば、利益を削る。償却の重い工場に、金利の負担が重なる。ROEは資本コストを下回り続ける。
国内も安心できない。人口は減り、1DAYの量販が会員制の客を奪う。利益が出ない新工場が重荷になる、最悪の形も考えておくべきだ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が少し強い。どちらも筋は通っているが、新工場への投資額が大きく、成果がまだ数字に出ていない点が決め手だ。前の中期計画も未達だった。
強気の筋書きは、数量が伸びる点では説得力がある。しかし、数量の伸びと利益の伸びは別の話だ。1DAYは価格交渉で押される側にいる。
確率は、中立を最も厚い35%に置き、やや悲観を23%と厚めにし、悲観は10%とした。強気側は8%とやや楽観24%だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,082 円1,546 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 496 円369 億円)。 今の値に割り戻すと 1,356 円1,007 億円、今との差 −28.5%、 期待の年率 +3.1%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,430 円3,290 億円 | 769 円571 億円 | +174.2% | +10.6% | 416 円309 億円 |
| やや楽観 | 24% | 3,113 円2,312 億円 | 624 円463 億円 | +97.1% | +7.0% | 897 円666 億円 |
| 中立 | 35% | 2,092 円1,554 億円 | 505 円375 億円 | +37.0% | +3.2% | 909 円675 億円 |
| やや悲観 | 23% | 865 円642 億円 | 384 円285 億円 | −34.1% | −4.1% | 287 円213 億円 |
| 悲観 | 10% | 491 円364 億円 | 202 円150 億円 | −63.5% | −9.6% | 69 円51 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,082 円1,546 億円 | 496 円369 億円 | +36.0% | +3.1% | 2,578 円1,915 億円 |
今の株価時価総額 1,896 円1,408 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 強気:1DAYの規模化とオルソの回復で、世界の大手に近い利益率に 利益 199 億円 · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 4,430 円3,290 億円
1DAYはマレーシア工場が計画どおり立ち上がり、量販チェーンとOEMで数量が10年で2.4倍に増える。工場の稼働率が上がり、1DAYの営業利益率は17%に達する。
オルソケラトロジーは中国の停滞を抜け、国内・アジア・欧米で広がる。装用者は55万人まで増え、営業利益率は24%まで戻る。
国内の従来型は、1DAYへの切り替えが進む中で売上を保つ。ヘルスケア・ライフケアは、残した事業が育つ。
全社の営業利益率は14%、ROEは11%台になる。会社が掲げる12%に近い姿で、世界の大手に近い収益力に変わる。
- 1DAY(使い捨て)レンズ:数量 18.0(億枚(年間販売枚数))× 価格 57(億円÷億枚(1枚あたり売上))→ 売上 1,020 億円・営業利益 173 億円。18億枚×単価指数 今の1.25倍、営業利益率17.0%
- オルソケラトロジー関連:数量 55.0(万人(装用者・顧客数))× 価格 5.54(万円/人)→ 売上 305 億円・営業利益 73 億円。55万人×単価指数 今の1.22倍、営業利益率24.0%
- その他コンタクトレンズ・ケア用品:数量 128(万人(装用者・顧客数))× 価格 6.15(万円/人)→ 売上 787 億円・営業利益 98 億円。128万人×単価指数 今の1.34倍、営業利益率12.5%
- ヘルスケア・ライフケア:数量 90.0(万件(取引件数))× 価格 2.68(万円/件)→ 売上 241 億円・営業利益 19 億円。90万件×単価指数 今の1.34倍、営業利益率8.0%
倍率:事業の純利益 199 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.5 倍。全体の PER 16.53 倍、時価総額 3,290 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強気は、工場が計画どおり稼働し、価格競争も避けられる必要がある。前の中期計画が未達だったことから、8%と低めに置いた。
やや楽観 24% やや強気:工場が稼働し、利益率が計画の水準に近づく 利益 152 億円 · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 3,113 円2,312 億円
1DAYは工場の稼働が進み、数量は10年で2倍に増える。価格は量販の競争で物価ほどは上がらない。営業利益率は15%台まで上がる。
オルソは中国を除いた地域が伸び、装用者は50万人になる。国内の従来型は1DAYへ切り替わりつつ、会員制の安定が続く。
全社の営業利益率は12〜13%、ROEは10%近くまで上がる。会社の計画の水準に近いが、そこまでは届かない。
工場の償却が収益に変わる段階に入った姿で、投資が報われる最初の筋書きだ。1DAYの単価は量販チェーンとOEMの比率が上がるため、物価ほどは上がらず、10年で1.21倍にとどまる。
- 1DAY(使い捨て)レンズ:数量 15.5(億枚(年間販売枚数))× 価格 55(億円÷億枚(1枚あたり売上))→ 売上 850 億円・営業利益 132 億円。15.5億枚×単価指数 今の1.21倍、営業利益率15.5%
- オルソケラトロジー関連:数量 50.0(万人(装用者・顧客数))× 価格 5.50(万円/人)→ 売上 275 億円・営業利益 59 億円。50万人×単価指数 今の1.21倍、営業利益率21.5%
- その他コンタクトレンズ・ケア用品:数量 125(万人(装用者・顧客数))× 価格 6.06(万円/人)→ 売上 757 億円・営業利益 91 億円。125万人×単価指数 今の1.32倍、営業利益率12.0%
- ヘルスケア・ライフケア:数量 65.0(万件(取引件数))× 価格 2.68(万円/件)→ 売上 174 億円・営業利益 10 億円。65万件×単価指数 今の1.34倍、営業利益率6.0%
倍率:事業の純利益 152 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.2 倍。全体の PER 15.21 倍、時価総額 2,312 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:計画の水準に近づく形で、実現の可能性は十分ある。ただ価格交渉と中国の停滞が重いので24%とした。
中立 35% 中立:数量は伸びるが、価格競争で利益率は11%にとどまる 利益 114 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 2,092 円1,554 億円
1DAYは数量が10年で1.7倍に増えるが、価格は量販競争で物価の伸びを下回る。営業利益率は14%にとどまる。
オルソは中国外の伸びと中国の停滞を相殺し、装用者は45万人になる。国内の従来型は人口の減りと1DAYへの切り替えで、顧客数が1割強減る。
全社の営業利益率は11%、ROEは8%前後になる。2023年3月期の山には届かず、計画も届かない。利益は伸びるが、資本コストをかろうじて上回る程度の会社になる。
1DAYの単価が10年で1.17倍にとどまるのは、量販チェーンとOEMの比率が上がり、世界の大手との価格競争で値上げが物価に追いつかないためだ。オルソの単価が1.20倍にとどまるのは、中国で現地メーカーの安い製品が出て、中価格帯の品を増やすためだ。国内の会員制は、物価に近い1.30倍まで上がる。
- 1DAY(使い捨て)レンズ:数量 13.0(億枚(年間販売枚数))× 価格 53(億円÷億枚(1枚あたり売上))→ 売上 689 億円・営業利益 97 億円。13億枚×単価指数 今の1.17倍、営業利益率14.0%
- オルソケラトロジー関連:数量 45.0(万人(装用者・顧客数))× 価格 5.45(万円/人)→ 売上 245 億円・営業利益 47 億円。45万人×単価指数 今の1.2倍、営業利益率19.0%
- その他コンタクトレンズ・ケア用品:数量 123(万人(装用者・顧客数))× 価格 5.97(万円/人)→ 売上 734 億円・営業利益 84 億円。123万人×単価指数 今の1.3倍、営業利益率11.5%
- ヘルスケア・ライフケア:数量 58.0(万件(取引件数))× 価格 2.68(万円/件)→ 売上 155 億円・営業利益 6 億円。58万件×単価指数 今の1.34倍、営業利益率4.0%
倍率:事業の純利益 114 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.63 倍、時価総額 1,554 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:数量は伸びるが、利益率は2023年3月期の山に届かず、11%にとどまる。議論の落としどころとして最も厚い35%に置いた。
やや悲観 23% やや弱気:価格競争が続き、償却の重い工場が利益を削る 利益 46 億円 · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 865 円642 億円
1DAYは数量が伸びても、量販の価格競争で単価が物価を大きく下回る。利益率は7%まで落ち、工場の償却が収益を食い続ける。
オルソは中国の競争で装用者が30万人にとどまり、利益率も14%にとどまる。国内の従来型は、会員制が守りきれず、顧客が減る。
全社の営業利益率は6%で、ROEは4%まで落ちる。配当は累進を守るので、還元は利益を上回り、自己資本の増え方が鈍る。
稼ぐ力は低く、資本コストを下回る状態が続く。ヘルスケア・ライフケアは見直しが進まず、利益がほぼ出ない。1DAYと国内の従来型の置き換えも進み、会員制の収入の厚みが薄まる。
- 1DAY(使い捨て)レンズ:数量 10.5(億枚(年間販売枚数))× 価格 48(億円÷億枚(1枚あたり売上))→ 売上 500 億円・営業利益 35 億円。10.5億枚×単価指数 今の1.05倍、営業利益率7.0%
- オルソケラトロジー関連:数量 30.0(万人(装用者・顧客数))× 価格 4.77(万円/人)→ 売上 143 億円・営業利益 20 億円。30万人×単価指数 今の1.05倍、営業利益率14.0%
- その他コンタクトレンズ・ケア用品:数量 112(万人(装用者・顧客数))× 価格 5.74(万円/人)→ 売上 643 億円・営業利益 64 億円。112万人×単価指数 今の1.25倍、営業利益率10.0%
- ヘルスケア・ライフケア:数量 50.0(万件(取引件数))× 価格 2.40(万円/件)→ 売上 120 億円・営業利益 1 億円。50万件×単価指数 今の1.2倍、営業利益率1.0%
倍率:ROE 4%前後で資本コストを下回る。稼ぐ力(純利益÷k)は約610億円で、PERの上限は1÷k=13.3倍。償却の重い工場が利益を削る筋書きなので、13倍に置いた。
確率:1DAYの価格競争が続き、償却の重い工場が利益を削る。計画の未達が続いている点を重くみて、23%に置いた。
悲観 10% 弱気:値下げ競争と中国の崩れで、新工場が重荷になる 利益 −40 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 491 円364 億円
1DAYは世界の大手との値下げ競争に巻き込まれ、単価は今より1割安くなる。数量を取っても赤字が続き、営業利益率はマイナス7%になる。
オルソは中国で現地メーカーに押され、装用者は20万人に減る。ヘルスケア・ライフケアも赤字が残る。
全社の営業利益は赤字に沈み、マレーシア工場の減損で自己資本が減る。配当は削らざるをえず、還元は最小限になる。
価値は、稼ぐ力ではなく、売れる資産の税後で測る。工場や設備は特殊で、簿価の55%でしか売れない。累進配当を守ろうとして、10年の還元の合計が純利益の合計を超え、不足は手元の現金と借入、資産の売却で払う。
- 1DAY(使い捨て)レンズ:数量 9.0(億枚(年間販売枚数))× 価格 41(億円÷億枚(1枚あたり売上))→ 売上 367 億円・営業利益 −26 億円。9億枚×単価指数 今の0.9倍、営業利益率-7.0%
- オルソケラトロジー関連:数量 20.0(万人(装用者・顧客数))× 価格 3.86(万円/人)→ 売上 77 億円・営業利益 0 億円。20万人×単価指数 今の0.85倍、営業利益率0.0%
- その他コンタクトレンズ・ケア用品:数量 100(万人(装用者・顧客数))× 価格 5.28(万円/人)→ 売上 528 億円・営業利益 26 億円。100万人×単価指数 今の1.15倍、営業利益率5.0%
- ヘルスケア・ライフケア:数量 45.0(万件(取引件数))× 価格 2.00(万円/件)→ 売上 90 億円・営業利益 −4 億円。45万件×単価指数 今の1.0倍、営業利益率-5.0%
倍率:赤字で稼ぐ力は無く、売れる資産の床で置く。事業用資産(今の自己資本944億円に純有利子負債346億円を足した1,290億円)が簿価の55%で売れると仮定し、純有利子負債346億円を返すと364億円で、今の自己資本の0.39倍にあたる。マレーシア工場など設備は特殊で売りにくいため55%で数える。市場の値付けは根拠にしていない。
確率:価格競争・中国の崩れ・新工場の重荷が重なる複合の負けで、10%に置いた。投資額の大きさと計画の未達続きから、5%を超える確率とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
1DAY(使い捨て)レンズ
1日で捨てるシリコーンハイドロゲル素材のレンズ。国内会員向け・欧米の量販チェーン向け・他社向けOEM。
| 数量億枚(年間販売枚数) | 価格億円÷億枚(1枚あたり売上) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7.5 | 45 | 340 | 20 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 53 | 689 | 97 |
取り方:売上は決算説明の1DAY約340億円(27/03期の第1四半期92億円・前年比13.7%増と整合)。販売枚数は開示がなく、1枚あたりの売上は、国内会員の高単価と量販・OEMの低単価の中間として約45(億円÷億枚)と置き、7.5億枚と推定した。営業利益はマレーシア工場の償却で薄いとみて、利益率6%と推定。
オルソケラトロジー関連
就寝中に着けて角膜の形を整え、近視の進行を抑えるレンズ。中国・アジア・国内・欧米。
| 数量万人(装用者・顧客数) | 価格万円/人 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 32.0 | 4.54 | 145 | 30 |
| 10 年後 中立 | 45.0 | 5.45 | 245 | 47 |
取り方:売上は決算資料の約145億円(14,539百万円)。装用者数は開示がなく、1人あたり年4.5万円の購入(レンズと関連ケア)から32万人と推定した。営業利益は20%と推定。中国は競争激化で停滞中。
その他コンタクトレンズ・ケア用品
ハード・2週間・1か月交換のソフトレンズ、洗浄液などのケア用品。国内の会員制メルスプランを含む。
| 数量万人(装用者・顧客数) | 価格万円/人 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 145 | 4.59 | 665 | 80 |
| 10 年後 中立 | 123 | 5.97 | 734 | 84 |
取り方:売上は全体から1DAY・オルソ・ヘルスケアを引いた約665億円。会員130万人超などから、顧客数145万人×年4.6万円と推定した。営業利益は12%と推定(全社102億円からの逆算を含み、開示値ではない)。
ヘルスケア・ライフケア
フェムテック・動物医療・環境などの新領域。会社が見直し中。
| 数量万件(取引件数) | 価格万円/件 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 53.0 | 2.00 | 106 | −3 |
| 10 年後 中立 | 58.0 | 2.68 | 155 | 6 |
取り方:売上は全体の約1割(ビジョンケア約9割)から106億円と推定。件数・単価は開示がなく、取引53万件×2万円と置いた。営業利益は小さな赤字(−3億円)と推定。
リスクと懸念
1DAYの価格競争
1DAYは世界の大手が圧倒的に強い。量販チェーンの棚を取るために値下げを迫られれば、数量が伸びても利益は伸びない。マレーシア工場の償却が先に重く、利益率が上がる前に再び下がる恐れがある。
中国のオルソケラトロジー
中国は最大の市場だが、景気の停滞と現地メーカーの参入で、数量も値段も伸び悩む。2027年3月期の第1四半期は持ち直したものの、競争激化は続いている。中国が崩れれば、他の地域の伸びでは埋まらない。
新工場の稼働と借り換え
約500億円のマレーシア工場は、稼働率が低い間は償却が利益を削る。純有利子負債は時価総額の2割台で、借り換えのたびに金利が上がる。需要が計画に届かなければ、財務の余裕が消える。
計画の未達が続く
前の中期計画は、売上1,400億円・営業利益率12%・ROE10%を掲げたが、すべて未達だった。次の計画も2028年3月期に同じ水準を置く。計画どおりに進まない経営の癖が、利益率の戻りを遅らせる恐れがある。
国内の従来型レンズの縮小
国内の人口は減り、2週間・1か月交換のレンズは1DAYに置き換わる。売上の最大の塊である従来型が細ると、会員制の安定収入が弱まる。1DAYは利益率が低いため、置き換わるほど利益が薄まる面がある。
近視抑制の代替手段
低濃度の点眼薬や特殊な眼鏡など、近視の進行を抑える別の方法が広がると、オルソケラトロジーの需要を食う。医療機関での処方が普及の鍵なので、医師の推奨が他の手段へ向けば、数量が落ちる。
事業の見直し
ヘルスケア・ライフケアは、会社自身が事業の見直しを進めている。動物医療の子会社はすでに連結から外れた。新領域の失敗の損が出る恐れと、撤退の損の両方がある。売上の1割と小さいが、利益率は低い。
今後の分かれ目
- マレーシア工場の稼働率が計画どおり上がり、1DAYの営業利益率が10%を超えたら
- 強気の筋書きの確率を上げる。工場の償却が収益に変わる転換点で、ROEが資本コストに近づく。
- 1DAYの量販チェーン向けで大幅な値下げが続いたら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。数量が伸びても利益が出ない形になり、新工場が重荷になる。
- 中国のオルソケラトロジーの売上が前年比で2期連続して伸びたら
- オルソの数量を上方に置き直す。競争が一巡した合図で、中立の利益率を上げてよい。
- 中期計画の営業利益率12%が2028年3月期に届いたら
- 経営への信頼が上がり、やや楽観の確率を上げてよい。届かなければ、計画の未達が癖だとみる。
- 世界の大手や投資ファンドからの買収提案が出たら
- 事業の価値が値段に反映されるまで、評価を見直す。国内会員制の事業は買い手にとって魅力がある。
- 国内の会員数が減り始めたら
- 売上の最大の塊が弱るので、国内の数量を下げ、やや悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- マレーシア工場の稼働率と1DAYの営業利益率
- 1DAYの売上の伸びと量販チェーン向けの単価
- 中国のオルソケラトロジー関連の売上と競争の状況
- 国内メルス会員数と1DAYへの切り替え比率
- 純有利子負債と借り換えの金利、償却の負担
倍率と資本コストの決め方
倍率は、式の正当化PER(g 4%、k 7.5%、残る割合1/2)から出した。中立はROE約8%、RONIC約7.7%で、上限13.7倍。下限の1÷k(13.3倍)にほぼ重なるため、13.5倍に置いた。今の株価・過去の倍率・同業の倍率は使っていない。
数量は、1DAYが会社の増産計画と会社の市場見通し(年5%)の間、オルソが中国外の伸び(年11%)と中国の停滞の間で置いた。価格は物価3%(10年1.34倍)から、1DAYの量販競争分を引いた。
今の時価総額に近づけるために倍率を上げたり、利益率を上げたりはしていない。結果として中立の価値は今の時価総額を下回り、「割高」が出た。
リース:店舗への依存は小さく、2028年3月期からの新リース会計で数字の形が変わっても、本質価値はほぼ変わらない。10年後の数字は、今と同じ家賃を営業費用に入れた形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.9→16.53 倍・やや楽観 PER 13.8→15.21 倍・中立 PER 13.5→13.63 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k=基本 7.5%+quality 0.0%=7.5%。内訳と理由は quality_why。