結論
クリエートメディックは、尿道や胃に入れるシリコーン製のカテーテルを作る医療機器メーカーだ。筆者の結論は「やや割安」である。利益率はかつての半分以下に細ったが、時価総額の半分近い純現金と、利益の大半を配る還元の方針が、今の値段を下から支えているからだ。
この会社の製品は、病院で毎日使って捨てられる。需要は景気に左右されにくく、国内では泌尿器と胃ろうの分野で長い実績を持つ。ただ、国内の材料価格は改定のたびに下がり、中国では国の集中購買で値段を大きく削られた。営業利益率は2005年の18%から、ここ数年は5〜7%に落ちている。
会社は2034年に営業利益30億円、海外の売上を半分にする長期の目標を掲げる。今の3倍の利益で、過去の計画は未達が続く。筆者はこの目標をそのまま信じない。それでも、インドと東南アジアで数量を伸ばし、利益率を少し戻す道は現実的だ。
株主への還元は厚い。配当性向50%以上に加え、純資産の4%を配る目標を掲げ、自社株買いも続ける。成長が鈍くても、現金が株主に戻る流れがある。筆者は、今の値段は本質価値を1割半ほど下回ると見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い事業が平凡な会社になり、その分だけ安く売られている」姿に見える。病院が毎日使い捨てる管は、10年後も確実に要る。医師に名前が通った製品は簡単には消えない。ただ、値段を決める力は国と病院の側に移り、利益率はかつての半分以下になった。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、純利益とほぼ同じ年7億円前後と筆者は見る。工場の更新に毎年数億円が要るが、減価償却とほぼ見合う。
経営の資本の使い方は良くなっている。厚い現金をため込むのをやめ、配当と自社株買いで戻し始めた。自己資本を減らせば、自己資本利益率は上がる。安全域は、時価総額の半分近い純現金がつくる。事業がこのまま横ばいでも、配当と現金で今の値段の多くが説明できる。筆者は、大きく儲かる株ではないが、払う値段に対して守りの効いた事業と見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は、病院で使い捨てられる管を作って売ることだ。主力は、膀胱に尿を流すための尿道カテーテルなど泌尿器の製品で、2025年12月期の売上136億円のうち66億円を占める。次が、胃に直接栄養を送る胃ろうのチューブなど消化器の製品で41億円。残りは看護・検査、外科、血管の製品だ。
材料のシリコーンは、体の中に長く入れても刺激が少ない。この会社は1970年代からシリコーンの管を作り続け、医師や看護師に名前が通っている。尿道カテーテルと採尿の袋を一つにまとめたキットのように、病院の手間を減らす工夫で売ってきた。
売り方は三つある。自社の営業が国内の病院に売る自社販売が5割強、海外への販売が3割強、他社の名前で作るOEMが1割だ。工場は国内のほか、中国の大連とベトナムにある。人件費の安い海外で作り、国内と海外に届ける形だ。
海外では、中国で病院向けの販売を広げてきた。欧州にも売るが、新しい医療機器の規則(MDR)への対応で、消化器の一部の製品が生産を止めている。2026年4月にはインドに販売会社を作り、東南アジアと合わせて次の伸びしろに据えた。
利益は細い。2026年12月期は、海外の伸び悩みと費用の増加で、営業利益の予想を10.6億円から7.6億円に下げた。
優良さと弱いところ
強みは、シリコーンの管を長く作ってきた技術と、国内の病院との付き合いだ。尿道カテーテルや胃ろうのチューブは、患者の体に直接入る。医師や看護師は、使い慣れた製品を簡単には替えない。この切り替えにくさが、この会社の堀、つまり他社がまねしにくい強みになっている。
ただ、その堀は浅くなった。国内の競合には、米国のBDの製品を扱うメディコン、テレフレックス、テルモなどがいる。保険で決まる材料の値段は改定のたびに下がる。中国では国がまとめて安く買う集中購買が入り、値段を大きく削られた。営業利益率は2005年の18%から、2024年には5%まで下がった。品質が良くても、値段を決めるのは国と病院の側である。
資本効率は低い。自己資本利益率は過去10年の中央値で4.5%にとどまる。自己資本の厚さが一因で、総資産の8割が自己資本だ。会社も資本コストを意識し、自社株買いと配当を増やしてきた。これは正しい方向である。
経営は手堅いが、計画の達成力は弱い。前の中期計画は届かず、今期も期中に利益の予想を下げた。2034年の目標は野心的すぎる。筆者がいちばん評価するのは、現金を株主に戻す姿勢がはっきりしてきた点だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
使い捨ての医療器具は、数量がゆっくり伸び、値段が上がりにくい市場だ。高齢化で、寝たきりや手術後の患者が使う尿道カテーテルと胃ろうの需要は増える。景気が悪くても治療は止まらないので、不況の下げは浅い。
国内では、値段の上がりが物価に届かない。保険で決まる材料の値段は2年ごとに見直され、下がるのが普通だ。病院の経営も苦しく、仕入れ値の交渉は厳しい。会社は値上げに取り組んでいるが、効果は限られる。一方で、胃ろうは延命の医療を見直す流れで件数が伸びにくい面もある。
海外は、数量の伸びしろが大きい。インドや東南アジアでは、病院の数と手術の件数が増え、使い捨ての器具の需要が伸びている。ただ、どの国でも安い地場のメーカーが育っている。中国では集中購買で値段が大きく下がり、国産品を優先する動きもある。欧州は規則が厳しくなり、認証の費用と時間がかかる。
つまり、この会社の10年は「海外の数量で、国内の値段の弱さを補えるか」にかかる。業界全体の見通しでは、数量は実質で年3〜5%伸び、先進国の値段は年1〜3%しか上がらない。中堅のメーカーは、世界大手のような価格の力を持たない。筆者は、数量は伸びるが利益率の大きな回復は難しいと見る。
資本政策と M&A
資本政策は、この数年で大きく株主寄りに変わった。会社は配当性向50%以上を掲げ、さらに純資産の4%を配当に回す目標を加えた。2026年12月期の配当の総額は約3.7億円を予定し、純利益の予想の3分の2にあたる。
自社株買いも続けている。2025年に約2億円、2026年には上限の43万株・約4.9億円を買い終えた。発行済みの株の2割近くがすでに自己株になっている。会社はPBR(純資産に対する株価の倍率)を2027年に0.7倍へ上げる目標も掲げる。
手元には純現金が約43億円ある。借入は7億円台と小さい。大株主は創業家の資産会社つづき企画(14.4%)と中尾奨学財団(7.5%)で、創業家の影響が強い。創業家と財団で2割を超えるので、敵対的な買収は起きにくい。一方で、創業家による非公開化の可能性は残る。大きな買収の実績は無く、海外の販売会社を自前で作る形で広げてきた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
数量はこれから伸びる。インドに販売会社を作り、タイやマレーシア、インドネシアにも広げている。これらの国では病院と手術が増え、使い捨ての器具の需要が年に数%ずつ伸びる。会社は2034年に海外の売上を100億円にする目標を掲げる。半分届くだけでも、売上は今より4割増える。
国内では、尿道カテーテルと胃ろうで長い実績がある。高齢化で長く入院する患者が増え、カテーテルの使用は増える。キットのように病院の手間を減らす製品は、値段より使いやすさで選ばれる。
利益率は戻る余地がある。工場は中国とベトナムにあり、海外の売上が増えるほど工場の稼働が上がる。2019年には営業利益率が10%あった。欧州のMDR対応が済めば、止まっている消化器の製品も売れ始める。
そして株主還元が厚い。配当性向50%以上と純資産の4%配当の目標で、利益の大半が戻る。自社株買いで株数も減る。時価総額の半分近い純現金を考えれば、事業そのものはごく安く買える。
慎重な見方
利益率の下落は構造的だ。2005年の18%から、今は5〜7%に落ちた。国内の材料価格は改定で下がり、中国では集中購買で値段を大きく削られた。人件費と物流費は物価で上がり、値段に転嫁しにくい。今期も期中に営業利益の予想を3割下げた。
計画の達成力も弱い。前の中期計画は届かず、2027年の営業利益13億円の目標も今期の7.6億円から遠い。2034年の30億円は今の4倍で、現実味は薄い。
海外の伸びしろも、楽な道ではない。インドや東南アジアには安い地場のメーカーが育っている。世界大手のBDやテレフレックスも同じ市場を狙う。中堅の日本のメーカーが、値段で勝つのは難しい。欧州ではMDRの対応に費用と時間がかかり、製品の一部が止まっている。
資本効率は資本コストを下回り続けている。創業家の影響が強く、還元を増やしているとはいえ、厚い自己資本はすぐには減らない。利益が伸びなければ、還元の目標も守れなくなる。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや強い。利益率の下落は本物だが、需要は景気に左右されず、純現金と還元の方針が下値を固めている。筆者は、海外の数量の伸びは確かと見るが、利益率の大きな回復には慎重だ。確率は中立を36%とし、楽観側に3割、悲観側に3割強を置いた。悲観は中国型の値下げが国内と新興国にも広がる姿だ。資本コストに届かない事業でも、利益の7割が毎年戻るなら、株主の受け取りは厚い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,788 円142 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 711 円57 億円)。 今の値に割り戻すと 1,416 円113 億円、今との差 +26.8%、 期待の年率 +8.4%(資本コスト 7.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 3,617 円288 億円 | 916 円73 億円 | +305.8% | +15.0% | 453 円36 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,592 円206 億円 | 830 円66 億円 | +206.4% | +11.8% | 684 円54 億円 |
| 中立 | 36% | 1,957 円156 億円 | 758 円60 億円 | +143.1% | +9.3% | 977 円78 億円 |
| やや悲観 | 22% | 790 円63 億円 | 641 円51 億円 | +28.1% | +2.5% | 315 円25 億円 |
| 悲観 | 12% | 246 円20 億円 | 329 円26 億円 | −48.5% | −6.4% | 69 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,788 円142 億円 | 711 円57 億円 | +123.7% | +8.4% | 2,499 円199 億円 |
今の株価時価総額 1,117 円89 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 海外が育ち、利益率が10%台に戻る 利益 17 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 3,617 円288 億円
インドと東南アジアで病院向けの販売網が育ち、泌尿器の本数は10年で1.5倍になる。欧州のMDR対応も済み、消化器の製品が再び売れ始める。海外の売上は60億円を超え、海外比率は4割に近づく。
値段は、国内の改定の下げを海外と新製品が補い、10年で25%上がる。中国とベトナムの工場の稼働が上がり、営業利益率は泌尿器で11%まで戻る。営業利益は24億円、純利益は17億円になる。会社の2034年目標には届かないが、利益は今の2倍を超える。
還元は利益の6割を保ち、自己資本は大きく膨らまない。自己資本利益率は9%近くまで上がり、資本コストを超える。厚い現金と高い利益率がそろい、市場はこの会社を再び優良なメーカーとして見直す。
- 泌尿器の製品:数量 662(販売本数(万本・推定))× 価格 1.88(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 124 億円・営業利益 14 億円。本数1.5倍・単価1.25倍・利益率11%
- 消化器の製品:数量 190(販売本数(万本・推定))× 価格 3.75(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 71 億円・営業利益 7 億円。本数1.4倍・単価1.25倍・利益率10%
- 看護・検査、外科、血管の製品:数量 294(販売本数(万本・推定))× 価格 1.50(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 44 億円・営業利益 4 億円。本数1.2倍・単価1.25倍・利益率8%
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.1% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 16.12 倍、時価総額 288 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:インドと東南アジアの数量の伸びと、利益率の回復の両方が要る。2019年に10%の利益率があった実績はあるが、計画の未達が続くので10%とした。
やや楽観 20% 海外の数量で、国内の値段の弱さを補う 利益 13 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 2,592 円206 億円
海外の販売が着実に伸び、泌尿器の本数は10年で35%、消化器は30%増える。国内の値段は改定で下がるが、海外とキット製品が補い、平均単価は2割上がる。
営業利益率は9%前後まで戻り、営業利益は18億円台、純利益は13億円になる。2027年の目標は数年遅れで届く。還元は配当性向50%以上と自社株買いで利益の65%を保つ。自己資本利益率は7%台に上がり、資本コストとほぼ並ぶ。会社は大きく変わらないが、利益と還元が物価を上回って増えていく。
インドの販売会社が黒字になり、東南アジアの代理店網も広がる。海外比率は4割に近づく。
- 泌尿器の製品:数量 595(販売本数(万本・推定))× 価格 1.80(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 107 億円・営業利益 10 億円。本数1.35倍・単価1.20倍・利益率9.5%
- 消化器の製品:数量 176(販売本数(万本・推定))× 価格 3.60(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 63 億円・営業利益 5 億円。本数1.30倍・単価1.20倍・利益率8.5%
- 看護・検査、外科、血管の製品:数量 282(販売本数(万本・推定))× 価格 1.46(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 41 億円・営業利益 3 億円。本数1.15倍・単価1.22倍・利益率7%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 14.75 倍、時価総額 206 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新興国の数量の伸びは業界の見通しどおりで、利益率を少し戻すのは現実的。中期計画の2027年目標に近い利益が続く姿として20%とした。
中立 36% 数量は伸び、利益率はほぼ今のまま 利益 10 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 1,957 円156 億円
高齢化と新興国の需要で、泌尿器の本数は10年で25%、消化器は20%増える。国内の材料価格は改定で下がり、中国の値段も戻らない。海外の値上げと新製品で、平均単価は10年で15%上がるにとどまり、物価の上がりには届かない。
工場の稼働が上がる分で費用の上昇をほぼ吸収し、営業利益率は7%台前半を保つ。営業利益は14億円前後、純利益は10億円ほどになる。2027年の目標には遅れて届くが、2034年の目標は遠い。
還元は配当性向50%以上と純資産の配当率の目標で、利益の7割を株主に戻す。自己資本はゆっくりとしか増えず、自己資本利益率は5〜6%に上がる。資本コストには届かないが、現金が株主に戻る流れが価値を支える。
- 泌尿器の製品:数量 551(販売本数(万本・推定))× 価格 1.73(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 95 億円・営業利益 8 億円。本数1.25倍・単価1.15倍(国内の改定と中国の集中購買で物価に届かない)・利益率8%
- 消化器の製品:数量 163(販売本数(万本・推定))× 価格 3.45(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 56 億円・営業利益 4 億円。本数1.20倍・単価1.15倍(同じ理由で物価に届かない)・利益率7%
- 看護・検査、外科、血管の製品:数量 269(販売本数(万本・推定))× 価格 1.44(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 39 億円・営業利益 2 億円。本数1.10倍・単価1.20倍・利益率6%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.0% が k 7.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 14.29 倍、時価総額 156 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業界の見通しどおり数量は伸びるが、国内の値段は物価に届かず、費用の上昇が利益率の回復を抑える。最も起こりやすい姿として36%とした。
やや悲観 22% 値下げと費用高で、利益率が5%を割る 利益 6 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 790 円63 億円
国内の材料価格の引き下げが続き、中国では集中購買の対象が広がる。インドや東南アジアでは地場のメーカーとの値下げ競争になる。本数は10年で1割しか伸びず、平均単価もほぼ横ばいだ。
シリコーンと人件費の上昇を値段に転嫁できず、営業利益率は4%台に落ちる。営業利益は7億円ほど、純利益は6億円弱で、今とほとんど変わらない。純資産の配当率の目標を守るため、配当は利益の8割を超える。現金は少しずつ減り、自社株買いは止まる。自己資本利益率は3%台にとどまる。
経営は値上げと原価の削減を掲げ続けるが、効果は費用の上昇に追いつかない。2034年の目標は事実上取り下げられる。
- 泌尿器の製品:数量 485(販売本数(万本・推定))× 価格 1.58(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 76 億円・営業利益 4 億円。本数1.10倍・単価1.05倍・利益率5.5%
- 消化器の製品:数量 142(販売本数(万本・推定))× 価格 3.15(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 45 億円・営業利益 2 億円。本数1.05倍・単価1.05倍・利益率4%
- 看護・検査、外科、血管の製品:数量 245(販売本数(万本・推定))× 価格 1.32(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。本数1.00倍・単価1.10倍・利益率4%
倍率:事業ROEは3%台でk 7.0%を大きく下回る。稼ぐ力÷kは約14倍だが、利益率が細り続ける筋書きなので上限の約3分の2の9.5倍。余った現金は谷で使う分を引いた15億円。
確率:今期も期中に利益の予想を3割下げ、2024年には利益率5%まで下がった。この流れが続く姿は十分ありうるので22%とした。
悲観 12% 値下げの波に飲まれ、利益がほぼ消える 利益 2 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 246 円20 億円
国内では病院の共同購入と材料価格の大幅な引き下げが進み、安い輸入品が広がる。中国では国産品の優先で取引が細り、インドや東南アジアでも地場のメーカーに値段で負ける。本数は10年で1割減り、平均単価も5%下がる。
工場の稼働は落ち、営業利益率は1%前後まで下がる。営業利益は1億円台、純利益は受取利息を合わせても2億円に届かない。配当は減り、純資産の配当率の目標は取り下げられる。厚い現金だけが残る、成長の止まったメーカーになる。
純現金の多くは、立て直しのための海外の投資と赤字の拠点の整理に消える。創業家が非公開化を選ばない限り、株主に残るのは細った配当だけだ。
- 泌尿器の製品:数量 397(販売本数(万本・推定))× 価格 1.43(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 57 億円・営業利益 1 億円。本数0.90倍・単価0.95倍・利益率2%
- 消化器の製品:数量 115(販売本数(万本・推定))× 価格 2.85(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 33 億円・営業利益 0 億円。本数0.85倍・単価0.95倍・利益率0%
- 看護・検査、外科、血管の製品:数量 220(販売本数(万本・推定))× 価格 1.20(1本あたりの平均単価(千円))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。本数0.90倍・単価1.00倍・利益率1%
倍率:構造的に負けた筋書き。事業ROEは1%前後で、稼ぐ力÷kの約14倍より低く、利益の縮みが続く前提で上限の56%の8.0倍。余った現金は失敗した海外の投資に使う分を引いた10億円。純現金の多くは運転資金と失敗した投資に消え、床は残る現金の戻り分にとどまる。
確率:中国型の集中購買が国内と新興国にも広がり、地場のメーカーに値段で負ける、構造的に負ける姿。需要が景気に強い分、確率は12%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
泌尿器の製品
尿道カテーテル、採尿のキット、尿管ステントなど。国内の病院と海外に売る主力。
| 数量販売本数(万本・推定) | 価格1本あたりの平均単価(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 441 | 1.50 | 66 | 5 |
| 10 年後 中立 | 551 | 1.73 | 95 | 8 |
取り方:本数の開示は無い。キットを含む平均単価を1本1.5千円と見て、売上66.1億円から約441万本の推定。万本×千円×0.1で億円。利益は品目別の開示が無く、全社の営業利益10.1億円を売上の比で配った推定。
消化器の製品
胃ろうのチューブ、経腸栄養のチューブなど。欧州では一部の製品がMDR対応で止まっている。
| 数量販売本数(万本・推定) | 価格1本あたりの平均単価(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 136 | 3.00 | 41 | 3 |
| 10 年後 中立 | 163 | 3.45 | 56 | 4 |
取り方:胃ろうのチューブは尿道カテーテルより高く、平均単価を1本3千円と見て、売上40.7億円から約136万本の推定。利益は売上の比で配った推定。
看護・検査、外科、血管の製品
検査用のチューブ、外科のドレーン、血管の製品など。
| 数量販売本数(万本・推定) | 価格1本あたりの平均単価(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 245 | 1.20 | 29 | 2 |
| 10 年後 中立 | 269 | 1.44 | 39 | 2 |
取り方:看護・検査13.8億・外科10.8億・血管4.8億の合計29.4億円を、平均単価1本1.2千円と見て約245万本の推定。利益は売上の比で配った推定。
リスクと懸念
材料価格の改定と集中購買
国内の保険で決まる材料の値段は改定のたびに下がる。中国では国の集中購買で値段を大きく削られた。同じ仕組みがインドや東南アジアに広がれば、海外の数量を伸ばしても利益は増えにくい。
欧州の医療機器規則(MDR)
欧州の新しい規則への対応が遅れ、消化器の一部の製品が生産を止めている。認証には費用と時間がかかり、欧州の売上の回復は読みにくい。
費用の上昇と値上げの遅れ
シリコーンなどの材料、人件費、物流費は物価で上がる。国内の値段は物価ほど上がらないので、利益率は放っておけば細る。今期は期中に営業利益の予想を3割下げた。
計画の未達が続く
前の中期計画は届かず、2027年の営業利益13億円も遠い。2034年の30億円は今の4倍だ。目標と実績の差が開くほど、経営への信頼は下がる。
新興国の地場メーカーとの競争
インドや東南アジアでは、安い地場のメーカーが育っている。世界大手も同じ市場を狙う。中堅の日本のメーカーは、品質で選ばれても値段で負けやすい。
創業家による非公開化
創業家の資産会社と財団で株の2割を超える。創業家が非公開化を選べば、買付けの値段で株主の取り分が決まる。本質価値より低い値段で決まる恐れもある。
今後の分かれ目
- インドと東南アジアの売上が年2割以上伸び、海外比率が40%を超えた
- 海外の数量の伸びが本物とみて、やや楽観の確率を上げ、泌尿器と消化器の数量を引き上げる。
- 2027年に営業利益13億円の目標に届いた
- 利益率を戻す力があると判断し、中立の利益率を上げる。
- 欧州のMDR対応が済み、止まっていた消化器の製品が再び売れ始めた
- 消化器の数量を戻し、楽観側の確率を少し上げる。
- インドや東南アジアでも集中購買のような値下げの仕組みが入った
- 海外の値段の見通しを下げ、やや悲観と悲観の確率を厚くする。
- 純資産の4%配当の目標を正式な方針にし、自社株買いを続けた
- 現金の戻り方を1.0に上げる。稼ぐ力は変わらないので倍率は据え置く。
- 創業家が非公開化を発表した
- 買付けの値段で評価が決まる。本質価値の計算は止め、分析の対象から外す。
見ておくもの
- 営業利益率(2025年12月期7.4%)と2027年目標8%の差
- 海外の売上と海外比率(上期33.8%)、インド・東南アジアの伸び
- 中国の集中購買と欧州のMDR対応の進み具合
- 配当性向・純資産の配当率・自社株買いの規模
- 純現金の残高と自己資本利益率
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見ずに決めた。資本コストは7.0%。中立の自己資本利益率は5〜6%で資本コストに届かないので、PERの上限は1÷k≒14.3倍、中立はその85%に置いた。楽観だけ資本コストを超えるので式の上限の約9割とした。余った現金は運転資金を引いた20億円を戻り方0.75で足し、投資有価証券は足していない。悲観は事業の稼ぐ力から置き、過去のPBRは使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.5→16.12 倍・やや楽観 PER 13→14.75 倍・中立 PER 12.2→14.29 倍)。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの-0.5%を足した(決まりv2)。個別のリスクは筋書きと確率で表す。