結論
UTグループは、半導体・自動車などの工場へ技術社員を送る製造派遣の会社だ。在籍は約 3.3 万人、売上は 1,700 億円ほど。稼ぎは薄く、営業利益率は 6% 台である。筆者の結論は、割高というものだ。薄い利益率の事業に、今の値段は先の成長を織り込みすぎている。
売上は全部が、工場のライン作業という体が要る仕事だ。AI エージェントは現場に立てないので、事務の人月型のようには縮まない。そこで旧来の置き方を基本にした。ただし工場の自動化や外国人の直接雇用が進めば、人数は減る。これは AI エージェントとは別の理由だが、悲観の筋書きでは売上が半分前後まで落ちる姿を置いた。
会社は配当性向 100% 以上という手厚い還元を約束している。純現金もある。ところが肝心の人数は、2026 年 3 月期に前の年より 4% 減った。確率で重ねると、本質価値は今の値段を 4 割ほど下回る。AI エージェントを理由にした縮みは、ここでは置かなかった。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、これは「悪くない商売だが、持ち続けたい商売ではない」と見る。借金がなく、利益の大半を株主に戻す。大きな設備は要らず、オーナー利益は純利益に近い。経営も還元に誠実だ。
足りない点も明らかだ。10 年後にこの事業が今より強いかと問われると、確信は持てない。顧客に価格を決められ、人数が減ると利益が振れ、先には自動化が待つ。営業利益率が 6% 台の事業は、少しの誤算で利益が半分になる。AI エージェントの影響は、事務の部分に限られると見て、旧来の置き方を基本にした。
安全域は、今の値段にはない。純利益の 20 倍を払って、年 3% の名目成長しか見込めない事業を持つのは割に合わない。株式付与の費用など、純利益の質にも注意が要る。経営が還元に誠実な点は評価するが、それは事業の強さとは別の話だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は単純だ。技術社員を顧客の工場へ送り、働いた時間に応じて料金を受け取る。社員数、稼働時間、1 人当たりの料金が売上を決める。
特徴は、社員を無期雇用の正社員として採ることだ。社会保険に 100% 入れ、教育と定着の支援を付ける。その代わり、仕事が途切れても給与は払う。料金から賃金を引いた差が粗利になり、2026 年 3 月期の売上総利益率は 19.2% だった。
会社の区分は 4 つ。エージェントが 626 億円で最大、モーター・エナジーが 520 億円、セミコンダクターが 376 億円、ネクストキャリアが 147 億円である。セミコンダクターは半導体の工場向けで、国内の半導体投資を追い風にしている。区分ごとの利益は開示が薄く、ここでは全体を 1 つの派遣事業として積み上げた。
新しい動きが 2 つある。1 つは人材紹介への参入だ。派遣先の顧客に社員を正社員として紹介する。もう 1 つは「貯まるワーク」で、働いた時間に応じて社員に会社の株を渡す。働き手を囲い込み、募集費を減らす狙いがある。2026 年 9 月には日系ブラジル人を中心とする製造派遣のトゥエンティファーストの株式 75% を取得した。
優良さと弱いところ
筆者は、堀(他社がまねできない強み)は普通かやや薄いと見る。理由は 3 つある。
1 つ目は、顧客が価格を決めることだ。派遣料金は顧客との交渉で決まり、賃金が上がれば料金も上げざるをえない。営業利益率は過去 10 年で 4〜8% の幅に収まり、突き抜けたことがない。
2 つ目は、規模と育成の力だ。半導体の工場向けは業界でも上位の規模と言われ、全国 5 拠点で人を育てる。顧客にとって、必要な人数を短い期間で出せる会社は貴重だ。ただし、日総工産やアウトソーシングなど同じことをする会社が多く、切り替えの壁は低い。
3 つ目は、資本の効率だ。自己資本が小さく、ROE は 28% と高い。しかしこれは自己資本を厚く積まず、利益をほぼ全額配当や自社株買いに回しているためで、稼ぐ力そのものが強いことを意味しない。
弱い点は人数だ。2026 年 3 月期は在籍が 1,367 人減った。単価の上昇と稼働の増加で売上は保ったが、人数が減る事業は固定費の重みで利益が振れる。良い点は、借金がなく、利払いの負担がほとんどないことだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
製造派遣は、人口が減る日本で人手不足が最も早く表れる分野だ。働く人は求人を比べて仕事を選べるようになり、工場は採用単価の上昇と早期の離職に悩む。2026 年 5 月の記事でも、会社は採用競争だけでは限界だと述べている。
需要の柱は半導体だ。国内では 2023〜2030 年に 10 兆円規模の投資が目標とされ、工場の建設が続く。会社はテスト工程の一括受託のような、人を送るだけでない仕事を伸ばそうとしている。自動車向けは電動化の波で振れやすい。
競合は、日総工産、アウトソーシング、ワールドインテック、フジアルテなど。同じ領域の人材会社では、技術者派遣のメイテックグループやオープンアップグループが高い利益率を保つ一方、製造派遣は利益率が低い。技術者は顧客が価値を認めて料金を上げるが、製造ラインの作業員は料金が賃金に連れて動くだけで、儲けが厚くなりにくい。
10 年の分かれ目は、人手不足が派遣料金を押し上げるか、自動化と外国人の直接雇用が派遣の出番を減らすかだ。人手不足は需要を作るが、同時にロボットを入れる理由にもなる。生成 AI より、工場の自動化の影響のほうが大きいと筆者は見ている。
AI エージェントとの関係では、製造派遣は現場の体が要る型で、旧来の置き方を基本にした。影響が出るのは採用や管理の事務の部分に限られる。むしろ工場の自動化と外国人の直接雇用が、人数を減らす力として大きい。
資本政策と M&A
還元は手厚く、この会社の最大の魅力だ。2029 年 3 月期までの中計期間は、配当性向 100% 以上と 1 株配当の下限を約束している。2026 年 3 月期は増配した。2027 年 3 月期は利益の減る見通しに合わせて、配当も下げる計画だ。
ただし、100% の還元は利益が伸びなければ配当も伸びないことを意味する。会社は 2029 年 3 月期に純利益 91 億円を目標にしているが、今は 71 億円だ。
株式報酬も効いてくる。「貯まるワーク」で社員に渡す株は中計期間で最大約 100 億円。社員の定着には良いが、利益を圧迫する。2026 年 3 月期は費用が予想より小さく、営業利益が 11 億円上振れしたが、2027 年 3 月期は 10 億円以上増える。
M&A は小さな買収と売却を重ねてきた。2024 年にビーネックスパートナーズを取得し、ベトナムの子会社は 2025 年に売却した。2026 年 9 月にはトゥエンティファーストを 75% 取得した。大型の買収で価値を壊した形跡は見えないが、のれんが増える点には注意したい。TOB で買われる可能性は、機械的な見積りで 10 年に 2 割弱とされる。
10 年の還元は、中計の配当性向 100% 以上の約束を下回る、純利益の合計の 9 割弱。取得ずみの自社株買いは除いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
半導体は国策として投資が続く。半導体の工場建設は 2030 年まで続き、テスト工程などで人が足りない。派遣の需要は中計の期間を超えて伸びる。会社は育成拠点を持ち、必要な人数を短期間で出せる。人手不足で顧客も派遣料金の引き上げを受け入れ、2026 年 3 月期は人数が 4% 減っても単価と稼働で売上を保ち、営業利益は過去最高になった。
派遣から正社員への転籍(Next UT)と人材紹介は、薄い派遣の利益に紹介の厚い利益を足す。紹介だけで売上総利益 30〜60 億円の目標がある。「貯まるワーク」で働き手を会員にして株を渡せば、定着が上がり、募集費も減る。採用に苦しむ他社との差になり、人数の減少を止める切り札にもなる。
還元は配当性向 100% 以上で、1 株配当の下限つき。純現金 197 億円と借金のなさは、不況でも配当を支える。中計の 2029 年 3 月期の目標(営業利益 150 億円、在籍 3.8 万人)が当たれば、利益は今の 1.4 倍になる。
半導体の国内投資は続き、工場の仕事は体が要るため、エージェントには置き換えられない。人材紹介への参入が当たれば、利益率の薄さも改善する。
慎重な見方
人数が減っている。2026 年 3 月期は 1,367 人減り、会社自身が 2026 年 5 月に派遣の成長を最低限に抑える計画へ見直した。目標の在籍 3.8 万人は遠い。
営業利益率は 6% 台で、過去 10 年の山でも 8%。顧客が価格を決め、賃金の上昇が料金に転嫁しきれない。2022 年 3 月期は 4.0% に落ちた。2027 年 3 月期の会社予想も営業利益は 100 億円と減る。
人材紹介は売り手市場で顧客が人を欲しがる局面では逆風で、顧客に派遣社員を正社員として引き抜かれる Next UT は、在籍を減らす。株式付与の費用は中計期間で最大約 100 億円と、利益の 1 割を食う。
工場の自動化と外国人の直接雇用は、10 年で派遣の出番を削る。今の PER は 20 倍で、年 3% の成長しか期待できない事業に払う値段ではない。配当が厚いのは、成長に投じる先が乏しいことの裏返しでもある。人件費率が高い事業は、売上が伸びても利益が残りにくい。
AI エージェントの影響は限られるが、ロボットと自動化は現場の人数を直接減らす。外国人の直接雇用も進めば、薄い利益は一気に崩れる。
どちらに重みを置いたか
半導体の追い風と手厚い還元では強気の見方が上だが、利益率の薄さと自動化の懸念では慎重な見方が上だ。現場の体が要る型なので AI エージェントの影響は事務の部分に限り、旧来の置き方を基本にした。やや悲観と悲観を合わせて 36% とし、悲観は売上が半分前後まで落ちる筋書きとした。悲観の売上を半分前後としたのは、自動化が一気に進む筋書きの幅を見たためだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 226 円1,282 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 116 円660 億円)。 今の値に割り戻すと 187 円1,062 億円、今との差 −24.9%、 期待の年率 +3.2%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 438 円2,486 億円 | 180 円1,022 億円 | +148.2% | +9.5% | 43 円246 億円 |
| やや楽観 | 19% | 336 円1,907 億円 | 151 円859 億円 | +95.7% | +6.9% | 93 円525 億円 |
| 中立 | 38% | 263 円1,495 億円 | 131 円741 億円 | +58.2% | +4.7% | 150 円850 億円 |
| やや悲観 | 24% | 120 円680 億円 | 84 円479 億円 | −18.0% | −2.0% | 49 円278 億円 |
| 悲観 | 12% | 21 円118 億円 | 42 円241 億円 | −74.6% | −12.8% | 8 円43 億円 |
| 加重平均 | 100% | 226 円1,282 億円 | 116 円660 億円 | +37.4% | +3.2% | 342 円1,942 億円 |
今の株価時価総額 249 円1,413 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 半導体の追い風で人数が増える 利益 155 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 438 円2,486 億円
半導体の国内投資が続き、在籍の人数は今の 1.18 倍に増える。単価は物価に連れて 1.4 倍まで上がり、人材紹介への参入も当たる。営業利益率は 8% 台に上がる。AI を売り物にした開示は無く、新しい上乗せは見ない。10 年後の売上は 2,767 億円(今の 1.66 倍)、純利益は 155 億円。配当性向 100% の約束が続く。配当性向 100% の約束は守られる。 内訳は製造・技術社員の派遣・請負(売上 2,767 億円・数量 1.18 倍・価格 1.40 倍)。 営業利益は 235 億円(利益率 8.5%)、10 年の還元は計 1,022 億円、時価総額は 2,486 億円になる。
- 製造・技術社員の派遣・請負(全区分の合計):数量 3.9(国内技術社員の在籍数(万人))× 価格 710(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 2,767 億円・営業利益 235 億円。現場の体の型。数量 1.18 倍・価格 1.40 倍・利益率 8.5%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 155 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 42.7% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 25.2%、10 年より先の名目の伸び g 2.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍。全体の PER 16.01 倍、時価総額 2,486 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:半導体の追い風と人材紹介が当たる筋書き。AI を売り物にした開示は無く、新しい上乗せは見ない。7%。
やや楽観 19% 人数は横ばいで単価が物価に連れる 利益 121 億円 · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 336 円1,907 億円
半導体向けが増え、人数は今の 1.09 倍に増える。単価は 1.4 倍近くに上がるが、採用の費用も上がり、利益率は 7% 台にとどまる。10 年後の売上は 2,481 億円(今の 1.49 倍)、純利益は 121 億円。自己資本は積み上がらず、配当は利益に連れて増える。採用の費用が上がり、利益率の改善は限られる。 内訳は製造・技術社員の派遣・請負(売上 2,481 億円・数量 1.09 倍・価格 1.36 倍)。 営業利益は 184 億円(利益率 7.4%)、10 年の還元は計 859 億円、時価総額は 1,906 億円になる。
- 製造・技術社員の派遣・請負(全区分の合計):数量 3.6(国内技術社員の在籍数(万人))× 価格 689(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 2,481 億円・営業利益 184 億円。現場の体の型。数量 1.09 倍・価格 1.36 倍・利益率 7.4%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 121 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 34.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 20.9%、10 年より先の名目の伸び g 2.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.7 倍。全体の PER 15.73 倍、時価総額 1,906 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:半導体向けが増え、人数が緩やかに伸びる筋書き。19%。
中立 38% 人数は横ばい、純利益は 3 割増 利益 96 億円 · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 263 円1,495 億円
人数は今と同じ水準、価格は物価並みの 1.34 倍。営業利益率は今の 6% 台のまま。AI エージェントは現場に立てないので、影響は事務の部分に限られる。10 年後の売上は 2,241 億円(今の 1.34 倍)、純利益は 96 億円。売上の伸びがそのまま利益の伸びに近づく。顧客に価格を決められる構図は変わらない。 内訳は製造・技術社員の派遣・請負(売上 2,241 億円・数量 1.00 倍・価格 1.34 倍)。 営業利益は 146 億円(利益率 6.5%)、10 年の還元は計 741 億円、時価総額は 1,487 億円になる。
- 製造・技術社員の派遣・請負(全区分の合計):数量 3.3(国内技術社員の在籍数(万人))× 価格 679(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 2,241 億円・営業利益 146 億円。現場の体の型。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・利益率 6.5%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 96 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 28.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 18.0%、10 年より先の名目の伸び g 2.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.46 倍、時価総額 1,487 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人数が横ばいで単価が物価並みに上がる筋書きを中立とし 38%。現場の体が要る型なので旧来の置き方を基本にした。
やや悲観 24% 自動化と外国人雇用で人数が減る 利益 46 億円 · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 120 円680 億円
工場の自動化と外国人の直接雇用が進み、人数は今の 0.75 倍に減る。価格は 1.3 倍にとどまり、固定費の重さで利益率は 4% 台に落ちる。10 年後の売上は 1,599 億円(今の 0.96 倍)、純利益は 46 億円。配当性向の約束は守れなくなる。採用した人員の受け皿が足りず、整理の費用も出る。 内訳は製造・技術社員の派遣・請負(売上 1,599 億円・数量 0.75 倍・価格 1.28 倍)。 営業利益は 69 億円(利益率 4.3%)、10 年の還元は計 479 億円、時価総額は 616 億円になる。
- 製造・技術社員の派遣・請負(全区分の合計):数量 2.5(国内技術社員の在籍数(万人))× 価格 649(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 1,599 億円・営業利益 69 億円。現場の体の型。数量 0.75 倍・価格 1.28 倍・利益率 4.3%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 12.8%・k 7.75%・RONIC 10.9%(残る割合 0.50)、名目 g +2.0%(製造・技術の現場の体が要る型(事務部分は小さい))で 13.5 倍
確率:自動化と外国人の直接雇用で人数が減る筋書き。24%。
悲観 12% 工場の自動化で売上が半分前後に 利益 9 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 21 円118 億円
工場の自動化が一気に進み、人数は今の半分に減る。価格は 1.0 倍。売上は 10 年で半分前後の 834 億円、純利益は 9 億円まで細る。値は稼ぐ力でなく、純現金と売れる資産の床で測る。AI エージェントよりも、ロボットと自動化の影響が大きい筋書きだ。外国人の直接雇用も重なり、派遣という売り方が細る。 内訳は製造・技術社員の派遣・請負(売上 834 億円・数量 0.50 倍・価格 1.00 倍)。 営業利益は 13 億円(利益率 1.6%)、10 年の還元は計 241 億円、時価総額は 118 億円になる。
- 製造・技術社員の派遣・請負(全区分の合計):数量 1.6(国内技術社員の在籍数(万人))× 価格 507(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 834 億円・営業利益 13 億円。現場の体の型。数量 0.50 倍・価格 1.00 倍・利益率 1.6%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:悲観の床は稼ぐ力でなく、純現金と売れる資産の税後(floor_assets_oku 118 億円)を今の自己資本 252 億円で割った 0.47 倍。
確率:自動化が進み、売上が半分前後まで落ちる筋書き。12%、やや悲観と合わせて 36%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
製造・技術社員の派遣・請負(全区分の合計)
半導体・自動車などの工場へ無期雇用の技術社員を送り、働いた時間に応じて料金を受け取る。全体を 1 つの事業として積む。
| 数量国内技術社員の在籍数(万人) | 価格1 人当たり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.3 | 507 | 1,669 | 106 |
| 10 年後 中立 | 3.3 | 679 | 2,241 | 146 |
取り方:売上 1,668 億円を、2026 年 3 月期末の国内技術社員 32,922 人で割った(人材紹介などの小さな売上を含む)。営業利益 106 億円は全体の値。区分(エージェント・モーター・エナジー・セミコンダクター・ネクストキャリア)ごとの利益は開示が薄く、1 つの事業として置いた。人数は実質の量で、1 人当たり売上は賃金に連れ、中立で 10 年 1.34 倍。【AI エージェント代替】現場の体が要る型(売上の全部)。旧来の置き方を基本にした。区分ごとの開示が無く、事務の部分は小さいと見て分けていない。
リスクと懸念
AI エージェント代替は事務部分に限られる
売上の全部は工場のライン作業に人を送る仕事で、体が要る。AI エージェントは現場に立てないので、人月型のようには縮まないと見て旧来の置き方を基本にした。影響が出るのは採用や管理の事務の部分に限られる。AI を売り物にして金額が出た開示は無く、楽観でも新しい上乗せは見込まない。懸念は AI より、工場の自動化と外国人の直接雇用だ。
在籍人数の減少
2026 年 3 月期の国内技術社員は前年より 1,367 人減った。会社は 2029 年 3 月期に 3.8 万人を目標にするが、売り手市場で採用が難しく、5 月には派遣の成長を最低限に抑える計画へ見直した。人数が戻らなければ、利益の伸びは物価分だけになる。
薄い利益率と固定費
営業利益率は 6% 台で、2022 年 3 月期は 4.0% に落ちた。派遣料金から賃金を引いた差が薄く、本社費や募集費は人数が減っても残る。人数の少しの減少が利益を大きく削る構造である。
株式付与の費用と一過性
「貯まるワーク」で社員に渡す株は中計期間で最大約 100 億円。2026 年 3 月期は費用が予想より約 5 億円小さく、営業利益が上振れた。2027 年 3 月期は 10 億円以上増えるため、利益が減る。
工場の自動化と外国人の直接雇用
人手不足は需要を作る一方、ロボット導入や外国人材の直接雇用を促す。製造ラインの作業は置き換えやすく、半導体の後工程でも自動化が進む。派遣会社を通す理由が薄れれば、数量と料金の両方が圧迫される。
顧客に正社員として引き抜かれる
Next UT は派遣から正社員への転籍を促す。顧客に人を紹介する収益にはなるが、育てた社員が顧客に移れば、派遣の在籍は減る。毎年在籍の 10% を紹介する目標は、数量とぶつかる。
景気と顧客の産業の振れ
半導体と自動車に偏る。2009〜2010 年は純損失を出した。半導体の設備投資が止まる、自動車の生産が落ちる局面では、稼働と単価が同時に落ちる。
今後の分かれ目
- 顧客の工場で AI とロボットによる自動化が進み、派遣の人数を減らす動きが複数の大手で出る
- 人数が中立を下回る。やや悲観に近づく。
- 国内技術社員の在籍が前年を上回って増える
- 中計の 3.8 万人に近づき、やや楽観の筋書きに寄る。募集費の下がり具合も合わせて確かめたい。
- 人材紹介の売上総利益が 30 億円を超える
- 薄い派遣の利益に厚い紹介の利益が乗り、営業利益率が 7% 台に上がる。楽観に近づく。
- 在籍がさらに減り、営業利益が 100 億円を割る
- 固定費の重さが出て、やや悲観の筋書きに寄る。
- 顧客が派遣から自社採用や自動化へ切り替える動きが広がる
- 数量と料金が下がり、悲観の筋書きに近づく。配当の下限も危うくなる。
- 配当性向 100% の約束が中計の終わりに変わる
- 還元が縮み、割安・割高の判断で配当の厚みを割り引く必要が出る。
見ておくもの
- 国内技術社員の在籍数と稼働時間
- 1 人当たりの売上総利益と売上総利益率
- 人材紹介の売上総利益(目標 30〜60 億円)
- 株式付与の費用と募集費
- 配当性向 100% の約束と配当の下限の継続
倍率と資本コストの決め方
今の株価や過去・同業の倍率は見ずに、型ごとの数量・価格・利益率から 10 年後の利益を積み、倍率は式(正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g))で置いた。k は 7.5% に quality +1.50% を足した 9.00%、名目 g は人月・席の型で 0% 以下(製造・技術の現場の体が要る型(事務部分は小さい))。自己資本は今の値に期間の純利益を足して還元を引いて流した。悲観の床は純現金の 6 割で、売れる資産の売却益は足していない。リースの会計は新基準で 2028/03 期から BS に載るが、10 年後の数字は今と同じ形にそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.18→16.01 倍・やや楽観 PER 12.96→15.73 倍・中立 PER 12.73→15.46 倍・やや悲観 PER 11.66→13.5 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality 1.5% を足した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.00%。