株譜
AI 銘柄分析 · 繊維製品 · 試作

ダイニック 3551

製本クロス・壁装材・フィルム加工の老舗。利益は回復したが資本効率は低く、純負債も重い。10年後の価値は今の時価総額を下回り割高の側

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,420 円114 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,622 円130 億円差 −12.4%
10 年後から見ると やや割高 価値 1,420 円114 億円 · 差 −12.4% · 期待の年率 +5.8%
期待の年率リターン(10 年)+5.8%資本コスト比 −2.2 pt
推定の資本コスト8.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

ダイニックは、布や紙にコーティングや加工をして、製本の表紙、壁紙、熱転写リボンなどを作る素材加工の会社だ。2026年3月期の売上は約442億円、営業利益は約23億円で、過去10年で最も高い水準になった。ただし最終利益の約25億円は、中国子会社の売却益に支えられている。\n筆者の結論は、今の値段は割高の側だ。理由は資本効率の低さにある。過去10年のROEの中央値は4%台で、資本コストに届かない。純有利子負債は約137億円と時価総額と同規模で、金利が上がるほど利払いが重くなる。自己資本は厚く、帳簿上は純資産の半分以下の値段だが、稼げない資産は割安の根拠にならない。\n中立では、熱転写リボンなどの印刷情報分野が稼ぎ続け、営業利益は29億円ほどまで増える。ただ、利払いと税を引くと純利益は18億円前後。この水準では、10年後の価値は今の時価総額に届かない。

筆者は、事業の整理が進んだ点は評価するが、資本効率の改善が確認できるまでは慎重に見る。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、この会社は「安く見えるが、資本効率が低い」ことが最大の問題だ。純資産の半分以下の値段は魅力に映るが、ROEが資本コストを下回る会社では、ためた利益は帳簿どおりの価値を持たない。\nオーナー利益(設備投資を引いたあとの株主の取り分)は、営業利益の半分に届かない。素材加工は設備の更新が重く、減価償却を上回る投資が続く。物価が上がれば更新費も膨らみ、現金は思ったほど残らない。\n良い点は、不採算事業を整理して利益が回復し、自社株買いも始めたことだ。経営の資本配分が、ようやく資本効率を意識し始めた。ただ、10年で資本コストを超えるROEに届くかは見えていない。筆者は、その確認が取れるまで、慎重に見る。

経営が不採算事業を整理した点は評価でき、あとは資本効率の改善が焦点になる。

何で稼ぐ会社か

事業は三つのセグメントに分かれる。最大は印刷情報で、売上の過半を占める。熱転写リボン(バーコードなどを印字する消耗品)、フィルムコーティング、製本に使うクロスなどが中心だ。次が住生活環境で、壁紙(壁装材)や建材用の素材。三つ目が包材で、包装や産業向けのフィルム加工品である。\n稼ぎの源は印刷情報だ。2025年3月期の実績では、印刷情報が売上222億円で営業利益が23億円、住生活環境は売上122億円で営業利益が3億円、包材は売上77億円で営業利益が4億円だった。利益の大半を印刷情報が生み、住生活環境は薄利にとどまる。\n前の中期経営計画(2024年3月期から2026年3月期)では、芯地(衣料の裏地)事業から完全に撤退し、銀行通帳事業も縮小した。壁装材は市況の悪化で低迷した一方、熱転写リボンとフィルムコーティングの環境対応製品が伸びた。新しい中期経営計画「SOLID FOUNDATION 2029」では、成長分野への投資と、老朽化した設備の更新を進める方針だ。

国内が中心で、為替の影響は小さい。顧客の数が多く、1社への依存度も低い。

優良さと弱いところ

強みは、顧客ごとに仕様を作り込む加工の技術と、長い取引の関係だ。熱転写リボンは、ラベル用途の印字で品質が揃わないと現場が止まるため、替えにくい。フィルムコーティングも、環境対応の素材で需要が増えている。製本クロスは、出版の電子化で需要が縮むが、国内で数少ない供給元として残る強みはある。\n数字の面では、営業利益率が2015年3月期の1%台から、2026年3月期には5%台まで上がった。赤字の期はこの10年でない。自己資本比率は48%で改善している。\n弱みは資本効率だ。ROEの中央値は4%台、営業利益率は5%前後にとどまり、素材加工として高いとは言えない。住生活環境は薄利で、壁装材は市況に左右される。純有利子負債は約137億円と重い。2026年3月期の最終利益には中国子会社の売却益が含まれており、実力は営業利益の方を見るべきだ。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

ダイニックの市場は、印刷・包装・建材・自動車の周辺に広がる。熱転写リボンは、物流のラベルや小売の値札など、バーコードの需要に支えられ、ECの拡大で底堅い。ただ、競合のメーカーも多く、価格を上げにくい。\n壁装材は、国内の新築住宅の着工が人口減で細り、リフォームが下支えする構造だ。製本クロスは、出版の縮小で需要が長期的に減る。いずれも数量の増加は見込みにくく、価格を物価並みに上げられるかが利益を左右する。\nフィルム加工では、環境対応の素材や、機能性フィルムの需要が伸びる。競合は、凸版印刷や大日本印刷などの大手から、中堅の加工メーカーまで多い。中国など海外の安価品も入り込む。原材料の石油化学製品や、電気代・人件費の上昇が、利益率を圧迫する要因だ。

競争の軸は、環境対応の素材と、納期や品質の安定に移っている。脱プラスチックの流れの中で、植物由来や再生可能な素材への切り替えが進み、対応できる企業が選ばれる。一方で、研究開発費の負担は重く、小さな会社には厳しい。国内の人口減少は長期の逆風だが、製品の高付加価値化で補う道はある。

資本政策と M&A

財務は、純有利子負債が約137億円と重い。自己資本比率は48%まで改善したが、金利が上がれば利払いが増える。2026年3月期は中国子会社の売却で約16億円の特別利益が出たが、これは一過性だ。\n株主還元は、配当が中心で、2027年3月期の予想も年間配当は据え置きの見込み。配当性向は2割前後と低い。2026年5月には、上限45万株、約3.8億円の自社株買いを決議した。取得期間は2027年3月末までと、規模は小さい。\n設備の更新が最大の資金需要になる。老朽化した設備を高効率のものに入れ替えるため、今後数年は投資が先行する。親会社はなく、大株主には福井英治氏が6%台で名を連ねる。M&Aは大型のものは想定しにくく、事業の選択と撤退が中心になる。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

不採算の芯地事業から撤退し、通帳事業も縮小した。体質が改善して、営業利益は前の中計の目標を上回った。熱転写リボンとフィルムコーティングという稼ぎ頭の事業は、ECと環境対応で伸びる。\n新しい中期経営計画では、設備更新と成長投資を進め、利益率を6%台に高める方針だ。2027年3月期の営業利益は27億円を見込み、さらに伸びる見通し。自社株買いも始めた。\n帳簿では純資産の半分以下の値段で、土地や設備の資産価値を考えれば、下値は堅い。10年で利益率が6%に乗れば、純利益は25億円規模になり、今の時価総額を大きく上回る。

環境対応の素材は付加価値が高く、価格を上げやすい。ここに投資を集中できれば、利益率はさらに上がる。熱転写リボンの消耗品としての性格は、景気が悪くても安定した収益をもたらす。ECの物流量は増え続け、ラベル用途の需要も長く続く。借金の金利が上がっても、利益の伸びで吸収できる余地がある。

慎重な見方

ROEは過去10年の中央値で4%台、資本コストを大きく下回る。営業利益率は5%で、素材加工として高くない。住生活環境は薄利で、壁装材は市況の波を受ける。製本クロスは出版の縮小で需要が細る。\n純有利子負債は約137億円。金利が上がれば利払いが増え、利益が削られる。設備の更新投資も重く、物価上昇で投資額は膨らむ。2026年3月期の最終利益は、中国子会社の売却益によるもので、実力ではない。\n新しい中期計画の目標も、前の計画で売上が未達だったように、達成できる保証はない。帳簿の資産は、稼げなければ価値が減る。

国内の人口減少と、出版・住宅の縮小は、数量の面で長期の逆風だ。値上げで補えても、設備の更新費が追い打ちをかける。しかも、新しい中期計画の実行には設備の更新が欠かせず、その資金は借金か内部留保で賄うしかない。借金が増えれば利払いが重くなり、内部留保を使えば株主還元が細る。どちらを選んでも、株主の取り分は増えにくい。

どちらに重みを置いたか

熱転写リボンなどの回復と事業の整理は評価できるが、ROEの低さと借金の重さは構造的な問題だ。慎重な見方が強いとみて、確率は中立から悲観側に寄せた。悲観は、素材の競争激化と市況の悪化が重なる負けとして1割強に置いた。

一方で、事業の整理が進んだ点は評価し、完全な悲観には寄せていない。確率の寄せ方は慎重にした。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 2,405 円193 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 450 円36 億円)。 今の値に割り戻すと 1,420 円114 億円、今との差 −12.4%、 期待の年率 +5.8%(資本コスト 8.0%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 4,528 円363 億円 874 円70 億円 +233.1% +12.8% 432 円35 億円
やや楽観 20% 3,435 円275 億円 625 円50 億円 +150.3% +9.6% 812 円65 億円
中立 35% 2,794 円224 億円 500 円40 億円 +103.1% +7.3% 1,153 円92 億円
やや悲観 25% 1,205 円96 億円 275 円22 億円 −8.8% −0.9% 370 円30 億円
悲観 12% 635 円51 億円 100 円8 億円 −54.7% −7.6% 88 円7 億円
加重平均100% 2,405 円193 億円450 円36 億円 +76.0% +5.8% 2,855 円229 億円

今の株価時価総額 1,622 円130 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。

楽観 8% 設備更新と環境対応が奏功し、利益率が6%台に 利益 29 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 4,528 円363 億円

熱転写リボンと環境対応フィルムが伸び、印刷情報の営業利益率は11%に上がる。壁装材は撤退や統合で赤字を避け、薄利ながら黒字を維持する。包材は新製品で利益率が6%。営業利益は47億円、純利益は29億円ほど。設備更新を終えて投資が一巡し、配当と自社株買いが増える。この筋書きでは、素材加工としては高い水準の利益率が定着し、資本コストを上回るROEに届く。経営は借金の返済を優先しつつ、株主還元にも余力を回す。10年後には、財務の重い会社から、安定して稼ぐ中堅の素材メーカーへ姿を変える。競合が価格を下げても、品質で差別化できる。

  • 印刷情報(熱転写リボン・フィルムコーティング・製本クロスなど):数量 46.4(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 798(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 370 億円・営業利益 41 億円。数量は今の 1.10 倍、価格は 1.45 倍、営業利益率 11.0%
  • 住生活環境(壁装材・建材用素材):数量 27.0(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 630(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 170 億円・営業利益 7 億円。数量は今の 0.95 倍、価格は 1.40 倍、営業利益率 4.0%
  • 包材(包装・産業向けフィルム加工品):数量 16.4(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 840(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 138 億円・営業利益 8 億円。数量は今の 1.20 倍、価格は 1.40 倍、営業利益率 6.0%

倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 362 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:利益率の改善と借金の圧縮が同時に進む前提でハードルが高く、1割未満とした。

やや楽観 20% 印刷情報が堅調で、利益率は5%台後半 利益 22 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,435 円275 億円

印刷情報の数量は5%増え、価格は物価を上回って上がり、営業利益率は10%に乗る。住生活環境は数量が1割減るが、薄い黒字を保つ。包材は新製品が伸びて利益率が5%。営業利益は36億円、純利益は22億円ほど。配当は純利益の3割に高まり、借金は緩やかに減る。壁装材の撤退や統合を進めて損益のばらつきを抑え、印刷情報への集中が進む。借金の返済も続き、金利が上がっても利払いは吸収できる範囲にとどまる。ただ、資本効率はなお資本コストに届かない。国内の景気は緩やかに回復し、設備更新の資金にも余裕が出てくる。原材料の値上がりも価格に転嫁できる範囲に収まり、利益率の振れは小さい。

  • 印刷情報(熱転写リボン・フィルムコーティング・製本クロスなど):数量 44.3(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 759(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 336 億円・営業利益 34 億円。数量は今の 1.05 倍、価格は 1.38 倍、営業利益率 10.0%
  • 住生活環境(壁装材・建材用素材):数量 25.6(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 612(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 157 億円・営業利益 5 億円。数量は今の 0.90 倍、価格は 1.36 倍、営業利益率 3.0%
  • 包材(包装・産業向けフィルム加工品):数量 15.0(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 816(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 123 億円・営業利益 6 億円。数量は今の 1.10 倍、価格は 1.36 倍、営業利益率 5.0%

倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.1% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 275 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:ECと環境対応の追い風が続く筋書きで、中立より一段上が現実的な範囲に入る。

中立 35% 中立:印刷情報が稼ぎ、全体の営業利益率は5% 利益 18 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,794 円224 億円

印刷情報は数量が横ばいで、価格は物価並みに上がり、営業利益率は9%台を保つ。壁装材は新築の減少で数量が1割強減り、営業利益率は2〜3%にとどまる。包材は数量が5%増え、4〜5%の利益率。全社の営業利益は29億円ほど、営業利益率は5%で、過去の山を超えない。借り換えで利払いが増え、純利益は18億円。配当と自社株買いで10年に40億円を返す。減価償却は今の設備分は増えないが、更新投資は建築費の上昇で膨らむ。借金は少しずつ減るが、設備更新の投資が重く、返済のペースは遅い。経営は大きな買収に動かず、事業の選択と効率化を続ける。ROEは4%台にとどまり、資本コストには届かない。

  • 印刷情報(熱転写リボン・フィルムコーティング・製本クロスなど):数量 42.2(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 737(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 311 億円・営業利益 29 億円。数量は今の 1.00 倍、価格は 1.34 倍、営業利益率 9.2%
  • 住生活環境(壁装材・建材用素材):数量 25.0(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 603(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 151 億円・営業利益 4 億円。数量は今の 0.88 倍、価格は 1.34 倍、営業利益率 2.5%
  • 包材(包装・産業向けフィルム加工品):数量 14.4(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 804(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 115 億円・営業利益 5 億円。数量は今の 1.05 倍、価格は 1.34 倍、営業利益率 4.5%

倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 224 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:印刷情報の安定と、住生活環境の低迷が並ぶ形が最も起こりやすいとみて、中間を置いた。

やや悲観 25% 原材料高と住宅不振で利益率が3%台に 利益 5 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,205 円96 億円

壁装材の数量が2割減り、価格競争で赤字になる。印刷情報も価格転嫁が遅れ、営業利益率は6%どまり。営業利益は10億円まで落ち、利払いを引くと純利益は5億円。配当は維持するのが精一杯で、設備更新を絞るため、競争力が少しずつ落ちる。稼ぐ力は低く、資産の価値で値が付く。工場や土地の売却が選択肢になる。取引先の与信にも気を配る必要が出て、運転資金の負担が増す。新しい成長投資は後回しになり、事業の入れ替えも遅れる。経営は固定費の削減に動くが、人員の整理や工場の統合には時間がかかる。利益の回復は遅れる。景気が戻らない限り、この状態が数年続く。

  • 印刷情報(熱転写リボン・フィルムコーティング・製本クロスなど):数量 38.0(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 688(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 261 億円・営業利益 16 億円。数量は今の 0.90 倍、価格は 1.25 倍、営業利益率 6.0%
  • 住生活環境(壁装材・建材用素材):数量 22.8(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 563(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 128 億円・営業利益 0 億円。数量は今の 0.80 倍、価格は 1.25 倍、営業利益率 0.0%
  • 包材(包装・産業向けフィルム加工品):数量 13.0(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 750(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 97 億円・営業利益 3 億円。数量は今の 0.95 倍、価格は 1.25 倍、営業利益率 3.0%

倍率:稼ぐ力が資本コストを大きく下回るので、帳簿でなく売れる資産の価値で値を付ける。今の自己資本299億円に0.25倍を掛けた。純有利子負債を足したEV÷営業利益は21倍で、借金の重さから利益の倍率だけでは測れないことも確認した。

確率:原料高・住宅の不振・金利負担が重なる可能性は、2割強に置いた。

悲観 12% 構造的に負け、素材競争と住宅不振で赤字に 利益 −10 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 635 円51 億円

壁装材と製本クロスの需要が細り、撤退を余儀なくされる。印刷情報も価格競争に巻き込まれ、営業利益率は3%に落ちる。営業赤字が続き、利払いも重く、純利益は−10億円。配当は大きく絞られる。工場や土地の売却で借金を返し、事業は縮小する。他社の傘下に入る可能性も高まる。設備更新を先送りした工場は競争力を失い、顧客が他社へ移る悪循環に入る。銀行との交渉で返済条件が厳しくなり、再編や身売りの対象になる可能性も高まる。株主にとっては、配当も株価も回復が見えない長い低迷期になる。会社は縮小均衡に入る。再編が起きれば、事業ごとに他社へ売却される形もありうる。

  • 印刷情報(熱転写リボン・フィルムコーティング・製本クロスなど):数量 31.6(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 633(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 200 億円・営業利益 6 億円。数量は今の 0.75 倍、価格は 1.15 倍、営業利益率 3.0%
  • 住生活環境(壁装材・建材用素材):数量 17.1(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 495(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 85 億円・営業利益 −3 億円。数量は今の 0.60 倍、価格は 1.10 倍、営業利益率 -3.0%
  • 包材(包装・産業向けフィルム加工品):数量 10.9(出荷面積(百万平方メートル))× 価格 660(1平方メートルあたりの平均単価(円))→ 売上 72 億円・営業利益 0 億円。数量は今の 0.80 倍、価格は 1.10 倍、営業利益率 0.0%

倍率:今の自己資本299億円に0.17倍を掛けた。稼ぐ力が消えるので、売れる資産の税後の価値で値を付けた。

確率:原料高と海外の安価品で、素材加工の収益力が構造的に失われる負けとして1割強に置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

印刷情報(熱転写リボン・フィルムコーティング・製本クロスなど)

バーコード印字用の熱転写リボン、フィルムコーティング、製本用クロスなど。

数量出荷面積(百万平方メートル)価格1平方メートルあたりの平均単価(円)売上営業利益
今 2026/03 42.2 550 232 23
10 年後 中立 42.2 737 311 29

取り方:2025年3月期の実績(印刷情報222億円・営業利益23億円)と2026年3月期の連結売上442億円から、約232億円と推定。出荷面積は開示がなく、1平方メートル550円と仮置きして逆算した推定値。営業利益は同年のセグメント利益率を参考にした推定配分。

住生活環境(壁装材・建材用素材)

壁紙(壁装材)や建材用の素材の製造・販売。

数量出荷面積(百万平方メートル)価格1平方メートルあたりの平均単価(円)売上営業利益
今 2026/03 28.4 450 128 3
10 年後 中立 25.0 603 151 4

取り方:2025年3月期の実績(住生活環境122億円・営業利益3億円)から、2026年3月期は約128億円と推定。面積は開示がなく、単価450円と仮置きして逆算した推定値。

包材(包装・産業向けフィルム加工品)

包装や産業向けのフィルム加工品の製造・販売。

数量出荷面積(百万平方メートル)価格1平方メートルあたりの平均単価(円)売上営業利益
今 2026/03 13.7 600 82 4
10 年後 中立 14.4 804 115 5

取り方:2025年3月期の実績(包材77億円・営業利益4億円)から、2026年3月期は約82億円と推定。面積は開示がなく、単価600円と仮置きして逆算した推定値。営業利益3.5億円は、全社23億円から本社費6.5億円を引く配分で調整。

リスクと懸念

資本効率の低さ

ROEの中央値は4%台で、資本コストに届かない。利益率が上がらなければ、自己資本が積み上がっても株主価値は増えない。

金利上昇と純負債

純有利子負債は約137億円。借り換えで金利が3.5%前後になれば、利払いが数億円増え、純利益を削る。

設備更新の投資負担

老朽化した設備の更新が今後数年続く。物価上昇で更新費が膨らみ、現金の余裕が薄れる。

壁装材・製本クロスの需要減

新築住宅の着工と出版の縮小で、数量は長期的に細る。リフォームの下支えだけでは補い切れない。

原材料・エネルギー価格の上昇

石油化学の原料や電気代、人件費が上がる。価格転嫁が遅れれば、薄い利益率が一気に落ちる。

一過性の利益に頼った実績

2026年3月期の最終利益は中国子会社の売却益によるもの。営業利益が伸びなければ、利益の質への疑いが残る。

今後の分かれ目

営業利益率が3期続けて6%を超えたら
収益力が構造的に改善した合図。中立の営業利益率を上げ、確率を楽観側に寄せる。
純有利子負債が100億円を下回ったら
財務の改善が進み、借金の上乗せを下げられる。
壁装材の営業赤字が出たら
住生活環境の事業整理が必要になる。撤退が決まれば、利益の起点を見直す。
配当性向が3割を超え、自社株買いが続いたら
資本配分の姿勢が変わった合図。還元の想定を上げてよい。
原材料高で営業利益率が4%を割り込んだら
価格転嫁の力が弱いことになり、やや悲観の確率を上げる。
TOBの提案が出たら
資産価値が評価される上振れ要因。条件の水準を確認する。

見ておくもの

  • セグメント別の営業利益率
  • 純有利子負債と利払い
  • 設備投資額と減価償却の差
  • 配当性向と自社株買いの実績
  • 新築住宅着工と出版市場の動向

倍率と資本コストの決め方

売上はセグメントごとに出荷面積×単価で積み、中立の営業利益率は過去の山の5%台を超えない5%に置いた。倍率はROEがkを大きく下回るためPERは上限1÷kの約7割。今の株価は参照していない。リース会計の変更は賃借が小さく、今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→12.5 倍・やや楽観 PER 8.8→12.5 倍・中立 PER 8→12.5 倍)。

資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に品質+1.5%を足して9.0%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.00%。

同じ業種(繊維製品)の AI 分析

割安 ゴールドウイン8111 稼ぐ力は本物だが、1 つのブランドに乗りすぎている。10 年で見ると今の値段はおおむね妥当だ 本質価値との差 +30.0% · 10 年 割安(年 +9.5%) やや割安 オーベクス3583 帽子の技術から生まれたペン先の名脇役。稼ぐ力は資本コストに届かず、現金は戻りにくい。今の値段はほぼ妥当 本質価値との差 +19.9% · 10 年 やや割安(年 +9.2%) やや割安 セーレン3569 車の内装材で世界首位の堅い会社だが、最高益の続きを前提にした今の値段はやや高い 本質価値との差 +14.5% · 10 年 やや割安(年 +7.9%) やや割安 日本毛織3201 利益の半分は商業施設と不動産が稼ぐ。会社は堅いが、10年の伸びは物価並みで、今の値段に余裕は乏しい 本質価値との差 +13.6% · 10 年 やや割安(年 +7.3%) やや割安 サイボー3123 稼ぎの9割は商業施設の賃料。借金が重く、2027年の契約更新と繊維の赤字が分かれ目 本質価値との差 +11.8% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) 適正 富士紡ホールディングス3104 半導体の研磨パッドで稼ぐ元繊維会社。事業の質は高いが、利益の山を織り込んだ今の値段に余裕はない 本質価値との差 +1.7% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 小松マテーレ3580 染め物の技術は確かで財務も堅いが、稼ぐ力は並み。今の値段は、良い目も悪い目も織り込んだ水準に近い 本質価値との差 +1.1% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 東京ソワール8040 喪服の老舗卸。売場の百貨店が消えていく中で稼ぎは細く、現金と株の厚さほどの値打ちはない 本質価値との差 +0.9% · 10 年 適正(年 +7.4%) 適正 オンワードホールディングス8016 立て直しは本物だが、稼ぐ力はまだ資本コストに届かない。10 年で見ると今の値段はやや先を行く 本質価値との差 −4.0% · 10 年 適正(年 +6.8%) 適正 東レ3402 炭素繊維で世界首位の複合化学大手。事業は強いが、資本の稼ぎが資本コストに届かず、10 年で見ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −4.2% · 10 年 適正(年 +6.2%) 適正 TSIホールディングス3608 多ブランドで利益は上向く。ただ稼ぐ力は資本コストに届かず、10 年で見ると今の値段は先を行く 本質価値との差 −6.3% · 10 年 適正(年 +6.3%) 適正 倉敷紡績3106 本業は化成品と計測機器で稼ぎ始めたが、保有株の含み益を足しても、今の値段は先を行きすぎている 本質価値との差 −8.3% · 10 年 適正(年 +5.6%) 適正 クラウディアホールディングス3607 ドレスを作る会社から式場の運営へ。利益は戻ったが、婚礼の数が細るなか借金と家賃が重く、今の値段はやや高い 本質価値との差 −9.6% · 10 年 適正(年 +7.1%) やや割高 イチカワ3513 製紙機械の消耗品フェルトで国内を二分する堅い会社。ただ国内の紙は縮み、直近の高い利益率は山。10年で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −10.5% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 マツオカコーポレーション3611 ユニクロ・東レ向けの縫製受託で売上は伸びるが、利益は薄く為替頼み。為替が動かない前提では今の値段はやや高い 本質価値との差 −11.4% · 10 年 やや割高(年 +5.9%) やや割高 ルックホールディングス8029 海外ブランドの独占契約で稼ぐ会社で、純資産は厚いが利益率が低く契約の更新に左右され、確率の加重では今の値段を2割台後半下回る 本質価値との差 −11.5% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 帝人3401 繊維商社・アラミド・在宅医療を抱える複合企業。立て直しは緒に就いたが、稼ぐ力が資本コストに届かず、本質価値は今の値段をやや下回る 本質価値との差 −12.2% · 10 年 やや割高(年 +6.3%) やや割高 東海染工3577 縮む国内の染色と、伸びる保育の二本足。帳簿は厚いが稼ぐ力は細く、今の値段は高い 本質価値との差 −13.1% · 10 年 やや割高(年 +5.8%) やや割高 丸八ホールディングス3504 ふとんの訪問販売は縮み、稼ぎの半分は運用収益。親会社が 68% を持つ会社で、株主に戻る額を考えると割高 本質価値との差 −13.2% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 帝国繊維3302 消防ホース国内首位の堅い防災会社だが、今期の好調と眠る資産の戻りを織り込んだ今の値段はやや高い 本質価値との差 −18.2% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) やや割高 シキボウ3109 紡績と織物の老舗がユニチカの衣料事業を取り込んだが、借入は重く、10年の価値は今の時価総額を3割ほど下回る 本質価値との差 −19.8% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 SUMINOE3501 車とカーペットの繊維メーカー。売上は大きいが稼ぐ力が薄く、10年で見れば今の値段は割高と筆者は見る 本質価値との差 −21.9% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) やや割高 自重堂3597 作業服の老舗で、財務は無借金で極めて厚い。ただ売上は10年で縮み、稼ぐ力は資本に見合わない 本質価値との差 −24.3% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 ソトー3571 毛織物の染色加工が赤字を垂れ流す一方、有価証券と賃貸不動産の厚みで支える会社。10年で見ると今の値段は高い 本質価値との差 −27.8% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) 割高 トーア紡コーポレーション3204 毛糸と車の内装材と商業施設の賃料。借金の金利が上がると、稼ぎの多くが利払いに消える 本質価値との差 −34.8% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 グンゼ3002 肌着の老舗は、稼ぎ頭が樹脂と医療へ移る途中にある。今の値段は、再建の成功をほぼ織り込んだ水準だ 本質価値との差 −36.6% · 10 年 割高(年 +1.3%) 割高 日東製網3524 漁網の老舗だが、在庫を抱える借入が売上の 8 割。金利の上昇が稼ぎを食い、価値は今の値段の半分ほど 本質価値との差 −37.3% · 10 年 割高(年 +2.8%) 割高 日本フエルト3512 製紙用フェルトの老舗。本業の稼ぎは薄く、価値の大半は保有株と賃貸ビル。資産の還元は進むが今の値段は高い 本質価値との差 −38.2% · 10 年 割高(年 +1.3%) 割高 ナイガイ8013 老舗の靴下卸は借りたブランドで売上の8割を稼ぎ、本業はほぼ利益を出さない。持ち合い株と現金は厚いが株主には届きにくい 本質価値との差 −39.3% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 フジックス3600 京都の老舗の縫い糸メーカー。本業は 5 期続けて赤字で、時価総額を上回る現金と銀行株が株主に戻る道は細い 本質価値との差 −42.1% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 キング8118 利益の大半は賃貸ビルが稼ぎ、アパレルは赤字。時価総額の半分は現金で、その現金が株主に戻るかどうかが価値を決める 本質価値との差 −42.3% · 10 年 割高(年 +1.1%) 割高 ワコールホールディングス3591 稼ぐ力はまだ戻っていない。資産の厚みに支えられているが、10 年で見ると今の値段は先を行きすぎている 本質価値との差 −44.2% · 10 年 割高(年 +0.6%) 割高 ダイドーリミテッド3205 再建の入口に立つ会社。買収と資産売却で形は整ったが、利益はまだ薄く、今の値段は成功を先取りしている 本質価値との差 −53.4% · 10 年 割高(年 −0.8%) 割高 ヤマトインターナショナル8127 クロコダイルを量販店で売る老舗。本業は赤字すれすれだが、現金と株式で時価総額の大半を説明できる資産型の会社 本質価値との差 −54.7% · 10 年 割高(年 −0.8%) 割高 ダイトウボウ3202 稼ぎの柱はショッピングセンター一つ。借金の利息と本社の費用に削られ、株主に残る利益は薄い 本質価値との差 −57.3% · 10 年 割高(年 −1.8%) 割高 アツギ3529 本業のストッキングと肌着は赤字が続く。価値は厚木の賃貸地と保有株に宿るが、自力で引き出す道筋は見えない 本質価値との差 −61.3% · 10 年 割高(年 −3.0%) 割高 山喜3598 ワイシャツの老舗だが、背広離れで売上は10年で半分に。借金が時価総額を上回り、今の値段でも割高 本質価値との差 −81.4% · 10 年 割高(年 −7.6%) 割高 オーミケンシ3111 工場跡地の賃料で食いつなぐ元レーヨン大手。借金と優先株の重みで、普通株に残る価値は薄い 本質価値との差 −83.9% · 10 年 割高(年 −8.4%) 割高 北紡3409 紡績の老舗が、中東向けの生地、のど飴、ハイヤー、ビットコインへと手を広げた。17 期を超える赤字が続き、値打ちの芯は土地しか残らない 本質価値との差 −90.4% · 10 年 割高(年 −13.4%) 割高 ユニチカ3103 フィルムと樹脂の会社に生まれ変わったが、普通株の取り分は転換で約 1 割に薄まる仕組みで、今の時価総額は事業の価値と釣り合わない 本質価値との差 −91.4% · 10 年 割高(年 −15.6%) 割高 キムラタン8107 子供服から不動産の買取再販に姿を変えた小型株。借金が重く、今の値段は資産に見合わない 本質価値との差 −96.7% · 10 年 割高(年 −21.9%)

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読んだ資料

  1. ダイニック 決算短信・中期経営計画
  2. ダイニック 業績ニュース

分析日 2026-10-19