結論
ヤマトインターナショナルは、カジュアルウェアの「クロコダイル」を、イオンなど量販店の売り場を中心に売るアパレル会社だ。売上は190億円台で、クロコダイルが約9割を占める。
筆者の結論は「割高」だ。理由は、本業の稼ぐ力が弱いこと。2025年8月期の営業利益は2億円の赤字で、過去10年の営業利益率の平均は1%強にとどまる。会社が10年先も同じ水準なら、資産の大きさに見合う価値は生まれない。
一方で資産は厚い。無借金で、現預金は60億円ほど、自己資本比率は74%。政策保有の株式と土地も持つ。時価総額は純資産の6割で、資産だけ見れば割安に見える。
ただ、現金と株式は本業が生み出したものではなく、資本コストを稼ぐ事業に投じられていない。10年間そのまま置けば、価値は目減りする。配当は利益を上回る水準で、現金は減ってきた。
筆者は、大株主に海外の運用口座や投資会社が並ぶ点を、現金が戻る期待の根拠にした。余った現金は4分の3だけ評価した。それでも、10年後の価値は今の値段の半分に届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ヤマトは「資産は良いが、事業は悪い」会社だ。現金60億円、株式約59億円、土地52億円と、帳簿上の資産は厚い。ただ、その資産を使って稼ぐ力が弱い。
こうした会社は、資産を売って株主に返せば価値が出るが、経営が動かなければ、時間とともに目減りする。現金は2%の利息しか生まず、10年預ければ資本コストとの差が価値を削る。
オーナー利益、つまり事業を続けるのに必要な投資を引いた手元に残る利益は、ほぼゼロに近い。量販店の売り場を維持するだけで、新しい投資をしても利益率は上がらなかった。
安全域は、無借金と現金で一定にある。しかし、安全域とは「払う値段が価値を下回る幅」のことで、事業の価値が小さい会社では、資産の売却や還元が実現しない限り、その幅は届かない。
筆者は、資産が全額株主のものになる前提には立たず、余った現金の4分の3だけ評価した。その結果、10年後の価値は今の値段を下回る。
何で稼ぐ会社か
主力は、カジュアルウェアのブランド「クロコダイル」だ。1979年にシンガポールの企業から商標を買い取った。2025年8月期の売上194億円のうち、クロコダイルが171億円、約88%を占める。ほかに米国発のアウトドアブランド「ペンフィールド」の取り扱いなどがある。
売り場の中心は量販店(GMS)とショッピングセンターだ。全国に800店を超える売り場があり、多くは量販店の中に自社の売り場を持つ形だ。自社の直営店は十数店、通販サイトの「CITERA」と公式アプリもある。アプリなどの会員は100万人を超える。主な客層は50〜60代だ。
セグメントは繊維製品と不動産賃貸の2つ。繊維製品が191億円で、メンズとレディスが半々。不動産賃貸は3億円だが、利益率は高い。物流は子会社のヤマト ファッションサービスが担う。
従業員は連結で159人と少なく、売り場に立つ臨時雇用の販売員が約1,000人いる。企画と販売に特化し、縫製は外部に委託する。
利益の決まり方は、量販店の客数と、気温に左右される季節商品の売れ行き、値引きの量で決まる。猛暑と残暑が長引いた2025年8月期は、営業赤字に転落した。
優良さと弱いところ
強みは、60年を超えるブランドの認知度と、量販店に広く売り場を持つ販売網だ。50〜60代の客に、手ごろな価格で長く着られる服を届けるという位置づけは、ユニクロやしまむらとは少し違う。
ただ、堀と呼べるほどの強さは無い。営業利益率は過去10年で−6.5%から4.0%の間を動き、平均は1%強だ。自己資本利益率は直近10年の中央値が1.6%と、資本コストの7.5%に遠く届かない。
依存度が高いのは2点だ。ブランドはクロコダイルが9割で、販売はイオンをはじめとする量販店に頼る。量販店の衣料品売り場が縮めば、売り場も縮む。
財務は守りが固い。借金は無く、現預金が60億円ほどある。ただし、2025年8月期は仕入れ代金の支払いが増えた影響などで、営業活動のお金の出入りが9億円のマイナスになった。
経営は慎重だが、積極的でもない。構造改革を繰り返してきたが、利益率は戻っていない。事業の将来像は「Yamato 2026」として、若い世代の獲得を掲げるが、成果は数字に出ていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のアパレル小売市場は8.5兆円(2024年)で、1990年代の約15兆円から4割ほど縮んだ成熟市場だ。直近は価格の上昇で微増しているが、数量は人口とともに細る。
量販店の衣料品売り場は、ユニクロ、しまむら、ネット通販に客を奪われてきた。量販店側も衣料品の売り場面積を減らし、食品に振り向けている。ヤマトの売り場がそこに載っている以上、10年先も同じ規模で続く保証は無い。
50〜60代の客層は人数は多いが、買う量は減る。体型や好みが変わり、新しい服を買う頻度が下がる。しかも、猛暑や暖冬といった天候で季節商品の売れ行きが揺れる。
一方で、通販とアプリは伸びる余地がある。ヤマトの通販は前期に4%減ったが、会員基盤は厚い。ペンフィールドのようなライセンス品で若い客を呼ぶ試みも続く。
10年先の中立は、量販店経由の数量が緩やかに縮み、価格は物価の上昇を一部しか転嫁できない形だ。繊維の原価と物流費、人件費は物価で上がるため、利益率を保つには売り場の生産性が要る。
人口減に加え、50〜60代の客が増える一方で消費はやや慎重になる。ヤマトにとって、客層の高齢化は追い風とは言い切れない。
資本政策と M&A
資本政策は、配当が利益を上回る形だ。2025年8月期の配当総額は3.3億円(中間と期末の2回)。当期純利益は1.4億円で、配当が利益を上回った。2026年8月期は配当が減る予想だ。
無借金で、現預金と有価証券が63.8億円ある。前期は10.8億円減った。持ち合い株としてイオン、三菱UFJフィナンシャル・グループ、伊藤忠商事などを持つ。株の簿価は約59億円と推計する。
大株主は、海外の証券口座が18.7%、セネシオ有限会社が12.8%、三菱UFJ銀行が4.5%。資産の厚さに目を付けた投資家が上位に入っているとみる。非公開化やTOBが10年のうちにある可能性は、筆者は小さくないと見る。
株主優待は、300株以上で自社商品の千円相当、500株以上で3千円相当。費用は開示がなく、年0.2億円と推定し、10年の還元に2億円を足した(費用は利益に入り済み)。
M&Aの実績は目立たない。成長への再投資も小さく、現金の主な使い道は配当と店舗の維持だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
時価総額は純資産の6割しかない。現金60億円と株式約59億円だけで時価総額を超え、事業と土地52億円はおまけで買える。無借金で、倒産のリスクは無い。
大株主に海外の運用口座とセネシオ有限会社が並ぶ。両者で3割を超え、資産の活用や還元の強化を迫る可能性がある。自社株買いや特別配当、持ち合い株の売却が進めば、株価は資産の価値に近づく。
2026年8月期は売上が増える見込みで、第3四半期までの売上は前年同期比1.2%増、経常利益は黒字だ。若い世代向けの「Yamato 2026」と通販、アプリ会員100万人の基盤が、売り場の生産性を上げる。
ペンフィールドなどのライセンス品や、伊藤忠商事と共同で持つ商標の展開も、売上の柱になりうる。クロコダイル1本足の弱さを、少しずつ解消している。
2026年8月期の予想は、売上が205億円、営業利益が1.8億円の黒字で、底打ちの兆しがある。
不動産賃貸は3億円の売上で利益率が高く、安定した下支えになる。
慎重な見方
本業は赤字だ。2025年8月期の営業利益は2億円の赤字で、過去10年の営業利益率の平均は1%強。自己資本利益率は1〜2%と、資本コストに届かない。資産が厚くても、稼ぐ力が弱ければ価値は伸びない。
売り場の量販店は衣料品の面積を減らしている。50〜60代の客層は人数は多くても、買う量は減る。通販は前期に4%減った。構造改革を何度も繰り返したが、利益率は戻らなかった。
現金は減っている。配当が利益を上回り、前期の現預金は10.8億円減った。営業活動のお金の出入りも9億円のマイナスだ。2026年8月期は配当を減らす見込みで、還元の方針も弱まっている。
株式と土地の含み益は、売らない限り実現しない。非公開化やTOBが出ても、それは資産の価値に近いプレミアムとは限らない。株主の取り分になる保証が無い。
赤字が続けば、販売員を約1,000人かかえる人件費が重くのしかかる。
50〜60代の客層は買い替えの頻度が下がり、ブランドの世代交代も進んでいない。
どちらに重みを置いたか
慎重の指摘が強く、確率はやや悲観と悲観に5割近くを寄せた。本業が赤字に近いことと、現金の減少、量販店の縮小が重なるためだ。
強気の言い分は、資産の厚さと大株主の存在という点で筋が通るので、現金の評価を4分の3まで認めた。中立の営業利益率は1%台に置いた。
筆者は、資産の厚さは認めつつ、それが株主の手元に届く道筋が見えない点を重く見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/08 期)
確率で加重した株価時価総額 373 円76 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 102 円21 億円)。 今の値に割り戻すと 233 円47 億円、今との差 −54.7%、 期待の年率 −0.8%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 698 円142 億円 | 196 円40 億円 | +74.0% | +5.7% | 45 円9 億円 |
| やや楽観 | 14% | 559 円114 億円 | 157 円32 億円 | +39.4% | +3.4% | 100 円20 億円 |
| 中立 | 38% | 415 円85 億円 | 113 円23 億円 | +2.7% | +0.3% | 201 円41 億円 |
| やや悲観 | 28% | 247 円50 億円 | 64 円13 億円 | −39.5% | −4.9% | 87 円18 億円 |
| 悲観 | 15% | 221 円45 億円 | 64 円13 億円 | −44.6% | −5.7% | 43 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 373 円76 億円 | 102 円21 億円 | −7.5% | −0.8% | 476 円97 億円 |
今の株価時価総額 514 円105 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:若い客と通販が育ち、売り場の利益率が3%台に戻る 利益 8 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 698 円142 億円
通販とアプリの会員基盤が育ち、量販店の売り場の外でも売れるようになる。ペンフィールドなどのライセンス品や、若い世代向けの新ブランドが売上の1割を担う。
量販店の売り場は縮むが、点数は5%減にとどまる。価格は物価を上回る1.36倍。値引きの量が減り、営業利益率は3%台に戻る。過去の高い時期の4.0%には届かない。
持ち合い株の売却と自社株買いが進み、余った現金は株主に戻り始める。
不動産賃貸は物価並みの賃料の上昇で、安定した利益を出し続ける。
10年かけて売上の中身が入れ替わるため、実現のハードルは高い。ブランド1本足の弱さが解消されるかが分かれ目だ。
- 繊維製品(クロコダイルほか):数量 607(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.41(1万点あたりの売上(億円。0.30億円=1点あたり3千円))→ 売上 248 億円・営業利益 8 億円。繊維 607万点(0.95倍)× 1万点0.408億円(1.36倍)、利益率3.2%
- 不動産賃貸:数量 10,000(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間賃料(億円。0.000287億円=2.9万円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。賃貸 10,000㎡ × 年0.000385億円(1.34倍)、利益率45%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)60 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 142 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:量販店の売り場を維持しつつ、通販と新ブランドが育つ筋書き。構造改革を重ねても戻らなかった利益率を3%台に戻す条件は厳しく、1割未満。
やや楽観 14% やや楽観:量販店の縮みを通販が補い、利益率は2% 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 559 円114 億円
量販店向けの点数は1割減るが、通販とアプリが補い、売上は物価並みに伸びる。値引きが減り、粗利が改善する。
営業利益率は2%。2026年8月期の予想(0.9%)より高く、過去10年の最高4.0%の半分だ。
配当は純利益に近い水準を保ち、現金は大きく減らない。自社株買いや持ち合い株の売却は限定的で、現金は積み上がる。
株主優待は縮小せず、費用は小さい。不動産賃貸の利益は安定して残る。
10年先のヤマトは小さくても黒字を保つ会社になる。ただし、大きく成長する姿ではない。
売り場の効率が上がり、返品と値引きの損失も減る。販売員の配置を見直し、人件費の伸びを抑える。
- 繊維製品(クロコダイルほか):数量 575(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.40(1万点あたりの売上(億円。0.30億円=1点あたり3千円))→ 売上 231 億円・営業利益 5 億円。繊維 575万点(0.9倍)× 1万点0.402億円(1.34倍)、利益率2%
- 不動産賃貸:数量 10,000(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間賃料(億円。0.000287億円=2.9万円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。賃貸 10,000㎡ × 年0.000385億円(1.34倍)、利益率44%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)60 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 114 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の黒字回復(2026年8月期は営業利益1.8億円の予想)が続き、過去の平均より少し高い利益率に落ち着く筋書き。
中立 38% 中立:量販店の売り場が縮み、営業利益率は1%台前半 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 415 円85 億円
量販店の衣料品売り場の縮小と、50〜60代の購入頻度の低下で、販売点数は15%減る。価格は物価の転嫁が難しく、1.30倍にとどまる。値引きの量は今の水準が続く。
本業の利益は0.5%ほどで、不動産賃貸の利益が全体を支える。営業利益率は1.3%で、過去10年の平均に近い。
純利益の多くは、現金の利息と持ち合い株の配当だ。配当は純利益の9割ほどで推移し、自己資本はほとんど変わらない。
会社は構造改革を続けるが、売り場を維持するだけで精いっぱいだ。大株主の働きかけで、持ち合い株の売却が少し進む。
10年後も大きな変化は無く、現金と株の厚みで食いつなぐ、静かな会社が続く。
- 繊維製品(クロコダイルほか):数量 543(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.39(1万点あたりの売上(億円。0.30億円=1点あたり3千円))→ 売上 212 億円・営業利益 1 億円。繊維 543万点(0.85倍)× 1万点0.39億円(1.30倍)、利益率0.5%
- 不動産賃貸:数量 10,000(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間賃料(億円。0.000287億円=2.9万円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。賃貸 10,000㎡ × 年0.000385億円(1.34倍)、利益率44%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.2% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)60 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 84 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去10年の営業利益率の平均(1%強)に近い。足元の黒字回復を延ばさず、1.3%に置いた。
やや悲観 28% やや悲観:量販店の売り場が急速に縮み、本業が赤字に戻る 利益 2 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 247 円50 億円
イオンなどの量販店が衣料品売り場を縮め、ヤマトの売り場も減る。点数は10年で25%減り、値引きで売るため価格は物価を下回る1.25倍にとどまる。
本業は営業赤字に戻る。不動産賃貸の利益で全体の営業利益はゼロ近くに押し上げられる。
配当は純利益を上回る水準が続き、現預金は減っていく。会社は店舗の整理と人員の削減を進めるが、費用が先に出る。
大株主の働きかけで配当は維持されるが、増配や自社株買いは進まない。
10年の間に、売り場の整理と人員の削減が進むが、資産の売却には至らない。
通販の伸びは売り場の縮小を埋めきれない。若い世代へのブランドの広がりも限られる。
- 繊維製品(クロコダイルほか):数量 479(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.38(1万点あたりの売上(億円。0.30億円=1点あたり3千円))→ 売上 180 億円・営業利益 −1 億円。繊維 479万点(0.75倍)× 1万点0.375億円(1.25倍)、利益率−0.5%
- 不動産賃貸:数量 10,000(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間賃料(億円。0.000287億円=2.9万円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。賃貸 10,000㎡ × 年0.000375億円(1.31倍)、利益率40%
倍率:本業が赤字に近く、稼ぐ力は現金の利息と株の配当に頼る。式の上限は1÷k(約11.8倍)だが、構造的に縮む筋書きなので、これより低い7倍に置いた。
確率:量販店の衣料品売り場の縮小が早まり、2025年8月期の赤字が定着する筋書き。本業が赤字に戻る確率は3割近い。
悲観 15% 悲観:量販店向けが崩れ、本業の赤字が拡大 利益 −5 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 221 円45 億円
量販店の衣料品売り場の撤退が相次ぎ、ヤマトの売り場は半分近くに減る。点数は10年で4割減り、値引きが膨らんで価格は物価を大きく下回る1.15倍にとどまる。
本業の赤字は拡大し、営業赤字は5億円規模になる。店舗の整理と在庫の評価損で、費用が先に出る。
配当は大幅に減る。現金と株を取り崩して赤字を埋める局面だ。経営は資産を使って事業を縮小し、投資家の働きかけで資産の一部が売却されても、株主の取り分は限られる。
時価総額は事業ではなく、手元の現金と売れる資産が決める。
株主の働きかけがあっても、事業の価値が小さいため、資産を超える評価は期待できない。
- 繊維製品(クロコダイルほか):数量 383(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.35(1万点あたりの売上(億円。0.30億円=1点あたり3千円))→ 売上 132 億円・営業利益 −5 億円。繊維 383万点(0.6倍)× 1万点0.345億円(1.15倍)、利益率−4%
- 不動産賃貸:数量 10,000(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間賃料(億円。0.000287億円=2.9万円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。賃貸 10,000㎡ × 年0.00033億円(1.15倍)、利益率35%
倍率:稼ぐ力は赤字で値が付かず、床の資産が値を決める。今の自己資本173億円に0.26を掛けた。
確率:量販店の衣料品売り場が構造的に消え、ブランドも縮む。ブランド1本足と客層の偏りを持つ会社として、15%は持たせる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
繊維製品(クロコダイルほか)
カジュアルウェアのクロコダイルが88%。量販店・ショッピングセンターの売り場、直営店、通販で売る。メンズとレディスが半々。
| 数量年間販売点数(万点、推定) | 価格1万点あたりの売上(億円。0.30億円=1点あたり3千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 639 | 0.30 | 192 | −3 |
| 10 年後 中立 | 543 | 0.39 | 212 | 1 |
取り方:点数は開示がなく推定。売上191.6億円を、卸と小売が混じる1点あたり3千円で割り、約639万点と置いた。セグメント利益は開示を取れず、全社の営業損失2.0億円から不動産賃貸の利益1.2億円を除いた−3.2億円と推定した。
不動産賃貸
保有する土地・建物の賃貸。売上は3億円で、利益率が高い。
| 数量賃貸面積(㎡、推定) | 価格1㎡あたりの年間賃料(億円。0.000287億円=2.9万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 10,000 | 0.00 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 10,000 | 0.00 | 4 | 2 |
取り方:面積は推定。売上2.87億円を1㎡あたり年2.9万円で割り、約1万㎡と置いた。利益1.2億円(率42%)は推定。
リスクと懸念
量販店の売り場の縮小
売り場の多くは量販店の中にある。量販店が衣料品の面積を減らせば、ヤマトの売り場も減る。販売網が主な競争力のため、影響は直接的に効く。
ブランドの集中
売上の約9割がクロコダイル。客層は50〜60代に偏り、若い世代への広がりはまだ小さい。流行や客層の高齢化で売上が落ちるリスクがある。
天候
季節商品の売れ行きは気温に左右される。猛暑と残暑が続いた2025年8月期は営業赤字に転落した。暖冬も同様に在庫を増やす。
現金の取り崩し
配当が純利益を上回り、現預金は前期に10.8億円減った。営業活動の資金の出入りも9億円のマイナスだった。赤字が続けば、手元の現金が細る。
物価と人件費
繊維の原価、物流費、販売員の人件費は物価で上がる。値上げが通らなければ、利益率はさらに下がる。販売員は約1,000人と多く、時給の上昇が効く。
株主の動き
海外の運用口座とセネシオ有限会社が3割を超える。保有の売却や提案で、経営方針と株価が急に動く可能性がある。
今後の分かれ目
- 2026年8月期の通期で営業利益が黒字(予想1.8億円)に戻る
- 足元の改善は確かだが、利益率はまだ1%未満。中立の確率を維持する。
- 量販店が衣料品売り場の縮小を相次いで発表する
- 売り場の縮小が構造的な可能性が高い。やや悲観〜悲観の確率を上げる。
- 自社株買い、特別配当、持ち合い株の売却が発表される
- 余った現金の戻り方を1.0へ見直す材料になる。割高の幅が縮む。
- 非公開化やTOBが提案される
- 資産の厚さからプレミアムが付く可能性はある。提案価格が資産価値を反映するかで判断する。
- 通販・アプリの売上が前年比で二桁の増加に戻る
- 売り場に頼らない稼ぎが育つ兆し。やや楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 営業利益率(0%台からの回復)
- 量販店の衣料品売り場の動き
- 通販・アプリの会員数と売上
- 現預金と配当の水準
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の自己資本利益率(2〜7%)と資本コスト8.5%から、式の上限(約11.8倍)の6〜9割に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。営業利益率は過去10年の平均(1%強)に近い1.3%に置き、足元の黒字回復を延ばしていない。
現金と持ち合い株は戻り方0.75で評価し、10年でたまる分は自動で加えた。土地の簿価(52億円)は賃貸収益の範囲で見て、含み益は数えていない。直営店の賃借は小さく、新リース会計基準の影響は小さい。数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→11.76 倍・やや楽観 PER 9.5→11.76 倍・中立 PER 8.5→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。