結論
オンワードホールディングスは、「23区」「J.PRESS」「カシヤマ」を持つ老舗の総合アパレルだ。筆者の結論は、立て直しは進んだが稼ぐ力はまだ資本コストに届かず、10 年で見た価値は今の時価総額をやや下回る、というものだ。
立て直しの成果は本物だ。2020 年と 2021 年の 2 期で 750 億円ほどの純損失を出した会社が、2026 年 2 月期は営業利益 116 億円まで戻した。百貨店への依存を下げ、直営店とネットの比率を上げた。海外も 11 期ぶりに黒字になった。
ただし利益率はまだ薄い。営業利益率は 4.9% で、中計が掲げる 8% には遠い。高い利益率を稼げるブランドは、23 区など数本に限られる。
利益の質にも注意がいる。純利益が営業利益の 9 割近くあるのは、税の負担が軽いからだ。繰越欠損の効果が切れれば、同じ営業利益でも手取りは 2 割ほど減る。
借金も軽くはない。純有利子負債は 266 億円で、時価総額の 4 分の 1 に当たる。店舗の家賃は固定の約束でもある。
中立の筋書きでは、配当を除いた時価総額は 10 年でほぼ横ばいだ。要求する年 8% 台のリターンには届かず、やや楽観の筋書きまで行って初めて報われる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、オンワードは「立て直しの成功例」だが、「ずっと持ちたい会社」とまでは言えない。長く稼ぎ続ける事業は、他社が簡単にまねできない強みの上に立つ。この会社の強みは、ブランドの数と経営の機動力で、特定の 1 本に頼る堀ではない。
株主のものになる利益は、見かけより小さい。店舗の改装・システム投資・在庫は毎年お金を食う。純利益 101 億円から、それを引いた余りが実質の稼ぎだ。しかも今の純利益は税が軽く、繰越欠損が尽きれば手取りが減る。
経営は誠実で、資本の使い方は妥当だ。赤字を直し、借金を返し、いま配当を増やしている。割高な自社株買いに走る様子もない。一方、ROE は 10% 台に戻ったばかりで、資本コストと並ぶ程度にすぎない。
安全域の面では、値段が足りない。中立の筋書きでは年 8% 台の要求に届かず、報われるのはやや楽観まで行った時だ。悪い筋書きの損は、良い筋書きの得より大きい。借金と家賃の固定費があるからだ。
筆者はこの会社を「悪くない事業を、少し高めの値段で買う」ことになると見る。営業利益率が 7% を超えて定着すれば、見方は変わる。
何で稼ぐ会社か
オンワードは婦人服・紳士服・雑貨を企画し、百貨店・ショッピングセンター・自社の直営店・ネットで売る。2026 年 2 月期の連結売上高は 2,368 億円。国内事業が 2,179 億円、海外事業が 189 億円だ。
柱は 3 つある。1 つ目はファッションで、「23区」「J.PRESS」「カシヤマ」「アンフィーロ」とウィゴーの 5 ブランドに力を集めている。2 つ目はウェルネスで、チャコットのコスメ、ギフト、キャラクターとペット用品を持つ。3 つ目はコーポレートデザインで、企業向けのユニフォーム、ノベルティ、空間づくりを手がける。
稼ぎ方は変わってきた。以前は百貨店の売り場に卸す形が中心だったが、今は直営店とネット、ショッピングセンターが伸びる。2026 年 2 月期はアンフィーロとカシヤマが 3 割超、ショッピングセンターが約 3 割伸びた。百貨店は 2% 減った。
若いお客も増えた。30 代以下の割合は 25% から 40% になった。2024 年に完全子会社にしたウィゴーが若者向けの入り口を担う。
海外は欧州・米国・アジアでブランドを展開し、2026 年 2 月期にようやく黒字になった。米国はまだ赤字だ。
弱点は利益率の低さと固定費の重さだ。店舗と人件費は売上が落ちても減らない。セグメントの開示は国内と海外の 2 つだけで、ウェルネスとコーポレートデザインの利益は外から見えない。
優良さと弱いところ
強みは、ブランドを束ねた幅の広さと、立て直しを実行した経営の腕だ。赤字店を閉じ、百貨店への依存を下げ、ネットを伸ばした。2023 年以降の営業利益は 52 億円から 116 億円へ倍以上になった。
一方で、堀、つまり他社がまねできない強みは浅い。23 区やJ.PRESS には根強い客がつくが、婦人服の中価格帯はユニクロ、ワールド、ユナイテッドアローズ、ZOZO などがひしめく。値段を自分で決められるブランドは少ない。スーツはクールビズと在宅で縮み、オーダーへ移る途中にある。
資本の使い方は、守りから攻めへ向かう途中だ。立て直しの間は借金を返して体力を戻した。いまは成長投資と配当を増やす局面で、配当性向は 40% 以上を掲げる。ROE は 10.8% まで戻したが、過去 10 年の中央値は 3.7% にすぎない。
経営の規律は評価できる。ウィゴーの買収は小さく始めて、黒字化を確かめてから完全子会社にした。政策保有株も縮めている。
弱いのは 3 点だ。営業利益率が 5% にとどまること。海外の黒字がまだ小さいこと。繰越欠損で守られた税が、いずれ正常に戻ることだ。オーナーとして持ちたい会社になる途中だが、まだそこには着いていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のアパレル市場は成熟している。2024 年の小売総額は約 8.5 兆円で、4 年続けて増えたが、1990 年代の約 15 兆円からは 4 割ほど縮んだ。今後 2030 年ごろまでは微増にとどまると見られる。
数量は 10 年で伸びない、と筆者は見る。人口は減り、スーツのような仕事着は縮む。増えるのは値上げの分と、訪日客の上乗せくらいだ。物価が年 3% なら、値段は 10 年で 1.3 倍になる。ただ、客が払う余力は賃金次第だ。
売り場の主役は入れ替わった。百貨店は店が減り、ショッピングセンターとネットが受け皿になった。オンワードは直営店 5 割・ネット 3 割・百貨店 2 割を 2030 年の姿に描く。ネットはユニクロや ZOZO と同じ土俵になり、自社の会員 1,000 万人という目標が試される。
競争は 3 方向から来る。低価格のファストファッション、品ぞろえの広い専門店、海外の高級・機能ブランドだ。中価格帯の婦人服は、そのどれにも挟まれる。
分かれ目は、強い数ブランドに絞って利益率を 8% に近づけられるかだ。絞り込みに成功すれば、市場が縮んでも 1 店あたりの稼ぎは増える。失敗すれば、店舗網が重い荷物になる。
スーツ市場はオーダーへ移っている。オンワードはカシヤマでその受け皿を作ったが、市場全体は小さくなる。
資本政策と M&A
還元は増える方向だ。配当性向は 35% から 40% 以上へ上げる方針で、2027 年 2 月期の予想もその水準にある。創業 100 周年の記念配当が出るとの報道もあるが、確認はできていない。自社株買いを大きく進めた実績は確かめられなかった。
資金は成長投資に向かう。2024〜2026 年度に最大 700 億円を、DX・海外・M&A に使う計画だ。ネット D/E は 0.5 倍を目安にし、今は 0.3 倍ほどなので、借金を足す余地はある。
M&A はウェルネスと若年層の取り込みが中心だ。2023 年にウィゴーへ 20% 出資し、2024 年に完全子会社とした。ウェルネスの M&A も計画にあるが、金額は大きくない。
政策保有株は連結純資産の 10% 未満へ縮める。直近の投資キャッシュフローは売却でプラスだった。土地と合わせた売れる資産は、悲観の床を支える。
買収される側の可能性も残る。10 年以内の TOB・買収の確率を kabufu は 17.8% と推定する。ただ、事業が広く分かれており、買い手が一括で買う形は想像しにくい。
鍵は、増える利益を配当に回すのか、さらに買収と出店に回すのかだ。ROE が資本コストを超えるまでは、投資の選別が還元より大事になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
中計の道筋は、すでに実績で裏づけられつつある。2026 年 2 月期に純利益 100 億円を 1 年前倒しで達成し、海外も黒字になった。アンフィーロとカシヤマは 3 割超、ショッピングセンターは 3 割近く伸びている。
伸びる売り場に人が集まっている。30 代以下の客は 25% から 40% になり、顧客の若返りが進む。ウィゴーを加えたことで、若者の入り口もできた。
ウェルネスは百貨店に頼らない柱になる。コスメ・ギフト・キャラクター・ペットは、衣料より値崩れしにくい。ここで M&A を重ねれば、売上 700 億円の目標は届く。
固定費の重さも、売上が伸びる局面では武器になる。営業利益率が 1 ポイント上がるだけで、利益は 2 割増える。目標の 8% に届けば、営業利益は 250 億円を超え、今の 2 倍になる。
財務は改善した。借金の比率は低く、純資産は 936 億円まで戻った。配当性向 40% 以上でも、投資の余力は残る。ROE が 12% 台に乗れば、倍率は資本コストを超える水準に上がる。
慎重な見方
数字の戻りは、税の軽さと一過性の要因に支えられている。純利益が営業利益の 9 割近くあるのは異常で、繰越欠損が尽きれば手取りは 2 割ほど減る。
営業利益率は 4.9% で、8% の目標には 3 ポイント以上足りない。立て直しで利益は戻ったが、構造が変わったわけではない。ファッション領域は目標を達成できていない。
競争は厳しい。ユニクロ・ZOZO・ワールドなどが中価格帯を取りに来て、スーツは縮んでいる。百貨店の店舗は減り続けるが、オンワードの売上の一部は今も百貨店に依存する。
海外は黒字といっても 2 億円で、米国は赤字のままだ。2015 年までの長い赤字は、海外で稼ぐのが難しいことを示している。
固定費も重い。店舗の家賃は売上が落ちても減らない。2020 年と 2021 年のように売上が 3 割落ちれば、営業損益は一気に赤字へ傾く。
こうした見方では、営業利益率は 4% 前後で止まり、ROE は 5% 台に落ちる。ウェルネスの M&A で高値づかみをすれば、さらに悪くなる。
どちらに重みを置いたか
足元の勢いと立て直しの実績は強気に分がある。ただ、利益率の低さ、税の正常化、家賃と借金の重さは、慎重な見方に分がある。10 年という長さでは、後者の弱みが効く。
このため確率は中立を中心に、やや悲観側に寄せた。強気は 1 割弱、悲観は 1 割強とした。事業そのものは優良とまでは言えないが、壊れているとも見ていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 1,091 円1,487 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 354 円483 億円)。 今の値に割り戻すと 718 円979 億円、今との差 −4.0%、 期待の年率 +6.8%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,113 円2,879 億円 | 605 円825 億円 | +263.4% | +13.8% | 217 円296 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,623 円2,212 億円 | 466 円635 億円 | +179.3% | +10.8% | 418 円569 億円 |
| 中立 | 36% | 1,235 円1,683 億円 | 357 円486 億円 | +112.8% | +7.8% | 573 円781 億円 |
| やや悲観 | 24% | 568 円774 億円 | 277 円378 億円 | +13.0% | +1.2% | 203 円276 億円 |
| 悲観 | 12% | 137 円187 億円 | 147 円200 億円 | −62.0% | −9.2% | 34 円46 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,091 円1,487 億円 | 354 円483 億円 | +93.2% | +6.8% | 1,445 円1,970 億円 |
今の株価時価総額 748 円1,019 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 中計が描く姿がほぼ実現する 利益 199 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 2,113 円2,879 億円
中計の姿がほぼそのまま実現する。国内のシェアは 1.85% まで上がり、23 区・カシヤマ・アンフィーロ・ウィゴーが直営店とネットで伸びる。ファッションの営業利益率は 7% に届く。
ウェルネスは M&A も使って 1,000 億円近くに育つ。コスメ・ギフト・ペットと IP が百貨店に頼らない柱になる。コーポレートデザインは 400 億円台、海外は 400 店規模で黒字が定着する。
営業利益は約 290 億円で、今の 2.5 倍になる。純利益は 200 億円近く、ROE は 12% 台まで上がる。配当性向 40% 以上に自社株買いが加わる。
競合のユニクロ・ZOZO が中価格帯を攻めても、固定客は離れない。ただし全ブランドと M&A の同時成功が前提で、1 つでも欠ければやや楽観に落ちる。
- 国内ファッション:数量 86,000(国内アパレル小売市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 2.5%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 2,132 億円・営業利益 149 億円。シェア 1.85%(今 1.69%)、価格は物価の 1.34 倍、営業利益率 7%
- ウェルネス:数量 1,440(販売点数(万点・推計))× 価格 0.68(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 979 億円・営業利益 88 億円。1,440 万点(今の 1.5 倍)× 0.68 万円、営業利益率 9%
- コーポレートデザイン:数量 3,200(年間の受注件数(件・推計))× 価格 0.13(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 429 億円・営業利益 39 億円。3,200 件 × 0.134 億円、営業利益率 9%
- 海外ファッション:数量 400(店舗数(店・推計))× 価格 1.01(1 店あたり年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 406 億円・営業利益 28 億円。400 店 × 1.014 億円、営業利益率 7%
倍率:事業の純利益 199 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.84 倍、時価総額 2,754 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の姿を実現するには、5 ブランドの同時成功と M&A の成功が要る。どちらも未実証で、1 割弱にとどめた。
やや楽観 20% やや楽観 利益 153 億円 · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 1,623 円2,212 億円
国内のシェアは 1.75% まで上がり、利益率は 6% 台に乗る。アンフィーロ・カシヤマが育ち、百貨店の縮小を直営店とネットが埋める。
ウェルネスは 800 億円台、コーポレートデザインは 400 億円弱になる。海外は 330 店で黒字を保つが、利益率は 5% にとどまる。
営業利益は約 225 億円。純利益は 150 億円ほどで、ROE は資本コストをわずかに超える 9% 台になる。
競合の顔ぶれは今と同じで、ユニクロ・ZOZO・ワールドに囲まれる。M&A は小さく、ウェルネスで 1〜2 件の買収が加わる程度。配当性向は 40% 台後半で、自社株買いは補助にとどまる。目標の 8% には届かないが、今の 5% からは着実に上がる姿だ。
- 国内ファッション:数量 84,500(国内アパレル小売市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 2.3%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 1,982 億円・営業利益 123 億円。シェア 1.75%、価格は物価の 1.34 倍、営業利益率 6.2%
- ウェルネス:数量 1,250(販売点数(万点・推計))× 価格 0.67(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 838 億円・営業利益 67 億円。1,250 万点 × 0.67 万円、営業利益率 8%
- コーポレートデザイン:数量 2,900(年間の受注件数(件・推計))× 価格 0.13(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 389 億円・営業利益 31 億円。2,900 件 × 0.134 億円、営業利益率 8%
- 海外ファッション:数量 330(店舗数(店・推計))× 価格 1.01(1 店あたり年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 335 億円・営業利益 17 億円。330 店 × 1.014 億円、営業利益率 5%
倍率:事業の純利益 153 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.7% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.0 倍。全体の PER 12.99 倍、時価総額 1,988 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:立て直しの勢いと、ショッピングセンター・ネットの伸びは足元の実績で見えている。2 割とした。
中立 36% 成熟した中堅アパレルとして物価並みに伸びる 利益 115 億円 · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 1,235 円1,683 億円
国内市場は実質で 2 割弱減る。オンワードはシェアを 1.65% で守り、物価の分だけ値段は上がる。ファッションの売上は 1,800 億円台、営業利益率は 5.2% で今とほぼ同じだ。
ウェルネスは 700 億円台に育つが、利益率は 7.5% にとどまる。コーポレートデザインは物価分だけ伸び、海外は 300 店で利益率 3% になる。
営業利益は約 175 億円。純利益は税が正常に戻るため 115 億円ほどで、今の 101 億円からはあまり増えない。ROE は 7% 台で、資本コストに届かない。
競合は今と同じ顔ぶれ、M&A は小さく、配当性向は 45% 前後。立て直しの果実は物価で食われる。強みも弱みも今のまま 10 年たった姿である。
- 国内ファッション:数量 83,000(国内アパレル小売市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 2.2%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 1,835 億円・営業利益 95 億円。シェア 1.65%、市場 83,000 億円(実質 −2.4%)、価格は 1.34 倍、営業利益率 5.2%
- ウェルネス:数量 1,058(販売点数(万点・推計))× 価格 0.67(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 709 億円・営業利益 53 億円。1,058 万点 × 0.67 万円、営業利益率 7.5%
- コーポレートデザイン:数量 2,600(年間の受注件数(件・推計))× 価格 0.13(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 348 億円・営業利益 28 億円。2,600 件(横ばい)× 0.134 億円、営業利益率 8%
- 海外ファッション:数量 300(店舗数(店・推計))× 価格 1.01(1 店あたり年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 304 億円・営業利益 9 億円。300 店 × 1.014 億円、営業利益率 3%
倍率:事業の純利益 115 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.9 倍。全体の PER 11.95 倍、時価総額 1,374 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:最も起こりやすい姿として、市場の微減と、利益率の緩やかな改善を置いた。
やや悲観 24% やや悲観 利益 67 億円 · PER 7.1 倍 · 株価時価総額 568 円774 億円
百貨店の縮小が思ったより速く、ショッピングセンターとネットでも値引きが増える。国内のシェアは 1.55% に下がり、ファッションの営業利益率は 3.8% に落ちる。
ウェルネスは伸び悩み、コーポレートデザインも景気に押されて件数が減る。海外は 250 店のまま利益がゼロになる。
営業利益は約 105 億円で、今より 1 割減る。税が正常に戻り、純利益は 70 億円に届かない。ROE は 4% 台に落ち、資本コストの半分ほどになる。
競合ではユニクロ・ZOZO が価格を下げ、中価格帯の婦人服が最初に削られる。M&A は進まず、配当は性向を守るために額が減る。変化は急ではないが、人気のあった時期の利益が少しずつ平凡な水準に戻る。
- 国内ファッション:数量 79,500(国内アパレル小売市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 2.0%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 1,602 億円・営業利益 61 億円。シェア 1.55%、市場 79,500 億円(実質 −6.5%)、価格は 1.30 倍、営業利益率 3.8%
- ウェルネス:数量 960(販売点数(万点・推計))× 価格 0.65(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 624 億円・営業利益 37 億円。960 万点(横ばい)× 0.65 万円、営業利益率 6%
- コーポレートデザイン:数量 2,400(年間の受注件数(件・推計))× 価格 0.13(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 312 億円・営業利益 20 億円。2,400 件 × 0.13 億円、営業利益率 6.5%
- 海外ファッション:数量 250(店舗数(店・推計))× 価格 0.98(1 店あたり年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 246 億円・営業利益 0 億円。250 店 × 0.984 億円、営業損益ゼロ
倍率:ROE 4.8%、k 8.5% を大きく下回る。長く続く ROE は約 6.7%、g 4% の正当化 PER は約 8.9 倍。その 8 割。ためた利益が額面を下回る価値にとどまる局面で、上限へ引き上げない。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 7.1 倍・時価総額 476 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:利益率の低さと税の正常化は、すでに見えている弱みだ。慎重な見方を重く見て 2 割強とした。
悲観 12% 構造的に負け、店舗網が重荷になる 利益 −60 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 137 円187 億円
構造的に負ける。百貨店の閉店が加速し、ユニクロ・ZOZO・海外ブランドに挟まれて国内シェアは 1.3% まで下がる。ファッションの営業利益率は 1% になる。
ウェルネスは M&A で買ったブランドが定着せず、減損が出る。海外は 120 店に縮め、赤字が続く。
営業利益は 30 億円足らず、減損と店舗閉鎖の損失で純損益は赤字になる。店舗の家賃は売上が落ちても減らず、固定費として残る。
借金は新しい金利で借り換えるため、利払いも重い。配当は絞るが、土地や政策保有株を売った資金で払う。純利益の累計は小さく、還元は資産の売却でまかなう。この筋書きは構造的な負けで、優良さは戻らない。買収される場合も、プレミアムは付きにくい。
- 国内ファッション:数量 75,000(国内アパレル小売市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 1.6%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 1,219 億円・営業利益 12 億円。シェア 1.3%、市場 75,000 億円(実質 −12%)、価格は 1.25 倍、営業利益率 1%
- ウェルネス:数量 800(販売点数(万点・推計))× 価格 0.63(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 500 億円・営業利益 20 億円。800 万点 × 0.625 万円、営業利益率 4%
- コーポレートデザイン:数量 2,200(年間の受注件数(件・推計))× 価格 0.13(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 275 億円・営業利益 11 億円。2,200 件 × 0.125 億円、営業利益率 4%
- 海外ファッション:数量 120(店舗数(店・推計))× 価格 0.95(1 店あたり年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 114 億円・営業利益 −6 億円。120 店に縮小 × 0.946 億円、営業利益率 −5%
倍率:稼ぐ力は赤字で、価値は売れる資産に頼る。今の自己資本 936 億円に PBR 0.2 倍を掛け、約 187 億円とした。土地・政策保有株・在庫の換価から純有利子負債 266 億円を引いた額(約 190 億円)に相当する。倍率は市場の値付けからは置いていない。
確率:アパレルは流行と景気の反動が深い。2020 年と 2021 年に 750 億円の純損失を出した実績もあり、1 割強とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内ファッション
23 区・J.PRESS・カシヤマ・アンフィーロ・ウィゴーなどの婦人服・紳士服・雑貨。百貨店・ショッピングセンター・直営店・ネットで売る。
| 数量国内アパレル小売市場(億円・今の値段で測った実質) | 価格実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 85,010 | 1.7% | 1,439 | 72 |
| 10 年後 中立 | 83,000 | 2.2% | 1,835 | 95 |
取り方:国内アパレル小売市場は 2024 年に約 8.5 兆円(業種ノート)。国内事業の売上 2,179 億円からウェルネス約 480 億円とコーポレートデザイン約 260 億円(いずれも開示がなく推計)を引いて 1,439 億円とし、シェアは約 1.69%。営業利益 72 億円(5.0%)は、国内事業の利益 127 億円から他の 2 領域の推計利益を引いた推定。
ウェルネス
チャコットのコスメ、ギフト、キャラクター・ペット用品。2025 年度の売上は約 455 億円。
| 数量販売点数(万点・推計) | 価格1 点あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 960 | 0.50 | 480 | 34 |
| 10 年後 中立 | 1,058 | 0.67 | 709 | 53 |
取り方:2025 年度のウェルネス売上 455 億円(中計資料)に、チャコット・コスメティクスの 22% 増などを乗せて約 480 億円と推計。平均単価 0.5 万円(コスメとギフトの混合)で割り、960 万点と置いた。営業利益率 7% は推定で、開示はない。
コーポレートデザイン
企業向けのユニフォーム、ノベルティ、空間づくり。営業利益率 8% の目標は達成済み。
| 数量年間の受注件数(件・推計) | 価格1 件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 2,600 | 0.10 | 260 | 21 |
| 10 年後 中立 | 2,600 | 0.13 | 348 | 28 |
取り方:中計では 2030 年度に 300 億円を目標。今の売上は開示がなく約 260 億円と推計し、1 件 1,000 万円、2,600 件と置いた。営業利益率 8%(会社が達成と述べた)から約 21 億円。
海外ファッション
欧州・米国・アジアでのブランド展開。2026 年 2 月期に 11 期ぶりに営業黒字(会社の定義で 2 億円)。
| 数量店舗数(店・推計) | 価格1 店あたり年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 250 | 0.76 | 189 | −3 |
| 10 年後 中立 | 300 | 1.01 | 304 | 9 |
取り方:海外事業の売上は 189 億円、セグメント利益は −3 億円(調整前の開示)。店舗数は開示がなく約 250 店(売り場・直営・卸先を含む推計)、1 店 0.757 億円で置いた。
リスクと懸念
税の正常化
今の純利益は営業利益の 9 割近い。繰越欠損の効果が切れると、同じ営業利益でも手取りが 2 割ほど減る。会社の予想(純利益 112 億円)は、まだ軽い税を前提にしている。
利益率が上がりきらない
営業利益率は 4.9%、中計の 8% までは遠い。ファッション領域は目標未達で、ブランドを 5 本に絞る効果が出なければ、利益は物価で食われるだけになる。
百貨店とスーツの縮小
百貨店の店舗は減り続け、スーツはクールビズと在宅で縮んだ。売上の一部はまだ百貨店に依存する。直営店とネットへの移行が遅れると、売り場を失う。
店舗の家賃と借金(固定の約束)
家賃は売上が落ちても減らない。純有利子負債は 266 億円ある。新リース会計基準(2028 年 2 月期から)で貸借対照表に載ると、自己資本比率は今ほど強く見えなくなる。
ウェルネスの M&A 失敗
ウェルネスは 700 億円を目指し、M&A も使う。買う値段が高すぎれば、のれんの減損が出る。コスメ・ペット・キャラクターは、衣料とは別の競争相手がいる。
海外の定着
海外は 11 期ぶりの黒字だが、利益は 2 億円で、米国は赤字が続く。長い赤字の歴史があり、黒字が定着するかは未実証だ。為替の円安は追い風だが、150 円で固定した前提では効かない。
ブランド依存と人材
23 区・J.PRESS・カシヤマなど数本が利益の柱で、客層の高齢化もある。ウィゴーとアンフィーロで若返りを図るが、定着までは時間がかかる。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 6% を超える
- 利益率の改善が構造だと確かめられる。やや楽観・楽観に重みを移してよい。
- 税の軽さが続き、純利益が営業利益の 8 割台を保つ
- 繰越欠損がまだ残っているとわかる。純利益が上がり、価値は上がる。
- ウェルネスで大きな M&A を発表し、売上 700 億円の目標が近づく
- 買う値段しだいで評価が変わる。高値なら悲観側に重みを移す。
- 配当性向を 5 割に上げ、自社株買いも始める
- ROE が下がらずに済み、倍率の上限が上がる。中立の価値が上がる。
- 百貨店売上がさらに落ち込み、直営店・ネットの伸びが鈍る
- 売り場を失い、やや悲観・悲観に重みを移す。
- 海外が全地域で黒字になり、利益が 2 桁億円に乗る
- 海外が第 2 の柱になる。楽観・やや楽観の確率を上げてよい。
見ておくもの
- 営業利益率(ファッション領域)と、会社全体の純利益÷営業利益
- ショッピングセンター・ネット・百貨店の売上構成
- ウェルネスの売上・利益の開示と M&A
- 海外の営業損益(特に米国)
- 純有利子負債と、リース会計基準の変更後の数字
倍率と資本コストの決め方
今の株価から逆算していない。国内市場 × シェア × 物価並みの価格と、ウェルネス・企業向け・海外の積み上げで営業利益を出し、そこから税を正常に戻した純利益を求めた。倍率は ROE と資本コスト k の関係から出した正当化 PER に 8〜9.5 割を掛けた。ROE が k に届かない中立は、1÷k に ROE÷k(0.88)と 0.9 を掛けた 9.4 倍に置き、上限(1÷k)以下に収めた。自己資本は今の 936 億円に純利益の合計を足し、還元を引いて流した。純有利子負債は時価総額の 4 分の 1 で、純現金ではないので余った現金は分けていない。家賃は営業費用に入れた形で 10 年先も置いた。新リース会計基準(2028 年 2 月期から)で営業利益と純負債の形が変わる点は、同じ形にそろえる前提で考慮の外にある。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.3→13.84 倍・やや楽観 PER 11.8→12.99 倍・中立 PER 9.4→11.95 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。