株譜
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山喜 3598

ワイシャツの老舗だが、背広離れで売上は10年で半分に。借金が時価総額を上回り、今の値段でも割高

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)29 円4 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)155 円22 億円差 −81.4%
10 年後から見ると 割高 価値 29 円4 億円 · 差 −81.4% · 期待の年率 −7.6%
期待の年率リターン(10 年)−7.6%資本コスト比 −17.6 pt
推定の資本コスト10.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 10.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

山喜は大阪のワイシャツの老舗だ。「CHOYA」などのドレスシャツを百貨店や量販店に卸し、ラオスの自社工場と国内の工場で縫う。筆者の結論は、今の値段でも割高というものだ。需要が細り続けるなか、借金の利息が利益の大半を食うからだ。

売上は10年前の190億円から99億円まで縮んだ。職場の服装がくだけ、ワイシャツを毎日着る人が減ったためだ。2026年3月期は工場の閉鎖費用もあり、純損失は10億円に達した。配当も見送った。

新しい中期計画は、3年後に営業利益2億円台を目指す。だが過去12年で営業利益率が2.2%を超えた年は無い。借入金は約41億円あり、時価総額22億円を大きく上回る。金利が上がれば、細い営業利益はさらに削られる。

大阪・船場の本社の土地など、帳簿より値打ちのある不動産はある。ただ会社が清算されない限り、少数株主の手に渡る道は細い。

10年の中立では、需要が2割減るなかで営業利益は2億円余りにとどまる。利息を払うと、株主に残る利益は1億円に届かない。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、持ち続けたい事業ではない。

ワイシャツは毎日の暮らしに要る品だった。だが需要そのものが縮み、値段を決める力は量販店と大手の側にある。過去12年で資本コストを超えて稼いだ年は無い。オーナーとして手元に残る利益は、ほとんど無かったと言ってよい。

資本の使い方にも余地が乏しい。稼いだ現金は在庫と借金の返済に回り、株主には戻らない。金利が上がれば、営業利益の多くは銀行に渡る。

安全域を探すなら、本社や物流センターの土地だろう。帳簿より高く売れる見込みはある。しかし会社が自ら清算しない限り、その値打ちは株主の手に届かない。筆者は、不動産の含みを理由にこの会社を持つのは危ういと考える。値段が安く見えても、払う額に見合う利益の流れが無い。

もし買うなら、事業の回復ではなく、資産の切り売りに賭けることになる。それはオーナーの投資ではない。

何で稼ぐ会社か

1953年創業のワイシャツの専業メーカーだ。企画から縫製、物流、店頭までを自社で抱える。開示上は国内販売・製造・海外販売の3つに分かれる。

稼ぎの柱は国内販売で、売上の8割強を占める。自社ブランドの「CHOYA」を百貨店と紳士服の専門店に、「SWAN」などを量販店に卸す。量販店の中には「SHIRT HOUSE」という売り場を124か所持つ。販路は百貨店が4分の1、専門店と量販店がそれぞれ2割で、自社のネット通販は7%にとどまる。

製造は、国内3工場とラオスの自社工場で縫う。中国やベトナム、バングラデシュの協力工場も使い、産地を散らしている。2026年3月には信州の工場を閉じ、生産を残りの工場に寄せた。

海外販売は、上海やタイの拠点で細々と売る規模にすぎない。

儲けの仕組みは、ワイシャツを1枚いくらで卸すかに尽きる。綿の値段と円安で仕入れが上がっても、量販店や百貨店に値上げを飲ませる力は弱い。

社員は連結で約600人、その8割近くが縫製の工場で働く。本社は大阪・船場にあり、東大阪に物流センターを持つ。福岡と鹿児島には賃貸に出している土地もある。

優良さと弱いところ

堀、つまり他社がまねできない強みは、ほとんど見当たらない。

CHOYAは百貨店で長く売られ、名前は知られている。形態安定の加工や縫製の品質にも定評がある。だがワイシャツは差がつきにくい品だ。ユニクロや紳士服チェーンの自社品が安く大量に売られ、買う人は値段で選ぶ。

数字が実力を語る。過去12年の営業利益率は最高でも2.2%で、赤字の年が4回ある。ROEの中央値は1.3%と、資本コストに遠く届かない。株主の資本を預けても、ほとんど増えてこなかった。

借金も重い。売掛金と在庫を借入で賄う形で、純負債は自己資本と同じくらいある。支払利息は今でも年0.8億円で、営業利益の大半に当たる。

経営は手を打っている。工場を閉じ、ライセンスのブランドを絞り、製販一体を掲げる。ただ、縮む市場で利益率を上げるのは難しい。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

ドレスシャツの市場は、構造的に縮んでいる。

縮みの原因ははっきりしている。夏の軽装が定着し、在宅勤務とオフィスのカジュアル化が進んだ。スーツを毎日着る人は減り、ワイシャツを買う枚数も減った。働く世代の人口も減っていく。山喜の売上が10年で半分になったのは、会社の問題だけではない。

値段も上げにくい。ユニクロや紳士服の青山商事、AOKIが自社で企画したシャツを安く売る。百貨店の売り場は縮み、量販店は仕入れ値に厳しい。綿や人件費の上昇を、卸の値段に乗せ切れない年が多い。

一方で、残る需要もある。冠婚葬祭や就職活動、接客の制服など、白いシャツが要る場面は消えない。形態安定やストレッチなど機能のあるシャツは、少し高くても売れる。

筆者は、この市場は10年で数量が2割前後減ると見る。残った需要を、安さで勝る大手と、ブランドで勝る少数が分け合う形になる。中堅の卸売りは、その間で挟まれやすい。

国内で縫う会社は年々減り、日本製の白シャツを求める取引先も一定数いる。受託の縫製は、細いながら残る需要の受け皿になりうる。

資本政策と M&A

還元は細い。2026年3月期は無配に転じ、今期の配当も未定だ。自社株買いの実績も無い。

優先しているのは財務の立て直しだ。純損失で自己資本は1年で10億円減った。借入金は短期を中心に約41億円あり、金利が上がるほど利払いが膨らむ。在庫を減らして借金を返すことが、当面の資本政策の中心になる。

政策保有株は丸紅や三越伊勢丹、AOKIなど9銘柄で、合計1.4億円と小さい。取引先との関係を保つ色が濃い。

買収や再編の動きは見えない。時価総額は22億円と小さく、本社の土地に目をつける買い手が出る余地はある。ただ借金を肩代わりする必要があり、筆者は確度の高い話とは見ない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

底は打った。2026年3月期の赤字は工場の閉鎖費用が大半で、一度きりだ。今期の第1四半期は営業利益1.4億円と黒字に戻った。信州の工場を閉じ、生産を残りの工場に集めたので、固定費は軽くなっている。

中期計画の3年後の営業利益2.3億円は、背伸びではない。ライセンスのブランドを絞り、利の薄い取引を切れば届く。製販一体で企画から店頭までを握れば、在庫の値引きも減る。

ワイシャツの需要も、ゼロにはならない。就職活動や冠婚葬祭、接客の制服など、白いシャツが要る場面は残る。形態安定やストレッチの機能品は、少し高くても売れる。同業の中堅が退けば、残った会社にシェアが寄る。

資産もある。大阪・船場の本社の土地は、帳簿の6億円より高い値がつくはずだ。物流センターや賃貸の土地もある。在庫を減らして借金を返せば、利払いは軽くなる。

株価は自己資本の7割ほどで、悪材料は織り込まれている。小さな改善でも、利益の伸び率は大きく見えるはずだ。

慎重な見方

需要の縮みは止まらない。売上はこの10年で半分になった。テレワークとカジュアル化は戻らず、働く世代も減る。会社が工場を閉じても、売上が減る速さに追いつけない。

値段を決める力も無い。ユニクロや青山商事、AOKIは自社でシャツを作り、安く大量に売る。百貨店の売り場は縮み、量販店は仕入れ値に厳しい。綿と人件費が上がっても、卸の値段には乗せ切れない。

何より借金が重い。借入金は約41億円で、時価総額のほぼ2倍だ。金利が1%上がるだけで、営業利益の半分近くが消える。過去12年で営業利益率が2.2%を超えた年は無く、中期計画が届いても利払いの後にはほとんど残らない。

不動産の含みも、少数株主の取り分にはなりにくい。赤字が続けば、土地は借金の返済に消えていく。

中期計画の目標は、過去にも届かなかった水準だ。前の計画でも黒字の定着を掲げたが、売上の減りに押し戻された。会社の努力では動かせない需要の縮みが、すべての前提を崩していく。

どちらに重みを置いたか

慎重な見方のほうが強い。工場の閉鎖で固定費が軽くなるのは確かだが、需要の縮みと値決め力の弱さは変わらない。利払いの重さも数字で確かめられる。確率は中立に4割を置き、やや悲観を楽観側より厚くした。工場の閉鎖と第1四半期の黒字は、やや楽観に17%を置く根拠にした。ただ利益率の天井と借金の利息を考えると、楽観は1割に満たない。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 62 円9 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 8 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 29 円4 億円、今との差 −81.4%、 期待の年率 −7.6%(資本コスト 10.0%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 6% 226 円32 億円 35 円5 億円 +68.4% +5.3% 16 円2 億円
やや楽観 17% 123 円17 億円 18 円3 億円 −9.4% −1.0% 24 円3 億円
中立 40% 49 円7 億円 7 円1 億円 −63.6% −9.6% 23 円3 億円
やや悲観 24% 26 円4 億円 0 円0 億円 −83.1% −16.3% 6 円1 億円
悲観 13% 13 円2 億円 0 円0 億円 −91.4% −21.7% 2 円0 億円
加重平均100% 62 円9 億円8 円1 億円 −54.8% −7.6% 70 円10 億円

今の株価時価総額 155 円22 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。

楽観 6% 製販一体が実り、残った需要を取る 利益 3 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 226 円32 億円

中期計画が予定どおり進み、そのあとも改善が続く。信州の工場を閉じた効果で固定費が軽くなり、ライセンスのブランドを絞って利の薄い取引を切る。企画から店頭までを自社で握り、売れ残りの値引きが減る。

需要は細るが、同業の中堅が相次いで撤退する。百貨店と専門店の売り場で、CHOYAが残った棚を取る。形態安定やストレッチの機能品が育ち、1枚の値段は物価をやや上回って上がる。

在庫を絞った分で借金を返し、利払いは軽くなる。配当も再開し、利益の3割ほどを戻す。それでもROEは資本コストに届かず、事業は平凡なままだ。

同業が退いた分を取れるかが、この筋書きの分かれ目になる。

  • 国内販売(ドレスシャツの卸と売り場):数量 469(国内で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 2.35(1枚あたりの卸の平均売上(千円))→ 売上 110 億円・営業利益 4 億円。枚数0.95倍・単価1.38倍・利益率4%
  • 製造・海外販売:数量 163(受託・海外で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 1.66(1枚あたりの平均売上(千円))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。受託の枚数1.3倍・単価1.38倍・利益率3.5%

倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 32 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:需要が縮むなかで枚数をほぼ保ち、営業利益率を過去12年の山の2倍近くまで上げる必要がある。同業の撤退と機能品の両方が当たる姿で、確度は低い。

やや楽観 17% 中期計画どおり、薄い黒字が定着 利益 2 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 123 円17 億円

構造改革が効き、営業利益率は3%近くで落ち着く。中期計画の目標を少し上回る水準だ。

ワイシャツの枚数は1割強減るが、同業の撤退で減り方は市場より緩い。機能品の比率が上がり、1枚の値段は物価並みに上がる。受託の縫製も、国内の生産を求める取引先から注文が増える。

借金は在庫の圧縮で少しずつ減る。それでも借り換えのたびに金利は上がり、利払いは営業利益の3割を食う。配当は細く再開する。会社は生き残るが、株主の資本を増やす力は弱いままだ。

受託の縫製が育つかどうかで、利益は上にも下にも振れる。国内の工場を残したことが、ここでは強みになる。

  • 国内販売(ドレスシャツの卸と売り場):数量 435(国内で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 2.28(1枚あたりの卸の平均売上(千円))→ 売上 99 億円・営業利益 3 億円。枚数0.88倍・単価1.34倍・利益率3%
  • 製造・海外販売:数量 138(受託・海外で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 1.61(1枚あたりの平均売上(千円))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。受託の枚数1.1倍・単価1.34倍・利益率2.5%

倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.2% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 17 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:工場の閉鎖で固定費は実際に減り、今期の第1四半期は黒字に戻った。中期計画の利益水準を10年保つ姿で、需要の縮みを一部シェアで埋める。

中立 40% 需要は2割減り、利益は利息に消える 利益 1 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 49 円7 億円

工場の閉鎖で赤字は止まる。だが需要の縮みは続き、国内で売るシャツの枚数は10年で2割強減る。綿や人件費の上昇は値段に乗せるが、量販店の目が厳しく、物価をやや下回る。

営業利益率は2%強で、過去の山とほぼ同じだ。金額にして2億円余り。そこから借金の利息が1億円以上引かれる。借り換えのたびに金利は上がり、在庫を減らして返す速さと追いかけっこになる。

残る純利益は1億円に届かない。配当は細く再開するが、自己資本はほとんど増えない。会社は続くが、株主が持つ理由は乏しい。

本社の土地は持ち続けるが、使い道は示されない。株主から見れば、眠った資産のままだ。

  • 国内販売(ドレスシャツの卸と売り場):数量 385(国内で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 2.21(1枚あたりの卸の平均売上(千円))→ 売上 85 億円・営業利益 2 億円。枚数0.78倍・単価1.30倍・利益率2.4%
  • 製造・海外販売:数量 119(受託・海外で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 1.56(1枚あたりの平均売上(千円))→ 売上 19 億円・営業利益 0 億円。受託の枚数0.95倍・単価1.30倍・利益率1%

倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.9% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 7 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:売上が10年で半分になった流れは統計と開示で確かめられ、営業利益率は過去12年で2.2%を超えていない。改革で赤字は止まるが、天井は破れない姿を中心に置いた。

やや悲観 24% 縮みが速まり、赤字に戻る 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 26 円4 億円

カジュアル化と人口減が重なり、シャツの枚数は10年で4割近く減る。百貨店の売り場がさらに縮み、量販店は大手の自社品に棚を譲る。値上げも物価に届かない。

工場を閉じても、売上の減りに固定費の削減が追いつかない。営業利益はほぼゼロになり、利息を払うと赤字が続く。自己資本は10年で3割ほど減る。

借金を返すために、賃貸用の土地や物流センターを手放す。本社の土地の含みは、借金の圧縮に使われる。配当は再開できない。

会社は続くが、規模は今の8割ほどになる。株主の価値は、手元に残る土地の含みとほぼ同じになる。

  • 国内販売(ドレスシャツの卸と売り場):数量 306(国内で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 2.13(1枚あたりの卸の平均売上(千円))→ 売上 65 億円・営業利益 0 億円。枚数0.62倍・単価1.25倍・利益率0.5%
  • 製造・海外販売:数量 93.8(受託・海外で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 1.50(1枚あたりの平均売上(千円))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。受託の枚数0.75倍・単価1.25倍・赤字

倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。売れる資産の税後(本社の土地の含みと政策保有株)に戻り方0.5を掛けた約3.7億円を床とし、今の自己資本32.3億円の0.115倍に置いた。EV(時価総額+純負債約35億円)÷営業利益は数百倍と意味をなさない。営業利益がほぼゼロの筋書きで、株主の取り分は資産の床でしか測れない。

確率:2021〜2022年と2026年に赤字の前例があり、売上の年率は−6%と速い。工場を閉じても売上の減りに追いつかない姿は十分ありうるので、楽観側より厚くした。

悲観 13% 需要が半減し、資産が借金に消える 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 13 円2 億円

ワイシャツを毎日着る人がさらに減り、枚数は10年で半分以下になる。百貨店の売り場は消え、量販店は大手の自社品で足りる。卸の値段は物価に遠く届かない。

工場を閉じ続けても、固定費と利息が重く、毎年数億円の赤字が出る。自己資本は10年でほとんど消える。銀行は返済を求め、本社や物流センターの土地は借金の返済に回る。

資産を売り尽くしたあとに残るものは少ない。会社が生き残っても、株主の取り分はわずかだ。

この筋書きでは、会社の規模は今の半分になる。株主に残るのは、土地を売り尽くした後のわずかな値打ちだけだ。

  • 国内販売(ドレスシャツの卸と売り場):数量 222(国内で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 2.04(1枚あたりの卸の平均売上(千円))→ 売上 45 億円・営業利益 −1 億円。枚数0.45倍・単価1.2倍・赤字
  • 製造・海外販売:数量 62.5(受託・海外で売るシャツの枚数(万枚))× 価格 1.44(1枚あたりの平均売上(千円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。受託の枚数0.5倍・単価1.2倍・赤字

倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。土地の売却額から赤字で膨らむ借金を返した残りに戻り方0.5を掛けた約1.9億円を床とし、今の自己資本32.3億円の0.059倍に置いた。

確率:売上は10年で半分になった前例があり、同じ速さがもう10年続けば事業は維持できない。純負債が時価総額を上回るので、赤字が続けば株主の取り分は急速に細る。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

国内販売(ドレスシャツの卸と売り場)

CHOYA・SWANなどのワイシャツを百貨店・専門店・量販店に卸し、ネットでも売る。

数量国内で売るシャツの枚数(万枚)価格1枚あたりの卸の平均売上(千円)売上営業利益
今 2026/03 494 1.70 84 −1
10 年後 中立 385 2.21 85 2

取り方:枚数は未開示。国内販売の売上84億円を、百貨店向けと量販店向けを均した卸の平均(1枚1.7千円)で割った推定。

製造・海外販売

国内3工場とラオスの自社工場での受託縫製と、上海・タイでの販売。

数量受託・海外で売るシャツの枚数(万枚)価格1枚あたりの平均売上(千円)売上営業利益
今 2026/03 125 1.20 15 −2
10 年後 中立 119 1.56 19 0

取り方:製造12億円と海外販売3億円の合計を、受託の縫製単価を均した1枚1.2千円で割った推定。営業損失は製造−1.0億円・海外−1.2億円。

リスクと懸念

ワイシャツの需要の縮み

在宅勤務とオフィスのカジュアル化で、ワイシャツを毎日着る人が減った。売上は10年で半分になり、この流れは戻りそうにない。働く世代の人口減も重なる。

借金と金利

借入金は約41億円で、時価総額22億円のほぼ2倍だ。短期の借入が中心で、金利が上がればすぐに利払いが膨らむ。営業利益が薄いので、利息がその大半を食う。

値決め力の弱さ

ユニクロや青山商事、AOKIが自社のシャツを安く売る。量販店や百貨店は仕入れ値に厳しく、綿や人件費の上昇を卸の値段に乗せ切れない年が多い。

在庫の値引き

シャツは色や柄、サイズで品数が多く、売れ残りが出やすい。需要が急に落ちると在庫の評価損や値引きが利益を削る。2026年3月期の赤字にもその影が出た。

海外の生産と為替

生産はラオスの自社工場と中国・東南アジアの協力工場に頼る。現地の人件費の上昇や政情、輸送費の高騰が原価を押し上げる。為替は150円で固定して見たが、実際の円安は仕入れを重くする。

今後の分かれ目

営業利益率が2期続けて3%を超えたら
やや楽観の確率を厚くし、国内販売の利益率を上げる。
借入金が30億円を切ったら
借金の上乗せを外して資本コストを下げ、利払いを軽くする。
国内販売の売上が2期続けて5%超減ったら
やや悲観の確率を厚くし、中立の枚数を下げる。
本社の土地を売るか、賃貸に回す方針が出たら
含みの使い道を見て、悲観側の床を見直す。借金の返済に回るなら株主の取り分は小さい。
配当が再開し、還元の方針が示されたら
溜まる現金の戻り方を0.75に上げる。

見ておくもの

  • 国内販売の売上と営業利益率
  • 借入金と支払利息
  • 在庫の額と回転
  • 中期計画の進み具合
  • 配当の再開

倍率と資本コストの決め方

今の株価は見ずに、シャツの枚数(推定)と卸の単価、利益率から10年後の営業利益を積み、借入の利払いを引いた。全筋書きでROEは資本コスト10%に届かないので、PERは1÷k(約10.5倍)を上限に利益の質で8〜9割に置いた。悲観側は赤字のため、土地の含みと政策保有株に戻り方0.5を掛けた床で置いた。PBRが0.7倍台でも、それを割安の根拠にはしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→10 倍・やや楽観 PER 9→10 倍・中立 PER 8.5→10 倍)。

資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%+quality 2.0%。2026年3月期の赤字は工場閉鎖の一過性が大半で、今期は黒字予想のため上乗せ(distress)は付けず、苦しい姿は筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 10.00%。

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割安 ゴールドウイン8111 稼ぐ力は本物だが、1 つのブランドに乗りすぎている。10 年で見ると今の値段はおおむね妥当だ 本質価値との差 +30.0% · 10 年 割安(年 +9.5%) やや割安 オーベクス3583 帽子の技術から生まれたペン先の名脇役。稼ぐ力は資本コストに届かず、現金は戻りにくい。今の値段はほぼ妥当 本質価値との差 +19.9% · 10 年 やや割安(年 +9.2%) やや割安 セーレン3569 車の内装材で世界首位の堅い会社だが、最高益の続きを前提にした今の値段はやや高い 本質価値との差 +14.5% · 10 年 やや割安(年 +7.9%) やや割安 日本毛織3201 利益の半分は商業施設と不動産が稼ぐ。会社は堅いが、10年の伸びは物価並みで、今の値段に余裕は乏しい 本質価値との差 +13.6% · 10 年 やや割安(年 +7.3%) やや割安 サイボー3123 稼ぎの9割は商業施設の賃料。借金が重く、2027年の契約更新と繊維の赤字が分かれ目 本質価値との差 +11.8% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) 適正 富士紡ホールディングス3104 半導体の研磨パッドで稼ぐ元繊維会社。事業の質は高いが、利益の山を織り込んだ今の値段に余裕はない 本質価値との差 +1.7% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 小松マテーレ3580 染め物の技術は確かで財務も堅いが、稼ぐ力は並み。今の値段は、良い目も悪い目も織り込んだ水準に近い 本質価値との差 +1.1% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 東京ソワール8040 喪服の老舗卸。売場の百貨店が消えていく中で稼ぎは細く、現金と株の厚さほどの値打ちはない 本質価値との差 +0.9% · 10 年 適正(年 +7.4%) 適正 オンワードホールディングス8016 立て直しは本物だが、稼ぐ力はまだ資本コストに届かない。10 年で見ると今の値段はやや先を行く 本質価値との差 −4.0% · 10 年 適正(年 +6.8%) 適正 東レ3402 炭素繊維で世界首位の複合化学大手。事業は強いが、資本の稼ぎが資本コストに届かず、10 年で見ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −4.2% · 10 年 適正(年 +6.2%) 適正 TSIホールディングス3608 多ブランドで利益は上向く。ただ稼ぐ力は資本コストに届かず、10 年で見ると今の値段は先を行く 本質価値との差 −6.3% · 10 年 適正(年 +6.3%) 適正 倉敷紡績3106 本業は化成品と計測機器で稼ぎ始めたが、保有株の含み益を足しても、今の値段は先を行きすぎている 本質価値との差 −8.3% · 10 年 適正(年 +5.6%) 適正 クラウディアホールディングス3607 ドレスを作る会社から式場の運営へ。利益は戻ったが、婚礼の数が細るなか借金と家賃が重く、今の値段はやや高い 本質価値との差 −9.6% · 10 年 適正(年 +7.1%) やや割高 イチカワ3513 製紙機械の消耗品フェルトで国内を二分する堅い会社。ただ国内の紙は縮み、直近の高い利益率は山。10年で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −10.5% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 マツオカコーポレーション3611 ユニクロ・東レ向けの縫製受託で売上は伸びるが、利益は薄く為替頼み。為替が動かない前提では今の値段はやや高い 本質価値との差 −11.4% · 10 年 やや割高(年 +5.9%) やや割高 ルックホールディングス8029 海外ブランドの独占契約で稼ぐ会社で、純資産は厚いが利益率が低く契約の更新に左右され、確率の加重では今の値段を2割台後半下回る 本質価値との差 −11.5% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 帝人3401 繊維商社・アラミド・在宅医療を抱える複合企業。立て直しは緒に就いたが、稼ぐ力が資本コストに届かず、本質価値は今の値段をやや下回る 本質価値との差 −12.2% · 10 年 やや割高(年 +6.3%) やや割高 ダイニック3551 製本クロス・壁装材・フィルム加工の老舗。利益は回復したが資本効率は低く、純負債も重い。10年後の価値は今の時価総額を下回り割高の側 本質価値との差 −12.4% · 10 年 やや割高(年 +5.8%) やや割高 東海染工3577 縮む国内の染色と、伸びる保育の二本足。帳簿は厚いが稼ぐ力は細く、今の値段は高い 本質価値との差 −13.1% · 10 年 やや割高(年 +5.8%) やや割高 丸八ホールディングス3504 ふとんの訪問販売は縮み、稼ぎの半分は運用収益。親会社が 68% を持つ会社で、株主に戻る額を考えると割高 本質価値との差 −13.2% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 帝国繊維3302 消防ホース国内首位の堅い防災会社だが、今期の好調と眠る資産の戻りを織り込んだ今の値段はやや高い 本質価値との差 −18.2% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) やや割高 シキボウ3109 紡績と織物の老舗がユニチカの衣料事業を取り込んだが、借入は重く、10年の価値は今の時価総額を3割ほど下回る 本質価値との差 −19.8% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 SUMINOE3501 車とカーペットの繊維メーカー。売上は大きいが稼ぐ力が薄く、10年で見れば今の値段は割高と筆者は見る 本質価値との差 −21.9% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) やや割高 自重堂3597 作業服の老舗で、財務は無借金で極めて厚い。ただ売上は10年で縮み、稼ぐ力は資本に見合わない 本質価値との差 −24.3% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 ソトー3571 毛織物の染色加工が赤字を垂れ流す一方、有価証券と賃貸不動産の厚みで支える会社。10年で見ると今の値段は高い 本質価値との差 −27.8% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) 割高 トーア紡コーポレーション3204 毛糸と車の内装材と商業施設の賃料。借金の金利が上がると、稼ぎの多くが利払いに消える 本質価値との差 −34.8% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 グンゼ3002 肌着の老舗は、稼ぎ頭が樹脂と医療へ移る途中にある。今の値段は、再建の成功をほぼ織り込んだ水準だ 本質価値との差 −36.6% · 10 年 割高(年 +1.3%) 割高 日東製網3524 漁網の老舗だが、在庫を抱える借入が売上の 8 割。金利の上昇が稼ぎを食い、価値は今の値段の半分ほど 本質価値との差 −37.3% · 10 年 割高(年 +2.8%) 割高 日本フエルト3512 製紙用フェルトの老舗。本業の稼ぎは薄く、価値の大半は保有株と賃貸ビル。資産の還元は進むが今の値段は高い 本質価値との差 −38.2% · 10 年 割高(年 +1.3%) 割高 ナイガイ8013 老舗の靴下卸は借りたブランドで売上の8割を稼ぎ、本業はほぼ利益を出さない。持ち合い株と現金は厚いが株主には届きにくい 本質価値との差 −39.3% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 フジックス3600 京都の老舗の縫い糸メーカー。本業は 5 期続けて赤字で、時価総額を上回る現金と銀行株が株主に戻る道は細い 本質価値との差 −42.1% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 キング8118 利益の大半は賃貸ビルが稼ぎ、アパレルは赤字。時価総額の半分は現金で、その現金が株主に戻るかどうかが価値を決める 本質価値との差 −42.3% · 10 年 割高(年 +1.1%) 割高 ワコールホールディングス3591 稼ぐ力はまだ戻っていない。資産の厚みに支えられているが、10 年で見ると今の値段は先を行きすぎている 本質価値との差 −44.2% · 10 年 割高(年 +0.6%) 割高 ダイドーリミテッド3205 再建の入口に立つ会社。買収と資産売却で形は整ったが、利益はまだ薄く、今の値段は成功を先取りしている 本質価値との差 −53.4% · 10 年 割高(年 −0.8%) 割高 ヤマトインターナショナル8127 クロコダイルを量販店で売る老舗。本業は赤字すれすれだが、現金と株式で時価総額の大半を説明できる資産型の会社 本質価値との差 −54.7% · 10 年 割高(年 −0.8%) 割高 ダイトウボウ3202 稼ぎの柱はショッピングセンター一つ。借金の利息と本社の費用に削られ、株主に残る利益は薄い 本質価値との差 −57.3% · 10 年 割高(年 −1.8%) 割高 アツギ3529 本業のストッキングと肌着は赤字が続く。価値は厚木の賃貸地と保有株に宿るが、自力で引き出す道筋は見えない 本質価値との差 −61.3% · 10 年 割高(年 −3.0%) 割高 オーミケンシ3111 工場跡地の賃料で食いつなぐ元レーヨン大手。借金と優先株の重みで、普通株に残る価値は薄い 本質価値との差 −83.9% · 10 年 割高(年 −8.4%) 割高 北紡3409 紡績の老舗が、中東向けの生地、のど飴、ハイヤー、ビットコインへと手を広げた。17 期を超える赤字が続き、値打ちの芯は土地しか残らない 本質価値との差 −90.4% · 10 年 割高(年 −13.4%) 割高 ユニチカ3103 フィルムと樹脂の会社に生まれ変わったが、普通株の取り分は転換で約 1 割に薄まる仕組みで、今の時価総額は事業の価値と釣り合わない 本質価値との差 −91.4% · 10 年 割高(年 −15.6%) 割高 キムラタン8107 子供服から不動産の買取再販に姿を変えた小型株。借金が重く、今の値段は資産に見合わない 本質価値との差 −96.7% · 10 年 割高(年 −21.9%)

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読んだ資料

  1. 山喜 2026年3月期 決算短信
  2. 山喜 有価証券報告書 FY2026 の要点(EDINET DB)

分析日 2026-10-20