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東京ソワール 8040

喪服の老舗卸。売場の百貨店が消えていく中で稼ぎは細く、現金と株の厚さほどの値打ちはない

適正
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,042 円36 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,032 円36 億円差 +0.9%
10 年後から見ると 適正 価値 1,042 円36 億円 · 差 +0.9% · 期待の年率 +7.4%
期待の年率リターン(10 年)+7.4%資本コスト比 −1.1 pt
推定の資本コスト8.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

東京ソワールは、喪服を中心とする婦人のフォーマルウェアの会社だ。1971年に黒のフォーマルに絞り込み、百貨店と量販店の売場で育った。売上161億円の9割をフォーマルで稼ぎ、残りは2024年に買ったセレクトショップのキャナルジーンである。

筆者の結論は、今の値段はほぼ妥当で、やや高めというものだ。営業利益率は過去25年で4%を超えたことがない。2025年12月期は1%にとどまった。ならした純利益は3億円前後で、資本コストに遠い。

喪服の需要そのものは底堅い。亡くなる人の数は2040年ごろまで増え続け、きちんとした装いへのこだわりも残る。新ブランドのTOKYO SOIRは立ち上がりが好調だ。

それでも売り先の百貨店と量販店は、毎年のように売場を閉じる。家族葬が広がり、喪服を新調する機会も減った。卸から小売への転換は始まったばかりで、売場の減少を埋めきれていない。

純現金15億円と株17億円、賃貸不動産は厚い。だがその稼ぎは既に利益に入っており、会社が売る方針もない。今の値段は、その厚さに頼りすぎていると筆者は見る。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、資産は厚いが、事業の稼ぎが弱すぎる会社だ。

自己資本は105億円あり、純現金と株、不動産で40億円を超える。PBR0.3倍と聞けば安く見える。だが少数株主が手にできるのは、事業が稼ぐ利益と配当だけだ。会社が資産を売って配る方針は無い。

その稼ぎが年3億円前後しかない。設備はあまり要らない商売なので、利益の多くは株主のものになる。それでも資本コストを8%強とすると、値打ちは30億円台にとどまる。

10年後も喪服は要る。亡くなる人の数は増え、きちんとした装いへの思いも残る。問題は、その喪服をどこで売るかだ。百貨店の売場という長年の強みは、10年で大きく削られる。直営店とECで同じ信頼を築けるかは、まだわからない。

安全域は、事業でなく資産の厚さに頼っている。資産を株主に戻す仕組みが無い以上、筆者はそこに十分な安全域を見ない。

何で稼ぐ会社か

創業は1954年。児島絹子氏が開いたソワール洋装店が始まりで、1969年に会社になった。1971年に黒のフォーマルに特化し、喪服の代名詞のような会社に育った。

事業は2つある。主力のフォーマル事業は、2025年12月期の売上が145億円、セグメント利益は0.9億円だった。葬儀や法要のブラックフォーマル、結婚式や入学式のカラーフォーマル、真珠などの小物を扱う。20を超えるブランドを持ち、うちブラックフォーマルだけで10を超える。

売り方は卸が約7割だ。製品は国内外の縫製工場や商社から仕入れ、全国の百貨店や量販店の売場に置く。売場は644か所あり、多くは店の中に場所を借りる形で、売れた分だけ店と分け合う。残りは直営店のformforma、EC、レンタルである。

ライフスタイル事業は、2024年に買ったキャナルジーンだ。売上は16億円、利益は0.8億円。セレクトショップのCANAL JEANを営み、売上の7割をECで稼ぐ。黒の雑貨のkuros'もここに入る。

中期経営計画は2027年12月期に売上180億円、営業利益5.4億円を掲げる。2040年に売上300億円という長い目標もある。

優良さと弱いところ

堀、つまり他社がまねできない強みは、喪服という狭い分野での信頼だ。

喪服は失敗の許されない服である。周りから失礼に見られないか、何年も着られるか。買う人はこれを気にし、名の通った売場で選ぶ。東京ソワールは半世紀かけて百貨店の喪服売場を押さえ、1社で売場を任される例も多い。縫製とプレスの技術にも定評がある。

ただ、この強みは売場ごと縮んでいる。百貨店と量販店は地方から閉店が続き、売場を持たない会社の信頼は客に届かない。ECでは、安い喪服が値段で並べられる。

数字も弱さを示す。営業利益率は過去25年で4.3%が最高だ。ROEは中央値で2%に満たず、資本コストの8%台に遠い。2020年にはコロナ禍で22億円の営業損失を出した。

経営は効率を上げようとしている。在庫の回転は良くなり、粗利率も上がった。ただ販管費がそれを食い、利益は増えていない。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

婦人のフォーマルウェアは、需要の数と売場の数が逆に動く市場だ。

需要の側は意外に底堅い。日本で亡くなる人は年160万人に近づき、2040年ごろまで増え続ける。葬儀の約半分は家族葬になったが、コロナの後は一般葬に戻る動きもある。結婚式は減るが、入学式や卒業式、七五三の装いは続く。

売場の側は縮み続ける。喪服は長く百貨店と量販店で売られてきた。その百貨店は地方から閉店が相次ぎ、量販店も衣料の売場を減らしている。東京ソワールの2025年12月期の売上が予想を下回ったのも、主に売場の閉鎖のためだ。

買い方も変わった。喪服は急に要る服で、ECで翌日に届く安い品が増えた。一度しか着ないならと、借りる人もいる。東京ソワール自身もレンタルの店を青山と名古屋に開いた。

競合は、量販店の自社ブランドとECの専業、ほかのフォーマルの卸である。東京ソワールは百貨店の売場では首位級だが、売場そのものが縮む中での首位である。

筆者の見立てでは、フォーマルの点数は10年で15%ほど減る。単価は品質で物価に近く上がるが、届かない。

資本政策と M&A

還元は配当が中心だ。2025年12月期の配当は総額1.5億円ほど。利益が細った年も配当を保ち、配当性向は4割から6割に達する。自社株買いの方針は示していない。

2024年には、キャナルジーンを買った。卸から小売へ、婦人服から雑貨へと広げる狙いだ。中計では業務提携やM&Aの機会も探るとする。

資産は厚い。純現金15億円、投資有価証券17億円、賃貸不動産8億円、土地17億円を持つ。自己資本比率は75%だ。ただ株の配当と不動産の賃料は既に利益に入っており、売る方針を数字で示してもいない。

時価総額は36億円と、自己資本の3分の1にとどまる。2024年末には流通株式の時価総額が上場の基準を下回り、2025年末にようやく適合した。資本の効率を上げる手は、まだ打たれていない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

喪服の需要は消えない。日本で亡くなる人は2040年ごろまで増え続ける。コロナで広がった家族葬も、一般葬に戻る動きがある。周りの目を気にして、きちんとした服を選びたい人は多い。東京ソワールは、その時に真っ先に名前が浮かぶ会社だ。

変化への手も打っている。新ブランドのTOKYO SOIRは発売2か月で計画を65%上回り、売場は200店を超えた。キャナルジーンの新宿店も計画を大きく上回り、出店の誘いが相次ぐ。レンタルの店は名古屋に広がった。卸から小売への転換で、粗利率は1年で1ポイント上がった。

資産はさらに厚い。純現金15億円、株17億円、賃貸不動産と土地を持ち、時価総額の36億円を上回る。配当は利益が細った年も保ち、利回りは4%台だ。会社は資本コストを意識した経営を掲げ、ROEの改善に取り組むと明言している。売場の整理が終われば、中計の利益率3%は手の届く数字だ。

会社が見込む株主資本コストは5〜6%で、それを超えるROEを目標に掲げた。経営が資本の効率を口にし始めたこと自体が、変化の兆しである。

慎重な見方

売場が消えていく。喪服は百貨店と量販店で売られてきたが、その閉店は地方から止まらない。2025年12月期の売上が予想を下回ったのも、主に売場の閉鎖のためだ。直営店とECは伸びているが、卸の7割を埋めるには小さすぎる。

利益の実績は乏しい。営業利益率は過去25年で4.3%が最高で、2015年から2019年は赤字と黒字を行き来した。2020年には22億円の営業損失を出した。中計の3%も、過去に届いたのは数年だけだ。

家族葬や直葬が当たり前になれば、喪服を新調する機会は減る。安い喪服はECで翌日に届き、借りる人も増える。値上げは通りにくい。

資産の厚さは株主の手に届かない。株の配当と不動産の賃料は既に利益に入っており、会社に売る方針はない。キャナルジーンの買収も、のれんを生んだだけでまだ利益は小さい。ROEが2%の会社が資産を抱えても、株主の価値は増えない。

会社は資本コストを5〜6%と見積もるが、筆者の目にはそれも低すぎる。資本の値段を軽く見る経営は、資産を寝かせがちだ。

どちらに重みを置いたか

慎重な見方に分がある。喪服の需要は底堅いが、それを売る場所が縮んでおり、小売への転換はまだ売場の減少を埋めていない。利益率の実績も乏しい。確率は中立を厚くし、悲観側をやや厚めに置いた。資産の厚さは床を支えるが、株主に戻る仕組みが無いため、上振れの確率は小さく見た。小売への転換が2〜3年で数字に出れば、見方を改める。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 1,613 円56 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 494 円17 億円)。 今の値に割り戻すと 1,042 円36 億円、今との差 +0.9%、 期待の年率 +7.4%(資本コスト 8.5%)→ 適正

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 3,075 円106 億円 809 円28 億円 +276.4% +14.2% 311 円11 億円
やや楽観 20% 2,295 円79 億円 636 円22 億円 +184.0% +11.0% 586 円20 億円
中立 38% 1,679 円58 億円 520 円18 億円 +113.1% +7.9% 836 円29 億円
やや悲観 22% 991 円34 億円 347 円12 億円 +29.6% +2.6% 294 円10 億円
悲観 12% 434 円15 億円 231 円8 億円 −35.6% −4.3% 80 円3 億円
加重平均100% 1,613 円56 億円494 円17 億円 +104.1% +7.4% 2,107 円73 億円

今の株価時価総額 1,032 円36 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。

楽観 8% 直営と新ブランドで小売の会社に変わる 利益 9 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 3,075 円106 億円

卸から小売への転換が実を結ぶ。直営のformformaとTOKYO SOIRが全国の商業施設に広がり、百貨店の売場が減った分を自前の店とECで取り戻す。喪服は人生で何度も買わない品だが、亡くなる人の数は2040年ごろまで増え続ける。フォーマルの点数は横ばいを保ち、単価は品質で1.36倍に上がる。利益率は4%と、四半世紀ぶりの水準になる。

キャナルジーンは東京に続いて大阪や名古屋に出店し、ECとともに売上は3倍を超える。

営業利益は11億円、純利益は8億円台だ。配当は利益に合わせて増え、10年の還元は28億円になる。それでもROEは6%台で、資本コストには届かない。

  • フォーマル事業(喪服・礼服の卸と小売):数量 72.0(販売点数(万着))× 価格 2.74(1着あたりの平均単価(万円))→ 売上 197 億円・営業利益 8 億円。点数横ばい・単価1.36倍・利益率4.0%
  • ライフスタイル事業(キャナルジーン):数量 62.5(受注件数(万件))× 価格 0.87(1件あたりの平均単価(万円))→ 売上 54 億円・営業利益 3 億円。件数2.5倍・単価1.34倍・利益率6.0%

倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)6 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 106 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:卸から小売への転換、新ブランドの全国展開、キャナルジーンの出店がそろって成功する必要がある。中計の営業利益率3%すら過去に届いたのは数年だけで、確度は低い。

やや楽観 20% 中計の利益率に届き、子会社が育つ 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,295 円79 億円

百貨店と量販店の売場は減り続けるが、直営店とECが一部を埋める。フォーマルの点数は0.92倍、単価は物価並みの1.34倍だ。仕入れを中国からベトナムやインドネシアに移し、原価の上昇を抑える。利益率は3.2%と、中計の目標を少し上回る。

キャナルジーンは数店を出し、ECも伸びて売上は2倍台になる。利益率は5%だ。

営業利益は8億円弱、純利益は6億円台になる。配当は今の水準から少しずつ増え、10年の還元は22億円。自己資本は133億円に積み上がり、ROEは5%弱にとどまる。レンタルの店も主要都市に広がり、喪服を持たない人の需要を拾う。

  • フォーマル事業(喪服・礼服の卸と小売):数量 66.2(販売点数(万着))× 価格 2.70(1着あたりの平均単価(万円))→ 売上 179 億円・営業利益 6 億円。点数0.92倍・単価1.34倍・利益率3.2%
  • ライフスタイル事業(キャナルジーン):数量 50.0(受注件数(万件))× 価格 0.86(1件あたりの平均単価(万円))→ 売上 43 億円・営業利益 2 億円。件数2.0倍・単価1.32倍・利益率5.0%

倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.0% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)6 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 79 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:2023年12月期に営業利益率3.5%の実績があり、中計の3%は届かない数字ではない。キャナルジーンの新宿店は計画を大きく上回った。百貨店の閉店は続くので、点数は減る形にした。

中立 38% 売場は減り、点数は細るが利益は少し戻る 利益 5 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,679 円58 億円

百貨店と量販店の閉店が続き、卸の売場は減る。家族葬が広がり、喪服を新調する人も減る。それでも亡くなる人の数は増え、一般葬に戻る動きもある。フォーマルの点数は0.85倍、単価は1.30倍だ。利益率は2.5%で、過去の良い年と悪い年の中ほどである。

キャナルジーンは1.5倍に育ち、利益率は4%を保つ。

営業利益は5億円強、純利益は4.5億円になる。賃貸不動産の賃料と株の配当が、営業外で利益を支える。配当は年1.5億円ほどを続け、10年の還元は18億円。自己資本は127億円に膨らみ、ROEは3%台にとどまる。

  • フォーマル事業(喪服・礼服の卸と小売):数量 61.2(販売点数(万着))× 価格 2.62(1着あたりの平均単価(万円))→ 売上 160 億円・営業利益 4 億円。点数0.85倍・単価1.30倍・利益率2.5%
  • ライフスタイル事業(キャナルジーン):数量 37.5(受注件数(万件))× 価格 0.85(1件あたりの平均単価(万円))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。件数1.5倍・単価1.30倍・利益率4.0%

倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.7% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)6 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 58 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:百貨店と量販店の閉店は過去10年続いており、止まる理由がない。一方で喪服の需要そのものは亡くなる人の数に支えられる。過去の利益率の中ほどに戻る姿が最も自然とみた。

やや悲観 22% 百貨店の売場が消え、利益が細る 利益 2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 991 円34 億円

地方の百貨店と量販店の閉店が加速し、卸の売場が大きく減る。直営店とECでは埋めきれず、フォーマルの点数は0.72倍に縮む。値上げも通りにくく、単価は1.24倍だ。利益率は1%に落ちる。

キャナルジーンは伸び悩み、売上は1.2倍にとどまる。

営業利益は2億円弱、純利益は賃料と配当に支えられて2億円ほどだ。配当は減り、10年の還元は12億円。自己資本は115億円あるが、その多くは在庫と土地、株である。

稼ぐ力で測る価値は25億円ほどで、現金の一部を足しても30億円に届かない。株と不動産を売るかどうかは、経営が決める。

  • フォーマル事業(喪服・礼服の卸と小売):数量 51.8(販売点数(万着))× 価格 2.49(1着あたりの平均単価(万円))→ 売上 129 億円・営業利益 1 億円。点数0.72倍・単価1.24倍・利益率1.0%
  • ライフスタイル事業(キャナルジーン):数量 30.0(受注件数(万件))× 価格 0.81(1件あたりの平均単価(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円。件数1.2倍・単価1.25倍・利益率2.0%

倍率:ROE約1.8%でkを大きく下回る。稼ぐ力(純利益約2.1億円÷k)は約25億円、余った現金の0.75倍に戻り方0.75を掛けた約4.5億円を足して約30億円。その手前の今の自己資本104.9億円の0.273倍に置いた。

確率:主力の百貨店と量販店の閉店は年々進み、2025年12月期もそれで売上が予想を下回った。2015年から2019年は赤字と黒字を行き来した実績がある。

悲観 12% 喪服の卸が成り立たなくなる 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 434 円15 億円

地方の百貨店と量販店が次々に消え、卸の売場は半分以下になる。葬儀は家族葬と直葬が当たり前になり、喪服を買わずに借りる人も増える。フォーマルの点数は0.55倍、単価は1.12倍しか上がらない。在庫の値引きがかさみ、利益率はマイナス3%に沈む。

キャナルジーンも競争に負け、売上は今の8割になる。

営業損失は3億円に達し、賃料と配当で埋めても赤字が続く。配当は減り、やがて止まる。10年の還元は8億円にとどまる。

残る価値は現金と株、賃貸不動産だ。ただ赤字で現金は細り、売るかどうかを決めるのは経営である。

  • フォーマル事業(喪服・礼服の卸と小売):数量 39.6(販売点数(万着))× 価格 2.25(1着あたりの平均単価(万円))→ 売上 89 億円・営業利益 −3 億円。点数0.55倍・単価1.12倍・利益率−3.0%
  • ライフスタイル事業(キャナルジーン):数量 20.0(受注件数(万件))× 価格 0.75(1件あたりの平均単価(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。件数0.8倍・単価1.15倍・利益率−2.0%

倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。純現金と投資有価証券・賃貸不動産の税後に戻り方0.5を掛けた床(約15億円)で、今の自己資本104.9億円の0.143倍に置いた。

確率:百貨店の売場の消滅、家族葬と直葬の定着、喪服を持たず借りる習慣が重なる構造的な負け。2020年12月期に営業損失22億円を出した実績もある。喪服の需要が消えはしないので1割強にとどめた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

フォーマル事業(喪服・礼服の卸と小売)

葬儀や法要で着るブラックフォーマルと、結婚式や入学式のカラーフォーマル、小物。百貨店・量販店への卸が中心で、直営店とEC、レンタルも営む。

数量販売点数(万着)価格1着あたりの平均単価(万円)売上営業利益
今 2025/12 72.0 2.01 145 1
10 年後 中立 61.2 2.62 160 4

取り方:2025年12月期のフォーマル事業の売上144.87億円・セグメント利益0.92億円(決算短信)。点数の開示は無く、小物を含めた1点あたりの平均単価を約2万円と置いて約72万着とした推定。

ライフスタイル事業(キャナルジーン)

子会社キャナルジーンのセレクトショップCANAL JEANと、黒の雑貨のkuros'。売上の7割がEC。

数量受注件数(万件)価格1件あたりの平均単価(万円)売上営業利益
今 2025/12 25.0 0.65 16 1
10 年後 中立 37.5 0.85 32 1

取り方:2025年12月期のライフスタイル事業の売上16.25億円・セグメント利益0.82億円(決算短信)。件数の開示は無く、ECの1件あたり約6,500円と置いて約25万件とした推定。

リスクと懸念

百貨店と量販店の売場の閉鎖

売上の約7割は卸で、その多くが百貨店と量販店の売場だ。地方の閉店は止まらず、2025年12月期の売上が予想を下回った主な理由になった。直営店とECで埋めきれなければ、点数は縮み続ける。

葬儀の簡素化

家族葬と直葬が広がれば、喪服を新調する機会は減る。コロナの後に一般葬へ戻る動きもあるが、長い目で見て葬儀が小さくなる流れは変わりにくい。

ECの安い品とレンタル

喪服は急に要る服で、ECで翌日に届く安い品が増えた。一度しか着ないならと借りる人もいる。値上げが通りにくく、単価は物価に届かないおそれがある。

在庫と天候

在庫は売上の3割近くあり、売れ残れば値引きと評価損で利益が飛ぶ。カラーフォーマルと雑貨は流行と天候に左右され、猛暑で来店が減った年もある。

買収と小売への転換の実行

キャナルジーンの買収でのれんを抱え、直営店の出店には家賃と人件費の固定費が伴う。小売への転換が売上に結びつかなければ、固定費だけが残る。

資産を株主に戻す仕組みの欠如

純現金、株、不動産で時価総額を上回る資産を持つが、売る方針も自社株買いの方針もない。資本の効率が低いまま、資産だけが寝続けるおそれがある。

今後の分かれ目

営業利益率が2期続けて3%を超えたら
中計の達成とみて、やや楽観の確率を厚くする。
TOKYO SOIRと直営店の売上が卸の減少を上回り、フォーマルの売上が増えたら
フォーマルの点数を上げる。
政策保有株の売却や自社株買いの方針が数字で示されたら
余った現金の戻り方を1.0に上げ、資産の一部を価値に足す。
大手の百貨店か量販店との取引が大きく縮んだら
やや悲観の確率を厚くする。
キャナルジーンが出店を重ねて利益率5%を保ったら
ライフスタイル事業の数量を上げる。

見ておくもの

  • フォーマル事業のセグメント利益
  • 卸と小売の売上の比率
  • 売場の数と閉店
  • TOKYO SOIRの展開店舗
  • キャナルジーンの出店と利益
  • 配当と自社株買いの方針

倍率と資本コストの決め方

今の株価は見ずに、フォーマルとライフスタイルの数量と単価、利益率から10年後の利益を積んだ。ROEはどの筋書きでも資本コスト8.5%に届かないので、PERは1÷k(約12.1倍)を上限に利益の質で7.5〜9割に置いた。悲観側は稼ぐ力と、純現金・株・賃貸不動産の税後に戻り方0.5を掛けた床で置いた。今のPBR0.3倍には寄せていない。株数はfactsでなく短信の発行済株式から自己株を引いた数に直した。売場の多くは店の中の委託の形で、新リース会計基準の影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→11.76 倍・やや楽観 PER 10→11.76 倍・中立 PER 9→11.76 倍・やや悲観 PBR 0.28→0.273 倍)。

資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

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割安 ゴールドウイン8111 稼ぐ力は本物だが、1 つのブランドに乗りすぎている。10 年で見ると今の値段はおおむね妥当だ 本質価値との差 +30.0% · 10 年 割安(年 +9.5%) やや割安 オーベクス3583 帽子の技術から生まれたペン先の名脇役。稼ぐ力は資本コストに届かず、現金は戻りにくい。今の値段はほぼ妥当 本質価値との差 +19.9% · 10 年 やや割安(年 +9.2%) やや割安 セーレン3569 車の内装材で世界首位の堅い会社だが、最高益の続きを前提にした今の値段はやや高い 本質価値との差 +14.5% · 10 年 やや割安(年 +7.9%) やや割安 日本毛織3201 利益の半分は商業施設と不動産が稼ぐ。会社は堅いが、10年の伸びは物価並みで、今の値段に余裕は乏しい 本質価値との差 +13.6% · 10 年 やや割安(年 +7.3%) やや割安 サイボー3123 稼ぎの9割は商業施設の賃料。借金が重く、2027年の契約更新と繊維の赤字が分かれ目 本質価値との差 +11.8% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) 適正 富士紡ホールディングス3104 半導体の研磨パッドで稼ぐ元繊維会社。事業の質は高いが、利益の山を織り込んだ今の値段に余裕はない 本質価値との差 +1.7% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 小松マテーレ3580 染め物の技術は確かで財務も堅いが、稼ぐ力は並み。今の値段は、良い目も悪い目も織り込んだ水準に近い 本質価値との差 +1.1% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 オンワードホールディングス8016 立て直しは本物だが、稼ぐ力はまだ資本コストに届かない。10 年で見ると今の値段はやや先を行く 本質価値との差 −4.0% · 10 年 適正(年 +6.8%) 適正 東レ3402 炭素繊維で世界首位の複合化学大手。事業は強いが、資本の稼ぎが資本コストに届かず、10 年で見ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −4.2% · 10 年 適正(年 +6.2%) 適正 TSIホールディングス3608 多ブランドで利益は上向く。ただ稼ぐ力は資本コストに届かず、10 年で見ると今の値段は先を行く 本質価値との差 −6.3% · 10 年 適正(年 +6.3%) 適正 倉敷紡績3106 本業は化成品と計測機器で稼ぎ始めたが、保有株の含み益を足しても、今の値段は先を行きすぎている 本質価値との差 −8.3% · 10 年 適正(年 +5.6%) 適正 クラウディアホールディングス3607 ドレスを作る会社から式場の運営へ。利益は戻ったが、婚礼の数が細るなか借金と家賃が重く、今の値段はやや高い 本質価値との差 −9.6% · 10 年 適正(年 +7.1%) やや割高 イチカワ3513 製紙機械の消耗品フェルトで国内を二分する堅い会社。ただ国内の紙は縮み、直近の高い利益率は山。10年で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −10.5% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 マツオカコーポレーション3611 ユニクロ・東レ向けの縫製受託で売上は伸びるが、利益は薄く為替頼み。為替が動かない前提では今の値段はやや高い 本質価値との差 −11.4% · 10 年 やや割高(年 +5.9%) やや割高 ルックホールディングス8029 海外ブランドの独占契約で稼ぐ会社で、純資産は厚いが利益率が低く契約の更新に左右され、確率の加重では今の値段を2割台後半下回る 本質価値との差 −11.5% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 帝人3401 繊維商社・アラミド・在宅医療を抱える複合企業。立て直しは緒に就いたが、稼ぐ力が資本コストに届かず、本質価値は今の値段をやや下回る 本質価値との差 −12.2% · 10 年 やや割高(年 +6.3%) やや割高 ダイニック3551 製本クロス・壁装材・フィルム加工の老舗。利益は回復したが資本効率は低く、純負債も重い。10年後の価値は今の時価総額を下回り割高の側 本質価値との差 −12.4% · 10 年 やや割高(年 +5.8%) やや割高 東海染工3577 縮む国内の染色と、伸びる保育の二本足。帳簿は厚いが稼ぐ力は細く、今の値段は高い 本質価値との差 −13.1% · 10 年 やや割高(年 +5.8%) やや割高 丸八ホールディングス3504 ふとんの訪問販売は縮み、稼ぎの半分は運用収益。親会社が 68% を持つ会社で、株主に戻る額を考えると割高 本質価値との差 −13.2% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 帝国繊維3302 消防ホース国内首位の堅い防災会社だが、今期の好調と眠る資産の戻りを織り込んだ今の値段はやや高い 本質価値との差 −18.2% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) やや割高 シキボウ3109 紡績と織物の老舗がユニチカの衣料事業を取り込んだが、借入は重く、10年の価値は今の時価総額を3割ほど下回る 本質価値との差 −19.8% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 SUMINOE3501 車とカーペットの繊維メーカー。売上は大きいが稼ぐ力が薄く、10年で見れば今の値段は割高と筆者は見る 本質価値との差 −21.9% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) やや割高 自重堂3597 作業服の老舗で、財務は無借金で極めて厚い。ただ売上は10年で縮み、稼ぐ力は資本に見合わない 本質価値との差 −24.3% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 ソトー3571 毛織物の染色加工が赤字を垂れ流す一方、有価証券と賃貸不動産の厚みで支える会社。10年で見ると今の値段は高い 本質価値との差 −27.8% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) 割高 トーア紡コーポレーション3204 毛糸と車の内装材と商業施設の賃料。借金の金利が上がると、稼ぎの多くが利払いに消える 本質価値との差 −34.8% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 グンゼ3002 肌着の老舗は、稼ぎ頭が樹脂と医療へ移る途中にある。今の値段は、再建の成功をほぼ織り込んだ水準だ 本質価値との差 −36.6% · 10 年 割高(年 +1.3%) 割高 日東製網3524 漁網の老舗だが、在庫を抱える借入が売上の 8 割。金利の上昇が稼ぎを食い、価値は今の値段の半分ほど 本質価値との差 −37.3% · 10 年 割高(年 +2.8%) 割高 日本フエルト3512 製紙用フェルトの老舗。本業の稼ぎは薄く、価値の大半は保有株と賃貸ビル。資産の還元は進むが今の値段は高い 本質価値との差 −38.2% · 10 年 割高(年 +1.3%) 割高 ナイガイ8013 老舗の靴下卸は借りたブランドで売上の8割を稼ぎ、本業はほぼ利益を出さない。持ち合い株と現金は厚いが株主には届きにくい 本質価値との差 −39.3% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 フジックス3600 京都の老舗の縫い糸メーカー。本業は 5 期続けて赤字で、時価総額を上回る現金と銀行株が株主に戻る道は細い 本質価値との差 −42.1% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 キング8118 利益の大半は賃貸ビルが稼ぎ、アパレルは赤字。時価総額の半分は現金で、その現金が株主に戻るかどうかが価値を決める 本質価値との差 −42.3% · 10 年 割高(年 +1.1%) 割高 ワコールホールディングス3591 稼ぐ力はまだ戻っていない。資産の厚みに支えられているが、10 年で見ると今の値段は先を行きすぎている 本質価値との差 −44.2% · 10 年 割高(年 +0.6%) 割高 ダイドーリミテッド3205 再建の入口に立つ会社。買収と資産売却で形は整ったが、利益はまだ薄く、今の値段は成功を先取りしている 本質価値との差 −53.4% · 10 年 割高(年 −0.8%) 割高 ヤマトインターナショナル8127 クロコダイルを量販店で売る老舗。本業は赤字すれすれだが、現金と株式で時価総額の大半を説明できる資産型の会社 本質価値との差 −54.7% · 10 年 割高(年 −0.8%) 割高 ダイトウボウ3202 稼ぎの柱はショッピングセンター一つ。借金の利息と本社の費用に削られ、株主に残る利益は薄い 本質価値との差 −57.3% · 10 年 割高(年 −1.8%) 割高 アツギ3529 本業のストッキングと肌着は赤字が続く。価値は厚木の賃貸地と保有株に宿るが、自力で引き出す道筋は見えない 本質価値との差 −61.3% · 10 年 割高(年 −3.0%) 割高 山喜3598 ワイシャツの老舗だが、背広離れで売上は10年で半分に。借金が時価総額を上回り、今の値段でも割高 本質価値との差 −81.4% · 10 年 割高(年 −7.6%) 割高 オーミケンシ3111 工場跡地の賃料で食いつなぐ元レーヨン大手。借金と優先株の重みで、普通株に残る価値は薄い 本質価値との差 −83.9% · 10 年 割高(年 −8.4%) 割高 北紡3409 紡績の老舗が、中東向けの生地、のど飴、ハイヤー、ビットコインへと手を広げた。17 期を超える赤字が続き、値打ちの芯は土地しか残らない 本質価値との差 −90.4% · 10 年 割高(年 −13.4%) 割高 ユニチカ3103 フィルムと樹脂の会社に生まれ変わったが、普通株の取り分は転換で約 1 割に薄まる仕組みで、今の時価総額は事業の価値と釣り合わない 本質価値との差 −91.4% · 10 年 割高(年 −15.6%) 割高 キムラタン8107 子供服から不動産の買取再販に姿を変えた小型株。借金が重く、今の値段は資産に見合わない 本質価値との差 −96.7% · 10 年 割高(年 −21.9%)

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読んだ資料

  1. 東京ソワール 2025年12月期 決算短信
  2. ブリッジレポート 東京ソワール(2026年3月)

分析日 2026-10-20