結論
自重堂は、広島県福山市に本社を置く作業服・ユニフォームのメーカーだ。作業服、空調服、白衣、メンズウェアを企画し、中国とミャンマーで作らせ、販売代理店を通じて売る。2026年6月期の売上は133億円、営業利益は16億円だった。
筆者の結論は「割高」である。10年先の中心の見立てでも、価値は今の時価総額を2割ほど下回る。会社が悪いのではない。財務は厚いが、その資本を使って稼ぐ力が弱く、今の値段はそれを十分に織り込んでいない。
強みは、在庫を豊富に持ち、注文に即納する「備蓄型」の商売だ。自己資本比率は約90%、現金は約101億円、借金はない。一方、売上は10年で年2%ずつ縮んでおり、2026年6月期は欠品と空調服の反動で11%減った。自己資本利益率は3.7%で、会社の目安の5%に届かない。
今期は売上150億円、営業利益18億円の増収増益を見込み、10月から値上げする。ただ、在庫を33億円積み増して現金が減っており、回復が利益に結びつくかは未知数だ。
10年の幅で見ると、上は高くなく、下も深くない。無借金の財務と投資有価証券が悲観を支えるので、会社が傾く筋書きではない。それでも、稼ぐ力に対して時価総額が重い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「財務は堅いが、資本を持て余している会社」と見る。
作業服は、地味だが廃れない商品だ。ただ、ブランドで値段を決める商売ではなく、仕入のコストと販売店の力に挟まれる。営業利益率は10〜17%と悪くないが、売上が10年で縮み、利益の絶対額は増えていない。
一方、財務は別物だ。自己資本の約4割が現金と有価証券で、事業に必要な分を超える資本が眠っている。自己資本利益率は10年の中央値で5.1%と、資本コストを下回る。厚い自己資本は、株主にとって使われていない資本でもある。
資本の使い方は読みにくい。配当は利益を上回るが、大株主の持ち株比率が高く、現金が株主に戻る確実性は高くない。
10年後に今より強いか。欠品が解消され、値上げが通れば、利益は戻る。戻らなければ、在庫と過剰な現金の重さだけが残る。今の値段に、十分な安全域があるとは言えない。
何で稼ぐ会社か
事業は「ユニフォーム及びメンズウェアの企画、製造、販売」の単一セグメントだ。主な商品は作業服、電動ファン付ウェアの空調服、熱中症対策品、白衣、メンズウェアである。植物由来のPET繊維を使った環境配慮型の商品も出している。
商売の特徴は「備蓄型」にある。在庫を豊富に持ち、販売代理店経由のユーザーの注文に即座に納品する。会社はこれを「揃う自重堂」と呼ぶ。
製品の多くは海外で作る。生産は中国とミャンマーに集中し、分散を進めている。仕入価格はドルと人民元に連動し、為替予約で守るが、完全には避けられない。
子会社は、縫製の玄海ソーイングと、作業服などを売るライオン屋の2社。持分法の関連会社に、中国の防護服の南山自重堂防護科技(出資40%)がある。従業員は連結で179人と少なく、本社・物流センター・技術開発センターを福山に置く。
2026年6月期は、売上が11%減の133億円、営業利益が8%増の16億円だった。売上は、欠品・納期遅れによる販売機会の損失と、熱中症対策の義務化で伸びた空調服の反動、長梅雨で減った。入荷の遅れでコスト増の影響が限られ、広告費も絞ったため、利益率は上がった。
今期は売上150億円、営業利益18億円を見込む。10月出荷分から値上げする。
優良さと弱いところ
売る力は確かだが、利益は仕入のコストと為替に左右される。作業服は消耗品に近く、需要は安定するが、ブランドで価格を決められる商売ではない。
強みは三つある。第一に、備蓄型の在庫で、注文に即納できること。第二に、販売代理店との長い取引と、全国の物流網。第三に、無借金の厚い財務で、赤字の期が20年近くないことだ。
弱みは、規模の小ささと、資本の使い方である。営業利益率は2017年6月期に17.7%、2025年6月期に9.7%と動く。自己資本利益率は10年の中央値が5.1%で、資本コストに届かない。会社自身も、目安を5%に置いている。
収益の質には注意が要る。2026年6月期の経常利益は、為替予約の評価益で押し上げられた。デリバティブを除く実質の自己資本利益率は3.4%である。
在庫の積み増しは、欠品を防ぐ一方で、過剰在庫と見切り販売のリスクを持つ。2026年6月期は、在庫の増加で営業活動の資金が流出した。
株主に対する姿勢は前向きで、今期の配当性向は108%と、利益を上回る。続けば、現金が減る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
作業服の需要は、建設・製造・物流など、現場で働く人の数と、安全・熱中症対策の規制で決まる。国内の働き手は減るが、熱中症対策の義務化で、空調服のような新しい品目が加わった。国内の市場の金額を示す信頼できる統計は見つからず、筆者は成熟した市場とみる。
競争は三層だ。ワークマンのような量販店系は、安い価格で一般の消費者まで取り込む。コーコス信岡やクロダルマのような専業が、販売代理店向けで競う。ここに中国製の安い輸入品が加わる。自重堂は専業の中堅で、規模で勝てず、在庫の即納と品揃えで勝負する。
値段は仕入に連動する。製品の多くを中国とミャンマーで作り、ドルと人民元建てで仕入れる。円安と海外の人件費上昇は、仕入コストを押し上げる。転嫁には時間がかかる。
成長の手がかりは、熱中症対策品と、環境配慮型の商品である。空調服は、反動減の後も定着するかが問われる。
10年を通した前提は、1ドル150円で動かさない。数量は実質で、欠品の回復を除けば横ばいからやや減少、値段は物価をやや下回って上がると置く。
業界の数量は、人手不足の現場が省力化や機械化へ向かう流れにも左右される。
資本政策と M&A
還元は厚い。今期の配当性向は108%で、利益を上回る。10年の自己資本は291億円から387億円に増えており、利益の半分ほどは社内に残ってきた。
財務は極めて厚い。現金は約101億円、投資有価証券は約55億円、借金はなく、自己資本比率は約90%。ただし、現金は1年で25%減った。在庫の積み増しで、営業活動の資金が17.6億円流出したためだ。
政策保有株は、オカムラが約14億円、三菱UFJフィナンシャル・グループが約8億円、ブラザー工業が約8億円など。取引先との関係維持を目的とし、取締役会が年1回、保有の適否を点検する。
大株主は、個人の出原正博氏が約17.6%、その資産管理会社2社が各約8.5%と伝えられる(二次情報で、有価証券報告書での確認は未了)。合計で約3割になり、買収の主導権は大株主の判断にかかる。kabufu の推計では、10年以内の買収の確率は2割ほどである。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
今の利益は、底に近い水準だ。2026年6月期は、欠品と長梅雨で売上が11%減ったのに、営業利益は増えた。欠品が解消されれば、売上は戻る。過去には売上170〜190億円で、営業利益26〜31億円を稼いだ年がある。
今期は売上150億円、営業利益18億円の増収増益を見込む。10月出荷分から値上げする。仕入のコスト上昇を転嫁できれば、利益率は回復する。
熱中症対策の義務化は、空調服などの需要を底上げした。反動減は一時的で、定着すれば、新しい品目が売上に加わる。
財務は極めて厚い。無借金で自己資本比率は約90%、現金は約101億円ある。景気が悪化しても、赤字の期はなかった。投資有価証券も約55億円ある。
配当は利益を上回る水準で、株主に向いている。会社も、自己資本利益率5%を目安に、資本の効率を意識している。
作業服は消耗品に近く、廃れない商品だ。一度販売店に認められた品揃えと即納の力は、簡単には置き換わらない。10年を通して見れば、国内の現場で着る服の需要はなくならない。
慎重な見方
売上は10年で年2%ずつ縮んでいる。国内の現場の働き手は減り続け、構造的に数量が増えにくい。欠品は一時的な失敗ではなく、需要予測と生産管理の弱さの表れだ。
2026年6月期は営業利益が増えたが、これは入荷が遅れて、コスト増の影響が限られたためだ。入荷が正常に戻れば、為替と海外の人件費の上昇が利益率を削る。経常利益の増加も、為替予約の評価益で押し上げられたもので、本業の力ではない。
在庫を33億円積み増したのは、過剰在庫と見切り販売のリスクを抱えることでもある。会社自身も、棚卸資産の増加や見切り販売を事業のリスクに挙げる。
自己資本利益率は3.7%で、デリバティブ評価益を除くと3.4%。10年の中央値でも5.1%と、資本コストを下回る。厚い自己資本は、株主にとって使われていない資本だ。
競争も厳しい。量販店系と中国製の安い輸入品に挟まれ、規模で勝てない。
しかも、この会社の大株主は約3割を握り、現金が株主に戻る確実性は低い。厚い財務に高い倍率を払う理由は見当たらない。
どちらに重みを置いたか
慎重な言い分が強い。強気の言い分の中心は「欠品が解消されれば利益が戻る」だが、売上が10年縮んでいる構造は変わらず、利益の回復は為替と仕入コストに左右される。無借金の財務は、悲観を深くしすぎない床になる。
そこで確率は、中立に4割近くを置き、やや悲観までを厚めにした。やや楽観より上は合わせて24%、やや悲観より下は38%とした。
最後に効くのは、値上げの浸透と欠品の解消が、利益率に出るかどうかである。売上が戻っても利益率が上がらない間は、慎重な言い分を優先し、回復は中立にも入れ込みすぎない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 8,462 円244 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 4,074 円117 億円)。 今の値に割り戻すと 6,692 円193 億円、今との差 −24.3%、 期待の年率 +3.6%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 14,050 円405 億円 | 5,552 円160 億円 | +121.7% | +8.3% | 1,176 円34 億円 |
| やや楽観 | 18% | 11,923 円344 億円 | 4,858 円140 億円 | +89.8% | +6.6% | 3,021 円87 億円 |
| 中立 | 38% | 10,014 円289 億円 | 4,511 円130 億円 | +64.3% | +5.1% | 5,520 円159 億円 |
| やや悲観 | 26% | 4,653 円134 億円 | 3,470 円100 億円 | −8.1% | −0.8% | 2,112 円61 億円 |
| 悲観 | 12% | 3,813 円110 億円 | 2,082 円60 億円 | −33.3% | −4.0% | 707 円20 億円 |
| 加重平均 | 100% | 8,462 円244 億円 | 4,074 円117 億円 | +41.8% | +3.6% | 12,536 円361 億円 |
今の株価時価総額 8,840 円255 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 欠品が解け、熱中症対策の需要も定着して、利益率が過去の山に戻る 利益 28 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 14,050 円405 億円
欠品が解消され、「揃う自重堂」が戻る。販売店からの注文が元の水準に戻るだけでなく、熱中症対策の義務化で空調服などの需要が定着し、出荷量は今の1.25倍に増える。値段は物価をわずかに上回る1.36倍になる。
値上げが通り、中国とミャンマーの仕入コストの上昇も吸収できる。営業利益率は16%に届き、2017年や2023年の山に近づく。
全社の売上は226億円ほど、営業利益は36億円で、今の2倍強になる。
配当は純利益の6割近くを出し、自己資本は440億円近くまで積み上がる。ただし、備蓄型の在庫を持つ商売なので、現金は思ったほど余らない。
- ユニフォーム・メンズウェア:数量 369(年間の出荷量(万着)。開示がないため推定)× 価格 0.61(1着あたりの平均売上(万円)。作業服と空調服、防寒着などの混ざり)→ 売上 226 億円・営業利益 36 億円。出荷量1.25倍、値段1.36倍。営業利益率16%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)65 億円。全体の PER 12.5 倍、時価総額 405 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:欠品の解消、熱中症対策の定着、値上げの浸透がすべて重なり、過去の山の利益率が戻る必要がある。足元の営業利益率は12%で、売上は2年続けて減っているので、6%にとどめた。
やや楽観 18% 在庫の備えが売上に結びつき、利益率が普通の年の上限まで戻る 利益 23 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 11,923 円344 億円
欠品で失った販売機会が戻り、在庫の備えが売上に結びつく。出荷量は今の1.15倍、値段は物価並みの1.34倍になる。空調服は反動減を乗り越え、熱中症対策として定着する。
営業利益率は14.5%と、普通の年の上限に近い水準まで戻る。会社が掲げる自己資本利益率5%は、この筋書きでようやく届く。
全社の売上は205億円ほど、営業利益は30億円で、今のほぼ2倍になる。
配当は純利益を上回る年があるものの、10年を通すと純利益の6割ほどに収まる。自己資本は430億円台に増える。
欠品が減れば販売店の信頼が戻り、取引が広がる。空調服や熱中症対策品は、反動の後も一定の需要を保つ。ただし、仕入コストの上昇を完全には転嫁できず、山の水準には届かない。
- ユニフォーム・メンズウェア:数量 339(年間の出荷量(万着)。開示がないため推定)× 価格 0.60(1着あたりの平均売上(万円)。作業服と空調服、防寒着などの混ざり)→ 売上 205 億円・営業利益 30 億円。出荷量1.15倍、値段1.34倍。営業利益率14.5%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.1% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)65 億円。全体の PER 12.5 倍、時価総額 344 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今期予想は売上150億円、営業利益18億円で、増収増益を見込む。値上げと欠品の解消が進んでいる。この勢いが普通の年の上限に定着する筋書きとして、18%を置いた。
中立 38% 売上は物価の分だけ伸び、利益率は過去の中ほどに戻る 利益 19 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 10,014 円289 億円
国内の建設・製造業の働き手は減るが、熱中症対策や安全意識の高まりで、作業服の着用枚数は大きく減らない。欠品で落ちた出荷量が戻り、10年で今の1.08倍になる。値段は仕入コストを時間をかけて転嫁し、物価をやや下回る1.30倍にとどまる。
営業利益率は12.5%。過去12年の中央値に近いが、人件費の上がる海外の縫製拠点のコストを吸収しきれず、山には届かない。
全社の売上は186億円ほど、営業利益は23億円。純利益は19億円ほどで、直近の14億円から伸びる。
配当は純利益の7割ほどを出し続け、自己資本は420億円ほどにゆっくり増える。自己資本利益率は4〜5%で、資本コストを下回る。
- ユニフォーム・メンズウェア:数量 319(年間の出荷量(万着)。開示がないため推定)× 価格 0.59(1着あたりの平均売上(万円)。作業服と空調服、防寒着などの混ざり)→ 売上 186 億円・営業利益 23 億円。出荷量1.08倍、値段1.30倍(仕入コストの転嫁が遅れ物価をやや下回る)。営業利益率12.5%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.0% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)65 億円。全体の PER 12.5 倍、時価総額 289 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強気の言い分(在庫の備えと値上げ)と慎重な言い分(2期続けて売上減と仕入コスト高)の落としどころ。実力は物価並みの増加にとどまるとみて、38%を置いた。
やや悲観 26% 値上げが通りきらず、仕入のコスト高で利益率が一桁にとどまる 利益 12 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 4,653 円134 億円
2026年10月の値上げが販売店で通りきらず、仕入コストの上昇を転嫁しきれない。出荷量は今の0.92倍に細る。値段は物価に追いつかず、1.25倍にとどまる。
営業利益率は9.5%と、2025年6月期の水準に近い。欠品と過剰在庫が繰り返され、見切り販売で利益率が削られる。
全社の売上は153億円ほど、営業利益は14.5億円。今期の16億円とほぼ同じで、名目で同じということは、実質では3割の目減りである。
配当は下がり、自己資本利益率は3%台にとどまる。
現金は在庫に回って減り、余る資産の戻りも遅くなる。ただし無借金の財務は保たれ、会社の存続は脅かされない。株主にとっては、成長せずに配当を削りながら続く会社の筋書きだ。
- ユニフォーム・メンズウェア:数量 271(年間の出荷量(万着)。開示がないため推定)× 価格 0.56(1着あたりの平均売上(万円)。作業服と空調服、防寒着などの混ざり)→ 売上 153 億円・営業利益 15 億円。出荷量0.92倍、値段1.25倍。営業利益率9.5%
倍率:事業のROE約3.5%がk8%を大きく下回り、ためた利益は額面を大きく割る。RONIC=5.9%、正当化PER=(1−4/5.9)÷4.25%=7.6倍で、上限の1÷k=12.1倍の約6割にあたる。7.0倍に置いた。
確率:営業利益率は2025年6月期に9.7%まで落ち、売上は10年で年2%減っている。値上げが通りきらず、コスト高を吸収できない筋書きは現実味があるので、26%を置いた。
悲観 12% 安い作業服と販売店の再編に押され、利益が薄くなる 利益 5 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 3,813 円110 億円
中国製の安い作業服と、量販店系の作業服ブランドに押され、販売店向けの商売が細る。販売店の再編で、自重堂の取り分も薄くなる。出荷量は今の0.75倍に減り、値段も物価に追いつかず1.15倍にとどまる。
営業利益率は4%まで落ちる。在庫を抱える備蓄型の商売は、売上が落ちると見切り販売が増え、利益が急に削られる。
赤字には落ちないが、稼ぐ力は大きく弱る。価値は稼ぐ力ではなく、持っている資産で測られる。現金のうち運転資金を除いた分と、政策保有株の税引き後の価値で、おおよそ110億円とみる。
自己資本の3割に満たない水準だ。株主にとっては、資産を取り崩しながら続く会社の筋書きになる。
- ユニフォーム・メンズウェア:数量 221(年間の出荷量(万着)。開示がないため推定)× 価格 0.52(1着あたりの平均売上(万円)。作業服と空調服、防寒着などの混ざり)→ 売上 114 億円・営業利益 5 億円。出荷量0.75倍、値段1.15倍。見切り販売が増え営業利益率4%
倍率:営業利益率が4%で、稼ぐ力ではなく資産で測る。床は、現金約101億円のうち運転資金として30億円を残した約71億円と、投資有価証券約55億円の税引き後約7割の約39億円、合計約110億円。今の自己資本387億円の0.284倍として置いた。
確率:安い作業服との競争や販売店の再編で、備蓄型の商売が崩れる筋書き。ただし財務が厚く、赤字には落ちにくい。同じ領域の下の確率より薄い12%にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ユニフォーム・メンズウェア
作業服、ユニフォーム、電動ファン付ウェア(空調服)、熱中症対策品、白衣やメンズウェアなど。販売代理店を通じて、ユーザーの注文に在庫から即納する備蓄型の商売。製品の多くを中国とミャンマーで作る。単一セグメント。
| 数量年間の出荷量(万着)。開示がないため推定 | 価格1着あたりの平均売上(万円)。作業服と空調服、防寒着などの混ざり | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 295 | 0.45 | 133 | 16 |
| 10 年後 中立 | 319 | 0.59 | 186 | 23 |
取り方:会社開示の売上132.75億円・営業利益15.6億円。着数の開示はなく、1着あたり平均0.45万円(卸値)と置いた推定で、出荷量を295万着とした。
リスクと懸念
欠品と過剰在庫の繰り返し
備蓄型の商売は、需要を読み違えると、欠品で売上を失うか、過剰在庫で見切り販売になる。2026年6月期は前者で、在庫を33億円積み増した。後者になれば利益率が削られる。
仕入コストと為替
製品の多くを中国とミャンマーで作り、ドルと人民元建てで仕入れる。円安や海外の人件費の上昇は、利益率を削る。為替予約は時間を稼ぐだけだ。
国内の数量の縮み
現場で働く人の数が減り、売上は10年で年2%ずつ縮んでいる。熱中症対策のような新品目で補えなければ、固定費の分だけ利益が薄くなる。
競争の三層構造
量販店系の安い作業服と、中国製の輸入品、専業の同業に挟まれる。規模が小さく、販売店を通じる売り方は、価格競争に弱い面がある。
空調服の反動と気候
空調服は熱中症対策の義務化で急増し、翌期に反動減が出た。長梅雨や冷夏で売上が振れる。定着するかは見通せない。
資本の使い道と大株主
自己資本の約4割が現金と有価証券で、自己資本利益率は資本コストを下回る。大株主の持ち株比率が高く、現金が株主に戻る確実性は低い。
今後の分かれ目
- 営業利益率が、2年続けて14%を超えたら
- 値上げと欠品の解消が定着したとみて、中立の利益率と、やや楽観より上の確率を引き上げる。
- 営業利益が、会社の今期予想18億円に届かない状態が続いたら
- 回復が利益に結びついていないとみて、慎重な見方を強める。やや悲観の確率を上げる。
- 在庫がさらに増え、現金が80億円を割ったら
- 過剰在庫のリスクが現実になったとみて、出荷量と利益率の前提を引き下げる。
- 空調服などの熱中症対策品が、反動を越えて2期連続で伸びたら
- 新しい品目が定着したとみて、中立の出荷量を引き上げる。
- 自社株買いや政策保有株の売却など、資本の活用方針が示されたら
- 余った資産の戻し方が明確になるので、余った現金の戻り方を引き上げる。
- 大株主の持ち株の動きや、買収の提案が出たら
- 資本の戻り方と事業の方向が変わりうるので、前提を見直す。
見ておくもの
- 営業利益率と、会社の今期予想(営業利益18億円)の達成度
- 欠品の解消と在庫の水準、見切り販売の有無
- 10月の値上げの浸透と、仕入コスト・為替
- 空調服など熱中症対策品の売上
- 現金、配当、自社株買い、政策保有株の推移
倍率と資本コストの決め方
売上は出荷量と1着あたり平均売上の推定で積み上げた。今の株価とPERは見ずに筋書きを置いた。倍率は資本コスト8%(基本7.5%に循環+0.25%・値決め力+0.25%・借金0%・寿命+0.25%)と長期成長4%、事業のROE(余った現金を除く)から出る正当化PERの約9.5割に置いた。無借金で現金が厚い点は、借金の項では下げられないので、余った現金の足し方で表した。10年後の営業利益率は、過去の山の17%ではなく、中央値に近い水準に置いた。余った現金65億円は、戻り方5割で足した。投資有価証券の配当収入は利益に残るため、余った資産として足していない。リース会計の影響は小さく、調整していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.5 倍・やや楽観 PER 10.1→12.5 倍・中立 PER 9.2→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。