結論
ナイガイは1920年創業の靴下・ストッキングの老舗卸だ。工場を持たず、国内外の協力工場に作らせた靴下を百貨店や量販店に卸す。筆者の結論は「割高」だ。PBRは0.4倍と安いが、本業の営業利益率は過去12年で最高でも2.4%しかなく、赤字の年も多い。帳簿の資産が稼がない以上、安さは割安の根拠にならない。
最大の特徴は、売上の8割近くがライセンス、つまり他社から借りたブランドだということだ。ポロ・ラルフローレンやChampion、ポケモンの名前で売る。ブランドの力で売れる反面、契約が切れれば売上がまとめて消える。利幅の多くはブランドの持ち主と小売に取られる。
主な売り先の百貨店は縮み続けている。会社は2027年1月期に売上16%増を計画し、量販店でのChampionとネット通販に賭ける。ただ、同じような計画はこれまで何度も利益に結びつかなかった。
持ち合い株は三井住友フィナンシャルグループや三越伊勢丹などで35億円、純現金も14億円ある。それでも無配が続き、株主に戻る道筋は見えない。筆者はこれらを悲観の床として数えるにとどめる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、これは「持ち合い株と現金の上に、稼がない卸売りが乗っている会社」だ。帳簿の自己資本は時価総額の2倍強ある。しかし、その資産が生む利益は配当と利息だけで、本業は赤字すれすれだ。
事業そのものに堀はない。ブランドは借り物で、売り先は縮み、作る技術も持たない。10年後もこの事業が今より強いかと問われれば、筆者は否と答える。良い会社を手ごろな値段で買うのがバリュー投資の基本で、この会社はその条件を満たさない。
安全域はあるか。持ち合い株と純現金は合わせて約50億円ある。ただ、経営はそれを株主に戻す方針を示しておらず、無配のままだ。清算されない限り、少数株主はこの資産を受け取れない。筆者はこれを、事業が崩れた時の床としてだけ数える。
変わる道は再編だ。タビオとの提携が深まるか、同業や商社が買い手になれば、資産の価値が表に出る。ただ、それは確率の一部にすぎない。
何で稼ぐ会社か
事業は卸売りと小売りの2つだ。2026年1月期の売上134億円のうち、卸売りが108億円、小売りが25億円だった。
卸売りは、靴下やストッキング、パジャマ、エプロンを企画し、中国や東南アジア、国内の協力工場に作らせて、百貨店・量販店・専門店に売る。自社の工場は持たず、タイでゴム糸を作る子会社と物流の子会社がある。百貨店と量販店で売上の約6割を占める。
売上の8割近くはライセンスブランドだ。ブランドの持ち主に使用料を払い、その名前で商品を作って売る。2026年1月からはChampionを量販店で売り始めた。ポロ・ラルフローレンはネット通販で売る。ポケモンなどキャラクターの靴下もある。
小売りは、靴下の直営店7店とネット通販・カタログ通販、革製品のネット販売だ。2026年1月期は売上が12%伸び、営業黒字を出した唯一の部門になった。
2023年には靴下専門店チェーンのタビオと資本業務提携を結んだ。タビオの店とネットでナイガイの靴下を売り、百貨店の婦人靴下の売場で一緒に店を出す。タビオはナイガイ株の1割強を持つ筆頭株主だ。
優良さと弱いところ
この会社の優良さは低い。営業利益率は過去12年で最高2.4%、赤字の年が4回あり、2021年と2023年は自己資本の4分の1を失う大赤字だった。ROEの中央値は1.4%で、株主の資本はほとんど増えていない。
値決めの力がないのが根本だ。ブランドは借り物で、使用料を払う。売り先の百貨店と量販店は値段と条件を決める側にいる。工場を持たないので作る技術の堀もない。靴下は誰でも作れる品で、ユニクロやしまむら、靴下屋のタビオが自前で売る。
強みと言えるのは、百貨店の靴下売場での長い取引と、ライセンスを取ってくる力くらいだ。ライセンスは契約の更新のたびに条件が変わり、10年先も続く保証はない。
財務は見た目ほど強くない。純現金はあるが、営業キャッシュ・フローは続けてマイナスで、在庫と売掛金に現金が寝ている。会社自身が有報で、資金繰りに関わる重要事象を書いている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
靴下・ストッキングの国内市場は、量では成熟から縮小にある。人口は減り、職場の服装が自由になってストッキングをはく人も減った。靴下は消耗品なので、景気で量が大きくは振れないが、10年で見れば量は横ばいからやや減少が中立だ。
売り場の重心が変わっている。百貨店は店の数も売上も減り続け、靴下の売場は縮んでいる。量はユニクロ、しまむら、無印良品などの自前の安い品と、タビオのような専門店、ネット通販に移った。卸売りに頼る会社ほど、売り場の縮小をそのまま受ける。
値段は、ブランドと機能で差がつく。足のむくみを抑える靴下や、汗を逃がす素材の品は高く売れる。一方で量販店の売場では、安い中国やベトナムの品と競う。円安は輸入の原価を押し上げ、値上げが追いつかなければ利幅が消える。
ライセンスの世界では、ブランドの持ち主が強い。人気のブランドは契約のたびに使用料が上がり、他の卸と取り合いになる。ポロ・ラルフローレンの靴下のように、長年の看板ブランドでも条件しだいで扱いが変わる。
業界の再編は進んでいる。靴下の卸は中小が多く、タビオとの提携のように、作る・売る力を持ち寄る動きが続くと見る。
資本政策と M&A
資本政策の最大の問題は、無配が続いていることだ。営業赤字と営業キャッシュ・フローのマイナス、繰越利益剰余金のマイナスを理由に、復配の時期は示されていない。2026年1月期は1億円の自社株買いをした。
政策保有株は約35億円で、時価総額を上回る。三井住友フィナンシャルグループが14億円、三越伊勢丹が8億円で、髙島屋やJ.フロント リテイリング、松屋など売り先の百貨店の株が多い。会社は縮減を掲げ、2026年1月期は1銘柄を2億円弱で売ったが、タビオ株などを買い増してもいる。
大株主はタビオが12%、MNインターファッションが10%だ。どちらも同業で、さらに踏み込んだ再編の受け皿になりうる。時価総額30億円なら、同業の買収の的にもなる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
帳簿の資産に対して、今の値段は安すぎる。持ち合い株35億円と純現金14億円で、時価総額の1.6倍ある。経営が持ち合い株を売って自社株買いや配当に回せば、株主の取り分は一気に増える。三井住友フィナンシャルグループの株は売りやすく、縮減の方針もすでにある。
本業にも変化の芽がある。2026年1月から量販店で売り始めたChampionは、若い層にも通じるブランドだ。小売りとネット通販は伸びて黒字になった。会社は2027年1月期に売上16%増を計画している。
タビオとの提携も効く。タビオは靴下の企画と売場を持つ専門店で、両社の強みを合わせれば百貨店の靴下売場の立て直しができる。タビオが筆頭株主である以上、将来の統合もありうる。
最悪でも、資産は残る。会社が潰れる筋書きではなく、下値は持ち合い株と現金が支える。2023年の構造改革のあと、3年続けて最終黒字を保っているのも見逃せない。赤字を垂れ流す会社ではもうない。
慎重な見方
12年で最高2.4%の利益率しか出していない本業に、回復を期待するのは早い。同じような増収の計画はこれまでも出てきたが、利益は残らなかった。2026年1月期も卸売りは赤字に戻った。
売上の8割が借り物のブランドだ。使用料は契約のたびに上がり、人気のブランドほど取り合いになる。Championも契約が切れれば売上は消える。売り先の百貨店は縮み続け、量販店ではユニクロやしまむらの自前の安い品と戦う。
財務も見た目ほど強くない。営業キャッシュ・フローは続けてマイナスで、会社自身が資金繰りの重要事象を書いている。純現金は在庫と売掛金を支えるために要り、余っているとは言えない。
持ち合い株は売り先の百貨店の株が多く、取引を守るために持っている。売れば取引に響くので、言葉ほど売れない。無配のまま10年が過ぎれば、株主に届くものは何もない。資産が厚いことは、経営が資本を使えていないことの裏返しだ。帳簿の上の安さは、10年たっても安いままかもしれない。
どちらに重みを置いたか
資産の厚さを言う側には数字の裏付けがあるが、それを株主に戻す行動はまだない。本業の弱さは、借り物のブランドと縮む売り場という構造から来ており、計画だけでは解けない。確率は中立とやや悲観を厚くし、資産が表に出る再編の上振れは楽観で見る形にした。持ち合い株と現金は、本業が崩れた時の床としてだけ数えている。復配と売却の数字が出れば、この重さは見直す。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した株価時価総額 461 円36 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 59 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 233 円18 億円、今との差 −39.3%、 期待の年率 +3.1%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 984 円77 億円 | 189 円15 億円 | +205.6% | +11.8% | 117 円9 億円 |
| やや楽観 | 20% | 653 円51 億円 | 97 円8 億円 | +95.3% | +6.9% | 150 円12 億円 |
| 中立 | 33% | 472 円37 億円 | 61 円5 億円 | +39.0% | +3.3% | 176 円14 億円 |
| やや悲観 | 22% | 229 円18 億円 | 0 円0 億円 | −40.3% | −5.0% | 50 円4 億円 |
| 悲観 | 15% | 175 円14 億円 | 0 円0 億円 | −54.3% | −7.5% | 26 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 461 円36 億円 | 59 円5 億円 | +35.5% | +3.1% | 520 円41 億円 |
今の株価時価総額 384 円30 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 10% Championと再編で、資産が表に出る 利益 7 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 984 円77 億円
量販店のChampionが定着し、卸売りの足数は2割増える。小売りとネット通販は8割伸び、全社の利益率は過去の山を少し上回る。値上げは物価並みに通る。
タビオとの提携は統合に進み、企画と売場を一つにする。持ち合い株の売却が進み、配当が戻り、自社株買いも続く。
それでもROEは資本コストに届かない。借り物のブランドで稼ぐ形は変わらないからだ。株主の取り分は、資本政策の変化で今より大きく増える。持ち合い株の多くは自社株買いと配当に変わり、帳簿の安さはようやく株主の手に届く。理想の筋書きだが、経営の行動が要る。
- 卸売り:数量 2,600(出荷足数(万足・年。推定))× 価格 670(1足あたりの卸値(円・名目))→ 売上 174 億円・営業利益 4 億円。2,600万足×670、利益率2.5%
- 小売り:数量 450(販売足数(万足・年。推定))× 価格 1,360(1足あたりの小売値(円・名目))→ 売上 61 億円・営業利益 4 億円。450万足×1,360、利益率6%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.6% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 77 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新しいライセンスとネット通販が育ち、タビオとの統合や持ち合い株の売却で資産が株主に戻る筋書き。低収益の長さから1割。
やや楽観 20% ネット通販が伸び、黒字が定着 利益 5 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 653 円51 億円
百貨店の卸は細るが、Championの量販店とネット通販が埋める。卸売りの足数は1割弱増え、小売りは5割伸びる。値上げは物価並みに通る。
全社の営業利益率は2%前後で、過去の山に近い。持ち合い株の配当と現金の利息が利益を支え、経常利益率は3%に届く年が出る。
配当が戻り、利益の3割を払う。持ち合い株の売却は少しずつだ。ROEは4%前後で資本コストの半分にとどまり、帳簿の資産は割り引いて数えられる。それでも赤字の年がなくなり、会社は小さく堅い卸に生まれ変わる。ネット通販が新しい柱として育つ。百貨店に頼らない売り方が、ようやく形になる。
- 卸売り:数量 2,340(出荷足数(万足・年。推定))× 価格 660(1足あたりの卸値(円・名目))→ 売上 154 億円・営業利益 2 億円。2,340万足×660、利益率1.5%
- 小売り:数量 378(販売足数(万足・年。推定))× 価格 1,340(1足あたりの小売値(円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 3 億円。378万足×1,340、利益率5%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.3% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 51 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:小売りとネット通販の伸びで黒字が定着し、中計の経常利益率3%に近づく筋書き。2026年1月期の小売りの伸びが根拠。
中立 33% 赤字は止まるが、利幅はごく薄い 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 472 円37 億円
百貨店の靴下売場は縮み続けるが、量販店のChampionとネット通販が埋めて、卸売りの足数は横ばいになる。小売りは3割伸びる。値段は物価にやや遅れて上がる。
全社の営業利益率は1%台で、過去12年の山には届かない。利益の半分近くは持ち合い株の配当と現金の利息だ。
配当は数年後に戻るが、利益の4分の1ほどにとどまる。持ち合い株は取引を守るために大半が残り、ROEは資本コストの半分に届かない。会社は潰れないが、株主の資本はほとんど増えない10年になる。タビオとの提携は売場の共同出店にとどまり、統合までは進まない。
- 卸売り:数量 2,168(出荷足数(万足・年。推定))× 価格 650(1足あたりの卸値(円・名目))→ 売上 141 億円・営業利益 1 億円。2,168万足×650(物価にやや遅れ)、利益率1%
- 小売り:数量 328(販売足数(万足・年。推定))× 価格 1,340(1足あたりの小売値(円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。328万足×1,340、利益率4%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.0% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 37 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:百貨店の縮小をChampionとネット通販が埋め、売上は物価並みに増えるが、使用料と売り先の力で利幅は1%台にとどまる筋書き。最も起こりやすい。
やや悲観 22% 百貨店の縮小に追いつけず、赤字すれすれ 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 229 円18 億円
百貨店の靴下売場の縮小が速く、卸売りの足数は15%減る。Championは量販店で自前の安い品に押され、思ったほど伸びない。円安で輸入の原価が上がり、値上げは物価に届かない。
卸売りは赤字が続き、小売りの黒字と持ち合い株の配当でかろうじて最終黒字を保つ。無配は続く。
稼ぐ力は資本コストの1割にも届かず、値段は持ち合い株と現金の床で決まる。経営は資産を株主に戻さず、少数株主にとっては長く報われない10年だ。持ち合い株は取引を守るために残り、現金は在庫と赤字の穴埋めに少しずつ消えていく。ライセンスの使用料は上がり続ける。
- 卸売り:数量 1,843(出荷足数(万足・年。推定))× 価格 625(1足あたりの卸値(円・名目))→ 売上 115 億円・営業利益 −1 億円。1,843万足×625、利益率−0.5%
- 小売り:数量 277(販売足数(万足・年。推定))× 価格 1,300(1足あたりの小売値(円・名目))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。277万足×1,300、利益率2%
倍率:稼ぐ力(純利益÷k)は小さいので、持ち合い株と純現金の税後を半分に割り引いた床で今の自己資本の0.26倍。
確率:百貨店の縮小が速く、Championも量販店の安い品に押される筋書き。過去12年の実績に近いので2割強。
悲観 15% 看板ライセンスを失い、赤字が定着 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 175 円14 億円
看板のライセンスの更新が条件で折り合わず、他の卸に移る。卸売りの足数は4割減り、百貨店の売場もさらに縮む。値上げはほとんど通らない。
卸売りは大きな赤字になり、在庫の処分と人員の削減に追われる。小売りも赤字に転じる。持ち合い株を売って赤字を埋め、配当は出せない。
残るのは持ち合い株の一部と現金だ。清算されない限り少数株主はこれを受け取れず、値段は帳簿を大きく下回る。タビオなど同業が買い手になれば救いだが、値段は安い。会社が潰れるのではなく、細りながら上場を続ける形になる。株価は帳簿の5分の1ほどまで沈む。
- 卸売り:数量 1,300(出荷足数(万足・年。推定))× 価格 600(1足あたりの卸値(円・名目))→ 売上 78 億円・営業利益 −3 億円。1,300万足×600、利益率−4%
- 小売り:数量 227(販売足数(万足・年。推定))× 価格 1,250(1足あたりの小売値(円・名目))→ 売上 28 億円・営業利益 −1 億円。227万足×1,250、利益率−2%
倍率:赤字なので今の自己資本に掛けるPBR。床は持ち合い株の残りと純現金の税後を割り引いた14億ほどで、今の自己資本の0.20倍。
確率:売上の8割を占めるライセンスのうち大きな契約が切れ、卸売りが崩れる筋書き。ライセンス依存の大きさから15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
卸売り
ライセンスと自社ブランドの靴下・ストッキング・パジャマ等を協力工場に作らせ、百貨店・量販店・専門店に卸す。
| 数量出荷足数(万足・年。推定) | 価格1足あたりの卸値(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 2,168 | 500 | 108 | −2 |
| 10 年後 中立 | 2,168 | 650 | 141 | 1 |
取り方:足数は開示が無いので推定。卸売りの売上108.4億を、百貨店と量販店の靴下・ストッキングの平均卸値を1足約500とみて年2,168万足と置いた。営業損益はセグメントの−2.24億。
小売り
靴下の直営店7店とネット通販・カタログ通販、革製品のネット販売。
| 数量販売足数(万足・年。推定) | 価格1足あたりの小売値(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 252 | 1,000 | 25 | 1 |
| 10 年後 中立 | 328 | 1,340 | 44 | 2 |
取り方:小売りの売上25.2億を、平均の小売値を1足約1,000とみて年252万足と推定(革製品も足数に換算)。営業利益はセグメントの0.87億。
リスクと懸念
ライセンス契約の打ち切り
売上の8割近くが他社から借りたブランドだ。看板のライセンスが更新できなければ、卸売りの売上がまとめて消える。使用料の引き上げも利幅を削る。
百貨店の縮小
百貨店と量販店で売上の約6割を占める。百貨店は店も売上も減り続け、靴下の売場は縮んでいる。ここを埋める新しい売り先が育たなければ、卸売りは細る。
円安と輸入の原価
商品の多くを海外の協力工場で作る。円安が進むと仕入れの原価が上がり、値上げが追いつくまで利幅が消える。為替予約で和らげるが、長い円安には効かない。
営業キャッシュ・フローのマイナス
会社は有報で、営業キャッシュ・フローの継続的なマイナスと営業損失を重要事象として書いた。手元の現金と融資で不確実性はないとするが、赤字が続けば現金は細る。
持ち合い株の値動き
持ち合い株は約35億円で、時価総額を上回る。三井住友フィナンシャルグループや百貨店の株価が下がれば、自己資本と悲観の床が揺らぐ。
協力工場の問題
工場を持たないので、協力工場の経営悪化や人権の問題、物流の混乱が起きると商品が届かない。供給網の見直しには時間がかかる。
今後の分かれ目
- 持ち合い株の売却額と使い道(自社株買い・配当)を数字で示す
- 稼がない資産が株主に戻り始める。楽観とやや楽観の重さを上げる。
- Championの量販店とネット通販で2027年1月期の計画を達成し、黒字が続く
- 本業の回復が確かになる。やや楽観の重さを上げる。
- タビオとの提携が統合や出資の引き上げに進む
- 資産の価値が表に出る可能性がある。楽観の重さを上げる。
- 看板のライセンスの更新が見送られる
- 卸売りの土台が崩れる。悲観の重さを上げる。
- 復配の時期を示す
- 経営が株主に戻す姿勢に変わった証拠になる。溜まる現金の戻り方を見直す。
見ておくもの
- 卸売りの営業損益
- Championの量販店での売上
- ネット通販の伸び
- 持ち合い株の売却額
- 復配の時期
- タビオとの提携の進み方
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEがkを大きく下回るので1÷kを上限に、中立はその9割に置いた。持ち合い株の配当は利益に残し、株の価値は余り資産に足していない(二重に数えない)。やや悲観と悲観は稼ぐ力が小さいので、持ち合い株と純現金の税後を割り引いた床を今の自己資本に掛けた。PBR0.4倍という今の値付けは使っていない。新リース基準は1月決算なので2029/01期から数字の形が変わるが、10年後も今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.18→11.11 倍・やや楽観 PER 10.82→11.11 倍・中立 PER 10.59→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%+quality 1.0%。重要事象の記載はあるが純現金で存続の疑いはないので上乗せなし。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 9.00%。