株譜
AI 銘柄分析 · 繊維製品 · 試作

ゴールドウイン 8111

稼ぐ力は本物だが、1 つのブランドに乗りすぎている。10 年で見ると今の値段はおおむね妥当だ

割安
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)2,811 円3,846 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)2,162 円2,958 億円差 +30.0%
10 年後から見ると 割安 価値 2,811 円3,846 億円 · 差 +30.0% · 期待の年率 +9.5%
期待の年率リターン(10 年)+9.5%資本コスト比 +2.0 pt
推定の資本コスト7.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

ゴールドウインは、ザ・ノース・フェイス(TNF)を日本で育てた会社だ。売上の約 8 割をこの 1 ブランドが占める。筆者の結論は、事業は優良だが集中が重く、10 年で見た価値は今の時価総額におおむね釣り合う、というものだ。

稼ぎの源は単純だ。登山服の機能を普段着に持ち込み、定価で売り切る。値引きを抑える経営が利益率を 18% 台まで押し上げた。2026 年 3 月期は売上・営業利益とも過去最高だった。

ただし足元に陰りがある。2026 年 4〜6 月期の営業利益は前年の 2 割にも届かなかった。卸売りの店頭で TNF が思ったほど動かず、半期の予想を下げている。強い需要の上に値上げを重ねてきた付けが、数量に出始めたと筆者は見る。

次の柱に据える自社ブランド「ゴールドウイン」は、まだ赤字だ。売上は約 65 億円と小さく、黒字化は 2028 年 3 月期以降にずれた。10 年後に 500 億円という目標は、楽観の筋書きでしか届かない。

倍率を支えるのは財務の厚みだ。純現金があり、自己資本比率は 77% ある。一方で店舗の家賃は固定の約束で、不況の年には重くのしかかる。

結果として、中立の筋書きでは時価総額が 10 年で 7 割ほどふえ、配当を含めた利回りは年 8% ほどと、株主の要求(年 8% 台)にちょうど並ぶ。集中の分だけ安全域は薄いが、財務の厚みが悪い筋書きの下を支える。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、TNF の日本での強さは本物だが、それが 10 年先まで同じ高さで続くかは見通しにくい。ブランドの人気は顧客の気分に左右される。気分に左右される事業に、永続の倍率は付けられない。

稼いだ利益のうち、株主の手元に残る分(オーナー利益)は大きい。固定資産の投資は軽く、借金もない。ただし店舗網を広げる限り、家賃の約束が毎年積み上がる。利益は営業利益 259 億円ではなく、そこから家賃と在庫の増加を差し引いて見るべきだ。

経営は慎重で、資本の使い方は妥当だ。値引きを抑えてブランドを守る姿勢は、長く持つ会社の条件に合う。一方で、手元に積む現金が増えるほど、株主への還元が遅れる。全体の ROE が 18% から 12% に下がる中立の姿は、その結果だ。事業そのものの ROE は 2 割ほどで、積み上がる現金は半分だけ価値に入れた。

安全域の面では、厚くはない。中立の筋書きで年 8% 台の要求リターンにちょうど並ぶだけで、余裕は生まれない。悪い筋書きで失うものは、良い筋書きで得るものより大きい。

筆者は、この会社を「良い事業で、10 年で見るとおおむね妥当な値段にある」と見る。ブランドの集中が薄まる、または「ゴールドウイン」が黒字に転じれば、見方は変わる。

何で稼ぐ会社か

ゴールドウインはスポーツ・アウトドアのウェアとシューズを企画し、自社の直営店・百貨店・専門店・ネットで売る。2026 年 3 月期の連結売上高は 1,375 億円。うち TNF が約 1,047 億円で、残りを自社ブランド「ゴールドウイン」(約 65 億円)とヘリーハンセンなどが分ける。

TNF のブランドを持つのは米 VF だが、日本と韓国の商標権はゴールドウインが 1995 年に取得した。企画から販売まで自社で決められるので、日本向けの商品開発・価格・出店を自分で動かせる。売るのは日本が中心で、直営店の売上のうち訪日客が 26.5% を占める。

稼ぐ力は商品の質と売り方にある。トレイルランニングのシューズ「VECTIV」のような新ラインを育て、アパレルでは機能を言葉で伝えて定価で売る。直営店とネットで売る比率を上げ、卸売りに頼りすぎないことで利益率を保ってきた。

弱点は 3 つある。1 つは TNF への集中。2 つ目は商標の地域が日本・韓国に限られ、世界へ出る自前のブランドが要ること。3 つ目は、店舗を多く構えるので家賃などの固定費が重いことだ。

そこで 2024 年に 5 か年計画を出し、2029 年 3 月期に売上 1,885 億円・営業利益 360 億円を掲げた。TNF は年 5% で伸ばし、「ゴールドウイン」で海外を開く。ウールリッチは 2026 年 9 月で販売を終える。不採算を整理する動きだ。

優良さと弱いところ

強みは、ブランドの値付けを自分で決められる位置にいることだ。営業利益率は 2019 年 3 月期の 14% から 2026 年 3 月期の 19% まで上がった。値引きで数量を買わない姿勢が、利益率を守っている。

ただし堀、つまり他社がまねできない強みは、見かけほど深くない。TNF の人気は流行と気温と訪日客に左右される。モンベル、アークテリクス、パタゴニア、コロンビア、デサントなど競合は多く、機能で決定的な差はつけにくい。ブランドの強さは顧客の気持ちの上にあり、条文や特許の上にはない。

資本の使い方は堅実だ。借金を使わず、純現金を積み上げてきた。ROE は 20% 台を続け、直近は 18.6% に下がった。利益の 3 分の 2 を手元に残しており、配当性向は 3 割台にとどまる。出店と在庫に使うのは筋が通るが、積み上がった現金の行き先は問われる。

経営は慎重で、スパイバーへの出資の整理も 2026 年 3 月期に終えた。特別損失は出したが、傷口を広げなかった点は評価できる。

弱い所は 3 つ。TNF の割合が高いこと。「ゴールドウイン」ブランドがまだ稼いでいないこと。値上げのあとで数量が伸び悩んでいることだ。オーナーとして持ち続けたい会社ではあるが、集中の分だけ安全域は厚く取りたい。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

国内のスポーツ・アウトドア服は、人口が減る中でも伸びてきた数少ない分野だ。矢野経済研究所によると、2024 年のスポーツアパレル市場は約 6,256 億円で、前年より 2.7% 増えた。登山や釣り、ランニングに加え、普段着として着る人が増えたことが効いた。

ただし数量は 10 年で大きくは伸びないと筆者は見る。日本の衣料全体は約 8.5 兆円で成熟しており、アウトドアの需要も流行の波がある。ここに値上げの余地が重なって、売上が伸びてきた。

競争は 3 つの方向から来る。1 つは機能を売りにする海外ブランド(アークテリクス、ホカなど)で、高価格帯と走る靴で圧力をかける。2 つ目はモンベルのように、品ぞろえと価格で固定客を持つ国内勢。3 つ目はユニクロなど、普段着でアウトドア風の機能を安く出す大手だ。TNF は真ん中に立ち、どちらの方向からも削られる位置にある。

足元は調整局面だ。暖冬と訪日客の変化で、冬物を売り切れなかった。春夏の卸売りでも、店頭の売れ行きが計画を下回った。中国本土からの訪日客は 2025 年 11 月以降に減り、台湾・韓国・東南アジア・米国の客がそれを補った。

業界の分かれ目は、アウトドアが一過性の流行に終わるか、日常着として定着するかだ。定着するなら、数量はゆるやかに増える。TNF はその受け皿だが、需要が冷えた時に最初に値引きを迫られるのも、人気の高いブランドである。

資本政策と M&A

還元は控えめだ。2026 年 3 月期の配当性向は 3 割台にとどまった。2027 年 3 月期は増配の予定だが、それでも 4 割に届かない。自社株買いを大きく進めた実績は確かめられなかった。

利益の多くは出店・在庫・新ラインに回る。純現金は約 500 億円で、時価総額の 16% に当たる。ただ店舗の家賃は固定の約束で、運転資金も要る。筆者は約 230 億円を余りと見て、残りは事業に要る現金と扱う。

大株主は三井物産(約 9.5%)、北陸銀行、創業家系の財団と個人など。親子上場でも持ち合いの塊でもなく、買収されにくい構造ではないが、10 年以内の買収の確率を kabufu は 17% と推定する。TNF の商標権が日本・韓国に限られるため、買い手が現れても世界展開の自由度は限られる。

M&A は小さく、ブランドの取得・整理が中心だ。ウールリッチの終了は、不採算を切る動きとして好ましい。スパイバーの整理で特別損失が出たが、素材の使用は続ける。

今後の鍵は、積み上がる現金をどう使うかだ。海外出店に使うのか、配当と自社株買いを厚くするのか。後者に傾けば、ROE は下がらずに済む。中立の筋書きでは現金が 10 年で 1,000 億円を超えて積み上がるが、戻るかは経営の選択なので、筆者は半分だけ価値に入れた。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

TNF は日本で 1,000 億円を超えた。まだ伸びしろはある。ギア(靴・バッグ)はアパレルより成長が速く、トレイルランニングの VECTIV は計画を上回った。女性・子ども向けと、高機能の「ラボ」ラインも取り込める。

値上げを数量で受け止める力もある。訪日客は直営店の売上の 26.5% を占め、中国客が減っても台湾・韓国・東南アジア・米国が補った。需要の足腰は強い。

自社ブランド「ゴールドウイン」は 2026 年 3 月期に 3 割増え、2027 年 3 月期は 100 億円超を計画する。10 年後に 500 億円という目標の通り、中国・韓国・日本で出店が進めば、TNF に頼らない第 2 の柱になる。海外で通用するブランドを持てば、倍率も上がる。

さらに、財務が厚い。借金がなく、現金が積み上がる。出店と買収を自前の資金でまかなえ、不況の年も耐えられる。配当を厚くして、ROE を高く保つ余地も大きい。

以上から、強気は TNF の営業利益率が 29% まで上がり、「ゴールドウイン」が 500 億円に育つ筋書きを描く。その時の営業利益は 560 億円で、今の 2 倍を超える。

慎重な見方

足元はすでに崩れ始めている。2026 年 4〜6 月期の営業利益は前年の 2 割以下で、TNF の卸売りは計画を 16% 下回った。強い需要とみて春夏の商品を前倒しで卸したのに、店頭で売れなかった。在庫が積み上がれば、値引きでブランドが傷つく。

値上げの限界も見えた。定番アパレルは値上げのあとで数量が伸びず、計画を割った。TNF は、人気が高いほど値引きを迫られた時の傷も深い。

競争は厳しい。アークテリクスやホカなど海外勢が上位価格帯と靴を取りに来て、中価格帯はユニクロとモンベルが守る。TNF だけが両方から挟まれる。商標権は日本・韓国に限られ、世界へ出る自前のブランドは赤字のままだ。

固定費の重さも見落とせない。店舗の家賃と人件費は、売上が落ちても減らない。売上が 2 割落ちれば、営業利益はその倍以上の割合で減る。

以上から、慎重な見方は TNF の営業利益率が 21% に下がり、利益が今の 8 割弱に落ちる筋書きを重く見る。ブランドの勢いが一巡すれば、10 年の ROE は資本コストに並ぶ。

どちらに重みを置いたか

足元の事実は慎重な見方に分がある。四半期の営業利益の急減と卸売りの不振は、需要の変調を示す。一方、強気の言う財務の厚みと「ゴールドウイン」の伸びは本物だ。

このため中立を中心に、確率をやや悲観側へ寄せた。ただし事業の優良さは疑っておらず、悲観に大きくは寄せていない。強気の筋書きは 1 割、慎重な見方の悲観は 1 割強とした。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 4,414 円6,038 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 962 円1,316 億円)。 今の値に割り戻すと 2,811 円3,846 億円、今との差 +30.0%、 期待の年率 +9.5%(資本コスト 7.5%)→ 割安

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 10% 7,972 円1.09 兆円 1,316 円1,800 億円 +329.6% +15.7% 929 円1,271 億円
やや楽観 20% 6,331 円8,661 億円 1,133 円1,550 億円 +245.2% +13.2% 1,493 円2,042 億円
中立 35% 5,431 円7,430 億円 1,060 円1,450 億円 +200.2% +11.6% 2,272 円3,108 億円
やや悲観 22% 1,827 円2,499 億円 863 円1,180 億円 +24.4% +2.2% 592 円809 億円
悲観 13% 365 円500 億円 329 円450 億円 −67.9% −10.7% 90 円124 億円
加重平均100% 4,414 円6,038 億円962 円1,316 億円 +148.6% +9.5% 5,375 円7,354 億円

今の株価時価総額 2,162 円2,958 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。

楽観 10% TNF の追い風が続き「ゴールドウイン」が第 2 の柱に 利益 493 億円 · PER 21.1 倍 · 株価時価総額 7,972 円1.09 兆円

TNF の追い風が 10 年続く。国内市場は実質で 15% 伸び、TNF は 12.5% までシェアを上げる。ギアと女性・子ども向けが育ち、営業利益率は 29% を保つ。

「ゴールドウイン」は中国と韓国に出店を重ね、約 70 店・売上 500 億円に育つ。海外で通用する自前のブランドができ、TNF の集中が薄まる。ヘリーハンセンなどもゆるやかに伸びる。

営業利益は 560 億円で、今の 2 倍を超える。借金を使わず、配当を段階的に増やす。現金は積み上がるが、現金を除く事業の ROE は 2 割を超える。

競合では、アークテリクスやホカが上位価格帯を押さえても、TNF は機能と普段着の中間で居場所を守る。M&A は小さなブランドの取得にとどまり、買収される可能性は低い。ただ、これは需要・出店・利益率のすべてが計画どおりに進む姿であり、1 つでも欠ければ中立に落ちる。

  • ザ・ノース・フェイス(TNF):数量 10,000(国内スポーツ・アウトドア用ウェアとシューズの市場(億円・メーカー出荷ベースの推計・今の値段で測った実質))× 価格 17.5%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 1,750 億円・営業利益 507 億円。市場 10,000 億円(実質 +15%)× シェア 12.5%、営業利益率 29%、価格は物価の 1.40 倍
  • ゴールドウイン(自社ブランド):数量 70.0(店舗数(直営・提携を含む旗艦店と路面店の推計、店))× 価格 7.20(1 店あたりの年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 504 億円・営業利益 76 億円。70 店 × 1 店 7.2 億円(今の 1.66 倍)、営業利益率 15%
  • ヘリーハンセンほか:数量 241(販売点数(万点・推計))× 価格 1.68(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 405 億円・営業利益 32 億円。241 万点 × 1.68 万円、営業利益率 8%

倍率:事業の純利益 478 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)825 億円。全体の PER 21.11 倍、時価総額 10,907 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:TNF の 10 年連続の追い風と「ゴールドウイン」の成功が重なる必要があり、いずれも未実証。1 割にとどめた。

やや楽観 20% TNF は市場並みに伸び、自社ブランドも黒字に 利益 393 億円 · PER 20.7 倍 · 株価時価総額 6,331 円8,661 億円

TNF は市場の伸び(実質で 12%)にほぼ歩調を合わせ、シェアを 12% で守る。営業利益率は 27.5% で、足元の水準よりわずかに下がる。

「ゴールドウイン」は約 50 店・310 億円に育ち、黒字になる。ただし 500 億円の目標には届かない。ヘリーハンセンなどは横ばい。

営業利益は 447 億円。配当を少しずつ増やすが現金は積み上がる。現金を除く事業の ROE は 2 割ある。この筋書きなら、今の値段に余裕をもって報われる。

競合との関係は今のまま、すなわち TNF が中価格帯の真ん中で戦い続ける。M&A は動かず、資本政策も配当の漸増にとどまる。値上げは物価並みに通り、数量はゆるやかに増える。足元の卸売りの不振は一過性に終わり、2 年ほどで戻る前提だ。

  • ザ・ノース・フェイス(TNF):数量 9,750(国内スポーツ・アウトドア用ウェアとシューズの市場(億円・メーカー出荷ベースの推計・今の値段で測った実質))× 価格 16.3%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 1,591 億円・営業利益 438 億円。市場 9,750 億円 × シェア 12.0%、価格は物価の 1.36 倍、営業利益率 27.5%
  • ゴールドウイン(自社ブランド):数量 50.0(店舗数(直営・提携を含む旗艦店と路面店の推計、店))× 価格 6.20(1 店あたりの年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 310 億円・営業利益 34 億円。50 店 × 6.2 億円、営業利益率 11%
  • ヘリーハンセンほか:数量 219(販売点数(万点・推計))× 価格 1.66(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 363 億円・営業利益 25 億円。219 万点 × 1.656 万円、営業利益率 7%

倍率:事業の純利益 377 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)870 億円。全体の PER 20.68 倍、時価総額 8,661 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:ギアの伸びと海外出店は計画に沿って進んでおり、実現の道筋は見える。ただし足元は計画割れで、2 割とした。

中立 35% 成熟した高収益ブランドとして、物価並みに伸びる 利益 339 億円 · PER 20.3 倍 · 株価時価総額 5,431 円7,430 億円

国内市場は実質で 8% 伸び、TNF はシェア 12% を保つ。物価の分だけ値段は上がり、売上は 1,500 億円台。営業利益率は 26% で、足元から 2 ポイントほど下がる(競争と家賃・人件費の上昇を見込む)。

「ゴールドウイン」は約 34 店・200 億円。黒字化はするが、利益率は 8% と低い。他は横ばい。

営業利益は 385 億円。配当性向を 5 割まで上げても現金は積み上がる。現金を除く事業の ROE は 20% 台を保つ。

競合は今と同じ顔ぶれで、アークテリクス・ホカ・モンベル・ユニクロが周りを囲む。TNF は価格を物価並みに上げ続けるが、それ以上は上げられない。M&A は動かず、資本政策は配当の漸増と、積み上がる現金を出店に回す形が続く。強みも弱みも今のまま 10 年たった姿である。

  • ザ・ノース・フェイス(TNF):数量 9,400(国内スポーツ・アウトドア用ウェアとシューズの市場(億円・メーカー出荷ベースの推計・今の値段で測った実質))× 価格 16.1%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 1,512 億円・営業利益 393 億円。市場 9,400 億円 × シェア 12.0%、価格は物価並み(1.34 倍)、営業利益率 26%
  • ゴールドウイン(自社ブランド):数量 34.0(店舗数(直営・提携を含む旗艦店と路面店の推計、店))× 価格 5.80(1 店あたりの年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 197 億円・営業利益 16 億円。34 店 × 5.8 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 8%
  • ヘリーハンセンほか:数量 219(販売点数(万点・推計))× 価格 1.61(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 352 億円・営業利益 21 億円。219 万点(横ばい)× 1.608 万円、営業利益率 6%

倍率:事業の純利益 323 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)862 億円。全体の PER 20.34 倍、時価総額 7,430 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:最も起こりやすい姿として、市場の伸びと TNF のシェア維持を置いた。

やや悲観 22% ブランドの勢いが一巡し、利益が 2 割減る 利益 184 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 1,827 円2,499 億円

ブランドの勢いが一巡する。市場は実質で横ばい、TNF のシェアは 10.5% に下がる。卸売りの店頭が弱く、値引きが増えて営業利益率は 21% になる。

「ゴールドウイン」は約 25 店にとどまり、赤字が続く。ヘリーハンセンなどは縮小。家賃と人件費は物価で上がるが、売上はそれに追いつかない。

営業利益は 212 億円で今より 2 割減。ROE は 8% 台で資本コストに並び、倍率は伸びない。

競合ではアークテリクスやホカが上位を取り、ユニクロが日常着を押さえる。TNF は真ん中で削られ、値引きの頻度が上がる。M&A や再編は起きず、資本政策も動かない。変化は静かで、人気の高かった時期の利益が、少しずつ平凡な水準に戻っていく。

  • ザ・ノース・フェイス(TNF):数量 8,700(国内スポーツ・アウトドア用ウェアとシューズの市場(億円・メーカー出荷ベースの推計・今の値段で測った実質))× 価格 13.7%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 1,188 億円・営業利益 249 億円。市場 8,700 億円 × シェア 10.5%、価格は 1.30 倍(値引きで物価に届かない)、営業利益率 21%
  • ゴールドウイン(自社ブランド):数量 25.0(店舗数(直営・提携を含む旗艦店と路面店の推計、店))× 価格 5.00(1 店あたりの年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 125 億円・営業利益 −4 億円。25 店 × 5.0 億円、営業赤字 −3%
  • ヘリーハンセンほか:数量 190(販売点数(万点・推計))× 価格 1.56(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 296 億円・営業利益 12 億円。190 万点 × 1.56 万円、営業利益率 4%

倍率:事業の ROE は 8.8%(余った現金は今の額の 0.75 倍の約 170 億円を除いた値)で、k 7.5% をわずかに上回る程度。長く続く ROE は約 8.5%、正当化 PER は約 12.5 倍。成長が乏しく堀も薄れるので、その 9 割の 13.05 倍に置いた。余った現金は戻り方 0.5 を掛けて足した。

確率:足元の卸売り不振と値上げ後の数量の伸び悩みは、すでに表に出ている。慎重な見方を重く見て 2 割強とした。

悲観 13% TNF が値引きで傷み、固定費の重さが残る 利益 36 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 365 円500 億円

構造的に負ける。TNF は卸売りの値引きでブランドが傷み、アークテリクス・ホカ・ユニクロに挟まれてシェアは 8% まで落ちる。営業利益率は 12% になる。

「ゴールドウイン」は海外で定着せず、店を 12 店まで縮める。ウールリッチに続き、他のブランドも整理する。

家賃と人件費の固定費が重く、営業利益は約 40 億円まで減る。減損も出て、ROE は 2% に落ちる。時価総額は純現金の厚みで支えられる程度にとどまる。

TNF の商標権は日本と韓国に限られ、世界で稼ぐ道は自前ブランドの成否にかかるが、それも失敗する。資本政策は守りに入り、配当を絞って現金を残す。買収される可能性は残るが、評価は低く、プレミアムは付きにくい。この筋書きは構造的な負けで、ブランドの優良さが戻らない。

  • ザ・ノース・フェイス(TNF):数量 8,265(国内スポーツ・アウトドア用ウェアとシューズの市場(億円・メーカー出荷ベースの推計・今の値段で測った実質))× 価格 10.0%(実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今))→ 売上 826 億円・営業利益 99 億円。市場 8,265 億円(実質 −5%)× シェア 8.0%、価格は 1.25 倍、営業利益率 12%
  • ゴールドウイン(自社ブランド):数量 12.0(店舗数(直営・提携を含む旗艦店と路面店の推計、店))× 価格 4.50(1 店あたりの年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む))→ 売上 54 億円・営業利益 −11 億円。12 店に縮小 × 4.5 億円、赤字 −20%
  • ヘリーハンセンほか:数量 150(販売点数(万点・推計))× 価格 1.44(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 216 億円・営業利益 0 億円。150 万点 × 1.44 万円、営業損益ゼロ

倍率:稼ぐ力(営業利益 43 億円・純利益 36 億円 ÷ k = 約 440 億円)より、純現金のほうが大きい。床は今の自己資本 1,294 億円に PBR 0.39 倍を掛けた約 500 億円(純現金 499 億円に相当)。倍率は市場の値付けからは置いていない。

確率:ファッションは流行の反動が深い。TNF への集中と固定費の重さから、構造的な負けを 1 割強とした(5% 未満にはしない)。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

ザ・ノース・フェイス(TNF)

日本でのアウトドア・スポーツウェアとシューズ・用品。直営店・卸・ネットで売る主力ブランド。

数量国内スポーツ・アウトドア用ウェアとシューズの市場(億円・メーカー出荷ベースの推計・今の値段で測った実質)価格実質の市場に対する売上の比(シェア × 物価の倍率)=シェア × 物価の倍率(1.00 が今)売上営業利益
今 2026/03 8,700 12.0% 1,047 283
10 年後 中立 9,400 16.1% 1,512 393

取り方:矢野経済研究所のスポーツアパレル約 6,256 億円(2024 年)に、靴・用品の推計(約 2,400 億円)を足して市場を 8,700 億円とした(推計)。TNF の売上 1,047 億円を割ると、シェアは約 12.0%(韓国向けの小さな部分も含めた概算)。営業利益は個別の開示がなく、27% で推定した。

ゴールドウイン(自社ブランド)

日本発のハイエンド・アウトドアの自社ブランド。海外展開の旗手。2026 年 3 月期はまだ営業赤字。

数量店舗数(直営・提携を含む旗艦店と路面店の推計、店)価格1 店あたりの年間売上(億円・名目、卸・ネットを含む)売上営業利益
今 2026/03 15.0 4.33 65 −20
10 年後 中立 34.0 5.80 197 16

取り方:ブランドの売上は約 65 億円(約 3 割増)。店舗数は開示がなく、約 15 店(推計)、1 店あたり 4.3 億円で置いた。2024 年の計画では北京の 1 号店が年 2 億円超でブランド最大。営業損益は赤字で、金額は推定。 数量は実物(店舗数)で、名目の市場の伸びではない。

ヘリーハンセンほか

ヘリーハンセン、ウールリッチ(2026 年 9 月で終了)など。TNF 以外の取り扱いブランドと関連事業。

数量販売点数(万点・推計)価格1 点あたり平均売上(万円・名目)売上営業利益
今 2026/03 219 1.20 263 16
10 年後 中立 219 1.61 352 21

取り方:連結売上 1,375 億円から TNF と「ゴールドウイン」を引いた約 263 億円。平均単価は 1.2 万円と置き、販売点数を逆算した(推計)。営業利益率 6% は推定。

リスクと懸念

TNF への集中

売上の約 8 割と利益の大半を TNF が稼ぐ。人気が一巡すれば会社全体の利益が大きく揺れる。商標権は日本・韓国に限られ、他の地域には出られない。分散は「ゴールドウイン」の成否にかかる。

卸売りの在庫と値引き

2026 年 4〜6 月期は、前倒しで卸した春夏物が店頭で売れず、営業利益が急減した。在庫が積み上がると値引きが避けられず、定価で売る強みが傷む。

値上げの限界

定番アパレルは値上げのあとで数量が伸びなかった。実質の購買力が弱い中で、さらに上げれば客が離れる。物価並みの値上げを続けられるかが、利益率を決める。

訪日客の変動

直営店の売上の 26.5% が訪日客。中国本土の客は 2025 年 11 月以降に減った。為替や渡航制限で、この部分は簡単に変わる。

「ゴールドウイン」の赤字

10 年後 500 億円という目標のもと、ロンドンやニューヨークなどに旗艦店を出す。出店は家賃の約束を積み上げ、建材高と為替で黒字化は 2028 年 3 月期以降にずれた。

店舗の家賃(固定の約束)

直営店を多く構える。家賃は売上が落ちても減らない。新リース会計基準(2028 年 3 月期から)で貸借対照表に載ると、純現金と自己資本比率は今ほど強く見えなくなる。

商標権の契約条件

VF が持つブランドを、日本・韓国で使う権利をゴールドウインが持つ。契約の期間と更新条件は、確認できた資料には載っていなかった。経営の前提なので、有価証券報告書で確かめたい。

今後の分かれ目

TNF の卸売りが 2026 年後半に持ち直し、通期の営業利益 261 億円に届く
慎重な見方の確率を下げ、中立と楽観に重みを移す。足元の変調は一時的だったことになる。
TNF の売上が 2 期続けて前年を割る
シェアが 12% を保てない可能性が高まる。やや悲観・悲観に重みを移す。
「ゴールドウイン」が 2028 年 3 月期に黒字化し、200 億円の計画に近づく
TNF への集中が薄まり、楽観・やや楽観の確率を上げてよい。
配当と自社株買いを大きく増やし、総還元性向が 6 割を超える
余った現金の戻り方が 1.0 に近づき、中立の価値が上がる。
VF との契約条件が変わる、または他社が TNF の商標を握る
ブランドの前提が崩れる。最大の悪材料になりうる。
訪日客が戻り直営店の売上が伸びる、または訪日客がさらに減る
利益率を支える直営店の売上が上下する。短期では大きな変数。

見ておくもの

  • 四半期ごとの TNF の売上と、卸売りの店頭消化の動き
  • 「ゴールドウイン」の店舗数・売上・営業損益
  • 直営店の売上に占める訪日客の比率
  • 配当性向と自社株買いの有無
  • 有価証券報告書の商標権契約と、リースの約束の額

倍率と資本コストの決め方

今の株価から逆算していない。TNF の国内シェアと市場の実質の伸び、物価並みの価格から営業利益を積み、事業の ROE から倍率の上限(正当化 PER)を出して 8〜9 割に置いた。自己資本は今の 1,294 億円に純利益の合計を足して還元を引く形で流した。純現金 499 億円のうち、運転資金とリースの約束の見合いを除いた約 230 億円を余った現金として分け、10 年で積み上がる現金(中立で約 1,150 億円)も事業の ROE から外した。戻り方は 0.5。倍率は、現金を除いた事業の ROE から式で出した上限の 8.5〜9 割に置いた。家賃は営業費用に入れた形で 10 年先も置き、新リース会計基準で営業利益・純負債の形が変わる点は考慮の外にある。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.8→21.11 倍・やや楽観 PER 14.6→20.68 倍・中立 PER 14.7→20.34 倍・やや悲観 PER 11.2→13.05 倍)。

資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

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読んだ資料

  1. ゴールドウイン 2026 年 3 月期決算(fashionsnap)
  2. ゴールドウイン 2026 年 4〜6 月期決算(fashionsnap)
  3. ゴールドウイン 新中期経営計画(WWD JAPAN)

分析日 2026-10-18