結論
SUMINOEは、自動車のシート表皮材やフロアカーペットと、ビルや住宅のカーペット・壁紙を作る会社だ。売上は1,000億円を超える。筆者の結論は、10年で見れば今の値段は割高というものだ。
売上の大きさに比べて、稼ぐ力は薄い。営業利益率は過去12年で最も良い時でも3%台前半で、自己資本利益率の中央値は1%台にとどまる。2026年5月期は、メキシコ拠点の生産が追いつかず営業利益が2割減り、税金の計算上の資産も取り崩して純損益が赤字になった。
明るい材料もある。2025年5月期に自動車内装の利益率は6%を超えた。インテリアは高付加価値品の販売で利益が4割増えた。メキシコの合成皮革とフロアカーペットの設備が軌道に乗れば、利益率は戻る。
中立の筋書きは、この回復を半分ほど織り込んだ。会社の目標である営業利益50億円は届かないと見て、40億円台前半に置いた。借入が多く、車の需要は景気で振れるため、資本コストも高めにした。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、SUMINOEは「資産は厚いが、稼ぐ力が弱い会社」だ。自己資本は330億円あるのに、純利益は10年の平均で10億円に届かない。稼ぎの割に、資金が事業に縛られている。
評価できるのは、鉄道シートや合成皮革、リサイクルタイルカーペットといった、他社が簡単には真似できない足場を持つことだ。2025年5月期に自動車内装が6%台の利益率を出した実績は、立て直しの余地を示している。
疑問は二つある。海外の現地経営が安定しないこと、そして自動車部品の値決めの弱さが構造であることだ。メキシコの投資は、回収できれば会社の姿を変えるが、立ち上げで躓いた。
10年後に今より強くなっているかと問えば、条件つきで、少しだけ強くなると筆者は見る。ただし、値段に安全域はない。今の時価総額は、事業の稼ぐ力から見れば、高い。筆者は、この会社を応援はするが、今の値段では買わない。
何で稼ぐ会社か
事業は3本ある。自動車・車両内装が売上の約6割、インテリアが約4割弱、機能資材が1割に満たない。
自動車・車両内装は、乗用車のシート表皮材、フロアカーペット、カーマット、合成皮革を作る。鉄道のシート表皮材は国内で約7割のシェアを持つ。顧客は完成車メーカーとその一次部品会社だ。米国、中国、タイ、インドネシア、インド、メキシコ、ベトナムに生産拠点がある。
インテリアは、タイルカーペット、カーテン、壁紙、床材を作り、オフィスや商業施設、ホテル、住宅に売る。使い終わったタイルカーペットを同じ品質に戻すリサイクル品「ECOS」が柱で、空間デザインの会社も買収して強化している。
機能資材は、空気清浄機用のフィルター材や消臭材、ホットカーペットなどで、売上は26億円と小さい。
2026年5月期の売上は1,076億円、営業利益は24億円だった。事業別の利益は、自動車・車両内装が29億円、インテリアが15億円で、全社の費用が22億円ある。この全社の費用は大きく、事業の稼ぎを3分の1近く削っている。
メキシコでは、合成皮革の製造ラインとフロアカーペットの増強に合わせて十数億円を投じた。北米の大手完成車メーカーから大型の受注を得たのが背景である。
優良さと弱いところ
強みは、織る・編む技術と、樹脂を配合する技術を一つの会社が持つ点だ。素材から製品まで自前で作れるので、完成車メーカーの仕様に合わせた開発ができる。鉄道のシートで7割のシェアがあり、リサイクルタイルカーペットにも実績がある。
弱みは、値決めの力と、全体の収益力である。自動車の部品は、毎年の値下げを求められる世界だ。原材料やエネルギーの高騰を、顧客に十分に転嫁できない時期が続いた。営業利益率は2015年5月期の3.4%が山で、2022年5月期には0.1%まで落ちた。
資本効率も低い。自己資本利益率は、過去10年の中央値が1%台で、資本コストを大きく下回る。利益率が低いまま、設備と在庫に資金を抱えているためだ。自己資本比率は36%、純負債は自己資本の約3分の1で、極端に重くはない。ただ、営業利益を支払利息で割ると5倍ほどで、余裕は大きくない。
2026年5月期は、メキシコの新規受注に生産体制が追いつかず、生産効率が落ちた。立ち上げの失敗は一過性になりうるが、同じ問題は米国子会社の再建でも起きてきた。海外の現地経営の巧拙が、この会社の質を左右する。
社長は2026年7月に交代した。新体制の最初の課題は、メキシコの正常化である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
車の内装材の需要は、世界の自動車の生産台数に連動する。世界の生産は年8,000万〜9,000万台で推移し、数量は大きくは伸びない。ただし、1台あたりの内装の単価は、内装の高級化や本革代わりの合成皮革の採用で上がる傾向にある。
電気自動車は、静かな室内や広い空間を売りにするため、内装の質が競争の軸になる。これは内装材メーカーに追い風である。一方で、中国の電気自動車メーカーが世界で台数を伸ばし、中国・韓国の内装材メーカーが低価格で攻める。日系の完成車メーカーのシェアが落ちれば、日系の部品会社の数量も落ちる。
主な競合は、シート表皮材で世界首位を名乗るセーレンをはじめ、完成車メーカー系の部品会社や中国・韓国の大手だ。SUMINOEは、その中で規模の小さい専業の位置にある。
インテリアは、国内のオフィスと商業施設の改装需要が支えだ。建物の床材は、人口減で新築が減る一方、更新と環境対応の需要が出ている。サンゲツや東リなどの大手との競争があり、価格の維持が課題だ。
自動車とインテリアで、景気の山と谷が異なる点は、利益の振れをやや和らげる。
資本政策と M&A
配当は、2026年5月期に純損益が赤字でも維持され、2027年5月期は増配が予定されている。2022年5月期に、減らしていた配当を元の水準に戻した経緯がある。利益が薄い年も配当を保つ姿勢だ。自社株買いは見当たらない。
財務は、純負債が107億円で自己資本の約3分の1。営業利益の支払利息に対する倍率は5倍ほどである。メキシコの設備投資などで借入が増え、2027年5月期以降の返済が課題になる。借入の金利は、日本の金利上昇で上がる見通しで、利益を年に数億円削る。
持ち合い株は、金融機関を中心に売却を進めている。2022年5月期は6億円の減少だった。売却益は一過性なので、価値には足していない。
2026年5月期は、繰延税金資産の取り崩しが、純損益を赤字にした。これは将来の税の節約を前倒しで消す会計処理で、現金が出るわけではない。ただし、会社が将来の利益に自信を持てなくなった証拠でもある。
M&Aは、空間デザインの会社を買い、インテリアに加えた。TOBや買収の可能性は、当サイトの推定で10年に2割強ある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
メキシコの設備が軌道に乗れば、会社の姿が変わる。北米の大手完成車メーカーの大型受注で、フロアカーペットと合成皮革の数量が一気に伸びる。2025年5月期に出した自動車内装の6%台の利益率が、再び出せる。
合成皮革は、本革の代わりとして、電気自動車を含む内装の高級化で需要が増える。会社は合皮の事業を、数年で65億円から100〜150億円規模へ育てる目標を掲げる。実現すれば、単価の高い製品の比率が上がり、全体の利益率を押し上げる。
インテリアも追い風だ。リサイクルタイルカーペットは、建物の環境対応で採用が広がる。空間デザインの会社と組み、設計から納品までを一括で受ける案件が増えれば、価格競争から抜け出せる。
全社の費用の増加を抑えながら、営業利益率は4%台に乗り、自己資本利益率は資本コストに近づく。借入は返済が進み、配当も増える。会社の中長期の目標が、遅れながらも射程に入る姿である。
海外の現地経営が安定すれば、これまで足を引いてきた立ち上げの損失が消える。米国子会社も再建の効果が出て、赤字から抜ける。全社の費用は物価で増えるが、売上が1.6倍に増えれば吸収できる。
慎重な見方
2026年5月期の失敗は、一過性ではないかもしれない。メキシコは新規受注に生産体制が追いつかず、生産効率が落ちた。米国でも同じ種類の立ち上げの失敗で、大規模なリストラを余儀なくされてきた。海外の現地経営の弱さは、この会社の癖である。
自動車部品は、値下げ要求と原材料高の板挟みになる。完成車メーカーは、部品会社の転嫁力を超える値引きを求める。中国・韓国の内装材メーカーは、価格で攻める。日系完成車の世界シェアが落ちれば、数量も落ちる。
利益率の低さも構造だ。営業利益率は12年で3%台前半が山で、全社の費用が事業の稼ぎの3分の1を削る。会社の目標である営業利益50億円は、2027年5月期までに達成できそうもない。
繰延税金資産の取り崩しは、会社自身が将来の利益に自信を失った合図とも読める。借入が増え、金利が上がる環境で、営業利益の薄さは重くのしかかる。
決算の質も気になる。2026年5月期の営業利益は、事業別の合計から全社の費用を引いた結果で、全社の費用は22億円と大きい。この費用が減らなければ、事業が良くなっても利益は残らない。
どちらに重みを置いたか
メキシコの立て直しと自動車内装の利益率の回復は、強気の言い分が当たりうる。2025年5月期の実績があるからだ。一方で、全社の費用の重さ、値決めの弱さ、海外の現地経営の不安定さは、慎重な見方が当たっている。
中立は、自動車内装の利益率を5%台前半へ戻し、インテリアを4%台後半へ上げ、全社の営業利益率を3%強に置いた。過去の山を超えない範囲である。確率は、立て直しの実績が一度しかないことを踏まえ、悲観の側をやや厚くした。結果として、値段との差は割高に出た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 1,337 円177 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 428 円57 億円)。 今の値に割り戻すと 893 円118 億円、今との差 −21.9%、 期待の年率 +4.4%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,485 円330 億円 | 644 円86 億円 | +173.6% | +10.6% | 250 円33 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,964 円261 億円 | 559 円74 億円 | +120.5% | +8.2% | 505 円67 億円 |
| 中立 | 40% | 1,480 円196 億円 | 481 円64 億円 | +71.4% | +5.5% | 784 円104 億円 |
| やや悲観 | 22% | 509 円68 億円 | 328 円44 億円 | −26.9% | −3.1% | 184 円24 億円 |
| 悲観 | 10% | 415 円55 億円 | 3 円0 億円 | −63.5% | −9.6% | 42 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,337 円177 億円 | 428 円57 億円 | +54.3% | +4.4% | 1,765 円234 億円 |
今の株価時価総額 1,144 円152 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% メキシコが軌道に乗り利益率が戻る 利益 27 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,485 円330 億円
北米の大手完成車メーカーの大型受注で、メキシコのフロアカーペットと合成皮革が稼働する。自動車内装の数量は1割強増え、単価は内装の高級化で物価を上回って上がる。利益率は6%を超え、2025年5月期の実績に並ぶ。
インテリアは、リサイクルタイルカーペットと空間デザインの一括受注が広がり、利益率が5%台後半に上がる。全社の費用は物価の分だけ増えるが、売上の伸びで吸収される。
営業利益は70億円ほどに増え、会社の目標を上回る。借入は返済が進み、配当も増える。
10年後には、海外の現地経営が安定し、車の内装材で北米に強い会社になっている。
- 自動車・車両内装:数量 292(内装セット数換算(千台分、概算))× 価格 35(1台分あたり単価(万円、概算))→ 売上 1,022 億円・営業利益 63 億円。数量1割強増・単価は物価超え
- インテリア:数量 13.1(面積換算(百万平方メートル、概算))× 価格 4.20(1平方メートルあたり単価(千円、概算))→ 売上 550 億円・営業利益 32 億円。数量横ばい・利益率が上がる
- 機能資材:数量 2.9(出荷量換算(千ロット、概算))× 価格 138(1ロットあたり単価(万円、概算))→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。機能資材は小幅に伸びる
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 330 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:メキシコの大型受注を取り込み、自動車内装が6%台の利益率を出す筋書き。実績は一度しかなく、立ち上げで躓いた直後でもあるため、1割弱にとどめた。
やや楽観 20% 立て直しが進み利益率が半分戻る 利益 22 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,964 円261 億円
メキシコの生産効率が戻り、大型受注が数量に寄与する。自動車内装の数量は6%ほど増え、利益率は5%台後半まで回復する。2025年5月期より少し低い水準である。
インテリアは微減の数量を高付加価値品の単価で補い、利益率は5%台前半まで上がる。リサイクルタイルカーペットの採用が増える効果が出る。
営業利益は50億円台に乗り、会社の目標には届かないが、近づく。純利益は20億円を超え、配当を続けながら借入を返す。
立て直しは進むが、突き抜けはしない10年である。
環境対応の流れで、リサイクルタイルカーペットは大型の再開発案件に採用が続く。メキシコでは、合成皮革の増産分が北米向けに売れ、設備の稼働率が上がる。借入は返済が進み、支払利息の負担が軽くなる。
- 自動車・車両内装:数量 276(内装セット数換算(千台分、概算))× 価格 34(1台分あたり単価(万円、概算))→ 売上 947 億円・営業利益 54 億円。数量6%増
- インテリア:数量 12.8(面積換算(百万平方メートル、概算))× 価格 4.11(1平方メートルあたり単価(千円、概算))→ 売上 528 億円・営業利益 28 億円。数量2%減・利益率が上がる
- 機能資材:数量 2.7(出荷量換算(千ロット、概算))× 価格 136(1ロットあたり単価(万円、概算))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。機能資材は小幅に伸びる
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 261 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:メキシコの正常化が進み、自動車内装の利益率が5%台後半に戻る筋書き。会社の計画に近い姿で、2割を置いた。
中立 40% 数量は横ばいで利益率が半分戻る 利益 16 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,480 円196 億円
世界の自動車生産は横ばいで、自動車内装の数量は変わらない。価格は物価並みに上がる。メキシコの正常化で利益率は5%台前半に戻るが、2025年5月期の6%台までは届かない。
インテリアは国内の新築減で数量が5%ほど減るが、更新需要と高付加価値品で利益率は4%台後半に上がる。機能資材は小さく、利益に寄与しない。
全社の費用は、物価の分だけ増えて27億円ほどになり、事業の稼ぎを削る。営業利益は43億円ほどで、営業利益率は3%強にとどまる。過去の山を超えない水準だ。
純利益は16億円ほどで、自己資本利益率は4%台にとどまる。資本コストには届かず、10年かけてじわじわ積み上がる会社である。
- 自動車・車両内装:数量 261(内装セット数換算(千台分、概算))× 価格 34(1台分あたり単価(万円、概算))→ 売上 874 億円・営業利益 45 億円。数量横ばい・価格は物価並み
- インテリア:数量 12.4(面積換算(百万平方メートル、概算))× 価格 4.02(1平方メートルあたり単価(千円、概算))→ 売上 500 億円・営業利益 24 億円。数量5%減・利益率が上がる
- 機能資材:数量 2.6(出荷量換算(千ロット、概算))× 価格 134(1ロットあたり単価(万円、概算))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。機能資材は横ばい
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.2% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 196 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:自動車内装は数量横ばいで利益率が5%台前半、インテリアは数量が減る中で利益率が上がる、最も普通の姿として4割を置いた。メキシコは時間をかけて正常化する前提とした。
やや悲観 22% 利益率が今の水準にとどまる 利益 8 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 509 円68 億円
メキシコの生産効率が戻りきらず、完成車メーカーの値下げ要求も続く。自動車内装の数量は1割弱減り、価格は物価に追いつかない。利益率は4%にとどまり、2026年5月期と同じ水準である。
インテリアは数量が1割減り、価格競争で利益率は3%台に留まる。機能資材はほぼ利益を出さない。
全社の費用は27億円に近い水準で残り、営業利益は22億円ほどで、今期と変わらない。借入の金利上昇が利益を削る。
配当は維持するが、増配はできない。自己資本は積み上がるが、稼ぐ力は伸びない。事業の質が改善しない10年である。
自動車の電動化で新しい顧客との取引が必要になるが、思うように広がらない。メキシコの投資の回収は遅れ、償却費が利益を圧迫する。財務の余力は小さいまま、時間が過ぎる。
- 自動車・車両内装:数量 240(内装セット数換算(千台分、概算))× 価格 32(1台分あたり単価(万円、概算))→ 売上 768 億円・営業利益 31 億円。数量8%減・価格は物価に届かず
- インテリア:数量 11.8(面積換算(百万平方メートル、概算))× 価格 3.84(1平方メートルあたり単価(千円、概算))→ 売上 453 億円・営業利益 16 億円。数量1割減・利益率3%台
- 機能資材:数量 2.2(出荷量換算(千ロット、概算))× 価格 125(1ロットあたり単価(万円、概算))→ 売上 28 億円・営業利益 0 億円。機能資材は赤字に近い
倍率:ROE 2.1%は資本コスト 8.25% を大きく下回る。式の正当化 PER は低く出るが、利益が谷に近い筋書きなので、やや弱気は 9.0 倍に置いた。PBR は 0.19 倍と低いが、利益が谷に近い筋書きで、利益の倍率で置いた。売れる資産で見ても、純負債と海外の債務を引けば帳簿の自己資本より大きく減る。
確率:メキシコの正常化が遅れ、値下げ要求で転嫁が進まず、今期並みの利益率にとどまる筋書き。2026年5月期の失敗が示す方向でもあり、2割強を置いた。
悲観 10% 自動車内装で構造的に負ける 利益 −7 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 415 円55 億円
日系完成車の世界シェアが落ち、自動車内装の数量が3割近く減る。中国・韓国メーカーの低価格に押され、価格は物価の半分ほどしか上がらない。メキシコの新設備は稼働率が上がらず、償却費だけが残る。
インテリアも国内の需要減で2割減り、利益率は1%台に落ちる。全社の費用は減らせず、営業利益は赤字になる。
繰延税金資産の取り崩しが続き、純損益の赤字が積み上がる。借入の金利が上がる中で、財務制限に近づく。配当は大きく減る。
それでも、土地と設備、鉄道シートの顧客基盤などの資産が下値を支える。ただし清算されない限り、少数株主に使い道を決める力はない。
- 自動車・車両内装:数量 188(内装セット数換算(千台分、概算))× 価格 30(1台分あたり単価(万円、概算))→ 売上 563 億円・営業利益 6 億円。数量3割近く減・値上げ通らず
- インテリア:数量 10.5(面積換算(百万平方メートル、概算))× 価格 3.60(1平方メートルあたり単価(千円、概算))→ 売上 377 億円・営業利益 4 億円。数量2割減・利益率1%台
- 機能資材:数量 1.8(出荷量換算(千ロット、概算))× 価格 115(1ロットあたり単価(万円、概算))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。機能資材は赤字
倍率:事業の稼ぐ力はほぼ無く(営業利益は赤字)、帳簿の自己資本でなく売れる資産で測る。今の自己資本 332 億円に 0.17 倍を掛けた 55 億円。
確率:中国・韓国メーカーとの価格競争と、日系完成車の世界シェア低下で、数量と利益率が同時に落ちる筋書き。2022年5月期の営業利益率0.1%の再来を考え、1割を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
自動車・車両内装
乗用車のシート表皮材・フロアカーペット・合成皮革、鉄道のシート表皮材。
| 数量内装セット数換算(千台分、概算) | 価格1台分あたり単価(万円、概算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 261 | 25 | 652 | 30 |
| 10 年後 中立 | 261 | 34 | 874 | 45 |
取り方:開示の売上は652億円、セグメント利益は約29億円(利益率4.5%)。1台分あたり約25万円で台数換算した推定。数量は完成車の生産台数に連動する。
インテリア
タイルカーペット、カーテン、壁紙、床材。リサイクルタイルカーペット「ECOS」が柱。
| 数量面積換算(百万平方メートル、概算) | 価格1平方メートルあたり単価(千円、概算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 13.1 | 3.00 | 393 | 16 |
| 10 年後 中立 | 12.4 | 4.02 | 500 | 24 |
取り方:開示の売上は393億円、セグメント利益は約15億円(利益率3.7%)。商品の幅が広いため、1平方メートルあたり約3千円の平均で面積換算した推定。
機能資材
空気清浄機用フィルター材、消臭材、ホットカーペットなど。
| 数量出荷量換算(千ロット、概算) | 価格1ロットあたり単価(万円、概算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 2.6 | 100 | 26 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2.6 | 134 | 35 | 1 |
取り方:開示の売上は26億円、セグメント利益は約0.5億円。製品の種類が多く、ロット換算は概算。
リスクと懸念
メキシコの立ち上げの失敗
新規受注に生産体制が追いつかず、2026年5月期は営業利益が2割減った。北米の大型受注を取り込む要であり、再び品質や歩留まりが崩れれば、設備投資の回収が遅れる。
自動車部品の値下げ要求
完成車メーカーは、部品会社に毎年の値下げを求める。原材料やエネルギーの値上がりを十分に転嫁できなければ、数量が増えても利益率が上がらない。
世界の自動車生産の変動
内装材の数量は完成車の生産台数に連動する。景気後退や半導体不足で生産が急減すると、固定費の重さが利益を直撃する。2020年には世界生産が2割ほど減った。
中国・韓国メーカーとの価格競争
内装材は中国・韓国の大手が低価格で攻める。日系完成車の世界シェアが落ちれば、日系の部品会社の数量も落ちる。電気自動車の普及で、新しい顧客との取引も必要になる。
借入の増加と金利上昇
メキシコなどの投資で借入が増えた。借り換えの金利が上がると、年に数億円の利益が削られる。営業利益に対する支払利息の余裕は5倍ほどである。
海外子会社の管理
米国、中国、タイ、インドネシア、インド、メキシコ、ベトナムに拠点がある。現地の経営が崩れた時に、再建の費用が出る。米国子会社では大規模なリストラを経験した。
インテリアの内需と競争
国内の新築が減り、更新需要が支えだ。サンゲツや東リなど大手との競争で、価格を維持できなければ、利益の改善が止まる。
今後の分かれ目
- メキシコの生産効率が戻り、自動車内装の利益率が5%を超える
- 2025年5月期の実績に近づき、強気の筋書きの確率が上がる。
- 合成皮革の売上が100億円規模に近づく
- 単価の高い製品の比率が上がり、全体の利益率を押し上げる。
- 営業利益が35億円を下回る
- 予想が崩れ、立て直しが遅れていると見て、やや弱気の筋書きの確率が上がる。
- リサイクルタイルカーペットの採用が大型案件で続く
- インテリアの利益率が改善し、価格競争から抜け出す根拠になる。
- 金融機関などの持ち合い株の売却が進む
- 売却益は一過性だが、財務の余力が増え、借入の返済が進む。
- 世界の自動車生産が急減する
- 固定費の重さが利益を直撃し、悲観の筋書きに近づく。
見ておくもの
- メキシコの生産効率と自動車内装の利益率
- 合成皮革の売上規模
- 全社の営業利益と調整額
- 純負債と支払利息
- インテリアの利益率
- 新社長の経営方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。資本コストは基本7.5%に品質の上乗せ1.25%を足した8.75%。成長4%とROEから正当化PERを求め、中立は上限の8.5割に置いた。ROEが資本コストを下回るため、PERは低く出る。今の株価やPERは使っていない。悲観の床は、過去のPBRの底ではなく、売れる資産の見立てから置いた。結果は割高で、利益率が低いまま資金が事業に縛られている点が主因である。今の時価総額に寄せて倍率を上げ下げしてはいない。会計基準の形は今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.22→12.12 倍・やや楽観 PER 8.03→12.12 倍・中立 PER 6.85→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.25% を足して 8.75%。事業が傾いている様子はなく extra は 0。メキシコの立ち上げの失敗は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。