結論
クーパー(CooperCompanies)は、コンタクトレンズのクーパービジョン(2025 年 10 月期の売上 27.4 億ドル、全体の 67%)と、不妊治療・婦人科のクーパーサージカル(13.5 億ドル)を持つ医療機器会社である。2025 年 10 月期(kabufu の表記は 2025/12)の売上は 40.9 億ドル(有機で +4%)、GAAP の営業利益は 6.8 億ドル(営業利益率 17%)、純利益は 3.7 億ドル。会社が示す調整後の営業利益率 26% は、株式報酬・買収の無形資産の償却(年 2.0 億ドル)・事業整理を費用から外した値で、ここでは費用に入れた GAAP で見る。
2026 年は逆風が続く。2026 年度の第 3 四半期(5〜7 月期)の売上は 10.7 億ドル(有機 +1%)で、クーパービジョンは米国の流通在庫を意図的に減らして横ばい、第 4 四半期(8〜10 月期)にも同規模の調整が続く。胚培養液の回収をめぐる訴訟では 2026 年 8 月に 3.1 億ドルを払った。9 月に取締役会は クーパーサージカルの売却を見送り、物言う株主のジャナ・パートナーズ(JANA Partners)がCEO と議長の交代、クーパービジョンの売却先との対話を求めた。これらは成立していないので、今の会社のまま書く。
数量(装用者・体外受精の周期)× 価格(物価より弱い上昇)で積むと、中立は 2035 年 10 月期に売上 60.3 億ドル・純利益 9.40 億ドル。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割に置いた(moat は normal)。10 年の中立は、正当化 PER 14.5 倍(g 4.0%、RONIC 9.5%)の 9 割の 13.0 倍。今の GAAP の PER は 30 倍で、この水準を上回る。確率で重ねた総合は、今の時価総額より 16% 下。結論は「やや割高」。確率で重ねた価値は、今の時価総額を下回る。上は在庫調整の終了・米国での販売網の拡充・近視抑制と不妊の伸び、下はジョンソン・エンド・ジョンソンとアルコンへのシェアの流出と値崩れで、幅は広い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、毎日・毎月使う消耗品のコンタクトレンズと、少子化でも需要が続く不妊治療という、分かりやすい事業である。10 年後も存在する確信は高く、堀(処方の指定・寡占・製造の規模)は広がりも狭まりもせず保たれると見る。問いは、その事業が株主の資本に見合う利益を生むかにある。
オーナー利益は、純利益に償却を戻し、設備投資と株式報酬を引いた額で、2026 年 10 月期は自由キャッシュフローで約 7 億ドル(訴訟の支払いを除く)。株式報酬は 0.7 億ドル前後で、株数を増やす分は還元から引いて考える。時価総額 112 億ドルに対し約 6% の利回りで、名目で年 4% の伸びを足すと 10% 前後になり、資本コスト 8.00% を上回る。ただし GAAP の ROE は 8% 前後(のれんを除かない)と低く、買収の代金が稼ぐ力に結びついていない。
資本配分は評価が割れる。自社株買いを毎年行う点は株主向きだが、高値で買い、悪材料の前に使い、2023〜2024 年の約 7.5 億ドルの設備投資も成果が見えない。経営への信頼が下がっており、物言う株主の圧力が資本配分の改善につながるかが鍵。安全域を測る。正当化 PER は 14.5 倍(g 4.0%、RONIC 9.5%、k 8.00%、moat は normal)。今の PER 30 倍はこれより高く、安全域はない。確率で重ねた総合は、今の時価総額より 16% 下。結論は「やや割高」。
何で稼ぐ会社か
2 つの事業で成り立つ。クーパービジョン(2025 年 10 月期 27.4 億ドル)は、コンタクトレンズを眼科医・検眼士の処方と販売店を通じて売る。売上は乱視用・遠近両用が 13.5 億ドル、球面・その他が 13.9 億ドルで、1 日使い捨てのシリコーンハイドロゲル(MyDay)、月間交換のバイオフィニティ(Biofinity)、クラリティ(clariti)が主な商品。地域は南北アメリカが約 4 割、欧州・中東・アフリカが約 4 割、アジア太平洋が約 2 割(2025 年度第 4 四半期)。装用者は同じレンズを買い続けやすく、定期購入に近い消耗品の収入になる。近視進行抑制のマイサイト(MiSight 1 day)は、会社が「近視の進行を遅らせる効能で米国 FDA が承認した最初で唯一の製品」と説明するレンズで、2026 年度は四半期ごとに 2 割前後の伸びを続けている(第 1 四半期 28 百万ドル、第 2 四半期 32 百万ドル)。
クーパーサージカル(13.5 億ドル)は、不妊治療(体外受精)と出産・婦人科の 2 つ。不妊(5.2 億ドル)は、胚の培養液・器具・保存と、胚の遺伝子検査を体外受精の診療所に売る。出産・婦人科(8.2 億ドル)は、銅付加の避妊具パラガード(Paragard)、婦人科の診察・手術の機器、出産関連の製品とサービスを扱う。2023 年 12 月の胚培養液(LifeGlobal)の回収は、訴訟の費用として 2026 年度の第 2 四半期(2〜4 月期)に 2.7 億ドル(保険回収を引いた純額)を計上し、2026 年 8 月に 3.1 億ドルを原告に払った。
事業の稼ぐ力はクーパービジョンが担う。2025 年 10 月期の営業利益は、クーパービジョンが約 7.3 億ドル(27%)、クーパーサージカルが約 0.4 億ドル(閉鎖・減損で 3% に落ちた)、本社費が約 −0.9 億ドル(四半期のセグメント値と全社値からの推定)。2020 年に買ったサウフロン(英国)などの買収で、のれん 38.8 億ドルと無形資産が積み上がり、自己資本は 83 億ドルと大きい。
優良さと弱いところ
優良さの核は、コンタクトレンズの寡占と消耗品の収入にある。世界の製造者は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(アキュビュー)、アルコン、クーパービジョン、ボシュロム(Bausch + Lomb)の 4 社で約 9 割を占めるとされ(推計)、処方は銘柄を指定して出され、装用者は慣れたレンズを替えにくい。1 日使い捨てと乱視用・遠近両用は単価が高く、乱視用・遠近両用は 2025 年度の第 4 四半期に有機 +5%、2026 年度の 9 か月は +7% と市場並み以上を保った。近視進行抑制は、会社が「FDA が承認した最初で唯一の製品」と説明する MiSight を持ち、競合の眼鏡レンズ(エシロールルックスオティカのステレスト)やオルソケラトロジー・アトロピンの点眼とは別の位置にある。
一方、世界シェアは約 2 割強(売上 27.4 億ドルを市場約 120 億ドルで割った推定で、23% 前後)の 3 番手で、1 日使い捨てではジョンソン・エンド・ジョンソンとアルコンが先行する。資本の効率は事業の質に見合わない。2025 年 10 月期の ROE は GAAP で 4.5%、一時費用を除いても 8% 前後で、同じ領域のアボット(12〜15%)より低い。2023〜2024 年の約 7.5 億ドルの設備投資(ジャナの指摘)は、成長の加速に結びついていない。
弱点は 4 つ。在庫調整で売上の伸びが止まったこと、アジア太平洋(日本・中国)が 2026 年度に −5% 前後で弱いこと、胚培養液の訴訟と新しい銅付加避妊具の競合(オルガノンが権利を得たミュディエラ)、経営陣と取締役会への信頼の低下(2025 年のブラウニング・ウェスト、2026 年のジャナ)である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場の見通しは領域ごとに分けて置く。コンタクトレンズは、世界の市場が 120〜165 億ドル(推計で幅が広い)、年 4〜6% で伸び、会社は 2026 年について「歴史的な 4〜6% の低い側」と述べる。伸びの中身は、装用者の増加(近視人口の増加と若年層)、1 日使い捨てへの移行、乱視用・遠近両用の拡大が数量と価格のミックスを押し上げる一方、通信販売・量販店・保険の償還が価格を抑える。競合は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(約 3 割)、アルコン(約 2 割)、ボシュロム(約 1 割)で、アルコンのコンタクトレンズは 2026 年 1〜3 月期に +7%(第三者の集計)、ボシュロムも 1 日使い捨てで伸びている。クーパービジョンは 2026 年にこれらを下回った。
近視進行抑制は、子どもの近視の増加で市場が育つが、競争は眼鏡・点眼・オルソケラトロジーにも広がり、中国では会社が最も難しい市場と述べる。
体外受精は、世界で年約 400 万周期(推定)。米国の出生数は 2025 年に過去最低で、少子化は逆風だが、晩婚化による体外受精の利用の増加と、カリフォルニア州の大企業向けの補償義務(2026 年 1 月)が追い風になる。2026 年度の第 2 四半期の不妊は有機 +10%(設備販売と中東の在庫補充を含む)、第 3 四半期は +5% に戻った。婦人科では、2026 年末に米国で発売が見込まれる銅付加の新製品が、パラガードの「唯一の長期の非ホルモン避妊具」の地位を崩す。医療機器の領域全体(業界ノート)が年 5.5〜6% で伸びるのに比べ、クーパーの置き方は市場並みの 4% 前後と低めである。
資本政策と M&A
資本配分は、買収で規模を作った後、自社株買いで株数を減らす形である。配当は実質ゼロに近く、還元は自社株買いが主。2025 年度は 2.9 億ドル、2026 年度は 9 か月で 4.4 億ドル、第 3 四半期だけで 3.4 億ドル(株価が今より 2 割ほど高い水準)を買った。9 月に枠を 20 億ドルから 30 億ドルに広げ、残りは約 15 億ドル。ジャナは、悪い材料が出る前の高値で買った点を批判した。会社は 2026〜2028 年の自由キャッシュフローの累計 22 億ドル超を目標にする(訴訟の支払いを含む)。
借入金は 25.4 億ドル、現金 1.5 億ドル、純負債は約 24 億ドル(自己資本の 3 割弱)。利払いは 2025 年 10 月期に 1.0 億ドルで、借り換えが進むと新しい金利(約 5.75%)で年 1.4 億ドル前後に増える(税前で約 0.4 億ドルの減益)。設備投資は 2025 年 10 月期に 3.6 億ドルと大きく、2023〜2024 年の拡張の後で下がる見込み。
再編の動きが多い。2025 年 12 月に戦略見直しを始め、9 月にクーパーサージカルの売却を見送った。ジャナはクーパービジョンの売却先との対話(以前はボシュロムとの合併を勧めた)を求める。ブラウニング・ウェストとの合意(2025 年 12 月)で取締役が 1 人加わり、取締役の指名期限の 2027 年 1 月初めが次の山場。これらは成立していないので、数字は今の会社のまま置き、筋書きの確率で触れる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
在庫調整は一時の要因で、米国の消費は中単位の伸びを保っている(会社は在庫調整がなければ南北アメリカは +5%)。調整が終われば、クーパービジョンは市場並みの年 4〜5% に戻る。1 日使い捨てのシリコーンハイドロゲルは 2026 年度の第 2 四半期に +8%(MyDay は 2 桁)、バイオフィニティの乱視用・遠近両用は +5% と市場を上回っており、米国で販売先を約 5,000 軒増やし、研究開発を前倒しすれば、シェアは取り戻せる。近視進行抑制は 2026 年度に約 2 割の伸びを続け、10 年で売上が数倍になりうる。
女性医療は底を打った。不妊は 2026 年度の第 2 四半期に有機 +10% で、カリフォルニア州の補償義務など保険の適用が広がる。遺伝子検査の普及で 1 周期あたりの収入も上がる。会社は戦略見直しでクーパーサージカルを売らず、「提示が価値を反映していない」と判断した。胚培養液の訴訟は大半が 2026 年 8 月に払い済みで、不確実性が減った。
資本の面でも、自由キャッシュフローは 2026 年度に約 7 億ドル(訴訟の支払いを除く)で、時価総額の約 6%。自社株買いで株数は毎年縮み、物言う株主が入って資本配分の規律が高まる。今の時価総額は、正常化した GAAP の純利益(2026 年度の見込み約 6.5 億ドル、訴訟と一時の税益を除く)の 17 倍強で、成熟した医療機器の水準に比べ割安。
慎重な見方
クーパービジョンは 2026 年に市場を下回った。第 3 四半期は横ばい、第 4 四半期も在庫調整が続き、会社は 2027 年度の見通しを 12 月まで出さない。在庫調整は需要の弱さの表れかもしれず、ジョンソン・エンド・ジョンソンのアキュビュー・オアシス 1-デイとアルコンのプレシジョン ワンが 1 日使い捨てで優位に立ち、MyDay は後を追う立場にある。アジア太平洋は −5〜−6% で、日本・中国の需要の弱さに旧型のヒドロゲルの整理が重なり、MiSight は中国で苦戦し、眼鏡(ステレスト)・オルソケラトロジー・点眼薬との競争が価格を押し下げる。
女性医療は、出生数が過去最低で、体外受精の 2026 年度の第 2 四半期の +10% には設備販売と中東の在庫補充の一時要因が含まれ、会社自身が下期は 1 桁中盤と述べる。パラガードは、銅付加の新しい競合が 2026 年末に米国で発売され、唯一の地位が終わる。胚培養液の訴訟は、和解が全員に及ぶとは限らない。
資本の面では、GAAP の純利益は 2025 年 10 月期に 3.7 億ドル、ROE は 4.5% と、のれん 38.8 億ドルに見合わない。2023〜2024 年に約 7.5 億ドルを設備に使い、成長が加速しなかった。自社株買いは悪材料の前の、株価が今より 2 割ほど高い水準で 3.4 億ドルを使っており、株価が 2007〜2008 年に 75% 下げた経験もある。経営への信頼が下がり、売却や CEO 交代の議論が長引くこと自体が、事業の足を引っ張る。
どちらに重みを置いたか
事業の質(寡占・消耗品・処方の指定)は強く、市場並みの年 4% 前後の伸びと 21% 前後の GAAP の営業利益率を置く中立を最大の確率(10 年 38%)にした。他方、2026 年だけで在庫調整・アジアの弱さ・訴訟・物言う株主・戦略見直しの失敗という慎重な見方の論点が出そろい、シェアの流出と価格の下落も現実に見えるので、やや悲観を 26%、悲観を 10 年 12% と厚めに置いた。楽観は、在庫調整の終了と MiSight・不妊の伸びが重なる場合の 6% にとどめた。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 14.5 倍の 9 割の 13.0 倍。今の PER に寄せていない。確率で重ねた総合は、今の時価総額より 16% 下。結論は「やや割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 54.36 ドル105 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 34.49 ドル67 億ドル)。 今の値に割り戻すと 48.66 ドル94 億ドル、今との差 −21.1%、 期待の年率 +3.7%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 107.72 ドル208 億ドル | 50.93 ドル98 億ドル | +157.3% | +9.9% | 9.52 ドル18 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 78.96 ドル152 億ドル | 42.95 ドル83 億ドル | +97.8% | +7.1% | 21.95 ドル42 億ドル |
| 中立 | 38% | 63.37 ドル122 億ドル | 38.55 ドル74 億ドル | +65.3% | +5.2% | 38.73 ドル75 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 30.78 ドル59 億ドル | 27.88 ドル54 億ドル | −4.9% | −0.5% | 15.25 ドル29 億ドル |
| 悲観 | 12% | 13.37 ドル26 億ドル | 15.08 ドル29 億ドル | −53.9% | −7.4% | 3.41 ドル7 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 54.36 ドル105 億ドル | 34.49 ドル67 億ドル | +44.1% | +3.7% | 88.86 ドル171 億ドル |
今の株価時価総額 61.65 ドル119 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:米国の販売網の拡充と近視抑制・不妊の高成長で、市場を上回り利益率も 24% 台へ 利益 13 億ドル · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 107.72 ドル208 億ドル
2035 年度の売上は 71.9 億ドル(2025 年度から名目で年 +5.8%。数量で年 3% 前後、価格・ミックスで年 +2〜3%)。クーパービジョンは、米国の販売網の拡充と MyDay・乱視用の優位で市場を上回り、乱視用・遠近両用は 26.3 億ドル(年 +6.9%)、球面・その他は 18.0 億ドル、近視進行抑制は米国・欧州・日本の拡大で 4.9 億ドル(利用者が 65 万人)。女性医療は、体外受精の補償の広がりと遺伝子検査のミックスで不妊が 10.4 億ドル、出産・婦人科が 12.2 億ドル。営業利益は 17.6 億ドル(24.4%)、純利益は 13.10 億ドル。ROE は 16.1%(のれんは除かない)。物言う株主の圧力で資本配分が改善し、自社株買いで株数を毎年縮める。g は 4.5%(数量 +1.5%・シェア +0.2%・価格 +2.8%)。倍率は 正当化 PER 16.7 倍の 9.5 割、15.9 倍に置く。利益の質が高く、伸びも一番続く筋書き。上限の 9 割に置く。
- コンタクトレンズ:球面・その他(1 日使い捨て中心):数量 2,873(装用者数(万人、推定)=世界の装用者 約 1.4 億人 × クーパービジョンの割合(売上シェア約 23%)のうち球面)× 価格 63(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル、メーカー出荷ベース))→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:乱視用・遠近両用:数量 977(装用者数(万人、推定)=乱視用・遠近両用の装用者のうちクーパービジョンの分)× 価格 269(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 26 億ドル・営業利益 9 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:近視進行抑制(MiSight):数量 65.5(利用する子どもの数(万人、推定))× 価格 752(1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。利用者数と 1 人あたり売上
- 女性医療:体外受精(不妊治療):数量 120(関わる体外受精の周期数(万周期、推定)=世界の周期 約 400 万 × クーパーサージカルが関わる割合 約 20%)× 価格 871(1 周期あたりの売上(ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。関わる周期数と 1 周期あたり売上
- 女性医療:出産・婦人科(パラガードなど):数量 128(製品・サービスの使用件数(万件、推定の合算))× 価格 959(1 件あたりの売上(ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 2 億ドル。使用件数と 1 件あたり売上
倍率:正当化 PER は 16.7 倍(g 4.0%、RONIC 12.1%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 16.1% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 15.9 倍(9.5 割)に置いた。利益の質が高く、伸びも一番続く筋書き。上限の 9 割に置く。g の内訳:コンタクトレンズ・不妊治療の需要(近視の増加)の実質 +1.1% × シェア 0 × 価格・ミックス +2.9%(1 日使い捨てへの切り替えとブランド)で名目 約 4.0%。検査の上限(4%)の内側。純利益は GAAP。
確率:近視抑制と不妊が高成長を 10 年続け、米国の販売網の拡充で乱視用・遠近両用が年 5% 伸び、利益率も 24% 台に上がる展開。クーパーは過去 10 年でこれを実現できておらず 6%。
やや楽観 18% やや楽観:市場を少し上回り、近視抑制の伸びが続き、利益率は 23% に改善 利益 11 億ドル · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 78.96 ドル152 億ドル
2035 年度の売上は 65.5 億ドル(名目で年 +4.8%)。市場(年 4〜5%)を少し上回り、乱視用・遠近両用は 23.4 億ドル、球面・その他は 17.2 億ドル、近視進行抑制は年 14% で伸びて 4.0 億ドル。不妊は 9.6 億ドル(年 +6%)、出産・婦人科は 11.3 億ドル(新しい競合を新製品で相殺)。営業利益は 15.1 億ドル(23.0%)、純利益は 11.01 億ドル、ROE は 12.8%。在庫調整を乗り越え、設備の稼働が上がって利益率が 23% に改善する。経営陣は物言う株主との合意で資本配分の規律を高める。倍率は 正当化 PER 15.4 倍の 9 割、13.8 倍に置く。伸びと利益率はほぼ計画どおり。上限の 8.5 割に置く。
- コンタクトレンズ:球面・その他(1 日使い捨て中心):数量 2,789(装用者数(万人、推定)=世界の装用者 約 1.4 億人 × クーパービジョンの割合(売上シェア約 23%)のうち球面)× 価格 62(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル、メーカー出荷ベース))→ 売上 17 億ドル・営業利益 5 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:乱視用・遠近両用:数量 888(装用者数(万人、推定)=乱視用・遠近両用の装用者のうちクーパービジョンの分)× 価格 264(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 8 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:近視進行抑制(MiSight):数量 55.0(利用する子どもの数(万人、推定))× 価格 730(1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。利用者数と 1 人あたり売上
- 女性医療:体外受精(不妊治療):数量 112(関わる体外受精の周期数(万周期、推定)=世界の周期 約 400 万 × クーパーサージカルが関わる割合 約 20%)× 価格 854(1 周期あたりの売上(ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。関わる周期数と 1 周期あたり売上
- 女性医療:出産・婦人科(パラガードなど):数量 122(製品・サービスの使用件数(万件、推定の合算))× 価格 931(1 件あたりの売上(ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 2 億ドル。使用件数と 1 件あたり売上
倍率:正当化 PER は 15.4 倍(g 4.0%、RONIC 10.4%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 12.8% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 13.8 倍(9 割)に置いた。伸びと利益率はほぼ計画どおり。上限の 8.5 割に置く。g の内訳:コンタクトレンズ・不妊治療の需要(近視の増加)の実質 +1.1% × シェア 0 × 価格・ミックス +2.9%(1 日使い捨てへの切り替えとブランド)で名目 約 4.0%。検査の上限(4%)の内側。純利益は GAAP。
確率:在庫調整後に市場を少し上回り(年 4.8%)、近視抑制が年 13% で伸び、不妊が年 6% 前後で伸びる展開。利益率は 23% まで改善。
中立 38% 中立:市場並み(年 4%)。シェアを守り、利益率は 22% 前後、ROE は 11% 前後 利益 9 億ドル · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 63.37 ドル122 億ドル
2035 年度の売上は 60.3 億ドル(名目で年 +3.9%。数量で年 1.5% 前後、価格・ミックスで年 +2.4%)。クーパービジョンは市場並みの年 4% で、乱視用・遠近両用は 21.1 億ドル(年 +4.5%)、球面・その他は 16.2 億ドル(年 +2.3%。旧型の整理と値引きで弱い)、近視進行抑制は年 13% で伸びて 3.6 億ドル(利用者 50 万人)。女性医療は、不妊が 8.9 億ドル(年 +5.4%)、出産・婦人科が 10.6 億ドル(年 +2.5%。新しい競合の登場後の横ばい)。営業利益は 13.1 億ドル(21.8%)、純利益は 9.40 億ドル。借入金は返済しつつ自社株買いを続け、10 年の正味の還元は 74.4 億ドル、自己資本は 85.7 億ドルと横ばいで、ROE は 11.0%(のれんは除かない)。倍率は 正当化 PER 14.5 倍の 9 割、13.0 倍に置く。中立は上限の 8 割(ROE が k を少し超える程度なので、1÷k の床に近い)。レンズの寡占は堀だが、ROE の低さが倍率を決める。
- コンタクトレンズ:球面・その他(1 日使い捨て中心):数量 2,680(装用者数(万人、推定)=世界の装用者 約 1.4 億人 × クーパービジョンの割合(売上シェア約 23%)のうち球面)× 価格 60(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル、メーカー出荷ベース))→ 売上 16 億ドル・営業利益 4 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:乱視用・遠近両用:数量 806(装用者数(万人、推定)=乱視用・遠近両用の装用者のうちクーパービジョンの分)× 価格 261(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 21 億ドル・営業利益 7 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:近視進行抑制(MiSight):数量 50.3(利用する子どもの数(万人、推定))× 価格 716(1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。利用者数と 1 人あたり売上
- 女性医療:体外受精(不妊治療):数量 107(関わる体外受精の周期数(万周期、推定)=世界の周期 約 400 万 × クーパーサージカルが関わる割合 約 20%)× 価格 829(1 周期あたりの売上(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。関わる周期数と 1 周期あたり売上
- 女性医療:出産・婦人科(パラガードなど):数量 116(製品・サービスの使用件数(万件、推定の合算))× 価格 913(1 件あたりの売上(ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 1 億ドル。使用件数と 1 件あたり売上
倍率:正当化 PER は 14.5 倍(g 4.0%、RONIC 9.5%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 11.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 13.0 倍(9 割)に置いた。中立は上限の 9 割に置く。ROE が k に近く式の値が 1÷k に近いので、中立の PER は 1÷k を下回らせない。レンズの寡占は堀だが、ROE の低さが倍率を決める。g の内訳:コンタクトレンズ・不妊治療の需要(近視の増加)の実質 +1.1% × シェア 0 × 価格・ミックス +2.9%(1 日使い捨てへの切り替えとブランド)で名目 約 4.0%。検査の上限(4%)の内側。純利益は GAAP。
確率:市場並み(年 4%)、シェアは横ばい、価格・ミックスは物価の約 6 割(年 +2%)、利益率は 22% 前後。最大の確率。価格・ミックスは球面 年 +1.8%・乱視用 +1.5%・MiSight +1.0%(物価 3.5% を下回る理由は、通信販売・量販店の値引きと保険の償還、競合の多い近視抑制の値下げ圧力で、1 日使い捨てへの移行が一部を取り戻す)、不妊 +2.5%、出産・婦人科 +2.0%(病院・診療所の購買と新しい競合)。
やや悲観 26% やや悲観:シェアの流出と価格の弱さで年 2% 台、資本効率は低いまま 利益 6 億ドル · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 30.78 ドル59 億ドル
2035 年度の売上は 50.9 億ドル(名目で年 +2.2%)。シェアが徐々に流出し、球面・その他は 13.8 億ドル、乱視用・遠近両用は 18.2 億ドル(年 +3%)、近視進行抑制は競合と中国の弱さで 2.4 億ドル。女性医療は、少子化で不妊が 7.4 億ドル(年 +3.5%)、パラガードが新しい競合で縮み出産・婦人科は 9.1 億ドル(ほぼ横ばい)。営業利益は 9.5 億ドル(18.7%)、純利益は 6.33 億ドルで、2035 年度の ROE は 7.2%。自己資本は 88.2 億ドルで、10 年の正味の還元は 53.8 億ドルにとどまる。1 日使い捨てと乱視用でジョンソン・エンド・ジョンソンとアルコンに押される「普通の消耗品会社」で、資本効率は低いまま。倍率は 1÷k(13.4 倍)の 9.5 割、12.8 倍に置く。競争と値下がりで、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる。上限の 7.5 割に置く。
- コンタクトレンズ:球面・その他(1 日使い捨て中心):数量 2,425(装用者数(万人、推定)=世界の装用者 約 1.4 億人 × クーパービジョンの割合(売上シェア約 23%)のうち球面)× 価格 57(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル、メーカー出荷ベース))→ 売上 14 億ドル・営業利益 3 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:乱視用・遠近両用:数量 731(装用者数(万人、推定)=乱視用・遠近両用の装用者のうちクーパービジョンの分)× 価格 249(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:近視進行抑制(MiSight):数量 35.0(利用する子どもの数(万人、推定))× 価格 681(1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。利用者数と 1 人あたり売上
- 女性医療:体外受精(不妊治療):数量 94.0(関わる体外受精の周期数(万周期、推定)=世界の周期 約 400 万 × クーパーサージカルが関わる割合 約 20%)× 価格 790(1 周期あたりの売上(ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。関わる周期数と 1 周期あたり売上
- 女性医療:出産・婦人科(パラガードなど):数量 105(製品・サービスの使用件数(万件、推定の合算))× 価格 869(1 件あたりの売上(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。使用件数と 1 件あたり売上
倍率:事業の ROE 7.2% が k 8.00% 以下なので PER は 1÷k=12.5 倍まで。これに対し 9.4 倍(7.5 割)に置いた。競争と値下がりで、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる。ROE が k に届かず 1÷k が上限で、その 7.5 割に置く。g の内訳:コンタクトレンズ・不妊治療の需要(近視の増加)の実質 +1.1% × シェア 0 × 価格・ミックス +2.9%(1 日使い捨てへの切り替えとブランド)で名目 約 4.0%。検査の上限(4%)の内側。純利益は GAAP。
確率:シェアが徐々に流出し(装用者の伸びが年 0〜2%)、価格・ミックスも年 +1% 台に弱まる。パラガードは新しい競合で縮み、不妊は少子化で年 +3% 台にとどまる展開。利益率は 19% 前後。
悲観 12% 悲観:構造的に負ける(1 日使い捨てのシェア喪失・近視抑制の失速・少子化・パラガードの唯一の地位の終了) 利益 3 億ドル · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 13.37 ドル26 億ドル
構造的に負ける。1 日使い捨てでシェアを失い、球面・その他は 11.1 億ドル(縮小)、乱視用・遠近両用は 14.2 億ドルで横ばい。近視進行抑制は眼鏡・点眼・オルソケラトロジーに抜かれ 1.4 億ドル。不妊は少子化と価格競争で 5.2 億ドル、パラガードは新しい競合に削られ出産・婦人科は 7.4 億ドル。売上は 39.3 億ドル(名目で年 +-0.4%、実質は 3 割強の目減り)、営業利益は 5.2 億ドル(13.3%)、純利益は 2.75 億ドル、ROE は 3.0% まで下がる。物言う株主の要求が通らず、経営の立て直しが進まないまま、買収などで資本を無駄にする可能性も含む。ROE が g に近く式の PER が成り立たないので、自己資本 90.6 億ドルに PBR 0.55 倍(2008 年度の底 0.54 倍並み)を掛けて測る。
- コンタクトレンズ:球面・その他(1 日使い捨て中心):数量 2,084(装用者数(万人、推定)=世界の装用者 約 1.4 億人 × クーパービジョンの割合(売上シェア約 23%)のうち球面)× 価格 53(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル、メーカー出荷ベース))→ 売上 11 億ドル・営業利益 2 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:乱視用・遠近両用:数量 600(装用者数(万人、推定)=乱視用・遠近両用の装用者のうちクーパービジョンの分)× 価格 237(装用者 1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 14 億ドル・営業利益 3 億ドル。装用者数と 1 人あたり売上
- コンタクトレンズ:近視進行抑制(MiSight):数量 21.8(利用する子どもの数(万人、推定))× 価格 648(1 人あたりの年間売上(ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。利用者数と 1 人あたり売上
- 女性医療:体外受精(不妊治療):数量 69.6(関わる体外受精の周期数(万周期、推定)=世界の周期 約 400 万 × クーパーサージカルが関わる割合 約 20%)× 価格 752(1 周期あたりの売上(ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 0 億ドル。関わる周期数と 1 周期あたり売上
- 女性医療:出産・婦人科(パラガードなど):数量 89.9(製品・サービスの使用件数(万件、推定の合算))× 価格 827(1 件あたりの売上(ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 0 億ドル。使用件数と 1 件あたり売上
倍率:事業の ROE 3.0% が k 8.00% 以下なので PER は 1÷k=12.5 倍まで。これに対し 9.4 倍(7.5 割)に置いた。構造的に負けた筋書き。ROE 3% が k に届かず、ためた利益は額面より低い価値なので、稼ぐ力(純利益 ÷ k)の 7.5 割を床にとる。自己資本に PBR を掛けない。のれんの減損が出ても、その分は倍率に二重に入れない。純利益は GAAP。
確率:構造的に負ける展開:1 日使い捨てでシェアを失い、近視抑制は競合に抜かれ、不妊は少子化と価格競争で縮み、パラガードは新しい競合で縮む。物言う株主の要求が拒まれた後も経営が立て直せない、または買収で資本を無駄にする場合も含めて 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
コンタクトレンズ:球面・その他(1 日使い捨て中心)
クーパービジョンの球面レンズ(MyDay・クラリティ・バイオフィニティの球面など)と、乱視用・遠近両用・MiSight 以外の全部。
| 数量装用者数(万人、推定)=世界の装用者 約 1.4 億人 × クーパービジョンの割合(売上シェア約 23%)のうち球面 | 価格装用者 1 人あたりの年間売上(ドル、メーカー出荷ベース) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,550 | 51 | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2,680 | 60 | 16 | 4 |
取り方:2025 年 10 月期の「球面・その他」は 13.9 億ドル(9 か月 10.3 億+第 4 四半期 3.65 億)で、そこから MiSight の推定 1.05 億ドルを切り出した 12.9 億ドル。世界の装用者を約 1.4 億人(推定)、クーパービジョンの売上シェアを約 23%(27.4 億ドル ÷ 市場約 120 億ドル)として装用者を約 3,170 万人とし、球面を 2,550 万人、1 人あたり 50.5 ドル(1 日使い捨て・2 週間・月間の混合)と置いた(数量・単価は推定、売上は開示)。競合はジョンソン・エンド・ジョンソン(約 3 割)、アルコン(約 2 割)、ボシュロム(約 1 割)。価格は中立で 10 年 1.05 倍(物価の 1.11 倍・1.41 倍より弱い):1 日使い捨てへの移行が 1 人あたりの収入を押し上げるが、量販・通信販売の値引きと旧型のヒドロゲルの整理が打ち消し、2025 年の価格・ミックスは約 +1% だった。
コンタクトレンズ:乱視用・遠近両用
乱視用と遠近両用(老眼用)のレンズ(バイオフィニティ・MyDay の乱視用・遠近両用)。単価が高く、クーパービジョンの強みの領域。
| 数量装用者数(万人、推定)=乱視用・遠近両用の装用者のうちクーパービジョンの分 | 価格装用者 1 人あたりの年間売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 600 | 225 | 14 | 4 |
| 10 年後 中立 | 806 | 261 | 21 | 7 |
取り方:2025 年 10 月期の乱視用・遠近両用は 13.5 億ドル(9 か月 10.1 億+第 4 四半期 3.4 億)。装用者を約 600 万人(球面より少なく、単価は約 4.5 倍)、1 人あたり 225 ドルと置いた(推定)。2026 年は 9 か月で +7% と市場を上回る(バイオフィニティが牽引)。市場は高齢化で遠近両用が伸びる。競合は同じ 3 社。価格は中立で 10 年 1.05 倍:もともと単価が高く、競合の乱視用・遠近両用の値付けと保険の償還に抑えられ、物価の 1.41 倍には届かない。
コンタクトレンズ:近視進行抑制(MiSight)
子どもの近視の進みを遅らせる 1 日使い捨てレンズ(マイサイト 1 デイ)。会社の説明では米国 FDA が承認した最初で唯一の製品。
| 数量利用する子どもの数(万人、推定) | 価格1 人あたりの年間売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 16.2 | 648 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 50.3 | 716 | 4 | 1 |
取り方:会社は MiSight の年間売上を開示しない。2026 年度の第 1 四半期 28 百万ドル(+23%)、第 2 四半期 32 百万ドル(+24%)、第 3 四半期 +20% から逆算して 2025 年 10 月期を約 1.05 億ドルと推定し、球面・その他から切り出した(切り出し元は開示がなく推定)。利用者を約 16 万人、1 人あたり約 650 ドルと置いた(推定)。2026 年は約 2 割の伸びで、中国が弱い。競合はステレスト(エシロールルックスオティカの眼鏡)、オルソケラトロジー、アトロピンの点眼。価格は中立で 10 年 1.05 倍:競合が多く、オルソケラトロジーの値下げ圧力もあり、物価並みには上げられない。
女性医療:体外受精(不妊治療)
胚の培養液・器具・保存と、胚の遺伝子検査(着床前検査)を体外受精の診療所に売る。
| 数量関わる体外受精の周期数(万周期、推定)=世界の周期 約 400 万 × クーパーサージカルが関わる割合 約 20% | 価格1 周期あたりの売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 81.0 | 648 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 107 | 829 | 9 | 1 |
取り方:2025 年 10 月期の不妊は 5.25 億ドル(クーパーサージカルの 38.9%)。世界の体外受精は年約 400 万周期(ESHRE の ICMART 集計の延長で推定)、培養液・器具・遺伝子検査のいずれかで関わる周期を約 20%(約 81 万周期)、1 周期あたり約 650 ドルと置いた(推定)。競合は胚培養液・体外受精の機器でヴィトロライフ(Vitrolife)と富士フイルムのアーバイン・サイエンティフィック(Irvine Scientific)、遺伝子検査でヴィトロライフ傘下のイゲノミクスとナテラ。2026 年度の第 2 四半期は有機 +10%(一時要因を含む)、第 3 四半期は +5%。価格は中立で 10 年 1.09 倍:培養液・器具は競争で上がりにくいが、遺伝子検査のミックスが 1 周期あたりの売上を押し上げる。
女性医療:出産・婦人科(パラガードなど)
銅付加の避妊具パラガード、婦人科の診察・手術の機器、出産関連の製品とサービス。
| 数量製品・サービスの使用件数(万件、推定の合算) | 価格1 件あたりの売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 110 | 749 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 116 | 913 | 11 | 1 |
取り方:2025 年 10 月期の出産・婦人科(会社の区分は office and surgical)は 8.24 億ドル(クーパーサージカルの 61.1%)。パラガードの装着、診察・手術の機器の使用、出産関連の件数を合わせて約 110 万件(推定)、1 件あたり約 750 ドルと置いた。競合は、避妊具でオルガノンが権利を得た銅付加のミュディエラ(2026 年末に米国で発売見込み、銅 175mm²・3 年、パラガードは 380mm²・10 年)、手術機器では大手の医療機器会社。2026 年度の第 3 四半期は +2%。価格は中立で 10 年 1.06 倍:病院・診療所の購買と保険の償還に抑えられ、パラガードも新しい競合の登場で値上げの余地が狭まる。
リスクと懸念
在庫調整が需要の弱さを含む
2026 年度の第 3 四半期にクーパービジョンは米国の流通在庫を意図的に減らして横ばいとなり、第 4 四半期も同規模の調整が続く。会社は「在庫を除けば南北アメリカは +5%」と説明するが、在庫が積み上がった原因が需要の見込み違いなら、調整後も市場並みに戻れない。会社が 2027 年度の見通しを 12 月まで出さない点も不透明さを残す。
1 日使い捨てでのシェアの流出
1 日使い捨てはジョンソン・エンド・ジョンソンのアキュビュー・オアシス 1-デイとアルコンのプレシジョン ワンが先行し、クーパーは世界シェア約 2 割強の 3 番手。2026 年度に市場を下回り、アジア太平洋が −5% 前後と弱い。装用者の増加が年 1% を下回り、価格・ミックスも弱まれば、売上の伸びは年 2% 台まで落ち、固定費の重い工場の稼働率が下がる。
MiSight の競争と中国
近視進行抑制は 2026 年度に約 2 割の伸びだが、会社は中国を「難しい市場」と述べ、オルソケラトロジーの値下げ圧力と競合製品を挙げる。眼鏡のステレスト、アトロピンの点眼、オルソケラトロジーと選択肢が多く、コンタクトレンズの MiSight が子どもの近視市場の主役になれるかは定まっていない。
胚培養液の訴訟と新しい請求
2023 年 12 月の胚培養液の回収は、2026 年度に純 2.7 億ドルの費用を計上し 8 月に 3.1 億ドルを払った。ただし請求が追加される恐れがあり、英国の給与税の係争(0〜7,170 万ポンド、未計上)も残る。体外受精は、診療所と患者が品質への信頼で製品を選ぶため、評判の傷は不妊の売上に響く。
パラガードの唯一の地位の終わり
数十年にわたり米国で唯一の長期の非ホルモン避妊具だったパラガードに、セベラ(Sebela)が開発しオルガノンが権利を得た銅付加の新製品ミュディエラ(銅 175mm²・3 年)が 2026 年末に発売される見込み。パラガードは耐用が長く有利だが、新しい選択肢が出ると価格と数量の両方に圧力がかかる。
資本配分と経営への信頼
GAAP の ROE は 4.5%(正常化しても 8% 前後)と、のれん 38.8 億ドルと過去の設備投資に見合わない。2023〜2024 年の約 7.5 億ドルの設備投資は成果が見えず、自社株買いは悪材料の前の、株価が今より 2 割ほど高い水準で使われた。ジャナは CEO と議長の交代、クーパービジョンの売却先との対話を求め、ブラウニング・ウェストも取締役会の刷新を迫った。対立が長引けば、経営の集中が削がれる。
税率と金利
会社は 2027 年度の非 GAAP の税率が 15.5% から 17.5% に上がると述べる(世界の最低税率の影響)。借入金は借り換えで約 5.75% に上がり、利払いは年 1.0 億ドルから 1.4 億ドル前後へ増える。GAAP の純利益は営業利益の伸びより遅く伸びる。
今後の分かれ目
- 2026 年 12 月の決算で、2027 年度の有機成長が 4% 以上、クーパービジョンの在庫調整の終了が示されたら
- 在庫調整は一時だったと分かり、やや楽観・楽観の確率を 10 年で 5〜8 ポイント上げる。中立のシェア横ばいの置き方は変えないが、利益率 21% の確からしさが増す。
- 1 日使い捨ての MyDay と乱視用が、米国で 2 四半期続けて市場(年 4〜5%)を上回って伸び、販売先の約 5,000 軒の追加が効いたら
- シェアの流出ではなく横ばい〜小幅な獲得に見方を直し、10 年の楽観の確率を上げる。クーパービジョンの数量の伸び +1% 台が +2% 台に上がれば、売上の 10 年の伸びは年 +0.7 ポイント。
- 物言う株主が取締役会の過半を取る、または CEO が交代して資本配分の方針(自社株買いの水準・設備投資・事業の売却)が変わったら
- 成立したら今の会社の前提が変わる(売却なら価格に株主が受け取る対価が入り、数字は書き直す)。確率は、経営の立て直しが進む場合にやや楽観を上げ、混乱が長引く場合にやや悲観を上げる。
- クーパービジョンが売却または他社と合併する発表が出たら(ボシュロムなど)
- 成立前は今の会社で書く。成立する場合、買い手が払う対価は事業の本質価値を映すので、中立の時価総額との差を見て筋書きを入れ替える。独占禁止の審査も長く、時間がかかる。
- MiSight が中国で回復し、全体の成長が年 20% を超え続けたら、または米国・欧州で保険の償還が広がったら
- 近視進行抑制が 10 年後に 5 億ドルを超え、クーパービジョンの営業利益率が 1 ポイント上がる。10 年の楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 銅付加の新製品ミュディエラの米国発売後に、パラガードの売上が 2 桁で減ったら
- 出産・婦人科の 10 年の中立の伸び(年 +2.5%)を 0% に直し、10 年の純利益が約 0.4 億ドル下がる。やや悲観の確率が上がる。
- 不妊の売上が有機で 1 桁中盤を保ち、米国の補償義務が他の州にも広がったら
- 不妊の 10 年の伸び(年 +5.4%)が 6% 台に上がり、女性医療の営業利益率が 1〜2 ポイント改善する。不妊の売上が +3% を下回れば逆に、やや悲観に寄せる。
見ておくもの
- 2026 年 12 月の決算(第 4 四半期)での 2027 年度の見通しと、クーパービジョンの在庫調整の終了の有無
- クーパービジョンの有機成長(米国・欧州・アジア太平洋)と 1 日使い捨て(MyDay)の伸び
- MiSight の四半期売上(2026 年度第 3 四半期までは前年同期比 +20〜24%)と中国の動き
- 不妊の有機成長(第 3 四半期 +5%)と遺伝子検査の売上、米国の体外受精の補償義務の広がり
- ミュディエラの米国発売の時期とパラガードの売上の動き
- ジャナ・パートナーズとブラウニング・ウェストの動き(取締役の指名期限は 2027 年 1 月初め)、CEO・議長の交代の有無
- 自由キャッシュフローと自社株買いの規模(枠は残り約 15 億ドル)、純負債と利払い、胚培養液の訴訟の追加
倍率と資本コストの決め方
今の PER 30 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC は k に、事業の ROE が k を超える分の残る割合を足した値。moat は normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 14.5 倍(g 4.0%、RONIC 9.5%、k 8.00%)の 9 割の 13.0 倍。今の値段には寄せていない。総合は今の時価総額より 16% 下。結論は「やや割高」。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0% = 8.0%。在庫調整・訴訟・物言う株主・経営陣への信頼といった個別のリスクは k に足さず、やや悲観・悲観の確率(合計 38%)で表した。存続は危うくないので上乗せ 0。
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読んだ資料
- CooperCompanies 2025 年度第 4 四半期・通期決算(8-K)
- CooperCompanies 2026 年度第 3 四半期の 10-Q(2026 年 7 月 31 日)
- クーパー 2026 年度第 3 四半期 決算説明会の記録
- クーパー 2026 年度第 2 四半期 決算説明会の記録
- クーパー 2026 年度第 1 四半期 決算説明会の記録
- JANA Partners がクーパーの取締役会に送った書簡(2026-09-17)
- クーパーとブラウニング・ウェストの合意・取締役の追加(2025-12)
- オルガノンの 10-Q(ミュディエラの権利取得・米国発売の見込み)
- ボシュロムの 2025 年 10-K(ビジョンケアの売上の内訳)
- ESHRE 生殖補助医療のファクトシート(世界の周期数)
- コンタクトレンズ市場の規模・シェアの推計(GM Insights)